JPH0673630A - サマーウール調複合加工糸及びその製造方法 - Google Patents

サマーウール調複合加工糸及びその製造方法

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JPH0673630A
JPH0673630A JP35339192A JP35339192A JPH0673630A JP H0673630 A JPH0673630 A JP H0673630A JP 35339192 A JP35339192 A JP 35339192A JP 35339192 A JP35339192 A JP 35339192A JP H0673630 A JPH0673630 A JP H0673630A
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平山雅宏
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真 伊川
Kazuhiko Naito
内藤和彦
Sachiko Takai
高居幸子
Kazuko Yoshimura
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 サマーウール調の風合いの複合加工糸、及び
その製法を提供する。 【構成】 単繊維デニールが5.0d以上の半延伸糸
(原糸A)と、3.5d以下の半延伸糸(原糸B)とが
複合仮撚されてなり、両原糸が互いに捲き付いた未解撚
部が1m当たり120個以上形成され、この部分では原
糸Aが表面に露出した芯鞘構造で、各単繊維が膠着状態
である一方、開繊部では芯鞘構造が破壊され、両原糸が
共に表面に露出している。伸度差が100%以下の原糸
AとBを引き揃え、延伸倍率1.26〜1.54倍、ヒ
ーター温度230〜250℃、ヒーター通過時間0.2
5〜0.5sec.、K値0.5以下の条件で摩擦式複
合仮撚して上記複合糸を得る。尚、スピンドル式仮撚機
により、複合糸を製造しても良い。リラックスセット工
程を行うとビリやスナールの発生が低くなる。 【効果】 表面触感がドライであり、適度なハリ、腰、
シャリ味を有し、サマーウエアとして特に適している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、サマーウール調の風合
いを有する複合加工糸及びその製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来より、伸度の異なる2種以上の糸条
を引き揃えた状態で仮撚加工することによって複合加工
糸を製造することが行われてきており、例えば、特公昭
60−7050号には、半延伸糸と未延伸糸を使用し、仮撚加
工時のK値〔解撚張力T2 (g)/加撚張力T1 (g) 〕を
0.95以下に維持して、プレインターレースなしの複
合加工糸を製造することが開示されている。そして、こ
の製造方法では、芯糸の周囲に捲付糸が交互撚糸状に捲
き付いた二層構造の複合糸を得る際に、芯糸の伸度より
も70%以上大きな伸度を有する捲付糸が使用され、特
に好ましい複合糸の条件として、加工後の捲付糸の単繊
維デニールが3デニール以下で、芯糸の単繊維デニール
が3デニール以上であることが示されている。
【0003】ところが、このようなプレインターレース
なしの複合加工糸の場合には、糸ズレが生じ易いために
ネップヤーンになるという問題点があり、加工温度や融
着状態の制御等の最適加工条件範囲が狭い。しかも、こ
こで使用されている仮撚加工時のK値にするためには解
撚張力T2 を比較的小さくしなければならず、特殊な条
件設定が必要となる。又、このようにして得られる複合
糸の布帛風合いに関しては、芯糸の単繊維デニールが捲
付糸よりも大きいために、適度なハリやコシを有したも
のにはなるが、表面の触感が柔らかなウーリー調となっ
て、ドライ感がなく、サマーウール調の風合いを有した
ものは得られない。
【0004】又、特公昭61− 19733号には、半延伸糸と
延伸糸、又は半延伸糸と未延伸糸が使用され、芯糸の周
囲に、芯糸よりも大きな伸度を有する捲付糸が交互撚糸
状に捲き付き、これらの境界部において両方の糸の一部
が互いに混合、交錯した交絡部が形成されているスパン
ライク様仮撚2層構造糸が開示されている。しかしなが
ら、ここで開示される2層構造糸では、前述の複合糸と
同様に、芯糸の伸度よりも大きな伸度を有する捲付糸が
使用され、しかも加工後の芯糸の単繊維デニール(3デ
ニール以上)が、捲付糸の単繊維デニール(3デニール
以下)よりも大きいので、加工後の複合糸を用いて得ら
れる織編物がドライ感のない風合いを有したものにな
る。又、このような捲付構造を有する2層構造糸とする
ためには、組み合わせて使用する原糸に比較的大きな伸
度差が必要であるだけでなく、熱収差も必要であるため
に、芯糸と捲付糸の糸長差を少なくとも20%以上にし
なければならないという制限もあった。
【0005】更に、特公昭61− 20662号には、半延伸糸
と未延伸糸が使用され、捲付糸の一部の単繊維が芯糸と
混合・交錯しつつ、芯糸表面にほぼ収束状態で連続反転
交互撚糸状に捲き付いた部分が形成され、かつ個々の単
繊維がランダムな位相で捲き付いた部分が形成されてい
る2層構造糸が開示され、この2層構造糸では、芯糸と
混合・交錯している捲付糸の構成単繊維が融着した状態
となっている。ところが、このようにして捲付糸を融着
させた場合には、布帛表面のザラツキ感が強くなり、シ
ャリ味が強く、風合いの面で固さが出るために、肌との
フィット性が悪くなり、痒みなどの不快感があり、サマ
ーウエアー用として好ましくない。又、ここに開示され
ている2層構造糸における芯糸の単繊維デニールは2.
