JPH0689699A - 熱的に改良された陽極を有する高圧放電ランプおよびその製造方法 - Google Patents

熱的に改良された陽極を有する高圧放電ランプおよびその製造方法

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JPH0689699A
JPH0689699A JP5154021A JP15402193A JPH0689699A JP H0689699 A JPH0689699 A JP H0689699A JP 5154021 A JP5154021 A JP 5154021A JP 15402193 A JP15402193 A JP 15402193A JP H0689699 A JPH0689699 A JP H0689699A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 熱的に改良された陽極、及び、斯かる陽極を
備えた高圧放電ランプを、より経済的に製造し得る方法
を提供する。 【構成】 高融点金属(W;Mo)製の陽極軸部320を用意
し、前記陽極軸部320の一部分に沿って高融点金属(W;M
o)製のスリーブ318bを配置してスリーブ・陽極軸部集合
体を形成し、次いで前記スリーブ・陽極軸部集合体の一
部分を下方に向けて保持しながら、前記部分を加熱して
前記スリーブ・陽極軸部集合体に由来する金属を融解
し、それにより前記陽極軸部および前記スリーブの両方
に一体接合された半球状の陽極端部318aを形成すること
により、陽極を製造する。陽極軸部320の末端部350が融
解されて上記陽極端部318aとなっても良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願は、1992年3月27日に
提出されかつ本発明の所有権者によって所有された、
「高輝度放電光源」と称するマシューズ(Mathews) 等の
同時係属米国特許出願第07/858906号と関連を
有している。本発明は、熱的に改良された陽極を有する
高圧放電ランプおよびかかるランプの製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】改良された構造を有する高圧放電ランプ
の開発に当っては、かかるランプの電極の熱設計が益々
重要となってきた。たとえば、キセノン−メタルハライ
ドランプの場合には、陽極および陰極の熱設計が特に重
要である。キセノン−メタルハライドランプは、発光を
促進する金属および金属ハロゲン化物と、比較的高い圧
力(たとえば室温で6気圧)のキセノンとから成る封入
物をアーク室内に含んでいる。このランプを比較的大き
い始動電流で点灯すると、キセノンはほとんど即座に励
起されて実質的な発光を生じる。60ワット型ランプの
場合、通例6アンペアの始動電流が約3秒間にわたって
持続する。その後、次の10秒間にわたって電流は次第
に減少し、そして(たとえば60ワット型ランプの場合
には)約1アンペアのかなり低い定常レベルに達する。
特に直流動作モードにおいては、大きい初期電流は陽極
の顕著な加熱をもたらすから、陽極は大きい熱容量を有
する必要がある。また、直流動作時には陰極からの電子
流を受ける結果、陽極はランプ動作に際して連続的に加
熱される。
【0003】更にまた、特にキセノン−メタルハライド
ランプが直立状態(すなわち、陰極が陽極の真上に位置
するような状態)で配置された場合には、ランプ動作に
際して溶融した金属ハロゲン化物プールがランプの内壁
の(陽極に近い)下方の1/3を覆うのが通例である。効
率的な熱管理のためには、金属ハロゲン化物プール中に
熱が容易に放射され、金属ハロゲン化物の蒸気圧が上昇
し、それによって光出力が増大するように陽極を設計す
る必要がある。また、陽極を支持する軸部を通って熱が
失われるのを防止するためには、陽極軸部の直径はでき
るだけ小さくすればよい。
【0004】キセノン−メタルハライドランプの陽極の
熱管理を達成するための従来の方法は、陰極よりもかな
り大きい質量を有するように陽極を形成すると共に、
(たとえば放電加工により)高融点金属から成る単一の
比較的大きい加工物から陽極を機械加工するというもの
であった。このように単一の加工物を機械加工すれば、
小径の陽極軸部を有する比較的大きい陽極チップを形成
し、それによって陽極軸部を通しての熱の流れを最小限
に抑えることができる。更にまた、機械加工操作に際し
て陽極チップの外面に表面組織を付与し、それによって
金属ハロゲン化物プール中に熱を放射させるために利用
可能な陽極の表面積を増大させることもできる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のごとくにして単
