JPH0345258B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、例えば車両や船舶の内燃機関等にお
けるフライホイルの如き動力系統と連係する回転
軸に取付けられる円盤回転体の遠心力による回転
変動を制御する新規な装置に関するものである。

〈従来の技術〉 従来の円盤回転体は、主に主動力系統と連動す
る回転軸に慣性モーメントを付与させるために取
付けられるもので、例えば第３図に示すような車
重換算におけるエンジンの回転軸や、第４図に示
すような高速回転車の回転軸に対して連動するよ
うに取付けられている。

すなわち、第３図のものは各々重量の異なる円
盤回転体ｒ，ｒ１，ｒ２，ｒ３をテストに応じ回
転軸ａに、フランジｂを介してボルトｃにより取
付けたものであり、また、第４図のものは高速回
転軸Ａに対して慣性モーメントを付与できるよう
に、架台ＤにベアリングＣを取付けてボス部Ｂに
円盤回転体Ｒを固定させた構成からなる。

〈発明が解決しようとする課題〉 上記第３図に示した技術では円盤回転体ｒ，ｒ
１，ｒ２，ｒ３を逐一取付けたり、取外したりし
なければならず、その操作が不便である。また、
第４図に示した技術では、上述した操作上の問題
点は解決されているものの回転軸Ａからと連動す
る円盤回転体Ｒの回転に伴う遠心力、すなわち軸
心から外方への拡がりによつて回転軸Ａと円盤回
転体Ｒとの間にガタ付き等が生じ、これに伴つて
振動、雑音などを発生させるだけでなく、回転軸
Ａに対して適確な慣性モーメントを付与させるこ
とができなくなるといつた課題がある。

そこで本発明は、円盤回転体の回転に伴う遠心
力に起因する外方への拡がりによつて生ずるガタ
付きを防止し得る円盤回転体の回転変動抑制装置
の提供を目的とする。

〈課題を解決するための手段〉 本発明における課題解決手段は、回転軸１に外
嵌されたクラツチ１０と、該クラツチ１０と嵌合
する円盤回転体５とを具えている。

そして前記回転軸１に、互に近接して一対のベ
アリング２が設けられ、一側のベアリング２が前
記回転軸１に摺動自在に外嵌され、前記ベアリン
グ２のそれぞれに、環状体からなるとともに外周
がテーパ状に形成された回転変動抑制部材３が外
嵌固定され、該両回転変動抑制部材３のテーパ面
Ｔは、互に回転軸１の周面に向けて傾斜して形成
され、前記円盤回転体５が前記回転変動抑制部材
３に外嵌され、前記一側のベアリング２を他側の
ベアリング２へ付勢するスプリング部材Ｓが設け
られている。

〈作用〉 上記課題解決手段において、回転軸１に対して
慣性モーメントを付与させるために円盤回転体５
が回転すると、遠心力で円盤回転体５の内径が僅
かに拡がり、回転変動抑制部材３のテーパ面Ｔと
の間に〓間が生ずる。しかし、一側のベアリング
２がスプリング部材Ｓの弾性で他側のベアリング
２へ押され、一側のベアリング２に一体的に嵌合
している回転変動抑制部材３が他側の回転変動抑
制部材３側に押されて、一側のテーパ面Ｔが第１
図中の右方へ移動し、回転変動抑制部材３との間
に〓間が発生するのを防ぎ、装置のガタ付きを防
止する。

〈実施例〉 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。第１図に示す装置において、回転軸１の外周
上には互いに近接して配置された一対のベアリン
グ２が外嵌されている。この両ベアリング２は図
示のようにインナレース２ａ側を回転軸１に嵌め
込まれ、それぞれのベアリング２のアウタレース
２ｂ側に環状体からなる回転変動抑制部材３を固
定するように構成されている。

すなわち、左右両側のインナレース２ａと、ア
ウタレース２ｂ間に各々ボールを配するととも
に、両端のアウタレース２ｂ，２ｂと接して取付
けられた略Ｌ形の取付金具４により、前記回転変
動抑制部材３の両側をボルト締め等の手段により
固定させている。

また、図示一側（左側）のベアリング２は、前
記回転軸１に摺動自在に外嵌されている。

上記回転変動抑制部材３は、第２図に示すよう
に分離した一対の環状体からなり、それぞれの内
周側３ａを前記各ベアリング２のアウタレース２
ｂ上に嵌着されるとともに、該固定面と対向する
外周をテーパ面Ｔとなしている。

このテーパ面Ｔは、互いに前記回転軸１の周面
に向けて傾斜して形成され、テーパ面Ｔの傾斜角
度は、両回転変動抑制部材３に嵌装する円盤回転
体５の形状、すなわち前記回転軸１或はベアリン
グ２の回転能力に応じて回転軸１に慣性モーメン
トを付与できるように形成された円盤回転体５の
回転に起因する遠心力に対応して設定される。

