JP4400710B2 - フェライト磁石の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フェライト磁石の製造方法に関し、特に磁場を印加しながら予備的な成形を施した予備成型体を解砕して顆粒材にしたもの(以下、磁場顆粒材ということがある)を用いてフェライト磁石を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁場顆粒材を用いたフェライト磁石の製造方法は、例えば特開昭51−20593号公報に開示されている。特開昭51−20593号公報は、磁場を印加したときに微細磁粉は、個々の異方性軸が磁場方向に向く(配向)傾向にあるものの、造粒粉内では微細磁粉同士の摩擦により配向が妨げられるという問題に着目してなされたものである。予備的な成型時に磁場を印加した後にこれを解砕して得られる磁場顆粒材は微細磁粉が凝集した形態を有している。磁場顆粒材は、それを構成する微細磁粉の異方性軸が配向されており、最終製品形状を得るための本成型において、この磁場顆粒材の方向を揃えれば微細磁粉の異方性軸の方向を揃える必要がない。したがって、最終的に得られる磁石の配向度が向上して磁気特性の高い磁石を得ることができる。
【0003】
磁場顆粒材を用いることによる利点は、磁気特性の向上のみではない。磁場顆粒材は、金型の充填性に優れているために、キャビティの開口面積が小さくかつ深い金型を用いる形状の磁石の製造には欠かせない技術の1つである。つまり、粒径が1μm程度の微細磁粉を、例えば高さ方向の寸法(L)と外径(R)との比(L/R)の大きいリング状磁石を製造するための金型に充填しようとしても、微細磁粉がブリッジを形成することにより金型内に充填させることは工業生産レベルでは困難である。これに対して、微細磁粉が凝集して粒径が大きくなった磁場顆粒材はこのような金型に十分に充填させることができる。
特開平11−273939号公報には、フェライト磁石粉末に磁場を印加しながら予備的な成形を施した予備成型体を解砕して磁場顆粒材にしたものを原料とし、これを成形金型に充填して磁場を印加しながら加圧・成形して製造されるものであって、その予備的な成形が乾式成形であること、予備成型体の密度を理論密度の42〜51%とすること、及び磁場顆粒材に含まれる75μm 以下の粒子比率を10wt%以下とすることにより、高さ方向の寸法(L)と外径(R)との比(L/R)が2.0以上の2極異方性リング状フェライト磁石が得られることを開示している。
【0004】
【特許文献1】
特開昭51−20593号公報
【特許文献2】
特開平11−273939号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
フェライト磁石が用いられる機器には、現状よりも高特性が要求される。例えば、モータに用いられる2極異方性又は極異方性を有するリング状磁石等種々の形態を有するフェライト磁石の特性を向上することが要求されている。そこで本発明は、磁場顆粒材を用いて製造されるフェライト磁石の磁気特性を向上することのできる製造方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
フェライト磁石の磁気特性を向上させるために、本発明者等は磁場顆粒材における磁気特性を向上させることを念頭において検討を行なった。
磁場中成型を行なう際の磁場の印加方向は、図4に示すように加圧方向(P)と磁場方向(H)を一致させる縦磁場成型と、図5に示すように加圧方向(P)と磁場方向(H)とが直交する横磁場成型が知られている。SrフェライトあるいはBaフェライトに代表されるマグネトプランバイト型のフェライト磁石は、その結晶が理論的には六方晶の板状でかつその異方性軸が結晶の厚さ方向に延びている。したがって、高い配向度を得るためには、図6に示すように各結晶Cが積み重なった状態でかつ積み重ねの方向に加圧力(P)を付与するとともに磁場(H)を印加する、つまり縦磁場を印加するほうが、図7に示すように積み重ねと直行する方向に加圧力(P)を付与しかつ積み重ねの方向に磁場(H)を印加する、つまり横磁場を印加するよりも有利であるとされていた。そのために、従来、フェライト磁石においては、予備成型において縦磁場を印加していた。
本発明者等は、いわばフェライト磁石の常識に反して、予備成型における磁場の印加を横磁場としてみたところ、縦磁場による予備成型により得られた磁場顆粒材を用いて得られたフェライト磁石に比べて、高い磁気特性、具体的には残留磁束密度(Br)及び配向度が得られることを確認した。このように、予備成型に横磁場を適用することにより、磁気特性を向上できる理由は明らかではないが、現実に予備成型に供される磁粉は板状ではないことが関係していると推察される。
