JPH0672295B2 - 微細結晶粒を有するアルミニウム合金材料の製造方法 - Google Patents

微細結晶粒を有するアルミニウム合金材料の製造方法

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JPH0672295B2
JPH0672295B2 JP62048305A JP4830587A JPH0672295B2 JP H0672295 B2 JPH0672295 B2 JP H0672295B2 JP 62048305 A JP62048305 A JP 62048305A JP 4830587 A JP4830587 A JP 4830587A JP H0672295 B2 JPH0672295 B2 JP H0672295B2
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俊雄 小松原
守 松尾
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明はJIS 2000番系、6000番系あるいは7000番系
で代表される展伸用熱処理型アルミニウム合金からなる
微細結晶粒を有するアルミニウム合金材料の製造方法に
関し、特に超塑性加工用材料に最適なアルミニウム合金
材料の製造方法に関するものである。
従来の技術 近年に至り微細結晶粒を有する金属材料の超塑性現象を
利用して超塑性加工を行なう技術が注目を集めるように
なっている。微細結晶粒による超塑性現象は、展伸用熱
処理型アルミニウム合金においても認められるものであ
り、結晶粒を25μm程度以下の微細なものとすれば所定
の超塑性温度域での加工により超塑性を呈することが知
られている。
従来、このような超塑性加工が可能となる程度に結晶粒
が微細な熱処理型アルミニウム合金圧延板を製造する方
法としては、 (イ)金属間加工物の粗大粒子を過時効処理により析出さ
せて、温間加工で歪を与える方法(例えば特開昭53−13
2420号)、 (ロ)溶体化処理後急冷して、冷間圧延にて歪を与える方
法(例えば特開昭60−86251号)、 (ハ)溶体化処理温度から徐冷して冷間圧延する方法(例
えば特開昭60−125354号)、 が知られている。
発明が解決すべき問題点 前述のような微細結晶粒を有するアルミニウム合金圧延
板を製造するための各方法のうち、(イ)の方法では、過
時効処理や温間加工を行なうために生産性が低くならざ
るを得ないという問題がある。また(ロ)の方法では、結
晶粒は微細化することができるが、溶体化処理・急冷後
の圧延が困難となる問題がある。さらに(ハ)の方法で
は、圧延性は良いものの、微細な結晶粒を得るためには
90%以上もの強冷間加工が必要となる問題がある。
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、生
産性低下、冷間圧延性低下などの諸問題を招くことな
く、超塑性加工に適した微細な結晶粒を有する材料を実
際的に得ることができる方法を提供することを目的とす
るものである。
問題点を解決するための手段 この発明の方法は、基本的には、溶体化処理温度近傍の
温度からの徐冷によって析出粒子を粗大に析出させて、
これを再結晶核とし、しかもその後の溶体化処理温度の
40〜80%の温度域からの焼入れによって、冷間圧延性を
溶体化処理温度から焼入れした場合(完全焼入れの場
合)よりも向上させるとともに残留する合金元素の固溶
・時効もしくは微細析出を図ってマトリックス内の転位
密度、変形帯を多くし、もって再結晶時における核発生
頻度を向上させ、結晶粒を微細化させるものである。
具体的には、第1発明の方法は、展伸用熱処理型アルミ
