JP3257936B2 - ボンド磁石用フエライト粉末およびこれを用いたボンド磁石 - Google Patents
ボンド磁石用フエライト粉末およびこれを用いたボンド磁石Info
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Description
自動車電装部品等に使用される小型モーターや,複写機
のマグネットロール等に使用される高磁力のボンド磁石
を構成するためのフエライト粉末に関する。
ー積(BH)maxは,残留磁束密度Brと保磁力iH
cにより決まる。残留磁束密度Brは磁石の密度ρと磁
粉の飽和磁化σs,配向度(Br/4πIs)により下
式で表される。 Br=4π×(ρ)×(σs)×(配向度)
合,結晶異方性と形状異方性および単磁区構造の理論で
説明されている。
ρである。フエライト系焼結磁石の密度5.0g/cm
3 に対し,ボンド磁石では樹脂やゴム等のバインダーが
入るため当然密度はこれより低くなり,磁力は下がる。
したがって,ボンド磁石の磁力を高くするには,フエラ
イト粉末の含有率を増やすことが必須の課題となる。し
かし,フエライト粉末の含有率を増やすとバインダーと
の混練時に高粘度となり,負荷が増大して混練物の生産
性が低下し,極端な場合には混練不可になる。そして,
混練物の成形時にも流動性が悪いのでやはり生産性が低
下し,極端な場合には成形不可になる。
に,バインダーの選定やフエライト粉末の表面処理等の
面での改良が行われているが,基本的にはフエライト粉
末自身の高充填性を確保することが最も重要である。フ
エライト粉末の充填性は一般的には粒度分布と圧縮密度
との関連性が高い。
法として例えば特公昭55−26605号公報および特
公昭63−34610号公報に記載された方法が知られ
ている。前者は高温で焼成して粗大結晶粒子を成長さ
せ,これを粉砕して粗大粒子の間隙を埋めるような微粒
子を作る方法であり,後者は平均粒径0.5〜1.5μm
のフエライト微粉末と平均粒径30〜250μmのフエ
ライト粗粉とを配合する方法である。
性のフエライト粉末は得られるが,充填性以外にボンド
磁石として高磁力化に必要な特性要因についての考慮が
不充分で,得られるボンド磁石の最大エネルギー積(B
H)maxは最高レベルでも2.2〜2.3MGOeが限
度であった。
イト粉末では,バインダーとの混練負荷を下げたり,そ
の混練物の流動性を上げて成形性を改善するには十分で
はない。粉体の混練性や流動性は確かに圧縮密度によっ
ても影響も受けるが,その他の要因として粒子形状,粒
子の表面状態の影響も無視できないからである。また粒
子形状や粒子の表面状態は配向度および保磁力との関連
性も強い。
と,配向に適した粒子形状はC軸方向の異方性が高い六
角板状であるが,射出成形等の磁場配向タイプでは板状
比(a軸方向の粒径/c軸方向の粒径)が小さいほど,
粒子が動き易く高流動性が得られる。また,当然粒子間
焼結が少ないほど配向しやすい。
が,バインダーとの親和性から,混練時,成形時におけ
る粘度との関連がありそうである。粘度が低いほど高流
動性となり配向度が上がり,また機械的ストレスが弱い
ので保持力の低下も少ないであろう。
状異方性,単磁区構造等によって説明されている。例え
ばストロンチウムフエライトは,バリウムフエライトよ
りも結晶異方性が大きいので高iHcが得られる。また
板状比は小さいほど形状異方性による減磁が少ないので
高iHcになる。粉砕して平均粒子径が小さくなると単
磁区構造に近づくので(ただし,同時に歪みも生じるの
でこの歪みをアニールで除去すると)高iHcが得られ
る。なお,アニールしたものは混練および成形時に機械
的ストレスを受けてiHcが下がるが,平均粒子径が小
さいとこのストレスを受けにくい。
が決め手となる。マグネトプランバイト型(以下M型と
略称することがある)フエライトにおける飽和磁化σs