0デニール以上で、捲付糸の単繊維デニールは1.8デ
ニール以下であり、この2層構造糸から製造される布帛
は、前述の複合糸の場合と同様にドライ感がない。
【0006】上述の如く、これまでに開発されてきた複
合糸は、いずれも半延伸糸と延伸糸又は未延伸糸が使用
され、芯糸の単繊維デニールが捲付糸よりも大きいもの
であって、このような組み合わせの複合糸から製造され
る布帛は、その風合いにおいてハリや腰を有するものに
なるが、ドライ感がなく、サマーウール調の風合いが要
求される用途には適したものではなかった。その上、こ
れまでに開発されてきた前述の複合糸は、糸グセが強
く、ビリ・スナールの発生が多いので、特に後工程にお
いて糸の取扱いが難しく、製造条件に多くの制約があ
り、トラブルが起こり易いという問題点を有する。この
ため、従来の複合糸は、ニット向等の用途には適さない
ものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来技術における問題点を解決し、サマーウール調の風
合いを有する複合加工糸を提供することを課題とする。
又、このような複合加工糸を製造するための方法を提供
することも、本発明の課題である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明では、引き揃え状
態で複合仮撚される原糸として、伸度差のある2種類の
半延伸糸を使用し、従来の複合糸における捲付糸と芯糸
の単繊維デニールを逆転させ、捲付糸に、伸度及び単繊
維デニールが大きい方の半延伸糸を使用する一方、芯部
を構成する原糸に、伸度及び単繊維デニールが小さい方
の半延伸糸を使用すること、及び、従来技術では欠点と
される、交互反転状になった単繊維の溶融部分や360
°以上回転した未解撚部分を利用し、これらの構造部分
により、シャリ感を出すことでサマーウール調の風合い
が得られることを見い出し、上記の課題を解決した。
【0009】即ち、本発明のサマーウール調複合加工糸
は、単繊維デニール5.0d以上の半延伸糸(原糸A)
と、単繊維デニール3.5d以下の半延伸糸(原糸B)
とが複合仮撚されてなり、上記原糸Aと原糸Bが互いに
旋回状に捲き付いた未解撚部では、上記原糸Aが表面に
露出した芯鞘構造をとり、各単繊維が膠着状態になって
おり、上記原糸Aと原糸Bが互いに旋回状に捲き付いて
いない開繊部では、芯鞘構造をとることなく上記原糸A
と原糸Bが共に表面に露出した状態になっていること、
及び1m当たりの未解撚部の数が120個以上であるこ
とを特徴とする。
【0010】まず、本発明のサマーウール調複合加工糸
を構成する、原糸A及びBについて説明するが、本発明
における原糸A及びBはどちらも、ある程度にまで延伸
された半延伸糸であって、複合仮撚により捲付糸となる
原糸Aは、単繊維デニールが5.0デニール以上のもの
で、特に紡速が2300〜2700m/min.で、複屈折率が25
×104 〜35×104 であるものが好ましい。一方、
複合仮撚により芯部を構成する原糸Bは、単繊維デニー
ルが3.5デニール以下のもので、特に紡速が3000〜35
00m/min.で、複屈折率が40×104 〜60×104
であるものが好ましい。
【0011】そして、上記の原糸A及びBからなる本発
明の複合加工糸では、原糸Aと原糸Bが互いに旋回状に
捲き付いていない開繊部が部分的に形成されており、こ
の開繊部においては、芯鞘構造が破壊され、原糸Aの単
繊維と原糸Bの単繊維が共に表面に露出した状態となっ
ている。一方、このような開繊部が形成されていない部
分には未解撚部が形成され、この未解撚部では、原糸A
と原糸Bが互いに旋回状に捲き付いて、原糸Aが表面に
露出した芯鞘構造をとり、各単繊維が互いに膠着状態と
なっている。
【0012】本発明の複合加工糸には1m当たりに12
0個以上の未解撚部が存在しており、本発明では、この
ような虫食い状態になった未解撚部が単位長さ当たりに
一定数以上形成されることで、編地に加工した際の布帛
がハリと腰を有したものとなり、好ましい未解撚部の数
は1m当たり120〜200個である。これは、未解撚
部の数が1m当たり120個以下になると、風合いの面
でシャリ味感及びドライ感がなくなり、逆に1m当たり
200個以上になると、風合いの面で表面ががさつき、
品位が著しく損なわれるからである。尚、本発明では、
未解撚部が、原糸Aと原糸Bを摩擦式仮撚機により仮撚
して得られたものである場合、未解撚部の数は1m当た
り160〜200個がより好ましく、180〜190個
が更に好ましい。
【0013】ここで、未解撚部とは、芯糸を構成する原
糸Bに対して原糸AがS方向か、Z方向に旋回状に捲き
付いて原糸Bの周囲を包囲している状態の部分をいい、
本発明における未解撚部では、単繊維が融着する前の状
態、即ち、膠着状態となっていて、この部分を顕微鏡で
観察した際には、各単繊維間の境界線は見えるが、全体
としては固着された状態となっている。
【0014】尚、本発明では、未解撚部の数を測定する
際、以下の方法が用いられる。まず、測定を行う試料糸
の一端に0.1g/d(デニール)の重りを取り付け、
他端を固定して試料糸を垂直に垂らす。そして、この状
態が保持されるようにして試料糸の上端側及び下端側
を、約1.2mの長さのアクリル板に固定し、蛍光ペン
で試料糸を着色した後、測定長さ1mについて30〜4
0倍の顕微鏡を用いて糸の巻き付き構造を観察し、未解
撚部の数を測定する。尚、顕微鏡により未解撚部を観察
する際の測定速度は、試料糸1cm当たり2.1秒とし
た。
【0015】更に、本発明は、上記の複合加工糸におけ
る撚数が、(〔 275,000/(D+60)+ 800〕)×0.9
〜1.2であることを特徴とするサマーウール調複合加
工糸でもあり、上記式中のDは延伸後の複合加工糸の繊
度を示す。このような撚数を有した複合加工糸は、一般
に、スピンドル式仮撚機を使用して得られ、編地にした
際のシャリ味感及びドライ感が優れる。尚、撚数が上記
式の値以上である複合加工糸の場合には、未解撚の数が
少ないために、編地に加工した際の布帛が、シャリ味風
合いの不足したものとなる。逆に撚数が、上記式の値以
下の撚数を有する複合加工糸の場合にも、未解撚の数が
少ないために、シャリ味感及びドライ感のない編地とな
る。
【0016】本発明は、又、上記の構造を有するサマー
ウール調複合加工糸を製造する際の方法でもあり、この
方法においては、2種類の原糸A及びBを引き揃え複合
仮撚して複合加工糸を得るに際し、上記原糸Aとして、
単繊維デニール5.0d以上の半延伸糸を使用し、上記
原糸Bとして、単繊維デニール3.5d以下の半延伸糸
を使用し、上記原糸Aの伸度が上記原糸Bの伸度よりも
大きく、かつ上記原糸Aと原糸Bの伸度差が100%以
下で、延伸倍率が1.26〜1.54倍であること、及
び仮撚加工における仮撚ヒーター温度が230〜250
℃で、仮撚ヒーター通過時間が0.25〜0.5sec.
で、仮撚加工時のK値〔解撚張力T2 (g) /加撚張力T
1 (g) 〕が0.5以下であることを特徴とする。
【0017】この場合において、使用される原糸A及び
Bは、前述の物性を有するものであり、原糸Aの伸度が
原糸Bの伸度よりも大きく、原糸AとBの伸度差は10
0%以下であって、60%以下であることが好ましく、
特に、原糸Aと原糸Bの伸度差が40〜60%である組
み合わせとすることが好ましい。本発明では、上記の伸
度差の条件を満たさない場合、得られる複合加工糸が芯
鞘構造を有するものになりにくくなる。又、本発明にお
ける、原糸Aを基準とした延伸倍率は、DR=〔(E+
100)/100〕×0.45〜0.55(ただし、E
は伸度の大なる破断伸度を示す)の式を満たす範囲であ
り、好ましい延伸倍率の範囲は、約1.26〜1.54
倍である。
【0018】本発明の方法によりサマーウール調複合加
工糸を製造する際には、一般的な外接式摩擦仮撚機が使
用でき、外接式摩擦仮撚機を用いて本発明の複合加工糸
を製造する加工工程の一態様を、図1に示す。図1に示
されるように、本発明では、原糸Aと原糸Bとは、ガイ
ド1で引き揃えられ、合糸された後、張力調整装置2、
フィードローラ3を経て混繊、交絡用のインターレース
ノズル9に供給され、次いで、第1デリベリローラ4に
より延伸仮撚ゾーンに供給され、仮撚ヒーター5、仮撚
具6を経て、第2デリベリローラ7により引き取られた
後、巻取チーズ8として巻取られる。この場合におい
て、フィードローラ3と第1デリベリローラ4との間に
は、インターレースノズル9が設けているが、このイン
ターレースノズル9は、必要に応じて設けられるもので
あり、なくても良い。本発明では、原糸Aと原糸Bを仮
撚する際、仮撚具6として外接式の摩擦仮撚具が使用で
きるので、高速にて加工を行うことができるという利点
がある。
【0019】本発明においては特に、原糸Aと原糸Bが
互いに旋回状に捲き付いていない開繊部を部分的に形成
することと、各単繊維が膠着状態になった未解撚部を単
位長さ当たりに一定数形成させることが重要であり、こ
の製造方法においては、ヒーターの熱により原糸AとB
とが融着しないような条件を選定する必要がある。本発
明では、このような未解撚部における膠着状態を形成さ
せる際の加工条件として、仮撚ヒーター温度が230〜
250℃、仮撚ヒーター通過時間が0.25〜0.5se
c.とすることが好ましく、この場合の加工速度として
は、250〜650m/min.が好ましい。
【0020】又、本発明における仮撚加工時のK値〔解
撚張力T2 (g) /加撚張力T1 (g)〕は0.5以下に調
整され、特に0.2〜0.5であることが好ましい。こ
の際、K値が0.7を越えると、未解撚部の数が0とな
り芯鞘構造が全て破壊され、風合いの点においてハリと
コシ感が著しく劣った複合糸となる。本発明では、上記
のK値に調整する際、一般的な外接式摩擦仮撚機のディ
スク枚数を適宜調整して組み合わせれば良く、ウレタン
ディスクを使用した一般的な条件で仮撚加工を行うこと
ができる。このようにして、本発明では、上述の仮撚条
件により、1m当たり120個以上の未解撚部が形成さ
れた複合糸を製造することができ、未解撚部の数が多い
ことによって、ハリと腰のあるものが得られる。尚、上
記の本発明の方法を用いることによって、原糸Aと原糸
Bの糸長差が5%未満の複合加工糸を得ることができ、
特に糸長差が2〜3%である複合加工糸は良好なサマー
ウール調の風合いを示す。
【0021】更に、本発明は、2種類の原糸A及びBを
引き揃え、仮撚スピンドルにより複合仮撚してサマーウ
ール調複合加工糸を製造する方法でもあり、この方法に
おいても、前述と同様の伸度差及び延伸倍率を有する原
糸Aと原糸Bが使用され、得られる複合加工糸の撚数
が、(〔 275,000/(D+60) + 800〕)×0.9〜1.
