JPH0665739B2 - アルミニウム合金圧延板の製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金圧延板の製造方法

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JPH0665739B2
JPH0665739B2 JP61120573A JP12057386A JPH0665739B2 JP H0665739 B2 JPH0665739 B2 JP H0665739B2 JP 61120573 A JP61120573 A JP 61120573A JP 12057386 A JP12057386 A JP 12057386A JP H0665739 B2 JPH0665739 B2 JP H0665739B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は自動車車体やホイール、あるいは電気機器の
シャーシの如く、強度と成形性の両者が要求される用途
に好適な、成形性の優れたAl−Mg−Si系(6000系)の成
形加工用アルミニウム合金圧延板の製造方法に関するも
のである。
従来の技術 Al−Mg−Si系アルミニウム合金は、強度と耐食性に優
れ、また成形加工時におけるリューダースマークの発生
もなく、さらには焼付塗装後の強度も高い熱処理型合金
として知られており、その実用合金としては、JIS規格
あるいはAA規格の6000系の合金がある。このようなAl−
Mg−Si系アルミニウム合金を自動車車体やホイール等に
使用するにあたっては、前述のような強度等の特性のみ
ならず、成形性が優れることも要求される。
成形性が優れるAl−Mg−Si系合金材としては、例えば60
09合金T4処理材や6010合金のT4処理材が一般的に知られ
ており、またこのほか本発明者等が既に特願昭60−4366
号、特願昭60−43367号、および特願昭61−36761号にお
いてそれぞれ開示した合金のT4処理材がある。
これらのAl−Mg−Si系合金圧延板は、いずれも溶体化処
理および焼入れ処理を施してT4テンパーとすることによ
って、所定の強度と成形性が得られる。ここで溶体化処
理とは、強化元素であるMg、Si、Cu、Zn等を溶かし込む
ための処理であって、合金組成によっても異なるが、通
常は450〜600℃の温度に加熱することによって行なわれ
る。溶体化処理の加熱速度は特に制限されないが、通常
は所定の温度に保持された空気炉中に投入するか、コイ
ルを連続的に巻戻しながら炉中を通過させるか、あるい
はソルトバス中に投入する方法などが一般的であって、
したがって急速加熱となる場合がほとんどである。一方
焼入れは、溶体化処理に引続いて急速冷却する処理であ
って、強度を得るために必要であり、一般には水冷(水
焼入れ)、温水焼入れ、強制空冷などが行なわれる。
上述のようにAl−Mg−Si系合金圧延板に施す溶体化処
理、焼入れ処理は実質的に急速加熱、急速冷却であるた
め、圧延板に対し大サイズの切板もしくはコイルの状態
で溶体化処理、焼入れ処理を行なえば、熱膨張−収縮に
より板が変形して“反り”、“波うち”、“ねじれ”等
の変形(以下これらの変形を歪と記す)が生じ、板の平
坦度が著しく低下する。
成形加工の用途に供する場合には板の平坦度が優れてい
ることが要求され、したがって上述のような平坦度を損
なう歪が溶体化処理、焼入れ処理で生じたままの板を成
形加工に供することは避けなければならず、また外観
上、あるいは梱包・包装上、さらにはハンドリンク時の
傷の発生防止などの観点からも、歪の発生は極力避けな
ければならない。そこで従来一般のAl−Mg−Si系合金圧
延板の製造においては、溶体化処理、焼入れ処理後に、
それらの工程で発生した歪を矯正して平坦度を向上させ
る工程を付加することが行なわれている。この歪矯正工