の理論値としては,ストロンチウムフエライトが72e
mu/g,バリウムフエライトが71emu/gである
のに対し,一般市販品は70emu/g程度とかなり理
論値に近いところまで向上しているので,これ以上のσ
sの大幅な向上は難しい。現在,飽和磁化を上げる手段
とし,M型よりも高い理論値78emu/gを有するW
型フエライトも一部検討されているが,製法が複雑でコ
ストも高いため実用化には達してない。
度,粒度分布,表面性は,ボンド磁石の充填性,混練
性,成形性,配向性,保磁力,飽和磁化と複雑に絡んで
おり,これらをバランス良く制御することによって初め
てボンド磁石の高(BH)max化が達成される。これ
らの制御には,組成(原料,モル比,添加物),焼成,
粉砕,アニール等の単位操作が一般的であるが,これら
の組み合わせを最適化することが重要となる。
公報および特公昭63−34610号公報では,特に充
填性だけを重視し,その他の複数要因については十分に
考慮されていない。そのため,特性を制御する単位操作
も単純すぎるため,複雑な特性要因を十分に制御するの
は困難であり,フエライト系ボンド磁石の(BH)ma
xは2.2〜2.3MGOeが最高レベルであった。事
実,現状の市場においても,この最高レベルを超えるフ
エライト系ボンド磁石は出現していない。
MGOeが要求される分野ではフエライト系焼結磁石が
使用されている。だが,焼結磁石は欠け割れが発生した
り,研磨が必要なため生産性に劣ることと,複雑な形状
への加工が困難であるという固有の問題がある。最近,
希土類磁石を用いたボンド磁石がこの分野で一部使用さ
れているが,希土類磁石はフエライトの20倍のコスト
高であり,また錆びやすいという問題がある。
なフエライト系M型ボンド磁石において(BH)max
≧2.5MGOeを達成することが,AV,OA機器,
自動車の電装部品等の小型モーターや複写機のマグネッ
トロールの用途分野で強く要望されている。
は,上記したフエライト系ボンド磁石の問題点を解決
し,前記の要望に応えるべく,従来技術の水準を越える
(BH)max≧2.5MGOeのフエライト系ボンド
磁石の開発を課題としたものである。
径が0.30〜0.50μmの微粉15〜40重量%と,
平均粒子径が1.00〜2.50μmの粗粉残部とを混合
して得た平均粒子径が0.9〜1.5μmであって,粉体
PHが7〜10の範囲,下記のMFR測定法に従ってフ
エライト量93重量%で測定したメルトフローレートが
7g/10min以上であるマグネトプランバイト型フ
エライト粉末によって実質上解決できることがわかっ
た。
バイト型フエライトの粉末であって,平均粒子径が0.
9〜1.5μm,JIS K−5101で測定した粉体
PHが7〜10,更には下記のMFR測定法に従ってフ
エライト量93重量%で測定したメルトフローレートが
7g/10min以上である,1ton/cm2 の圧力で圧
縮したときの圧縮密度が3.40g/cm3 以上のボン
ド磁石用フエライト粉末を提供する。
偏差σgが1.8〜2.5であるのが一層好ましく,また
BET法で測定した比表面積が1.5〜4.0m2/gであ
る。
30〜0.50μmのマグネトプランバイト型フエライ
トの微粉と,平均粒子径が1.00〜2.50μmのマグ
ネトプランバイト型フエライトの粗粉を準備する工程,
前記の微粉15〜40重量%と前記の粗粉残部とを混合
する工程,およびこの混合工程の前または後においてこ
れらの粉体を800〜1100℃でアニールする工程,
更には,アニール工程後の粉体のPHを7〜10に調整
する工程からなる製造方法によって製造することができ
る。
0.9〜1.5μmのマグネトプランバイト型フエライト
の粉末93重量%以上を樹脂系バインダーを用いて成形
してなる(BH)maxが2.5MGOe以上のフエラ
イト系ボンド磁石を提供する。該磁石の成形密度は3.