一の加工物から陽極を機械加工する方法の欠点は、機械
加工操作が多大の時間および費用を要するということで
ある。それ故、熱的に改良された陽極を有する高圧放電
ランプを製造するためのより経済的な方法が得られれば
望ましいわけである。
【0006】本発明の目的の1つは、熱的に改良された
陽極を有する高圧放電ランプおよびかかるランプのより
経済的な製造方法を提供することにある。本発明のもう
1つの目的は、通常の製造設備を用いて熱的に改良され
た陽極を製造し得るような上記のごときランプおよび方
法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の一側面に従え
ば、熱的に改良された陽極を有する高圧放電ランプが提
供される。かかるランプは、発光を容易にするための封
入物を含有する気密封止されたアーク室を内部に有する
耐熱性のアーク管を含んでいる。アーク室内には、陽極
および陰極が互いに離隔した状態で設置されている。か
かる陽極は、(1)高融点金属製の陽極軸部、(2) 陽極軸
部の一部分上に配置された高融点金属製の円筒形スリー
ブ、並びに(3) 実質的に中実の高融点金属塊状体から成
り、陽極軸部およびスリーブの両方に一体接合され、か
つ陰極に近接して対面する陽極端部から構成されてい
る。なお、上記の陽極端部は陰極に対面する概して半球
状の形状を有することが好ましい。また、上記のスリー
ブは螺旋状に巻かれた高融点金属線から形成された少な
くとも1つの巻線層から成ることが好ましい。
【0008】上記のごときランプは、「従来の技術」中
に記載された基準に従って熱的に改良された陽極を有し
ている。本発明の別の側面に従えば、熱的に改良された
陽極を有する高圧放電ランプの製造方法が提供される。
かかる方法に従えば、先ず最初に、互いに離隔した状態
で設置すべき陰極および陽極が用意される。陽極を形成
するためには、高融点金属から成る陽極軸部およびスリ
ーブを用意し、そして陽極軸部の一部分に沿ってスリー
ブを配置することによってスリーブ・陽極軸部集合体が
形成される。かかるスリーブ・陽極軸部集合体の一部分
を下方に向けて保持しながら、該部分を加熱してスリー
ブ・陽極軸部集合体に由来する金属を融解することによ
り、陽極軸部およびスリーブの両方に一体接合された陽
極端部が形成される。かかる加熱工程は、スリーブ・陽
極軸部集合体の上記部分を加熱して該集合体に由来する
金属から概して半球状の陽極端部を形成するように実施
されることが好ましい。なお、上記のスリーブは螺旋状
に巻かれた高融点金属線から形成された少なくとも1つ
の巻線層から成ることが好ましい。次いで、気密封止さ
れたアーク室を内部に有する耐熱性のアーク管が用意さ
れ、そしてアーク室内に陽極および陰極が互いに離隔し
た状態で設置される。その後、発光を容易にするための
封入物がアーク室内に配置される。
【0009】上記のごとき方法は、「従来の技術」中に
記載された基準に従って熱的に改良された陽極を通常の
設備によって経済的に形成することを可能にする。本発
明の追加の目的および利点は、添付の図面を参照しなが
ら以下の説明を考察することによって自ずから明らかと
なろう。
【0010】
【実施例】図1には、本発明の原理を利用し得る高圧放
電ランプ10が略示されている。このランプ10は、融
解石英のごとき透明な耐熱材料から成りかつアーク室1
4を有するアーク管12を含んでいる。アーク室14の
内部には、タングステン、モリブデンまたはそれらの合
金のごとき高融点金属から共に成る陰極16および陽極
18が配置されている。なお、上記の高融点金属はたと
えば1〜3%のトリア(thoria)のごとき添加剤を含有す
ることがある。また、陰極16と陽極18との間に生じ
たアーク(図示せず)によって加熱された場合における
発光を容易にするため、アーク室14は適当な封入物を
含んでいる。
【0011】高圧キセノン−メタルハライドランプの場
合、典型的な封入物は水銀、金属ハロゲン化物、および
比較的高い圧力(たとえば室温で6気圧)のキセノンか
ら成っている。それに対し、高圧水銀ランプ用の典型的
な封入物は水銀および不活性封入ガスから成っている。
また、高圧ナトリウムランプ用の典型的な封入物はナト
リウム、不活性封入ガス、および(場合によっては)水
銀とナトリウムとのアマルガムから成っている。
【0012】図1のランプ10においては、陰極16は
金属箔(通例はモリブデン箔)21によって通常の外部
リード線22に接続されている。同様に、陽極18は金
属箔26によって通常の外部リード線28に接続されて
いる。なお、陽極18は後には「陽極チップ」と呼ばれ
る。図1中の「+」および「−」符号はランプ10に直
