JP2001303235A - 被膜特性に優れたSiNX系セラミック薄膜を有する超低鉄損一方向性けい素鋼板およびその製造方法 - Google Patents

被膜特性に優れたSiNX系セラミック薄膜を有する超低鉄損一方向性けい素鋼板およびその製造方法

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JP2001303235A JP2000123833A JP2000123833A JP2001303235A JP 2001303235 A JP2001303235 A JP 2001303235A JP 2000123833 A JP2000123833 A JP 2000123833A JP 2000123833 A JP2000123833 A JP 2000123833A JP 2001303235 A JP2001303235 A JP 2001303235A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉄損特性に優れ、しかも高温の歪取焼鈍後で
あっても鉄損の劣化や耐電圧、層間抵抗の劣化がなく、
また被膜密着性にも優れる、超低鉄損一方向性けい素鋼
板を提供する。 【解決手段】 表面酸化物を除去した一方向性けい素鋼
板の表面に、直流マグネトロン・スパッタ法によってSi
X 系セラミック被膜を成膜するに際し、成膜処理の初
期段階は、けい素鋼板に対してバイアス電圧を印加する
電圧制御でコーティングを行い、その後、バイアス電圧
をオフにして、上記の電圧制御から電流制御に切り換え
てコーティングを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、被膜特性に優れ
たSiNX 系セラミック薄膜を有する超低鉄損一方向性け
い素鋼板およびその製造方法に関し、特にSiNX 系セラ
ミック被膜について、その膜厚方向にわたって傾斜機能
を付与することにより、被膜特性の有利な向上を、その
薄膜化に併せて達成しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】発明者らは、これまで長年にわたって一
方向性けい素鋼板の磁気特性の改善に取り組んでおり、
その一例として、仕上げ焼鈍済みの一方向性けい素鋼板
の表面酸化物を除去し、 ついで研磨処理を施したのち、
この研磨表面にPVDやCVD処理によって窒化物や炭
化物などの薄膜の張力被膜を被成させることからなる鉄
損低減技術が挙げられる(例えば特公昭63−32849 号,
同63−32850 号,同63−35684 号,同63−35685 号,同
63−35686 号および同63−35687 号各公報)。
【0003】上記の被膜形成法のうち、特にPVD法
は、CVD法よりも高速成膜が可能でしかも低温で成膜
できることから、低鉄損一方向性けい素鋼板の製造に適
している。その中でも、特にHCD(Hollow Cathode D
ischarge)法は、緻密で平滑なセラミック膜が得られ、
しかも比較的高速でのセラミック被膜の成膜が可能であ
ることから、かかるけい素鋼板の製造に最適とされてい
た。
【0004】しかしながら、このHCD法では、例えば
代表例であるTiNセラミック被膜を考えた場合、(1) 素
材(Ti)コストが高価である、(2) Tiの蒸着効率が15〜
20%と低い、(3) コーティングに使用するためのTaカソ
ード、集束コイル等が高価であることから、このコーテ
ィング手法におけるセラミック被膜の製造コストが極め
て高価となることが問題として指摘されてきた。
【0005】そこで、発明者らは、再度、コーティング
手法とコーティング物質について根本的な検討を行っ
た。その結果、HCD法を利用したイオンプレーティン
グ法に代えて、直流マグネトロン・スパッタ法を利用す
れば、高速でしかも膜質に優れた薄いSiNX 系セラミッ
ク被膜をけい素鋼板の表面に被成することができ、その
結果、より安価でかつより鉄損特性に優れた一方向性け
い素鋼板の製造が可能になることを見出し、特開平11−
131252号公報において開示した。
【0006】また、発明者らは、かかる直流マグネトロ
ン・スパッタ法を用いてけい素鋼板の表面に薄いSiNX
系セラミック膜を被成する際のSiターゲットの素材とし
ては、半導体のウェハに使用したような高純度のSiの素
