JPH0678781A - 硫酸酸性多糖ポルフィラン資化性微生物による多糖分解 物の製造方法 - Google Patents

硫酸酸性多糖ポルフィラン資化性微生物による多糖分解 物の製造方法

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JPH0678781A
JPH0678781A JP26410091A JP26410091A JPH0678781A JP H0678781 A JPH0678781 A JP H0678781A JP 26410091 A JP26410091 A JP 26410091A JP 26410091 A JP26410091 A JP 26410091A JP H0678781 A JPH0678781 A JP H0678781A
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polysaccharide
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sulfuric acid
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Yorikazu Sonoda
頼和 園田
Kenji Kida
建次 木田
Naoki Takahashi
直喜 高橋
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KUMAMOTO MARINE BIO KENKYU KAI
KUMAMOTO MARINE BIO KENKYU KAIHATSU KYODO KUMIAI
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KUMAMOTO MARINE BIO KENKYU KAI
KUMAMOTO MARINE BIO KENKYU KAIHATSU KYODO KUMIAI
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 硫酸酸性多糖ポルフィランに、アシネトバク
ター属に属するポルフィラン資化性微生物であるアシネ
トバクター属SP.KP-47 株を作用させてオリゴ糖を製造
することを特徴とするオリゴ糖を製造法。 【効果】 本発明により硫酸酸性多糖ポルフィランから
オリゴ糖を効率よく製造することができた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微生物を用いて硫酸酸
性多糖ポルフィランを分解してオリゴ糖を製造する方法
に関し、この方法により硫酸酸性多糖ポルフィランが効
率よく多糖分解物に分解される。
【0002】
【従来の技術】最近、食品の三次機能いわゆる生理活性
機能についての研究が盛んに行われている。その中で、
糖質の生理活性機能が数多く明らかにされている。例え
ば、多糖のコレステロール低下作用及び整腸作用(未来
食品技術研究所:食品と開発,Vol 24,No.2,34-38(198
8) )、オリゴ糖の低う蝕性(鈴木一正,中島良和:食
品工業,4 下34−39(1983))、水分活性調整作用(伊東
祐四:月刊フードケミカル,10,4-9(1988))及びビフィ
ズス菌生長促進(岡田厳太郎等:蛋白質核酸酵素,V0l2
9,No13,1486-1507(1984))などである。特に注目される
ものに、海苔及び海苔の硫酸酸性多糖ポルフィランには
抗腫瘍活性があると野田ら(H.Noda, H.Amano, K.Arashi
ma, S.Hashimoto, and K.Nisizawa: Nippon Suisan Gak
kaishi, 55,1265-1271 (1989))により報告がされてい
る。さらに、硫酸酸性多糖には血液抗凝固作用、結合組
織刺激作用(R.L.Whistlor, A.H.King, G.Ruffini, and
F.A.Lucas: Arch. Biochem. Biophys., 121, 358-363
(1967))等の生理活性があることで、生化学的にも重要
なものである。また、人間が常用しており安全性は保証
されていることから、今後硫酸酸性多糖ポルフィランの
医薬分野での利用価値はかなり高いものといえる。しか
し、ポルフィランそのものは高粘性であるため経口及び
注射投与には適していない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者らは
硫酸酸性多糖ポルフィランをそれらを資化する微生物に
より加水分解し多糖分解物を得るべく、有明海沿岸から
の海苔腐敗物及び土壌からポルフィラン資化性細菌のス
クリーニングを行ない、多糖分解物生産能の高い微生物
を採取し、これを用いて本発明を完成するに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、硫酸酸性多糖
ポルフィランにアシネトバクター属に属するポルフィラ