流が供給されることを表わしているが、陽極および陰極
が同等なものであれば、ランプ10を交流で動作させる
こともできる。図示されてはいないが、アーク管12内
における陰極16および陽極18の軸方向整列を容易に
するため、アーク管12のネック部31および32にお
いて陰極16および陽極軸部20が巻線で包囲されるこ
ともある。このような構造は、本発明の場合と同じ譲受
人に譲渡された米国特許第4968916号明細書中に
開示されている。
【0013】ランプ10は、図示のごとく、陰極16が
陽極18の真上に位置するような直立状態で動作させる
ことができる。とは言え、ランプ10は図示された状態
から回転させることもできる。たとえば、陰極16およ
び陽極18が同じ鉛直方向高さを示すようにランプ10
を回転させることができる。更にまた、陰極16および
陽極18の両方にランプ10の一端から電力が供給され
るようにランプ10を構成することもできる。すなわ
ち、陰極16および陽極18にそれぞれ接続された外部
リード線22および28が同じ側からランプ10の内部
に伸びるようにランプ10を構成することもできるので
ある。
【0014】次に、先行技術を示す図2(A)および2
(B)を参照しながら、陽極チップ18およびそれを支
持する陽極軸部20の熱設計に関する要求条件を説明し
よう。図2(A)および2(B)中には、陽極チップ2
18およびそれを支持する陽極軸部220が示されてい
る。陽極チップ218および陽極軸部220はいずれ
も、陰極16および陽極18に関連して上記に記載され
たような高融点金属から成っている。陽極チップ218
は、陰極(図示せず)に近接しながら対面する概して半
球状の陽極端部218aと、陽極端部218aを支持す
る円柱状の陽極本体218bとを含んでいる。また、陽
極本体218bは陽極軸部220によって支持されてい
る。
【0015】従来の陽極チップ218および陽極軸部2
20は、上記のごときラピッドオンモードでランプを動
作させた場合に3つの主要な熱設計基準を満たすように
構成されている。第1の基準としては、初期の大きい始
動電流のために陽極に加わる大きい熱負荷に耐えるよう
にするため、陽極218は大きい熱容量を有することが
必要である。かかる大きい熱容量は、約120ミル(3
mm)の長さにわたって約52ミル(1.3mm)の直径D
1 を有するように陽極チップ218を形成することによ
って達成することができる。
【0016】図1に示されるごとく直立状態で配置され
たキセノン−メタルハライドランプ10においては、ア
ーク室14の内壁の(陽極に近い)下方の1/3 が金属ハ
ロゲン化物プール(図示せず)によって覆われるのが通
例である。ランプの効率を向上させるためには、周囲の
金属ハロゲン化物の蒸気圧を上昇させることにより、ラ
ンプの動作に際して発生する熱を外界に放散するように
陽極チップ218(図2(A))を形成すればよい。図
2(B)には、陽極端部218a上に生じたアーク(図
示せず)から発生しかつ軸方向に沿って陽極本体218
bに移行する熱の流れを点線で表わす熱流路240が示
されている。かかる熱は主として半径方向に沿って外方
に流れて陽極本体218bの表面に達し、次いで主とし
て放射によって放散されると共に、ガスへの伝導および
対流によっても放散される。かかる第2の熱設計基準
は、図2(A)に示された従来の陽極においては、点描
によって示されるごとく陽極本体218bの外面に表面
組織を付与して伝熱のために利用可能な表面積を増大さ
せることによって達成される。
【0017】第3の熱設計基準は、陽極軸部220に沿
って下方に流れ、従って周囲の金属ハロゲン化物プール
に伝達されることのない熱の量を最少限に抑えることで
ある。これは、陽極本体218bの直径D1 が52ミル
(1.3mm)であるのに対し、陽極軸部220の直径D
2 をたとえば16ミル(0.4mm)に縮小することによ
って達成される。
【0018】また、陽極端部218aを概して半球状に
形成することも望ましい。陽極端部218aからとがっ
た部分が排除される結果、半球状の陽極端部218aは
陽極218の浸食を抑制し、従って多くの場合において
決定的な設計パラメーターである陽極218と対応する
陰極とのギャップをより一定に保つために役立つことが
判明している。更にまた、図2(A)に示された従来の
陽極は表面254が露出するように材料を除去すること
によっても改良し得ることが判明している。こうして得
られるテーパー付きの陽極本体を使用すれば、陽極本体
と周囲のアーク管との間により一様な間隔が得られる結
果、陽極本体の後面256のかど部によるアーク室の内
壁の過熱が回避されると共に、溶融した金属ハロゲン化