材(99.9999999%)は必要なく、低純度で安価なフエロ
ーSiやメターSiで十分であることも併せて解明した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記した
SiNX 系セラミック被膜の成膜技術の改良に係わり、特
に従来よりも膜厚を薄くしても、従って従来より短時間
かつ低コストの下でも、優れた被膜特性を有する、すな
わち高温の歪取焼鈍後においても鉄損の劣化や耐電圧、
層間抵抗の劣化がなく、また密着性にも優れた被膜を有
する、超低鉄損一方向性けい素鋼板を、その有利な製造
方法と共に提案することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】さて、発明者らは、上記
の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、直流マグネ
トロン・スパッタ法による成膜処理の極初期段階は、け
い素鋼板に対してバイアス電圧を印加した状態でコーテ
ィングを行うことが、密着性に優れた被膜を得る上で極
めて有効であることの知見を得た。この発明は、上記の
知見に立脚するものである。
【0009】なお、従来、Siウェハーを作製する際に
も、直流マグネトロン・スパッタ法が利用されてきた
が、この場合は膜質と成膜速度のみしか考慮してなかっ
たため、このようなSiウェハーの製造においては、むし
ろ成膜速度が遅く、しかも膜質の劣化を伴う、バイアス
電圧を印加するが如き電圧制御には特に考慮が払われて
いなかった。
【0010】すなわち、この発明の要旨構成は次のとお
りである。 1.表面にSiNX 系セラミックの薄膜を有する一方向性
けい素鋼板であって、上記SiNX 系セラミック薄膜が、
電圧制御による直流マグネトロン・スパッタ法で成膜し
た第1層と電流制御による直流マグネトロン・スパッタ
法で成膜した第2層からなることを特徴とする、被膜特
性に優れたSiNX 系セラミック薄膜を有する超低鉄損一
方向性けい素鋼板。
【0011】2.上記1において、SiNX 系セラミック
被膜の膜厚が0.15〜0.35μm である、超低鉄損一方向性
けい素鋼板。
【0012】3.表面酸化物を除去した一方向性けい素
鋼板の表面に、直流マグネトロン・スパッタ法を利用し
てSiNX 系セラミック被膜を成膜するに際し、成膜処理
の初期段階は、けい素鋼板に対してバイアス電圧を印加
する電圧制御でコーティングを行い、その後、バイアス
電圧をオフにして、上記の電圧制御から電流制御に切り
換えてコーティングを行うことを特徴とする、被膜特性
に優れたSiNX 系セラミック薄膜を有する超低鉄損一方
向性けい素鋼板の製造方法。
【0013】4.上記3において、けい素鋼板に対し、
成膜処理の初期段階に印加するバイアス電圧が−30〜−
500 Vである、超低鉄損一方向性けい素鋼板の製造方
法。
【0014】5.上記3または4において、電圧制御か
ら電流制御への切り換え時期が、SiN X 系セラミック被
膜の膜厚が目標膜厚の1/30〜1/2になった時点であ
る、超低鉄損一方向性けい素鋼板の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、この発明を由来するに至っ
た実験結果について説明する。 C:0.077 mass%, Si:3.33mass%, Mn:0.075 mass
%, Se:0.020 mass%,Sb:0.023 mass%, Al:0.020 m
ass%, N:0.0072mass%およびMo:0.012 mass%を含
有し、残部は実質的にFeの組成になるけい素鋼連鋳スラ
ブを、1350℃, 5時間の加熱処理後、熱間圧延により板
厚:2.0 mmの熱延板とした。ついで、1050℃, 1.5 分間
の均一化焼鈍後、1050℃の中間焼鈍を挟む2回の圧延を
施して板厚:0.23mmの最終冷延板とした。
【0016】その後、最終冷延板に次のような処理を施
した。最終冷延板の表面に、アルキド系樹脂を主成分と
するエッチングレジストインキをグラビアオフセット印
刷により、非塗布部が圧延方向にほぼ直角に幅:200μm
, 間隔:4mmで線状に残存するように塗布したのち、
200℃で3分間焼き付けた。このときのレジスト厚は2
μm であった。このようにしてエッチングレジストを塗