90g/cm3 以上である。
高磁力化を達成するには,フエライト粉末のボンド磁石
中へ高充填することと配向度を上げることが必須条件で
ある。そして,高充填性のフエライト粉末を得るには粒
度分布を広くし,圧縮密度を高くする方法が効果的であ
る。
ム充填モデルが提案されている。最密充填された大粒子
間隙をちょうど満たすように小粒子を最密充填する場
合,大粒子の重量割合が70%付近で最大充填率を与え
る。ただし,粒径比は0.2以下がであることが必要で
ある。
エライト粉末について,充填性と配向度の高い製造条件
を知るべく広汎な試験研究を行った。その結果,平均粒
子径が0.30〜0.50μmのマグネトプランバイト型
フエライトの微粉15〜40重量%と,平均粒子径が
1.00〜2.50μmのマグネトプランバイト型フエラ
イトの粗粉残部を混合して得た平均粒径0.9〜1.5μ
mの粉末が高充填性と高配向度をもたらすことがわかっ
た。
1.8〜2.5の範囲となるものが特に充填性と配向度が
高い。この幾何標準偏差σgは公知のレーザー回折式粒
度分布測定装置によって測定できる。本発明例では日本
電子株式会社製の商品名“HELOS & RODO
S”のレーザー回折式粒度分布測定装置を用いてσgを
測定した。
バイト型フエライト粉末を得るには,先ず微粉原料とし
て,平均粒子径0.8〜1.5μmの例えばストロンチウ
ムフエライトまたはバリウムフエライトを使用し,これ
を粉砕するか或いは粉砕後に分級して平均粒子径0.3
0〜0.50μmの範囲に入る微粉を準備する。この粉
砕時に平均粒子径を0.3μm未満にまで粉砕すること
は必要ではない。このような超微粉にまで粉砕すると,
粉砕時間が長くなり生産性の観点からマイナスであるば
かりでなく,ボンド磁石化後の磁気特性も低下する。他
方,0.5μmを越える場合には,粗粉との混合したと
きに圧縮密度が低くなりボンド磁石への高充填に不適当
となる。
〜4.0μmの例えばストロンチウムフエライトまたは
バリウムフエライトを使用し,これを粉砕するか或いは
粉砕後に分級して平均粒子径1.00〜2.50μmの範
囲に入る粗粉を得る。1.00μm未満では微粉との混
合粉は圧縮密度が低くなり,ボンド磁石への高充填に不
適当である。他方,2.50μmを越える場合はボンド
磁石化後の配向度と保磁力が著しく低下するようにな
る。
0〜0.50μmの微粉と,平均粒子径1.00〜2.5
0μmの粗粉を用いて,微粉15〜40重量%で残部が
粗粉となる混合比率を有するフエライト粉末を作る。微
粉が15重量%未満では混合粉の圧縮密度が低く高充填
に不適当となり,またボンド磁石に成形後の保磁力も低
くなる。他方微粉が40重量%を越えると,ボンド磁石
製造の際,バインダーとの混練および成形時の粘度が高
くなりすぎてボンド磁石化が困難になり,また成形でき
ても磁粉の配向度が低くなって残留磁束密度Brが下が
る。
にアニール処理を施すか,或いは微粉と粗粉を別々にア
ニール処理してから混合する。このアニール処理によっ
て,微粉・粗粉製造時の粉砕の際に結晶粒子中に発生し
た歪みを除去することができる。アニール温度は800
〜1100℃が好ましい。800℃未満ではアニールの
効果が十分に達成されず,保磁力と飽和磁化が低くな
る。また1100℃を越えると焼結が進んで,圧縮密度
と配向性が低下する。
調整する。このPH調整には水洗や酸性物質による処理
等が採用できる。酸性物質としては,塩酸,硫酸,硝酸
等の無機酸が好ましい。カップリング剤等の有機物の表
面処理剤はフエライト粉末の表面に付着残留することに
よってその効果が発揮されるが,水洗および酸性物質に
よるPH調整後には,かようなカップリング剤の使用量
を減らすことができるため,ボンド磁石における磁粉の
含有率低下を抑えられる。本発明粉の場合,アニール後
の粉体PHは11以上となり,この状態ではバインダー
との親和性に問題があり,高充填での混練および成形が
困難になる。粉体PHを7〜10に調整するとバインダ
ーとの親和性が増し粘度が下がるため,混練時の負荷を
下げ,成形時の流動性を上げることができる。なおPH
値はJIS K−5101に規定の測定方法による。
5μm,比表面積が1.5〜4.0m2/g,粒度分布の
幾何標準偏差が1.8〜2.5,圧縮密度が3.40〜3.
