JPH0682887B2 - 可視光半導体レーザ装置及び化合物半導体結晶の成長方法 - Google Patents

可視光半導体レーザ装置及び化合物半導体結晶の成長方法

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JPH0682887B2
JPH0682887B2 JP1068784A JP6878489A JPH0682887B2 JP H0682887 B2 JPH0682887 B2 JP H0682887B2 JP 1068784 A JP1068784 A JP 1068784A JP 6878489 A JP6878489 A JP 6878489A JP H0682887 B2 JPH0682887 B2 JP H0682887B2
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【発明の詳細な説明】 (イ)産業上の利用分野 本発明はAlGaInP(アルミニウム−ガリウム−インジウ
ム−燐)系可視光半導体レーザ装置に関する。
また本発明は、化合物半導体、特にGaInP結晶あるいはA
lGaInP結晶を成長させる方法に関する。
(ロ)従来の技術 MOCVD法(有機金属化学気相成長法)は、GaInP結晶成長
のための一つの有効な方法である。しかし、この方法に
より成長したGaInP結晶には、しばしば多くの結晶欠陥
が観察される。例えば、(100)面を表面とするGaAs
(ガリウム、砒素)基板上に、GaInP結晶をMOCVD法によ
り成長させると、成長表面に、断面が楕円球状の隆起
(ヒロック)からなる結晶欠陥が1cm2当り6,000個程度
発生する。
先行技術としてのJournal of Crystal Growth17(197
2),189−206には、CVD法によりGaAs基板上にGaAsを成
長させる際に、基板として、その面方位を(100)面か
ら[110]方向に2°〜5°傾けたものを用いることに
より、成長結晶表面における、不所望なピラミット状ヒ
ロックの発生を大きく減少し得ることが記載されてい
る。
また、Journal of Crystal Growth,68(1984),483-489
には、MOCVD法を用いて製造したAlGaInP系半導体レーザ
装置が記載されている。第4図にその構造を示す。
図において、(21)はn型GaAsからなる基板で、その一
主面(21a)には(100)面から[110]方向に2°傾斜
した面が用いられている。
(22)は基板(21)の一主面(21a)上に0.7μm厚みで
積層されたn型GaAsからなるバッファ層、(23)は該バ
ッファ層(22)上に1.4μm厚みで積層されたn型(Al
0.3Ga0.7)0.5In0.5Pからなるn型クラッド層、(24)は
該n型クラッド層(23)上に0.23μm厚みで積層された
アンドープGa0.5In0.5Pからなる活性層、(25)は該活
性層(24)上に1.4μm厚みで積層されたp型(Al0.3Ga
0.7)0.5In0.5Pからなるp型クラッド層、(26)は該p
型クラッド層(25)上に1.0μm厚みで積層されたp型G
aAsからなるキャップ層である。
(27)は上記キャップ層(26)上に積層されたSiO2から
なるブロック層で、キャップ層(26)に達する幅20〜23
μmのストライプ溝(28)を有する。(29)は露出した
キャップ層(26)上及びブロック層(27)上に、Zn膜、
Au膜がこの順に被着されたAu/Zn電極からなるp型電
極、(30)は上記基板(21)の他主面(21b)上に、Ni
膜、Ge膜、Au膜がこの順に被着されたAu/Ge/Ni電極から
なるn型電極である。
(ハ)発明が解決しようとする課題 斯るJournal of Crystal Growth,68(1984),483−489
に記載された従来装置では、製造された各装置毎の発振
しきい値電流のばらつきが大きく、製造歩留りが悪いと
いった問題があった。