ン資化性微生物を作用させて多糖分解物を製造すること
を特徴とする多糖分解物の製造法にある。そして、アシ
ネトバクター属に属する硫酸酸性多糖ポルフィラン資化
性微生物としては、アシネトバクター属SP.KP-47株があ
げられる。
【0005】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
方法に使用する微生物としては、硫酸酸性多糖ポルフィ
ランを資化、分解してオリゴ糖を生成する微生物であれ
ばいずれも使用できるが、たとえば、アシネトバクター
(Acinetobacter )属SP.KP−43株が用いられる。この
微生物は、有明海沿岸から海苔腐敗物及び土壌を採取
し、この中に含まれる微生物からフラスコ振盪培養によ
りポルフィラン資化能の高い74株を分離し、この74株の
中で多糖分解物生産能の最も高いものを選択して得たも
のである。
【0006】この微生物の培養に使用する培地には、炭
素源として、グルコース、蔗糖、デキストリン、澱粉、
グリセリンなどが、窒素源として、は、硫酸アンモニウ
ム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸ソーダ
の無機窒素源、あるいは、ペプトン、酵母エキス、コー
ンスチープリカー、アミノ酸等の有機窒素源が、無機塩
として、リン酸塩、鉄、銅、マグネシウム、マンガン、
コバルト、亜鉛、カルシウムなどを、また、必要に応じ
てビタミン類などを適宜に組み合わせて用いる。培地に
は、場合によっては消泡のために界面活性剤を含ませる
こともできる。
【0007】本発明で使用する粗製ポルフィランは、次
のように調製したものが用いられる。即ち、スサビノリ
2.5kg を100 ℃で4時間熱水処理し、濾過した後、その
濾液を真空薄膜式濃縮機(大川原製作所製)を用いて濃
縮する。その後、この濃縮液にエタノールを66%になる
ように加えてポルフィランを沈澱させ濾別した後、この
濾過ケーキをエタノールで洗浄し、減圧乾燥により粗製
ポルフィランを得る。
【0008】この粗製ポルフィランの成分組成を表1に
示すが、有機物含有率は乾物ベースで86.7%であった。 なお、粗製ポルフィランの培地への添加量は20g/Lであ
る。 (1)ポルフィラン資化性微生物のスクリーニング ポルフィラン資化性微生物の分離には、有明海沿岸(熊
本県、佐賀県)周辺の土壌、汚水及び海苔腐敗物等から
採取した139サンプルを用いた。
【0009】サンプルを合成培地(粗製ポルフィラン2.
0%とNH4NO3 0.1%、KH2PO4 0.01%、FeCl3・6H2O 0.
6×10-4%から成るものである)10mlの入った試験管に
接種し、2日間、振盪培養(30℃、pH7.6)した後、さら
に同条件で試験管培養を行った(集積培養)。集積培養
後、三角フラスコで5日間、振盪培養(30℃、pH7.6)
し、培養液の粘度、OD値の経時変化、及び培養上澄液の
薄層クロマトグラフィー(TLC)によりポルフィラン
資化能の高い4菌群を選択した。
【0010】選択した菌群を無菌水で10-5〜10-8に希釈
し、平板培地(上記合成培地に寒天2.0 %を加えたも
の) に塗布した。その後、30℃で2日間培養した後、出
現したコロニーの中で大きかった74コロニーを単離し
た。この74コロニーを試験管で2日間、振盪培養(30
℃、pH7.6)した後、培養上澄液をTLC分析した(1次
スクリーニング)。1次スクリーニングにより4菌株
(OD値;KP-3, 3.98;KP-6, 5.50;KP-7, 3.82;KP-43,
4.50)選択した。この4菌株についてフラスコ振盪培養
を再度行ない、培養液の粘度、OD値を測定しその結果を
図1に示した。また、生成物を確認するためTLCを行
った(2次スクリーニング)。その結果を図2に示す。
【0011】菌の増殖はKP-6株以外は対数増殖期もなく
増殖し、1日で定常増殖期に達した。また培養液の粘度
は、1日で急激に下がり菌の増殖に伴ってポルフィラン
が低分子化されていることが分った。そこで、それぞれ
の培養上澄液糖成分をTLCで分析した( 図2)。その
結果、4株ともスポットが上昇し、ポルフィランが分解
されていることが分った。図中右端は標準物質のTLC
の結果を示しているが、これらのRf値から多糖分解物
の平均重合度は約17と算出された。特にKP-43株は目的
の多糖分解物のスポットが大きかったので、多糖分解物
生成菌として選択した。 (2)菌の同定 菌株の形態及び運動性は倒立型システム顕微鏡(OLYMPU
S TO41)により、また鞭毛の有無は透過型電子顕微鏡
(JEOL, JEM-100C)により観察した。生理的性質は、Co
wan and Steel の特性表(Cowan, S.T. and K.J.Steel:
Manual for the Identification of Medical Bacteria,
2nd ed., Cambridge University Press,London (1974)
)及び、Stanier らの方法(R.Y.Stainer, N.J.Pallero