60g/cm3 ,粉体PHが7〜10のマグネトプラン
バイト型フエライト粉末が得られる。ここで,平均粒子
径は空気透過法による比表面積測定装置で測定できる。
かような測定装置として例えば島津製作所製の商品名S
S−100型の装置がある。また,比表面積はBET法
によって測定したものを意味する。この比表面積測定装
置としては,例えばユアサアイオニクス株式会社製のモ
ノソーブが使用できる。
レート(MFR)が従来品のものにはない高い値を示す
という特質がある。その具体例は,後記実施例にも示す
が,従来品の水準を超えるフエライト量93重量%で測
定したメルトフローレートが7g/10min以上の高
流動を示す。ここで,MFRの値は,JIS K−72
10に規定の熱可塑性プラスチックの流れ試験方法に準
じてフエライト粉末と樹脂のコンパウンドの流動性を測
定したものを意味する。その具体的な試験例を以下に挙
げる。
流れ試験方法に準じてフエライト粉末と樹脂のコンパウ
ンドの流動性を評価するにあたり,フエライト粉末試料
を,次の条件で1次表面処理,乾燥,樹脂調合,2次表
面処理,乾燥,混練の工程を順次経たうえ,これをMF
R測定装置でメルトフローレートを測定する。
後記の実施例に記載した。本発明のフエライト粉はフエ
ライト93重量%で残部が樹脂のコンパウンドでも流動
性を示し,MFR値が7g/10min以上となるのに
対し,従来品はフエライト93重量%では全く流動性を
示さない。
粉は,これをフエライト93重量%以上となるように樹
脂系バインダーを用いて成形することによって(BH)
maxが2.5MGOe以上のフエライト系ボンド磁石
が得られる。この場合の成形密度は3.90g/cm3
以上である。
を具体的に示す。
うに秤量して混合し,これを水で造粒し,乾燥後,電気
炉中1000℃で2時間焼成した。この焼成品をハンマ
ーミル(商品名サンプルミル)で粉砕し,さらに湿式粉
砕機(商品名ウエットミル)で湿式粉砕し,平均粒子径
が0.43μmのストロンチウムフエライト微粉を得
た。
うに秤量して混合し,これを水で造粒し,乾燥後,電気
炉中1200℃で2時間焼成した。この焼成品をサンプ
ルミルで粉砕し,さらに該ウエットミルで湿式粉砕し
て,平均粒子径が1.61μmのストロンチウムフエラ
イト粗粉を得た。
秤量し,これを良く混合し,その混合粉を電気炉中95
0℃で1時間焼成(アニール)した。得られた焼成品を
20%の濃度になるように水中でリパルプ水洗した。こ
れを濾過,乾燥し,解砕して最終粉末として,次のスト
ロンチウムフエライト粉末を得た。 平均粒子径:1.27μm, 比表面積 :2.35m2/g, 粒度分布の幾何標準偏差:2.04, 圧縮密度 :3.44g/cm3 , 粉体PH :9.5
で攪拌しながらシラン系カップリング剤0.6部で表面
処理し,粉末状の12−ナイロン6.04部を混合し,
さらにオレイン酸0.36部を添加する。次いで, 混練
機で220℃で混練ペレット化した後,12KOeの磁
界中で射出成形し,直径15mm×高さ8mmの円柱状
異方性ボンド磁石を得た。この磁石をBHトレーサーで
測定したところ,最大エネルギー積(BH)max=
2.63MGOeの高磁力品であった。
