JPH0689827A - 乾式磁場成形法によるフェライト磁石の製造方法 - Google Patents
乾式磁場成形法によるフェライト磁石の製造方法Info
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- JPH0689827A JPH0689827A JP4265343A JP26534392A JPH0689827A JP H0689827 A JPH0689827 A JP H0689827A JP 4265343 A JP4265343 A JP 4265343A JP 26534392 A JP26534392 A JP 26534392A JP H0689827 A JPH0689827 A JP H0689827A
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- sheet
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 乾式磁場成形時における磁性粉の配向性と金
型への充填性を同時に改善する。 【構成】 Baフェライト又はSrフェライトの一次粉
と有機バインダとを混練し、機械配向法によりシート状
の成形体を得る。機械配向にはロール圧延法が好適であ
るが、押出成形法でもよい。異方化したシート又はシー
ト積層体に脱バインダ処理を施し、解砕し整粒して異方
性造粒粉とする。その異方性造粒粉を用いて乾式磁場成
形法により成形し、焼成する。シート状成形体あるいは
その積層体を解砕してから脱バインダ処理を行ってもよ
い。乾式磁場成形の際に印加する磁場方向は任意であ
り、磁石製品の形状も任意である。
型への充填性を同時に改善する。 【構成】 Baフェライト又はSrフェライトの一次粉
と有機バインダとを混練し、機械配向法によりシート状
の成形体を得る。機械配向にはロール圧延法が好適であ
るが、押出成形法でもよい。異方化したシート又はシー
ト積層体に脱バインダ処理を施し、解砕し整粒して異方
性造粒粉とする。その異方性造粒粉を用いて乾式磁場成
形法により成形し、焼成する。シート状成形体あるいは
その積層体を解砕してから脱バインダ処理を行ってもよ
い。乾式磁場成形の際に印加する磁場方向は任意であ
り、磁石製品の形状も任意である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、乾式磁場成形法により
フェライト磁石を製造する方法に関し、更に詳しく述べ
ると、機械配向法により異方性を付与したBa(バリウ
ム)フェライト又はSr(ストロンチウム)フェライト
のシート状成形体やその積層体を、解砕し整粒して異方
性造粒粉とし、それを用いて乾式磁場成形法によりフェ
ライト磁石を製造する方法に関するものである。
フェライト磁石を製造する方法に関し、更に詳しく述べ
ると、機械配向法により異方性を付与したBa(バリウ
ム)フェライト又はSr(ストロンチウム)フェライト
のシート状成形体やその積層体を、解砕し整粒して異方
性造粒粉とし、それを用いて乾式磁場成形法によりフェ
ライト磁石を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】乾式磁場成形法によるフェライト磁石の
製造工程の標準的な例を図6に示す。バリウム又はスト
ロンチウムの炭酸塩(BaCO3 又はSrCO3 )と酸
化第二鉄(Fe2 O3 )及び添加物などの原料を混合
し、仮焼して、固相反応によりフェライト化させる。そ
の後、フェライト粒子を単磁区粒子サイズにするために
1μm近傍まで粉砕して一次粉とする。この一次粉に、
成形体としての強度を補うためにバインダを添加する。
液体バインダ(例えばPVA水溶液など)を使用する場
合は、湿式微粉砕した一次粉スラリーとバインダとを混
合し乾燥した後、凝集粒子を一次粒子にまで解砕する。
固体微粒子バインダ(例えば微粒子dl−ショウノウな
ど)を使用する場合は、それを湿式微粉砕後に乾燥した
一次粉と混合して解砕する。それらの粉体を用いて乾式
磁場成形法で所望の形状に成形し、焼結する。そして必
要な研磨を行い、着磁を施す。
製造工程の標準的な例を図6に示す。バリウム又はスト
ロンチウムの炭酸塩(BaCO3 又はSrCO3 )と酸
化第二鉄(Fe2 O3 )及び添加物などの原料を混合
