JPH0673797B2 - 移動テーブル - Google Patents

移動テーブル

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JPH0673797B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、送りねじ機構を用いた移動テーブル装置に関
するものである。
機械系において、テーブル等を所定量だけ正確に移動さ
せるために、送りねじ機構が使用される。送りねじ機構
は、外周面にらせん溝が形成されたねじ軸と、内周面に
らせん溝が形成され、ねじ軸に螺合されたナット部材と
から成り、ねじ軸を所定角度回転させることにより、ナ
ット部材を軸方向に相対移動させるものである。
送りねじ機構に特有の問題として、ねじ軸は長さに比べ
て太さが極端に細いため、機械系全体の中でも特にねじ
軸のラジアル方向の剛性が小さく、送りねじ機構の作動
時にねじ軸が極めて振動し易い即ち動剛性が小さい状態
にあることが挙げられる（ねじ軸とナット部材との間に
転動体としてボールを嵌合させたボールねじでは特にこ
の傾向が顕著である）。そして、ねじ軸の振動は、単に
それだけの問題にとどまらず、機械系と関連して機械系
全体の騒音とつながることがわかった。このため、ねじ
軸の振動を低減させることが極めて重要となる。
ところが、ボールねじを含む機械系にはモータ、ベアリ
ング、タイミングベルト等、振動を発生する諸要素が連
結されており、これらの振動源を完全になくすことは困
難である。また、ボールねじの場合はねじ軸とボールナ
ットとの間においても、ボールの転動や循環により振動
力が発生し、これらをなくすことは不可能に近い。そし
てこれらの振動力は、ボールねじの作動の高速化ととも
に大きくなる。
このように、長手形状で片持ち状態のねじ軸は動剛性が
極めて小さく、しかもナット部材の移動によりねじ軸系
には微小振動力が常に作用している。これに加えて、ナ
ット部材の移動によりねじ軸の実質的スパンが変化し、
共振周波数がかなりの範囲にまたがって存在するので、
ねじ軸が共振を起すことが多く、それが機械系の振動、
騒音の発生の原因になるのである。
これに対して、ねじ軸の危険速度や共振周波数は、諸要
素の加工精度に関係なく、寸法、形状等により物理的に
決まるものであるため、加工技術でこれに対処すること
は不可能である。また、ねじ軸の動剛性を向上させるた
めに、例えばねじ軸上の中間部を支持する等の方法が考
えられるが、ナット部材がねじ軸上を移動することから
両者が干渉することを避けねばならず、簡単な構造にし
てねじ軸系の振動及びそれに基づく騒音の発生を抑える
のは容易なことではない。
本発明は、上述した事情を背景にして、従来技術におけ
る欠点を解消すること、即ちナット部材の移動等に何ら
干渉することなく、ねじ軸の回転時にねじ軸に生ずる径
方向の振動を簡単な構成で抑えることを目的としてなさ
れたものである。
上記目的を達成するために、本発明では、外周面にボー
ルねじ溝が形成され、基台10に回転可能に支承された長
尺のねじ軸20と、該ねじ軸のボールねじ溝に螺合し、前
記ねじ軸の回転に伴ってその軸方向に移動し、軸方向に
移動可能に基台に案内されたスライドテーブル36に取り
付けられたナット部材30と、を含む移動テーブルが前提
と成る。
かかる移動テーブルにおいて、前記ねじ軸の自由端に設
けた小径部24に、複数の部材から成って所定の質量を有
する制振部材50、60を前記ねじ軸の径方向に隙間55、65
をもって螺合した。
しかして、前記ねじ軸の回転による前記ナット部材の軸
方向移動時に前記ねじ軸に生ずる径方向の振動を、前記
ねじ軸に対して前記制振部材が衝突することにより抑制
することとした。
以下、本発明の実施例を図面をもとに説明するが、それ
に先立ってこの種の移動テーブルの一例（本発明の前
提）を説明する。
第１図に示すように、基台10の直立部12には軸受14を介
して長尺のねじ軸20の一端部が回転可能に支承され、直
立部12から突出したねじ軸の端部にはベルトプーリ16が
固設されている。ねじ軸20の中間部にはボールナット30
が螺合されている。すなわち、ねじ軸の外周面に形成さ
れたボールねじ溝22と、ボールナット（ナット部材）の
内周面に形成されたボールねじ溝32とがボール（不図
示）を介してねじ結合されている。ボールナットは30
は、直線移動可能に基台に取り付けられたスライドテー
ブル36に取り付けられる。
ねじ軸20の自由端は小径の取付部24とされ、ここに制御
部材としてのリング状の部材40が取り付けられている。
即ち、リング状の部材40の挿通穴42を取付部24に挿通し
た後、止め輪44によってリング状の部材40をねじ軸20上
に保持している。挿通穴42の内径寸法は取付部24の外形
寸法よりも若干大きくされており、両者間にはすきま25
がある。また段部26と止め輪44との間隔は、リング状の
部材40の幅よりも相当大きくされている。
ねじ軸20の自由端にはリング状の部材40が取り付けら
れ、しかもこのリング状の部材40はねじ軸20の軸心方向
と直角な方向にすきま25分だけ移動可能とされている。
従って、ねじ軸20の振動によりリング状の部材40がねじ
軸に対して径方向に相対的な移動がなされると、取付部
24とリング状の部材40との衝突によってねじ軸20の振動
が相殺されるダンピング効果が生じ、ねじ軸20がラジア
ル方向に振動すること、及び振動に基づき騒音が発生す