流れ試験方法に準じてフエライト粉末と樹脂のコンパウ
ンドの流動性を評価する。フエライト粉末試料を本文に
記載したMFRの測定順序(1) 〜(7) に従って処理し,
前記(8) のMFR値を測定する。ここで,使用した処理
装置および樹脂は次のとおりである。
理に使用したハイスピードミキサーとして,深江工業株
式会社製の商品名FS−GC−5JDを使用した。この
ミキサーは缶体全容量が11リットルのインペラー型高
速攪拌装置であり,いずれの処理も周速:8m/se
c,処理時間:5分である。
製の連続混練押出式の型式:KCK70−22VEX
(6)を用いた。
は,東洋精機株式会社製の型式:C−5059D2を用
いた。この装置の構造はJIS−K7210に準ずるも
のである。
ッソ株式会社製のシラン系カップリング剤である。ま
た,樹脂混合工程で使用した樹脂は12−ナイロン樹脂
(比重1.02〜1.04)である。
値)を測定したところ,本例のMFR値は10.3g/
10minであった。
比率を変えた以外は,実施例1と同様にして混合フエラ
イト粉末およびボンド磁石を得た。得られたフエライト
粉末およびボンド磁石の特性を表1および表2に示し
た。また,各フエライト粉末のMFR値を表2に示し
た。表示のように,実施例2〜5のボンド磁石はいずれ
も(BH)maxが2.5MGOe以上の高磁力品であ
った。
比率を変えた以外は,実施例1と同様にして混合フエラ
イト粉末およびボンド磁石を得た。得られたフエライト
粉末およびボンド磁石の特性を表1および表2に,また
各フエライト粉末のMFR値を表2に示した。比較例1
は微粉の混合比率が低いもの,比較例2は微粉の混合比
率が高いもの,比較例3は微粉の平均粒子径が小さいも
の,そして比較例4は微粉の平均粒子径が大きいもので
ある。比較例3で得られたボンド磁石は(BH)max
が2.3MGOe台と低かった。また,比較例1,2お
よび4で得られたフエライト粉末のMFRは測定不可で
あり,これを射出成形したら流動性が悪いため成形機に
詰まり成形不可であった。
した以外は,実施例1と同様にして混合フエライト粉末
およびボンド磁石を得た。得られたフエライト粉末およ
びボンド磁石の特性を表3および表4に,また各フエラ
イト粉末のMFR値を表4に示した。表4に見られるよ
うに,実施例6〜8のボンド磁石はいずれも(BH)m
axが2.5MGOe以上の高磁力品であった。
した以外は,実施例1と同様にして混合フエライト粉末
およびボンド磁石を得た。得られたフエライト粉末およ
びボンド磁石の特性を表3および表4に,また各フエラ
イト粉末のMFR値を表4に示した。表示のように,比
較例5は粗粉の平均粒子径が小さいものであり,得られ
たフエライト粉末は成形不可であった。また,比較例6
は粗粉の平均粒子径が大きいものであるが,得られたボ
ンド磁石の(BH)maxは2.32MGOeであっ
た。
以外は,実施例1と同様にして混合フエライト粉および
ボンド磁石を得た。得られたフエライト粉末およびボン
ド磁石の特性を表5および表6に,また各フエライト粉
末のMFR値を表6に示した。表示のように,実施例9
〜10のボンド磁石は,いずれも(BH)maxが2.