し、仮焼して、固相反応によりフェライト化させる。そ
の後、フェライト粒子を単磁区粒子サイズにするために
1μm近傍まで粉砕して一次粉とする。この一次粉に、
成形体としての強度を補うためにバインダを添加する。
液体バインダ(例えばPVA水溶液など)を使用する場
合は、湿式微粉砕した一次粉スラリーとバインダとを混
合し乾燥した後、凝集粒子を一次粒子にまで解砕する。
固体微粒子バインダ(例えば微粒子dl−ショウノウな
ど)を使用する場合は、それを湿式微粉砕後に乾燥した
一次粉と混合して解砕する。それらの粉体を用いて乾式
磁場成形法で所望の形状に成形し、焼結する。そして必
要な研磨を行い、着磁を施す。
【0003】液体バインダを用いるにしても固体微粒子
バインダを用いるにしても、従来技術においては、乾式
磁場成形法で用いる磁性粉は、顆粒の形態を採らず、凝
集粒子を一次粉の粒径近傍まで解砕したものであった。
解砕は乾燥によって生じる一次粒子の凝集をほぐすため
であり、解砕を行う理由は、一次粒子の凝集が配向を著
しく阻害するからである。
バインダを用いるにしても、従来技術においては、乾式
磁場成形法で用いる磁性粉は、顆粒の形態を採らず、凝
集粒子を一次粉の粒径近傍まで解砕したものであった。
解砕は乾燥によって生じる一次粒子の凝集をほぐすため
であり、解砕を行う理由は、一次粒子の凝集が配向を著
しく阻害するからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、粒子間の凝
集を取り除いた状態の微細粒径の粉体を用いて成形を行
うと、磁気的な配向度は高くなるものの、成形金型への
充填性が悪化する問題が生じる。この粉体は粒度が揃っ
た微粉であり、嵩密度が小さく、二次凝集を起こし易
く、また流動性に欠ける。そのために、成形金型が大
型化する、金型への盛り込み量が不安定となる、圧
縮方向高さの高い成形体を作り難い、などの問題があ
る。
集を取り除いた状態の微細粒径の粉体を用いて成形を行
うと、磁気的な配向度は高くなるものの、成形金型への
充填性が悪化する問題が生じる。この粉体は粒度が揃っ
た微粉であり、嵩密度が小さく、二次凝集を起こし易
く、また流動性に欠ける。そのために、成形金型が大
型化する、金型への盛り込み量が不安定となる、圧
縮方向高さの高い成形体を作り難い、などの問題があ
る。
【0005】成形金型への充填性を改善するために、粉
末冶金で一般的に行われているスプレードライヤ等によ
る顆粒化を行うことも考えられるが、そうすると金型へ
の充填性は改善されるが、顆粒は内部の粒子の向きが規
制化されておらず、粒子が全ての方向をランダムに向い
た状態で固着化される(等方性)ことになる。これは凝
集粒子と同じことであり、磁場を印加して配向させよう
としても配向度は全く改善されない。
末冶金で一般的に行われているスプレードライヤ等によ
る顆粒化を行うことも考えられるが、そうすると金型へ
の充填性は改善されるが、顆粒は内部の粒子の向きが規
制化されておらず、粒子が全ての方向をランダムに向い
た状態で固着化される(等方性)ことになる。これは凝
集粒子と同じことであり、磁場を印加して配向させよう
としても配向度は全く改善されない。
【0006】本発明の目的は、上記のような従来技術の
欠点を解消し、乾式磁場成形時の磁性粉の配向性と金型
への充填性を同時に改善できるフェライト磁石の製造方
法を提供することである。
欠点を解消し、乾式磁場成形時の磁性粉の配向性と金型
への充填性を同時に改善できるフェライト磁石の製造方
法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、機械配向法に
より異方性を付与したBaフェライト又はSrフェライ
トのシート、あるいは該シートの積層体を解砕し整粒し
て異方性造粒粉とし、その異方性造粒粉を用いて乾式磁
場成形法により成形するフェライト磁石の製造方法であ
る。まずBaフェライト又はSrフェライトの一次粉と
有機バインダとを混練し、機械配向法によりシート状の
成形体を得る。機械配向にはロール圧延法が好適である
が、押出成形法でもよい。異方化したシート又はシート
積層体に脱バインダ処理を施し、解砕し整粒して異方性
造粒粉とする。その異方性造粒粉を用いて乾式磁場成形
法により成形し、焼成する。シート状成形体あるいはそ
の積層体を解砕してから脱バインダ処理を行ってもよ
い。
