JPH068495B2 - 鋼板に密着性、均一性および耐食性の優れたセラミック被膜を形成する方法 - Google Patents

鋼板に密着性、均一性および耐食性の優れたセラミック被膜を形成する方法

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JPH068495B2
JPH068495B2 JP4754288A JP4754288A JPH068495B2 JP H068495 B2 JPH068495 B2 JP H068495B2 JP 4754288 A JP4754288 A JP 4754288A JP 4754288 A JP4754288 A JP 4754288A JP H068495 B2 JPH068495 B2 JP H068495B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、低炭素鋼板、ステンレス鋼板および珪素鋼
板などの鋼板に密着性、均一性および耐食性に富むセラ
ミック被膜を形成する方法に関する。
(従来の技術) 近年、イオンインプランテーションやプラズマを利用し
たイオンプレーティング技術が著しく進歩し、磁気記録
薄膜や各種摩耗性および耐食性コーティング、さらに装
飾要コーティングなどに広く利用されつつある。
従来、プラズマ・コーティング法としては、マグネトロ
ンスパッタ法、EB(Electron Beam)+RF(Radio Freq
uency)法およびプラズマCVD法などのほか、最近では真
空アークを利用したマルティ・アーク法やホローカソー
ド(Hollow Cathode Discharge,:HCD)法によるイオンプ
レーティングが知られている。
かかるプラズマコーティングの中でもとくにホローカソ
ード法は比較的イオン化率が高く、成膜速度が大きいの
で装飾品や工具類等の小物のセラミックコーティングに
は利用されていた。
(発明が解決しようとする問題点) これらの手法を利用して大面積を有する鋼板表面上に密
着性、均一性および耐食性などの諸特性に優れたセラミ
ック被膜を被成するには、イオンプレーティングやイオ
ンインプランテーション処理の際、イオン化率を向上さ
せること、鋼板への印加電圧を高くすることおよび鋼板
の温度を上げることが必要である。
このような処理を施して得たコーティング被膜は膜質お
よび密着性が大幅に改善されるものの、充分な密着性が
得られているとはいいがたく、密着のさらなる改善に対
する要請は強い。
とくにホローカソード法によるイオンプレーティング処
理は建築材等に用いる大表面積の鋼板についても耐食性
や装飾性あるいは耐摩耗性の改善のためにその利用が試
みられているが、現状では実用化にまでは至っていな
い。というのはこのような鋼板では、 1)鋼板とセラミック被膜との密着性が良好であるこ
と、 2)大表面積に均一にセラミック被膜をコーティングで
きること、 3)セラミック被膜の膜質が良好であること、 4)耐食性に優れていること、 5)大表面積の鋼板上に高速成膜ができかつ、良好なプ
ラズマ雰囲気下でコーティングが行えること、 などが要求されるが、従来のホローカソード法では上記
のような条件を十分に満足することはできなかったから
である。
この発明は上記の問題を有利に解決するものでたとえ大
表面積の低炭素鋼板やステンレス鋼板等にセラミッキ被
膜を被成する場合であっても、密着性、均一性および耐
食性に優れたセラミック被膜を有利に形成する方法につ
いて提案することを目的とする。
(問題点を解決するための手段) この発明は、 表面清浄化処理を経た鋼板の表面上にイオンプレーティ
ング処理またはイオンインプランテーション処理によっ
てセラミック被膜を被成するに当り、鋼板に磁場を加え
ることを特徴とする鋼板に密着性、均一性および耐食性
の優れたセラミック被膜を形成する方法(第1発明)お
