JP3248300B2 - 複合毛羽糸およびその製造方法 - Google Patents

複合毛羽糸およびその製造方法

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JP3248300B2 JP13057493A JP13057493A JP3248300B2 JP 3248300 B2 JP3248300 B2 JP 3248300B2 JP 13057493 A JP13057493 A JP 13057493A JP 13057493 A JP13057493 A JP 13057493A JP 3248300 B2 JP3248300 B2 JP 3248300B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、糸筋が均一で、糸の強
力・伸度および初期引張り抵抗値の保持率が大きいスパ
ンライク・フイラメントの風合いを有する複合毛羽糸に
関し、スポーツやブルゾンあるいはレデイースなどの用
途に適した、複合毛羽糸およびその製造方法である。
【0002】
【従来の技術】従来、紡績糸が有する嵩高性、暖かみ、
柔らかさなどを、マルチフイラメント糸条に毛羽を付与
した毛羽糸によって達成しようとする試みが多数提案さ
れている。
【0003】例えば、マルチフイラメント糸条をブレー
ドで擦過しながら仮ヨリ加工する方法がある。この方法
は、擦過体に経時的な摩耗が発生するため、毛羽糸の糸
質が次第に変化する。つまり、糸長手方向に毛羽数が変
わり毛羽ムラを生じるため糸の強力や伸度あるいはヤン
グ率などの引張り特性が変動するという欠点がある。他
の方法としては、熱処理を施し糸長手方向に沿って間欠
的に弱点または部分的に切断を与えたマルチフイラメン
ト糸条を仮ヨリ加工した後、交絡処理する方法がある。
この方法は、得られた毛羽糸の毛羽にちぢれが付与さ
れ、毛羽足の長いものは毛羽同志が絡んだり、ピリング
の原因になったりする欠点があった。
【0004】また、特開平1−272840号公報に記
載のように、マルチフイラメント糸条同志を擦過させ
て、単繊維フイラメント糸を切断させ毛羽糸とする方法
がある。これは毛羽数を多くすると毛羽糸の強力・伸
度、初期引張り抵抗値などの引張り特性が逆に低下する
ので、「張り」や「腰」などの風合いは大きく低下し、
「もたついた」製品になることが欠点であった。
【0005】さらに、糸の強力・伸度、初期引張り抵抗
値を改善するために、特開平2−91236号公報に記
載のようにマルチフイラメント糸条の中に太い繊度の単
繊維フイラメント糸を混繊した毛羽糸が提案されてい
る。しかし、太い繊度のフイラメント糸も一部は切断す
るので糸の強力・伸度、初期引張り抵抗値を大幅に改善
することはできないという欠点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した従来の欠点を解消し、糸長手方向の糸筋が均一で、
毛羽糸の強力・伸度、初期引張り抵抗値の保持率が高
く、製品における「張り」や「腰」などに優れたスパン
ライク風合を有する複合毛羽糸およびその製造方法を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は、次の構成を有する。
【0008】すなわち、芯糸と鞘糸から成るマルチフイ
ラメント糸条において、該マルチフイラメント糸条の表
面にフイラメント単糸が切断した毛羽、たるみの突出糸
部を有し、かつ該突出糸部が前記芯糸と前記鞘糸を構成
するフイラメント相互の交絡に絡んで糸条表面に拘束さ
れており、さらに該突出糸部の毛羽、たるみが全て鞘糸
から構成されていることを特徴とする複合毛羽糸であ
る。