ニウム合金であって、しかもMn0.05〜1.5%、Cr0.05〜
0.4%、Zr0.05〜0.3%のうちの1種または2種以上を含
有するアルミニウム合金を素材とし、圧下率30%以上の
第1次熱間圧延を施した後、その合金の溶体化処理温度
の80%以上の温度で0.5〜24時間加熱し、その後0.001〜
0.05℃/secの範囲内の冷却速度で溶体化処理温度の60〜
90%の温度まで冷却し、その温度から直ちにもしくはそ
の温度に24時間以内保持してから、第2次熱間圧延を開
始して、溶体化処理温度の40〜80%の温度で第2次熱間
圧延を終了させた後引続いて0.1℃/sec以上の冷却速度
で180℃以下の温度まで冷却し、その後加工率60%以上
の冷間加工を行なった後、その合金の再結晶温度以上の
温度に1℃/sec以上の昇温速度で昇温させて再結晶させ
ることを特徴とするものである。
また第2発明の方法は、第1発明と同様なアルミニウム
合金を素材とし、製造プロセスのうち第2次熱間圧延の
工程を第1発明の方法とは若干異ならしめ、最終パスで
冷却を制御するようにしたものである。
具体的には、第2発明の方法は、展伸用熱処理型アルミ
ニウム合金であって、しかもMn0.05〜1.5%、Cr0.05〜
0.4%、Zr0.05〜0.3%のうちの1種または2種以上を含
有するアルミニウム合金を素材とし、圧下率30%以上の
第1次熱間圧延を施した後、その合金の溶体化処理温度
の80%以上の温度で0.5〜24時間加熱し、その後0.001〜
0.05℃/secの範囲内の冷却速度で溶体化処理温度の60〜
90%の温度まで冷却し、その温度から直ちにもしくはそ
の温度に24時間以内保持してから、第2次熱間圧延を開
始して、最終パスの入側の温度が溶体化処理温度の40〜
80%となるようにかつ最終パスを通じての冷却速度が0.
1℃/sec以上になるようにしかも圧延上り温度が180℃以
下の温度となるように第2次熱間圧延し、その後加工率
60%以上の冷間加工を行なった後、その合金の再結晶温
度以上の温度に1℃/sec以上の昇温速度で昇温させて再
結晶させることを特徴とするものである。
なおここで「最終パスを通じて」とは、「シングルスタ
ンドであるか多段スタンドであるかを問わず、最終パス
の圧延ロールと冷却系一式を板が通過する間を通じて」
を意味し、以下も同義である。
さらに第3発明の方法は、第1発明と同様なアルミニウ
ム合金を素材とし、製造プロセスについて、第1次熱間
圧延および溶体化処理温度の80%以上の温度での加熱
後、一旦室温まで冷却してから溶体化処理温度の60〜90
%の温度に再加熱させるようにしている。
具体的には、第3発明の方法は、展伸用熱処理型アルミ
ニウム合金であって、しかもMn0.05〜1.5%、Cr0.05〜
0.4%、Zr0.05〜0.3%のうちの1種または2種以上を含
有するアルミニウム合金を素材とし、圧下率30%以上の
第1次熱間圧延を施した後、その合金の溶体化処理温度
の80%以上の温度で0.5〜24時間加熱し、その後0.001〜
0.05℃/secの範囲内の冷却速度で室温まで冷却し、次い
で溶体化処理温度の60〜90%の温度に再加熱して、直ち
にもしくはその温度に24時間以内保持してから、第2次
熱間圧延を開始し、溶体化処理温度の40〜80%の温度で
第2次熱間圧延を終了させた後引続いて0.1℃/sec以上
の冷却速度で180℃以下の温度まで冷却し、その後加工
率60%以上の冷間加工を行なった後、その合金の再結晶
温度以上の温度に1℃/sec以上の昇温速度で昇温させて
再結晶させることを特徴とするものである。
また第4発明の方法は、第1発明と同様なアルミニウム
合金を素材とし、製造プロセスについて第2発明の方法
と第3発明の方法とを組合せたものである。
具体的には、第4発明の方法は、展伸用熱処理型アルミ
