JPH067854A - 複合プレス型 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ワークの一般部に対して所定角度捩れたタブ
を一工程で成形する。 【構成】 カットダイ２とパッド５とでワークＷの一般
部Ｍを加圧した状態でドライバー１０を下降させる。ド
ライバー１０の下降変位とロータリーダイ８の回転変位
とにより、タブＴの幅方向両端部を押し切りながら、そ
のタブＴを所定角度だけ捩る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、パネル状のワークの一
部に連続して形成したタブに板厚方向のせん断力を加え
てせん断しながら、そのタブに捩りを加えることによっ
てワークに対しタブを所定角度傾斜させる加工を行うよ
うにした複合プレス型に関する。

【０００２】

【従来の技術】図３に示すように、パネル状のワークＷ
の端部にその一般部Ｍに対して所定角度捩れたかたちの
タブＴを一体に形成することがある。このようなタブＴ
の加工は、予め一般部Ｍから面一状態のまま延設形成し
たタブＴに単純な捩りを加えるだけでは足りず、その一
般部ＭとタブＴとの連結部にせん断加工を施して切り込
みを入れる必要があることから、一般的には図４，５に
示すように二工程に分けて行われる。

【０００３】すなわち、図４に示す最初の工程では、ワ
ークＷの一般部Ｍをブランクホルダ５１とパッド５２と
で加圧拘束した上（同図（Ａ））、ワークＷをブランク
ホルダ５１とパッド５２とで加圧拘束したまま下降させ
てタブＴをダイ５３に着座させる（同図（Ｂ））。この
状態からポンチ５４を下死点まで下降させることによ
り、タブＴのおよそ半分がダイ５３とポンチ５４とで押
し切られてその両者の間に拘束される（同図（Ｃ））。

【０００４】一方、図５に示す二工程目では、ワークＷ
の一般部Ｍをブランクホルダ６１とパッド６２とで加圧
拘束した上（同図（Ａ））、タブＴのうち一工程目で押
し切られた部分にポンチ６３が接触するまでそのポンチ
６３のみを下降させる（同図（Ｂ））。そして、タブＴ
にポンチ６３が接触したならばワークＷとポンチ６３と
を一体的に下降させ、タブＴのうち残りの半分をダイ６
４とパッド６２とで上方に押し切り、最終的には成形さ
れたタブＴ全体をダイ６４とポンチ６３とで加圧拘束す
ることによってタブＴが所定形状に仕上げられる（同図
（Ｃ））。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の加
工方法においては、二工程に分けて加工を行っているた
めに工程数の増加や型製作費の高騰を招くだけでなく、
一旦は断面略「く」の字状に折り曲げたタブＴを再度展
開させるかたちで真直なタブＴに仕上げているため、最
終的にタブＴと一般部Ｍとの連結部となるタブＴの中央
部に歪みが残り、タブＴの表裏両面の平面精度の向上に
限界がある。

【０００６】本発明は以上のような課題に着目してなさ
れたもので、その目的とするところは、所定角度まで捻
られたタブを一工程で加工することができ、しかもタブ
の表裏両面の平面精度の向上を図った複合プレス型の構
造を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、ワークの一部
に連続して形成したタブに、板厚方向のせん断力を加え
てせん断しながら、このタブに捩りを加えることによっ
て前記ワークに対しタブを所定角度傾斜させるようにし
た複合プレス型の構造であって、互いに接近離間動作す
る下ホルダーと上ホルダーのうちいずれか一方のホルダ
ーに固定されるとともに切刃が形成されたカットダイ
と、前記一方のホルダーのうちタブに対応する部分に回
転可能に設けられるとともに切刃が形成され、非加工状
態では前記カットダイと面一状態をなすロータリーダイ
と、前記他方のホルダーに上下動可能に弾性支持される
とともに切刃が形成され、前記ホルダー同士の接近動作
に応じてワークのうちタブを除いた部分を前記カットダ
イとともに加圧して拘束する一方、前記ロータリーダイ
の回転時にはそのロータリーダイ側の切刃とともにタブ
にせん断加工を施すパッドと、前記他方のホルダーのう
ちロータリーダイと対向する位置に固定されるとともに
切刃のほかに傾斜した加圧面が形成され、前記ホルダー
同士の接近動作に応じてカットダイ側の切刃とともにタ
ブにせん断加工を施す一方、前記ロータリーダイを回転
させながらそのロータリーダイと加圧面との間にタブを
拘束してそのタブに捩りを加えるドライバーとから構成
される。

