JPH0677588U - リクライニング機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】リクライニング機構を構成するラチエットのヒ
ンジピン上での軸方向のずれを規制することにより、ラ
チエットとポールとの噛合位置の軸方向のずれを無く
し、噛合部位の強度を確保すべき厚みの増大を解消す
る。 【構成】ラチエット１３の歯部１３ａとポール１４の歯
部１４ａ間に、互いに係合してラチエット１３の厚み方
向の移動を規制する係合凹所１３ａ1、係合突起１４ａ1
を設け、これら両者１３ａ1，１４ａ1が互いに係合した
状態でラチエット１３とポール１４とが噛合しかつ噛合
を解除するようにした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は車両用リクライニングシート等に使用されるリクライニング機構に関 する。

【０００２】

【従来の技術】

リクライニング機構の一形式として、刊行物「自動車工学便覧第６編、１−２ ５頁〜１−２６頁（昭和５８年９月３０日自動車技術会発行）」に示されている ように、シ−トクッション側に固定されるロアアームと、シ−トバック側に固定 されヒンジピンを介して前記ロアアームに前後方向へ回動可能に組付けられるア ッパアームと、同アッパアームに固定されて前記ヒンジピン上に回転可能に組付 けられ前記アッパアームと一体的に回動するラチエットと、前記ロアアームに揺 動可能に組付けられて前記ラチエットと同一面上に位置し同ラチエットの円弧状 の歯部の一部に離間可能に噛合するポールと、前記ロアアームにバネ付勢されて 回動可能に組付けられ前記ポールを前記ラチエットに噛合させるとともに回動操 作により同噛合状態を解除するレリーズレバーを備えたリクライニング機構があ る。

【０００３】 当該リクライニング機構においては、レリーズレバーの回動操作によりポール をラチエットとから離間することによりラチエットおよびアッパアームが前後方 向へ回動可能となり、アッパアームを任意に回動した後レリーズレバーの回動操 作を解除することによりポールをラチエットに噛合させ、アッパアームをロアア ームに固定することができる。これにより、アッパアームが固定されているシ− トバックをシ−トクッションに対して前後方向へ任意の角度に調整することがで きる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、当該リクライニング機構においては、アッパアームおよびラチエッ トがヒンジピン上に回動可能に組付けられているとともに、ヒンジピンの軸方向 の抜け止めのために同ピン上にＥリングが組付けられている。かかる組付構造に おいては、アッパアームおよびラチエットの回動を許容するため、およびＥリン グのヒンジピン上への組付けを容易にするために、アッパアームおよびラチエッ トとＥリングとの間にはヒンジピンの軸方向に所定量のクリアランスが設けられ ており、かつアッパアームおよびラチエットの内周とヒンジピンの外周間にも所 定量のクリアランスが設けられている。

【０００５】 このため、当該リクライニング機構の使用中にアッパアームおよびラチエット がヒンジピンの軸方向に位置ずれして、ラチエットとポールとの噛合位置がそれ らの厚み方向にずれることがあり、これが発生すると噛合部の強度低下を生じる ことになる。従って、当該リクライニング機構においては、ラチェットとポール 噛合部がこれら両者の厚みに対応する強度を備えておらず、かかる強度を確保す るにはラチエットおよびポールの厚みを予め厚くする必要がある。この結果、当 該リクライニング機構は重量の増大およびコストの増大をまねくことになる。従 って、本考案の目的は、このような課題を解決することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記した形式のリクライニング機構において、前記ラチエットの歯部 と前記ポールの歯部間に、互いに係合してラチエットの厚み方向の移動を規制す る係合手段を設けたことを特徴とするものである。

