JP2004027348A - 被膜密着性に優れた超低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】被膜の膜質および密着性に優れ、しかも高温の歪取り焼鈍を施しても特性劣化がない超低鉄損一方向性珪素鋼板を提供する。
【解決手段】仕上げ焼鈍済みの一方向性珪素鋼板の表面に、中極陰極法(HCD法)による連続イオンコーティング装置を使用してTiNOセラミック被膜を被成するに際し、コーティング雰囲気をTi+ イオンとAr+ イオンが混在した高プラズマ雰囲気とし、Ar+ イオンにより鋼板表面をスパッタしつつ、Ti+ イオンを付着させることにより、緻密で密着性に優れたTiNO被膜を被成する。
【選択図】 図2
【解決手段】仕上げ焼鈍済みの一方向性珪素鋼板の表面に、中極陰極法(HCD法)による連続イオンコーティング装置を使用してTiNOセラミック被膜を被成するに際し、コーティング雰囲気をTi+ イオンとAr+ イオンが混在した高プラズマ雰囲気とし、Ar+ イオンにより鋼板表面をスパッタしつつ、Ti+ イオンを付着させることにより、緻密で密着性に優れたTiNO被膜を被成する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一方向性珪素鋼板の表面に、主として Air−to−Air 方式の連続イオンコーティングラインを用いて、緻密で密着性に優れたTiNO被膜を形成させることにより鉄損特性の一層の改善を図った、超低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一方向性珪素鋼板は、主として変圧器その他の電機機器の鉄心として利用され、磁化特性として磁束密度(B8 値で代表される)が高く、鉄損(W17/50 で代表される)が低いことが要求される。
【0003】
発明者らは先に、特公昭63−54767 号公報等において、研磨により平滑化した一方向性珪素鋼板の表面に、CVDやイオンプレーティング, イオンインプランテーション等のドライプレーティング(PVD)により、Si, Mn, Cr, Ni, Mo,W,V,Ti, Nb, Ta, Hf, Al,Cu, ZrおよびBの窒化物、炭化物のうちから選んだ1種または2種以上の張力被膜を被成することによって超低鉄損が得られることを開示した。
この製造法により、電力用トランスや高周波トランス等の材料として非常に優れた鉄損特性が得られるようになったが、それでもなお、最近の低鉄損化に対する要求に対しては十分に応えているとはいい難かった。
【0004】
そこで、発明者らは、歪取り焼鈍を施さない積鉄心材は勿論のこと、高温の歪取り焼鈍を施す巻鉄心材においても超低鉄損の達成が可能な方法について、鋭意研究を重ねた結果、以下に述べる知見を得た。
すなわち、表面を平滑化した珪素鋼板および線状の溝を導入した珪素鋼板のいずれであっても、かかる珪素鋼板の表面に被成するセラミック張力被膜について、その熱膨張係数が外層側にいくほど小さく、かつその膜厚が外層側にいくほど厚くすることが、鉄損の低減に極めて有効であることを突き止め、これに基づいて極めて鉄損の低い一方向性珪素鋼板を新たに開発した(特許第 3280898号公報)。
【0005】
かくして得られた一方向性珪素鋼板は、極めて薄く、かつ密着性に優れたセラミック張力被膜をそなえ、超低鉄損の達成が可能なだけでなく、絶縁性を具備し、占積率にも優れているため、正に理想的な珪素鋼板といえる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなセラミック被膜、特に Si3N4やSiC等のSi系セラミック被膜は、その熱膨張係数は小さいものの、膜質に若干の問題があり、剪断(カッティング)または 180°曲げ試験を行った場合に、被膜の脆さのために、コーティング膜にクラックが発生し易いところに問題を残していた。
また、このような Si3N4やSiC等のSi系セラミック被膜は、窒素雰囲気中にて800 ℃以上の高温の歪取り焼鈍を施した場合に、しばしば剥離が生じるという問題もあった。
【0007】
本発明は、上記の問題を有利に解決するもので、被膜密着性に優れ、高温の歪取り焼鈍を施した後であっても特性の劣化がない超低鉄損一方向性珪素鋼板の有利な製造方法を提案することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
さて、発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、以下に述べる知見を得た。
(1) イオン化率の優れた中空陰極法(HCD法:Hollow Cathode Discharge)を用いて、TiNOを薄くプレコートし、その上に重ねてマグネトロン・スパッタ法を用いて SiNX などのセラミック膜を被成すると、800 ℃以上の高温での歪取り焼鈍を施した場合であっても、被膜剥離の生じない密着性に優れたセラミック被膜を得ることができる。
【0009】
(2) 上記の方法は、被処理材が、鋼板表面を酸洗や研磨によって平滑化したいわゆる表面平滑化鋼板であれば問題ないが、被処理材が、最終仕上げ焼鈍時にフォルステライト被膜を形成させないようにしたいわゆる膜無し鋼板の場合には、必ずしも満足のいく成果が得られない。すなわち、膜無し鋼板は、その製造に際して表面が良好なものを得ることは難しく、多くの場合鋼板表面に局所的に酸化物が付着している。このような場合には、密着性の良好なTiNOセラミック被膜を珪素鋼板の全面に綺麗に被成するのは極めて困難である。
この問題を解決するには、TiNOセラミック被膜を被成する際、鋼板表面に対するエッチング処理を併せて行うことが有利である。
そのためには、プラズマ雰囲気をTi+ イオンとAr+ イオンが混在した雰囲気とし、Ar+ イオンによって鋼板表面をスパッタしつつ、Ti+ イオンを付着させることが極めて有効である。
【0010】
(3) さらに、できる限り低コストで安定してTiNOセラミック被膜を被成するには、HCD法による連続イオンコーティングラインを用いることが有利である。(井口 征夫著 「中空陰極放電型大電流電子銃を利用した連続イオンプレーティング装置」真空、41巻、8号(1998)、P. 718−721 参照)
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
【0011】
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.仕上げ焼鈍済みの一方向性珪素鋼板の表面に、中空陰極法(HCD法)による連続イオンコーティング装置を使用してTiNOセラミック被膜を被成するに際し、コーティング雰囲気をTi+ イオンとAr+ イオンが混在した高プラズマ雰囲気とし、Ar+ イオンにより鋼板表面をスパッタしつつ、Ti+ イオンを付着させることにより、TiNO被膜を被成することを特徴とする、被膜密着性に優れた超低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法。