布した鋼板に、電解エッチングを施すことにより、幅:
200 μm 、深さ:20μm の線状の溝を形成し、ついで有
機溶剤中に浸漬してレジストを除去した。このときの電
解エッチングは、NaCl電解液中で電流密度:10 A/dm2
処理時間:20秒の条件で行った。
【0017】その後、 840℃の湿H2 中で脱炭・1次再
結晶焼鈍を施したのち、鋼板表面にMgO(20mass%), Al2
O3(45mass%), CaSiO3(15mass%), SiO2(20mass%)の組
成になる焼純分離剤スラリーを塗布し、ついで 850℃で
15時間の焼鈍後、 850℃から12℃/hの速度で1150℃まで
昇温してゴス方位に強く集積した2次再結晶拉を発達さ
せたのち、1220℃の乾H2 中で純化処理を施した。
【0018】かくして得られた製品の表面被膜を除去
し、ついで化学研磨によりけい素鋼板の表面を平滑化し
たのち、その表面上に、図1に模式図で示すような直流
マグネトロン・スパック装置を用いて、Si系のセラミッ
ク被膜を被成した。図1に示したところにおいて、図中
番号1は真空槽、2は試料であるけい素鋼板、3は試料
の回転台、4は反応ガス投入口、5はシャッター、6は
フェローSiターゲット、7はマグネット、8は冷却水で
あり、9はスパック電源、10はバイアス電源、11は切り
換えスイッチ、そして12はRF(Radio Frequency)装置
である。なお、図1の左側には、この発明によるバイア
ス印加による電圧の変化状況も併せて示す。
【0019】上記の成膜処理において、コーティング条
件は次の6とおりとした。 (1) 投入パワー:5kWの下に、N2 ガス:40sccm(1分
間当たり。以下同じ)中で約0.02μm 厚のSi系セラミッ
ク被膜を−60Vのバイアス電圧を印加しながら被成し
た。その後、バイアス電圧の切り換えスイッチ11によっ
てバイアス電圧をオフにし、電圧制御から電流制御に切
り換えて約0.05μm 厚のSi系セラミック被膜をN2
ス:80sccm中で被成した。 さらに、その上に絶縁被膜を 0.7μm 厚に塗布焼付し、
窒素ガス中にて 800℃, 3hの焼鈍を施した後のけい素
鋼板の鉄損、耐電圧、層間抵抗および被膜密着性を測定
した(発明法)。
【0020】(2) 投入パワー:5kWの下に、N2 ガス:
40sccm中で約0.02μm 厚のSi系セラミック被膜を被成し
た。その後、約0.05μm 厚のSi系セラミック被膜をN2
ス:80sccm中で被成した。さらに、その上に絶縁被膜を
0.7μm 厚に塗布焼付し、窒素ガス中にて 800℃, 3h
の焼鈍を施した後のけい素鋼板の鉄損、耐電圧、層間抵
抗および被膜密着性を測定した(従来法)。
【0021】(3) 投入パワー:5kWの下に、N2 ガス:
40sccm中で約0.02μm 厚のSi系セラミック被膜を−60V
のバイアス電圧を印加しながら被成した。その後、N2
ガス:80sccmおよびO2 ガス:10sccm中で、同じく−60
Vのバイアス電圧を印加しながら約0.55μm 厚のSi系セ
ラミック被膜を被成した。さらに、窒素ガス中にて 800
℃, 3hの焼鈍を施した後のけい素鋼板の鉄損、耐電
圧、層間抵抗および被膜密着性を測定した(比較法)。
【0022】(4) 投入パワー:5kWの下に、N2 ガス:
40sccm中で約0.02μm 厚のSi系セラミック被膜を−60V
のバイアス電圧を印加しながら被成した。その後、バイ
アス電圧の切り換えスイッチ11によってバイアス電圧を
オフにし、電圧制御から電流制御に切り換えて約0.55μ
m 厚のSi系セラミック被膜をN2 ガス:80sccmおよびO
2 ガス:10sccm中で被成した。さらに、窒素ガス中にて
800℃, 3hの焼鈍を施した後のけい素鋼板の鉄損、耐
電圧、層間抵抗および被膜密着性を測定した(発明
法)。
【0023】(5) 投入パワー:5kWの下に、N2 ガス:
40sccm中で約0.02μm 厚のSi系セラミック被膜を被成し
た。その後、N2 ガス:80sccmおよびO2 ガス:10sccm
中で約0.55μm 厚のSi系セラミック被膜を被成した。さ
らに、窒素ガス中にて 800℃, 3hの焼鈍を施した後の
けい素鋼板の鉄損、耐電圧、層間抵抗および被膜密着性
を測定した(従来法)。
【0024】(6) Si系セラミック被膜を被成しないま
ま、絶縁被膜を 0.7μm 厚塗布焼付し、窒素ガス中にて