より異方性を付与したBaフェライト又はSrフェライ
トのシート、あるいは該シートの積層体を解砕し整粒し
て異方性造粒粉とし、その異方性造粒粉を用いて乾式磁
場成形法により成形するフェライト磁石の製造方法であ
る。まずBaフェライト又はSrフェライトの一次粉と
有機バインダとを混練し、機械配向法によりシート状の
成形体を得る。機械配向にはロール圧延法が好適である
が、押出成形法でもよい。異方化したシート又はシート
積層体に脱バインダ処理を施し、解砕し整粒して異方性
造粒粉とする。その異方性造粒粉を用いて乾式磁場成形
法により成形し、焼成する。シート状成形体あるいはそ
の積層体を解砕してから脱バインダ処理を行ってもよ
い。
【0008】また本発明は、Baフェライト又はSrフ
ェライトの一次粉と有機バインダとの混練物を、機械配
向法によりシート状に成形し、そのシートあるいは該シ
ートの積層体を解砕し整粒する乾式磁場成形用異方性造
粒粉の製造方法である。
ェライトの一次粉と有機バインダとの混練物を、機械配
向法によりシート状に成形し、そのシートあるいは該シ
ートの積層体を解砕し整粒する乾式磁場成形用異方性造
粒粉の製造方法である。
【0009】本発明方法の一例を図1に示す。一次粉の
製造までは従来方法と同様でよい。本発明ではその一次
粉に有機バインダを加えて混練し、機械配向させてシー
トとし、その異方性を呈するシート若しくはシート積層
体を解砕・整粒して異方性造粒粉とし、それを用いて乾
式磁場成形する点に特徴がある。成形品は、従来同様に
焼結・研磨・着磁して製品とする。本発明において、乾
式磁場成形の際に印加する磁場Hの方向は任意であり、
図2のAに示す縦磁場成形(配向方向と圧縮方向が平
行)、Bに示す横磁場成形(配向方向と圧縮方向が垂
直)、Cに示すラジアル磁場成形(配向方向と圧縮方向
が垂直)に適用できる。なお図2において、成形金型
は、ダイス10と、その中央に位置するロッド12と、
両者の隙間部で摺動する下パンチ14及び上パンチ16
から構成される。磁石製品の形状も任意であり、リング
状に限られるものではない。
製造までは従来方法と同様でよい。本発明ではその一次
粉に有機バインダを加えて混練し、機械配向させてシー
トとし、その異方性を呈するシート若しくはシート積層
体を解砕・整粒して異方性造粒粉とし、それを用いて乾
式磁場成形する点に特徴がある。成形品は、従来同様に
焼結・研磨・着磁して製品とする。本発明において、乾
式磁場成形の際に印加する磁場Hの方向は任意であり、
図2のAに示す縦磁場成形(配向方向と圧縮方向が平
行)、Bに示す横磁場成形(配向方向と圧縮方向が垂
直)、Cに示すラジアル磁場成形(配向方向と圧縮方向
が垂直)に適用できる。なお図2において、成形金型
は、ダイス10と、その中央に位置するロッド12と、
両者の隙間部で摺動する下パンチ14及び上パンチ16
から構成される。磁石製品の形状も任意であり、リング
状に限られるものではない。
【0010】
【作用】BaフェライトやSrフェライト粒子と有機バ
インダとの混練物をロール圧延法あるいは押出成形法に
よりシート状の成形体とすると、内部の一次粉は六角板
状という結晶形状異方性により機械配向されてシートの
厚み方向に配向する。このシートもしくはシート積層体
を解砕すると、機械配向したままの状態の造粒粉が得ら
れる。つまり造粒粉それ自体が異方性を有する。そのた
め、乾式磁場成形時の配向度が改善され、且つ造粒効果
によって成形金型への充填性が大幅に改善される。
インダとの混練物をロール圧延法あるいは押出成形法に
よりシート状の成形体とすると、内部の一次粉は六角板
状という結晶形状異方性により機械配向されてシートの
厚み方向に配向する。このシートもしくはシート積層体
を解砕すると、機械配向したままの状態の造粒粉が得ら
れる。つまり造粒粉それ自体が異方性を有する。そのた
め、乾式磁場成形時の配向度が改善され、且つ造粒効果
によって成形金型への充填性が大幅に改善される。
【0011】
【実施例】Srフェライト一次粉100重量部に対し
て、有機バインダとしてPVB(ポリビニルブチラー
ル)樹脂5〜15重量部、可塑剤としてDBP(フタル
酸ジブチル)5〜10重量部、溶媒としてエチルアルコ
ール10〜30重量部を混合・混練した後、温度40〜
70℃の2本のロール間(1〜10mm)を50回通過さ
せてシート状に成形した。更に0.2mmまで圧下率40