5MGOe以上の高磁力品であった。
ル後のフエライト粉末について,次のように粉体PHを
調整した。すなわち,フエライト粉末が20%の濃度と
なるように水中でリパルプしたスラリーに,1%濃度の
希塩酸を滴下し,スラリーPHが6.0になるように調
整した。これを濾過,乾燥し,解砕して得られたフエラ
イト粉末およびこのフエライト粉末を用いて実施例1と
同様な方法で製造したボンド磁石の特性を表5および表
6に示した。フエライト粉末のPHは8.3であり,ボ
ンド磁石の(BH)maxは2.64MGOeの高磁力
品であった。
外は,実施例1と同様にして混合フエライト粉およびボ
ンド磁石を得た。得られたフエライト粉末およびボンド
磁石の特性を表5および表6に,また各フエライト粉末
のMFR値を表6に示した。比較例7はアニール温度が
低いもの,比較例8はアニール温度が高いものである。
表示のように比較例7のボンド磁石の(BH)maxは
2.31MGOeであった。また比較例8で得られたフ
エライト粉末は成形不可であった。
後のフエライト粉末について,次のように粉体PHを調
整した。フエライト粉末が20%の濃度となるように水
中でリパルプしたスラリーに,1%濃度の希塩酸を滴下
し,スラリーPHが4.0になるように調整した。これ
を濾過,乾燥し,解砕して得られた最終粉末の特性を表
5に示した。この粉体のPHは5.7であった。このフ
エライト粉末を用いて,実施例1と同様にボンド磁石の
製造を試みたが,バインダーとの混練物の流動性が悪い
ために,射出成形できなかった。またMFRの測定もで
きなかった。
ル後のフエライト粉末について,粉体PHの調整をしな
いで,実施例1と同様の方法でボンド磁石を製造するこ
とを試みたが,バインダーとの混練物の流動性が悪いた
めに射出成形できなかった。またMFRの測定もできな
かった。
アニールする代わりに,微粉と粗粉を混合する前に各々
別々に950℃で1時間アニールしてから混合した以外
は,実施例1と同様にして混合フエライト粉およびボン
ド磁石を得た。得られたフエライト粉末とボンド磁石の
特性を表7および表8に,またフエライト粉末のMFR
値を表8に示した。表示のように得られたボンド磁石の
(BH)maxは2.61MGOeの高磁力品であっ
た。
ロンチウムを炭酸バリウムに変えた以外は実施例1と同
様にして混合フエライト粉およびボンド磁石を得た(粗
粉の原料は実施例1と同じである)。得られたフエライ
ト粉末とボンド磁石の特性を表7および表8に,またフ
エライト粉末のMFR値を表8に示した。表示のよう
に,得られたボンド磁石の(BH)maxは2.59M
GOeの高磁力品であった。
うに秤量して混合し,これを水で造粒し,乾燥後,電気
炉中1100℃で2時間焼成した。この焼成品をサンプ
ルミルで粉砕し,さらに,ウエットミルで湿式粉砕し
て,平均粒子径が0.85μmのストロンチウムフエラ
イト粉末をえた。これを気流式遠心分級機で分級して,
平均粒子径0.41μmの微粉を得た。
て,平均粒子径2.10μmの粗粉を得た。
%)を秤量後,良く混合し,その混合粉を電気炉中95
0℃で1時間焼成(アニール)した。ついで,焼成品を
20%の濃度になるように水中でリパルプ水洗した。こ
れを濾過,乾燥し解砕して,最終粉末として,次のスト
ロンチウムフエライト粉末を得た。 平均粒子径:1.37μm, 比表面積:2.33m2/g, 粒度分布の幾何標準偏差:2.35, 圧縮密度:3.58g/cm3 , 粉体PH:9.7
てボンド磁石を製造した。表8に示したように,得られ
たボンド磁石の(BH)maxは2.67MGOeの高
磁力品であった。
エライト粉末93.5部,シランン系カップリング剤0.
