JPH068770B2 - 建物側壁のスラブ連結型耐震試験装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、建物側壁の耐震性能の資料を得るための試験
装置に関するものである。

〔従来の技術〕

建物側壁の性能試験装置として、実開昭59-77045号公報
に開示されたものがある。

即ち、少なくとも１つの角部を有し、固定された多角形
状主体フレームの上端から外方へ支持部材を突設し、該
支持部材から下方へ柱を垂設するとともに、柱に横方向
のスラブを取付けてなる建物側壁の性能試験装置であ
る。

ここで、被試験体である建物側壁をスラブに取付け、柱
及びスラブが形成する側壁取付け面を振動させることに
よって、耐震性能の試験を行うものであった。

〔発明が解決しようとする課題〕

この建物側壁の性能試験装置にあっては、下方へ垂設さ
れた柱は、主体フレームの上端に設けられた支持部材に
ピンによって軸着されており、柱の下部またはスラブの
最下層を油圧シリンダ等によって揺動して耐震試験を行
う。

ここで、被試験体の重量が大きいために反力も大きく、
この反力を支えるために油圧シリンダのロッド径を大き
くしなければならず、また、使用する油圧力も大きくす
る必要があった。

また、最下層のスラブにおける変位量は、階層数に応じ
て大きくなるので、シリンダストロークが大きくなっ
て、装置全体が大型化し、また大きな加力が必要となる
ものである。

そして、各スラブは、柱の変位方向に対応して全てが同
一方向にのみ振動変位し、例えば上段のスラブを右方向
へ変位させ、下段のスラブを左方向に変位させることは
不可能であった。

そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとする
ところは、各スラブを独立して振動させることにより従
来は不可能であった異なる振動方向の組み合わせを実現
するとともに、各スラブを安定に変位させることが可能
な建物側壁のスラブ連結型耐震試験装置を提供する点に
ある。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は、上記問題点に鑑みて、略直方体形状の枠体で
なる主体フレームと、上下方向に離間して配され、少な
くとも前面に被試験体取付面を構成する複数の可動スラ
ブと、上段の可動スラブと下段の可動スラブとをピン着
によってそれぞれ平行リンク連結する複数対の支柱と、
前記主体フレームに固定され、前記可動スラブを独立し
て前記ピンの軸方向と直交する方向に振動させる油圧振
動手段と、よりなる建物側壁のスラブ連結型耐震試験装
置を構成した。

また、略直方体形状の枠体でなる主体フレームと、上下
方向に離間して且つ水平方向に複数配され、少なくとも
前面に被試験体取付面を構成する可動スラブと、水平方
向の複数の可動スラブを直線状に互いに連結するユニバ
ーサルジョイントであって、上下方向に位置する該ジョ
イント間を連結する複数の支柱と、前記主体フレームと
ユニバーサルジョイント間に取付けられ、前記可動スラ
ブを水平方向に独立して振動させる油圧振動手段と、よ
りなる建物側壁のスラブ連結型耐震試験装置を構成し
た。

〔作用〕

本発明に係る建物側壁のスラブ連結型耐震試験装置は、
上述のような構成からなり、上下方向に離間した配した
複数のスラブを複数対の支柱によって平行リンク連結状
態でピン着することによって、ピンの軸方向と直交する
方向、即ち被試験体取付面に平行な方向に対して各スラ
ブを水平に独立して変位させることが可能である。ある
いは水平方向の複数のスラブをユニバーサルジョイント
で連結するとともに、上下方向の複数のスラブは各ユニ
バーサルジョイント間を支柱で連結することによって自
由度の多いリンク連結がなされ、被試験体取付面と平行
な方向は勿論、直角な方向にも各スラブを水平に独立し
て変位させることが可能である。それによって、被試験
体取付面に被試験体を取付け、各階層に対応するスラブ
を油圧振動手段によって独立して振動させることによ
り、水平方向の耐震試験、略く字型変位に対する試験等
を行うことが可能である。

〔実施例〕

本発明の詳細を図示した実施例に基づいて説明する。

第１図は本発明に係る建物側壁のスラブ連結型耐震試験
装置の第１実施例の説明用簡略正面図である。

30は略直方体形状の枠体でなる主体フレームであり、観
察台等が設けられてなるものである。

31は各階層に対応して多数段設けられる可動スラブであ
り、前面に被試験体取付面Ｐを構成するものである。

32は各可動スラブ31を上下方向に接続する支柱であり、
支柱32と可動スラブ31の接続はそれぞれピン33によって
軸着されるもので、可動スラブ31がピン33の軸方向に対
して直交する方向、即ち被試験体取付面Ｐ内において水
平方向に振動可能にされている。