【0012】
2.上記1において、TiNO被膜の上に、マグネトロンスパッタ法を用いてセラミック張力被膜を被成することを特徴とする超低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法。
【0013】
3.上記1または2において、連続イオンコーティング装置の坩堝周りに設置されたAr+ イオン供給用の環状Ta管に、電位を印加することを特徴とする超低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明を由来するに至った実験結果について説明する。
C:0.074 mass%、Si:3.39mass%、Mn:0.078 mass%、Se:0.020 mass%、Sb:0.025 mass%、Al:0.020 mass%、N:0.0072mass%およびMo:0.012 mass%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる珪素鋼連鋳スラブを、1350℃、3時間の加熱処理後、熱間圧延により板厚:2.0 mmの熱延板とした。ついで、この熱延板に1030℃、2分間の均一化焼鈍を施したのち、1020℃の中間焼鈍を挟む2回の圧延を施して板厚:0.23mmの最終冷延板とした。
【0015】
ついで、この最終冷延板の表面に、アルキド系樹脂を主成分とするエッチングレジストインキをグラビアオフセット印刷により、非塗布部が圧延方向にほぼ直角に幅:200 μm 、間隔:4mmで線状に残存するように塗布したのち、200 ℃で3分間焼き付けた。この時のレジスト厚は2μm であった。このようにしてエッチングレジストを塗布した鋼板に、電解エッチングを施すことにより、幅:200μm 、深さ:20μm の線状の溝を形成し、ついで有機溶剤中に浸漬してレジストを除去した。この時の電解エッチングは、NaCl電解液中で電流密度:10 A/dm2、処理時間:20秒の条件で行った。
【0016】
その後、 850℃の湿H2中で脱炭・1 次再結晶焼鈍を行った後、鋼板表面に MgO(60mass%), Sr(OH)(5mass%), SbCl3(35mass%)の組成になる焼鈍分離剤スラリ−を塗布してから、 850℃で15時間の焼鈍後、 850℃から10℃/hの速度で1080℃まで昇温してゴス方位に強く集積した2次再結晶粒を発達させた後、1200℃の乾H2中で純化処理を施してフォルステライト被膜を有しない珪素鋼板(以下、膜無し珪素鋼板と呼ぶ)を製造した。
【0017】
かくして得られた膜無し珪素鋼板の表面に、図1に示すような Air−to−Air方式の連続セラミックコーティング装置を用い大容量HCD法によりTiNO被膜を被成する。なお、この図1は、先に引用した文献(井口 征夫著「中空陰極放電型大電流電子銃を利用した連続イオンプレーティング装置」真空、41巻、8号(1998)、P. 718−721 )に掲載した連続イオンプレーティング装置を改良したものである。
【0018】
図1において、領域aは差動排気系、領域bは予熱室、領域cは大容量のHCDプラズマコーティング室を示したものである。
差動排気系aにおいて、番号1は差圧シールローラ、2は差圧シール室、3は真空ポンプであり、かような差動排気系を用いて、予熱室bまで連続的に真空度を上げることにより、2〜5×10−5Torrの高真空状態にすることができる。
また、予熱室bにおいて、4はホットローラ、5は電子ビームガンであり、これらのホットローラ4と電子ビームガン5により、膜無し珪素鋼板を 100〜400℃まで予熱すると共に、鋼板表面の清浄化を図る。
【0019】
次のコーティング室cには、図2に示すような大容量のHCD装置6が設置してある。図中、番号7は真空槽、8はサブストレートである珪素鋼板、9はHCDガン、10はL型のTaカソード(図1ではHCDガンとして、斜方HCDガンを示しているが、その後の実験でL型のTaカソードの方が高速の成膜速度が安定して得られることが判明したので、この方式を採用することにした)、11はプラズマ電子ビーム、12は坩堝、13は蒸発源(この例で溶融Ti)、14は集束コイル、15は反応ガス(窒素)の供給管、16はAr+ プラズマの出口、17はAr+ プラズマ作製のための電圧印加装置、そして18がTi+ イオンとAr+ イオンである。
また、図3は、Taカソードから下を上面図で示したものである。
【0020】
本発明では、プラズマ雰囲気中に、通常のTi+ イオンに加えて、Ar+ イオンを数多く存在させるのが特徴である。すなわち、図2中のAr+ プラズマの出口16、Ar+ プラズマ作製のための電圧印加装置17を用いることによって、プラズマ雰囲気中にTi+ イオンとAr+ イオンの両者を併せて存在させることが可能となる。
そてし、このような状況下では、膜無し珪素鋼板の表面は、Ar+ イオンのスパッタによって綺麗になると同時に、Ti+ イオンの付着により、緻密で密着性に優れたTiNOセラミック被膜の被成が可能となるのである。
【0021】
図2に示した大容量のHCD装置6を採用し、図1に示した連続セラミックコーティング装置を用いて、膜無し一方向性珪素鋼板の表面にTiNO被膜を 0.1μm厚成膜後、さらにマグネトロン・スパッタ法を用いて SiNX を 0.2μm 厚成膜し、ついで絶縁コーティング液を塗布・焼き付けたのち、窒素中にて 800℃, 3時間の歪取り焼鈍を施した後の磁気特性および被膜特性について調べた結果を、表1に示す。
また、表1には、比較のため、従来法に従い、Ar+ イオンの供給なしに同様のセラミック複合被膜を被成した場合の調査結果についても、併記する。
なお、被膜密着性については、セラミック被膜つき一方向性珪素鋼板を、種々の径の棒材に巻付けて 180°曲げ試験を行い、被膜剥離が生じなかった最小径で評価した。
【0022】
【表1】
【0023】
同表から明らかなように、発明例では、W17/50 が 0.57 W/kgと極めて低い鉄損が得られると同時に、剥離径も20mmφと良好であった。
これに対し、従来例では、鉄損W17/50 は 0.69 W/kg程度であり、また剥離径も30mmφにすぎなかった。
【0024】
以上述べたとおり、本発明では、被処理材が膜無し珪素鋼板であっても、その表面をAr+ イオンのスパッタにより綺麗にしつつ、TiNOセラミック被膜を被成することができるので、密着性が向上し、その結果張力付与も増大し、結果として効果的な鉄損の低減が可能になったものと考えられる。
【0025】
【作用】
本発明の素材である含珪素鋼板としては、従来公知の成分組成いずれもが適合するが、代表組成を掲げると次のとおりである。
C:0.01〜0.08mass%
Cは、0.01mass%より少ないと熱延集合組織の抑制が不十分となって大きな伸長粒が形成されるため磁気特性が劣化し、一方0.08mass%より多いと脱炭工程で脱炭に時間がかかり経済的でないので、0.01〜0.08mass%程度とするのが好ましい。
【0026】
Si:2.0 〜4.0mass %