よび、 表面清浄化処理を経た鋼板の表面上にホローカソード法
によるイオンプレーティング処理によってセラミック被
膜を被成するに当り、るつぼの外周を取囲みかつ鋼板の
直近にまで配設した集束コイルの内側を蒸着物質の移動
経路としたことを特徴とする鋼板に密着性、均一性およ
び耐食性の優れたセラミック被膜を形成する方法(第2
発明)である。
またこの発明のセラミック被膜は、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,C
r,Mo,W,Mn,Co,Ni,Al,BおよびSiの窒化物、炭化物および
炭窒化物と、Al,Zn,Mn.,Mg,TiおよびSiの酸化物との中
から選ばれた少なくとも1種からなるものが有利に適合
する。
以下にこの発明を具体的に説明する。
まず第1発明の基礎となった実験結果について説明す
る。
実験1 C:0.043 wt%(以下単に%で示す)、Mn:0.35%、
P:0.009%、およびS:0.011%を含有する低炭素熱延
鋼板(厚み2.0mm、幅1000mm)を、0.30mm厚に冷間圧延
し、その後この鋼板を切断して幅500mmとし、ついで750
℃で再結晶焼鈍を施したのち、鋼板表面を中心線平均粗
さで0.12μmに電解研磨し、しかるのち第1図に模式で
示すイオンプレーティング装置を用いてTiN(1.5μm
厚)の成膜を行った。
なお図中1はHCDガン、2は集束コイル、3はるつぼ、
4は溶融物質(Ti)、5は反応ガス導入口(反応ガスはN2
を使用)、6aは鋼板の巻取り用ロール、6bは巻もど
し用ロール、7a,7bは鋼板に張力を付与するための
小ロール、8は中空の回転ロール、9は磁場発生装置
で、回転ロール上に鋼板10を固定するよう働くもので
ある。
このイオンプレーディング装置を用いて次の条件でTiN
被膜を成膜した。すなわち 通常の条件(HCDガンの出力:50V,500A,真空度7×
10-4mmHg、バイアス電圧100V)でTiN被膜形成 磁場を作用させた状態でTiN被膜を形成(HCDガン
の出力:50V,500A、真空度7×10-4mmHg、バイアス電
圧100V,磁場200 Oe) 上記又はの各条件で処理した後の密着成および走査
型電子顕微鏡による表面観察を行った結果を、それぞれ
表1にまとめて示す。
表1から明らかなように、の磁場を作用させた状態で
TiNを成膜すると、被膜の密着性、平滑性共に、の通
常の条件でTiN被膜を成膜したときよりも、優れている
ことがわかる。
実験2 C:0.049%、Si:3.39%、Mn:0.066%、Mo:0.013%、S
e:0.020%およびSb:0.025%を含有する珪素鋼
スラブを1350℃で4時間加熱後熱間圧延を施して2.2mm
厚の熱延板とし、その後950℃の中間焼鈍をはさんで2
回の冷間厚延を施して0.23mm厚の最終冷延板とした。そ
の後830℃の湿水素中で脱炭・1次再結晶焼鈍を施した
後、鋼板表面上にMgO(65%)、Al2O3(20%)、SrSO4
(2%)、TiO2(3%)を主成分とする焼鈍分離剤を塗
布し、その後850℃で50時間の2次再結晶焼鈍と1200℃
で5時間乾H2中で純化焼鈍を施し、ついで鋼板表面上の
酸化物を除去し電解研磨により中心線平均粗さで0.08μ
mにまで仕上げた後、第1図のイオンプレーティング装
置を用いて実験1と同様の条件でTiN被膜(約1.0μm
厚)を成膜した。製品のTiN被膜の密着性、均一性およ
び磁気特性を表2にまとめて示す。
表2から明らかなように、のイオンプレーティング中
に磁場を作用させた状態でTiNを成膜すると、密着性、
平滑性共に良好で、さらに磁気特性、特に鉄損特性が
の通常証券に比較して0.05W/kg向上しているのがわか
る。
以上第1および第2の実験例から明らかなように、鋼板
に磁場を作用させてイオンプレーティングを行うとTiN