2(但し、Dは延伸後の複合加工糸の繊度を示す)とな
るように仮撚スピンドルを回転させる。尚、この仮撚加
工における仮撚ヒーター温度は230〜250℃で、仮
撚ヒーター通過時間は0.35sec.以上である。
【0022】上記の範囲に撚数が限定されるのは、得ら
れる複合加工糸を用いて作製される編地のシャリ味感及
びドライ感を良好なものとするためである。又、仮撚ヒ
ーター温度及び通過時間についても、1m当たりの未解
撚部の数が120個以上となるように上記の範囲が選ば
れ、特に仮撚ヒーター通過時間は0.5sec.以上である
ことが好ましい。本発明では、仮撚機の種類を変えるこ
とによっても、仮撚条件を変えることによっても、種々
の糸質のサマーウール調複合加工糸を製造することがで
きる。
【0023】更に、本発明では、外接式摩擦仮撚機又は
スピンドルタイプ仮撚機を用いて仮撚加工した複合加工
糸を、引き続いてリラックスヒーター内に供給してリラ
ックスセット(スタビライズド加工)しても良く、この
ようにして得られた加工糸は、本来のドライ感が損なわ
れずに、ビリやスナールの発生が少ないものとなる。よ
って、スタビライズド加工を行って得られた糸は、後工
程において糸の取扱性が優れている。本発明においてス
タビライズド加工を実施する場合、リラックスヒーター
の熱によって糸が融着しないような条件を選ぶ必要があ
り、リラックスヒーターの温度としては160〜220
℃が好ましく、オーバーフィード率は5〜8%が好まし
い。尚、スタビライズド加工を行った糸は、スタビライ
ズド加工を行なわない糸に比べて、低いトルク値を有し
たものとなる。以下に、本発明のサマーウール調複合加
工糸を製造する際の実施例を示す。
【0024】
【実施例】
実施例1:外接式摩擦仮撚機を用いた仮撚加工実験 実験No.1 原糸Aとして、2500m/min.の紡糸速度で得られたポリ
エステル糸(伸度:180 %、145 D/24f)を準備し、
一方、原糸Bとして、3500m/min.の紡糸速度で得られ
たポリエステル糸(伸度:120 %、115 D/36f)を準
備した。そして、上記の原糸A及び原糸Bを引き揃え
て、図1に示される工程にて、延伸倍率1.45倍、仮
撚ヒーター温度240℃、仮撚ヒーター通過時間0.4
3sec.、糸速350m/min.、速度比(D/Y)2.0
12の条件にて仮撚加工を行い、複合加工糸を製造し
た。尚、この際、仮撚具には外接式摩擦仮撚具を使用
し、ディスクの枚数は12枚とし、K値を0.30とし
た。
【0025】このようにして得られた複合加工糸の構造
を顕微鏡で観察したところ、原糸Aと原糸Bが互いに旋
回状に捲き付いた未解撚部では、原糸Aが表面に露出し
た芯鞘構造をとり、各単繊維が膠着状態になっており、
一方、原糸Aと原糸Bが互いに旋回状に捲き付いていな
い開繊部では、芯鞘構造をとることなく原糸Aと原糸B
が共に表面に露出した状態になっていることがわかっ
た。又、未解撚部の数を、前述の方法に従って測定した
ところ、1mあたり185個の未解撚部が存在すること
も確認された。更に、この複合加工糸を用いてニット編
地を作製し、シャリ味風合いを触感により評価したとこ
ろ、シャリ味感を強い編地となることがわかった。
【0026】実験No.2〜4 実験No.1における仮撚ヒーター通過時間を0.3
7、0.25、0.23sec.として、それぞれ複合加工
糸を製造した。尚、この場合、それぞれの条件における
K値は0.32、0.34、0.36であった。そし
て、実験No.1と同様にして、それぞれの複合加工糸
における未解撚部の数を測定し、更に、各複合加工糸か
らニット編地を作製して、シャリ味風合いを評価した。
これらの実験により得られた結果を表1に示す。尚、実
験No.4では、サージング糸切れとなった。
【0027】実験No.5及び6 実験No.1における原糸Aとして、実験No.1の原
糸Bと同じものを使用した場合(実験No.5、伸度差
が0の場合)と、1500m/min.の紡糸速度で得られたポ
リエステル糸を使用した場合(実験No.6、未延伸糸
の場合)について、実験No.1と同様の複合加工を行
った。この結果、実験No.5の場合には未解撚部が形
成されず、シャリ味風合いが不足した編地となり、実験
No.6の場合には糸切れが生じた(表1参照)。
【0028】実験No.7〜10 実験No.1における仮撚ヒーター温度を230〜20
0℃に変えて、実験No.1と同様の原糸A及びBによ
り複合加工を行い、複合糸を得た。これらの場合の結果
を表1に示す。
【0029】実験No.11〜15 実験No.1における外接式摩擦仮撚具のディスク枚数
を11〜7枚に変えて、実験No.1と同様の原糸A及
びBにより複合加工を行った。この結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】上記の表1の結果から、サマーウール調の
風合いを有する本発明の複合加工糸を製造するには、原
糸A及びBとして伸度差を有する半延伸糸を使用する必
要があり、仮撚ヒーター温度が約230〜240℃、仮
撚ヒーター通過時間が0.25〜0.43sec.、ディス
ク枚数が10枚以上、K値が0.3〜0.5の仮撚条件
が適していることがわかる。又、シャリ味感と未解撚部
の数には相関関係があり、シャリ味感の強い風合いとす
るためには、未解撚部の数が1mあたり約150〜19
0個必要であることも示されている。
【0032】 実施例2:スピンドルタイプ仮撚機を用いた仮撚実験 実験No.16〜29 実施例1記載の原糸A及びBを使用し、スピンドルタイ
プ仮撚機を用いて同様の実験を行った。加工条件は、以
下の表2に示される通りであり、仮撚ヒーター通過時間
は0.35〜1.00sec.、仮撚ヒーター温度は200
〜245℃、延伸倍率は1.449倍とした。それぞれ
の条件で得られた複合加工糸における未解撚部の数、及
び各複合加工糸から作製された編地のシャリ味風合い
を、前述と同様の方法で評価した。この実験結果を表2
に示す。
【0033】
【表2】
【0034】上記の表2の結果から、シャリ味風合いが
優れた本発明のサマーウール調複合加工糸では、未解撚
部の数が1mあたり約120個以上であることがわか
る。そして、このような未解撚部の数とするための加工
条件は、仮撚ヒーター温度が約230℃以上で、仮撚ヒ
ーター通過時間が0.35sec.以上である。1mあたり
の未解撚部の数が120個以下になると、風合いの面で
シャリ味感及びドライ感がなくなり、200個以上にな
ると風合いの面で表面がガサツキ、品位が著しく損なわ
れることがわかった。尚、撚数と未解撚部の数との関係
においては、撚数が2300T/M以上になると急激に
未解撚が低下し、作製された編地がシャリ味風合いの不
足したものとなる。逆に、撚数が1950T/M以下に
なると徐々に未解撚が低下し、作製された編地がシャリ
味風合いの不足したものとなる。複合加工糸の繊度は1
80/60であった。
【0035】 実施例3:仮撚機の種類の違いによる糸質評価 次に、仮撚機の違いにより、得られるサマーウール調複