6部,12−ナイロン5.54部,オレイン酸0.36部
に変更した以外は,実施例14と同様にボンド磁石を製
造した。表8に示したように,得られたボンド磁石の
(BH)maxは2.77MGOeの高磁力品であっ
た。
ト粉末は,従来のボンド磁石で達成されたことのない
(BH)maxが2.5MGOe以上のボンド磁石が得
られる特性を有する。したがって,AV,OA機器,自
動車電装部品等に使用される小型モーターや,複写機の
マグネットロール等の分野において従来のものにはない
高磁力のボンド磁石を提供することができる。
Claims (10)
- 【請求項1】 マグネトプランバイト型フエライトの粉
末であって,平均粒子径が0.9〜1.5μm,粒度分布
の幾何標準偏差σgが1.8〜2.5,1ton/cm2の圧
力で圧縮したときの圧縮密度が3.40g/cm3以上お
よびJIS K−5101で測定した粉体PHが7〜1
0であるボンド磁石用フエライト粉末。 - 【請求項2】 マグネトプランバイト型フエライトの粉
末であって,平均粒子径が0.9〜1.5μm,BET法
で測定した比表面積が1.5〜4.0m 2 /g,1ton/cm
2の圧力で圧縮したときの圧縮密度が3.40g/cm3
以上およびJIS K−5101で測定した粉体PHが
7〜10であるボンド磁石用フエライト粉末。 - 【請求項3】 マグネトプランバイト型フエライトの粉
末であって,平均粒子径が0.9〜1.5μm,1ton/c
m2の圧力で圧縮したときの圧縮密度が3.40g/cm
3以上,JIS K−5101で測定した粉体PHが7
〜10およびMFR測定法に従ってフエライト量93重
量%で測定したメルトフローレートが7g/10min
以上であるボンド磁石用フエライト粉末。 - 【請求項4】 平均粒子径0.9〜1.5μmは,平均粒
子径0.30〜0.50μmのマグネトプランバイト型フ
エライトの微粉15〜40重量%と,平均粒子径1.0
0〜2.50μmのマグネトプランバイト型フエライト
の粗粉残部とを混合して得られたものである請求項1,
2または3に記載のボンド磁石用フエライト粉末。 - 【請求項5】 粒度分布の幾何標準偏差σgが1.8〜
2.5である請求項2,3または4に記載のボンド磁石
用フエライト粉末。 - 【請求項6】 BET法で測定した比表面積が1.5〜
4.0m2/gである請求項1,3または4に記載のボン
ド磁石用フエライト粉末。 - 【請求項7】 平均粒子径が0.30〜0.50μmのマ
グネトプランバイト型フエライトの微粉と,平均粒子径
が1.00〜2.50μmのマグネトプランバイト型フエ
ライトの粗粉を準備する工程,前記の微粉15〜40重
量%と前記の粗粉残部とを混合する工程,およびこの混
合工程の前または後においてこれらの粉体を800〜1
100℃でアニールする工程からなる,平均粒子径が
0.9〜1.5μmで1ton/cm2の圧力で圧縮したとき
の圧縮密度が3.40g/cm3以上を示すボンド磁石用
フエライト粉末の製造方法。 - 【請求項8】 平均粒子径が0.30〜0.50μmのマ
グネトプランバイト型フエライトの微粉と,平均粒子径
が1.00〜2.50μmのマグネトプランバイト型フエ
ライトの粗粉を準備する工程,前記の微粉15〜40重
量%と前記の粗粉残部とを混合する工程,この混合工程
の前または後においてこれらの粉体を800〜1100
℃でアニールする工程,およびアニール工程後の粉体の
PHを7〜10に調整する工程からなる,平均粒子径が
0.9〜1.5μmで1ton/cm2の圧力で圧縮したときの
圧縮密度が3.40g/cm3以上を示すボンド磁石用フ
エライト粉末の製造方法。 - 【請求項9】 平均粒子径が0.9〜1.5μmのマグネ
トプランバイト型フエライトの粉末93重量%以上を樹
脂系バインダーを用いて成形してなる(BH)maxが
2.5MGOe以上のフエライト系ボンド磁石。 - 【請求項10】 平均粒子径が0.9〜1.5μmのマグ
ネトプランバイト型フエライトの粉末93重量%以上を
樹脂系バインダーを用いて成形密度3.90g/cm3以
上に成形してなる(BH)maxが2.5MGOe以上
のフエライト系ボンド磁石。
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