ることが防止される。
上記例による制振効果を実験によるデータをもとに説明
する。
第２図（ｂ）は上記例においてねじ軸22の自由端を半径
方向にインパクト加振した場合の自由端の半径方向の応
答（時間波形）を示すグラフであり、第２図（ａ）第１
図に示すボールねじにおいてリング状の部材40を取り付
けなかった場合の同様のグラフである。両者の比較から
明らかなように、リング状の部材40を取り付けたことに
よって振動振幅が急速に減衰して短時間のうちに零に近
づくようになったことがわかる。
また第３図（ｂ）は上記例においてねじ軸22の自由端を
半径方向にインパクト加振した時の伝達関数を示すグラ
フであり、第３図（ａ）はリング状の部材40を取り付け
ない場合の同様のグラフである。両者の比較から明らか
なように、リング状の部材40を取り付けたことによって
共振時のねじ軸20の共振振幅が著しく減少している。
さらに第４図（ｂ）は上記例においてテーブル36の振動
加速度を示すグラフであり、第４図（ａ）はリング状の
部材40を取り付けない場合の同様のグラフである。両者
の比較から明らかなように、リング状の部材40を取り付
けない場合にはボールナット30の移動に伴なってテーブ
ル36が種々の周波数で共振していたのに対して、リング
状の部材40を取り付けたことにより、これらの共振現象
が殆んどなくなったことがわかる。
なお、リング状の部材40の形状、大きさは、ねじ軸20に
生ずる振動の大きさを考慮して実験により決定されるも
のである。また、段部26と止め輪44との間隔をリング状
の部材40の幅とほぼ等しくして、止め輪44及び段部26が
リング状の部材40の端面に接触するようにすれば、両者
間の摩擦によるダンピング効果も得られることとなる。
次に、本発明の実施例を説明する。なお、本発明は、上
記単一部材から成る制御部材40に代えて、複数部材から
成る制振部材を採用した点以外は上記例と同じなのでそ
の説明は省略し、制振部材についてのみ説明する。
すなわち、第５図に示す本発明の第１実施例では、制振
部材は同じ的に配置された内輪52及び外輪54と両輪間に
配置された多数のボール56とから成る玉軸受50である。
玉軸受50は止め輪44によってねじ軸20上に保持されてお
り、また内輪52と取付部24との間にはすきま55を設けて
ある。
玉軸受50は内輪52、外輪54及び複数のボール56という形
状、大きさの異なる複数の部材から成っており、両輪と
ボールとの間には僅かなすきまが設けられている。その
ため、ねじ軸20の振動時にねじ軸20と内輪52、内輪52と
ボール56又は外輪54とボール56とが振動し互いに衝突す
ることによるダイピング効果が得られる。
本発明の第２実施例（制振部材の変形例））を第６図に
示す。
この第２実施例では、制振部材は互いに対向する一対の
フランジ部材62及び64、両フランジ部材により画定され
る環状溝内に収容されたリング部材66の複数の部材から
成る組合せリング60から成る。組合せリング60と取付け
部24との間にはすきま65が設けられている。
この第２実施例でも、各部材62、64及び66の固有振動は
異なるので、第４図（ｂ）に示すような安定した効果が
得られる。以上述べてきたように、本発明においては、
ねじ軸の自由端に設けた小径部に、複数の部材から成っ
て所定の質量を有する制振部材を径方向に隙間をもって
嵌合した。そして、ねじ軸の回転によるナット部材の軸
方向移動時にねじ軸に生ずる径方向の振動を、ねじ軸に
対して制振部材が衝突することにより抑制するようにし
た。
これにより、ねじ軸の動剛性が向上し、ねじ軸の回転に
基ずくナット部材及びスライドテーブルの移動時にねじ
軸に生ずる径方向の振動及びこの振動に基ずく騒音の発
生が良好に抑制される。しかも、この振動及び騒音抑制
効果は、ナット部材がねじ軸上のどの位置にあるかに影
響されることなく得られるので、移動テーブル装置の作
動が安定する効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
第１図は本発明の前提となるこの種の移動テーブルの一
例を示す全体断面図、第２図、第３図及び第４図は上記
例及び従来例による実施のデータを示すグラフ、第５図
は本発明の第１実施例の要部を示す断面図、第６図は本
発明の第２実施例の要部を示す断面部である。 〔主要部分の符号の説明〕 10……基台、20……ねじ軸 30……ボールナット、36……スライドテーブル 50、60……制振部材

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】外周面にボールねじ溝が形成され、基台に
    回転可能に支承された長尺のねじ軸と、該ねじ軸のボー
    ルねじ溝に螺合し、前記ねじ軸の回転に伴ってその軸方
    向に移動し、軸方向に移動可能に基台に案内されたスラ
    イドテーブルに取り付けられたナット部材と、を含む移
    動テーブルにおいて、 前記ねじ軸の自由端に設けた小径部に、複数の部材から
    成って所定の質量を有する制振部材を前記ねじ軸の径方
    向に隙間をもって嵌合し、前記ねじ軸の回転による前記
    ナット部材の軸方向移動時に前記ねじ軸に生ずる径方向
    の振動を、前記ねじ軸に対して前記制振部材が衝突する
    ことにより抑制することを特徴とする移動テーブル装
    置。
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