%以上で圧延し、厚み方向に異方化したシートを作製し
た。このシート(300 mm×500 mm×0.2 mm)を、30枚
積層成形し、10℃/hの昇温速度で300℃まで加熱
する脱バインダ処理を行った後、450μm以下の粒径
に解砕した。更に篩別して、その粒度分布を100μm
以下、100〜150μm、ホースフィールド(Horsfi
eld )充填則に従ったもの、の3種類の試料を調整し
た。また比較のために、一次粉にPVAを添加してアト
マイザ粉砕した粉体、一次粉にdl- ショウノウを1重量
%添加した粉体も作製した。各試料の嵩密度の値を表1
に示す。
て、有機バインダとしてPVB(ポリビニルブチラー
ル)樹脂5〜15重量部、可塑剤としてDBP(フタル
酸ジブチル)5〜10重量部、溶媒としてエチルアルコ
ール10〜30重量部を混合・混練した後、温度40〜
70℃の2本のロール間(1〜10mm)を50回通過さ
せてシート状に成形した。更に0.2mmまで圧下率40
%以上で圧延し、厚み方向に異方化したシートを作製し
た。このシート(300 mm×500 mm×0.2 mm)を、30枚
積層成形し、10℃/hの昇温速度で300℃まで加熱
する脱バインダ処理を行った後、450μm以下の粒径
に解砕した。更に篩別して、その粒度分布を100μm
以下、100〜150μm、ホースフィールド(Horsfi
eld )充填則に従ったもの、の3種類の試料を調整し
た。また比較のために、一次粉にPVAを添加してアト
マイザ粉砕した粉体、一次粉にdl- ショウノウを1重量
%添加した粉体も作製した。各試料の嵩密度の値を表1
に示す。
【0012】なおホースフィールド充填則による粒度分
布は次の通りである。 0.35μm(0.25〜0.45) … 50% 0.15μm(0.100〜0.25)… 25% 0.08μm(0.100以下) … 25%
布は次の通りである。 0.35μm(0.25〜0.45) … 50% 0.15μm(0.100〜0.25)… 25% 0.08μm(0.100以下) … 25%
【0013】
【表1】
【0014】嵩密度は造粒効果によって向上する。一次
粉に対して、異方性造粒粉は100μm以下の粒度では
約1.25倍となり、ホースフィールド充填粒度では約
2倍となる。そのため同一形状の成形品を作製するのに
必要な金型の圧縮方向高さを各々約20%、50%短縮
できる。また粉体の流動性も大幅に改善される。
粉に対して、異方性造粒粉は100μm以下の粒度では
約1.25倍となり、ホースフィールド充填粒度では約
2倍となる。そのため同一形状の成形品を作製するのに
必要な金型の圧縮方向高さを各々約20%、50%短縮
できる。また粉体の流動性も大幅に改善される。
【0015】また上記の各粉体と、比較のために更にス
プレードライヤによる造粒粉(粒径100μm以下とホ
ースフィールド充填)を用いて約8kOeの磁場中で横
磁場成形(図2B参照)を行い、1230℃で焼成した
試料について、磁気特性を測定した。測定結果を表2に
示す。
プレードライヤによる造粒粉(粒径100μm以下とホ
ースフィールド充填)を用いて約8kOeの磁場中で横
磁場成形(図2B参照)を行い、1230℃で焼成した
試料について、磁気特性を測定した。測定結果を表2に
示す。
【0016】
【表2】
【0017】スプレードライヤによる造粒粉は等方性で
あり、磁場配向処理を施しても、その磁気特性は無配向
の状態と何ら変わらない。それに対して、本発明の機械
配向を施した成形体を解砕した造粒粉は異方性を呈し、
最大エネルギー積で約3.0MGOeの特性のフェライ
ト磁石が得られる。
あり、磁場配向処理を施しても、その磁気特性は無配向
の状態と何ら変わらない。それに対して、本発明の機械
配向を施した成形体を解砕した造粒粉は異方性を呈し、
最大エネルギー積で約3.0MGOeの特性のフェライ
ト磁石が得られる。
【0018】更に磁場成形方法の一つであるラジアル磁
場成形(図2C参照)は、前記横磁場成形(図2B参
照)と配向・圧縮手法が同等であり、従ってラジアル磁
場成形品においても同様の磁気特性の製品を作製でき
る。図3に本発明方法により作製したラジアル異方性リ
ング磁石(外径30mm、内径20mm、高さ10mm、8
極)の表面磁束密度を示す。
場成形(図2C参照)は、前記横磁場成形(図2B参
照)と配向・圧縮手法が同等であり、従ってラジアル磁
