JPH0674204U - スローアウェイチップの取付け構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 部品点数が少ない簡素な構成でありながら固
定強度や取付部剛性の高いスローアウェイチップの取付
け構造を提供する。 【構成】 ホルダー本体１にはチップＣが載置される取
付面２ａと壁面３とを設ける。取付面２ａの端部にはチ
ップ側面に当接してチップＣの位置決めをする当接部２
ｂを形成し、壁面３には軸線が取付面２ａに交わるねじ
穴３ａを形成し、かつこのねじ穴３ａの入口には取付面
２ａに近接する側が切欠かれた皿穴状ざぐり面３ｂを形
成する。そして、止めねじ４をねじ穴３ａにねじ込むこ
とにより、止めねじ４の頭部４ａがざぐり面３ｂとチッ
プＣの上面との間に食い込み、チップＣをクランプする
ように構成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、切削工具のスローアウェイチップの取付け構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、スローアウェイチップ式切削工具におけるスローアウェイチップの取付 け構造には種々のものが知られている。例えば、スローアウェイチップに貫通孔 を設けておき、この貫通孔に挿通させた止めねじをホルダー本体にねじ込んでス ローアウェイチップを固定する方式や、ホルダー本体にボルト締めできる押さえ 部材にてスローアウェイチップをクランプするようにした方式等がある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記の取付け構造の内、前者の例では、スローアウェイチップと止めねじ間に 寸法上の制約があり、スローアウェイチップが比較的小さいとき、大径の止めね じで強力に固定することができなかった。一方、後者の例では、押さえ部材を用 いるため部品点数が多くなり、しかもその分広い取付けスペースが必要になると いう不都合があった。従って、両者とも、ホルダーの形状やスローアウェイチッ プの大きさ及び装着数によっては、固定強度や取付部剛性の確保が難しく、切削 時にびびりが発生し易いことが問題であった。

【０００４】 そこで本考案は、スローアウェイチップの取付け構造を、部品点数が少ない簡 素な構成でありながら固定強度や取付部剛性の高いものにすることを解決すべき 技術的課題とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

このために、以下のようなスローアウェイチップの取付け構造を創出した。す なわち、本考案は、ホルダー本体にはスローアウェイチップが載置される取付面 とこの取付面に対して起立する壁面とを設け、前記壁面には前記取付面から離れ た位置に、軸線がその取付面に交わる方向に延びるねじ穴を形成するとともに、 このねじ穴の入口には前記取付面に近接する側が切欠かれた皿穴状ざぐり面を形 成し、一方、前記ねじ穴にねじ込む止めねじには前記取付面に載置されたスロー アウェイチップの上面とこの上面に対向する前記ざぐり面とに当接する、ねじ部 に向かって先細り状の頭部を形成し、この頭部がスローアウェイチップを圧接し てクランプするようにしたことを特徴としている。

【０００６】

【作用】

ホルダー本体にスローアウェイチップを取り付けるときに、スローアウェイチ ップを取付面に載置して壁面のねじ穴に止めねじをねじ込むと、止めねじは取付 面に対して斜め方向に螺進し、互いに対向しているスローアウェイチップの上面 とねじ穴のざぐり面とに止めねじ頭部が当接する。このざぐり面は皿穴状に形成 されているから、止めねじの先細り状頭部はスローアウェイチップの上面とねじ 穴のざぐり面との間に食い込み、スローアウェイチップをクランプする。

【０００７】

【実施例】

次に、本考案の一実施例を図１〜図４を参照して説明する。図２及び図３には 、スローアウェイチップ（以下、単に「チップ」という。）Ｃを装着した切削工 具が示されている。また、図２のＡ−Ａ断面が図１に示され、図４には同工具の チップ取付部を分解した状態が示されている。なお、ここで用いるチップＣは互 いに平行な二面を有する略正三角形板状に成形されたものである。 図２，図３に示すように、円柱状のホルダー本体１の先端部は円周等分３箇所 が切り欠かれており、本体１のほぼ軸線方向に延びるチップ座形成面２と、この チップ座形成面２に対し垂直に交わる壁面３とが各切欠部に形成されている。こ のチップ座形成面２には、図２〜図４に示すように、チップＣの平面形状に合致 する略三角形の平坦な取付面２ａと、チップＣの二側面が当接可能な当接部２ｂ ，２ｂとから成るチップ座２ｃが設けられ、その三角形の一辺は本体１の外周面 とほぼ重なる位置にある。従って、取付面２ａに載置されるチップＣは、本体１ の外周側に一側面を露出させるとともに、後側となる他の二側面を当接部２ｂ， ２ｂに当接させることによって位置決めがなされる。なお、当接部２ｂの取付面 ２ａからの高さは、ほぼチップＣの厚みと同じである。