合加工糸の糸質がどのように異なるかを調べた。実験に
使用した仮撚機は、帝人製の摩擦仮撚機、石川製の摩擦
仮撚機及び、三菱製のスピンドル仮撚機の計3種類であ
り、使用した原糸A及びBは、実施例1記載のものと同
じものである。各加工条件及び、得られた複合加工糸の
糸質を、以下の表3にまとめた。
【0036】
【表3】
【0037】上記の表3の結果から、本発明では、同じ
原糸A及びBを使用しても、摩擦仮撚機を使用した場合
とスピンドル仮撚機を使用した場合とでは、1mあたり
の未解撚部の数が異なり、糸質の違ったサマーウール調
複合加工糸が製造できることがわかる。尚、仮撚機の種
類の違いにより、強度、捲縮復元率、熱収率、トルクの
点においても違いが見られたが、これらの本発明のサマ
ーウール調複合加工糸から作製された編地は、いずれも
優れたシャリ味感を有するものであった。
【0038】実施例4:外接式摩擦仮撚機及びスピンド
ルタイプ仮撚機を用いた仮撚加工実験(リラックスヒー
ターを使用した場合) 実施例3に記載される摩擦仮撚機(帝人製)における第
2デリベリローラと巻取チーズの間(図1参照)にリラ
ックスヒーターを取り付け、実施例1に記載される原糸
A及びBを使用して、実施例3に記載される加工条件に
て仮撚加工実験を行った。そして、リラックスヒーター
の温度を160〜240℃に変化させ、得られる複合加
工糸の糸質がどのように異なるかを検討した。この場合
において、リラックスセット工程でのオーバーフィード
率は8%とした。又、実施例3に記載されるスピンドル
仮撚機(三菱製)にリラックスヒーターを取り付け、同
様の仮撚加工実験を行った。各加工条件及び、得られた
複合加工糸の糸質を、以下の表4及び表5にまとめた。
尚、表4及び表5において「判定」は、各複合加工糸か
ら作製された筒編み地での風合いを評価したものであ
る。
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】上記表4及び表5の結果から、糸質面では
S015、S016共にリラックスヒーターの温度が1
60〜220℃までは特に有意差は見られなかった。
又、リラックスヒーターの温度が220℃以上では、糸
質面で捲縮復元率の低下が見られ、糸掛け時にリラック
スヒーター内で糸が融着するために糸掛け作業性が悪か
った。リラックスヒーターによるスタビライズド加工を
行うことにより、リラックスヒーターによるスタビライ
ズド加工を行わない時の複合加工糸(表4及び表5の対
照の場合)よりも、低トルクの糸が製造できることがわ
かった。尚、得られた複合加工糸を用いて作製した筒編
地での風合いを評価した結果、リラックスヒーターの温
度が160〜220℃の範囲では、表面上凹凸感およ
び、シャリ感、ドライ感が変化しないことが確認され
た。
【0042】又、上記表4及び表5の結果から、リラッ
クスセット工程を実施することによる効果として、本来
のドライ感等が損なうことなく、ビリ・スナールの発生
を少なくすることができ、その結果、後工程での解除時
にビリ・スナール止めが不要となる。更に、撚糸工程に
おいても従来は1000T/M以上の複合加工糸はビリ
等によってトラブルが多発したが、リラックスセット工
程を実施することにより、リラックスヒーターの温度が
160〜220℃まではいずれもトラブルが無く、操業
性が改善できた。尚、従来の複合加工糸では、ニット向
展開においても編み立てが不可能であったが、リラック
スセット工程を行うスタビライズド加工により、いずれ
も編み立てが可能となった。
【0043】
【発明の効果】本発明のサマーウール調複合加工糸を用
いることによって得られる布帛の風合いは、表面の触感
がドライであり、しかも布帛表面の凹凸が少なく、表面
毛羽も少ないので、ウールに似た肌触りである。しか
も、このようにして得られた布帛は、適度なハリ及び腰
を有し、シャリ味があり、サマーウール調の風合いが要
求されるウエアー用途に適している。更に、本発明の製
造方法を用いることにより、上記の特性を有する複合加
工糸が効率良く製造できる。特に、リラックスセット工
程を行った場合には、外接式摩擦仮撚機による仮撚加工
であっても、スピンドル仮撚機による仮撚加工であって
も、ビリやスナールの発生が少なく、後工程において取
扱いが容易な複合加工糸が得られ、この複合加工糸は、
ニット向等の用途にも適したものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】外接式摩擦仮撚機を用いて本発明の複合加工糸
を製造する加工工程の一態様を示す概略図である。
【符号の説明】
A、B 原糸 1 ガイド 2 張力調整装置 3 フィードローラ 4 第1デリベリローラ 5 仮撚ヒーター 6 仮撚具 7 第2デリベリローラ 8 巻取チーズ 9 インターレースノズル
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年4月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 サマーウール調複合加工糸及びその製
造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、サマーウール調の風合
いを有する複合加工糸及びその製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来より、伸度の異なる2種以上の糸条
を引き揃えた状態で仮撚加工することによって複合加工
糸を製造することが行われてきており、例えば、特公昭
60−7050号には、半延伸糸と未延伸糸を使用し、
仮撚加工時のK値〔解撚張力T(g)/加撚張力T
(g)〕を0.95以下に維持して、プレインターレー
スなしの複合加工糸を製造することが開示されている。
そして、この製造方法では、芯糸の周囲に捲付糸が交互
撚糸状に捲き付いた二層構造の複合糸を得る際に、芯糸
の伸度よりも70%以上大きな伸度を有する捲付糸が使
用され、特に好ましい複合糸の条件として、加工後の捲
付糸の単繊維デニールが3デニール以下で、芯糸の単繊
維デニールが3デニール以上であることが示されてい
る。
【0003】ところが、このようなプレインターレース
なしの複合加工糸の場合には、糸ズレが生じ易いために
ネップ状ヤーンになるという問題点があり、加工温度や
融着状態の制御等の最適加工条件範囲が狭い。しかも、
ここで使用されている仮撚加工時のK値にするためには
解撚張力Tを比較的小さくしなければならず、特殊な
条件設定が必要となる。又、このようにして得られる複
合糸の布帛風合いに関しては、芯糸の単繊維デニールが
捲付糸よりも大きいために、適度なハリやコシを有した
ものにはなるが、表面の触感が柔らかなウーリー調とな
って、ドライ感がなく、サマーウール調の風合いを有し
たものは得られない。
【0004】又、特公昭61−19733号には、半延
伸糸と延伸糸、又は半延伸糸と未延伸糸が使用され、芯
糸の周囲に、芯糸よりも大きな伸度を有する捲付糸が交
互撚糸状に捲き付き、これらの境界部において両方の糸