場成形品においても同様の磁気特性の製品を作製でき
る。図3に本発明方法により作製したラジアル異方性リ
ング磁石(外径30mm、内径20mm、高さ10mm、8
極)の表面磁束密度を示す。
【0019】ここで異方性造粒粉は、横磁場成形時の磁
気特性が一次粉の特性に比べて一見劣るようであるが、
ラジアル磁場成形においては、この値から優劣の判断は
出来ない。図4にラジアル磁場成形の磁気回路を示す。
ラジアル磁場は、成形ロッド(強磁性体)12より導か
れ、ダイス(強磁性体)10内壁に吸い込まれることで
形成される。従ってラジアル磁場の大きさは、金型に使
用される強磁性体の磁気特性、成形体の形状に依存す
る。つまりラジアル磁場の大きさは成形ロッドに使用す
る強磁性材料、断面積で最初の制約を受け、次に伝達さ
れる側(ダイス)の強磁性体の材質、表面積で決定され
る。従って強い磁場を作るには、ロッドの断面積が大き
い程、ダイス高さが小さい程、よいことになる。
気特性が一次粉の特性に比べて一見劣るようであるが、
ラジアル磁場成形においては、この値から優劣の判断は
出来ない。図4にラジアル磁場成形の磁気回路を示す。
ラジアル磁場は、成形ロッド(強磁性体)12より導か
れ、ダイス(強磁性体)10内壁に吸い込まれることで
形成される。従ってラジアル磁場の大きさは、金型に使
用される強磁性体の磁気特性、成形体の形状に依存す
る。つまりラジアル磁場の大きさは成形ロッドに使用す
る強磁性材料、断面積で最初の制約を受け、次に伝達さ
れる側(ダイス)の強磁性体の材質、表面積で決定され
る。従って強い磁場を作るには、ロッドの断面積が大き
い程、ダイス高さが小さい程、よいことになる。
【0020】ここで前述した粉体嵩密度が重要な要素と
なる。成形高さHの成形品を作る場合に、その成形体密
度を3.2g/cm3 とすると、一次粉では必要なダイス高
さは成形体の4.0倍であるのに対して、ホースフィー
ルド粒度分布の異方性造粒粉を使った場合は2倍で済
む。そのため同一高さ寸法のラジアル異方性磁石を作る
場合、その配向磁場は大きく異なる。図5に外径33m
m、内径23mm用金型のダイス高さと発生磁場の関係を
示す。高さ15mmの成形品を作る場合、従来法では60
mmのダイス高さが必要であり、発生磁場は約4kOeと
なる。すると製品の磁気特性は、Brが3.38kG、
bHcが2.27kOe、iHcが2.99kOe、B
Hmax が2.7MGOeとなり、実質的な磁気特性は逆
転する。
なる。成形高さHの成形品を作る場合に、その成形体密
度を3.2g/cm3 とすると、一次粉では必要なダイス高
さは成形体の4.0倍であるのに対して、ホースフィー
ルド粒度分布の異方性造粒粉を使った場合は2倍で済
む。そのため同一高さ寸法のラジアル異方性磁石を作る
場合、その配向磁場は大きく異なる。図5に外径33m
m、内径23mm用金型のダイス高さと発生磁場の関係を
示す。高さ15mmの成形品を作る場合、従来法では60
mmのダイス高さが必要であり、発生磁場は約4kOeと
なる。すると製品の磁気特性は、Brが3.38kG、
bHcが2.27kOe、iHcが2.99kOe、B
Hmax が2.7MGOeとなり、実質的な磁気特性は逆
転する。
【0021】同様に、異方性造粒粉を用いて24極の極
磁場成形を行い、1230℃で焼成し、研磨加工後、2
4極着磁を施した試料について、全磁束量、性能指数を
測定した。結果を表3に示す。なお試料は外径26mm、
内径18mm、高さ20mmのリング形状である。また性能
指数とは、等方性磁石の鎖交磁束量を100とし、それ
と比べた性能を示している。表3から分かるように、極
異方性磁石の特性は、従来法に比べて、本発明による異
方性造粒粉(100μm以下)を用いた方が高特性とな
る。
磁場成形を行い、1230℃で焼成し、研磨加工後、2
4極着磁を施した試料について、全磁束量、性能指数を
測定した。結果を表3に示す。なお試料は外径26mm、
内径18mm、高さ20mmのリング形状である。また性能
指数とは、等方性磁石の鎖交磁束量を100とし、それ
と比べた性能を示している。表3から分かるように、極
異方性磁石の特性は、従来法に比べて、本発明による異
方性造粒粉(100μm以下)を用いた方が高特性とな
る。
【0022】
【表3】
【0023】
【発明の効果】本発明は上記のように、機械配向法によ