被膜の密着性、均一性が良好であるのに加え、さらに第
2の実験例においては磁気特性も極端に向上することが
わかる。
ここでTiN被膜の膜質が向上する理由は明確に解明され
たわけではないが、第2図に示すように、鋼板10の研磨
処理表面上にTiの加速イオンiとNの蒸着原子aとFe原
子との混合相11がTiN被膜12との間に形成されるが、こ
の混合相11が磁場を作用させることによって強化される
と考えられる。
第3図には磁場を作用させたときの混合相におけるTiと
Feの比率変化を矢印で模式的に示す。イオンプレーティ
ング中に磁場を作用させることによって混合相中のFe量
が増加し、逆にTi量が減少してFeとTi相の混合比率が変
化するためにFe基板とTiN被膜層の密着性が格段に良好
になるものと考えられる。
すなわち磁場を作用させない通常のイオンプレーティン
グでは混合相11のFe原子はTi+の加速イオンによって飛
ばされるために少なくなるが、磁場を作用させる場合に
はTi+の加速イオンによる衝突においても磁場が働いて
いるためにFeイオンが混合相内に残留することが多くな
るために被膜の密着性が強化され、とくに基板が珪素鋼
板である場合にはTiN被膜の弾性張力を効果的に地鉄に
付与することが可能であると考えられる。
次に第2発明の基礎となった実験結果について説明す
る。
実験3 C:0.046%,Mn:0.35%,P:0.009%およびS:0.01
1%を含有する低炭素熱延鋼板(厚み2.2mm,幅500mm)
を0.6mm厚に冷間圧延し、ついで750℃で再結晶焼鈍を施
した後、鋼板表面を脱脂し、しかるのち下記,およ
びに示す手法により、鋼板表面上に2.0μm厚のTiN膜
を被成した。
エレクトロンビーム走査によりTiを蒸発させ、これを
RF(Radio Frequency)コイルを用いてイオン化してTiN
膜を被成する、いわゆるEB+RF法にて成膜を行っ
た。なお処理条件は、真空度6×10-4torr,EB(ピア
ス式)の照射条件は加速電圧:60kV,電流:5Aで、ま
たRFの電力は800Wであった。
第4図に示すイオンプレーティング装置を用いて、第
2発明に従う成膜を行った。
なお同図中13はサブレストレイト、14は反応ガス導入
口、15はるつぼ、16は溶融物質(Ti)、17は高真空引き用
の排気口、18は真空槽、19はHCDガンである。
HCDガン19はグラファイトの外側層19-1とこの例でTa
を用いた内側層19-2の組合せになり外側−内側の層間は
一定の空隙を設けて、隔絶する。また層間の放電も防ぐ
ため図示を省略したが内側層19-2とるつぼ15の溶融物質
とが通電できるようにしてある。これによってこのHC
Dガンの異常放電が少なくなり、かつガンの長寿命化が
達成される。
またHCDガン19は送り機構19-3により常にるつぼ15と
の距離を一定に保つことによって長時間安定したプラズ
マビームの供給が確保できる。なお19-4はHCDガンの
電源、19-5はArガスの供給口を示す。
さらに20はHCDガン19のまわりの集束コイルで、この
集束コイル20により発生プラズマを細いプラズマビーム
21に集束させる。次に細いビームに集束されたプラズマ
ビーム21はるつぼ15のまわりの集束コイル22により磁場
を上から下の方向に作用させ、図に点線で示すように溶
融物に向かって直角方向に曲げて照射に供するのであ
る。このような直角方向に照射されたプラズマビームは
蒸発物質を真上に向かって蒸発させ、サブストレイトに
均一な蒸着をもたらすことが可能となる。
ここで集束コイル22は反応ガス導入経路の直近にまで延
長してこの内部を極めて良好なプラズマ状態としている
のが特徴で、よってHCDビームによって溶解され、イ
オン化された蒸発物はサブストレイト13に向かって直進
し、結果として蒸着効率を飛躍的に高めることが可能で
ある。さらに23は反応ガスに対する電圧印加装置で、冷