程としては、軽度の圧下でスキンパス圧延を行なう方
法、あるいは必要に応じてテンションを付加しながら矯
正用ロール間を通過させることにより曲げ−曲げ戻しに
より歪を除去するレベリング法、さらにはストレッチに
より数%の引張歪を付与する方法などが一般的である。
発明が解決すべき問題点 前述のようにAl−Mg−Si系合金圧延板の製造工程におい
ては、溶体化焼入れ工程後に、溶体化処理時や焼入れ時
に生じた歪を除去するため矯正を行なうことが多いが、
このような矯正工程を通した場合は板に対して冷間加工
を付与したことになり、その結果溶体化処理焼入れによ
って得られた良好な成形加工性が減じられてしまい、所
定の成形加工性能、特に張出し性が充分に発揮できなく
なるという問題がある。
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、成
形加工性、特に張出し性が良好なAl−Mg−Si系合金圧延
板を製造する方法を提供することを目的とするものであ
る。
問題点を解決するための手段 この発明は、基本的には、熱処理型のAl−Mg−Si系合金
(6000系合金)の圧延板製造方法、特に溶体化処理焼入
れ後に歪矯正を施す製造方法において、その歪矯正後に
特定の条件範囲内の最終熱処理を施すことを特徴とする
ものである。すなわち、従来は、溶体化処理焼入れを施
した状態で得られていた良好な成形性が、その後の歪矯
正工程で減じられたままであったのに対し、この発明の
方法では、歪矯正後にさらに特定の条件範囲内での最終
熱処理を施すことによって成形性を焼入後T4テンパーの
加工を受けていない状態にまで戻すのである。
具体的には、この発明は、必須合金成分としてMg0.1〜
1.2wt%およびSi0.4〜2.5wt%を含有するAl−Mg−Si系
アルミニウム合金の熱間圧延板もしくは連続鋳造板を冷
間圧延した後、溶体化処理・焼入れを施し、その後歪矯
正を施すアルミニウム合金圧延板の製造方法において、
前記歪矯正の後、60〜360℃の範囲内の温度まで第1図
に示される斜線領域内の加熱速度で加熱して、その温度
で第2図に示される斜線領域内の時間保持し、しかる後
第1図に示される斜線領域内の冷却速度で冷却すること
を特徴とするものである。
作 用 先ずこの発明で対象とするアルミニウム合金について説
明する。
この発明ではAl−Mg−Si系の熱処理型アルミニウム合
金、すなわち実用合金としては所謂6000系の合金を対象
とする。Al−Mg−Si系合金は、MgとSiからなるMg2SiのG
Pゾーンもしくはβ′相等の析出相を材料強化の基本手
段とする合金であり、そのほか補助的にCu、Zn等の添加
による析出強化、Mn、Cr、Zr、Fe等の添加による結晶粒
微細化等が考慮されたものを含む。
具体的には、必須成分としてMg0.1〜1.2%、Si0.4〜2.5
%を含有するものとする。これらの限定理由は次の通り
である。
Mg: Mgはこの発明で対象とする系のアルミニウム合金におい
て必須の元素であって、強度および成形法に寄与する元
素である。Mgが0.1%未満では強度が不充分となって自
動車車体等に不適当となり、一方Mgが1.2%を越えれば
延性、成形性が低下するから、Mgは0.1〜1.2%の範囲内
とした。
Si: Siもこの発明で対象とする系のアルミニウム合金におい
て必須の元素であって、強度および成形性の向上に寄与
する元素である。Siが0.4%未満では強度が不足し、一
方2.5%を越えれば溶湯の流動性が低下して鋳造性が悪
化する。したがってSiは0.4〜2.5%の範囲内とした。
Mg、Siのほか必要に応じて前述のようにCu、Zn、Mn、C
r、Zr、Feのうちの1種または2種以上を含有しても良
い。この場合Cuは1.5%以下、Znは2.5%以下、Crは0.3
%以下、Mnは0.6%以下、Zrは0.3%以下、Feは0.5%以