そこで本発明者らは斯る従来装置において各半導体を積
層した後、最上部のキャップ層表面を調べたところ、結
晶欠陥(ヒロック)が多く観察された。
即ち、Journal of Crystal Growth17(1972)、189−20
6に記載されているGaAs基板の成長面として(100)面か
ら[110]方向に2°〜5°傾斜面を用いることは、CVD
法によるGaAs結晶の成長において有効であり、MOCVD法
によるAlGaInP系半導体結晶の成長にとっては有効では
ない。
したがって、本発明はMOCVD法を用いて、GaAs基板上に
結晶欠陥の少ないAlGaInP系半導体結晶を成長させる方
法を提供すると共に、製造される装置毎の発振しきい値
電流のばらつきが小さく、製造歩留りの良いAlGaInP系
半導体レーザ装置を提供するものである。
(ニ)課題を解決するための手段 本発明の可視光半導体レーザ装置は、GaAs基板と、該Ga
As基板の一主面上であって且つ該主面に直接に接して形
成された結晶欠陥の発生が抑圧されてなるGaInPバッフ
ァ層と、該GaInPバッファ層上に形成された活性層を含
むAlGaInP系半導体層と、を備え、上記GaAs基板の上記
一主面に(100)面から[011]方向に5°〜7°傾斜し
た面を用いることを特徴とする。
また、本発明の可視光半導体レーザ装置は、(100)面
から[011]方向に5°〜7°傾斜した面を主面とするG
aAs基板と、該主面に被着形成することで上記方向への
傾斜に因り初期成長の結晶欠陥の発生が抑圧されたGaIn
Pバッファ層と、該GaInPバッファ層上に形成された活性
層を含むAlGaInP系半導体層と、を備えることを特徴と
する。
特に、前記GaInPバッファ層は、Ga0.5In0.5Pバッファ
層であることことを特徴とする。
また、本発明の化合物半導体結晶の成長方法は、GaAs基
板の(100)面から[011]方向に5°〜7°傾斜した面
上であって且つ該面に直接に接して結晶欠陥の発生を抑
圧してなるGaInP結晶あるいはAlGaInP結晶をMOCVD法に
より成長させることを特徴とする。
更に、本発明の化合物半導体結晶の成長方法は、GaAs基
板の(100)面から[011]方向に5°〜7°傾斜した面
にMOCVD法を用いて被着成長することで、上記方向への
傾斜に因り初期成長の結晶欠陥の発生が抑圧されたGaIn
P結晶あるいはAlGaInP結晶を得ることを特徴とする。
(ホ)作用 本発明方法によれば、GaAs基板上に成長したGaInP(InG
aP)結晶のヒロックは、1cm2当り100個程度に激減す
る。この理由は、特定方位に傾いた基板結晶面の作用に
より、MOCVD法の成長初期(初期成長)において、ヒロ
ックの原因となるGaのドロップレットの発生が大幅に低
減するためである。
本発明方法は、Alを少量含むAlGaInP(InGaAlP)結晶の
成長にも適用され得る。
また本発明装置によれば、GaAs基板上に積層されるGaIn
Pからなるバッファ層は上述の如く、結晶欠陥(ヒロッ
ク)の少ない良質なものとなる。通常エピタキシャル成
長における成長層の結晶性は下層の結晶性に大きく影響
される。したがって本発明装置においてバッファ層上に
積層されるAlGaInP系の各半導体層は結晶性良く形成さ
れる。
(ヘ)実施例 第1図に本発明の方法を実施するための装置のブロック
図を示す。この装置自体は周知であり、GaAs基板(1)
は、反応器(2)内において、サセプタ(3)上に固定
される。サセプタ(3)は成長時に8〜10rpmの速度で
回転駆動される。流水路(4)が容器(2)の外壁に密
着して容器(2)を冷却し、一方、容器(2)を取り巻
くRFコイル(5)がサセプタ(3)の加熱を可能にす
る。容器(2)の排気は、フィルタ(6)を介してロー
タリポンプ(7)の作用で行われる。容器(2)に導入
される反応ガス発生は、TMGa(トリメチルガリウム)液
槽(8)やTMIn(トリメチルインジウム)液槽(9)
に、夫々定流量器(10)を通じてH2(水素ガス)を流し