【0009】また、鞘糸となるマルチフイラメント糸条
に予め流体交絡処理を施し、次いで該糸条をガイドに巻
き掛け、該ガイドに向かう往路側と戻る復路側との両糸
条を緊張下に互いに交錯させることによって往復両糸条
に捩じれと扱きとを与えて、該マルチフイラメント糸条
の表面にフイラメント単糸が切断した毛羽、たるみの突
出糸部を形成し、次いで前記交錯処理後の鞘糸となるマ
ルチフイラメント糸条と、実質的に毛羽やたるみを有し
ない芯糸となるマルチフイラメント糸条とを引き揃え、
流体交絡処理することを特徴とする複合毛羽糸の製造方
法である。
【0010】以下、本発明の複合毛羽糸を構成する要件
についてそれぞれ詳細に説明する。まずマルチフイラメ
ント糸条の表面の毛羽、たるみなどの突出糸部となる鞘
糸の素材、品種は特に制限されない。ポリエステルフイ
ラメント、ナイロンなどの合成繊維フイラメント糸ある
いはアセテート、レーヨンなどの半合成繊維を用いるこ
とができるが、弾性率の高い素材であることが好まし
い。また、鞘糸となるフイラメント糸は、生糸、仮ヨリ
糸あるいはエアー加工糸などのカサ高糸のいずれであっ
てもよい。生糸使いではフイラメント・ライクに、カサ
高糸使いではスパン・ライクな風合いの複合毛羽糸を得
ることができる。
【0011】糸品種としては単繊維フイラメントの本数
が多くまたは細くなると、よりソフトなスパンライク風
合い、あるいはピーチ・タッチ風合いの素材が得られ
る。糸断面形状が異形断面であるものを用いた場合、特
に三角断面糸であると、よりドライなスパンライク・タ
ッチの風合いになる。また、完全延伸糸だけでなく不完
全延伸糸やシックアンドシン糸などを延伸したり、ある
いはそのまま用いることができる。
【0012】一方、芯糸については、本発明の複合毛羽
糸の毛羽加工(交錯処理)において、交錯や捩じれある
いは扱きを実質的に受けないので、毛羽やたるみは実質
的に存在しない。用いる糸の素材や糸品種について特に
制限されず、本発明の複合毛羽糸において生糸の糸特性
をそのまま活かすことができる。
【0013】すなわち、従来の毛羽を有する複合加工糸
は、複合混繊した後に毛羽加工して得られるものであっ
たので、毛羽加工において芯糸が切断されにくいように
するため、必然的に芯糸には鞘糸よりもかなり太い繊度
の糸を用いなければならなかったという制約を受けるも
のであった(しかしながら、芯糸の一部も毛羽加工で切
断されていた)。それに対し、本発明の複合毛羽糸は鞘
糸だけに毛羽加工された糸を用いるので、芯糸が切断さ
れていないので複合毛羽糸として強度が低下しない。
【0014】したがって、本発明の複合毛羽糸は、芯糸
の単糸繊度が制約されることはなく、特に単糸繊度の比
較的小さい0.1デニール以上2デニール以下の糸から
なる複合毛羽糸とした時には強度低下の問題もなく、本
発明の効果が大きい。しかしながら、芯糸の繊度が小さ
くなりすぎると複合加工糸としての腰がなくなるので、
芯糸の繊度は1デニール以上5デニール以下であること
が好ましい。また、鞘糸には単糸繊度が0.01デニー
ル以上2デニール以下のものを用いることがスパンライ
クな風合を付与する上で好ましく用いることができる。
【0015】本発明の複合毛羽糸は、その他例えば、芯
糸が鞘糸よりも単繊維フイラメントの本数が少なくて繊
度が太いもの、収縮率が大きいもの、糸断面形状が三
角、四角、五角、八角、偏平、中空などの異形化したも
のであるもの、または溶剤で処理する割繊型繊維あるい
はデニール・ミックス糸などを用いた組み合わせでは
「張り」、「腰」が大きくなり、かつドレープ性が高
く、好ましい用い方となる。生糸、仮ヨリ糸などの嵩高
糸、または完全延伸糸だけでなく不完全延伸糸やシック
アンドシン糸などを延伸しながら、あるいはそのまま芯