【０００８】

【作用】この構造によると、ロータリーダイがドライバ
ーによって回転駆動されることで、カットダイとドライ
バーとによるせん断と、ロータリーダイとパッドとによ
るせん断とが同時に行われる。したがって、タブはその
幅方向の両端で併行してせん断が行われながら、ドライ
バーとロータリーダイとによって徐々に捩られる。そし
て、成形末期にはタブがドライバーとロータリーダイと
によってその表裏両面から加圧拘束される。

【０００９】

【実施例】図１，２は本発明の一実施例を示す図で、上
型が下死点まで下降して加工が終了した直後の状態を示
している。

【００１０】図１，２に示すように、下ホルダー１には
固定下刃（切刃）２ａを有するカットダイ２が固定され
ており、他方、上ホルダー３のうち前記カットダイ２と
対向する部分には弾性体４を介してパッド５が上下動可
能に弾性支持されていて、このパッド５にもそのエッジ
部に上刃（切刃）５ａが形成されている。そして、下ホ
ルダー１に対して上ホルダー３が下降することにより、
ワークＷのうちタブＴを除いた部分すなわちワークＷの
一般部Ｍが前記カットダイ２とパッド５とによって加圧
拘束される。

【００１１】また、前記下ホルダー１にはダイリテーナ
６が固定されており、このダイリテーナ６にはピン７お
よび円弧状の受容部６ａを介して略半円状のロータリー
ダイ８が回転可能に支持されている。ロータリーダイ８
は、前記ワークＷのうちタブＴに対応するようにカット
ダイ２に隣接して設けられており、前記カットダイ２側
の側面と平坦な加圧面８ｂとのなす稜線部には可動下刃
（切刃）８ａが形成されている。

【００１２】そして、前記ロータリーダイ８には、ダイ
リテーナ６との間に張設された引張コイルスプリング９
によって図１の時計回り方向の付勢力が与えられてお
り、したがって上ホルダー３が上昇している状態では前
記ロータリーダイ８の加圧面８ｂがカットダイ２の上面
と面一状態となるように設定されている。

【００１３】一方、前記上ホルダー３のうちロータリー
ダイ８と対向する部分にはパッド５に隣接するドライバ
ー１０が固定されている。このドライバー１０には斜状
の加圧面１０ｂが形成されているとともに、その加圧面
１０ｂとパッド５側の側面とのなす稜線部には上刃が形
成され、さらにドライバー１０のうち前記ロータリーダ
イ８の回転中心であるピン７から所定量ａだけオフセッ
トした位置にはローラ１１が設けられている。

【００１４】したがって、本実施例構造によると、予め
タブＴが一般部Ｍと面一で且つ一体に形成されたワーク
Ｗをカットダイ２上に位置決めした上で上ホルダー３を
下降させる。上ホルダー３が下降すると、最初にパッド
５がワークＷの一般部Ｍに当接して、上ホルダー３の下
降に伴い弾性体４を徐々に圧縮しつつそのパッド５とカ
ットダイ２とでワークＷの一般部Ｍを加圧拘束する。

【００１５】なおも上ホルダー３が下降すると、ワーク
Ｗが加圧拘束されたままで、図１に仮想線で示すように
ドライバー１０のローラ１１がロータリーダイ８の加圧
面８ｂに当接し、そのドライバー１０の下降に伴ってロ
ータリーダイ８を図１の反時計回り方向に回転させる。