【0007】
本発明は以上の知見に基づいてなされたものであり、フェライト粉末を加圧・成形しつつ加圧方向と直交する方向に磁場を印加する予備成型工程と、予備成型工程で得られた予備成型体を解砕して顆粒材を得る解砕工程と、解砕工程で得られた顆粒材を加圧・成型しつつ磁場を印加する本成型工程と、本成型工程により得られた本成型体を焼結する工程とを備えることを特徴とするフェライト磁石の製造方法である。
本発明のフェライト磁石の製造方法によれば、予備成型時に印加する磁場を横磁場とすることにより、フェライト磁石の残留磁束密度(Br)及び配向度を向上させることができる。この向上に伴う保磁力(HcJ)の変動は見られない。
【0008】
本発明のフェライト磁石の製造方法において、予備成型により得られる予備成型体の密度は3.0g/cm 以下とする。予備成型体の密度が低い方が高い磁気特性を得るのに有利だからである。ただし、予備成型体の密度が低すぎると、予備成型を行なった金型から成型体を取り出した後に成型体を保持することができなくなり、磁場顆粒材を得ることができなくなる。したがって、予備成型体の密度は1.7g/cm以上とすることが望ましい。より望ましい予備成型体の密度は1.9〜2.7g/cmである。
また、本発明のフェライト磁石の製造方法において、予備成型工程に印加される磁場は、450kA/m以上の強度を有することが望ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
フェライト磁石の製造方法としては、乾式成型法及び湿式成型法の2つに区分することができるが、ここでは乾式成型法について説明する。
【0010】
出発原料粉末を最終的に得たいフェライト磁石の組成に応じて秤量して配合する。Srフェライト磁石を得たいときには、出発原料粉末として少なくともFe23粉末及びSrO粉末(あるいはSrCO3粉末)を用意して配合する。このとき、焼結助剤としてSiO2粉末及びCaCO3粉末を添加することができる。また、前記出発原料粉末を後の仮焼き工程の前後で分けて添加してもよい。
出発原料粉末の配合は、例えばボールミル、アトライタ等を用いる湿式配合と、例えば乾式ミキサを用いる乾式配合が知られているが、本発明はいずれの配合法を用いてもよい。
【0011】
以上のようにして得られた配合物を仮焼きに供する。仮焼きは、大気中において例えば1000〜1400℃の温度範囲で1分〜10時間保持すればよい。このようにして得られた仮焼体は、実質的にマグネトプランバイト型のフェライト構造をもち、その一次粒子の平均粒径は、望ましくは2μm以下、より望ましくは1μm以下、さらに望ましくは0.1〜1μm、最も望ましくは0.1〜0.5μmである。平均粒径は走査型電子顕微鏡により測定すればよい。
【0012】
仮焼き体は一般に顆粒状なので、これを粉砕ないし解砕するために、まず、ローラミル等を用いて乾式による粗粉砕を行なうことが好ましい。なお、乾式粗粉砕の際には、通常、SiO2と、焼結によりCaOとなるCaCO3 とが添加される。SiO2及びCaCO3は、前述したように、一部を仮焼き前に添加してもよく、後の湿式微粉砕時に添加してもよい。不純物及び添加されたSiやCaは、大部分が粒界や三重点部分に偏析するが、一部は粒内のフェライト部分(主相)にも取り込まれる。特にCaは、Srサイトに入る可能性が高い。
粗粉砕終了後には、粗粉砕粉末と水とを含む粉砕用スラリを調製し、これを例えばアトライタにて湿式微粉砕を行なうことが好ましい。
【0013】
湿式微粉砕を経たスラリを脱水し、さらに乾燥する。乾燥は、例えば、スプレードライヤで行なうことができる。スプレードライヤで乾燥を行なうと、微粉砕粉末は顆粒を形成する。乾燥された微粉砕粉末には、予備成型時の金型との潤滑効果を発揮するステアリン酸亜鉛又はステアリン酸カルシウム、成型体のバインダとして効果を発揮するカンファ(樟脳)を添加することが望ましい。ステアリン酸亜鉛等を添加した後に、微粉砕粉末をさらに微細にするために例えばハンマミルを用いて粉砕する分散工程を実施することが望ましい。この分散工程では、フェライト粉末の粒径を1μm程度の粒径とする。
【0014】
分散工程を得たフェライト粉末は予備成型工程に供される。この予備成型工程は、次の解砕工程とともに、本成型に用いる磁場顆粒材を作製するために行なわれる。つまり、この予備成型工程により、異方性軸が配向されたフェライト粉末の結合体を作製し、解砕工程でこの結合体を解砕することにより磁場顆粒材を作製する。
