JPH0672942A - ポリカルボン酸およびその誘導体の製造方法 - Google Patents

ポリカルボン酸およびその誘導体の製造方法

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JPH0672942A
JPH0672942A JP4112867A JP11286792A JPH0672942A JP H0672942 A JPH0672942 A JP H0672942A JP 4112867 A JP4112867 A JP 4112867A JP 11286792 A JP11286792 A JP 11286792A JP H0672942 A JPH0672942 A JP H0672942A
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Juergen Kulpe
ユルゲン・クルペ
Heinz Strutz
ハインツ・シユトルッツ
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C51/00Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides
    • C07C51/34Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides by oxidation with ozone; by hydrolysis of ozonides
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C59/00Compounds having carboxyl groups bound to acyclic carbon atoms and containing any of the groups OH, O—metal, —CHO, keto, ether, groups, groups, or groups
    • C07C59/235Saturated compounds containing more than one carboxyl group

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Abstract

(57)【要約】 【構成】 下記段階;(A)非芳香族炭素−炭素(C─
C)二重結合を持つ一種または複数種の有機 化合物を
水中に導入し、(B)水中のこの有機化合物をオゾン含
有キャリヤ−ガス中に通してオゾン分 解し、(C)B
段階で生じたオゾン分解生成物を酸化後処理する為に、
過酸化水素水溶液を添加するで構成されている、少なく
とも3つのカルボキシル基を持つポリカルボン酸および
その誘導体を製造するに当たって、(A)段階で有機化
合物を7または7より小さいpHの水の中に導入しそし
て(C)段階で過酸化水素を、有機溶剤を加えずに添加
する。 【効果】 この方法は、溶剤を使用せず水の中で実施で
き、廃棄物を生じないので、経済的に上記生成物をもた
らす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の産業上の利用分野】本発明は、ポリカルボン酸
およびその誘導体を製造する方法に関し、その製造され
るポリカルボン酸は少なくとも三つのカルボキシル基を
含有している。本発明は特に、非芳香族炭素−炭素二重
結合を持つ有機化合物をオゾン分解しそして、有機化合
物のこの酸化の際に生じるオゾニドを過酸化水素で酸化
後処理してポリカルボン酸を得ることに関する。
【0002】
【従来の技術】カルボン酸およびポリカルボン酸は沢山
の工業的用途、例えばポリエステルの製造の為の出発化
合物である。かゝる用途の他に、代表的なポリカルボン
酸、例えば1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸お