【００１６】これにより、図１に示すワークＷの一般部
ＭとタブＴとの連結部において、その左端部側がドライ
バー１０の上刃とカットダイ２の固定下刃２ａとによっ
てせん断されて下方に押し切られる一方、その右端部側
がロータリーダイ８の可動下刃８ａとパッド５の上刃５
ａとによってせん断されて上方に押し切られ、同時にタ
ブＴはドライバー１０の下降変位とロータリーダイ８の
回転変位とによって図１の反時計回り方向に捩られる。
言い換えれば、前記タブＴは、その幅方向の両側から切
り込まれながら捩られることになる。

【００１７】そして、上ホルダー３の下死点位置では、
図１に示すようにタブＴがその表裏両面からドライバー
１０とロータリーダイ８とによって加圧拘束されて、所
定形状の傾斜したタブＴに仕上げられる。

【００１８】なお、図１，２の状態から上ホルダー３が
上昇すれば、ロータリーダイ８は引張コイルスプリング
９の力によって初期状態に復帰する。また、本発明は、
図６に示すようにブレード形状のワークＷａにタブＴを
形成する場合にも同様に適用することができる。

【００１９】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、ドライバ
ーの上下方向の変位とロータリーダイの回転変位とを利
用して、タブの幅方向の両端部をせん断しながらそのタ
ブに捻りを加えて所定角度傾斜したタブを成形するよう
にしたため、一工程でしかも一台のプレス設備で所定形
状のタブ形状を得ることができることから、工程数と型
製作費の低減を図ることができる。

【００２０】また、タブは従来のように半分ずつ押し切
りながら曲げるのではなく、せん断の進行に併せてタブ
全体を徐々に捻りながら成形するため、タブに面歪みが
生じることがなくその平面精度が大幅に向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す図で図２の左側面説明
図。

【図２】本発明の一実施例を示す図で図１のｂ方向矢視
図。

【図３】タブを有するワークの一例を示す要部拡大説明
図。

【図４】タブの加工を目的とした従来の第１工程用のプ
レス型の作動説明図。

【図５】タブの加工を目的とした従来の第２工程用のプ
レス型の作動説明図。

【図６】タブを有するワークの他の例を示す要部拡大説
明図。

【符号の説明】

１…下ホルダー ２…カットダイ ２ａ…固定下刃（切刃） ３…上ホルダー ４…弾性体 ５…パッド ５ａ…上刃（切刃） ８…ロータリーダイ ８ａ…可動下刃（切刃） ８ｂ…加圧面 １０…ドライバー Ｍ…一般部 Ｔ…タブ Ｗ…ワーク

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ワークの一部に連続して形成したタブ
   に、板厚方向のせん断力を加えてせん断しながら、この
   タブに捩りを加えることによって前記ワークに対しタブ
   を所定角度傾斜させるようにした複合プレス型の構造で
   あって、 互いに接近離間動作する下ホルダーと上ホルダーのうち
   いずれか一方のホルダーに固定されるとともに切刃が形
   成されたカットダイと、 前記一方のホルダーのうちタブに対応する部分に回転可
   能に設けられるとともに切刃が形成され、非加工状態で
   は前記カットダイと面一状態をなすロータリーダイと、 前記他方のホルダーに上下動可能に弾性支持されるとと
   もに切刃が形成され、前記ホルダー同士の接近動作に応
   じてワークのうちタブを除いた部分を前記カットダイと
   ともに加圧して拘束する一方、前記ロータリーダイの回
   転時にはそのロータリーダイ側の切刃とともにタブにせ
   ん断加工を施すパッドと、 前記他方のホルダーのうちロータリーダイと対向する位
   置に固定されるとともに切刃のほかに傾斜した加圧面が
   形成され、前記ホルダー同士の接近動作に応じてカット
   ダイ側の切刃とともにタブにせん断加工を施す一方、前
   記ロータリーダイを回転させながらそのロータリーダイ
   と加圧面との間にタブを拘束してそのタブに捩りを加え
   るドライバー、 とを備えたことを特徴とする複合プレス型。