Siは、 2.0mass%より少ないと十分な電気抵抗が得られないため渦電流損が増大して鉄損の劣化を招き、一方 4.0mass%より多いと冷延の際に脆性割れが生じ易くなるので、 2.0〜4.0 mass%程度の範囲とすることが好ましい。
【0027】
Mn:0.01〜0.2 mass%
Mnは、一方向性珪素鋼板の2次再結晶を左右する分散析出相としてのMnSあるいはMnSeを決定する重要な成分である。Mn量が0.01mass%を下回ると2次再結晶を生じさせるのに必要なMnS等の絶対量が不足し、不完全2次再結晶を起こすと同時に、ブリスタ−と呼ばれる表面欠陥が増大する。一方、 0.2mass%を超えると、スラブ加熱等においてMnS等の解離固溶が行われたとしても、熱延時に析出する分散析出相が粗大化し易く、抑制剤として望まれる最適サイズ分布が損なわれて磁気特性が劣化するので、Mnは0.01〜0.2 mass%程度とすることが好ましい。
【0028】
S:0.008 〜0.1 mass%、Se:0.003 〜0.1 mass%
SおよびSeはいずれも、 0.1mass%以下、中でもSは 0.008〜0.1 mass%、またSeは 0.003〜0.1 mass%の範囲とすることが好ましい。というのは、これらが0.1 mass%を超えると熱間および冷間加工性が劣化し、一方それぞれ下限値に満たないとMnS、MnSeとしての1 次粒成長抑制機能に格別の効果を生じないからである。
その他、インヒビタ−として従来公知のAl, Sb, Cu, SnおよびB等を複合添加しても、本発明の効果を妨げるものではない。
【0029】
次に、本発明に従う超低鉄損一方向性珪素鋼板の製造工程について説明する。まず、素材を溶製するには、LD転炉、電気炉、平炉、その他公知の製鋼炉を用い得ることは勿論のこと、真空溶解やRH脱ガス処理を併用することもできる。
【0030】
本発明に従い、素材中に含有されるS、Seあるいはその他の1次粒成長抑制剤を溶鋼中に微量添加する方法としては、従来公知の何れの方法を用いても良く、例えばLD転炉、RH脱ガス終了時あるいは造塊時の溶鋼中に添加することができる。
また、スラブ製造は、コスト低減、さらにはスラブ長手方向における成分あるいは品質の均一性等の経済的・技術的利点のため連続鋳造法の採用が有利ではあるが、従来の造塊スラブの使用を妨げるものではない。
【0031】
連続鋳造スラブは、スラブ中のインヒビタ−を解離・固溶させるために、1300℃以上の温度に加熱される。その後、このスラブは熱間粗圧延ついで熱間仕上圧延が施されて、通常厚み 1.3〜3.3 mm程度の熱延板とされる。
【0032】
次に熱延板は、必要に応じ 850〜1100℃程度の温度範囲で熱延板焼鈍(均一化焼鈍ともいう)を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚とするが、高磁束密度で低鉄損の特性を有する製品を得るには最終冷延率(通常55〜90%)に注意を払う必要がある。
このとき、珪素鋼板の渦電流損をできるかぎり小さくする観点から、製品厚の上限は0.5 mmに、またヒステリシス損の弊害を避けるために板厚の下限は0.05mm程度とすることが好ましい。
【0033】
鋼板表面に線状の溝を形成する場合には、この最終冷延を終え製品板厚となった鋼板に対して行うのがとりわけ有利である。
すなわち、最終冷延板または2次再結晶前後の鋼板の表面に、圧延方向と交差する向きに2〜10mmの間隔で、幅:50〜500 μm 、深さ:0.1 〜50μm の線状の凹領域を形成させるのである。
ここに、線状凹領域の間隔を2〜10mmの範囲に限定したのは、2mmに満たないと鋼板凹凸があまりにも顕著で磁束密度が低下し経済的でなくなり、一方10mmを超えると磁区細分化効果が小さくなるからである。
また、凹領域の幅が50μm に満たないと反磁界効果を利用することが困難となり、一方 500μm を超えると磁束密度が低下し経済的でなくなるので、凹領域の幅は50〜500 μm の範囲にすることが好ましい。
さらに、凹領域の深さが 0.1μm に満たないと反磁界効果を効果的に利用することができず、一方50μm を超えると磁束密度が低下し経済的でなくなるので、凹領域の深さは 0.1〜50μm の範囲にすることが好ましい。
なお、線状凹領域の形成方向は、圧延方向と直角方向すなわち板幅方向とするのが最適であるが、板幅方向に対し±30°以内であればほぼ同様の効果を得ることができる。
【0034】
さらに、線状凹領域の形成方法としては、最終冷延板の表面に、印刷によりエッチングレジストを塗布、焼き付けた後、エッチング処理を施し、しかるのち該レジストを除去する方法が、従来のナイフの刃先やレーザー等を用いる方法に比較して、工業的に安定して実施できる点、および引張り張力により一層効果的に鉄損を低減できる点で有利である。
【0035】
以下、上記のエッチングによる線状溝形成技術の典型例について具体的に説明する。
最終冷延板の表面に、アルキド系樹脂を主成分とするエッチングレジストインキをグラビアオフセット印刷により、非塗布部が圧延方向にほぼ直角に幅:200μm 、間隔:4mmで線状に残存するように塗布したのち、 200℃で約20秒間焼き付ける。このとき、レジスト厚は2μm 程度とする。このようにしてエッチングレジストを塗布した鋼板に、電解エッチングまたは化学エッチングを施すことにより、幅:200 μm 、深さ:20μm の線状の溝を形成し、ついで有機溶剤中に浸漬してレジストを除去する。この時の電解エッチング条件は、NaCl電解液中で電流密度:10 A/dm2、処理時間:20秒程度、また化学エッチング条件は、HNO3液中で浸漬時間:10秒間程度とすれば良い。
【0036】
ついで、鋼板には脱炭焼鈍が施される。この焼鈍は、冷延組織を1次再結晶組織にすると同時に、最終焼鈍(仕上げ焼鈍とも呼ばれる)で{110}<001>方位の2次再結晶粒を発達させる場合に有害なCを除去することを目的とし、例えば 750〜880 ℃の湿水素中で行う。
【0037】
最終焼鈍は、{110}<001>方位の2次再結晶粒を十分発達させるために施されるもので、通常箱焼鈍によって直ちに1000℃以上に昇温し、その温度に保持することによって行われる。この最終焼鈍は通常、マグネシア等の焼鈍分離剤を塗布して行い、表面にフォルステライト被膜も同時に形成する。
しかしながら、本発明では、フォルステライト下地被膜を形成させたとしても、次工程でこの下地被膜を除去するため、かようなフォルステライト下地被膜を形成させないような焼鈍分離剤の方が有利である。すなわち、フォルステライト下地被膜を形成させる MgOの含有比率を低減し(50mass%以下)、代わってかかる被膜を形成させない CaO, Al2O3, CaSiO3, SiO2, SbCl3, NiCl3, Sr(OH) 等の含有比率を高く(50mass%以上)した焼鈍分離剤が有利である。
【0038】