予備成型工程は、上記フェライト粉末を所定形状の金型内に充填して加圧・成型しつつ、磁場を印加する。本発明は、印加する磁場を横磁場とするところに特徴がある。後述する実施例に示すように、予備成型工程において横磁場を印加することにより、縦磁場を印加した場合に比べて、高い磁気特性、具体的には残留磁束密度(Br)及び配向度を向上することができる。
【0015】
ここで、より高い磁気特性を得るために、予備成型による成型体の密度に配慮すべきである。成型体の密度が高すぎると磁気特性の向上効果が不十分である。したがって、予備成型時の成型体密度を3.0g/cm以下とする。一方、密度が低すぎると、フェライト粉末同士の結合が不十分となり、金型内では所定の形態を維持している成型体が、金型から抜き出すと崩壊する。したがって、本発明では、予備成型時の成型体密度を1.7g/cm以上とするのが望ましい。
成型体の密度の他に、印加する磁場の強度も配慮することが望ましい。後述する実施例に示すように、450kA/m以下の磁場では、磁気特性向上効果を十分引き出すことができないため、本発明においては450kA/m以上、望ましくは477kA/m以上の磁場を印加することを推奨する。ただし、477kA/m以上の磁場を印加しても磁気特性向上効果は飽和する傾向にあることから、不必要に高い磁場を印加することはない。なお、印加する磁場はパルス状のものであってもよい。
予備成型による成型体の形状は問われない。円柱、直方体等の成型の容易な形状を採用すればよい。また、混合工程で添加したカンファ等のバインダは予備成型時にフェライト粉末同士の結合を補助し、また、ステアリン酸亜鉛又はステアリン酸カルシウム等の潤滑剤は金型表面と成型体(フェライト粉末)との摩擦を低減させる。
【0016】
以上のようにして得られた予備成型体を解砕することにより磁場顆粒材を作製する。磁場顆粒材は、1次粒子径が1μm程度の微細なフェライト粉末が凝集した形態で150〜350μm程度の粒径を有している。磁場顆粒材を構成する複数のフェライト粉末は、その異方性軸が配向されている。
【0017】
以上のようにして得られた磁場顆粒材を用いて本成型を行なう。本成型は、磁場顆粒材を、所望する形状に加圧・成型する。したがって、リング状磁石を得たい場合には円筒のキャビティを有する金型を用いて成型する。ここで、本発明のフェライト磁石の製造方法は磁場顆粒材を用いているため、径に対して高さの高いキャビティを有する金型への充填性が優れている。
本成型においては、縦磁場又は横磁場を印加することにより異方性フェライト磁石を得ることができる。印加する磁場は、398〜1194kA/mの範囲で選択すればよい。この磁場もパルス状のものであってもよい。また、成型体の密度が2.0〜3.0g/cm3となるように加圧・成型することが望ましい。
【0018】
本成型終了後、成型体を例えば大気中で1150〜1270℃、望ましくは1160〜1240℃の温度で0.5〜3時間加熱保持することによりフェライト磁石を得る。
本発明によるフェライト磁石の平均結晶粒径は、望ましくは2μm以下、より望ましくは1μm以下、さらに望ましくは0.5〜1.0μmであるが、本発明では平均結晶粒径が1μmを超えていても、十分に高い保磁力が得られる。結晶粒径は走査型電子顕微鏡によって測定することができる。
焼結後、得られた焼結体磁石は表面加工が施されて最終製品となる。
【0019】
以上では予備成型を乾式で行なう場合について説明したが、本発明は湿式で予備成型を行なうこともできる。この場合、脱水後にスラリの乾燥を行なうことなく予備成型工程に移行し、予備成形工程に続く解砕工程の後に乾燥を行なえばよい。
【0020】
本発明のフェライト磁石は、六方晶フェライト、望ましくは六方晶マグネトプランバイト型(M型)フェライトを主相とし、かつSr、Ba、Ca及びPbから選択される少なくとも1種の元素であって、Srを必ず含むものをAとし、希土類元素(Yを含む)及びBiから選択される少なくとも1種の元素であってLaを必ず含むものをRとし、CoであるかCo及びZnをMとしたとき、A、R、Fe及びMそれぞれの金属元素の総計の構成比率が、全金属元素量に対し、A:1−13原子%、R:0.05−10原子%、Fe:80−95原子%、M:0.1−5原子%である組成を有することが好ましい。