よび1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸
はセルロース架橋剤として使用できる〔Textile
Resarch Journal 58(8)480
(1988)〕。
【0003】非芳香族C−C二重結合の酸化開裂によっ
てカルボン酸およびポリカルボン酸を製造する沢山の方
法が公知である。炭素−炭素二重結合の酸化開裂の為の
出発物質として環状オレフィンが使用される場合には、
ω,ω’−ジカルボン酸を適当な反応条件のもとで製造
することができる。二環系にカルボキシル基を持つノル
ボルネン誘導体、例えばノルボルネンカルボン酸が使用
される場合には、トリカルボン酸が適当な反応条件のも
とで製造できる。ディールス・アルダ付加物、例えばジ
エンとしての1,3−ブタジエンとジエノフィル、例え
ば無水マレイン酸、マレイン酸またはフマル酸と反応さ
せることによって容易に製造できるテトラヒドロフタル
酸無水物を使用する場合には、テトラカルボン酸、例え
ば1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸が適当な反
応条件のもとで製造することができる。
【0004】C−C二重結合を過マンガン酸塩、タング
ステン酸またはオスミウム四酸化物を用いて適当な共酸
化剤にて分解する他に、オゾンによるC−C二重結合の
開裂が久しい前から公知の方法である。この場合、オレ
フィン系出発化合物は溶剤中でオゾン含有のキャリヤ−
ガス、一般に酸素にて処理する。反応を非プロトン系溶
剤、例えばメチレンクロライド、エステル類中で実施す
る場合(反応I)、Iのタイプの第二オゾニドが生じ、
即ちプロトン溶剤、例えばアルコール(R’−OH)ま
たは酸の中で、以下の式に従ってポリマーとして存在し
てもよいIIのタイプの過酸化物が生じる:
【0005】
【化1】 〔式中、RおよびR’はいわゆる有機残基、例えば炭化
水素残基である〕 タイプIのオゾニドは、溶解性が小さい為に溶剤から沈
澱するしばしば爆発性化合物である〔“有機化学におけ
るオゾン化(Ozonization inOrgan
ic Chemistry)”、P.S.Baile
y、Academic Press、ニューヨーク/ロ
ンドン、1978〕ので、一般にプロトン性溶剤中でオ
ゾン分解を実施するのが有利である。タイプIまたはII
のオゾン分解生成物を酸化剤と反応させる場合には、相
応するジカルボン酸化合物が得られる。酸化剤は過酸化
カルボン酸、例えば過酸化酢酸、その場で生ずる過酸、
例えば過酸化水素との蟻酸または過酸化水素との酢酸を
触媒量の強いブレンステッド酸、例えば硫酸およびアル
カリ性過酸化水素溶液および酸素の存在下に使用でき
る。
【0006】ポリカルボン酸を合成する為の例として
は、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸──以
下、BTCAと言う──の合成が、沢山の刊行物および
特許明細書によって開示されている。
【0007】W.S.Knowles等は、J.Or
g.Chem.30(1965)1488においてバナ
ジウム触媒による硝酸での酸化反応によってBTCAを
製造することを開示している。
【0008】ヨーロッパ特許出願公開第0,021,1
18号明細書には、BTCAをルテニウム触媒による無
水テトラヒドロフタル酸およびアセトアルデヒドの酸化
連結反応によって製造している。この方法では、結果と
して数倍のモル量の酢酸が生じるのを避けられない。
【0009】ヨーロッパ特許出願公開第0,201,7
19号明細書には、タングステン酸および過酸化水素に
よる酸化反応が開示されている。この場合には、触媒が
高価であることおよび過剰に過酸化水素を必要とする点
が欠点である。金属を触媒とするあらゆる方法の場合に
は、触媒を除くと言う問題が生じる。BTCAの用途お