却管24およびTa製の導入管25をそなえ、導入管25に電圧
を印加することによって反応ガスのイオン化を促進し得
る。
なお同図の装置を用いてのHCD法によるイオンプレー
ティング処理条件は、加速電圧75V、電流1000Aおよび真
空度7.5×10-4torrであった。
第5図に示すイオンプレーティング装置を用いて、従
来のHCD法によるイオンプレーティング処理を加速電
圧70V、電流1000Aおよび真空度7×10-4torrの条件にて
行った。
なお同図中、26はサブストレイト、27は反応ガス管、28
はるつぼ、29は溶融物質(Ti)、30は通常のL字型HCD
ガンおよび31は集束コイルである。
上記した〜に従うイオンプレーティング処理を、次
の(a)〜(f)の6条件にてそれぞれ行い、得られた製品の
表面性状(走査型電子顕微鏡で観察)、X線回折、耐食
性および密着性について調べた結果を表3に示す。
(a)予備加熱:なし、印加電圧:なし (b)予備加熱:400℃、印加電圧:なし (c)予備加熱:なし、印加電圧:1000V,,5
0V (d)予備加熱:なし、印加電圧:0.5μm厚まで1200V
その後は200V,,0.5μm厚まで100Vその後は20V (e)予備加熱:400℃、印加電圧:(c)に同じ (f)予備加熱:400℃、印加電圧:(d)に同じ 同表から明らかなように、のこの発明に従うHCD法
を用いたTiN被膜の被成は、のEB+HCD法、の
通常のHCD法に比較して、イオンプレーティング条件
によって若干の相異は見られるものの、走査型電子顕微
鏡による表面観察では凹凸が少なく平滑であり、またX
線回折では(111)面のピークが強くなっており、さ
らに耐食性、密着成の面でも極めて優れていた。
さらに第2発明に従うHCD法によるTiNコーティング
においては、表1の密着性のテストの中で最も条件のき
びしい高温焼鈍後の360°曲げによる密着性に関し、(f)
の条件が最も優れていた。この理由は、コーティングの
前段で印加電圧を高くすることによって密着性が確保さ
れるだけでなく、後段の低印加電圧でTiNの膜中の内部
歪が小さくなるためであると考えられる。
次に第6図に、第2発明に従うHCD法を用いたイオン
プレーティング処理によってTiNコーティングを施すに
際し、予備加熱温度やコーティング中の印加電圧を種々
に変化された場合における製品の密着性について調べた
結果を、予備加熱温度と印加電圧との関係で示す。
同図から明らかなように、TiNコーティング前の予備加
熱温度が100〜600℃、印加電圧が10〜200Vの範囲におい
てとりわけ良好な密着性が得られている。
実験4 次にC:0.042%Mn:0.30%,P:0.009%およびS:0.012%
を含有する低炭素鋼の熱延板(厚み:2.2mm,幅500mm)
を0.6mmに冷間圧延し、ついで750℃で10時間の再結晶焼
鈍を施した後、鋼板表面を中心線平均粗さで0.1μmに
電解研磨した。
ついで下記に示すHCD法を用いたイオンプレーティン
グ処理により、TiNのセラミック被膜(2.5μm厚)を被
成した。
()第5図の装置を用いて、イオンプレーティング処
理を行った。
()第5ずの装置における集束コイルをるつぼからサ
ブストレイト直近にまで配設した装置を用いて、この発
明に従ってイオンプレーティング処理を行った。
()第4図の装置における集束コイルをるつぼの周囲
のみとした装置を用いて、イオンプレーティング処理を
行った。
()第4図の装置を用いて、この発明に従うイオンプ
レーティング処理を行った。
なおHCD法によるイオンプレーティング処理条件は、
真空度(6〜8)×10-4torr,加速電圧60〜80Vおよび
加速電流1000Aで、また予備加熱温度は450℃,バ
イアス電圧は0.5μm厚までの成膜は100Vでそれ以後は
2.5μmまで20Vとした。