物のより一様な加熱が達成されることになる。
【0019】図2(A)に示された従来の陽極は上記の
ごとき熱設計基準を十分に満たすけれども、かかる陽極
は時間(従って費用)のかかる機械加工操作(たとえば
放電加工操作)によって製造されるのが通例である。本
発明の重要な目的は、上記のごとき熱設計基準を満たす
陽極を有する高圧放電ランプのより経済的な製造方法を
提供することにある。
【0020】図3には、適当な陽極をより経済的に製造
するための最初の(失敗に終った)試みを説明するため
の溶接方法が示されている。図示のごとく、通例16ミ
ル(0.4mm)の直径を有する高融点金属製の陽極軸部
320がプラズマ溶接機のクランプ330によって所定
の位置に保持されている。かかる溶接機はノズル332
を含んでいて、それを通してアルゴンのごとき不活性ガ
スが(矢印334によって示されるごとく)陽極軸部3
20上に吹付けられる。かかる不活性ガスは陽極軸部3
20の酸化を防止するために役立つ。導線338および
340を通して陽極軸部320および溶接機の電極34
2にそれぞれ供給される電流が溶接機制御装置336に
よって適宜に調節される結果、陽極軸部320の下部が
融解される。
【0021】図3の試みにおいて認められた第1の困難
は、融解によって形成された陽極チップ318’の直径
が陽極軸部320の直径の約2倍にしか達しなかったこ
とである。それ故、直径50ミル(1.25mm)の陽極
チップ318’を形成するためには直径25ミル(0.
63mm)の陽極軸部320が必要であった。しかしなが
ら、陽極軸部320の直径をこのように大きくすること
は、陽極チップ318’から陽極軸部320を通って流
れ去る熱の量を増加させるので望ましくない。第二に、
特に陽極チップ318’の直径が陽極軸部320の直径
の2倍に近づいた場合、陽極軸部320に対して陽極チ
ップ318’を確実に整列させることが非常に困難であ
ることが判明した。この場合、陽極チップ318’は3
44に示されるごとく左方に片寄っているために望まし
くない。更にまた、陽極チップ318’の熱容量および
外表面積は細長い円柱状の陽極チップ218の場合ほど
大きくない。
【0022】図4(A)には、図3の場合と同じプラズ
マ溶接機を使用しながら本発明に従って陽極を製造する
ための溶接方法が示されている。図示された方法におい
ては、先ず最初に、高融点金属から成る概して円筒形の
スリーブ318bが陽極軸部320上に適宜に固定され
る。これは、たとえば、スリーブ318bと陽極軸部3
20との間に電流を流す電気抵抗溶接によって達成する
ことができる。スリーブ318bはまた、機械的けん縮
(crimping)または機械的滑り嵌め(mechanicalsnug fit)
によって陽極軸部320上に固定することもできる。
とは言え、スリーブ318bは陽極軸部320に対して
直接に固定されている必要はないのであって、図4
(A)の溶接方法の実施に際して適当な保持具により所
定の位置に保持することもできる。図示された方法にお
いては、陽極軸部320の末端部分350が融解されて
球状となり、そして好ましくはスリーブ(以後は「陽極
本体」と呼ぶことがある)318bと実質的に同じ直径
を有する(点線で示された)概して半球状の陽極端部3
18aを形成する。図4(A)の溶接方法によれば、陽
極端部318aは陽極本体318bおよび陽極軸部32
0と確実に整列することが判明した。
【0023】図4(B)について説明すれば、6アンペ
アの始動電流を使用する60ワット型のキセノン−メタ
ルハライドランプ用の陽極チップ318および陽極軸部
320は次のような寸法を有するのが通例である。陽極
軸部320は15mmの長さL10および16ミル(0.4
mm)の直径D10を有していればよいが、直径D10はたと
えば約10〜20ミル(0.25〜0.5mm)の範囲内
で変化し得る。スリーブ318bは約52ミル(1.3
mm)の直径D12を有していればよいが、直径D12もたと
えば約40〜60ミル(1〜1.5mm)の範囲内で変化
し得る。スリーブ318bの長さL12は約93ミル
(2.35mm)であればよいが、それもたとえば約80
〜160ミル(2〜4mm)の範囲内で変化し得る。陽極
軸部320の直径D10が16ミル(0.4mm)でありか
つスリーブ318bの直径D12が52ミル(1.3mm)
である場合には、末端部分350の長さL14は約4.7
mmであればよい。とは言え、長さL14はたとえば約0〜
20ミルの範囲内で変化し得る。概して半球状の陽極端
部318aの長さL16は陽極本体318bの直径D12の
約1/2 であればよい。とは言え、長さL16は質量を増大
させるためにより長くてもよいし、あるいは陽極本体3