800℃, 3hの焼鈍を施した後のけい素鋼板の鉄損、耐
電圧、層間抵抗および被膜密着性を測定した(従来
法)。 得られた結果を整理して表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】同表に示したように、この発明に従う上記
(1), (4)の条件で成膜した場合には、高温の歪取焼鈍後
においても、けい素鋼板の磁気特性とくに鉄損W17/15
は、0.56, 0.54 W/kg という極めて低い値を呈し、しか
も耐電圧、層間抵抗および被膜密着性も良好であった。
なお、被膜密着性は、直径:20mmφの丸棒を用いて 180
°曲げ変形時における被膜の剥離状況によって評価する
ものとし、全く剥離が生じなかった場合を(○)、部分
的に剥離が生じた場合を(△)、全面に剥離が生じた場
合を(×)で表した。
【0027】この発明に従い、マグネトロン・スパッタ
処理を2段階に分け、コーティングの極初期段階では、
けい素鋼板にバイアス電圧を印加した状態、すなわち電
圧制御によって成膜することで、地鉄に対して極めて密
着性のよい下地被膜(第1層)を形成することができ
る。しかしながら、その後も電圧制御による成膜を継続
すると被膜の膜質が劣化するので、これを防止するため
に電圧制御から電流制御に切り換えるのである。また、
この電流制御では、成膜速度の上昇も図れるので、処理
時間を短縮できるという効果もある。なお、より緻密で
膜質に優れたセラミック被膜を作成するためには、図1
中に番号12で示したRF装置を利用することが一層有利
である。
【0028】かくして、鉄損の低減に有効なのはいうま
でもなく、耐電圧、層間抵抗および被膜密着性にも優れ
たSiNX 系セラミック被膜を得ることができたのであ
る。特に、この発明では、けい素鋼板で最も重要とされ
る高温の歪取焼鈍後においても、諸特性に優れた方向性
けい素鋼板を安定して得ることができるという利点があ
る。
【0029】この発明において、成膜処理の初期段階に
けい素鋼板に対して印加するバイアス電圧は、−30〜−
500 V程度とすることが好ましい。というのは、初期電
圧が−30Vを上回ると、基板に効果的にイオン化粒子を
付着できなくなり、一方−500 Vを下回ると異常放電が
多発する不利が生じるからである。特に好適な初期電圧
は、−50〜−100 Vの範囲である。
【0030】また、電圧制御から電流制御への切り換え
時期は、被膜厚が目標膜厚の1/30〜1/2になった時
点とするのが好適である。というのは、この発明では、
電圧制御によって被成すべき密着性に優れた下地被膜の
膜厚は極めて薄くて良く、膜厚全体の1/30程度で十分
だからであり、一方、切り換え時期が、被膜厚が膜厚全
体の1/2を超えると、やはり膜質の劣化が生じるから
である。特に好適な切り換え時期は、被膜厚が目標膜厚
の1/10〜1/5になった時点である。
【0031】さらに、この発明に従って被成するSiNX
系セラミック被膜の膜厚は、0.15〜0.35μm 程度とする
のが好適である。というのは、この発明に従い、電圧制
御によって地鉄の表面に密着性に優れた第1層を被成し
ておけば、従来(通常、0.50〜0.75μm 程度)よりも薄
い膜厚で同等の効果が得られるからである。
【0032】図2に、この発明に従ってSiNX 系セラミ
ック薄膜を成膜した場合と従来法に従って成膜した場合
の、膜厚と鉄損改善代(ΔW17/50)との関係について調
べた結果を比較して示す。同図に示したとおり、この発
明に従って成膜した場合には、膜厚が0.15μm 程度でか
なりの鉄損の改善が見られ、0.35μm 程度でその効果は
上限値に達している。これに対し、従来法に従った場合
には、被膜形成による鉄損改善効果は弱く、膜厚が0.50
μm 程度になってやっと満足できる効果が得られ、また
効果の上限値に達するのは膜厚がほぼ0.75μm になった
時点である。このように、本発明によれば、従来よりも
膜厚を薄くすることが可能となるので、占積率を向上さ
せる点でも有利である。
【0033】なお、この発明の素材である方向性けい素
鋼板としては、従来公知のもの何れもが適合する。ま
た、その形状については、金属ストリップは勿論のこ
と、切り板にも適用できるのは言うまでもない。
【0034】
【実用例】C:0.073 mass%,Si:3.39mass%,Mn:0.