【０００８】 前記壁面３には、図１及び図４に示すように、取付面２ａに対して約１５°傾 斜した軸線を有するねじ穴３ａがチップＣの前後方向、すなわち、本体１のほぼ 中心に向かって形成されている。ねじ穴３ａの入口は皿穴状にざぐられてざぐり 面３ｂが形成され、かつざぐり面３ｂは取付面２ａに近接する部分が切り欠かれ ている。一方、このねじ穴３ａにねじ込むための止めねじ４は、頭部４ａがねじ 部に向かって先細り状に形成されている。互いに当接する頭部４ａの周面４ｂと 前記ざぐり面３ｂとの各テーパ角度は、本実施例ではそれぞれ約５０°である。 そして、周面４ｂがざぐり面３ｂに対して当接状態にあるとき、周面４ｂの縁部 ４ｃが、取付面２ａに載置されたチップＣの上面に対して圧接するように、ねじ 穴３ａの配設位置、ざぐり面３ｂ及び頭部４ａの径等が設定されている。

【０００９】 上記の構成の取付け構造においては、取付面２ａに載置されたチップＣの二側 面が当接部２ｂ，２ｂに当接することで位置決めがなされ（図２及び図４参照） 、その後止めねじ４がねじ穴３ａに対してねじ込まれることによってチップＣの 固定がなされる。このとき、図１に示すように、止めねじ４の螺進に伴って頭部 ４ａがねじ穴３ａのざぐり面３ｂとチップＣの上面との間にくさび状に食い込む から、頭部４ａの周面４ｂがざぐり面３ｂに当接し、周面４ｂの縁部４ｃがチッ プＣの上面に当接する。すなわち、チップＣは、取付面２ａに対して押圧される とともに、本体１のほぼ中心に向けて押し込まれ、チップＣの二側面が当接部２ ｂ，２ｂに密着する。従って、止めねじ４を締めつけることにより、チップＣを 所定の取付位置に正確かつ強固にクランプできる。

【００１０】 なお、上述の実施例はあくまでも例に過ぎないから、チップＣの形状及び数、 ホルダー本体１の形状、ホルダー本体１に対するチップＣの取付け位置関係等は 何ら限定されるものではなく、適宜に変更することができる。

【００１１】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案によるチップの取付け構造は、１本の止めねじに てチップをホルダー本体にクランプするという部品点数の少ない極めて簡素な構 成であるから、製造コストが安くなり、チップの着脱が容易となる。しかも取付 け構造をコンパクトにできるから、ホルダー本体の剛性低下を少なくすることが できる。また、止めねじはチップ上面に対して斜め方向に螺進し、チップの側面 をホルダー本体側に押しつけるから、取付け精度を容易に確保できる。さらに、 チップの大きさに関係なく大径の止めねじを使用できるから、止めねじの頭部で チップを強固にクランプすることができる。従って、本取付け構造を備えた切削 工具はびびりが発生し難く、高精度な加工が可能になるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例のチップの取付け構造を示す断面図であ
る。

【図２】実施例のチップの取付け構造を備えた切削工具
の正面図である。

【図３】実施例のチップの取付け構造を備えた切削工具
の下面図である。

【図４】実施例のチップの取付け構造を示す分解斜視図
である。

【符号の説明】

１ ホルダー本体 ２ チップ座形成面 ２ａ 取付面 ２ｂ 当接部 ３ 壁面 ３ａ ねじ穴 ３ｂ ざぐり面 ４ 止めねじ ４ａ 頭部 ４ｂ 周面 ４ｃ 縁部 Ｃ チップ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ホルダー本体にはスローアウェイチップ
   が載置される取付面とこの取付面に対して起立する壁面
   とを設け、前記壁面には前記取付面から離れた位置に、
   軸線がその取付面に交わる方向に延びるねじ穴を形成す
   るとともに、このねじ穴の入口には前記取付面に近接す
   る側が切欠かれた皿穴状ざぐり面を形成し、一方、前記
   ねじ穴にねじ込む止めねじには前記取付面に載置された
   スローアウェイチップの上面とこの上面に対向する前記
   ざぐり面とに当接する、ねじ部に向かって先細り状の頭
   部を形成し、この頭部がスローアウェイチップを圧接し
   てクランプするようにしたスローアウェイチップの取付
   け構造。