一方、前記回転軸１の前方に位置するベアリン
グ２のインナレース２ａの外側には、ベアリング
押え６が介在されてスプリング部材Ｓが固定ナツ
ト７により回転軸外周上に固定されている。

このスプリング部材Ｓは、前記円盤回転体５の
遠心力による軸外方向への拡がりに対して、前記
回転変動抑制部材３とともに、その拡がりエネル
ギーを弾力により抑制させる作用をするもので、
具体的には一側のベアリング２を他のベアリング
２へ付勢するものである。

このように構成された装置は、図示しない動力
系統に連係され前記回転軸１に外嵌されたクラツ
ク１０を、円盤回転体５の突部５ａと歯合させる
ことにより回転駆動するようになつている。

ところで円盤回転体５が回転すると、遠心力で
円盤回転体５の内径が拡がり、回転変動抑制部材
３のテーパ面Ｔとの間に〓間が生ずる。しかし、
一側のベアリング２がスプリング部材Ｓの弾性で
他側のベアリング側へ押され、この動作と同時に
一側の回転変動抑制部材３が他側の回転変動抑制
部材３側に押され、一側のテーパ面Ｔが図中の右
方へ移動して、回転変動抑制部材３との間に〓間
が発生するのを防ぎ、円盤回転体５の振動を防止
することができる。

なお、上述した円盤回転体５は、回転軸１に対
して慣性モーメントを付与させるために取り付け
られるものであるが、例えば高速で回転軸１を回
転させたときや、一定の低速で連続回転させた場
合には、駆動系の回転慣性により特に円盤回転体
５による慣性モーメントを必要としないことがあ
る。この場合においても発明の構成、すなわち、
回転軸１上にベアリング２を嵌め込んでいる構成
により、回転軸１とベアリングのインナレース２
ａ及びボールのみを駆動系により回転させ、ベア
リングのアウタレース２ｂと前記回転変動抑制部
材３とを静止さる操作で円盤回転体５を静止させ
ることができ、省エネルギーに寄与するものとな
る。

なお本発明に係る装置は、上述した車両系統の
回転駆動系に限ることなく船舶の内燃機関、圧延
機などの回転駆動系にも適用できることは勿論で
ある。

〈発明の効果〉 以上の説明から明らかな通り、本発明は回転軸
に、互に近接して一対のベアリングが設けられ、
一側のベアリングが回転軸に摺動自在に外嵌さ
れ、前記ベアリングのそれぞれに、環状体からな
るとともに外周がテーパ状に形成された回転変動
抑制部材が外嵌固定され、該両回転変動抑制部材
のテーパ面は、互回転軸の周面に向けて傾斜して
形成され、前記円盤回転体が前記回転変動抑制部
材に外嵌され、前記一側のベアリングを他側のベ
アリングへ付勢するスプリング部材が設けられた
ものであるので、円盤回転体による慣性モーメン
トを必要としない場合、回転軸（ベアリング）の
みを回転させて円盤回転体を静止させることがで
き、省エネルギーに寄与し、回転軸上に複数の回
転体を設けて個々の回転体を選択して回転を押え
ることにより、回転軸に任意の慣性力を与えるこ
とができ、円盤回転体が回転に伴う遠心力で円盤
回転体の内径が拡がつて回転変動抑制部材のテー
パ面との間に〓間が生じても、一側のベアリング
がスプリング部材の弾性で他側のベアリング側へ
押され、一側の回転変動抑制部材が他側の回転変
動抑制部材側に押されてテーパ面が移動するの
で、回転変動抑制部材と円盤回転体との間に〓間
が発生するのを防ぎ、円盤回転体の振動を防止す
ることができるといつた優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は装置の縦断面図、第２図は左右一対の
回転変動抑制部材の概略構成を示す斜視図、第３
図は従来の円盤回転体の取付け構成を示す概略断
面図、第４図は同じく別の構成を示す概略断面図
である。 １：回転軸、２：ベアリング、２ａ：ベアリン
グのインナレース、２ｂ：ベアリングのアウタレ
ース、３：回転変動抑制部材、５：円盤回転体、
５ａ：突部、１０：クラツチ、Ｔ：テーパ面、
Ｓ：スプリング部材。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 回転軸に外嵌されたクラツチと、該クラツチ
   と嵌合する円盤回転体とを具え、前記回転軸に、
   互に近接して一対のベアリングが設けられ、一側
   のベアリングが前記回転軸に摺動自在に外嵌さ
   れ、前記ベアリングのそれぞれに、環状体からな
   るとともに外周がテーパ状に形成された回転変動
   抑制部材が外嵌固定され、該両回転変動抑制部材
   のテーパ面は、互に回転軸の周面に向けて傾斜し
   て形成され、前記円盤回転体が前記回転変動抑制
   部材に外嵌され、前記一側のベアリングを他側の
   ベアリングへ付勢するスプリング部材が設けられ
   たことを特徴とする円盤回転体の回転変動抑制装
   置。