よび金属の毒性次第で、検出できる限り除く必要があ
る。
【0010】テトラヒドロフタル酸またはそれの酸無水
物をオゾン分解し、次いで得られたオゾニドを酸化する
ことによってBTCAを合成することも公知である。米
国特許第3,218,353号明細書には、オレフィン
をオゾン分解しそして次に得られるオゾニドを溶剤、例
えばメタノール、エチルアセテートおよび氷酢酸の中で
酸化解裂することによって1,2,3,4−ブタンテト
ラカルボン酸および1,2,3,4−シクロペンタンテ
トラカルボン酸を製造する方法が開示されている。
【0011】J.Org.Chem.、30(196
5)、4328でJ.E.Franz、W.S.Kno
wlesおよびC.Osuchは、酢酸または蟻酸中で
メソ−1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸を製造
する方法が記載されている。この場合には、生じるオゾ
ニドの酸化を、直接的に添加されるかまたは記載された
通りその場で製造されるペルオキシカルボン酸で後で行
っている。その場での方法は何れの場合にも溶剤として
酸を使用する必要がある。その場での方法を用いる場合
には、低い水含有量──即ち、できるだけ水を含まない
酸を使用すること──が、水含有量が酸/過酸−平衡に
影響するので、好都合であると報告されている。平衡を
調節する為に酢酸を使用する場合には、場合によっては
生成物から除くのが困難であり得る少量の強酸、例えば
硫酸が必要である。生態学的におよび経済的に必要とさ
れる、使用された酸の回収は、少なくとも工業的に強く
要求されている。蟻酸は熱応力のもとで分解してしまう
ので、蟻酸を使用する場合には、完全に回収することは
実際には不可能である。酸の代わりに他の溶剤、例えば
メタノールをオゾン分解の為に使用する場合には、酸化
後処理の為に溶剤を交換する必要がでる。これは、蒸留
によって分離する為にエネルギーが必要とされるので、
重大な欠点である。更に、過酸反応生成物の濃度がしば
しば現実的でなくはない危険を孕んでいる。
【0012】米国特許第3,284,492号明細書お
よびJ.Org.Chem.、28(1963)、25
37には、水性エマルジョンでのオゾン分解が説明され
ている。この場合には水性相は過酸化水素および水酸化
ナトリウムを含有していなければならない。これによっ
て対応する酸のナトリウム塩が得られる。第二の反応段
階では、これが塩酸の添加によって遊離のカルボン酸に
転化され、結果として不可避的に不所望の塩化ナトリウ
ムが生じる。同様に、アルカリ媒体が過酸化水素の分解
速度を促進するという欠点がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】それ故に本発明の課題
は、上記の欠点が避けられる、ポリカルボン酸およびそ
の誘導体の製造方法を開発することであった。
【0014】
【課題を解決するための手段】この課題は、請求項1に
記載の特徴を持つ方法によって解決される。従属項の請
求項はこの方法の特別な実施形態を記述したものであ
る。
【0015】本発明の方法では、段階(A)で有機化合
物を反応媒体の水に最初に導入し、その際に一般に脱イ
オン水を使用する。使用する水の品質が製造される最終
生成物の純度を決定する。本発明の方法は、有機化合物
を反応媒体中に完全に溶解する必要がない点に特徴があ
る。本発明の方法は溶液、エマルジョンにて並びに水に
有機化合物が懸濁した懸濁液にて実施することができ
る。本発明の方法を実施する為の前提条件は反応媒体中
に導入される有機化合物が部分的に溶解し、その際有機
化合物の溶解量は検出限界の範囲内であってもよい。本
発明の方法の(A)、(B)および(C)の何れの段階
でも水は反応媒体であり且つ溶剤である。
【0016】反応すべき出発化合物の懸濁液を用いて本
発明の方法を実施することは驚くべきことである。何故
ならば、ポリカルボン酸を製造する公知の方法は化合物