糸として用いたものでは、発色性に優れた複合毛羽糸を
合理的に得ることができる。その他、高光沢糸、高透明
糸、高発色糸、潜在ケン縮糸、半合成繊維などを組み合
わせることによってバラエテイーに富んだ複合毛羽糸を
得ることができる。
【0016】芯糸と鞘糸の絡みは交絡処理によって互い
に絡みあっているが、さらに鞘糸の毛羽やたるみなどの
突出糸部のフイラメントが芯糸のフイラメントに絡んで
該毛羽、たるみは糸条表面に拘束された交絡構造になっ
ている。なお、一部の該毛羽、たるみは芯糸の単繊維フ
イラメント間にも絡んでいる場合もある。
【0017】次に、複合毛羽糸の単位糸長さ中における
芯糸と鞘糸の比率は、芯糸に対し鞘糸が長いことが好ま
しい。すなわち換言すれば、芯糸に鞘糸が絡み付いた状
態での実質糸長さの比率が大きいほどたくさん巻き付い
た糸構成になるので、複合毛羽糸の単位糸長さにおける
毛羽、たるみの数は増え、スパンライク風合いに優れた
効果をもたらす。そのためには芯糸として高収縮型の原
糸をもちいることであり、例えばポリエステル糸ではイ
ソフタル酸との共重合糸や、不完全延伸糸のガラス転移
温度(Tg)以下で延伸することによって得られる高配
向型低結晶糸などを用いるとよい。しかし、この比率が
20%を越える領域は、芯糸と鞘糸の絡みが弱くなるの
で好ましくはない。
【0018】次に、芯糸のフイラメント糸は毛羽加工の
交錯処理を受けていないので、とくに原糸特性の強力・
伸度、初期引張り抵抗値はまったく低下しないので、生
糸の特性を損なわずにそのままの状態で100%維持し
ながら用いることができるので、従来の毛羽加工糸が有
していた強度低下等の欠点を大幅に改善することができ
る。
【0019】図1は、本発明に係る複合毛羽糸の一例を
示すモデル図である。
【0020】図において、1は芯糸、2は鞘糸、3は毛
羽部やたるみ部をそれぞれ示す。
【0021】次に、本発明の複合毛羽糸を製造するため
の一例について説明する。
【0022】図2は、本発明に係る複合毛羽糸の製造方
法の一例を示す工程概略図である。鞘糸となるマルチフ
イラメント糸1と芯糸となるマルチフイラメント糸2を
それぞれローラ6、7から供給し、マルチフイラメント
糸1を空気交絡ノズル8によって先交絡処理し、次いで
緊張ローラ9とデリベリーローラ10の間で高緊張下の
糸−糸擦過を毛羽発生ローラ11によって毛羽加工し、
次いでデリベリーローラ10と弛緩ローラ12との間で
マルチフイラメント糸2を引き揃えて再び空気交絡ノズ
ル13によって後交絡処理し、チーズ14に巻き上げる
プロセスである。
【0023】すなわち、本発明の複合毛羽糸は上記の如
く、マルチフイラメント糸に予め空気交絡処理を施し、
その交絡を与えた糸条をガイドに巻き掛け、ガイドに向
かう往路側の糸条と戻る復路側の糸条とを緊張下に互い
に交錯させ、往復両糸条に捩じれと抜きとを与えるよう
にして交錯処理した毛羽糸と、毛羽を有しないマルチフ
イラメント糸とを再び空気交絡処理して複合化すること
によって製造することができる。
【0024】本発明の製造方法において、鞘糸となるマ
ルチフイラメント糸の交錯処理に先立って、予め与える
空気交絡処理は毛羽やたるみを形成する上で非常に重要
である。このような前交絡処理を行うことによって、次
ぎの交錯処理の抜きによるネップの発生や毛羽足の長さ
を調整し、また糸強力のバラツキの平均化と強力・伸度
低下の阻止、毛羽質の悪化を抑制することができるよう
になる。
【0025】そして、このような抑制効果は交錯処理後
に、再び空気交絡処理を行うことによって一層向上させ
ることができる。
【0026】また、交錯処理に代わり、マルチフイラメ
ント糸条に実撚りを先撚りとして挿入すると、毛羽足の