ニウム合金であって、しかもMn0.05〜1.5%、Cr0.05〜
0.4%、Zr0.05〜0.3%のうちの1種または2種以上を含
有するアルミニウム合金を素材とし、圧下率30%以上の
第1次熱間圧延を施した後、その合金の溶体化処理温度
の80%以上の温度で0.5〜24時間加熱し、その後0.001〜
0.05℃/secの範囲内の冷却速度で室温まで冷却し、次い
で溶体化処理温度の60〜90%の温度に再加熱して、直ち
にもしくはその温度に24時間以内保持してから、第2次
熱間圧延を開始し、最終パスの入側の温度が溶体化処理
温度の40〜80%となるようにかつ最終パスを通じての冷
却速度が0.1℃/sec以上になるようにしかも圧延上り温
度が180℃以下の温度となるように第2次熱間圧延し、
の後加工率60%以上の冷間加工を行なった後、その合金
の再結晶温度以上の温度に1℃/sec以上の昇温速度で昇
温させて再結晶させることを特徴とするものである。
さらに第5発明〜第8発明の方法は、いずれも特定の成
分組成範囲のAl−Zn−Mg−Cu系合金材料を対象とし、か
つ各製造プロセスは本質的にはそれぞれ第1発明〜第4
発明の方法に対応するプロセスとし、しかも各プロセス
中における温度条件を、合金の成分組成に応じた最適な
条件となるようにより具体的に規定したものである。
すなわち第5発明の方法は、Zn5.1〜8.1%、Mg1.8〜3.4
%、Cu1.2〜2.6%、Ti0.2%以下を含有するとともに、M
n0.05〜1.5%、Cr0.05〜0.4%、Zr0.05〜0.3%のうちの
1種または2種以上を含有するアルミニウム合金を素材
とし、圧下率30%以上の第1次熱間圧延を施した後、40
0〜520℃の温度で0.5〜24時間加熱し、その後0.001〜0.
05℃/secの範囲内の冷却速度で280〜430℃の範囲内の温
度まで冷却し、その温度から直ちにもしくはその温度に
24時間以内保持してから、第2次熱間圧延を開始して、
250〜400℃の温度で第2次熱間圧延を終了させた後引続
いて0.1℃/sec以上の冷却速度で180℃以下の温度まで冷
却し、その後加工率60%以上の冷間加工を行なった後、
350〜500℃の温度に1℃/sec以上の昇温速度で昇温させ
て再結晶させることを特徴とするものである。
また第6発明の方法は、Zn5.1〜8.1%、Mg1.8〜3.4%、
Cu1.2〜2.6%、Ti0.2%以下を含有するとともに、Mn0.0
5〜1.5%、Cr0.05〜0.4%、Zr0.05〜0.3%のうちの1種
または2種以上を含有するアルミニウム合金を素材と
し、圧下率30%以上の第1次熱間圧延を施した後、400
〜520℃の温度で0.5〜24時間加熱し、その後0.001〜0.0
5℃/secの範囲内の冷却速度で280〜430℃の範囲内の温
度まで冷却し、その温度から直ちにもしくはその温度に
24時間以内保持してから、第2次熱間圧延を開始して、
最終パスの入側の温度が250〜400℃となるようにかつ最
終パスを通じての冷却速度が0.1℃/sec以上になるよう
にしかも圧延上り温度が180℃以下の温度となるように
第2次熱間圧延し、その後加工率60%以上の冷間加工を
行なった後、350〜500℃の温度に1℃/sec以上の昇温速
度で昇温させて再結晶させることを特徴とするものであ
る。
さらに第7発明の方法は、Zn5.1〜8.1%、Mg1.8〜3.4
%、Cu1.2〜2.6%、Ti0.2%以下を含有するとともに、M
n0.05〜1.5%、Cr0.05〜0.4%、Zr0.05〜0.3%のうちの
1種または2種以上を含有するアルミニウム合金を素材
とし、圧下率30%以上の第1次熱間圧延を施した後、40
0〜520℃の温度で0.5〜24時間加熱し、その後0.001〜0.