本発明において{110}<001>方位に高度に集積した2次再結晶組織を発達させるためには、 820℃から 900℃の低温で保定焼鈍する方が有利であるが、その他、例えば 0.5〜15℃/h程度の昇温速度の徐熱焼鈍でも良い。
【0039】
この最終(純化)焼鈍後に、鋼板表面は、フォルステライト下地被膜や酸化物被膜を形成させない表面とすることが望ましい。あるいは、若干の軽酸洗などの化学的方法、切削、研磨などの機械的方法またはこれらの組み合わせにより除去して、鋼板表面を平滑化する。
【0040】
なお、本発明では、珪素鋼板の表面を必ずしも平滑化する必要はない。従ってこの場合には、コストアップを伴う平滑化処理を行わなくても、膜無し材そのまま、または酸洗処理のみで十分な鉄損低減効果を発揮できるという利点がある。とはいえ、やはり平滑化処理を施すことが有利であることに変わりはない。
また、この段階で鋼板表面に凹形状の溝を導入することもできる。溝の導入方法は、最終冷延板または2次再結晶前後の鋼板の表面に施す場合と同じ方法を用いれば良い。
【0041】
上記の処理後、珪素鋼コイルの表面に、図1,図2に示したような Air−to−Air 方式の連続イオンコーティング装置および大容量のHCD装置を用いて、連続的にTiNO被膜を被成する。
本発明では、かかるTiNO被膜の被成に際して、プラズマ雰囲気中にTi+ イオンとAr+ イオンの両者を混在させることが重要である。
このためには、坩堝12の周りにAr+ プラズマの出口として配置した環状のTa管に、20〜300 V程度の電圧(電流:10〜1000A程度)を印加することが重要である。
ここに、TiNO被膜の膜厚は 0.005〜0.5 μm 程度とすることが好ましい。
また、Ti+ イオンとAr+ イオンの比率は、Ti+ イオン 1.0に対して 0.1〜2.0程度とすることが好適である。
【0042】
本発明では、上記したTiNO被膜の上に重ねて、マグネトロン・スパッタ法により、一層または複数層のセラミック張力被膜を被成することができる。
かようなセラミック膜としては、 SiNX 膜が最適であるが、その他Si,B,AlおよびTiの酸化物、炭化物、窒化物、炭窒化物なども、有利に適合する。
この場合、HCD法により成膜するセラミック被膜とマグネトロンスパッタ法で成膜するセラミック被膜は、同種としても構わないが、高温の歪取焼鈍の際にこれらの薄膜をバリヤーとして利用するには、異種とする方が好ましい。
なお、かような上塗り被膜の膜厚については、 0.005〜0.5 μm 程度とすることが好ましい。
【0043】
一方向性珪素鋼板の表面に、上記した一層または複数層のセラミック被膜を被成したのち、絶縁コーティング処理液を塗布、焼き付けて製品とする。
【0044】
【実施例】
C:0.073 mass%、Si:3.44mass%、Mn:0.078 mass%、Se:0.020 mass%、Sb:0.025 mass%、Al:0.020 mass%、N:0.0071mass%およびMo:0.012 mass%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる珪素鋼連鋳スラブを、1350℃で3時間の加熱処理後、熱間圧延を施して厚み:2.1 mmの熱延板とした。ついで1050℃の均一化焼鈍を施したのち、1000℃の中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延を施して0.23mm厚の最終冷延板とした。
ついで、最終冷延板の表面に、アルキド系樹脂を主成分とするエッチングレジストインキをグラビアオフセット印刷により、非塗布部が圧延方向にほぼ直角に幅:200 μm 、間隔:4mmで線状に残存するように塗布したのち、200 ℃で3分間焼き付けた。この時のレジスト厚は2μm であった。このようにしてエッチングレジストを塗布した鋼板に、電解エッチングを施すことにより、幅:200 μm、深さ:20μm の線状の溝を形成し、ついで有機溶剤中に浸漬してレジストを除去した。この時の電解エッチングは、NaCl電解液中で電流密度:10 A/dm2、処理時間:20秒の条件で行った。
その後、 840℃の湿H2中で脱炭・1次再結晶焼鈍を行った後、鋼板表面にMgO(60mass%), Al2O3(10mass%), Sr(OH)(5mass%), SbCl3(20mass%), SiO2(5mass%)の組成になる焼鈍分離剤スラリ−を塗布し、ついで 850℃で15時間焼鈍後、850℃から12℃/hの速度で1050℃まで昇温してゴス方位に強く集積した2次再結晶粒を発達させたのち、1220℃の乾H2中で純化処理を施して膜無し珪素鋼板を作製した。
【0045】
かくして得られた珪素鋼コイルの表面に、直接または酸洗後、図2に示したようなHCD装置を内蔵する、図1に示したような Air−to−Air 方式の連続コーティング装置を用いて、TiNO被膜を 0.1μm 厚成膜した。
ついで、第2層としてマグネトロン・スパッタ法により SiNX 被膜を 0.2μm厚成膜した。
その後、この珪素鋼板の表面に燐酸塩とコロイダルシリカを主成分とする絶縁コーティング液を塗布・乾燥後、815 ℃の窒素中で1分間焼付けたのち、窒素中にて 800℃, 3時間の歪取り焼鈍を施した。
【0046】
かくして得られた製品コイルの磁気特性および被膜密着性は次のとおりであった。
【0047】
【発明の効果】
かくして、木発明に従い、HCD法を用いたTiNO被膜の被成を、Ti+ イオンとAr+ イオンの両者が混在した高プラズマ雰囲気中で行うことにより、セラミック被膜の膜質および密着性に優れ、しかも高温の歪取り焼鈍を施しても特性劣化がない超低鉄損一方向性珪素鋼板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用した Air−to−Air 方式の連続セラミックコーティング装置の模式図である。
【図2】本発明に使用した大容量のHCD装置の模式図である。
【図3】本発明に使用した大容量のHCD装置の上面図である。
【符号の説明】
a 差動排気系
b 予熱室
c HCDプラズマコーティング室
1 差圧シールローラ
2 差圧シール室
3 真空ポンプ
4 ホットローラ
5 電子ビームガン
6 HCD装置
7 真空槽
8 サブストレート(珪素鋼板)
9 HCDガン
10 L型のTaカソード
11 プラズマ電子ビーム
12 坩堝
13 蒸発源(溶融Ti)
14 集束コイル
15 反応ガス(窒素)の供給管
16 Ar+ プラズマの出口
17 Ar+ プラズマ作製のための電圧印加装置
18 Ti+ イオンとAr+ イオン
【発明の属する技術分野】
本発明は、一方向性珪素鋼板の表面に、主として Air−to−Air 方式の連続イオンコーティングラインを用いて、緻密で密着性に優れたTiNO被膜を形成させることにより鉄損特性の一層の改善を図った、超低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一方向性珪素鋼板は、主として変圧器その他の電機機器の鉄心として利用され、磁化特性として磁束密度(B8 値で代表される)が高く、鉄損(W17/50 で代表される)が低いことが要求される。