込み、バブリングすることにより達成される。その他の
反応ガスやキャリアガスとしてPH3(フオスフィン)やH
2が夫々定流量器(10)を通じて反応容器(2)に適宜
導入される。
斯る装置において、基板(1)の温度を640℃に保持
し、PH3ガス/(TMGガス+TMInガス)500の流量比で
各ガスを容器(2)内に導入すると共に、容器内圧力を
70Torrに維持して減圧MOCVD法により、約1.2μの厚さの
InGaP結晶成長を行った。尚、成長開始前の基板加熱時
に、周知の如く、アルシンガスを流し、基板からのAsの
散逸を防止するのが良い。
上記成長に際し、基板面方位を各種選択した場合の、成
長結晶に対する結晶欠陥(ヒロック)密度(1cm2当り
のヒロック数)の測定結果、並びにアルゴンレーザ(波
長約5145Å)励起によるフオトルミネッセンス測定結果
を下表に示す。
この測定結果より、本実施例によれば、欠陥が非常に少
なく、結晶性の良好なInGaP結晶を得られることが判
る。
本実施例において、成長条件は適宜変更でき、例えば成
長温度は620℃〜670℃の範囲で適当である。しかし、基
板面方位の(100)面から[011]方向への傾斜角は5°
以上、好ましくは5°〜7°の範囲に設定されねばなら
ず、さもなければ、結晶欠陥密度の減少に対する十分な
効果を得られない。
本発明方法は、InGaP結晶の成長のみならず、Alを少量
含むInGaAlP結晶の成長にも有効に適用され得る。
本発明方法によって、良質のInGaP結晶あるいはInGaAlP
結晶を作成できるため、斯る結晶を用いたダブルヘテロ
接合レーザダイオードを実現できる。第2図にその一実
施例を示す。
図において、(11)はキャリア濃度2×1018cm-3のn型
GaAsからなる基板で、その一主面(11a)を研摩により
(100)面から[011]方向に5°以上、例えば5°傾斜
したものである。
(12)はバッファ層、(13)はn型クラッド層、(14)
は活性層、(15)はp型クラッド層、(16)はキャップ
層で、これらの層は成長温度620〜670℃例えば670℃、
反応室内圧力70Torrの減圧MOCVD法を用いて、基板(1
1)の一主面(11a)上に順次積層される。下表にこれら
の層の他の形成条件を示す。
(17)はキャップ層(16)上にスパッタ法を用いて積層
されたSiO2からなるブロック層で、キャップ層(16)に
達する幅6μmのストライプ溝(18)がエッチング形成
されている。
(19)は露出したキャップ層(16)上及びブロック層
(17)上にCr膜、Au膜がこの順に真空蒸着されたAu/Cr
電極からなるp型電極、(20)は基板(11)の他主面
(11b)上にCr膜、Sn膜、Au膜がこの順に真空蒸着され
たAu/Sn/Cr電極からなるn型電極である。これらの電極
は400℃の熱処理によって、キャップ層(16)あるいは
基板(11)とオートミック接触する。
また、装置の動作電圧の増加を抑える目的で、p型クラ
ッド層(15)とキャップ層(16)の間にGa0.5In0.5Pか
らなる周知の中間層を設けてもよい。
以上の構造を有する本実施例装置を25個作製し、室温、
パルス駆動で動作させた時の発振しきい値電流を測定し
た。その結果を第3図(a)に示す。また比較例とし
て、基板(11)の一主面(11a)を(100)面から[01
1]方向に2°傾斜した面とし、バッファ層(12)をGaA
sとし、他は本実施例装置と同じ構造の比較装置を25個
作製し、同様な測定を行った。その結果を第3図(b)
に示す。
第3図(a)及び(b)から、本実施例装置では、比較
装置に比べて、発振しきい値電流のばらつきが少ないこ
とがわかる。また、本実施例装置と比較装置でMOCVD法
による各半導体層の形成の後、各キャップ層表面を観察
したところ、比較装置で1000〜10000個/cm2発生してい
たヒロックが本実施例装置では100個/cm2以下であっ
た。これより本実施例装置の発振しきい値電流にばらつ