05℃/secの範囲内の冷却速度で室温まで冷却し、次いで
280〜430℃の範囲内の温度に再加熱して、直ちにもしく
はその温度に24時間以内保持してから、第2次熱間圧延
を開始し、250〜400℃の温度で第2次熱間圧延を終了さ
せた後引続いて0.1℃/sec以上の冷却速度で180℃以下の
温度まで冷却し、その後加工率60%以上の冷間加工を行
なった後、350〜500℃の温度に1℃/sec以上の昇温速度
で昇温させて再結晶させることを特徴とするものであ
る。
そしてまた第8発明の方法は、Zn5.1〜8.1%、Mg1.8〜
3.4%、Cu1.2〜2.6%、Ti0.2%以下を含有するととも
に、Mn0.05〜1.5%、Cr0.05〜0.4%、Zr0.05〜0.3%の
うちの1種または2種以上を含有するアルミニウム合金
を素材とし、圧下率30%以上の第1次熱間圧延を施した
後、400〜520℃の温度で0.5〜24時間加熱し、その後0.0
01〜0.05℃/secの範囲内の冷却速度で室温まで冷却し、
次いで280〜430℃の範囲内の温度に再加熱して、直ちに
もしくはその温度に24時間以内保持してから、第2次熱
間圧延を開始し、最終パスの入側の温度が250〜400℃と
なるようにかつ最終パスを通じての冷却速度が0.1℃/se
c以上になるようにしかも圧延上り温度が180℃以下の温
度となるように第2次熱間圧延し、その後加工率60%以
上の冷間加工を行なった後、350〜500℃の温度に1℃/s
ec以上の昇温速度で昇温させて再結晶させることを特徴
とするものである。
作用 先ず各発明において対象とするアルミニウム合金につい
て説明する。
第1発明〜第4発明の各方法は、Al−Cu系合金(JIS 20
00番系)、Al−Mg−Si系合金(JIS 6000番系)、Al−Zn
−Mg系合金)JIS 7000番系)で代表される所謂展伸用の
熱処理型合金には全て適用可能である。但し、これらの
熱処理型合金において通常含有されているCu、あるいは
MgおよびSi、あるいはZnおよびMg等のほか、必須成分と
して特にMn0.05〜1.5%、Cr0.05〜0.4%、Zr0.05〜0.3
%のうちから選ばれた1種または2種以上が含有されて
いることが必要である。すなわち、Mn、Cr、Zrはいずれ
も金属間化合物析出粒子の生成を通じて結晶粒微細化に
有効な元素であって、これらを含有させることによって
この発明で目的とする超塑性加工可能な微細結晶組織を
得ることが可能となる。ここでMn、Cr、またはZrの含有
量が0.05%未満では微細な結晶粒を得ることが困難とな
り、一方Mn1.5%以上、もしくはCr0.4%以上、またはZr
0.3%以上を含有する場合には鋳造時にこれらの元素が
充分に固溶されずに巨大金属間化合物が発生して充分な
伸びが得られなくなる。したがってMnは0.05〜1.5%、C
rは0.05〜0.4%、Zrは0.05〜0.3%の範囲内とした。
なおここで展伸用熱処理型合金とは最も広い意味で使用
するものとし、具体的な代表例としては、Al−Cu系合金
である2000番系合金、例えばJIS規格やAA規格の2014合
金、2017合金、2024合金、2219合金、あるいはAl−Mg−
Si系合金である6000番系合金、例えば6061合金、さらに
はAl−Zn−Mg系合金である7000番系合金、例えば7075合
金、7475合金、7N01合金、7003合金等があげられる。
第1発明〜第4発明の場合、前述のようにMn、cr、Zr以
外の成分組成は、熱処理型となるような成分組成であれ
ば特に限定されず、用途や要求される特性等に応じて定
めれば良いが、例えばAl−Cu系合金の場合、Cuを1.5〜
6.8%程度含有し、さらに必要に応じてMgを0.2〜1.8%
程度、Siを0.2〜1.3%程度含有するものとすれば良く、
またAl−Mg−Si系合金の場合、Siを0.20〜1.2%程度、M
gを0.35〜1.5%程度含有し、さらに必要に応じてCuを0.
