JP2006156485A - 磁場中成形方法、ラジアル異方性セグメント磁石の製造方法及び磁場中成形装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 内径面及び外径面により所定の厚さを有し、磁性粉Pからなる円弧状集合体を得る工程(a)と、内径面に接触して配置されたヨークを介して、厚さの方向であってかつ放射状に円弧状集合体に対して磁場を印加しつつ、円弧状集合体を加圧成形する工程(b)と、を備え、円弧状集合体の内径面における曲率半径をrj、ヨークの中心から円弧状集合体の内径面までの距離をRjとすると、Rj>rjとなる位置に円弧状集合体を配置した状態で工程(b)を実行する。
【選択図】図6
Description
コギングを無くす方法として、N極からS極への変化を滑らかにするため、磁石にひねりを加えて、いわゆるスキュータイプのセグメント磁石が用いられることがあるが、磁石の形状が複雑であり、高特性のものを得ようとすると製造上困難なため、あまり使用されていないのが現状である。さらに内外径が同心で、ラジアル配向させたセグメント磁石をロータまたはステータに接着したあとに、スキューパターンに着磁する方法も行なわれている。この場合、中心角が80°以上の広角度のセグメント磁石では、端部がラジアル異方性を得ることが困難なため、コギング緩和効果が低くなる。
μ0H=k×2×Sp×Js/Sc
=k×Js×φB×(φB/φA)/2/L…(1)
φA:ダイの内径、
φB:中棒Bの外径、
L:ダイの長さ、
Sp:中棒Bの断面積、
Sc:ダイの内径面の面積、
Js:中棒Bの飽和磁化
k:比例定数
本発明は中心角が80〜180°の範囲の円弧状集合体に適用することが好ましい。中心角が80°以上になると図12に示す従来の方法と比べて十分なラジアル配向を得ることができるからである。
図1についてこの発明を示すと以下の通りである。円弧状成形対象物を複数組み合わせることにより描かれる仮想円領域は、図1(b)の4つのキャビティCによって囲まれた領域である。この仮想円領域を、図1(a)に一点鎖線で示している。一方、所定間隔隔てて配置された円弧状成形対象物によって取り囲まれる領域は、図1(a)のヨークYの横断面となる。図1(a)、(b)より、S(図1(b)の4つのキャビティCによって囲まれた領域の面積)>s(図1(a)のヨークYの横断面積)となることが明らかである。
本発明を実施する場合、複数の円弧状成形対象物を略均等間隔に配置することが好ましい。各円弧状成形対象物に対する加圧力を均等にすることができるからである。また、本発明を実施する場合、S=4×s〜36×sとすることが好ましい。Sを4s以上とすることにより配向磁界強度を大きくすることができるが、Sが36sを超えると磁場中成形装置が大きくなりすぎるためである。
図1についてこの発明を示すと以下の通りである。本発明の磁場中成形装置における仮想円は、図1(a)に一点鎖線で示されている。そして、図1(a)から明らかなように、円弧状キャビティCは、当該仮想円の外側に配置されている。この磁場中成形装置は、仮想円の面積よりもヨークYの断面積が大きくなる。
<第1実施形態>
図2及び図3に基づいて本発明による磁場中成形方法(第1実施形態)について説明する。なお、図2は磁場中成形装置10の構成を示す横断面図、図3は第1実施形態を実施する磁場中成形装置10の構成を示す縦断面図であり、図2は図3のA−A矢視断面、図3は図2のB−B矢視断面図である。
磁場中成形装置10は、軟磁性体で構成された略6角柱状の中棒11と、中棒11の外周に配置された上パンチ12、下パンチ13、並びに上パンチ12及び下パンチ13の外周に配置されたダイ14とを備えている。また、上パンチ12及び下パンチ13は図示しない駆動装置によって昇降可能であり、中棒11、上パンチ12、下パンチ13及びダイ14は同軸上に配置されている。中棒11はダイス鋼や電磁軟鉄を用いることが好ましいが、磁性粉と接する面は、硬質クロムめっきやダイクロン処理等の表面処理を施すか、あるいは非磁性や弱磁性の数mmの超硬合金を貼り付け、あるいは焼き嵌めして用いることが好ましい。
距離Riよりも大きく、例えばRi=2×ri〜6×riとすることができる。
いほど、つまり中棒11の断面積が大きいほど、中棒11を通過する総磁束が増加する。したがって、本実施の形態による磁場中成形装置10は、キャビティCに印加することのできるラジアル方向の配向磁界を大きくすることができる。磁場中成形装置10における磁気回路は、ラジアル異方性リング磁石成形のそれと似ている。しかし、中棒11の中心からキャビティCの内周までの距離Ri、つまり中棒11の断面積に制約がないため、必
要十分な配向磁界が得られ、結果として得られるセグメント磁石の残留磁束密度(Br)を高くすることができる。