また、望ましくは、A:3−11原子%、R:0.2−6原子%、Fe:83−94原子%、M:0.3−4原子%であり、より望ましくは、A:3−9原子%、R:0.5−4原子%、Fe:86−93原子%、M:0.5−3原子%である。
【0021】
また、望ましくは本発明のフェライト磁石は、A1-xx(Fe12-yyz19(x,y,zはモル数を表す)と表したとき、0.04≦x≦0.9、特に0.04≦x≦0.6、0.04≦y≦0.5、0.7≦z≦1.2である。
また、より望ましくは0.04≦x≦0.5、0.04≦y≦0.5、0.7≦z≦1.2であり、さらに望ましくは0.1≦x≦0.4、0.1≦y≦0.4、0.8≦z≦1.1であり、特に望ましくは0.9≦z≦1.05である。
【0022】
本発明によれば、予備成型を横磁場中で行なうことにより、乾式成型法によるフェライト磁石の残留磁束密度(Br)を395mT以上、さらには400mT以上とすることができる。同様に、保磁力(HcJ)については300kA/m以上、配向度については90%以上の特性を得ることができる。
【0023】
本発明によるフェライト磁石は、リング状磁石に適用することが望ましい。リング状磁石には2極異方性リング状磁石及び極異方性リング状磁石があるが、本発明は両者に適用することができる。本発明は、顆粒を用いて磁場成型するため、その高さ方向の寸法 (L) と外径 (R) との比 (L/R) が 2.0 以上のリング状磁石であっても製造が可能である。
【0024】
<実施例>
以下本発明をより具体的な実施例に基づいて説明する。
原料粉末としてFe23粉末(平均粒径=0.3μm)、SrCO3粉末(平均粒径=2.0μm)、SiO2粉末(平均粒径=0.01μm)、CaCO3粉末(平均粒径=1.0μm)を用意した。
これら原料粉末を、Fe/Sr=7.0の比率(モル比)になるようにFe23粉末及びSrCO3粉末を秤量し、さらにこの混合物に対してSiO2粉末を0.21wt%、CaCO3粉末を0.09wt%添加して原料組成物を得た。この原料組成物をアトライタで1時間湿式混合し、乾燥して整粒した後に、1350℃で2時間仮焼きを行った。
仮焼き体をローラーミルで粗粉砕した後に、Fe23粉末(平均粒径=0.3μm)、La(OH)3粉末(平均粒径=0.5μm)、Co34粉末(平均粒径=1.0〜5.0μm)、SiO2粉末(平均粒径=0.01μm)、CaCO3粉末(平均粒径=1.0μm)を添加し、アトライタで比表面積(BET)が6.5m2/gになるように微粉砕を行った。なお、後粉砕には分散媒として水を使用した。この時のフェライト組成はSr0.774La0.226Fe11.81 Co 0.18819である。また、SiO2粉末及びCaCO3粉末は、CaCO3/SiO2=1.93(モル比)、SiO2+CaCO3=1.84wt%となるように添加した。
【0025】
微粉砕スラリを脱水することにより固形分濃度を76wt%に調整し、これを300℃にて乾燥して水分濃度を0.4wt%以下にした。得られた乾燥粉に対して、SiO2を0.11wt%、ステアリン酸カルシウムを0.4wt%、昇華性バインダ(カンファ)を0.5wt%添加し、ヘンシェルミキサーで3分間混合した後に、ハンマーミルを使用して混合粉末を2回解砕した。この時、ハンマーミルの出口側にはメッシュの目開きが0.5mmのスクリーンを配置した。
【0026】
以上で得られた粉末を予備成型した。予備成型により、縦磁場及び横磁場にて2.7、2.5、2.3g/cm3の成型体密度の予備成型体を得た。成型体の大きさは、縦磁場による成型体がφ30×15、横磁場による成型体がφ23×23.2mmである。また、予備成型時に印加した磁場は、縦磁場は426〜728kA/m、横磁場は477〜796kA/mである。図8に縦磁場による予備成型の状態を模式的に示し、また、図9に横磁場による予備成型の状態を模式的に示しておく。
得られた予備成形体を1230℃で1時間焼結して焼結体(以下、予備焼結磁石)を得た。予備焼結磁石の表面を加工したてストピースを用いてB−Hトレーサーにより残留磁束密度(Br)を測定した。その結果を図1に示す。図1は、予備成型時の磁場強度と、予備焼結磁石の残留磁束密度(Br)の関係を示すグラフである。なお、図1及び後述する図2、図3において、Dpは成型体密度を示している。
【0027】
また、以上で得られた予備成型体を#40(目開き0.361mm)のスクリーンに通す解砕を行なって磁場顆粒材を得た。この磁場顆粒材を用いて円柱状(φ30×15)の成型体(成型体密度=2.7g/cm3)を796kA/mの横磁場を印加しつつ作製した。作製された成型体を1230℃で1時間焼結して焼結体(以下、本焼結磁石)を得た。本焼結磁石表面を加工したテストピースを用いて、B−Hトレーサーにより残留磁束密度(Br)、保磁力(HcJ)及び配向度を測定した。