10〜0.40%程度含有するものとすれば良く、またAl−Zn
−Mg系合金の場合Znを0.8〜6.1%、Mgを0.5〜2.9%程度
含有し、さらに必要に応じてCuを1.2〜2.0%程度含有す
るものとすれば良い。
次に第1発明〜第4発明の各方法におけるプロセスにつ
いて説明する。
先ず常法にしたがって連続鋳造もしくは半連続鋳造等に
よって前述のようにMn、Cr、Zrの1種以上を含有する熱
処理型アルミニウム合金の鋳塊を製造する。
次いでその鋳塊に対し、必要に応じて均質化処理を行な
った後、常法に従って圧下率30%以上の第1次熱間圧延
を施す。この第1次熱間圧延の圧下率が30%未満では、
鍛練度が不充分であり、次工程の加熱・析出処理中にお
ける析出物の分布が不均一となって最終板での再結晶粒
の均一性が劣り、混粒組織となって好ましくない。
第1次熱間圧延の後には、対象となる合金の溶体化処理
温度近傍の温度、すなわち溶体化処理温度の80%以上の
温度(但し摂氏温度の80%以上;以下の温度の%につい
ても同様)で0.5〜24時間加熱する。この加熱は強化成
分元素の全部または大部分を一旦固溶させるために必要
な工程である。その加熱温度が溶体化処理温度の80%未
満では合金成分元素の固溶が不充分となり、また加熱保
持時間が0.5時間未満でも固溶が不充分であり、一方加
熱保持時間が24時間を越えればその効果は飽和し、経済
的に不利となるだけである。
なおここで溶体化処理温度は、対象とする合金のα相領
域における固相線温度と溶解度曲線との間の温度であ
り、具体的な最適温度は合金組成によって異なるが、典
型的にはAA規格あるいはJIS規格に代表的な溶体化処理
温度が示されており、これによれば2014合金の場合は49
5〜505℃、2017合金では495〜510℃、2024合金(板材)
では490〜500℃、6061合金では515〜550℃、7075合金
(板材)では460〜500℃、7475合金では460〜499℃、7N
01合金では約450℃が最適とされている。したがってこ
の発明で溶体化処理温度のX%とは、上述のような各合
金の溶体化処理温度のX%とすることが好ましい。
上述のような溶体化処理温度の80%以上の温度での加熱
・保持後は、0.001〜0.05℃/secの範囲内の冷却速度で
溶体化処理温度の60〜90%の温度まで冷却(第1発明お
よび第2発明の場合)し、必要に応じてその温度に24時
間以内保持し、その温度で第2次熱間圧延を開始する。
あるいはまた上記の加熱・保持後、0.001〜0.05℃/sec
の範囲内の冷却速度で室温まで冷却(第3発明および第
4発明の場合)し、その後、溶体化処理温度の60〜90%
の温度まで再加熱し、必要に応じてその温度に24時間以
内保持し、その温度で第2次熱間圧延を開始する。前述
のような溶体化処理温度の80%以上の温度での加熱保持
後の0.001〜0.05℃/secの冷却速度での徐冷によって、
強化成分元素の粒子が粗大に析出される。ここで、冷却
速度が0.05℃/sec以上では析出が不充分となり、一方0.