18bに対する陽極端部318aの整列状態を向上させ
るためにより短くてもよい。
【0024】6アンペアの始動電流を使用する60ワッ
ト型のキセノン−メタルハライドランプ以外のランプに
おいては、当然のことながら、上記に記載されたものと
は異なる寸法が使用されることがある。更にまた、図4
(A)に示された溶接方法は単に例示を目的としたもの
に過ぎない。たとえば、溶接に際し融解されて陽極端部
318aを形成する金属は主として図4(A)に示され
た末端部分350に由来する必要はない。たとえば、か
かる金属は主としてスリーブ318bに由来するもので
あってもよいし、あるいはスリーブ318bおよび末端
部分350の両方に由来するものであってもよいのであ
る。
【0025】陽極端部318a、陽極本体318bおよ
び陽極軸部320を構成する典型的な高融点金属は、陰
極16および陽極18に関連して上記に記載されたもの
と同じである。図5には、図4(A)の溶接方法によっ
て製造された陽極が示されている。図示のごとく、陽極
端部318aは350の位置において陽極本体318b
および陽極軸部320の両方に一体接合されており、そ
れによって陽極端部318aから陽極本体318bへの
良好な熱流路352が得られることになる。所望なら
ば、隣接するアーク管との間隔をより一様にするため、
図4(A)の溶接方法を実施するのに先立って傾斜面3
54を露出させるように陽極本体318bを成形するこ
とが好ましい。これは、陽極本体318bの後面355
のかど部によるアーク室の内壁の過熱を回避するために
役立つと共に、溶融した金属ハロゲン化物のより一様な
加熱を達成するためにも役立つ。
【0026】図5の陽極においては、概して円柱状の陽
極本体318bが比較的大きい質量を有する結果として
大きい熱容量が得られると共に、陽極軸部320を通し
ての熱損失が最少限に抑えられる。なお、陽極本体31
8bが通例52ミル(1.3mm)の直径を有するのに対
し、陽極軸部320は16ミル(0.4mm)以下の直径
を有することが望ましい。図5には示されていないが、
熱放射のために利用可能な表面積を増大させるため、陽
極本体218bの外面356には表面組織が付与されて
いることが好ましい。
【0027】図4(A)に示された概して円筒形のスリ
ーブ318bは、高融点金属製の円筒管から形成するこ
とができる。かかるスリーブ318bはまた、通常のマ
ンドレル(図示せず)の回りに高融点金属線を巻付け、
次いでその巻線層600(図6(A))を陽極軸部32
0上に配置して固定することによって形成することもで
きる。一般に、かかる高融点金属線の直径は陽極軸部3
20の直径を越えることがない。たとえば、6アンペア
の始動電流を使用する60ワット型のキセノン−メタル
ハライドランプの場合、高融点金属線は9ミル(0.2
3mm)の直径を有すればよい。とは言え、かかる直径は
たとえば約5〜12ミル(0.13〜0.3mm)の範囲
内で変化し得る。巻線層600が延性を有する場合に
は、陽極軸部320より僅かに小さい直径を有するよう
に巻線層600を形成し、そして機械的滑り嵌め(snug
fit)によって陽極軸部320上に固定することができ
る。また、電気抵抗溶接によって巻線層600を陽極軸
部320上に固定することもできるし、あるいは図4
(A)の溶接方法を実施するために適したその他の手段
によって陽極軸部320上に保持することもできる。更
にまた、スリーブ318bの直径を(点線で示された)
陽極端部318aの所望の直径にまで増大させるため、
図6(B)に示されるごとくに第2の巻線層602を追
加することもできる。かかる巻線層602もまた、通常
のマンドレル上に巻付けられた直径9ミル(0.22m
m)の高融点金属線から形成されていればよい。次い
で、巻線層602は巻線層600上に配置され、そして
(たとえば電気抵抗溶接により)巻線層600上に固定
されるか、あるいは図4(A)の溶接方法を実施するた
めに適したその他の手段によって陽極軸部320上に保
持される。図6(B)に示されるごとく、巻線層602
の使用は外面604の面積を増大させる。これは、上記
のごとき熱設計基準の1つである外面からの熱放射を促
進するために役立つ。なお、外面604の面積を一層増
大させるため、巻線層602上に1つ以上の追加の巻線
層(図示せず)を順次に配置することもできる。
【0028】内部巻線層600および外部巻線層602
の下端部は、いずれもが陽極端部318aに一体接合さ
れるようにするため、図6(B)に示されるごとく同じ
位置にあることが好ましい。それに対し、内部巻線層6
00はいずれの方向から見ても外部巻線層602より上
方にまで伸びている。その結果、図5中の傾斜面354