【0003】
発明者らは先に、特公昭63−54767 号公報等において、研磨により平滑化した一方向性珪素鋼板の表面に、CVDやイオンプレーティング, イオンインプランテーション等のドライプレーティング(PVD)により、Si, Mn, Cr, Ni, Mo,W,V,Ti, Nb, Ta, Hf, Al,Cu, ZrおよびBの窒化物、炭化物のうちから選んだ1種または2種以上の張力被膜を被成することによって超低鉄損が得られることを開示した。
この製造法により、電力用トランスや高周波トランス等の材料として非常に優れた鉄損特性が得られるようになったが、それでもなお、最近の低鉄損化に対する要求に対しては十分に応えているとはいい難かった。
【0004】
そこで、発明者らは、歪取り焼鈍を施さない積鉄心材は勿論のこと、高温の歪取り焼鈍を施す巻鉄心材においても超低鉄損の達成が可能な方法について、鋭意研究を重ねた結果、以下に述べる知見を得た。
すなわち、表面を平滑化した珪素鋼板および線状の溝を導入した珪素鋼板のいずれであっても、かかる珪素鋼板の表面に被成するセラミック張力被膜について、その熱膨張係数が外層側にいくほど小さく、かつその膜厚が外層側にいくほど厚くすることが、鉄損の低減に極めて有効であることを突き止め、これに基づいて極めて鉄損の低い一方向性珪素鋼板を新たに開発した(特許第 3280898号公報)。
【0005】
かくして得られた一方向性珪素鋼板は、極めて薄く、かつ密着性に優れたセラミック張力被膜をそなえ、超低鉄損の達成が可能なだけでなく、絶縁性を具備し、占積率にも優れているため、正に理想的な珪素鋼板といえる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなセラミック被膜、特に Si3N4やSiC等のSi系セラミック被膜は、その熱膨張係数は小さいものの、膜質に若干の問題があり、剪断(カッティング)または 180°曲げ試験を行った場合に、被膜の脆さのために、コーティング膜にクラックが発生し易いところに問題を残していた。
また、このような Si3N4やSiC等のSi系セラミック被膜は、窒素雰囲気中にて800 ℃以上の高温の歪取り焼鈍を施した場合に、しばしば剥離が生じるという問題もあった。
【0007】
本発明は、上記の問題を有利に解決するもので、被膜密着性に優れ、高温の歪取り焼鈍を施した後であっても特性の劣化がない超低鉄損一方向性珪素鋼板の有利な製造方法を提案することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
さて、発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、以下に述べる知見を得た。
(1) イオン化率の優れた中空陰極法(HCD法:Hollow Cathode Discharge)を用いて、TiNOを薄くプレコートし、その上に重ねてマグネトロン・スパッタ法を用いて SiNX などのセラミック膜を被成すると、800 ℃以上の高温での歪取り焼鈍を施した場合であっても、被膜剥離の生じない密着性に優れたセラミック被膜を得ることができる。
【0009】
(2) 上記の方法は、被処理材が、鋼板表面を酸洗や研磨によって平滑化したいわゆる表面平滑化鋼板であれば問題ないが、被処理材が、最終仕上げ焼鈍時にフォルステライト被膜を形成させないようにしたいわゆる膜無し鋼板の場合には、必ずしも満足のいく成果が得られない。すなわち、膜無し鋼板は、その製造に際して表面が良好なものを得ることは難しく、多くの場合鋼板表面に局所的に酸化物が付着している。このような場合には、密着性の良好なTiNOセラミック被膜を珪素鋼板の全面に綺麗に被成するのは極めて困難である。
この問題を解決するには、TiNOセラミック被膜を被成する際、鋼板表面に対するエッチング処理を併せて行うことが有利である。
そのためには、プラズマ雰囲気をTi+ イオンとAr+ イオンが混在した雰囲気とし、Ar+ イオンによって鋼板表面をスパッタしつつ、Ti+ イオンを付着させることが極めて有効である。
【0010】
(3) さらに、できる限り低コストで安定してTiNOセラミック被膜を被成するには、HCD法による連続イオンコーティングラインを用いることが有利である。(井口 征夫著 「中空陰極放電型大電流電子銃を利用した連続イオンプレーティング装置」真空、41巻、8号(1998)、P. 718−721 参照)
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
【0011】
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.仕上げ焼鈍済みの一方向性珪素鋼板の表面に、中空陰極法(HCD法)による連続イオンコーティング装置を使用してTiNOセラミック被膜を被成するに際し、コーティング雰囲気をTi+ イオンとAr+ イオンが混在した高プラズマ雰囲気とし、Ar+ イオンにより鋼板表面をスパッタしつつ、Ti+ イオンを付着させることにより、TiNO被膜を被成することを特徴とする、被膜密着性に優れた超低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法。
【0012】
2.上記1において、TiNO被膜の上に、マグネトロンスパッタ法を用いてセラミック張力被膜を被成することを特徴とする超低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法。
【0013】
3.上記1または2において、連続イオンコーティング装置の坩堝周りに設置されたAr+ イオン供給用の環状Ta管に、電位を印加することを特徴とする超低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明を由来するに至った実験結果について説明する。
C:0.074 mass%、Si:3.39mass%、Mn:0.078 mass%、Se:0.020 mass%、Sb:0.025 mass%、Al:0.020 mass%、N:0.0072mass%およびMo:0.012 mass%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる珪素鋼連鋳スラブを、1350℃、3時間の加熱処理後、熱間圧延により板厚:2.0 mmの熱延板とした。ついで、この熱延板に1030℃、2分間の均一化焼鈍を施したのち、1020℃の中間焼鈍を挟む2回の圧延を施して板厚:0.23mmの最終冷延板とした。
【0015】
ついで、この最終冷延板の表面に、アルキド系樹脂を主成分とするエッチングレジストインキをグラビアオフセット印刷により、非塗布部が圧延方向にほぼ直角に幅:200 μm 、間隔:4mmで線状に残存するように塗布したのち、200 ℃で3分間焼き付けた。この時のレジスト厚は2μm であった。このようにしてエッチングレジストを塗布した鋼板に、電解エッチングを施すことにより、幅:200μm 、深さ:20μm の線状の溝を形成し、ついで有機溶剤中に浸漬してレジストを除去した。この時の電解エッチングは、NaCl電解液中で電流密度:10 A/dm2、処理時間:20秒の条件で行った。