を溶液状態でまたは乳化剤を用いてのエマルジョン状態
で供給しているからである。
【0017】本発明の方法の(B)段階では、有機化合
物のオゾン分解を反応媒体の水中で実施する。本発明の
方法においては、有機化合物のオゾン分解を水中で実施
できることは驚くべきことである。これら有機化合物が
水中に存在する状態──溶液、エマルジョンとしてまた
は水中に懸濁した懸濁液としての状態──に無関係に、
オゾン分解を水中で実施することができることは驚くべ
きことである。
【0018】本発明の方法の(C)段階では、過酸化水
素水溶液を添加する。これが、オゾン分解後に存在する
オゾニドを酸化後処理してポリカルボン酸をもたらす。
オゾン分解生成物の酸化後処理が溶剤としての酸を添加
せずに過酸化水素水溶液を単に加えることで水中で実施
できることは驚くべきことである。これは、遊離酸の水
中への溶解性が酸のナトリウム塩の溶解性よりも著しく
低いことそして酸化後処理が懸濁液中でも実施できるこ
とから驚くべきことである。懸濁液状態で存在すること
によって、生じるオゾニドの僅かな割合しか反応できな
いにもかかわらず、懸濁液状態での酸化後処理は驚くべ
きことに非常に良好な収率で進行する。水中での後処理
は、従来技術に従う過酸化水素での酸化後処理が蟻酸の
如き有機酸を添加してしか容易に進行しなかったので、
更に驚くべきことである。酢酸を用いた場合ですら、文
献によると、必要とされる過酸を形成する為に強いプロ
トン酸、例えば硫酸を添加することがオゾン分解生成物
の酸化後処理に必要である。本発明の方法は、有機酸ま
たは酸混合物を添加せずに水性懸濁液中にポリカルボン
酸をもたらすオゾン分解生成物の酸化後処理を実施する
可能な方法を提供した。ポリカルボン酸をもたらすオゾ
ン分解生成物のこの有利な酸化後処理は、水中での反応
が必然的に低い過酸化水素濃度を伴うので、特に予期で
きなかった。それにもかかわらず、水溶液中でのオゾン
分解生成物の酸化後処理は、従来公知の製法に比較して
少なくとも匹敵する──しばしば改善された──収率で
進行する。
【0019】本発明の方法の(A)、(B)および
(C)の全ての段階を沢山の有機化合物に対して使用で
きる。これら有機化合物は、個々の化合物としてまたは
複数の化合物の混合物の状態で(A)、(B)および
(C)の段階で使用できる。その際に、用いられる混合
物の個々の成分の数は数的に制限する必要はない。有機
化合物は非芳香族炭素−炭素二重結合(C─C二重結
合)を持つ化合物を意味する。非芳香族C−C二重結合
の意味でエチレン系二重結合を含有する有機化合物は一
般にオレフィンと称されそして簡潔化の為にそう記載す
る。但し、オレフィンという言葉は炭素および水素だけ
を含有する化合物に制限されていないことに注意するべ
きである。言い換えれば、非芳香族のC−C二重結合を
含有する各有機化合物(オレフィン)は本発明の方法に
よって反応して、ポリカルボン酸またはその誘導体とな
るのに適している。オレフィンの構造次第で、生じるポ
リカルボン酸は少なくともトリカルボン酸である。用い
るオレフィンは一般に脂肪族アルケン類または一つ以上
のC−C二重結合を持つ脂肪族の環式アルケン類であ
る。かゝるオレフィンはその構造中に芳香族基、ハロゲ
ン含有基またはニトロ−、カルボキシル−、ポリカルボ
キシル−、アルコキシ−、アリールオキシ−またはシア
ノ基を持つ置換基を含有していてもよい。
【0020】使用してもよい出発物質は非芳香族C−C
二重結合を持つエステルおよび/または半エステルであ
る。芳香族環系がシクロアルケン環に結合している縮合
した環系、例えば1,4−ジヒドロ−1,4−ナフタレ
ンジカルボン酸も本発明に従う方法によってポリカルボ
ン酸の製造に同様に使用できる。
【0021】二環式環系、例えばノルボルネン−ジカル
ボン酸または多環系、例えばテトラシクロ〔16,9 ・1
1,4 ・05,10〕−2,3−ジカルボキシル−7−デセン