によって略示されるようなテーパー付きの形状が得られ
ることになる。なお、図4(B)に示された陽極本体3
18bの長さL12は内部巻線層600の長さに相当して
いる。
【0029】図6(B)に示されるごとくに2つの独立
した巻線層600および602を使用する場合にはそれ
らの上端610および612を処理することが必要とな
るが、それは回避することが望ましい。かかる上端の処
理を回避するためには、図7(A)に示されるごとく、
1本の連続した高融点金属線を用いて内部巻線層700
および外部巻線層702を形成すればよい。かかる目的
のためには、先ず最初に高融点金属線を下端から上方に
向かって巻くことによって内部巻線層700を形成し、
次いでその上に外部巻線層702を巻けばよい。このよ
うにすれば、巻線層700および702の下端は図4
(A)の溶接方法に際して融解され、そして陽極端部3
18a中に融合するので有利である。図6(B)の場合
と同じく、内部巻線層700はいずれの方角から見ても
外部巻線層702より上方にまで伸びていることが望ま
しい。そうすれば、図5中の傾斜面354によって略示
されるようなテーパー付きの形状が得られることになる
図7(B)には、同じ回転方向(すなわち、上方から見
て時計回りの方向)に巻かれた互いに独立の巻線層70
0’および702’から成るスリーブ318bの改良例
が示されている。両方の巻線層が同じ回転方向に巻かれ
ている結果、内部巻線層700’を陽極軸部320上に
予め固定した後、外部巻線層702’を内部巻線層70
0’上にねじ込むことができる。次いで、機械的滑り嵌
めまたは電気抵抗溶接によって外部巻線層702’を内
部巻線層700’に固定することができるし、あるいは
図4(A)の溶接方法を実施するために適したその他の
手段によって保持することもできる。図7(B)に示さ
れた概して円筒形のスリーブ318bは、720として
示された断面からわかる通り、内部巻線層700’およ
び外部巻線層702’が最密充填状態にある点で有利で
ある。かかる最密充填状態は所定直径のスリーブ318
bの熱容量を増大させると共に、内部巻線層から外部巻
線層への熱伝導を向上させる。なお、図6(B)および
図7(A)の場合と同じく、内部巻線層700’はいず
れの方角から見ても外部巻線層702’より上方にまで
伸びていることが好ましい。
【0030】図7(B)はまた、図6(B)に示された
内部巻線層600および外部巻線層602のそれぞれの
上端610および612の切断方法とは異なり、内部巻
線層700’および外部巻線層702’のそれぞれの上
端がいずれの方角から見ても水平面内において切断され
ていることを示している。このようにすれば、図7
(B)に示された巻線層の上端を処理する必要性が排除
される。巻線層の上端を水平面内において切断するため
には、図6(B)に示された上端610および612の
場合のように(たとえば)水素中において巻線層を加熱
してからそれらの上端を切断するのとは異なり、研摩に
よって巻線層の上端を切断すればよい。
【0031】図7(C)には、内部巻線層700”を構
成する高融点金属線が外部巻線層702”を構成する高
融点金属線よりも大きい直径を有するような別の改良例
が示されている。730として示された断面からわかる
通り、これは円筒形のスリーブ318bからの伝熱のた
めに利用可能な表面積を増大させるので有利である。図
7(D)は、図7(C)の断面730に類似した断面7
50を示している。この場合には、図7(C)の場合と
は逆に、内部巻線層700´´´ が外部巻線層702
´´´ よりも直径の小さい高融点金属線で形成されて
いる。その結果、内部巻線層700´´´ を構成する
巻線同士は互いに離隔して空隙752を生じる。それ
故、かかる空隙752は陽極18からの電子放出を容易
にする電子放出促進物質を含有し得るので有利である。
かかる電子放出促進物質としては、高圧ナトリウムラン
プ(HPSランプ)において常用されているBa2 Ca
WO6 を使用すればよい。なお、かかる電子放出促進物
質は外部巻線層702´´´ によって所定の位置に保
持される。
【0032】上記の説明に基づけば、図4(A)の溶接
方法において使用される高融点金属製のスリーブ318
bを形成するために役立つその他の方法は当業者にとっ
て自ずから明らかとなろう。たとえば、ただ1つの巻線
層からスリーブ318bを形成することもできるし、あ
るいは上記のごとく2つ以上の巻線層からスリーブ31
8bを形成することもできる。
【0033】図4(B)に関連して上記に記載された特
定の寸法を使用しながら、前述のごとき米国特許出願第
07/858906号明細書中に開示された構造を有す
る複数のキセノン−メタルハライドランプが製造され