極めて短い毛羽を増加させ、一層品質に優れた複合毛羽
糸を得ることができる。例えば、75デニールのポリエ
ステルフイラメント糸であれば、150T/M以上が好
ましい実撚り数である。
【0027】本発明では交錯処理をマルチフイラメント
糸条を走行させながら糸−糸同志で行わせるようにし、
相互の糸を経時的に絶えず変化するようにする。そのた
めに経時的な摩耗による糸質変化をもたらすことはな
い。
【0028】図3に、本発明に係る毛羽発生ローラの拡
大図を示す。
【0029】この糸−糸同志の交錯処理は緊張下に行う
ことが重要である。この緊張下における交錯処理によっ
てマルチフイラメント糸条に捩じれと抜きとを与えるこ
とにより、フイラメント単糸の一部に毛羽やたるみを形
成することができる。この緊張を与えるときの張力とし
ては、復路側において0.5g/d以上であることが好
ましい。
【0030】また、本発明において交錯処理によって付
与する捩じれは、好ましくは少なくとも180°以上に
し、さらに好ましくは360°以上であることが望まし
い。ここでいう捩じれの角度について、図4〜8で説明
する。図4に示されるような位置が0°であって、図4
の斜線で示した面(円柱の一面であって紙面の上方に出
ているものとする)を右に90°回したものが図5であ
り、図5に示されるような位置が90°である。図5か
らさらに90°回し図6に示されるような位置が180
°であり、以下同様に図7に示されるような位置が27
0°であり、図8に示されるような位置が360°であ
る。
【0031】この様に交錯処理において180°以上の
捩じれを与えることによって、糸条外周の半周以上を相
手方の糸条と摩擦接触させることができ、それによって
フイラメント単糸の切断を糸長手方向および単糸間でラ
ンダム化させることができる。したがって、この切断の
ランダム化によって糸スジをより均一化することができ
るようになるのである。
【0032】捩じれの角度は、360°〜720°が好
ましく、720°を越えた範囲では糸切れが発生するよ
うになるので好ましくない。
【0033】また、前述したように、交錯処理の前にマ
ルチフイラメント糸条に先撚りを挿入する場合には、そ
の撚り方向と交錯の捩じり方向を同一方向にすることが
好ましい。このように撚り方向と捩じり方向とを同じに
することによって毛羽の発生数を増加させ、しかも毛羽
足を短くすることができる。逆方向では毛羽数が少な
く、糸筋が良くないのである。
【0034】次に、交錯処理し毛羽化した鞘糸となるマ
ルチフイラメント糸と、毛羽を有しない芯糸となるマル
チフイラメント糸を複合化させるため、再び空気交絡を
施すことが重要である。毛羽化した鞘糸となるマルチフ
イラメント糸が芯糸となるマルチフイラメント糸を包み
込むように配列しながら交絡処理を施すのである。芯糸
/鞘糸の配列をより大きくつけるためには、各マルチフ
イラメント糸の供給量差を設けることによって行なうこ
とができる。つまり、図2に示すように、マルチフイラ
メント糸2を別のローラから供給量を、マルチフイラメ
ント糸1と同等もしくは少なくなるように供給し、空気
交絡ノズル13で両糸を後交絡させることである。
【0035】例えば、鞘糸の供給量を100m/min
とすれば、芯糸の供給量は97m/minなど、同等も
しくは少なく設定することが好ましい。
【0036】なお、空気交絡ノズル13で両糸を後交絡
させる前後において、緊張あるいは弛緩の熱処理を施し
て収縮率の調整や芯・鞘糸長差の付与、あるいは毛羽長
さの短縮などを目的として行なうこともできる。
【0037】
【実施例】 実施例1 芯糸となる収縮率19.3%のポリエステル50デニー
ル24フイラメントの糸条と、鞘糸となる収縮率11.