も同様に、ポリカルボン酸を製造する為のオレフィン系
出発化合物として使用できる。二環または多環の環系も
上記の基および芳香族環系を含有していてもよい。従っ
て、本発明の方法でそれらを使用することは制限されな
い。
【0022】一般式
【0023】
【化2】 〔式中、R1 は水素原子、アルキル基またはアリール基
である。〕のジエンと、一般式
【0024】
【化3】 〔式中、R2 は水素原子、アルキル基またはアリール基
である。〕の不飽和ジカルボン酸より成る群から選択さ
れるジエノフィルおよびこれらジカルボン酸の酸無水
物、エステルおよびアルカリ金属塩との反応で製造され
る所謂ディールス・アルダ反応生成物も同様に本発明の
方法によってポリカルボン酸を製造する為のオレフィン
として使用するのに適している。
【0025】一般式
【0026】
【化4】 のジエンと上記ジエノフィルの一種類との反応によって
製造されるディールス・アルダ反応生成物も同様に本発
明に従う方法で使用するのに適している。
【0027】本発明の方法を実施する為には、(A)段
階で有機化合物を反応媒体の水に最初に導入する。有機
化合物を導入する反応媒体の水は7または7より小さい
pHを有している。反応媒体中への有機化合物の導入は
色々な方法で実施することができる。この導入は反応容
器中に反応媒体の水を最初に入れて置き、オレフィン系
の出発化合物または複数の出発化合物の混合物を添加す
る(不連続法)かまたは反応媒体の水およびオレフィン
系出発化合物または複数の出発化合物の混合物を同時に
反応容器に加えて(連続法)実施することができる。こ
の場合には、反応媒体の水および出発化合物または複数
の出発化合物の混合物を同じまたは異なる割合で反応容
器に添加することができる。かゝる連続法は例えば気泡
塔で実施することができる。水と有機化合物との比は必
要とされる十分な混合によって制限される。必要とされ
る混合は、有機化合物を反応媒体中に均一に分布させる
ことを保証する適当な攪拌装置(例えば高速攪拌機)に
よって達成される。既には激しく攪拌されている反応媒
体に有機化合物を添加するのが有利であり得る。反応媒
体と有機化合物との混合物──これは溶液でも、エマル
ジョンでもまたは懸濁液でもよい──を、今度は、30
℃から沸騰温度、好ましくは80℃から沸騰温度までの
温度に15〜30分加熱する。使用される酸無水物は、
対応する酸無水物と比較すると高濃度で水に溶解する遊
離カルボン酸をもたらす。このことは反応に有利であ
る。しかしながらこれは、酸無水物と直接的に反応を実
施することと無関係である。もし部分的にエステル化さ
れたカルボン酸を製造することを望む場合には、対応す
る有機出発化合物のエステルまたは半エステルも使用で
きる。用いるアルコール成分は炭素原子数1〜10の骨
格を持つモノヒドロキシ−またはポリヒドロキシ化合物
であってもよい。
【0028】本発明の方法の(B)段階で、溶液、エマ
ルジョンまたは懸濁液にオゾンを通し、その際反応混合
物中にガスをより良好に導入する為に攪拌工程を中断す
べきでない。オゾンは化学量論量より少ない量から化学
量論量より遙かに多い量で使用することができる。出発
化合物の非芳香族二重結合1モル当たりに0.5〜10
当量、特に1.0〜1.2当量のオゾンを使用するのが
好ましい。
【0029】オゾンは、それ自体反応に不利な影響を及
ぼさないキャリヤ─ガス、例えば酸素または空気中に含
まれていてもいよいしまたは例えば窒素の如き不活性の
キャリヤ−ガスに含まれていてもよい。得られるオゾン
含有キャリヤ−ガス流中のオゾン濃度には臨界がなく、
広い範囲に亘っている。オゾンはキャリヤ−ガス中に
0.1〜30容量% 、特に1〜9容量% の濃度で含まれ
ているのが好ましい。ガス流が低いオゾン含有量の場合
には、この流れを攪拌される反応混合物中に多量に且つ
長時間に亘って通す。キャリヤ−ガス中のオゾン濃度が