001℃/sec未満の冷却速度では生産性が阻害されて経済
的に不利となる。また第2次熱間圧延開始温度が溶体化
処理温度の60%未満では熱間圧延が困難となり、一方溶
体化処理温度の90%を越える場合は、粗大析出物の析出
が少な過ぎて、最終板での結晶粒微細化が不充分とな
る。
上述のようにして溶体化処理温度の60〜90%の温度域で
開始した第2次熱間圧延は、第1発明および第3発明の
場合、最終パスの出側直後の温度が溶体化処理温度の40
〜80%の温度となるように終了させ、その温度から0.1
℃/sec以上の冷却速度で180℃以下、好ましくは室温ま
で冷却することにより焼入れを行なう。また第2発明お
よび第4発明の場合は、溶体化処理温度の60〜90%の温
度域で開始した第2次熱間圧延において、その最終パス
の入側の温度が溶体化処理温度の40〜80%となるように
圧延し、最終パスを通じての冷却速度が0.1℃/sec以上
となるようかつ圧延上り温度が180℃以下、好ましくは
室温になるように冷却しながら圧延し、同時に焼入れを
行なう。
このように第2次熱間圧延の最終パス直後、もしくは最
終パスにおいて、溶体化処理温度の40〜80%の温度から
焼入れることによって、冷間圧延性が完全焼入れの場合
(溶体化処理温度から焼入れる場合)ほど低下すること
なく、しかも析出せずにマトリックス内に残留している
合金元素の固溶もしくは微細析出を図って固溶や微細析
出によるマトリックス内の転位密度、変形帯の増大を図
り、最終板において微細結晶粒組織を得ることが可能と
なるのである。ここで、溶体化処理温度の40%より低い
温度から冷却(焼入れ)した場合は、固溶・時効による
転位の導入が少なくなって結晶粒微細化の効果が得られ
ない。一方溶体化処理温度の80%を越える高温から冷却
(焼入れ)した場合は、焼きが入り過ぎて硬質化し、次
に冷間圧延が困難となる。また焼入れのための冷却速度
が0.1℃/sec未満では焼きが充分に入らず、その後の圧
延による歪の導入が不充分となって結晶粒微細化が達成
されない。
また焼入終了時の温度は180℃以下とし、できれば室温
まで焼入れることが望ましい。180℃より高温で焼入れ
を終了すれば、その後の冷却で粗大析出物が形成され、
焼入れの効果が全く認められない。焼入終了時の温度は
低いほどマトリックス中に固溶もしくは微細粒子として
析出する溶質量は多く、その後の冷間圧延でマトリック
ス内の転位密度や変形帯が増加し、最終的に微細結晶粒
組織を得やすい。
なお、前述のように第2次熱間圧延の最終パス直後に、
もしくは最終パスに前後を通じて、溶体化処理温度の40
〜80℃の温度から焼入れるためには、具体的には次の
A、B、Cに示すような方法を適用することができる。
A:第1図に示すように、熱間圧延機1(この場合はシン
グルスタンドミル)により上り温度が溶体化処理温度の
40〜80%の温度となるように熱間圧延したコイル2を、
引続いて圧延することなく巻戻しながら、その巻戻され
た板3に対して圧延クーラント4を付加して0.1℃/sec
以上の冷却速度で冷却するかまたはスプレー水冷もしく
は強制空冷装置5を用いて0.1℃/sec以上で冷却しなが
らコイルアップする。
B:第2図に示すように、熱間圧延機1(この場合はシン
グルスタンドミルもしくは多段スタンドタンデムミルの
いずれでも良い)により溶体化処理温度の40〜80%の温
度で熱間圧延を終了した板3に対して、引続き連続的に
圧延クーラント4を付加して0.1℃/sec以上で冷却する
か、または引続き連続的にスプレー水冷もしくは強制空
冷装置5を用いて0.1℃/sec以上で冷却した後、コイル
2に巻上げる。
C:第3図(A)に示すようにシングルスタンドミル1Aを
用いて、もしくは第3図(B)に示すように多段スタン
ドテンデムミル1Bを用いての第2次熱間圧延の最終パス
前に、溶体処理温度の40〜80%となるように熱間圧延