次に、図4及び図5に基づいて本発明による第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態よりもラジアル異方性を向上させることのできる手法を適用した磁場中成形装置20を開示するものである。なお、図4及び図5の構成の中で、図2及び図3と同様の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
<第3実施形態>
次に、図6及び図7に基づいて本発明による第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1実施形態、第2実施形態とはキャビティCの個数が相違する磁場中成形装置30を開示するものであり、ここでは第1実施形態、第2実施形態と相違する部分について説明する。なお、図6及び図7の構成の中で、図2及び図3と同様の部分については同一の符号を付している。
以上、本発明の特徴部分である磁場中成形について説明したが、以下では磁場中成形を含めたラジアル異方性セグメント磁石の製造方法について言及する。なお、以下では永久磁石としてR−T−B系焼結磁石を例にして説明するが、本発明はこれ以外のSmCo系の希土類焼結磁石、フェライト磁石や各種異方性ボンド磁石に適用できることは言うまでもない。
<原料合金>
原料合金は、真空又は不活性ガス、望ましくはAr雰囲気中でストリップキャスト法、その他公知の溶解法により作製することができる。ストリップキャスト法は、原料金属をArガス雰囲気などの非酸化性雰囲気中で溶解して得た溶湯を回転するロールの表面に噴出させる。ロールで急冷された溶湯は、薄板または薄片(鱗片)状に急冷凝固される。この急冷凝固された合金は、結晶粒径が1〜50μmの均質な組織を有している。原料合金は、ストリップキャスト法に限らず、高周波誘導溶解等の溶解法によって得ることができる。なお、溶解後の偏析を防止するため、例えば水冷銅板に傾注して凝固させることができる。また、還元拡散法によって得られた合金を原料合金として用いることもできる。
原料合金は粉砕工程に供される。粉砕工程には、粗粉砕工程と微粉砕工程とがある。まず、原料合金を、粒径数百μm程度になるまで粗粉砕する。粗粉砕は、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等を用い、不活性ガス雰囲気中にて行なうことが望ましい。粗粉砕に先立って、原料合金に水素を吸蔵させた後に放出させることにより粉砕を行なうことが効果的である。水素放出処理は、希土類焼結磁石として不純物となる水素を減少させることを目的として行われる。水素放出のための加熱保持の温度は、200℃以上、望ましくは350℃以上とする。保持時間は、保持温度との関係、原料合金の厚さ等によって変わるが、少なくとも30分以上、望ましくは1時間以上とする。水素放出処理は、真空中又はArガスフローにて行う。なお、水素吸蔵処理、水素放出処理は必須の処理ではない。この水素粉砕を粗粉砕と位置付けて、機械的な粗粉砕を省略することもできる。
磁場中成形における成形圧力は0.3〜3ton/cm2(30〜300MPa)の範囲とすればよい。成形圧力が低いほど配向性は良好となるが、成形圧力が低すぎると成形体の強度が不足してハンドリングに問題が生じるので、この点を考慮して上記範囲から成形圧力を選択する。磁場中成形で得られる成形体の最終的な相対密度は、50〜65%が好ましい。
本ラジアル成形にて印加する磁場は、2〜15kOe(160〜1200kA/m)程度とすればよい。印加する磁場は静磁場に限定されず、パルス状の磁場とすることもできる。また、静磁場とパルス状磁場を併用することもできる。
焼結後、得られた焼結体に時効処理を施すことができる。この工程は、保磁力を制御する重要な工程である。時効処理を2段に分けて行なう場合には、800℃近傍、600℃近傍での所定時間の保持が有効である。800℃近傍での熱処理を焼結後に行なうと、保磁力が増大するため特に有効である。また、600℃近傍の熱処理で保磁力が大きく増加するため、時効処理を1段で行なう場合には、600℃近傍の時効処理を施すとよい。
R−T−B系焼結磁石は、希土類元素(R)を25〜37wt%含有する。ここで、RはYを含む概念を有しており、したがってY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuの1種又は2種以上から選択される。Rの量が25wt%未満であると、R−T−B系焼結磁石の主相となるR2T14B相の生成が十分ではなく軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rが37wt%を超えると主相であるR2T14B相の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。またRが酸素と反応し、含有する酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なRリッチ相が減少し、保磁力の低下を招く。したがって、Rの量は25〜37wt%とする。望ましいRの量は28〜35wt%である。