各イオンプレーティング処理後の製品における表面性
状、X線回折、耐食性および密着性について調べた結果
を、表4に示す。
同表から明らかなように、この発明に従う集束コイルを
蒸着物質の移動経路上に配設した()および()の
処理では蒸着レイトが2.6〜2.8μm/minとなる高速成
膜が達成されかつバイアス電圧を印加したときの放電特
性も向上し、すなわち全く放電がないので所期したバイ
アス電圧の印加が可能であった。さらにこの発明に従う
方法では、表面性状、構造、耐食性および密着性におい
ても満足な結果を示した。
(作用) 上述したように第1発明に従って、イオンプレーティン
グまたはイオンインプランテーション処理中に磁場を作
用させることによりセラミック被膜は地鉄との密着性を
高めるとともに、被膜の膜質を高めることが明らかとな
った。
さらにこのイオンプレーティングまたはイオンインプラ
ンテーション処理を施すに先立って、中間焼鈍を含む1
回以上の冷間圧延を施して最終冷延板に仕上げた後、鋼
板表面を完全に脱脂後、あるいは場合によっては鋼板表
面を機械研磨あるいは化学的、電気的研磨処理によって
鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
また一方向性珪素鋼板においては最終冷延板とした後、
脱炭・1次再結晶焼鈍後、2次再結晶焼鈍、純化焼鈍を
行った後に鋼板表面を鏡面状態に仕上げることが望まし
い。
このように鏡面に仕上げた鋼板は次にイオンプレーティ
ングまたはイオンインプランテーション処理によってセ
ラミック被膜を被成するが、この発明ではイオンプレー
ティングまたはイオンインプランテーション処理中に磁
場を作用させることを必須条件とする。なお磁場は第1
図にて示した手法、あるいは従来公知のいずれの手法を
用いてもよい。また磁場の強さは10〜500 Oe程度であれ
ば密着性の良好なセラミック被膜を形成させることが可
能である。
イオンプレーティング法はHCD法、マルティ−アーク
法、EB+RF法等従来公知の手法が使用でき、またこのイ
オンプレーティング中には従来公知の印加電圧を適用
し、さらに鋼板の予熱処理を行うことも有効である。
また第2発明に従って蒸着物質の移動経路を集束コイル
で取囲むことによって、蒸着物質の移動経路内は良好な
プラズマ状態となりかつストレイベーパーも少なくな
り、サブストレイトへの蒸着を有効に行うことができ
る。また集束コイルで取囲まれた蒸着物質の移動経路内
にプラズマをとじこめるのでイオンプレーティング装置
内での無駄な放電が皆無となって、サブストレイトに安
定してバイアス電圧を印加できるためセラミック被膜の
密着性が向上し、また緻密な被膜となるため耐食性およ
び表面性状も向上する。
この発明におけるHCD法の適用に当たっては、鋼板の
板幅方向に渡ってHCDガンを並列にならべて蒸着量お
よび均一性を確保することによって幅500mm以上のコイ
ルにも適用することができるが、特にこの発明ではHC
Dガンを用いて蒸着物質を溶解イオン化したときの蒸着
原子を有効にサブストイトに付着させるのが重要であ
り、そのために集束小イルをるつぼからサブストレイト
直近にまで配設し、良好なプラズマ状態を集束コイル内
で実現することが肝要である。なお集束コイル上端とサ
ブストレイトまでの間隔は、50〜150mm程度にすること
が好ましい。
さらにサブストレイトへのセラミック被膜の密着性およ
び、膜の耐食性、均質性を確保したい場合には、被膜の
被成に先立って鋼板に対して100〜600℃の温度で予備加
熱を行うか、コーティング中に鋼板に10〜200Vの電圧を
印加するか、あるいはその両方を行うことによって達成
しうる。
なおコーティング前の予備加熱は、通常エレクトロンビ
ームを用いて行うが、その他赤外線または通常の抵抗加
熱を用いてもよい。
また鋼板に10〜200Vの電圧を印加するに当たっては、コ