【0016】
その後、 850℃の湿H2中で脱炭・1 次再結晶焼鈍を行った後、鋼板表面に MgO(60mass%), Sr(OH)(5mass%), SbCl3(35mass%)の組成になる焼鈍分離剤スラリ−を塗布してから、 850℃で15時間の焼鈍後、 850℃から10℃/hの速度で1080℃まで昇温してゴス方位に強く集積した2次再結晶粒を発達させた後、1200℃の乾H2中で純化処理を施してフォルステライト被膜を有しない珪素鋼板(以下、膜無し珪素鋼板と呼ぶ)を製造した。
【0017】
かくして得られた膜無し珪素鋼板の表面に、図1に示すような Air−to−Air方式の連続セラミックコーティング装置を用い大容量HCD法によりTiNO被膜を被成する。なお、この図1は、先に引用した文献(井口 征夫著「中空陰極放電型大電流電子銃を利用した連続イオンプレーティング装置」真空、41巻、8号(1998)、P. 718−721 )に掲載した連続イオンプレーティング装置を改良したものである。
【0018】
図1において、領域aは差動排気系、領域bは予熱室、領域cは大容量のHCDプラズマコーティング室を示したものである。
差動排気系aにおいて、番号1は差圧シールローラ、2は差圧シール室、3は真空ポンプであり、かような差動排気系を用いて、予熱室bまで連続的に真空度を上げることにより、2〜5×10−5Torrの高真空状態にすることができる。
また、予熱室bにおいて、4はホットローラ、5は電子ビームガンであり、これらのホットローラ4と電子ビームガン5により、膜無し珪素鋼板を 100〜400℃まで予熱すると共に、鋼板表面の清浄化を図る。
【0019】
次のコーティング室cには、図2に示すような大容量のHCD装置6が設置してある。図中、番号7は真空槽、8はサブストレートである珪素鋼板、9はHCDガン、10はL型のTaカソード(図1ではHCDガンとして、斜方HCDガンを示しているが、その後の実験でL型のTaカソードの方が高速の成膜速度が安定して得られることが判明したので、この方式を採用することにした)、11はプラズマ電子ビーム、12は坩堝、13は蒸発源(この例で溶融Ti)、14は集束コイル、15は反応ガス(窒素)の供給管、16はAr+ プラズマの出口、17はAr+ プラズマ作製のための電圧印加装置、そして18がTi+ イオンとAr+ イオンである。
また、図3は、Taカソードから下を上面図で示したものである。
【0020】
本発明では、プラズマ雰囲気中に、通常のTi+ イオンに加えて、Ar+ イオンを数多く存在させるのが特徴である。すなわち、図2中のAr+ プラズマの出口16、Ar+ プラズマ作製のための電圧印加装置17を用いることによって、プラズマ雰囲気中にTi+ イオンとAr+ イオンの両者を併せて存在させることが可能となる。
そてし、このような状況下では、膜無し珪素鋼板の表面は、Ar+ イオンのスパッタによって綺麗になると同時に、Ti+ イオンの付着により、緻密で密着性に優れたTiNOセラミック被膜の被成が可能となるのである。
【0021】
図2に示した大容量のHCD装置6を採用し、図1に示した連続セラミックコーティング装置を用いて、膜無し一方向性珪素鋼板の表面にTiNO被膜を 0.1μm厚成膜後、さらにマグネトロン・スパッタ法を用いて SiNX を 0.2μm 厚成膜し、ついで絶縁コーティング液を塗布・焼き付けたのち、窒素中にて 800℃, 3時間の歪取り焼鈍を施した後の磁気特性および被膜特性について調べた結果を、表1に示す。
また、表1には、比較のため、従来法に従い、Ar+ イオンの供給なしに同様のセラミック複合被膜を被成した場合の調査結果についても、併記する。
なお、被膜密着性については、セラミック被膜つき一方向性珪素鋼板を、種々の径の棒材に巻付けて 180°曲げ試験を行い、被膜剥離が生じなかった最小径で評価した。
【0022】
【表1】
【0023】
同表から明らかなように、発明例では、W17/50 が 0.57 W/kgと極めて低い鉄損が得られると同時に、剥離径も20mmφと良好であった。
これに対し、従来例では、鉄損W17/50 は 0.69 W/kg程度であり、また剥離径も30mmφにすぎなかった。
【0024】
以上述べたとおり、本発明では、被処理材が膜無し珪素鋼板であっても、その表面をAr+ イオンのスパッタにより綺麗にしつつ、TiNOセラミック被膜を被成することができるので、密着性が向上し、その結果張力付与も増大し、結果として効果的な鉄損の低減が可能になったものと考えられる。
【0025】
【作用】
本発明の素材である含珪素鋼板としては、従来公知の成分組成いずれもが適合するが、代表組成を掲げると次のとおりである。
C:0.01〜0.08mass%
Cは、0.01mass%より少ないと熱延集合組織の抑制が不十分となって大きな伸長粒が形成されるため磁気特性が劣化し、一方0.08mass%より多いと脱炭工程で脱炭に時間がかかり経済的でないので、0.01〜0.08mass%程度とするのが好ましい。
【0026】
Si:2.0 〜4.0mass %
Siは、 2.0mass%より少ないと十分な電気抵抗が得られないため渦電流損が増大して鉄損の劣化を招き、一方 4.0mass%より多いと冷延の際に脆性割れが生じ易くなるので、 2.0〜4.0 mass%程度の範囲とすることが好ましい。
【0027】
Mn:0.01〜0.2 mass%
Mnは、一方向性珪素鋼板の2次再結晶を左右する分散析出相としてのMnSあるいはMnSeを決定する重要な成分である。Mn量が0.01mass%を下回ると2次再結晶を生じさせるのに必要なMnS等の絶対量が不足し、不完全2次再結晶を起こすと同時に、ブリスタ−と呼ばれる表面欠陥が増大する。一方、 0.2mass%を超えると、スラブ加熱等においてMnS等の解離固溶が行われたとしても、熱延時に析出する分散析出相が粗大化し易く、抑制剤として望まれる最適サイズ分布が損なわれて磁気特性が劣化するので、Mnは0.01〜0.2 mass%程度とすることが好ましい。
【0028】
S:0.008 〜0.1 mass%、Se:0.003 〜0.1 mass%
SおよびSeはいずれも、 0.1mass%以下、中でもSは 0.008〜0.1 mass%、またSeは 0.003〜0.1 mass%の範囲とすることが好ましい。というのは、これらが0.1 mass%を超えると熱間および冷間加工性が劣化し、一方それぞれ下限値に満たないとMnS、MnSeとしての1 次粒成長抑制機能に格別の効果を生じないからである。
その他、インヒビタ−として従来公知のAl, Sb, Cu, SnおよびB等を複合添加しても、本発明の効果を妨げるものではない。
【0029】
次に、本発明に従う超低鉄損一方向性珪素鋼板の製造工程について説明する。まず、素材を溶製するには、LD転炉、電気炉、平炉、その他公知の製鋼炉を用い得ることは勿論のこと、真空溶解やRH脱ガス処理を併用することもできる。