ni and M.J.Doudoroff, J.Gen.Microbiol., 43, 159(19
66))であるオキシファームチューブII(日本ロッシュ
製)を用いて行った。
【0012】KP-43 株の形態的及び生理的性質を図9及
び表2に示した。本菌は 1.0×1.15μm のグラム陰性桿
菌であり、運動性はなく、鞭毛も有していなかった(図
9)。また絶対好気性、オキシダーゼ陰性、カタラーゼ
陽性であった。資化性試験では、クエン酸は資化した
が、尿素、アルギニン、リジンは資化できなかった。ま
た各種炭素源からの酸生成は見られなかった。
【0013】これらの特徴から、 Cowan and Steelの特
性表に従い、 KP-43株をアシネトバクター(Acinetobac
ter )属 sp.と同定した。既に報告されているVibrio、
Pseudomonas(L.M.Morrice et al.,J.Biochem.,135,553-
558(1983) と異なるが、Acinetobacter は一般に数種の
分泌酵素を持つと報告されていることから、ガラクトー
スを構成糖とする硫酸酸性多糖を分解、資化できたと思
われる。
【0014】このアシネトバクター属SP.KP-43株は、工
業技術院微生物工業技術研究所に微工研菌寄第12329号
として寄託している。 表2 KP-43株の分類学上の特性 ────────────────────────── 性質またはテスト KP-43 ────────────────────────── 形 態 桿菌 運動性 非運動性 大きさ 1.0 −1.15μm 至適温度 33℃ 至適 pH 6.5 グラム染色 − カタラーゼ + オキシダーゼ − アルギニンジヒドラーゼ − リジンジカルボキシラーゼ − インドール − ウレアーゼ − クエン酸 + 炭素源からの酸生成 Ana-Glc a) − Aer-Glc b) − キシロース − マルトース − マンニトール − シュークローズ − ────────────────────────── a) 嫌気条件下でのグルコース b) 好気条件下でのグルコース (3)本菌株の好気培養による硫酸酸性多糖ポルフィラ
ンの分解 本菌株の好気培養により硫酸酸性多糖ポルフィランを分
解、資化するための培養条件の検討を行った。
【0015】(a)培養温度 KP-43株の多糖分解物生産に及ぼす培養温度の影響を調
べるために、培養温度30、33、35℃でフラスコ振盪培養
を行った。培養液のOD値と直糖の経時変化から、増殖の
最適温度は33℃であった(図3)。しかし、TLC分析
で糖成分を分析すると、33℃よりも35℃で培養したほう
が目的のスポットが大きくなり、多糖分解物が多く蓄積
することが分った(図4)。
【0016】(b)培養pH フラスコ振盪培養ではpH制御が難しかったので、ジャー
ファーメンターを用い培養温度35℃で比増殖速度に及ぼ
す培養pHの影響を調べた。図5に示したようにpH6.5に
おいて最大比増殖速度0.168h-1を示した。また、pH5.5,
6.5, 8.0の培養上澄液について、TLC分析したとこ
ろ、多糖分解物のスポットには大差はなかったが、培養
pH6.5において原点のスポットが少し上昇していること
が分った(図6)。
【0017】以上の結果からポルフィラン分解物の蓄積
条件(以後、生成条件とする)は培養温度35℃、培養pH
6.5とした。なお、上記培養温度及びpHの検討は、フ
ラスコ振盪培養およびジャーファーメンターによる好気
培養により行った。それぞれの条件は、次の通りであ
る。 (a)フラスコ振盪培養 合成培地を試験管(φ25mm、長さ200mm)及び500ml三角
フラスコにそれぞれ10ml、90mlずつ分注し、オートクレ
ーブで120℃、1kg/cm2G 、10分間滅菌処理した。
【0018】前培養は、試験管培地に1白金耳植菌した
後、30℃で24時間振盪培養した。この前培養液10mlを滅
菌した 500ml三角フラスコ培地に無菌的に植菌し、ロー
タリーシェーカー(TAKASAKI製作所)でフラスコ振盪培
養(30℃)を行った。なおフラスコ振盪培養に使用した
合成培地は0.1% Tris-HCl(pH7.6)でpH調整されたもの
である。 (b)ジャーファーメンターによる好気培養 滅菌した合成培地75mlを含む500ml三角フラスコ2本に
菌体を1白金耳植菌し、30時間振盪培養したものを前培
養液とした。
【0019】この前培養液 150mlを、オートクレーブで
滅菌処理(1kg/cm2 、10min)した1.35lの合成培地を
含むジャーファーメンター( 実容積1.5 l)に無菌的に植
菌し、培養温度35℃、通気量1VVM 、攪拌速度550rpmで
好気培養した。この培養液を経時的にサンプリングし、
粘度、OD値、全糖及び直糖の分析をおこなった。なお、
このジャーファーメンターを用いた培養においては、1
N NaOHと1N HClでpHを主として6.5になるように制御