た。この場合に使用した陽極は図6および図7に示され
たような構造を有するものであり、また陰極は陽極に近
接して対面する端部が拡大された棒材から成っていた。
たとえば光出力およびそれに関連した色温度について見
た場合、かかるランプは図2(A)に示された従来の陽
極を使用したキセノン−メタルハライドランプと同等の
性能を示した。
【0034】以上、熱的に改良された陽極を有する高圧
放電ランプおよびかかるランプの経済的な製造方法が記
載された。特定の実施の態様に関連して本発明を詳しく
説明したが、それ以外にも数多くの変更態様が可能であ
ることは当業者にとって自明であろう。それ故、本発明
の精神および範囲から逸脱しない限り、前記特許請求の
範囲はかかる変更態様の全てを包括するものと理解すべ
きである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って熱的に改良された陽極を組込ん
だ高圧放電ランプの略図である。
【図2】(A)は先行技術に係る、熱的に改良された陽
極の略図であり、また(B)は(A)の陽極中における
熱流路を示す略図である。
【図3】高圧放電ランプ用の熱的に改良された陽極を製
造する際の困難を説明するために役立つ溶接方法の略図
である。
【図4】(A)は、図3と類似してはいるが、熱的に改
良された陽極を製造するために適した溶接方法を示す略
図であり、また、(B)は、(A)の溶接方法を受ける
陽極軸部上に取付けられた金属スリーブの寸法を示す略
図である。
【図5】本発明に従って製造された陽極中における熱流
路を示す略図である。
【図6】(A)および(B)は,図4(A)の溶接方法
を受ける金属スリーブを形成するための相次ぐ工程を示
す略図である。
【図7】(A),(B),(C),(D)は、図4
(A)の溶接方法において使用される金属スリーブの様
々な具体例を示す略図である。
【符号の説明】
10 高圧放電ランプ 12 アーク管 14 アーク室 16 陰極 18 陽極 20 陽極軸部 21 金属箔 22 外部リード線 26 金属箔 28 外部リード線 318 陽極チップ 318a 陽極端部 318b スリーブまたは陽極本体 320 陽極軸部 350 末端部分 354 傾斜面 600 巻線層または内部巻線層 602 外部巻線層 610 上端 612 上端 700 内部巻線層 702 外部巻線層 752 空隙
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ロッコ・トーマス・ジョーダノ アメリカ合衆国、オハイオ州、ガーフィー ルド・ハイツ、ウィラード・アベニュー、 13004番 (72)発明者 ゲイリー・ロバート・アレン アメリカ合衆国、オハイオ州、チェスター ランド、ウッドランズ・トレイル、7745番 (72)発明者 ティモシー・ピーター・デバー アメリカ合衆国、オハイオ州、フェアビュ ー・パーク、エレン・ドライブ、21221番 (72)発明者 ヴィクター・カロリイ・バーガ ハンガリー、エイチ−1028、ブタペスト、 ネドゥ・ユー、17番 (72)発明者 ジェフリィ・ドナルド・ジョンソン アメリカ合衆国、オハイオ州、メントー ル、ジャクソン・ストリート、9161番

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) 気密封止されたアーク室を内部に有
    する耐熱性のアーク管、 (b) 発光を容易にするため前記アーク室内に配置された
    封入物、並びに (c) 互いに離隔した状態で前記アーク室内に設置された
    陽極および陰極、の諸要素から成る高圧放電ランプであ
    って、 (d) 前記陽極が、(i) 高融点金属製の陽極軸部、(ii)前
    記陽極軸部の一部分上に配置された高融点金属製の円筒
    形スリーブ、並びに(iii) 実質的に中実の高融点金属塊
    状体から成る陽極端部であって、前記陽極軸部および前
    記スリーブの両方に一体接合され、かつ前記陰極に近接
    して対面する陽極端部、から構成されている、ことを特
    徴とする高圧放電ランプ。
  2. 【請求項2】 前記スリーブが螺旋状に巻かれた高融点
    金属線から形成された内部巻線層および外部巻線層から
    成る請求項1記載のランプ。
  3. 【請求項3】 前記内部巻線層および前記外部巻線層が
    1本の連続した高融点金属線から形成され、かつ前記高
    融点金属線の両端が前記陽極端部に一体接合されている
    と共に、前記陽極端部が前記陰極に対面する概して半球
    状の形状を有する請求項2記載のランプ。
  4. 【請求項4】 (a) 前記内部巻線層および前記外部巻線