し、熱間圧延の最終パスにおいてロール入側もしくは出
側、または双方に圧延クーラント4を付加し、0.1℃/se
c以上の冷却速度で上り温度が180℃以下好ましくは室温
まで冷却しながら圧延し、コイル2に巻上げる。
なおここで最終パスとは、熱間圧延機がシングルスタン
ドミルからなる場合は最終1パスを意味するが、多段ス
タンドミルからなる場合は、第3図(B)に示している
ように、最終ロールを通るパスのみを最終パスとは呼ば
ず、多段のスタンドを通過する一連の工程を総合して最
終パスと称すものとする。
以上のような第2次熱間圧延直後の、もしくは第2次熱
間圧延の最終パスでの溶体化処理温度の40〜80%の温度
からの焼入れ後には、60%以上の加工率で冷間圧延等の
冷間加工を行なう。この冷間加工は歪を導入してその後
の再結晶時における結晶粒微細化を図るためのものであ
り、加工率が60%未満では歪の導入が不充分となり、結
晶粒の微細化が充分に図れない。
上述の冷間加工後には、対象合金の再結晶温度以上に1
℃/sec以上の加熱速度で昇温させて、再結晶させる。こ
の再結晶にあたって昇温速度が速いほど再結晶粒微細化
には有利となり、昇温速度が1℃/sec未満では超塑性加
工に適した微細結晶粒が得られないから、昇温速度を1
℃/sec以上に限定した。このように1℃/sec以上で急速
加熱するためには、具体的にはソルトバスや、連続空気
加熱炉を用いれば良い。なお再結晶温度は合金の種類に
よって異なるが、その合金の溶体化処理温度は必ず再結
晶温度以上となっているから、実際の操業にあたっては
溶体化処理温度を目途に加熱すれば充分である。なおま
た再結晶のための加熱後は常法にしたがって水焼入れす
れば良い。
以上のように、第1次熱間圧延と第2次熱間圧延との間
において溶体化処理温度の80%以上の温度域での加熱・
保持を行なった後、0.001〜0.05℃/secの冷却速度で徐
冷して粗大金属間化合物粒子を粗大に析出させ、第2次
熱間圧延の直後もしくは第2次熱間圧延の最終パスにお
いて溶体化処理温度の40〜80%の温度域から0.1℃/sec
以上の冷却速度で焼入れることにより、残留している合
金元素の固溶もしくは微細析出を図り、さらに60%以上
の冷間加工を行なってから再結晶させることによって、
再結晶粒を著しく微細化することができる。ここで、再
結晶前に歪を導入するための冷間加工としてはさほど大
きな加工率は必要なく、前述のように加工率60%以上で
あれば最終的に微細結晶粒を得ることができるから、生
産性の低下や冷間圧延の困難を招くことなく冷間加工を
実施することができる。
次に第5発明〜第8発明の各方法について説明する。
第5発明〜第8発明の各方法は、対象とするアルミニウ
ム合金材料を、特に高強度材料として知られる7475合金
で代表されるAl−Zn−Mg−Cn系のものとし、かつその成
分組成に応じてプロセス中の各温度を具体的に規定した
ものである。そこで先ず第5発明〜第8発明における成
分組成範囲の限定理由について説明する。
Zn: Znが5.1%未満では焼戻しによって充分に高い強度を得
ることができす、一方8.1%を越えれば応力腐食割れが
発生し易くなるから、Znは5.1〜〜8.1%の範囲内とし
た。
Mg: Mgが1.8%未満では、焼戻しによって充分に高い強度が
得られず、一方3.4%を越えれば圧延加工性が劣化する
とともに応力腐食割れが生じ易くなるから、Mgは1.8〜
3.4%の範囲内に限定した。
Cu: Cuが1.2%未満では焼戻しによって充分に高い強度が得
られず、一方2.6%を越えれば圧延加工性が悪くなると
ともに靱性が低下するから、Cuは1.2〜2.6%の範囲内に
限定した。
Ti: Tiの0.2%以下の添加は鋳造組織の微細化および鋳造時
の鋳塊割れの発生防止に有効であるが、0.2%を越えれ
ば巨大な金属間化合物が晶出してしまうから、Tiは0.2