した。 (4)ポルフィラン分解物の分析 (a)薄層クロマトグラフィー(TLC)分析 TLCは、薄層ゲルKieselgel 60F254 (MERCK製、20×2
0cm)に4μl スポットした後、溶媒n-ブタノール・イソ
プロピルアルコール・水(3:12:4v/v)からなる展開
液で30℃、150 分間展開した。その後、プレートに検出
剤(2%w/v ジフェニルアミン、2%v/v アニリン、15
%v/v 濃リン酸を含むアセトン溶液)を噴霧した後、90
℃で 15min放置することにより発色させた。 (b)高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析 高速液体クロマトグラフィーは島津製作所 LC-3Aを用
い、検出はJasco RID-300 型示差屈折計検出器で行っ
た。カラムは TSK-GEL G3000PWXL(30cm×7.8mm ID、東
ソー製)を用い、カラム温度は70℃とした。移動相とし
て蒸留水を用い、0.5ml/minの流速で送液した。 (c)Sephadex G-50 による分子量分画 ゲル濾過による分子量分画の試料には粗製ポルフィラン
を水に溶解して1.6%w/v 濃度としたものと、培養20時
間目のジャーファーメンター培養(pH6.5, 35℃)上澄
液をエバポレーターで約10倍濃縮したものを用いた。各
溶液0.5mlをSephadex G-50(fine, ファルマシア社製)
を充填したカラム(2.5cm ID×100cm)に添加した。リン
酸 Buffer(pH6.7)を用い、1ml/minの流速で溶出させ、
4mlずつ分取した。得られた画分についてTOC(全有
機炭素)値を測定し、ピーク画分の全糖、直糖を測定
し、この値から平均重合度を算出した。 (d)その他の分析方法 105℃、2時間乾燥させた粗製ポルフィランについては
有機物、全糖、直糖、タンパク質、灰分を測定した。培
養液もしくは培養上澄液については菌体濃度、粘度、全
糖、直糖、タンパク質を、また酵素反応液については直
糖を分析した。なお、培養上澄液は 8,900×g、20min
遠心分離したものである。ゲル濾過により得た画分につ
いてはTOCを測定した。
【0020】粗製ポルフィランの灰分は、JIS K 0102-1
986 (Japanese Industrial Standards Committee. Ash
(p.32-33), Testing methods for industrial wasterwa
ter,JIS KO102-1986, Japanese Standards Associatio
n, Tokyo(1986))による強熱減量から算出した。直糖はS
omogyi-Nelson法(Somoyi,M.(1952).J.Biol.Chem.,195,1
9.)により、また全糖は2% HCl、100℃で150分間加水
分解した後、直糖の分析法に従い分析した。タンパク質
はBovine serum albumin(MERCK) を標準物質としてLowr
y-Folin法(O.H, Lowry, N.J.Rosebrough, A.L.Farr, R.
J.Randa11, J.Biol.Chem., 193,265(1951))により分析
した。TOCの値は島津製作所TOC-500を用い測定し
た。
【0021】培養中の菌体濃度は吸光光度計(UV-160、
島津製作所)を用い波長 660nmでの吸光度から測定し
た。また、粘度はB型粘度計(東京計器)にBLアダプタ
ーを取りつけ、35℃、回転速度30rpmで測定した。 (5)酵素的分解による多糖分解物の生成 本発明のアシネトバクター属SP.KP-43菌株のフラスコ振
盪培養液を80%硫安飽和溶液により塩析し、次いで透析
した溶液を粗酵素液(416mU/ml)として用い、酵素反応を
行わせた。その結果、生成される直糖は898μg/mlであ
り、培養液を作用させたとき程ではないが、硫酸酸性多
糖ポルフィランが分解されている。
【0022】
【発明の効果】本発明により硫酸酸性多糖ポルフィラン
から多糖分解物を効率よく製造することができた。以
下、実施例により本発明を詳細に説明する。
【0023】
【実施例】滅菌した合成培地(粗製ポルフィラン2.0%
とNH4NO3 0.1%、KH2PO4 0.01%、FeCl3・6H2O 0.6×
10-4%から成るものである)75mlを含む500ml三角フラス
コ2本に菌体を1白金耳植菌し、30時間振盪培養したも
のを前培養液とした。この前培養液 150mlを、オートク
レーブで滅菌処理(1kg/cm2 、10min)した1.351 l の
上記合成培地を含むジャーファーメンター( 実容積1.5
l)に無菌的に植菌し、培養温度35℃、通気量1VVM 、攪
拌速度550rpmで好気培養した。この培養液を経時的にサ
ンプリングし、粘度、OD値、全糖及び直糖の分析をおこ
なった。なお、このジャーファーメンターを用いた培養
においては、1N NaOHと1N HClでpHを主として6.5に
なるように制御した。
【0024】菌の増殖は、OD値の変化から培養2〜3時