の一部が互いに混合、交錯した交絡部が形成されている
スパンライク様仮撚2層構造糸が開示されている。しか
しながら、ここで開示される2層構造糸では、前述の複
合糸と同様に、芯糸の伸度よりも大きな伸度を有する捲
付糸が使用され、しかも加工後の芯糸の単繊維デニール
(3デニール以上)が、捲付糸の単繊維デニール(3デ
ニール以下)よりも大きいので、加工後の複合糸を用い
て得られる織編物がドライ感のない風合いを有したもの
になる。又、このような捲付構造を有する2層構造糸と
するためには、組み合わせて使用する原糸に比較的大き
な伸度差が必要であるだけでなく、熱収差も必要である
ために、芯糸と捲付糸の糸長差を少なくとも20%以上
にしなければならないという制限もあった。
【0005】更に、特公昭61−20662号には、半
延伸糸と未延伸糸が使用され、捲付糸の一部の単繊維が
芯糸と混合・交錯しつつ、芯糸表面にほぼ収束状態で連
続反転交互撚糸状に捲き付いた部分が形成され、かつ個
々の単繊維がランダムな位相で捲き付いた部分が形成さ
れている2層構造糸が開示され、この2層構造糸では、
芯糸と混合・交錯している捲付糸の構成単繊維が融着し
た状態となっている。ところが、このようにして捲付糸
を融着させた場合には、布帛表面のザラツキ感が強くな
り、シャリ味が強く、風合いの面で固さが出るために、
肌とのフィット性が悪くなり、痒みなどの不快感があ
り、サマーウエアー用として好ましくない。又、ここに
開示されている2層構造糸における芯糸の単繊維デニー
ルは2.0デニール以上で、捲付糸の単繊維デニールは
1.8デニール以下であり、この2層構造糸から製造さ
れる布帛は、前述の複合糸の場合と同様にドライ感がな
い。
【0006】上述の如く、これまでに開発されてきた複
合糸は、いずれも半延伸糸と延伸糸又は未延伸糸が使用
され、芯糸の単繊維デニールが捲付糸よりも大きいもの
であって、このような組み合わせの複合糸から製造され
る布帛は、その風合いにおいてハリや腰を有するものに
なるが、ドライ感がなく、サマーウール調の風合いが要
求される用途には適したものではなかった。その上、こ
れまでに開発されてきた前述の複合糸は、糸グセが強
く、ビリ・スナールの発生が多いので、特に後工程にお
いて糸の取扱いが難しく、製造条件に多くの制約があ
り、トラブルが起こり易いという問題点を有する。この
ため、従来の複合糸は、ニット向等の用途には適さない
ものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来技術における問題点を解決し、サマーウール調の風
合いを有する複合加工糸を提供することを課題とする。
又、このような複合加工糸を製造するための方法を提供
することも、本発明の課題である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明では、引き揃え状
態で複合仮撚される原糸として、伸度差のある2種類の
半延伸糸を使用し、従来の複合糸における捲付糸と芯糸
の単繊維デニールを逆転させ、捲付糸に、伸度及び単繊
維デニールが大きい方の半延伸糸を使用する一方、芯部
を構成する原糸に、伸度及び単繊維デニールが小さい方
の半延伸糸を使用すること、及び、従来技術では欠点と
される、360゜以上回転した未解撚部分の溶融部を利
用し、これらの構造部分により、シャリ感を出すことで
サマーウール調の風合いが得られることを見い出し、上
記の課題を解決した。
【0009】即ち、本発明のサマーウール調複合加工糸
は、単繊維デニール5.0d以上の半延伸糸(原糸A)
と、単繊維デニール3.5d以下の半延伸糸(原糸B)
とが複合延伸仮撚されてなり、上記原糸Aと原糸Bが互
いに旋回状に捲き付いた未解撚部では、上記原糸Aが表
面に露出した芯鞘構造をとり、各単繊維が膠着状態にな
っており、上記原糸Aと原糸Bが互いに旋回状に捲き付
いていない開繊部では、芯鞘構造をとることなく上記原
糸Aと原糸Bが共に表面に露出した状態になっているこ
と、及び1m当たりの未解撚部の数が120個以上であ
ることを特徴とする。
【0010】まず、本発明のサマーウール調複合加工糸
を構成する、原糸A及びBについて説明するが、本発明
における原糸A及びBはどちらも、ある程度にまで延伸
された半延伸糸であって、複合仮撚により捲付糸となる
原糸Aは、単繊維デニールが5.0デニール以上のもの
で、特に紡速が2300〜2700m/min.で、複
屈折率が25×10−3〜35×10−3であるものが
好ましい。一方、複合仮撚により芯部を構成する原糸B
は、単繊維デニールが3.5デニール以下のもので、特
に紡速が3000〜3500m/min.で、複屈折率
が40×10−3〜60×10−3であるものが好まし
い。
【0011】そして、上記の原糸A及びBからなる本発
明の複合加工糸では、原糸Aと原糸Bが互いに旋回状に
捲き付いていない開繊部が部分的に形成されており、こ
の開繊部においては、芯鞘構造が破壊され、原糸Aの単
繊維と原糸Bの単繊維が共に表面に露出した状態となっ
ている。一方、このような開繊部が形成されていない部
分には未解撚部が形成され、この未解撚部では、原糸A
と原糸Bが互いに旋回状に捲き付いて、原糸Aが表面に
露出した芯鞘構造をとり、各単繊維が互いに膠着状態と
なっている。
【0012】本発明の複合加工糸には1m当たりに12
0個以上の未解撚部が存在しており、本発明では、この
ような虫食い状態になった未解撚部が単位長さ当たりに
一定数以上形成されることで、編地に加工した際の布帛
がハリと腰を有したものとなり、好ましい未解撚部の数
は1m当たり120〜200個である。これは、未解撚
部の数が1m当たり120個以下になると、風合いの面
でシャリ味感及びドライ感がなくなり、逆に1m当たり
200個以上になると、風合いの面で表面ががさつき、
品位が著しく損なわれるからである。尚、本発明では、
未解撚部が、原糸Aと原糸Bを摩擦式仮撚機により仮撚
して得られたものである場合、未解撚部の数は1m当た
り160〜200個がより好ましく、180〜190個
が更に好ましい。
【0013】ここで、未解撚部とは、芯糸を構成する原
糸Bに対して施撚方向に応じて原糸AがS方向か、Z方
向に旋回状に捲き付いて原糸Bの周囲を包囲している状
態の部分をいい、本発明における未解撚部では、単繊維
が融着する前の状態、即ち、膠着状態となっていて、こ
の部分を顕微鏡で観察した際には、各単繊維間の境界線
は見えるが、全体としては固着された状態となってい
る。
【0014】尚、本発明では、未解撚部の数を測定する
際、以下の方法が用いられる。まず、測定を行う試料糸
の一端に0.1g/d(デニール)の重りを取り付け、
他端を固定して試料糸を垂直に垂らす。そして、この状
態が保持されるようにして試料糸の上端側及び下端側
を、約1.2mの長さのアクリル板に固定し、蛍光ペン
で試料糸を着色した後、測定長さ1mについて30〜4
0倍の顕微鏡を用いて糸の巻き付き構造を観察し、未着
色の未解撚部の数を測定する。尚、顕微鏡により未解撚
部を観察する際の測定速度は、試料糸1cm当たり2.