072 mass%,Se:0.021 mass%,Al:0.020 mass%,M
o:0.013 mass%およびSb:0.025mass%を含有し、残部
は実質的にFeの組成になるけい素鋼熱延板を、冷延2回
法によって0.20mm厚の最終冷延板としたのち、脱炭・一
次再結晶焼鈍を施し、 ついで2次再結晶焼鈍および純化
焼鈍を施したのち、 酸洗により表面酸化物を除去後、電
解研磨により鋼板表面をRaで 0.8μm 以下の鏡面状態に
仕上げた。ついで、前掲第1図に示したマグネトロン・
スパッタ装置を用いて、投入パワー:5kWの下に、N2
ガス:40sccm中で約0.02μm 厚のSiNX 系セラミック被
膜を−60Vのバイアス電圧を印加しながら被成した。そ
の後、バイアス電圧をオフにし、電圧制御から電流制御
に切り換えて、N2 ガス:80sccm中で処理することによ
り、約0.05μm 厚のSiNX 系セラミック被膜を被成し
た。さらに、その上に絶縁被膜を 0.7μm 厚に塗布焼付
し、窒素ガス中で 800℃,3hの焼鈍を施した。かくし
て得られた方向性けい素鋼板の鉄損、耐電圧、層間抵抗
および被膜密着性について調べた結果を表2に示す。な
お、比較のため、SiNX 系セラミック被膜を被覆しない
まま絶縁被膜を0.7μm 厚に塗布焼付し、窒素ガス中で
800℃, 3hrの焼鈍を施した後のけい素鋼板の鉄損、耐
電圧、層間抵抗および被膜密着性について測定した結果
も、表2に併記する。
【0035】
【表2】
【0036】同表から明らかなように、この発明によれ
ば、高温の歪取焼鈍後においても、諸特性に優れた一方
向性けい素鋼板を得ることができた。
【0037】
【発明の効果】かくして、この発明によれば、より安価
でかつより鉄損特性に優れ、しかも高温の歪取焼鈍を施
しても鉄損の劣化や耐電圧、層間抵抗の劣化がなく、さ
らには密着性にも優れたSiNX 系セラミック薄膜付き超
低鉄損一方向性けい素綱板を安定して得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施に用いて好適なマグネトロン
・スパッタ装置の模式図である。
【図2】 この発明に従ってSiNX 系セラミック薄膜を
成膜した場合と従来法に従って成膜した場合の、膜厚と
鉄損改善代(ΔW17/50)との関係を比較して示したグラ
フである。
【符号の説明】
1 真空槽 2 試料(けい素鋼板) 3 回転台 4 反応ガス投入口 5 シャッター 6 フェローSiターゲット 7 マグネット 8 冷却水 9 スパック電源 10 バイアス電源 11 切り換えスイッチ 12 RF装置

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面にSiNX 系セラミックの薄膜を有す
    る一方向性けい素鋼板であって、上記SiNX 系セラミッ
    ク薄膜が、電圧制御による直流マグネトロン・スパッタ
    法で成膜した第1層と電流制御による直流マグネトロン
    ・スパッタ法で成膜した第2層からなることを特徴とす
    る、被膜特性に優れたSiNX 系セラミック薄膜を有する
    超低鉄損一方向性けい素鋼板。
  2. 【請求項2】 請求項1において、SiNX 系セラミック
    被膜の膜厚が0.15〜0.35μm である、超低鉄損一方向性
    けい素鋼板。
  3. 【請求項3】 表面酸化物を除去した一方向性けい素鋼
    板の表面に、直流マグネトロン・スパッタ法を利用して
    SiNX 系セラミック被膜を成膜するに際し、成膜処理の
    初期段階は、けい素鋼板に対してバイアス電圧を印加す
    る電圧制御でコーティングを行い、その後、バイアス電
    圧をオフにして、上記の電圧制御から電流制御に切り換
    えてコーティングを行うことを特徴とする、被膜特性に
    優れたSiNX 系セラミック薄膜を有する超低鉄損一方向
    性けい素鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3において、けい素鋼板に対し、
    成膜処理の初期段階に印加するバイアス電圧が−30〜−
    500 Vである、超低鉄損一方向性けい素鋼板の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項3または4において、電圧制御か
    ら電流制御への切り換え時期が、SiNX 系セラミック被
    膜の膜厚が目標膜厚の1/30〜1/2になった時点であ
    る、超低鉄損一方向性けい素鋼板の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100503894C (zh) * 2006-12-21 2009-06-24 武汉科技大学 一种高硅取向硅钢薄板的制备方法

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CN100503894C (zh) * 2006-12-21 2009-06-24 武汉科技大学 一种高硅取向硅钢薄板的制备方法

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