【０００７】

【考案の作用・効果】

このように構成したリクライニング機構においては、ラチエットとポールとは 係合手段により係合された状態で互いに噛合しかつ噛合を解除される。このため 、ラチエットはポールとの噛合状態においては勿論のこと、噛合解除状態におい ても厚み方向にずれることはなくて、予め設定さた噛合位置にて常に噛合しかつ 当該位置にて離間する。このため、ラチエットの軸方向のずれを見込んで予め厚 みを厚くする必要がなく、当該リクライニング機構の重量の増大およびコストの 増大を防止することができる。

【０００８】

【実施例】

以下本考案の一実施例を図面に基づいて説明するに、図１および図２には本考 案に係るリクライニング機構が示されている。当該リクライニング機構は車両用 リクライニングシートに使用されるもので、ロアアーム１１、アッパアーム１２ 、ラチエット１３、ポール１４およびレリーズレバー１５を備えるとともに、テ ンションスプリング１６、カム１７およびスパイラルスプリング１８を備えてい る。

【０００９】 ロアアーム１１は車両用シートの図示しないシ−トクッション側に固定され、 かつアッパアーム１２はシ−トバック側に固定されるもので、アッパアーム１２ はロアアーム１１に固定したヒンジピン１９上に回動可能に回動可能に組付けら れている。ラチエット１３は円盤状のもので、その外周縁の一部に円弧状の歯部 １３ａが形成されており、アッパアーム１２の一側面に固着されてヒンジピン１ ９の外周に嵌合されている。ラチエット１３はこの状態で両アーム１１，１２間 に位置している。ポール１４はロアアーム１１とサブプレート２０間にて、その 基端部を支持ピン２１により回動可能に組付けられて、ラチエット１３と同一面 上に位置している。ポール１４の揺動端部にはラチエット１３の歯部１３ａの一 部に離間可能に噛合する歯部１４ａが形成されている。

【００１０】 レリーズレバー１５はカム１７とともに、ロアアーム１１とサイドプレート２ ０とにより挟持された状態で支持ピン２２により、ロアアーム１１とサイドプレ ート２０に回動可能に組付けられている。レリーズレバー１５は中間部にてロア アーム１１に組付けられていて、一方側は操作部１５ａに形成されており、かつ 他方側にはカム溝１５ｂが形成されている。カム溝１５ｂにはポール１４に設け たカムピン１４ｂが挿通されている。カム１７はレリーズレバー１５に固定され ているもので、その先端がポール１４の背部に当接、離間可能である。

【００１１】 テンションスプリング１６はロアアーム１１とレリーズレバー１５との間に掛 止されていて、レリーズレバー１５を常に図１の図示反時計方向へ付勢している 。これにより、テンションスプリング１６はレリーズレバー１５を下方の非作動 位置に移動させ、レリーズレバー１５のカム溝１５ｂとポール１４のカムピン１ ４ｂの作用によりポール１４をラチエット１３の歯部１３ａの一部に噛合させ、 かつカム１７をポール１４の背部に当接させている。また、スパイラルスプリン グ１８はアッパアーム１２とヒンジピン１９との間に掛止されていて、アッパア ーム１２を常に図示反時計方向へ付勢している。この状態においては、アッパア ーム１２はロアアーム１１に固定状態にあり、アッパアーム１２が固定されてい るシ−トバックは所定の傾斜角で起立している。

【００１２】 しかして、ラチエット１３の円弧状歯部１３ａの形成部位には図３（ａ）に示 すように、その厚み方向の中央部に所定幅で所定深さの係合凹所１３ａ1が形成 されていて、円弧状歯部１３ａを係合凹所１３ａ1を挟んだ２つ歯部１３ａ2,１ ３ａ3に分割している。また、この係合凹所１３ａ1の底部にも同様な歯部が形成 されている。一方、ポール１４の歯部１４ａの形成部位には図３（ｂ）に示すよ うに、その厚み方向の中央部に所定幅で所定高さの係合突起１４ａ1が形成され ていて、歯部１４ａを係合突起１４ａ1を挟んだ２つの歯部１４ａ2，１４ａ3に 分割している。また、ポール１４においては、この係合突起１４ａ1の頂部にも 同様な歯部が形成されていて、ラチエット１３の係合凹所１３ａ1内に進退可能 に係合してその底部に設けた歯部と噛合するとともに、両歯部１４ａ2，１４ａ3 がラチエット１３の両歯部１３ａ2，１３ａ3とも噛合する。