    層が同じ回転方向に巻かれた2本の高融点金属線からそ
    れぞれ形成され、かつ (b) 前記内部巻線層および前記外部巻線層の直径は前記
    外部巻線層の各巻線が全周にわたって前記内部巻線層の
    1対の隣接した巻線に接触しながら嵌合するように選定
    され、それによって熱容量の大きい陽極が得られる、請
    求項2記載のランプ。
  5. 【請求項5】 前記内部巻線層の一部分が前記陽極端部
    と反対側のスリーブ末端において露出している結果、前
    記スリーブは前記スリーブ末端にテーパーの付いた形状
    を有する、請求項4記載のランプ。
  6. 【請求項6】 前記内部巻線層が前記外部巻線層よりも
    直径の大きい高融点金属線から形成される結果、熱放射
    のために利用可能な前記スリーブの表面積が増大する、
    請求項4記載のランプ。
  7. 【請求項7】 (a) 前記内部巻線層および前記外部巻線
    層が同じ回転方向に巻かれた2本の高融点金属線からそ
    れぞれ形成され、 (b) 前記内部巻線層および前記外部巻線層の直径は前記
    外部巻線層の各巻線が全周にわたって前記内部巻線層の
    1対の隣接した巻線に接触しながら嵌合するように選定
    され、それによって熱容量の大きい陽極が得られ、 (c) 前記内部巻線層が前記外部巻線層よりも直径の小さ
    い高融点金属線から形成される結果、前記内部巻線層の
    巻線同士が互いに離隔して空隙を生じ、 (d) 前記空隙内に電子放出促進物質が配置されかつ前記
    外部巻線層によって保持される、請求項2記載のラン
    プ。
  8. 【請求項8】 (a) 陰極を用意し、 (b)(i)高融点金属製の陽極軸部を用意し、(ii)前記陽極
    軸部の一部分に沿って高融点金属製のスリーブを配置し
    てスリーブ・陽極軸部集合体を形成し、次いで(iii) 前
    記スリーブ・陽極軸部集合体の一部分を下方に向けて保
    持しながら、前記部分を加熱して前記スリーブ・陽極軸
    部集合体に由来する金属を融解し、それにより前記陽極
    軸部および前記スリーブの両方に一体接合された陽極端
    部を形成することによって陽極を用意し、 (c) 気密封止されたアーク室を内部に有する耐熱性のア
    ーク管を用意して前記アーク室内に前記陽極および前記
    陰極を互いに離隔した状態で設置し、次いで (d) 発光を容易にするための封入物を前記アーク室内に
    配置する、諸工程から成ることを特徴とする高圧放電ラ
    ンプの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記スリーブ・陽極軸部集合体の一部分
    を加熱する前記工程が、前記部分を加熱して前記スリー
    ブ・陽極軸部集合体に由来する金属から概して半球状の
    陽極端部を形成するように実施される請求項8記載の方
    法。
  10. 【請求項10】 前記スリーブが1本の連続した高融点
    金属線から形成された内部巻線層および外部巻線層から
    成り、前記内部巻線層は一回転方向に巻かれ、前記外部
    巻線層は前記内部巻線層上において反対の回転方向に巻
    かれ、かつ前記高融点金属線の両端は前記加熱工程に際
    して下方に配置される結果、前記両端は融解されて前記
    陽極端部に一体接合される、請求項8記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記スリーブが高融点金属線から形成
    された内部巻線層および外部巻線層から成り、前記内部
    巻線層は高融点金属線を所定の回転方向に巻くことによ
    り形成されて前記陽極軸部に固定され、前記外部巻線層
    は別の高融点金属線をやはり前記所定の回転方向に巻く
    ことによって形成され、かつ前記外部巻線層の直径は前
    記外部巻線層の各巻線が全周にわたって前記内部巻線層
    の1対の隣接した巻線に接触しながら嵌合するように選
    定される結果、熱容量の大きい陽極が得られる請求項8
    記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記内部巻線層が前記外部巻線層より
    も直径の小さい高融点金属線から形成される結果、前記
    内部巻線層の巻線同士が互いに離隔して空隙を生じ、そ
    して前記空隙内に電子放出促進物質が配置されかつ前記
    外部巻線層によって保持される請求項11記載の方法。
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