【0030】
本発明に従い、素材中に含有されるS、Seあるいはその他の1次粒成長抑制剤を溶鋼中に微量添加する方法としては、従来公知の何れの方法を用いても良く、例えばLD転炉、RH脱ガス終了時あるいは造塊時の溶鋼中に添加することができる。
また、スラブ製造は、コスト低減、さらにはスラブ長手方向における成分あるいは品質の均一性等の経済的・技術的利点のため連続鋳造法の採用が有利ではあるが、従来の造塊スラブの使用を妨げるものではない。
【0031】
連続鋳造スラブは、スラブ中のインヒビタ−を解離・固溶させるために、1300℃以上の温度に加熱される。その後、このスラブは熱間粗圧延ついで熱間仕上圧延が施されて、通常厚み 1.3〜3.3 mm程度の熱延板とされる。
【0032】
次に熱延板は、必要に応じ 850〜1100℃程度の温度範囲で熱延板焼鈍(均一化焼鈍ともいう)を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚とするが、高磁束密度で低鉄損の特性を有する製品を得るには最終冷延率(通常55〜90%)に注意を払う必要がある。
このとき、珪素鋼板の渦電流損をできるかぎり小さくする観点から、製品厚の上限は0.5 mmに、またヒステリシス損の弊害を避けるために板厚の下限は0.05mm程度とすることが好ましい。
【0033】
鋼板表面に線状の溝を形成する場合には、この最終冷延を終え製品板厚となった鋼板に対して行うのがとりわけ有利である。
すなわち、最終冷延板または2次再結晶前後の鋼板の表面に、圧延方向と交差する向きに2〜10mmの間隔で、幅:50〜500 μm 、深さ:0.1 〜50μm の線状の凹領域を形成させるのである。
ここに、線状凹領域の間隔を2〜10mmの範囲に限定したのは、2mmに満たないと鋼板凹凸があまりにも顕著で磁束密度が低下し経済的でなくなり、一方10mmを超えると磁区細分化効果が小さくなるからである。
また、凹領域の幅が50μm に満たないと反磁界効果を利用することが困難となり、一方 500μm を超えると磁束密度が低下し経済的でなくなるので、凹領域の幅は50〜500 μm の範囲にすることが好ましい。
さらに、凹領域の深さが 0.1μm に満たないと反磁界効果を効果的に利用することができず、一方50μm を超えると磁束密度が低下し経済的でなくなるので、凹領域の深さは 0.1〜50μm の範囲にすることが好ましい。
なお、線状凹領域の形成方向は、圧延方向と直角方向すなわち板幅方向とするのが最適であるが、板幅方向に対し±30°以内であればほぼ同様の効果を得ることができる。
【0034】
さらに、線状凹領域の形成方法としては、最終冷延板の表面に、印刷によりエッチングレジストを塗布、焼き付けた後、エッチング処理を施し、しかるのち該レジストを除去する方法が、従来のナイフの刃先やレーザー等を用いる方法に比較して、工業的に安定して実施できる点、および引張り張力により一層効果的に鉄損を低減できる点で有利である。
【0035】
以下、上記のエッチングによる線状溝形成技術の典型例について具体的に説明する。
最終冷延板の表面に、アルキド系樹脂を主成分とするエッチングレジストインキをグラビアオフセット印刷により、非塗布部が圧延方向にほぼ直角に幅:200μm 、間隔:4mmで線状に残存するように塗布したのち、 200℃で約20秒間焼き付ける。このとき、レジスト厚は2μm 程度とする。このようにしてエッチングレジストを塗布した鋼板に、電解エッチングまたは化学エッチングを施すことにより、幅:200 μm 、深さ:20μm の線状の溝を形成し、ついで有機溶剤中に浸漬してレジストを除去する。この時の電解エッチング条件は、NaCl電解液中で電流密度:10 A/dm2、処理時間:20秒程度、また化学エッチング条件は、HNO3液中で浸漬時間:10秒間程度とすれば良い。
【0036】
ついで、鋼板には脱炭焼鈍が施される。この焼鈍は、冷延組織を1次再結晶組織にすると同時に、最終焼鈍(仕上げ焼鈍とも呼ばれる)で{110}<001>方位の2次再結晶粒を発達させる場合に有害なCを除去することを目的とし、例えば 750〜880 ℃の湿水素中で行う。
【0037】
最終焼鈍は、{110}<001>方位の2次再結晶粒を十分発達させるために施されるもので、通常箱焼鈍によって直ちに1000℃以上に昇温し、その温度に保持することによって行われる。この最終焼鈍は通常、マグネシア等の焼鈍分離剤を塗布して行い、表面にフォルステライト被膜も同時に形成する。
しかしながら、本発明では、フォルステライト下地被膜を形成させたとしても、次工程でこの下地被膜を除去するため、かようなフォルステライト下地被膜を形成させないような焼鈍分離剤の方が有利である。すなわち、フォルステライト下地被膜を形成させる MgOの含有比率を低減し(50mass%以下)、代わってかかる被膜を形成させない CaO, Al2O3, CaSiO3, SiO2, SbCl3, NiCl3, Sr(OH) 等の含有比率を高く(50mass%以上)した焼鈍分離剤が有利である。
【0038】
本発明において{110}<001>方位に高度に集積した2次再結晶組織を発達させるためには、 820℃から 900℃の低温で保定焼鈍する方が有利であるが、その他、例えば 0.5〜15℃/h程度の昇温速度の徐熱焼鈍でも良い。
【0039】
この最終(純化)焼鈍後に、鋼板表面は、フォルステライト下地被膜や酸化物被膜を形成させない表面とすることが望ましい。あるいは、若干の軽酸洗などの化学的方法、切削、研磨などの機械的方法またはこれらの組み合わせにより除去して、鋼板表面を平滑化する。
【0040】
なお、本発明では、珪素鋼板の表面を必ずしも平滑化する必要はない。従ってこの場合には、コストアップを伴う平滑化処理を行わなくても、膜無し材そのまま、または酸洗処理のみで十分な鉄損低減効果を発揮できるという利点がある。とはいえ、やはり平滑化処理を施すことが有利であることに変わりはない。
また、この段階で鋼板表面に凹形状の溝を導入することもできる。溝の導入方法は、最終冷延板または2次再結晶前後の鋼板の表面に施す場合と同じ方法を用いれば良い。
【0041】
上記の処理後、珪素鋼コイルの表面に、図1,図2に示したような Air−to−Air 方式の連続イオンコーティング装置および大容量のHCD装置を用いて、連続的にTiNO被膜を被成する。
本発明では、かかるTiNO被膜の被成に際して、プラズマ雰囲気中にTi+ イオンとAr+ イオンの両者を混在させることが重要である。
このためには、坩堝12の周りにAr+ プラズマの出口として配置した環状のTa管に、20〜300 V程度の電圧(電流:10〜1000A程度)を印加することが重要である。
ここに、TiNO被膜の膜厚は 0.005〜0.5 μm 程度とすることが好ましい。
また、Ti+ イオンとAr+ イオンの比率は、Ti+ イオン 1.0に対して 0.1〜2.0程度とすることが好適である。
【0042】