34は、主体フレーム30に取付けられ、各可動スラブ31を
被試験体取付面Ｐと直交方向に独立に振動させる油圧振
動手段としての油圧シリンダである。

このようにした本発明に係る建物側壁のスラブ連結型耐
震試験装置の第１実施例によれば、油圧シリンダ34を用
いて可動スラブ31の各階層に応じて独立に変位を与えて
耐震試験をすることが可能であり、中間の階層を中心に
して左右に振動を与えることによって、少ない変位量で
効率よく耐震試験を行うことができ、また複雑な振動試
験も可能となるものである。

第２図は本発明に係る建物側壁のスラブ連結型耐震試験
装置の第２実施例の説明用正面図、第３図は第２実施例
の説明用側面図である。

41は略直方体形状の枠体でなる主体フレームであり、観
察台等が設けられてなるものである。

42は試験する各階層に応じて複数設けられる可動スラブ
であり、前面には被試験体取付面Ｐが構成されるもので
ある。

43は可動スラブ42を上下方向に連結する支柱であり、可
動スラブ42及び支柱43はユニバーサルジョイント44によ
って、移動可能に連結されるものである。

45は各ユニバーサルジョイント44を取付面Ｐ内において
水平方向に移動させるように設けられる油圧振動手段と
しての油圧シリンダであり、主体フレーム41に取付けら
れてなるものである。

この油圧シリンダ45は油圧装置（図示しない）によっ
て、各階層に応じた変位量が与えられるものである。

支柱43の最上部または最下部に位置するユニバーサルジ
ョイント44は、主体フレーム44に上下動可能に支持され
るもので、図示したものは最上部に位置するものが上下
動可能に支持されている。

このようにした本発明に係る建物側壁のスラブ連結型耐
震試験装置の第２実施例にあっては、油圧シリンダ45を
用いてユニバーサルジョイント44を独立に変位させて、
被試験体取付面Ｐと平行方向又は直交方向の水平な変位
を実現でき、各種振動試験を容易にするものである。

〔発明の効果〕

本発明に係る建物側壁のスラブ連結型耐震試験装置は、
上述のようにしてなり、各スラブを支柱を介して平行リ
ンク連結することによって、各スラブを独立して安定に
水平方向へ変位させることができ、そして各階層に応じ
た変位を独立に与えることによって、建物側壁の水平方
向における各種振動試験を行うことが可能となり、例え
ば略く字状の耐震試験等も行うことが可能となる。

また、スラブの階層数の増減を容易に行うことができ、
対象となる被試験体によって最適な階層数を実現でき、
設置空間の有効利用が図れる。

また、各階層に応じたスラブの変位量を小さくでき、加
力も少なくできるので、油圧シリンダのストローク及び
ロッド径を小さくすることが可能となるものである。

更に、支柱の長さを変えることによりスラブの高さ調整
も容易である為、各種側壁に対応することが可能となる
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は第１実施例の説明用簡略正面図、第２図は第２
実施例の説明用正面図、第３図は第２実施例の説明用側
面図である。 30：主体フレーム、 31：可動スラブ、32：支柱、 33：ピン、34：油圧シリンダ、 41：主体フレーム、42：可動スラブ、 43：支柱、 44：ユニバーサルジョイント、 45：油圧シリンダ。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】略直方体形状の枠体でなる主体フレーム
   と、 上下方向に離間して配され、少なくとも前面に被試験体
   取付面を構成する複数の可動スラブと、 上段の可動スラブと下段の可動スラブとをピン着によっ
   てそれぞれ平行リンク連結する複数対の支柱と、 前記主体フレームに固定され、前記可動スラブを独立し
   て前記ピンの軸方向と直交する方向に振動させる油圧振
   動手段と、 よりなる建物側壁のスラブ連結型耐震試験装置。
2. 【請求項２】略直方体形状の枠体でなる主体フレーム
   と、 上下方向に離間して且つ水平方向に複数配され、少なく
   とも前面に被試験体取付面を構成する可動スラブと、 水平方向の複数の可動スラブを直線状に互いに連結する
   ユニバーサルジョイントであって、上下方向に位置する
   該ジョイント間を連結する複数の支柱と、 前記主体フレームとユニバーサルジョイント間に取付け
   られ、前記可動スラブを水平方向に独立して振動させる
   油圧振動手段と、 よりなる建物側壁のスラブ連結型耐震試験装置。