下が好ましい。またこのほか、鋳塊結晶粒微細化のた
め、Ti0.15%以下および/またはB0.05%以下を含有し
ても良い。
次にこの発明の方法における各工程について説明する。
溶体化処理前までの圧延工程は、従来の一般的な方法そ
の他任意の方法を適用することができる。すなわち、半
連続鋳造法(DC鋳造)によって鋳塊を製造し、その鋳塊
に対し必要に応じて均質化処理を施した後熱間圧延し、
得られた熱間圧延コイルに対し、必要に応じて焼鈍を施
してから冷間圧延し、所要の板厚の圧延板を得る。もち
ろん冷間圧延中途で必要に応じて中間焼鈍を施しても良
い。また連続鋳造(直接鋳造圧延)によって薄板のコイ
ル(連続鋳造コイル)を直接製造し、その連続鋳造コイ
ルを冷間圧延して所要の板厚の圧延板を得ても良く、こ
の場合も冷間圧延前あるいは冷間圧延中途で必要に応じ
て焼鈍を施すことができる。
このようにして得られた圧延板に対して溶体化処理を施
す。この溶体化処理の温度は合金組成によっても異なる
が、通常は450〜600℃範囲内とする。溶体化処理が完了
すれば、引続いて迅速に焼入れ処理を行なう。この焼入
れにおける必要冷却速度は、合金組成によっても異なる
が、通常は少なくとも5℃/sec以上が必要である。こ
れらの溶体化処理焼入れは切板で行なっても、あるいは
コイルを連続的に巻戻しつつ連続的に行なっても良い。
溶体化処理時の急速加熱および焼入れ時の急速冷却によ
って、圧延板に急激な熱膨張と収縮が生じ、これにより
圧延板が変形し、歪となる。そこでこの歪を除去するた
め、溶体化処理焼入れ後に歪矯正を行なう。この歪矯正
は、レベリング、テンションレベリング、スキンパス、
あるいはストレッチ等のいずれでも良く、いずれの方法
でも若干の冷間加工を与えることによって歪の除去が行
なわれる。歪矯正工程での加工の程度は、溶体化処理焼
入れ後の歪の程度によっても異なるが、通常は歪矯正工
程を入れることにより、耐力は1kg/mm2以上上昇し、成
形性は、エリクセン値で0.2mm以上低下する。
このように歪矯正工程により成形性能の低下した圧延板
に対し、次いで60〜360℃の範囲内に加熱して保持後も
しくは直ちに冷却する最終処理を施す。この熱処理は、
加熱保持温度に対応して第1図の斜線領域すなわち点
A、B、B′、C′、C、D、E、Aをその順に結ぶ折
線によって囲まれる領域内の加熱速度で加熱昇温し、加
熱保持温度に対応して第2図の斜線領域すなわち点a、
b、b′、b″、c″、c′、c、d、d′、a′、a
をその順に結ぶ折線によって囲まれる範囲内の時間保持
し、さらにその加熱保持温度に対応して第1図の斜線領
域内の冷却速度で冷却する。ここで第1図中の各点A、
B、B′、C′、C、D、Eにおける温度および加熱・
冷却速度は次の通りである。
A:60℃,4×10-3℃/sec B:140℃,4×10-3℃/sec B′:180℃,5×10-1℃/sec C′:280℃,2×10℃/sec C:360℃,3×10℃/sec D:230℃,4×103℃/sec E:60℃,4×103℃/sec また第2図中の各点a、b、b′、b″、c″、c′、
c、d、d′、a′における温度、時間は次の通りであ
る。
a:200℃,0sec b:360℃,0sec b′:358℃,0.2sec b″:350℃,1sec c″:200℃,102sec c′:140℃,104sec c:130℃,105sec d:60℃,105sec d′:80℃,4×103sec a′:200℃,0.7sec このように歪矯正後の最終熱処理について加熱速度、保
持時間、冷却時間の範囲を定めた理由を説明する。
この発明で対象としているAl−Mg−Si系合金は熱処理型
の合金であるため、加熱、保持、冷却中に加工歪の除去
のみならず、時効硬化が生じる可能性があり、その場合
強度が上昇して成形性が低下したり、過時効により成形