り異方化したBa又はSrフェライトシートを解砕・整
粒して異方性造粒粉を作製し、それを用いる方法である
から、乾式磁場成形時に、粉体の嵩密度が大きくなり、
金型高さ方向の大きな異方性フェライト磁石の製造が可
能となる。これによって高特性のラジアル異方性あるい
は極異方性フェライトリング磁石の作製が可能となる。
本発明では造粒によって粉体の流動性が大幅に改善され
ることで、粉体の金型への盛り込み量が安定し、均一な
品質の異方性フェライト磁石が得られる。更に本発明に
おいて異方性の付与は機械配向法によるものであるか
ら、簡単に行うことができ、量産性にも優れている。
り異方化したBa又はSrフェライトシートを解砕・整
粒して異方性造粒粉を作製し、それを用いる方法である
から、乾式磁場成形時に、粉体の嵩密度が大きくなり、
金型高さ方向の大きな異方性フェライト磁石の製造が可
能となる。これによって高特性のラジアル異方性あるい
は極異方性フェライトリング磁石の作製が可能となる。
本発明では造粒によって粉体の流動性が大幅に改善され
ることで、粉体の金型への盛り込み量が安定し、均一な
品質の異方性フェライト磁石が得られる。更に本発明に
おいて異方性の付与は機械配向法によるものであるか
ら、簡単に行うことができ、量産性にも優れている。
【図1】本発明に係る異方性フェライト磁石の製造工程
の一例を示す説明図。
の一例を示す説明図。
【図2】リング磁石の配向、圧縮手法の説明図。
【図3】ラジアル異方性磁石の表面磁束密度分布の一例
を示す説明図。
を示す説明図。
【図4】ラジアル磁場成形における磁気回路の一例を示
す説明図。
す説明図。
【図5】成形金型のダイス高さと発生するラジアル磁場
との関係を示す説明図。
との関係を示す説明図。
【図6】従来の標準的な異方性フェライト磁石の製造工
程を示す説明図。
程を示す説明図。
10 ダイス 12 ロッド 14 下パンチ 16 上パンチ
Claims (3)
- 【請求項1】 機械配向法により異方性を付与したバリ
ウムフェライト又はストロンチウムフェライトのシー
ト、あるいは該シートの積層体を解砕し整粒して異方性
造粒粉とし、その異方性造粒粉を用いて乾式磁場成形法
により成形することを特徴とするフェライト磁石の製造
方法。 - 【請求項2】 バリウムフェライト又はストロンチウム
フェライトの一次粉と有機バインダとの混練物を、ロー
ル圧延法又は押出成形法により異方化したシートを成形
し、そのシートあるいは該シートの積層体に脱バインダ
処理を施し、解砕し整粒して異方性造粒粉とし、その異
方性造粒粉を用いて乾式磁場成形法により成形し、焼成
することを特徴とするフェライト磁石の製造方法。 - 【請求項3】 バリウムフェライト又はストロンチウム
フェライトの一次粉と有機バインダとの混練物を、機械
配向法によりシート状に成形し、そのシートあるいは該
シートの積層体を解砕し整粒して異方性造粒粉とするこ
とを特徴とする乾式磁場成形用の異方性造粒粉の製造方
法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP4265343A JPH0689827A (ja) | 1992-09-08 | 1992-09-08 | 乾式磁場成形法によるフェライト磁石の製造方法 |
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JP4265343A JPH0689827A (ja) | 1992-09-08 | 1992-09-08 | 乾式磁場成形法によるフェライト磁石の製造方法 |
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JPH0689827A true JPH0689827A (ja) | 1994-03-29 |
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JP (1) | JPH0689827A (ja) |
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- 1992-09-08 JP JP4265343A patent/JPH0689827A/ja active Pending
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