多い場合には、少量のキャリヤ−ガスを攪拌される反応
混合物中に通す。反応媒体の水と使用するオレフィンと
より成る反応混合物中にガスを通す間、溶液の固化温度
と溶液の沸点との間の温度、好ましくは0〜30℃の温
度、特に5〜15℃の温度が有利である。驚くべきこと
に、用いるオレフィンの溶解性が温度の低下とともに低
下するにもかかわらず、オゾン分解が比較的低い温度で
最も良好な反応経過を示すことが判った。オゾン/キャ
リヤ−ガス混合物の入口流速には臨界がない。これは反
応温度に依存して、できるだけ完全な転化が行われそし
てオゾンが反応容器から逃げ出さないかまたは僅かな量
のオゾンしか逃げ出さないように選択するのが有利であ
る。このことは、終わりの頃に入口流速および/または
オゾン濃度が減少することを意味し得る。
【0030】本発明の方法の(C)段階で、反応混合物
の酸化後処理を実施する。この目的の為に過酸化水素溶
液を反応混合物に添加する。市販の過酸化水素を使用す
ることができる。添加する溶液の過酸化水素濃度は広い
範囲で変更できる。即ち、10〜90重量% の濃度、特
に50〜85重量% の濃度の過酸化水素が有利である。
用いる過酸化水素の量は、用いる出発化合物の非芳香族
二重結合1モル当たり0.1〜10当量、殊に0.5〜
2当量、特に1.0〜1.75当量である。過酸化水素
はオゾン分解の前に反応溶液に添加してもよい。触媒量
の強酸、例えば蟻酸を過酸化水素と一緒に添加すること
も可能である。これは後処理の温度次第で有利であり得
る。しかしながら驚くべきことに、オゾン分解生成物の
酸化後処理を追加的溶剤および/または有機溶剤として
の酸を添加せずに反応媒体の水中で実施できることが判
った。オゾン分解生成物の酸化後処理を酸を添加せずに
少なくとも匹敵する──しばしば改善された──収率で
実施することができることもまた驚くべきことである。
反応溶液を今度は0.1〜70時間、殊に3〜30時間
の間、20℃から、殊に40℃から溶液の沸騰温度、特
に60〜80℃に加熱する。必要な場合には、あるいは
存在する過剰の過酸化物は、分解の為の接触作用する化
合物、例えば活性炭の添加によっておよび/または溶液
を沸騰温度に加熱して分解してもよい。濾過後に、必要
な場合には水を除く。これは減圧下に例えば回転式蒸発
器でまたは例えばスプレー乾燥によって蒸発させること
によって行うことができる。この場合には、反応媒体と
して水を用いることによって、場合によっては費用が掛
り、追加的安全手段を伴う溶剤の困難な回収を回避でき
るのことが好都合である。
【0031】得られる残留物中のポリカルボン酸の含有
量は、シリル化後の定量ガスクロマトグリフィーによっ
ておよび液体クロマトグラフィー(HPLC)によって
測定することができる。反応条件によって非常に良好な
収率で得られるポリカルボン酸は殆どの用途に更に精製
処理を行うことなしに使用することができる。場合によ
って必要とされる精製は例えば再結晶処理によって実施
することができる。
【0032】ポリカルボン酸の半エステルを本発明の方
法によって製造する場合には、得られる残留物中のそれ
の濃度は、定量ガスクロマトグリフィーによっておよび
液体クロマトグラフィー(HPLC)によって同様に測
定できる。
【0033】製造されるポリカルボン酸エステルの定量
測定はガスクロマトグラフィーによって実施する。最終
生成物の含有量を測定する為の既に記載した分析法の他
に、有機化合物のカルボキシル含有量を測定する為に使
用されるあらゆる方法、例えば酸を基礎とする滴定また
は酸価の測定が適している。
【0034】上記方法は、ポリカルボン酸およびその誘
導体を高収率で製造することを可能とする。本発明の方
法は複数の段階(A)、(B)および(C)で構成され
ており、この方法の実施に当たっては、過酸化水素の添
加(C)を出発化合物のオゾン分解(B)の前、間また
は後で実施することが可能である。個々の反応段階の順
序は、即ち(A)、次いで(B)、次いで(C)である