本発明では、上記したTiNO被膜の上に重ねて、マグネトロン・スパッタ法により、一層または複数層のセラミック張力被膜を被成することができる。
かようなセラミック膜としては、 SiNX 膜が最適であるが、その他Si,B,AlおよびTiの酸化物、炭化物、窒化物、炭窒化物なども、有利に適合する。
この場合、HCD法により成膜するセラミック被膜とマグネトロンスパッタ法で成膜するセラミック被膜は、同種としても構わないが、高温の歪取焼鈍の際にこれらの薄膜をバリヤーとして利用するには、異種とする方が好ましい。
なお、かような上塗り被膜の膜厚については、 0.005〜0.5 μm 程度とすることが好ましい。
【0043】
一方向性珪素鋼板の表面に、上記した一層または複数層のセラミック被膜を被成したのち、絶縁コーティング処理液を塗布、焼き付けて製品とする。
【0044】
【実施例】
C:0.073 mass%、Si:3.44mass%、Mn:0.078 mass%、Se:0.020 mass%、Sb:0.025 mass%、Al:0.020 mass%、N:0.0071mass%およびMo:0.012 mass%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる珪素鋼連鋳スラブを、1350℃で3時間の加熱処理後、熱間圧延を施して厚み:2.1 mmの熱延板とした。ついで1050℃の均一化焼鈍を施したのち、1000℃の中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延を施して0.23mm厚の最終冷延板とした。
ついで、最終冷延板の表面に、アルキド系樹脂を主成分とするエッチングレジストインキをグラビアオフセット印刷により、非塗布部が圧延方向にほぼ直角に幅:200 μm 、間隔:4mmで線状に残存するように塗布したのち、200 ℃で3分間焼き付けた。この時のレジスト厚は2μm であった。このようにしてエッチングレジストを塗布した鋼板に、電解エッチングを施すことにより、幅:200 μm、深さ:20μm の線状の溝を形成し、ついで有機溶剤中に浸漬してレジストを除去した。この時の電解エッチングは、NaCl電解液中で電流密度:10 A/dm2、処理時間:20秒の条件で行った。
その後、 840℃の湿H2中で脱炭・1次再結晶焼鈍を行った後、鋼板表面にMgO(60mass%), Al2O3(10mass%), Sr(OH)(5mass%), SbCl3(20mass%), SiO2(5mass%)の組成になる焼鈍分離剤スラリ−を塗布し、ついで 850℃で15時間焼鈍後、850℃から12℃/hの速度で1050℃まで昇温してゴス方位に強く集積した2次再結晶粒を発達させたのち、1220℃の乾H2中で純化処理を施して膜無し珪素鋼板を作製した。
【0045】
かくして得られた珪素鋼コイルの表面に、直接または酸洗後、図2に示したようなHCD装置を内蔵する、図1に示したような Air−to−Air 方式の連続コーティング装置を用いて、TiNO被膜を 0.1μm 厚成膜した。
ついで、第2層としてマグネトロン・スパッタ法により SiNX 被膜を 0.2μm厚成膜した。
その後、この珪素鋼板の表面に燐酸塩とコロイダルシリカを主成分とする絶縁コーティング液を塗布・乾燥後、815 ℃の窒素中で1分間焼付けたのち、窒素中にて 800℃, 3時間の歪取り焼鈍を施した。
【0046】
かくして得られた製品コイルの磁気特性および被膜密着性は次のとおりであった。
【0047】
【発明の効果】
かくして、木発明に従い、HCD法を用いたTiNO被膜の被成を、Ti+ イオンとAr+ イオンの両者が混在した高プラズマ雰囲気中で行うことにより、セラミック被膜の膜質および密着性に優れ、しかも高温の歪取り焼鈍を施しても特性劣化がない超低鉄損一方向性珪素鋼板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用した Air−to−Air 方式の連続セラミックコーティング装置の模式図である。
【図2】本発明に使用した大容量のHCD装置の模式図である。
【図3】本発明に使用した大容量のHCD装置の上面図である。
【符号の説明】
a 差動排気系
b 予熱室
c HCDプラズマコーティング室
1 差圧シールローラ
2 差圧シール室
3 真空ポンプ
4 ホットローラ
5 電子ビームガン
6 HCD装置
7 真空槽
8 サブストレート(珪素鋼板)
9 HCDガン
10 L型のTaカソード
11 プラズマ電子ビーム
12 坩堝
13 蒸発源(溶融Ti)
14 集束コイル
15 反応ガス(窒素)の供給管
16 Ar+ プラズマの出口
17 Ar+ プラズマ作製のための電圧印加装置
18 Ti+ イオンとAr+ イオン
Claims (3)
- 仕上げ焼鈍済みの一方向性珪素鋼板の表面に、中空陰極法(HCD法)による連続イオンコーティング装置を使用してTiNOセラミック被膜を被成するに際し、コーティング雰囲気をTi+ イオンとAr+ イオンが混在した高プラズマ雰囲気とし、Ar+ イオンにより鋼板表面をスパッタしつつ、Ti+ イオンを付着させることにより、TiNO被膜を被成することを特徴とする、被膜密着性に優れた超低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法。
- 請求項1において、TiNO被膜の上に、マグネトロンスパッタ法を用いてセラミック張力被膜を被成することを特徴とする超低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法。
- 請求項1または2において、連続イオンコーティング装置の坩堝周りに設置されたAr+ イオン供給用の環状Ta管に、電位を印加することを特徴とする超低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法。
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JP2002189929A JP2004027348A (ja) | 2002-06-28 | 2002-06-28 | 被膜密着性に優れた超低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100503894C (zh) * | 2006-12-21 | 2009-06-24 | 武汉科技大学 | 一种高硅取向硅钢薄板的制备方法 |
CN109457222A (zh) * | 2018-11-28 | 2019-03-12 | 合肥如真空设备有限公司 | 高温真空蒸发离化镀膜装置及其操作方法 |
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2002
- 2002-06-28 JP JP2002189929A patent/JP2004027348A/ja active Pending
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