きが少ないのは、このヒロックが少なくなったこと、即
ち形成される半導体層の結晶性が向上したことによるも
のと考えられる。
本実施例装置では基板(11)の一主面(11a)に、(10
0)面から[011]方向に5°傾斜した面を用いたが、斯
る傾斜角は5°以上であればよく、好ましくは5〜7°
である。即ち、傾斜角が5°未満では形成される半導体
層の結晶性の向上に十分な効果が得られず、7°より大
では傾斜面の形成に時間がかかり、製造上実用的でない
からである。
また、本発明はブロック層にSiO2を用いるオキサイドス
トライプ型のレーザに限らず、各種構造の半導体レーザ
装置に適用できることは勿論である。
(ト)発明の効果 本発明方法は、GaAs基板の(100)面から[011]方向に
5°〜7°傾斜した面、即ち、該方向への傾斜に因り、
後工程で形成する該面に直接に接して形成されるGaInP
結晶あるいはAlGaInP結晶の結晶欠陥の発生、特に初期
成長過程における結晶欠陥の発生を効果的に抑圧するこ
とができるので、斯るGaInP結晶あるいはAlGaInP結晶は
結晶欠陥が非常に少なく、結晶性に優れたものとなる。
また、本発明装置は、GaAs基板の(100)面から[011]
方向に5°〜7°傾斜した面、即ち、該方向への傾斜に
因り、結晶欠陥の発生、特に初期成長過程における結晶
欠陥の発生が抑圧されたGaInPバッファ層を備えるの
で、該GaInPバッファ層上に形成された各半導体層の結
晶性が向上する。従って、発振しきい値電流のばらつき
が小さくなり、装置の製造歩留まりが向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の方法を実施するための装置のブロック
図、第2図は本発明装置の一実施例を示す断面図、第3
図(a)及び同図(b)は本発明の実施例装置及び比較
装置の発振しきい値電流を夫々測定した特性図、第4図
は従来装置を示す断面図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】GaAs基板と、該GaAs基板の一主面上であっ
    て且つ該主面に直接に接して形成された結晶欠陥の発生
    が抑圧されてなるGaInPバッファ層と、該GaInPバッファ
    層上に形成された活性層を含むAlGaInP系半導体層と、
    を備え、上記GaAs基板の上記一主面に(100)面から[0
    11]方向に5°〜7°傾斜した面を用いることを特徴と
    する可視光半導体レーザ装置。
  2. 【請求項2】(100)面から[011]方向に5°〜7°傾
    斜した面を主面とするGaAs基板と、該主面に被着形成す
    ることで上記方向への傾斜に因り初期成長の結晶欠陥の
    発生が抑圧されたGaInPバッファ層と、該GaInPバッファ
    層上に形成された活性層を含むAlGaInP系半導体層と、
    を備えることを特徴とする可視光半導体レーザ装置。
  3. 【請求項3】前記GaInPバッファ層は、Ga0.5In0.5Pバ
    ッファ層であることを特徴とする請求項1又は2記載の
    可視光半導体レーザ装置。
  4. 【請求項4】GaAs基板の(100)面から[011]方向に5
    °〜7°傾斜した面上であって且つ該面に直接に接して
    結晶欠陥の発生を抑圧してなるGaInP結晶あるいはAlGaI
    nP結晶をMOCVD法により成長させることを特徴とする化
    合物半導体結晶の成長方法。
  5. 【請求項5】GaAs基板の(100)面から[011]方向に5
    °〜7°傾斜した面にMOCVD法を用いて被着成長するこ
    とで、上記方向への傾斜に因り初期成長の結晶欠陥の発
    生が抑圧されたGaInP結晶あるいはAlGaInP結晶を得るこ
    とを特徴とする化合物半導体結晶の成長方法。
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