ーティング前段を50〜200Vの高電圧、後段を10〜50Vの
低電圧とすることが被膜密着性向上の観点からは一層有
利である。
そしてイオンプレーティング処理を施すに先立ち、鋼板
表面を完全に脱脂後、あるいは場合によっては鋼板表面
を機械研磨あるいは化学的・電気的研磨処理によって鏡
面状態に仕上げておくことが好ましく、かかる鏡面仕上
げ表面上にセラミックをHCD法により蒸着させるので
ある。
またこのときの蒸着膜厚は0.1〜5μm程度が適切であ
る。
なおこのようなHCD法によるセラミックの蒸着には通
常連続真空ラインの装置を用いて鋼板表面上に行われる
が、大容量のバッチタイプの蒸着装置を用いてもよい。
この発明において、基板としては広い面積が容易に得ら
れ、また比較的安価な低炭素冷延鋼板あるいはステンレ
ス鋼板が有利に適合する。またセラミック被膜による磁
気特性の向上をもくろむ一方向性珪素鋼板の適用も有効
である。
この発明に適用できるセラミック被膜はTi,Zr,Hf,V,Nb,
Ta,Cr,Mo,W,Mn,Co.Ni,Al,BおよびSiの窒化物、炭化物お
よび炭窒化物、並びにAl,Zn,Mn,Mg,TiおよびSiの酸化物
の中から選んだ少なくとも1種から成るものが好適であ
り、またこのときの膜厚は0.1〜5μm程度が適切であ
る。
以上イオンプレーティングについて主に説明してきた
が、イオンインプランテーションの場合であっても同様
である。
(実施例) 実施例1 C:0.04%,Si:0.13%,Mn:1.1%,Cr:16.9%およびM
o:1.2%を含有するステンレス鋼の熱延板(2.2mm厚)
を、0.5mm厚に冷間厚延し、ついで800℃で再結晶焼鈍を
行った後、基板表面を脱脂した。その後電解研磨により
中心線平均粗さで0.05μmの鏡面に仕上げ、イオンプレ
ーティングについては第1図に示すところに従って、種
々のセラミック被膜を形成し、その後表面被膜の走査型
電子顕微鏡観察と密着性および耐食性の調査を行った。
そのときの結果を表5にまとめて示す。なお同様の手法
でイオンインプランティーション処理を行った結果も同
表に併記する。
実施例2 C:0.042%,Si:3.36%,Mn:0.072%,Al:0.026,S:0.
025%,N:0.0078%,Sn:0.1%およびCu:0.25%を含有す
る熱延板(2.0mm厚)を、1150℃で3分間の中間焼鈍を
はさむ2回の冷間圧延を施して0.20mm厚の最終冷延板と
した。その後850℃の湿水素中で脱炭、1次再結晶焼鈍
後、850℃から10℃/hで1150℃まで昇温して2次再結
晶させた後、1200℃で5時間の純化焼鈍を施した。その
後鋼板表面上の酸化物を除去した後、電解研磨により中
心線平均粗さで0.04μmの鏡面状態に仕上げた。
その後第4図に示したところに従うイオンプレーティン
グ処理によって、鋼板表面上にTiNを1.5μm厚で形成し
た。
なおイオンプレーティング処理条件は、加速電流:800
A,加速電圧:65V,真空度8×10-4torrであった。
得られた製品の磁気特性および密着性は、次の通りであ
った。
磁気特性:B10:1.93T,W17/50:0.62W/kg密着性:20mmφ
で180°曲げを行ってもはく離せず。
実施例3 C:0.035%,Si:0.18%,Mn:1.2%,Cr:18.4%およびM
o:1.2%を含有するステンレス鋼の熱延板(2.2mm厚)
を、0.6mm厚に冷間圧延した後、焼鈍処理を施してか
ら、500mm×500mmの大きさに切出して基板とし、この基
板の表面を脱脂後、その表面に、第4図に示したところ
に従うイオンプレーティング処理によって、種々のセラ
ミック被膜(2μm厚)を形成し、その後得られた製品
の密着性、均一性および耐食性について調べた。その結
果を表6に示す。
なおイオンプレーティング処理条件は、加速電流:1000