1秒とした。
【0015】本発明は、又、上記の構造を有するサマー
ウール調複合加工糸を製造する際の方法でもあり、以下
に、摩擦式仮撚機による製造方法について説明する。こ
の方法においては、2種類の原糸A及びBを引き揃え複
合延伸仮撚して複合加工糸を得るに際し、上記原糸Aと
して、単繊維デニール5.0d以上の半延伸糸を使用
し、上記原糸Bとして、単繊維デニール3.5d以下の
半延伸糸を使用し、上記原糸Aの伸度が上記原糸Bの伸
度よりも大きく、かつ上記原糸Aと原糸Bの伸度差が1
00%以下で、延伸倍率が1.26〜1.54倍である
こと、及び仮撚加工における仮撚ヒーター温度が230
〜250℃で、仮撚ヒーター通過時間が0.25〜0.
5sec.で、仮撚加工時のK値〔解撚張力T(g)
/加撚張力T(g)〕が0.5以下であることを特徴
とする。
【0016】この場合において、使用される原糸A及び
Bは、前述の物性を有するものであり、原糸Aの伸度が
原糸Bの伸度よりも大きく、原糸AとBの伸度差は10
0%以下であって、60%以下であることが好ましく、
特に、原糸Aと原糸Bの伸度差が40〜60%である組
み合わせとすることが好ましい。本発明では、上記の伸
度差の条件を満たさない場合、得られる複合加工糸が芯
鞘構造を有するものになりにくくなる。又、本発明にお
ける、原糸Aを基準とした延伸倍率は、DR=〔(E+
100)/100〕×0.45〜0.55(ただし、E
は伸度の大なる破断伸度を示す)の式を満たす範囲であ
り、好ましい延伸倍率の範囲は、約1.26〜1.54
倍である。
【0017】本発明の方法によりサマーウール調複合加
工糸を製造する際には、一般的な外接式摩擦仮撚機が使
用でき、外接式摩擦仮撚機を用いて本発明の複合加工糸
を製造する加工工程の一態様を、図1に示す。図1に示
されるように、本発明では、原糸Aと原糸Bとは、ガイ
ド1で引き揃えられ、合糸された後、張力調整装置2、
第1フィードローラ3を経て混繊、交絡用のインターレ
ースノズル9に供給され、次いで、第2フィードローラ
4により延伸仮撚ゾーンに供給され、仮撚ヒーター5、
仮撚具6を経て、デリベリローラ7により引き取られた
後、巻取チーズ8として巻取られる。この場合におい
て、第1フィードローラ3と第2フィードローラ4との
間には、インターレースノズル9が設けているが、この
インターレースノズル9は、必要に応じて設けられるも
のであり、なくても良い。本発明では、原糸Aと原糸B
を仮撚する際、仮撚具6として外接式の摩擦仮撚具が使
用できるので、高速にて加工を行うことができるという
利点がある。
【0018】本発明においては特に、原糸Aと原糸Bが
互いに旋回状に捲き付いていない開繊部を部分的に形成
することと、各単繊維が膠着状態になった未解撚部を単
位長さ当たりに一定数形成させることが重要であり、こ
の製造方法においては、ヒーターの熱により原糸AとB
とが融着しないような条件を選定する必要がある。本発
明では、このような未解撚部における膠着状態を形成さ
せる際の加工条件として、仮撚ヒーター温度が230〜
250℃、仮撚ヒーター通過時間が0.25〜0.5s
ec.とすることが好ましく、この場合の加工速度とし
ては、250〜650m/min.が好ましい。
【0019】又、本発明における仮撚加工時のK値〔解
撚張力T(g)/加撚張力T(g)〕は0.5以下
に調整され、特に0.2〜0.5であることが好まし
い。この際、K値が0.7を越えると、未解撚部の数が
0となり芯鞘構造が全て破壊され、風合いの点において
ハリとコシ感が著しく劣った複合糸となる。本発明で
は、上記のK値に調整する際、一般的な外接式摩擦仮撚
機のディスク枚数を適宜調整して組み合わせれば良く、
ウレタンディスクを使用した一般的な条件で仮撚加工を
行うことができる。このようにして、本発明では、上述
の仮撚条件により、1m当たり120個以上の未解撚部
が形成された複合糸を製造することができ、未解撚部の
数が多いことによって、ハリと腰のあるものが得られ
る。尚、上記の本発明の方法を用いることによって、原
糸Aと原糸Bの糸長差が5%未満の複合加工糸を得るこ
とができ、特に糸長差が2〜3%である複合加工糸は良
好なサマーウール調の風合いを示す。
【0020】更に、本発明は、2種類の原糸A及びBを
引き揃え、仮撚スピンドルにより複合仮撚してサマーウ
ール調複合加工糸を製造する方法でもあり、以下に、ス
ピンドル式仮撚機による製造方法について説明する。こ
の方法においても、前述と同様の伸度差及び延伸倍率を
有する原糸Aと原糸Bが使用され、仮撚スピンドルの施
撚数(設定撚数)を(〔275,000/(D+60)
+800〕)×0.9〜1.2(但し、Dは延伸後の複
合加工糸の繊度を示す)とする。尚、この仮撚加工にお
ける仮撚ヒーター温度は230〜250℃で、仮撚ヒー
ター通過時間は0.35sec.以上である。
【0021】このような加工条件にて、スピンドル式仮
撚機を使用して得られる複合加工糸は、編地にした際の
シャリ味感及びドライ感が優れ、上記の範囲に施撚数が
限定されるのは、得られる複合加工糸を用いて作製され
る編地のシャリ味感及びドライ感を良好なものとするた
めである。尚、スピンドル式仮撚機の施撚数が上記式の
値以上である複合加工糸の場合には、未解撚の数が少な
いために、編地に加工した際の布帛が、シャリ味風合い
の不足したものとなる。逆に施撚数が、上記式の値以下
である複合加工糸の場合にも、未解撚の数が少ないため
に、シャリ味感及びドライ感のない編地となる。
【0022】又、この製造方法においては、仮撚ヒータ
ー温度及び通過時間についても、1m当たりの未解撚部
の数が120個以上となるように上記の範囲が選ばれ、
特に仮撚ヒーター通過時間は0.5sec.以上である
ことが好ましい。本発明では、仮撚機の種類を変えるこ
とによっても、仮撚条件を変えることによっても、種々
の糸質のサマーウール調複合加工糸を製造することがで
きる。
【0023】更に、本発明では、外接式摩擦仮撚機又は
スピンドルタイプ仮撚機を用いて仮撚加工した複合加工
糸を、引き続いてリラックスヒーター内に供給してリラ
ックスセット(スタビライズド加工)しても良く、この
ようにして得られた加工糸は、本来のドライ感が損なわ
れずに、ビリやスナールの発生が少ないものとなる。よ
って、スタビライズド加工を行って得られた糸は、後工
程において糸の取扱性が優れている。本発明においてス
タビライズド加工を実施する場合、リラックスヒーター
の熱によって糸が融着しないような条件を選ぶ必要があ
り、リラックスヒーターの温度としては160〜220
℃が好ましく、オーバーフィード率は5〜8%が好まし
い。尚、スタビライズド加工を行った糸は、スタビライ