加工後の塗装焼付後強度もしくはT6処理後強度が低下し
たりするおそれがある。そこでこれらの問題の発生を招
かないようにしながら、歪矯正工程での加工歪を除去す
る必要があり、その他平坦度を維持することや経済性等
をも考慮する必要があり、これらの観点から次のように
各範囲が定められた。
[加熱速度] 第1図の直線ABより下側の領域では、材料の性能として
は問題がないが、これ以上の徐加熱では昇温に著しい長
時間を要するため生産性が低下し、経済的ではなくな
る。したがって直線ABより上の加熱速度とした。
第1図の折線BB′C′Cより下側の加熱速度の遅い領域
では、加熱昇温中に時効硬化が生じて、強度は上昇する
反面成形性が低下する。そこで折線BB′C′Cより上側
の領域とした。
次に直線CDより上側の領域においては、加熱が急速すぎ
て昇温中に歪が発生してしまい、歪矯正の効果が失われ
てしまう。したがって直線CDより下側の領域とした。
直線DEより上側の領域は、実質的にオイルバス投入によ
る加熱速度を越える加熱速度であり、これ以上の加熱速
度でも効果はあるが実用的ではなく、無意味であるか
ら、直線DEより下側の領域とした。
線EAの左側、すなわち加熱温度が60℃未満の低温では、
加熱速度の如何にかかわらず、歪矯正による加工歪を除
去し切れないから、直線EAの左側領域は除外した。
以上から、加熱速度の範囲は加熱保持温度によって異な
るが、第1図中の点点A、B、B′、C′、C、D、
E、Aをその順に結ぶ折線で囲まれる斜線領域内とする
ことが必要である。
[保持温度・時間] 第2図中における直線abに関して、保持温度200〜360℃
では、その温度域に到達して直ちに冷却を開始しても、
すなわち保持時間を0秒としても加工歪を除去できる。
したがって保持温度200〜360℃の温度域では保持時間の
下限を0秒、すなわち直線abとした。
また折線bb′b″c″c′cより右上の領域では、加工
歪は除去できるが、高温時効硬化により強度が上昇し、
成形性が低下してしまう。また特に高温領域では過時効
となり、成形性が低下するとともに、成形後の焼付塗装
もしくはT6処理により所定の強度が得られなくなる。し
たがって折線bb′b″c″c′cの左下の領域とする必
要がある。
直線cdより上側では、加工歪を除去できて成形性の回復
が可能であるが、保持時間が24時間を越え、経済的に無
意味であり、したがって直線cdより下側とした。
折線dd′a′aより左下の領域では、加工歪を除去する
に必要な熱が与えられず、成形性の回復が認められな
い。したがって折線dd′a′aの右上の領域とする必要
がある。
以上から、加熱保持時間は、加熱保持温度によって異な
るが、結局第2図中の点a、b、b′、b″、c″、
c′、c、d、d′、a′、aをその順に結ぶ折線で囲
まれる斜線領域内とする必要がある。
[冷却速度] 冷却速度は、加熱速度と同様に第1図中のABB′C′CDE
で囲まれる斜線領域内とする必要がある。
直線ABより下側の領域では、材料の性能としては問題が
ないが、これ以上の徐速冷却では冷却に著しい長時間を
要するため経済的でない。したがって直線ABより上側の
領域とした。
折線BB′C′Cより下側の冷却速度の遅い領域では、冷
却中に時効析出が生じ、成形性が低下するとともに、過
時効によって成形後の焼付塗装もしくはT6処理で所定の
強度を得ることができなくなる。したがって折線BB′
C′Cより上側の領域とした。
直線CDより上側の冷却速度では、冷却速度が大き過ぎて
材料に歪変形が生じてしまい、最終熱処理前の歪矯正の
効果が失われてしまう。したがって直線CDより下側の領
域とした。
直線DEより上側の領域では、実質的に水冷を越える冷却
速度となり、実用上無意味であるから、直線DEより下側
の冷却速度とした。
直線EAより左側では、冷却速度の如何にかかわらず、加