2%のポリエステル60デニール144フイラメント
(単繊維フイラメントデニールが0.4d)の糸条を合
糸した120デニール288フイラメントを用いて、鞘
糸をオーバフイード率+2%にて空気圧4kg/cm2
の交絡処理を実施し、次いで走行速度400m/mi
n、往路側53g,復路側145gの高張力下にガイド
ローラに巻き掛け、その往路側の糸条と復路側の糸条と
を互いに交錯させることにより、約360°の捩じりと
抜きを与え毛羽化した鞘糸と、芯糸を同一供給量で引き
揃えオーバフイード率+2%で交絡ノズルにより再び交
絡処理して複合毛羽糸を得た。
【0038】得られた複合毛羽糸は、鞘糸に毛羽、たる
み、ループなどの突出糸部を表面に有しており、芯糸に
は毛羽はまったく無い複合毛羽糸を得た。
【0039】複合毛羽糸の特性は下記の通りであった。
【0040】なお、沸騰水収縮率、初期引張り抵抗値、
強度の変動率、強度、伸度は、JIS法L−1073に
準じて行なった。糸長差は、沸騰水中でリラックス熱処
理を行い、芯糸と鞘糸に分繊し、それぞれの長さを測定
し芯糸に対する鞘糸の長さ比で表したものである。U斑
は、ツエルベガー社製の糸ムラ試験機を使用し、糸速25
m/min 、Normal Test で測定した値である。毛羽、たる
みは、東レ(株)製 FRAY COUNTER MODEL-104 を使用
し、糸速60m/min,張力0.1g/dにて測定したものである。
【0041】 沸騰水収縮率(%) 15.6 初期引張り抵抗値(g/d) 75.4 強度の変動率(%) 6.4 強度(g/d) 3.7 伸度(%) 12.2 糸長差(%) 6.8 U斑(%) 2.0 毛羽、たるみ(コ/m) 糸正面から0.35mm以上のもの 234 糸正面から0.85mm以上のもの 91 比較例1 実施例1と同様のポリエステルフイラメント糸条を3糸
条用いて、3糸条を引き揃え同時にオーバフイード率+
2%にて空気圧4kg/cm2 の交絡処理を実施し、次
いで走行速度400m/min 、往路側115g、復路側2
81gの高張力下にガイドローラに巻き掛け、その往路
側の糸条と復路側の糸条とを互いに交錯させることによ
り約360°の捩じりと抜きを与え、ついで再び4kg
/cm2の交絡ノズルによりオーバフイード率+2%に
より交絡処理して複合毛羽糸を得た。
【0042】得られた毛羽糸は、毛羽、たるみ、ループ
などの突出糸部を表面に有してはいるものの、芯鞘の糸
構造を有する複合毛羽糸ではなかった。
【0043】 沸騰水収縮率(%) 13.8 初期引張り抵抗値(g/d) 68.3 強度の変動率(%) 9.3 強度(g/d) 3.1 伸度(%) 8.5 糸長差(%) 4.8 U斑(%) 1.9 毛羽、たるみ(コ/m) 糸正面から0.35mm以上のもの 198 糸正面から0.85mm以上のもの 69 沸騰水収縮率による比較では本発明が1.8%高く、初
期引張り抵抗値による比較では本発明が7.1g/d大
きく、強度の変動率では2.9%小さい。
【0044】毛羽、たるみ数による比較では本発明が糸
正面から0.35mm以上のものは36コ/m、糸正面
から0.85mm以上のものでは22コ/m多い。
【0045】糸斑試験機によるU斑の比較では本発明が
0.9大きいなどの糸特徴を有している。
【0046】実施例2 芯糸となる伸縮復元率35.2%のポリエステル75デ
ニール24フイラメントの仮ヨリ加工糸と、鞘糸となる
ポリエステル75デニール72フイラメント(単繊維フ
イラメントデニールが1.0d)の三角断面のブライト
光沢生糸を用いて、鞘糸を実施例1の製造方法と同様の
条件にて毛羽糸を製造し、該鞘糸を芯糸より糸供給量を
2%多くしながら実施例1の製造方法と同様の条件にて
処理し複合毛羽糸を製造した。
【0047】得られた複合毛羽糸は鞘糸に毛羽、たる
み、ループなどの突出糸部を表面に有しており、芯糸に
は毛羽はまったく無く、毛羽に光沢のある複合毛羽糸で
あった。
【0048】また、複合毛羽糸の鞘糸は全体に光沢を有
した突出糸部を表面に形成しており、芯糸には毛羽はま
ったく無く嵩高い伸縮性を有した複合毛羽糸を得た。
【0049】 伸縮復元率(%) 8.8 初期引張り抵抗値(g/d) 62 糸長差(%) 2.1 U斑(%) 1.8 毛羽、たるみ(コ/m) 糸正面から0.35mm以上のもの 138 糸正面から0.85mm以上のもの 49 伸縮性を有しながら嵩高くかつ鞘糸の三角断面糸が光沢
を有しているのが糸の特徴である。
【0050】
【発明の効果】まず風合いについて、本発明例の複合毛
羽糸は、毛羽・たるみ・ループなどの数は比較例(従来