間から対数増殖期に入り、20時間で定常増殖期に達する
が、培養液の粘度は培養開始直後から低下し、増殖停止
時に3c.p.まで低下した(図7)。それに伴い平均重合
度は100から15まで低下した。全糖濃度は増殖停止時に
おいても9.5g/lとかなり残存していたが、培養35時間目
から再度減少した。また、全糖の低下に伴い直糖が大き
く増加した。しかし、全糖、直糖の変化にもかかわらず
平均重合度は15とほぼ一定値を示した。
【0025】以上の結果から、多糖分解物は経時的に変
化していくものと推察された。そこで各培養時間におけ
る多糖分解物生成収率を次式により算出した。なお、培
養上澄液中の全糖値から直糖を差し引いた値を多糖分解
物と仮定した。また、(全糖)iは培地中の全糖濃度で
ある。 培養開始20、35、45時間後の多糖分解物生成収率はそれ
ぞれ80.3, 69.2, 55.6%となった。培養時間の経過とと
もに生成収率は低下するが、培養20時間目で達成された
最大値80.3%は、ポルフィラン資化性細菌の好気培養に
よる多糖分解物の生産を可能にするものと期待された。
【0026】なお、全糖値から直糖を差し引いた値を多
糖分解物とした妥当性を確認するためSephadex G-50に
よる分子量分画を行った。図8に示したように1.6%粗
製ポルフィランをゲル濾過した場合分画している試験管
の28本目にピークが検出されたが、培養20時間目の上澄
み液では28本目は32本目と低分子側にシフトしており、
多糖は完全に分解されていることが確認された。
【0027】以上の結果から、硫酸酸性多糖ポルフィラ
ンは短時間で糖化され、多糖分解物が生産されることが
分った。
【図面の簡単な説明】
【図1】一次スクリーニングにより選択した4菌株の増
殖(OD値)と粘度の経時変。
【図2】一次スクリーニングにより選択した4菌株の培
養上澄のTLC。
【図3】KP-43株の増殖(OD値)と直糖生成におよぼす
培養温度の影響。
【図4】KP-43株の温度別培養上澄液のTLC。
【図5】KP-43株の増殖(比増殖速度)におよぼす培地p
Hの影響。
【図6】KP-43株の各pHでの培養上澄液のTLC。
【図7】KP-43株のジャーファメンター好気培養で経時
変化(pH6.5 、35℃) 。
【図8】KP-43株の培養上澄み液のSephadex G-50 によ
る溶出曲線(−○−1.6%粗製ポルフィラン、−●−20時
間培養上澄液)。
【図9】KP-43株の電子顕微鏡写真。
【図10】DEAE-Sephadex A-25によるUF膜濃縮液の溶出曲
線。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年8月31日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】一次スクリーニングにより選択した4菌株の増
殖(OD値)と粘度の経時変。
【図2】一次スクリーニングにより選択した4菌株の培
養上澄のTLC。
【図3】KP-43株の増殖(OD値)と直糖生成におよぼす
培養温度の影響。
【図4】KP-43株の温度別培養上澄液のTLC。
【図5】KP-43株の増殖(比増殖速度)におよぼす培地p
Hの影響。
【図6】KP-43株の各pHでの培養上澄液のTLC。
【図7】KP-43株のジャーファメンター好気培養で経時
変化(pH6.5、35℃)。
【図8】KP-43株の培養上澄液のSephadex G-50による溶
出曲線(−○− 1.6%粗製ポルフィラン、−●−20時間
培養上澄液)。
【図9】電子顕微鏡で見たKP-43株の形態を示す図。
【図10】DEAE-Sephadex A-25によるUF膜濃縮液の溶出曲
線。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫酸酸性多糖ポルフィランにアシネトバ
    クター属に属するポルフィラン資化性微生物を作用させ
    て多糖分解物を製造することを特徴とする多糖分解物を
    製造法。
  2. 【請求項2】 アシネトバクター属に属する硫酸酸性多
    糖ポルフィラン資化性微生物がアシネトバクター属SP.K
    P-47株である請求項1記載の多糖分解物を製造法。
JP26410091A 1991-10-11 1991-10-11 硫酸酸性多糖ポルフィラン資化性微生物による多糖分解 物の製造方法 Pending JPH0678781A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6402659B1 (en) 1999-10-12 2002-06-11 Isuzu Motors Limited Starting clutch controls for continuous variable transmissions

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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