かまたは(A)、次いで(C)、次いで(B)であるか
または(A)、次いで(B)および(C)である。
【0035】本発明の方法は、有機溶剤を用いることを
必要とする時がないので、従来技術に比較して著しく経
済的に且つ生態学的に有利である。水の中で反応を実施
することによって、溶剤の困難な回収および/または廃
棄が省ける。使用される酸化剤のオゾンおよび過酸化水
素は最終生成物として酸素と水をもたらす。製造におい
て塩の種類の廃棄物は生じない。金属触媒が反応で使用
されない。それ故に重金属による汚染はなく、困難な精
製および分析が避けられる。
【0036】本発明の方法を次の実施例および比較例に
よって更に詳細に説明する。しかしながら本発明の方法
はこれらの実施例だけに制限されない。以下に挙げた実
施例によって行う本発明の方法の詳細な説明において、
反応容器は、高速攪拌機、ガス濾過手段の在るガス供給
管、ガス−フラッシュング手段および温度計を備えた2
リットルのマルチネック−フラスコで構成されている。
【0037】
【実施例】実施例1 600mlの水に溶解した76.08g (0.5mo
l)の無水テトラヒドロフタル酸を2リットルのフラス
コで還流煮沸下に1時間加熱する。この混合物を冷却し
た後に、2.9容量% のオゾン含有量の酸素を、3時間
および30分の期間、フリットを通して100リットル
/時の流速で、激しく攪拌される懸濁液中に通す。この
間に溶液の温度を20〜25℃に維持する。反応の終了
10分前に、容器の壁にぶら下がる固体を濯ぎ落とす為
に、ガスの導入を一時的に中止する。反応の終了後に
1.056g /mlの密度を持つ714mlの透明な溶
液が得られる。この溶液を二つに分ける。 a: 375mlのこの反応溶液を20mlの60重量
% 濃度過酸化水素(437mmol)と一緒に15時間
に亘って70〜80℃に加熱する。次いでこの混合物を
還流する為に加熱しそして500mgの粉末活性炭を添
加する。
【0038】Kl−澱粉紙を用いての酸化剤の試験がマ
イナスの結果を示した時に、活性炭を濾去する。得られ
る溶液を、乾燥する為に油圧式減圧ポンプで濃縮する。
残留物を60℃で一定の重量になるまで乾燥する。5
6.05g の微細な結晶粉末が得られる。これは理論値
の95.7% に相当する。この物質は181〜186℃
の融点を有している。カール・フィッシャーによる水含
有量は4.2重量% であり、ブタンテトラカルボン酸
(BTCA)の含有量は93.4重量% である。これは
89.4% のBTCA収率である。 b: 残りの375mlの反応溶液に0.1mlの蟻酸
を添加する。次いで、aの所に記載した操作を実施す
る。55.36g の固体が得られる。これは理論値の9
4.6% に相当する。このものは88.9重量% のBT
CAを含有し、84.1% のBTCA収率である。
【0039】実施例2 実施例1に相応する初期反応混合物であるが、106.
52g (0.7mol)の無水テトラヒドロフタル酸を
使用する。ガスは6時間および30分通す。1.084
g /cm-3の密度を持つ670mlの反応溶液が得られ
る。この反応混合物を二つに分ける。
【0040】335mlの反応溶液に19mlの60重
量% 濃度過酸化水素(416mmol)を添加しそして
24時間、70℃に加熱し、1g の粉末活性炭を添加し
そしてこの混合物を4時間還流する。78g の固体が得
られ、これは理論値の95.2% に相当する。この物質
は183〜186℃の融点を有している。定量ガスクロ
マトグラフィーおよびHPLCによって95.2% のB
TCA含有量が測定され、これから90% の収率が算出
される。
【0041】実施例3 初期反応混合物は実施例2に相応するが、これは分けず
に過酸化水素(38ml:60重量% 濃度;832mm
ol)をオゾン分解の前に添加する。オゾン分解に続い
て、混合物を14時間70℃に加熱する。重量153.