の毛羽加工糸)に比べて多くなり、スパンライクなタッ
チとなる。いわゆる、フイラメント・スパンライクな風
合いが特徴である。これは、交錯処理を通過する際、鞘
糸の糸条のみに毛羽、たるみ、ループなどが形成される
のに対し、比較例は鞘糸および芯糸にも毛羽、たるみ、
ループなどが形成され、芯糸に毛羽、たるみ、ループな
どが形成される分、鞘糸に形成される毛羽、たるみ、ル
ープが少なくなるので、トータル的には数が少なくなる
のである。よって、本発明例の複合毛羽糸は表面のタッ
チがソフトなスパンライクの触感になる。芯/鞘の糸長
差が大きくなると「ふくらみ」や嵩高となり「暖かみ」
などが大きくなる。本発明例の複合毛羽糸は芯糸が交錯
処理をまったく受けないために、芯糸の収縮率を100
%使うことができ、糸長差を最大に生かせることができ
るからである。比較例では芯糸の一部が切断したり、た
るみやループを形成するので収縮率を100%使うこと
はできないので、糸長差が少ないのである。
【0051】本発明例の強度・伸度および初期引っ張り
抵抗値は比較例に比べて大きい。これは前記しているよ
うに、芯糸は強伸度低下の影響を受けないので維持率が
高く、そのため「張り」・「腰」が強く、比較例のよう
に「くたくた」した風合いにはならず、スパンライクな
タッチと、「張り」・「腰」に優れた複合毛羽糸を得る
ことができる。
【0052】本発明の初期引張り抵抗値の変動率は比較
例に比べて2.9%小さく、糸筋は均一になる。これ
も、芯糸は交錯処理をまったく受けないために糸特性の
バラツキを押さえることができるためである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る複合毛羽糸の一例を示すモデル図
である。
【図2】本発明に係る複合毛羽糸の製造方法の一例を示
す工程概略図ある。
【図3】本発明に係る毛羽発生ローラの拡大図である。
【図4】本発明における捩じれ角度を説明する(0°を
示す)説明図である。
【図5】本発明における捩じれ角度を説明する(90°
を示す)説明図である。
【図6】本発明における捩じれ角度を説明する(180
°を示す)説明図である。
【図7】本発明における捩じれ角度を説明する(270
°を示す)説明図である。
【図8】本発明における捩じれ角度を説明する(360
°を示す)説明図である。
【符号の説明】
イ : 芯糸 ロ : 鞘糸 ハ : 毛羽部 ニ : たるみ ホ : 交絡部 1 : 鞘糸となるマルチフイラメント糸 2 : 芯糸となるマルチフイラメント糸 6 : 供給ローラ 7 : 供給ローラ 8 : 空気交絡ノズル 9 : 緊張ローラ 10 : デリベリーローラ 11 : 毛羽発生ローラ 12 : 弛緩ローラ 13 : 空気交絡ノズル 14 : チーズ

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯糸と鞘糸から成るマルチフイラメント
    糸条において、該マルチフイラメント糸条の表面にフイ
    ラメント単糸が切断した毛羽、たるみの突出糸部を有
    し、かつ該突出糸部が前記芯糸と前記鞘糸を構成するフ
    イラメント相互の交絡に絡んで糸条表面に拘束されてお
    り、さらに該突出糸部の毛羽、たるみが全て鞘糸から構
    成されていることを特徴とする複合毛羽糸。
  2. 【請求項2】 鞘糸となるマルチフイラメント糸条に予
    め流体交絡処理を施し、次いで該糸条をガイドに巻き掛
    け、該ガイドに向かう往路側と戻る復路側との両糸条を
    緊張下に互いに交錯させることによって往復両糸条に捩
    じれと扱きとを与えて、該マルチフイラメント糸条の表
    面にフイラメント単糸が切断した毛羽、たるみの突出糸
    部を形成し、次いで前記交錯処理後の鞘糸となるマルチ
    フイラメント糸条と、実質的に毛羽やたるみを有しない
    芯糸となるマルチフイラメント糸条とを引き揃え、流体
    交絡処理することを特徴とする複合毛羽糸の製造方法。
  3. 【請求項3】 芯糸の糸供給量を鞘糸の糸供給量より少
    なくなるように引き揃え、流体交絡処理することを特徴
    とする請求項2記載の複合毛羽糸の製造方法。
JP13057493A 1993-06-01 1993-06-01 複合毛羽糸およびその製造方法 Expired - Fee Related JP3248300B2 (ja)

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