ズド加工を行なわない糸に比べて、低いトルク値を有し
たものとなる。以下に、本発明のサマーウール調複合加
工糸を製造する際の実施例を示す。
【0024】
【実施例】 実施例1:外接式摩擦仮撚機を用いた仮撚加工実験 実験No.1 原糸Aとして、2500m/min.の紡糸速度で得ら
れたポリエステル糸(伸度:180%、145D/24
f)を準備し、一方、原糸Bとして、3500m/mi
n.の紡糸速度で得られたポリエステル糸(伸度:12
0%、115D/36f)を準備した。そして、上記の
原糸A及び原糸Bを引き揃えて、図1に示される工程に
て、延伸倍率1.45倍、仮撚ヒーター温度240℃、
仮撚ヒーター通過時間0.43sec.、糸速350m
/min.、速度比(D/Y)2.012の条件にて仮
撚加工を行い、複合加工糸を製造した。尚、この際、仮
撚具には外接式摩擦仮撚具を使用し、ディスクの枚数は
12枚とし、K値を0.30とした。
【0025】このようにして得られた複合加工糸の構造
を顕微鏡で観察したところ、原糸Aと原糸Bが互いに旋
回状に捲き付いた未解撚部では、原糸Aが表面に露出し
た芯鞘構造をとり、各単繊維が膠着状態になっており、
一方、原糸Aと原糸Bが互いに旋回状に捲き付いていな
い開繊部では、芯鞘構造をとることなく原糸Aと原糸B
が共に表面に露出した状態になっていることがわかっ
た。又、未解撚部の数を、前述の方法に従って測定した
ところ、1mあたり185個の未解撚部が存在すること
も確認された。更に、この複合加工糸を用いてニット編
地を作製し、シャリ味風合いを触感により評価したとこ
ろ、シャリ味感の強い編地となることがわかった。
【0026】実験No.2〜4 実験No.1における仮撚ヒーター通過時間を0.3
7、0.25、0.23sec.として、それぞれ複合
加工糸を製造した。尚、この場合、それぞれの条件にお
けるK値は0.32、0.34、0.36であった。そ
して、実験No.1と同様にして、それぞれの複合加工
糸における未解撚部の数を測定し、更に、各複合加工糸
からニット編地を作製して、シャリ味風合いを評価し
た。これらの実験により得られた結果を表1に示す。
尚、実験No.4では、サージング糸切れとなった。
【0027】実験No.5及び6 実験No.1における原糸Aとして、実験No.1の原
糸Bと同じものを使用した場合(実験No.5、伸度差
が0の場合)と、1500m/min.の紡糸速度で得
られたポリエステル糸を使用した場合(実験No.6、
未延伸糸の場合)について、実験No.1と同様の複合
加工を行った。この結果、実験No.5の場合には未解
撚部が形成されず、シャリ味風合いが不足した編地とな
り、実験No.6の場合には糸切れが生じた(表1参
照)。
【0028】実験No.7〜10 実験No.1における仮撚ヒーター温度を230〜20
0℃に変えて、実験No.1と同様の原糸A及びBによ
り複合加工を行い、複合糸を得た。これらの場合の結果
を表1に示す。
【0029】実験No.11〜15 実験No.1における外接式摩擦仮撚具のディスク枚数
を11〜7枚に変えて、実験No.1と同様の原糸A及
びBにより複合加工を行った。この結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】上記の表1の結果から、サマーウール調の
風合いを有する本発明の複合加工糸を製造するには、原
糸A及びBとして伸度差を有する半延伸糸を使用する必
要があり、仮撚ヒーター温度が約230〜240℃、仮
撚ヒーター通過時間が0.25〜0.43sec.、デ
ィスク枚数が10枚以上、K値が0.3〜0.5の仮撚
条件が適していることがわかる。又、シャリ味感と未解
撚部の数には相関関係がある。
【0032】 実施例2:スピンドルタイプ仮撚機を用いた仮撚実験 実験No.16〜29 実施例1記載の原糸A及びBを使用し、スピンドルタイ
プ仮撚機を用いて同様の実験を行った。加工条件は、以
下の表2に示される通りであり、仮撚ヒーター通過時間
は0.35〜1.00sec.、仮撚ヒーター温度は2
00〜245℃、延伸倍率は1.449倍とした。それ
ぞれの条件で得られた複合加工糸における未解撚部の
数、及び各複合加工糸から作製された編地のシャリ味風
合いを、前述と同様の方法で評価した。この実験結果を
表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】上記の表2の結果から、シャリ味風合いが
優れた本発明のサマーウール調複合加工糸では、未解撚
部の数が1mあたり約120個以上であることがわか
る。そして、このような未解撚部の数とするための加工
条件は、仮撚ヒーター温度が約230℃以上で、仮撚ヒ
ーター通過時間が0.35sec.以上である。1mあ
たりの未解撚部の数が120個以下になると、風合いの
面でシャリ味感及びドライ感がなくなり、200個以上
になると風合いの面で表面がガサツキ、品位が著しく損
なわれることがわかった。尚、撚数と未解撚部の数との
関係においては、撚数が2300T/M以上になると急
激に未解撚が低下し、作製された編地がシャリ味風合い
の不足したものとなる。逆に、撚数が1950T/M以
下になると徐々に未解撚が低下し、作製された編地がシ
ャリ味風合いの不足したものとなる。
【0035】 実施例3:仮撚機の種類の違いによる糸質評価 次に、仮撚機の違いにより、得られるサマーウール調複
合加工糸の糸質がどのように異なるかを調べた。実験に
使用した仮撚機は、帝人製機製の摩擦仮撚機、石川製作
所製の摩擦仮撚機及び、三菱製のスピンドル仮撚機の計
3種類であり、使用した原糸A及びBは、実施例1記載
のものと同じものである。各加工条件及び、得られた複
合加工糸の糸質を、以下の表3にまとめた。
【0036】
【表3】
【0037】上記の表3の結果から、本発明では、同じ
原糸A及びBを使用しても、摩擦仮撚機を使用した場合
とスピンドル仮撚機を使用した場合とでは、1mあたり
の未解撚部の数が異なり、糸質の違ったサマーウール調
複合加工糸が製造できることがわかる。尚、仮撚機の種
類の違いにより、強度、捲縮復元率、熱収率、トルクの
点においても違いが見られたが、これらの本発明のサマ
ーウール調複合加工糸から作製された編地は、いずれも
優れたシャリ味感を有するものであった。
【0038】実施例4:外接式摩擦仮撚機及びスピンド
ルタイプ仮撚機を用いた仮撚加工実験(リラックスヒー
ターを使用した場合) 実施例3に記載される摩擦仮撚機(帝人製製機)におけ
るデリベリローラと巻取チーズの間(図1参照)にリラ
ックスヒーターを取り付け、実施例1に記載される原糸
A及びBを使用して、実施例3に記載される加工条件に
て仮撚加工実験を行った。そして、リラックスヒーター