【００１３】 このように構成したリクライニング機構においては、レリーズレバー１５の非 操作時ポール１４の歯部１４ａがラチエット１３の円弧状歯部１３ａの一部に噛 合していて、アッパアーム１２をロアアーム１１に固定している。このため、図 示しないシ−トバックはシ−トクッションに対して固定して所定の傾斜角で起立 している。

【００１４】 この状態のシ−トバックの傾斜角を調整するには、レリーズレバー１５をテン ションスプリング１６に抗して図１の図示時計方向へ回動操作する。これにより 、レリーズレバー１５のカム溝１５ａが図示時計方向へ移行するとともにカム１ ７が同方向へ回動して、カムピン１４ｂとの協働によりポール１４をラチエット １３から離間させる。この結果、アツパアーム１２は前後方向に回動可能となり 、スパイラルスプリング１８の付勢力により前方へ回動させることにより、かつ 同スプリング１８に抗して後方へ回動させることによりシ−トバックの前後方向 の傾斜角を任意に調整することができる。

【００１５】 しかして、当該リクライニング機構においては図３に示すように、ラチエット １３がはその歯部１３ａにおける厚み方向の中央部に係合凹所１３ａ1を備え、 かつポール１４がその歯部１４ａにおけるの厚み方向の中央部に係合突起１４ａ 1を備え、これら両者１３ａ1，１４ａ1が互いに係合した状態でラチエット１３ とポール１４とが噛合しかつ噛合を解除される。このため、ラチエット１３はポ ール１４との噛合状態においては勿論のこと、噛合解除状態においても厚み方向 にずれることはなく、予め設定さた噛合位置で常に噛合しかつ当該位置にて離間 する。このため、ラチエット１３の軸方向のずれを見込んでラチエット１３およ びポール１４の厚みを予め厚くする必要がなく、当該リクライニング機構の重量 の増大およびコストの増大を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に係るリクライニング機構の
側面図である。

【図２】同リクライニング機構の図１の矢印２−２線方
向に見た拡大断面図である。

【図３】同リクライニング機構を構成するラチエットの
歯部の形状を示す斜視図（ａ）、同リクライニング機構
を構成するポールの歯部の形状を示す斜視図（ｂ）であ
る。

【符号の説明】

１１…ロアアーム、１２…アッパアーム、１３…ラチエ
ット、１３ａ…円弧状歯部、１３ａ1…係合凹所、１４
…ポール、１４ａ…歯部、１４ａ1…係合突起、１５…
レリーズレバー、１６…テンションスプリング、１８…
スパイラルスプリング、１９…ヒンジピン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シ−トクッション側に固定されるロアアー
   ムと、シ−トバック側に固定されヒンジピンを介して前
   記ロアアームに前後方向へ回動可能に組付けられるアッ
   パアームと、同アッパアームに固定されて前記ヒンジピ
   ン上に回転可能に組付けられ同アッパアームと一体的に
   回動するラチエットと、前記ロアアームに揺動可能に組
   付けられて前記ラチエットと同一面上に位置し同ラチエ
   ットの円弧状の歯部の一部に離間可能に噛合するポール
   と、前記ロアアームにバネ付勢されて回動可能に組付け
   られ前記ポールを前記ラチエットに噛合させるとともに
   回動操作により同噛合状態を解除するレリーズレバーを
   備えたリクライニング機構において、前記ラチエットの
   歯部と前記ポールの歯部間に、互いに係合して前記ラチ
   エットの厚み方向の移動を規制する係合手段を設けたこ
   とを特徴とするリクライニング機構。