54g の白色粉末は理論値の93.7% に等しい。この
物質は183〜184℃の融点を有している。
【0042】実施例4 164.16g (1mol)のノルボルネン−2,3−
ジカルボン酸無水物を500mlの水中で1時間還流す
る。室温に冷却した後に、遊離酸の大部分が沈澱する。
1.1molのオゾンを、得られる懸濁液中に0〜10
℃の内部温度で4時間に亘って導入する。流速は100
〜200リットル/時の間で変化する。次いで32.5
mlの85重量% 濃度の過酸化水素(1.1mol)を
添加し、この混合物を初めて12時間、75℃に加熱
し、次いで3時間沸騰温度に加熱する。1g の粉末活性
炭の添加後に、この混合物を更に、Kl−澱粉紙を用い
ての酸化剤の試験でマイナスになるまで加熱する。活性
炭の濾去後に、溶剤を回転式蒸発器で除きそして得られ
る残留物を一定の重量になるまで乾燥する。241gの
白色の固体が得られ、これは理論値の98% に相当す
る。これは1H−NMRスペクトロスコピーおよび、質
量選択検出を用いてのガスクロマトグラフィーによって
シクロペンタンテトラカルボン酸と同定された。
【0043】実施例5 12ml(99.6mmol)の(2−シクロペンテン
−1−イル)酢酸および30mlの水より成るエマルジ
ョン中に110mmolのオゾンを0〜5℃で30分の
間に通す。次いで3.75mlの85重量% 濃度過酸化
水素(125mmol)を添加しそして温度を12時間
に70℃に高める。次いで混合物を還流しそして250
mgの粉末活性炭を添加する。Kl−澱粉紙を用いての
酸化剤についての試験がマイナスの時に、活性炭を濾過
しそして溶剤を除く。残留物を一定の重量になるまで乾
燥する。
【0044】15.4g の重さの帯黄色の粉末が得ら
れ、これは理論値の81% に相当する。これは1H−N
MRスペクトロスコピーおよび、質量選択検出を用いて
のガスクロマトグラフィーによって1,2,4−ブタン
トリカルボン酸と同定される。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項 1】 下記段階 (A) 非芳香族炭素−炭素(C─C)二重結合を持つ
    一種または複数種の有機化合物を水中に導入し、(B)
    水中のこの有機化合物をオゾン含有キャリヤ−ガス中
    に通してオゾン分解し、(C) (B)段階で生じたオ
    ゾン分解生成物を酸化後処理する為に、過酸化水素水溶
    液を添加するで構成されている、少なくとも3つのカル
    ボキシル基を持つポリカルボン酸およびその誘導体を製
    造する方法において、(A)段階で有機化合物を7また
    は7より小さいpHの水の中に導入しそして(C)段階
    で過酸化水素を、有機溶剤を加えずに添加することを特
    徴とする、上記方法。
  2. 【請求項2】 有機化合物を水溶液またはエマルジョ
    ン、好ましくは水性懸濁液の状態で使用する請求項1に
    記載の方法。
  3. 【請求項3】 使用する有機化合物がテトラヒドロフタ
    ル酸および/またはノルボルネンジカルボン酸である請
    求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 (B)段階で出発化合物の1モルの非芳
    香族二重結合当たり0.5〜10当量、殊に1.0〜
    1.2当量のオゾンを使用する請求項1〜3のいずれか
    一つに記載の方法。
  5. 【請求項5】 オゾンをキャリヤ−ガス中に0.1〜3
    0重量% 、好ましくは1〜9重量% の濃度で含有する請
    求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
  6. 【請求項6】 オゾン分解を最高で溶液の沸点、殊に0
    〜30℃、特に5〜15℃の温度で実施する請求項1〜
    5のいずれか一つに記載の方法。
  7. 【請求項7】 使用する過酸化水素の量が、出発化合物
    の1モルの非芳香族二重結合当たり0.1〜10当量、
    殊に0.5〜2当量、特に1.0〜1.75当量である
    請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
  8. 【請求項8】 反応段階の順序が(A)、次いで
    (B)、次いで(C)であるかまたは(A)、次いで
    (C)、次いで(B)であるかまたは(A)、次いで
    (B)および(C)である請求項1〜7のいずれか一つ
    に記載の方法。
  9. 【請求項9】 過酸化水素をオゾン分解の間に添加する
    請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法。
  10. 【請求項10】(C)段階でのオゾン分解生成物の酸化
    後処理を触媒量の酸の存在下に実施する請求項1〜9の
    いずれか一つに記載の方法。
  11. 【請求項11】 反応溶液をオゾン分解生成物の酸化後
    処理の為に少なくとも20℃、殊に40℃から溶液の沸
    騰温度までの温度に、特に60〜80℃に加熱する請求
    項1〜10のいずれか一つに記載の方法。
JP4112867A 1991-05-02 1992-05-01 ポリカルボン酸およびその誘導体の製造方法 Withdrawn JPH0672942A (ja)

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