の温度を160〜240℃に変化させ、得られる複合加
工糸の糸質がどのように異なるかを検討した。この場合
において、リラックスセット工程でのオーバーフィード
率は8%とした。又、実施例3に記載されるスピンドル
仮撚機(三菱製)にリラックスヒーターを取り付け、同
様の仮撚加工実験を行った。各加工条件及び、得られた
複合加工糸の糸質を、以下の表4及び表5にまとめた。
尚、表4及び表5において「判定」は、各複合加工糸か
ら作製された筒編み地での風合いを評価したものであ
る。
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】上記表4及び表5の結果から、糸質面では
両糸共にリラックスヒーターの温度が160〜220℃
までは特に有意差は見られなかった。又、リラックスヒ
ーターの温度が220℃以上では、糸質面で捲縮復元率
の低下が見られ、糸掛け時にリラックスヒーター内で糸
が融着するために糸掛け作業性が悪かった。リラックス
ヒーターによるスタビライズド加工を行うことにより、
リラックスヒーターによるスタビライズド加工を行わな
い時の複合加工糸(表4及び表5の対照の場合)より
も、低トルクの糸が製造できることがわかった。尚、得
られた複合加工糸を用いて作製した筒編地での風合いを
評価した結果、リラックスヒーターの温度が160〜2
20℃の範囲では、表面上凹凸感および、シャリ感、ド
ライ感が変化しないことが確認された。
【0042】又、上記表4及び表5の結果から、リラッ
クスセット工程を実施することによる効果として、本来
のドライ感等が損なうことなく、ビリ・スナールの発生
を少なくすることができ、その結果、後工程での解除時
にピリ・スナール止めが不要となる。更に、追撚工程に
おいても従来は1000T/M以上の複合加工糸はビリ
等によってトラブルが多発したが、リラックスセット工
程を実施することにより、リラックスヒーターの温度が
160〜220℃まではいずれもトラブルが無く、操業
性が改善できた。尚、従来の複合加工糸では、ニット向
展開においても編み立てが困難であったが、リラックス
セット工程を行うスタビライズド加工により、いずれも
編み立てが可能となった。
【0043】
【発明の効果】本発明のサマーウール調複合加工糸を用
いることによって得られる布帛の風合いは、表面の触感
がドライであり、しかも布帛表面の凹凸が少なく、表面
毛羽も少ないので、ウールに似た肌触りである。しか
も、このようにして得られた布帛は、適度なハリ及び腰
を有し、シャリ味があり、サマーウール調の風合いが要
求されるウエアー用途に適している。更に、本発明の製
造方法を用いることにより、上記の特性を有する複合加
工糸が効率良く製造できる。特に、リラックスセット工
程を行った場合には、外接式摩擦仮撚機による仮撚加工
であっても、スピンドル仮撚機による仮撚加工であって
も、ビリやスナールの発生が少なく、後工程において取
扱いが容易な複合加工糸が得られ、この複合加工糸は、
ニット向等の用途にも適したものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】外接式摩擦仮撚機を用いて本発明の複合加工糸
を製造する加工工程の一態様を示す概略図である。
【符号の説明】 A、B 原糸 1 ガイド 2 張力調整装置 3 第1フィードローラ 4 第2フィードローラ 5 仮撚ヒーター 6 仮撚具 7 デリベリローラ 8 巻取チーズ 9 インターレースノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高居幸子 福井県鯖江市西番町27字4番22 (72)発明者 吉村和子 福井県鯖江市上河端町22番地5号

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単繊維デニール5.0d以上の半延伸糸
    (原糸A)と、単繊維デニール3.5d以下の半延伸糸
    (原糸B)とが複合仮撚されてなり、 上記原糸Aと原糸Bが互いに旋回状に捲き付いた未解撚
    部では、上記原糸Aが表面に露出した芯鞘構造をとり、
    各単繊維が膠着状態になっており、上記原糸Aと原糸B
    が互いに旋回状に捲き付いていない開繊部では、芯鞘構
    造をとることなく上記原糸Aと原糸Bが共に表面に露出
    した状態になっていること、及び1m当たりの未解撚部
    の数が120個以上であることを特徴とするサマーウー
    ル調複合加工糸。
  2. 【請求項2】 上記複合加工糸の撚数が、(〔 275,000
    /(D+60) + 800〕)×0.9〜1.2(但し、Dは延
    伸後の複合加工糸の繊度を示す)であることを特徴とす
    る請求項1記載のサマーウール調複合加工糸。
  3. 【請求項3】 2種類の原糸A及びBを引き揃え複合仮
    撚して複合加工糸を得るに際し、 上記原糸Aとして、単繊維デニール5.0d以上の半延
    伸糸を使用し、上記原糸Bとして、単繊維デニール3.
    5d以下の半延伸糸を使用し、上記原糸Aの伸度が上記
    原糸Bの伸度よりも大きく、かつ上記原糸Aと原糸Bの
    伸度差が100%以下で、延伸倍率が1.26〜1.5
    4倍であること、及び仮撚加工における仮撚ヒーター温
    度が230〜250℃で、仮撚ヒーター通過時間が0.
    25〜0.5sec.で、仮撚加工時のK値〔解撚張力T2
    (g) /加撚張力T1 (g) 〕が0.5以下であることを特
    徴とするサマーウール調複合加工糸の製造方法。
  4. 【請求項4】 2種類の原糸A及びBを引き揃え、仮撚
    スピンドルにより複合仮撚して複合加工糸を得るに際
    し、 上記原糸Aとして、単繊維デニール5.0d以上の半延
    伸糸を使用し、上記原糸Bとして、単繊維デニール3.
    5d以下の半延伸糸を使用し、上記原糸Aの伸度が上記
    原糸Bの伸度よりも大きく、かつ上記原糸Aと原糸Bの
    伸度差が100%以下で、延伸倍率が1.26〜1.5
    4倍であること、 仮撚加工における仮撚ヒーター温度が230〜250℃
    で、仮撚ヒーター通過時間が0.35sec.以上であるこ
    と、及び得られる複合加工糸の撚数が、(〔 275,000/
    (D+60) + 800〕)×0.9〜1.2(但し、Dは延伸
    後の複合加工糸の繊度を示す)となるように上記仮撚ス
    ピンドルを回転させることを特徴とするサマーウール調
    複合加工糸の製造方法。
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