工歪を除去できない。したがって直線EAより右側の領域
とした。
したがって冷却速度も、加熱速度と同様に、加熱保持温
度によって異なるが、第1図中の折線ABB′C′CDEAに
よって囲まれる斜線領域とした。
以上のような条件での最終熱処理を歪矯正加工後に施せ
ば、歪矯正工程で導入された加工歪が除去されて、その
歪矯正により低下した成形性、特に張出し性が回復さ
れ、溶体化処理焼入れにより得られたT4テンパー状態で
の良好な成形性、特に張出し性を有する状態に戻すこと
ができるのである。またこの最終熱処理においては、時
効硬化や過時効が生じないような適切な条件に定めてい
るため、それらによる成形性の低下を招くことがなく、
また成形後の焼付塗装やT6処理によって所要の強度を得
ることができる。さらに最終熱処理の条件は、急熱急冷
による新たな歪の発生を招かないように定めているか
ら、その前の歪矯正工程による平坦度改善の効果が保た
れる。
このようにして最終熱処理を施して得られたアルミニウ
ム合金圧延板を実際に自動車車体等に使用するためには
プレス加工等の成形加工を施すのが一般的であるが、既
に述べたところから明らかなように、この発明の方法で
得られた圧延板は、変形の少ない平坦度の良好な板でし
かも成形加工性が良好であるため、成形加工時に不良品
が発生するおそれが極めて少なく、したがって歩留りが
向上するとともに生産性も良好となる。また成形加工後
に焼付塗装を行なったり、いわゆるT6処理によってより
高強度化を図るべく加熱処理を施す場合でも、歪矯正を
行なわなかったT6処理材について成形後これらの処理を
行なった場合と同程度の強度を得ることができるのであ
る。
実施例 第1表の合金番号1〜4に示すAl−Mg−Si系アルミニウ
ム合金を常法にしたがって溶製し、DC鋳造により400mm
×1000mm×3000mmの鋳塊を得、これらに対し530℃×10
時間の均質化処理を施した後、4mm厚まで熱間圧延し、
さらに冷間圧延を施して厚さ1mmの圧延板とした。その
圧延板を1000mm×2000mmの切板とし、空気炉中で500℃
で20分間保持する溶体化処理を行ない、水冷によって焼
入れた。この後、ストレッチャーにより0.5%ストレッ
チすることにより、溶体化処理焼入れで発生した変形歪
を矯正した。さらに矯正後の各圧延板について、第2表
に示す条件A〜Jで最終熱処理を施した。
以上の方法における各段階での引張強さσ、0.2%耐
力σ0.2、伸びδおよびエリクセン値Erを調べた結果
と、最終板について変形の有無を調べた結果を第3表に
示す。また溶体化処理焼入れ後、160℃×18時間加熱に
よってT6処理材とした圧延板、および最終熱処理後、同
様な加熱によってT6処理材とした圧延板についても引張
強さσ、0.2%耐力σ0.2を調べたので、その結果も第
3表中に示す。
但し第3表において、「ストレッチ前(T4テンパー状
態)」は、溶体化処理焼入れ後、ストレッチを行なわず
に2週間経過したT4テンパー状態のものを示し、「スト
レッチ前T6処理」は、溶体化処理焼入れ後、ストレッチ
を行なわずに前記のT6処理を行なったものを示し、「ス
トレッチ後」はストレッチ後の2週間経過時のT4テンパ
ー状態のものを示し、さらに「最終熱処理板T6処理」
は、最終熱処理後、前記のT6処理を行なったものを示
す。
第3表から明らかなように、いずれの場合もストレッチ
後にはストレッチ前T4テンパー状態と比較して伸びδ、
エリクセン値Erが低下し、成形性が劣化しているが、最
終熱処理を本発明条件範囲内で行なった条件符号A〜E
の場合は、最終熱処理後の状態で伸び、エリクセン値が
ストレッチ前T4テンパー状態とほぼ等しくなっており、
最終熱処理で充分に成形性が回復されたことが判る。ま
た本発明範囲内の条件A〜Eでは、最終熱処理後にT6処
理を施した場合に、溶体化処理焼入後のストレッチ前に