A,加速電圧:70V,真空度7×10-4torr,バイアス電
圧:前段(0.4μm厚まで)100V後段15Vおよび予備加熱
温度:500℃とした。
実施例4 C:0.042%,Si:0.01%,Mn:0.36%,P:0.009%および
S:0.011%の組成になる低炭素冷延鋼板(2.2mm厚の熱延
板を冷間圧延により0.7mm厚とした)に、680℃で10時間
の再結晶焼鈍を施したのち、鋼板表面を電解研磨により
中心線平均粗さで0.2μmに研磨後、表7に示す物質よ
りなる被膜(2.5μm厚)を、HCDの加速電圧:80V,
加速電流:1000A,真空度:8×10-4torr,バイアス電
圧:前段(0.5μm厚まで)80V後段15Vおよび予備加熱
温度:450℃で第4図に示したところに従うイオンプレ
ーティング処理によって、形成した。得られた製品の密
着性、均一性および耐食性を、表7に示す。
(発明の効果) この発明によれば、鋼板に密着性および均一性がともに
良好なセラミック被膜を形成でき、イオンプレーティン
グまたはイオンインプランテーション処理の適用範囲を
さらに広げることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明に適用するイオンプレーティング装
置を示す説明図、 第2図は被膜形成を説明する模式図、 第3図は被膜における各成分相の厚みとFe,Tiの強度変
化との関係を示すグラフ、 第4図はこの発明に適用するバッチ型イオンプレーティ
ング装置を示す模式図、 第5図は従来のイオンプレーティング装置を示す模式
図、 第6図は印加電圧および予備加熱温度と密着性との関係
を示すグラフである。 1,19,30…HCDガン 2,20,22,31…集束コイル 3,15,28…るつぼ 4,16,29…溶融物質 5,14,27…反応ガス導入口 6a…巻取り用ロール 6b…巻もどし用ロール 7a,7b…小ロール 8…回転ロール、9…磁場発生装置 10…鋼板、11…混合相 12…張力絶縁被膜 13,26…サブレストレイト 17…排気口、18…真空槽 21…プラズマビーム、23…電圧印加装置 24…冷却管、25…導入管 a…蒸着原子、i…加速イオン

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面清浄化処理を経た鋼板の表面上にイオ
    ンプレーティング処理またはイオンインプランテーショ
    ン処理によってセラミック被膜を被成するに当り、鋼板
    に磁場を加えることを特徴とする鋼板に密着性、均一性
    および耐食性の優れたセラミック被膜を形成する方法。
  2. 【請求項2】表面清浄化処理を経た鋼板の表面上にホロ
    ーカソード法によるイオンプレーティング処理によって
    セラミック被膜を被成するに当り、るつぼの外周を取囲
    みかつ鋼板の直近にまで配設した集束コイルの内側を蒸
    着物質の移動径路としたことを特徴とする鋼板に密着
    性、均一性および耐食性の優れたセラミック被膜を形成
    する方法。
  3. 【請求項3】セラミック被膜は、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,
    Mo,W,Mn,Co,Ni,Al,BおよびSiの窒化物、炭化物および炭
    窒化物と、Al,Zn,Mn,Mg,TiおよびSiの酸化物との中から
    選ばれた少なくとも1種からなるものである特許請求の
    範囲第1項または2項に記載の方法。
JP4754288A 1987-12-23 1988-03-02 鋼板に密着性、均一性および耐食性の優れたセラミック被膜を形成する方法 Expired - Lifetime JPH068495B2 (ja)

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