【0028】
以上の測定結果を表1及び図2〜図3に示す。なお、図2は予備成型時の磁場強度と本焼結磁石の残留磁束密度(Br)の関係を示すグラフ、図3は本焼結磁石の保磁力(HcJ)と残留磁束密度(Br)との関係を示すグラフである。
【0029】
【表1】
Figure 0004400710
【0030】
表1、図1及び図2より、予備焼結磁石及び本焼結磁石ともに予備成型体の密度が同じであれば予備成型時に横磁場を印加した方が残留磁束密度(Br)、配向度が高く、また、磁場方向が同じであれば予備成型体の密度が低い方が残留磁束密度(Br)、配向度が高いことがわかる。具体的にいうと、予備成型時に横磁場を印加することにより、予備成型時に縦磁場を印加するよりも、予備成型密度が同じであれば、残留磁束密度(Br)は4%程度向上する。また、予備成型時に横磁場を印加する場合及び縦磁場を印加する場合共に、予備成型体の成型体密度が0.1g/cm3小さくなると残留磁束密度(Br)は1.3%程度向上する。
【0031】
また、予備成型時の印加磁場が426kA/m以上であれば同等の残留磁束密度(Br)を得ることができるが、426kA/mでは多少特性が低下しているので、磁場強度は450kA/m以上、さらには477kA/m以上とすることが望ましい。残留磁束密度(Br)がほぼ飽和する磁場強度は477kA/mであるため、それ以上の磁場強度を印加しても特性向上は小さい。
また、図3より、磁場方向・予備成型密度を変化させることにより残留磁束密度(Br)は大きく変化するが、保磁力(HcJ)はほとんど変化しないことがわかる。
【0032】
<参考例>
予備成型を縦磁場(印加磁場=477kA/m)としたことを除いて上記実施例と同様にして図10に示すリング状磁石を得た。表面加工後の寸法が外径19mm、内径5.5mm、高さ45mm、比(L/R)が2.37のリング状磁石である。このリング状磁石について目視にてクラックの有無を確認した。その結果、クラックが発見されたのは450個中13個であった。このような長尺リング形状製品の歩留まりとしては、悪くない値である。
以上の結果より、予備成型が縦磁場と横磁場とで、磁気特性評価における成型性には差異がみられなかったことから、製品でも同等の結果を得ることができると推測される。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、磁場顆粒材を用いて製造されるフェライト磁石の磁気特性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 予備成型時の磁場強度と、予備成型体を解砕することなく本焼結磁石と同様の条件で焼結して得られた焼結体磁石の残留磁束密度(Br)の関係を示すグラフである。
【図2】 予備成型時の磁場強度と、予備成型体を解砕して得られた粉末を成型・焼結して得られた焼結体磁石の残留磁束密度(Br)の関係を示すグラフである。
【図3】 本焼結磁石の保磁力(HcJ)と残留磁束密度(Br)との関係を示すグラフである。
【図4】 縦磁場成型を説明する図である。
【図5】 横磁場成型を説明する図である。
【図6】 積み重ねられた板状結晶に縦磁場を印加した状態を模式的に示す図である。
【図7】 積み重ねられた板状結晶に縦磁場を印加した状態を模式的に示す図である。
【図8】 縦磁場による予備成型の状態を模式的に示す図である。
【図9】 横磁場による予備成型の状態を模式的に示す図である。
【図10】 リング状磁石を示す図である。
【符号の説明】
C…結晶

Claims (2)

  1. 六方晶マグネトプランバイト型フェライト粉末を加圧・成形しつつ前記加圧方向と直交する方向に磁場を印加し、3.0g/cm 以下の密度の予備成形体を得る予備成型工程と、
    前記予備成型工程で得られた前記予備成型体を解砕して顆粒材を得る解砕工程と、
    前記解砕工程で得られた前記顆粒材を加圧・成型しつつ磁場を印加する本成型工程と、
    前記本成型工程により得られた本成型体を焼結する工程とを備えることを特徴とするフェライト磁石の製造方法。
  2. 前記予備成型工程に印加される磁場の強度を450kA/m以上とすることを特徴とする請求項1に記載のフェライト磁石の製造方法。
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