T6処理を施した場合とほぼ同等の強度向上が達成されて
いることが判る。なお本発明の条件A〜Eではいずれも
最終板にその平坦度を損なうような変形は生じていなか
った。
一方条件Fは最終熱処理の加熱速度が遅過ぎた例である
が、この場合は最終熱処理によってストレッチ後よりも
成形性が低下してしまった。また条件Gは、最終熱処理
の保持時間がその保持温度に対し短かすぎた例である
が、この場合若干は成形性が回復したが、ストレッチ前
T4テンパー状態の成形性までは至らなかった。さらに条
件Hは最終熱処理の保持時間が長すぎた例であるが、こ
の場合は最終熱処理によって成形性が著しく低下してし
まった。さらに条件Iは最終熱処理の冷却速度が遅過ぎ
た例であるが、この場合も最終熱処理によって成形性が
低下してしまった。そして条件Jは最終熱処理の冷却速
度が速すぎた例であるが、この場合は成形性は回復した
ものの、圧延板に変形が生じて平坦度が低下してしまっ
た。したがってストレッチ前のT4テンパー状態まで成形
性を回復しかつストレッチによる平坦度向上効果を維持
するためには、最終熱処理の条件を本発明範囲内とする
必要がある。
発明の効果 前述の実施例からも明らかなように、この発明の方法に
よれば、6000系のAl−Mg−Si系アルミニウム合金圧延板
として、平坦度が良好でなおかつ成形加工性、特に張出
し性が優れた圧延板を得ることができる。すなわち、溶
体化処理焼入れによって生じた板の変形を矯正するため
に溶体化処理焼入れ後にストレッチ等の矯正工程を適用
することによって、折角溶体化処理焼入れにより得られ
た良好な成形性がその歪矯正で低下し、従来はこのよう
に歪矯正で成形性が低下した圧延板をそのまま成形加工
等に供していたが、この発明の方法では歪矯正後に適切
な条件範囲内での最終熱処理を施すことによって、平坦
度が優れたままで良好な成形性を得ることが可能となっ
たのである。
もちろんこの発明で対象としているAl−Mg−Si系合金
は、強度、耐食性にも優れており、したがってこの発明
の方法によれば、強度、成形性がともに優れ、かつ平坦
性が良好で耐食性も優れたアルミニウム合金圧延板を得
ることができ、したがってこの発明の方法は、自動車ボ
デイシート、ホイール、電気機器のシヤーシ、計器カバ
ー、その他家庭用器物などに使用される圧延板の製造に
最適である。
なお以上では触れなかったが、この発明の方法で適用し
ているような歪矯正後の最終熱処理は、Al−Mg−Si系合
金と同様の時効析出挙動を有するAl−Cu系、Al−Cu−Mg
系、Al−Zn−Mg系、Al−Zn−Mg−Cu系等のいわゆる熱処
理合金圧延板全般に適用できる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の方法における最終熱処理の加熱速度
・冷却速度の適正範囲を、加熱保持温度に対応して示す
線図、第2図はこの発明の方法における最終熱処理の加
熱保持時間、温度の適正範囲を示す線図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】必須合金成分としてMg0.1〜1.2wt%および
    Si0.4〜2.5wt%を含有するAl−Mg−Si系アルミニウム合
    金の熱間圧延板もしくは連続鋳造板を冷間圧延した後、
    溶体化処理・焼入れを施し、その後歪矯正を施すアルミ
    ニウム合金圧延板の製造方法において、 前記歪矯正の後、60〜360℃の範囲内の温度まで第1図
    に示される斜線領域内の加熱速度で加熱して、その温度
    で第2図に示される斜線領域内の時間保持し、しかる後
    第1図に示される斜線領域内の冷却速度で冷却すること
    を特徴とするアルミニウム合金圧延板の製造方法。
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