本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、Coを5.0wt%以下(0を含まず)、望ましくは0.1〜3.0wt%含有することができる。CoはFeと同様の相を形成するが、キュリー温度の向上、粒界相の耐食性向上に効果がある。
29.5wt%Nd−3.0wt%Dy−1.0wt%B−0.5wt%Co−Feの組成を有する薄帯状原料合金を、ストリップキャスト法で作製した。この薄帯状の合金に室温にて水素を吸蔵させた後、Ar雰囲気中で脱水素を行なうことにより粗粉末を得た。
ジェットミルを用いてこの粗粉末を微粉砕した。微粉砕は、ジェットミル内をN2ガスで置換した後に高圧N2ガス気流を用いて行った。得られた微粉末の平均粒径は4.0μmであった。
焼成:真空中において、1080℃で4時間焼結した。
時効処理:850℃×1時間と540℃×1時間(ともにAr雰囲気中)の2段時効処理。
以上のように、本発明によると、高磁気特性でかつ特性の均一性が高いラジアル異方性セグメント磁石を製造することができる。
Claims (16)
- 内径面及び外径面により所定の厚さを有し、磁性粉からなる円弧状集合体を得る工程(a)と、
前記内径面に接触して配置されたヨークを介して、前記厚さの方向であってかつ放射状に前記円弧状集合体に対して磁場を印加しつつ、前記円弧状集合体を加圧成形する工程(b)と、
を備え、
前記円弧状集合体の前記内径面における曲率半径をr、
前記ヨークの中心から前記円弧状集合体の前記内径面までの距離をRとすると、
R>rとなる位置に前記円弧状集合体を配置した状態で前記工程(b)を実行することを特徴とする磁場中成形方法。 - 複数の前記円弧状集合体を、R>rとなる位置に配置することを特徴とする請求項1に記載の磁場中成形方法。
- 複数の前記円弧状集合体は、前記ヨークの中心から略等距離に配置されることを特徴とする請求項2に記載の磁場中成形方法。
- 前記R、前記rが、R=2×r〜6×rの関係を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の磁場中成形方法。
- 前記円弧状集合体の中心角は80〜180°であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の磁場中成形方法。
- 磁性粉からなる複数の円弧状成形対象物を略円周上に所定間隔隔てて配置された状態でラジアル方向の磁場を印加して成形体を得る工程と、
前記成形体を焼結する工程と、
を備え、
前記円弧状成形対象物を複数組み合わせることにより描かれる仮想円領域の面積をs、
所定間隔隔てて配置された前記円弧状成形対象物によって取り囲まれる領域の面積をSとすると、
S>sであることを特徴とするラジアル異方性セグメント磁石の製造方法。 - 前記円弧状成形対象物は内径面及び外径面を有し、前記内径面から前記外径面に向けて磁場が印加されることを特徴とする請求項6に記載のラジアル異方性セグメント磁石の製造方法。
- 複数の前記円弧状成形対象物を略均等間隔に配置することを特徴とする請求項7に記載のラジアル異方性セグメント磁石の製造方法。
- 前記S及び前記sが、S=4×s〜36×sの関係を有することを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のラジアル異方性セグメント磁石の製造方法。
- 内周壁及び外周壁を有する円弧状キャビティに充填された磁性粉を加圧する加圧成形部と、
前記円弧状キャビティに対してその内周壁側から外周壁側に向けてラジアル方向磁場を印加する磁場印加部と、を備え、
前記磁場印加部は、
互いに反発する磁場を発生する一対の電磁コイルと、
前記電磁コイルから発生した該磁場を、前記円弧状キャビティに向けて誘導するヨークと、を備え、
前記円弧状キャビティの前記内周壁における曲率半径を半径とし、かつ前記ヨークの中心を中心とする仮想円よりも外側に前記円弧状キャビティを配置することを特徴とする磁場中成形装置。 - 前記加圧成形部は、複数の前記円弧状キャビティを備え、
複数の前記円弧状キャビティは、前記ヨークを中心として放射状に配置されることを特徴とする請求項10に記載の磁場中成形装置。 - 複数の前記円弧状キャビティは、略同心円上に配置されることを特徴とする請求項11に記載の磁場中成形装置。
- 前記加圧成形部は、前記円弧状キャビティを2〜12個備えることを特徴とする請求項11又は12に記載の磁場中成形装置。
- 前記加圧成形部は、複数の前記円弧状キャビティの間に非磁性領域を形成することを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載の磁場中成形装置。
- 前記加圧成形部は、前記円弧状キャビティの前記外周壁の外側に非磁性領域を形成することを特徴とする請求項10〜14のいずれかに記載の磁場中成形装置。
- 前記仮想円の面積よりも前記ヨークの断面積が大きいことを特徴とする請求項10〜15のいずれかに記載の磁場中成形装置。
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