%以下に限定した。
Mn、Cr、Zr: これらは既に延べたように超塑性加工可能な程度の微細
結晶粒を得るために必要な元素であり、その添加量の限
定理由は第1発明〜第4発明について述べた通りであ
る。
上述のような成分組成のAl−Zn−Mg−Cu系の合金につい
て、第5発明〜第8発明において適用しているプロセス
は、基本的には第1発明〜第4発明におけるプロセスと
同様であり、第1発明〜第4発明と異なる点は、温度範
囲の規定を具体的な摂氏温度の範囲で規定していること
だけであり、以下その点を中心に第5発明〜第8発明の
プロセスを説明する。
先ず前述のような成分組成のAl−Zn−Mg−Cu系合金の鋳
塊を連続鋳造法もしくは半連続鋳造法などによって鋳造
し、通常430〜520℃での均質化処理を行なった後、常法
にしたがって圧下率30%以上の第1次熱間圧延を施す。
第1次熱間圧延の後には、第1発明〜第4発明における
溶体化処理温度の80%以上の温度での加熱として、400
〜520℃で0.5〜24時間加熱する。この加熱温度が400℃
未満では合金成分元素の固溶が不充分となるから、400
℃以上で加熱する必要がある。なお加熱時間の限定理由
は既に述べた通りである。
上述の400〜520℃での加熱保持後は、第5発明および第
6発明の場合は0.001〜0.05℃/secの範囲内の冷却速度
で280〜430℃(第1発明〜第4発明における溶体化処理
温度の60〜90%に相当する)の温度まで冷却し、必要に
応じてその温度に24時間以内保持し、その温度で第2次
熱間圧延を開始する。また第7発明および第8発明の場
合は前述の400〜520℃での加熱保持後、0.001〜0.05℃/
secの冷却速度で室温まで冷却し、溶体化処理温度の60
〜90%に相当する280〜430℃の範囲内の温度まで再加熱
し、必要に応じて24時間以内保持し、その温度で第2次
熱間圧延を開始する。ここで、第2次熱間圧延の開始温
度が280℃未満では熱間圧延が困難となり、一方430℃を
越える場合は粗大析出物の析出が少な過ぎて、最終板で
の結晶粒微細化が不充分となる。なおその第2次熱間圧
延の前の冷却速度の限定理由は、第1発明〜第4発明に
ついて既に述べたところと同じである。
上述のようにして280〜430℃の温度域で開始した第2次
熱間圧延は、第5発明および第7発明の場合は、最終パ
スの出側直後の温度が250〜400℃(第1発明〜第4明に
おける溶体化処理温度の40〜80%に対応する)の温度と
なるように終了させ、その温度から0.1℃/sec以上の冷
却速度で180℃以下、好ましくは室温まで冷却すること
によって焼入れを行なう。また第6発明および第8発明
の場合は、最終パスの入側の温度が250〜400℃の温度と
なるように圧延して、最終パス中からパス後を通じて0.
1℃/sec以上の冷却速度となるように、かつ圧延上り温
度が180℃以下、好ましくは室温となるように冷却しな
がら圧延して、最終パスに圧延と焼入れを同時に行な
う。このように第2次熱間圧延の直後、もしくは第2次
熱間圧延の最終パスにおいて、250〜400℃の範囲内の温
度から焼入れる理由は、第1発明〜第4発明について溶
体化処理温度の40〜80%の温度から焼入れる理由につい
て延べたところと同様であり、また冷却速度、および焼
入れ到達温度(180℃以下、好ましくは室温)の限定理
由についても同じである。さらに、このような第2次熱
間圧延直後もしくは第2次熱間圧延の最終パスでの焼入
れ(冷却)のための具体的方法も、既に第1図〜第3図
について説明したと同じ方法を適用することができる。
上述のように250℃〜400℃の温度からの焼入れの後に
は、第1発明〜第4発明の場合と同様に60%以上の加工
率で冷間圧延後の冷間加工を行ない、その後、対象合金
であるAl−Zn−Mg−Cu系合金の再結晶温度域である350
〜500℃に1℃/sec以上の加熱速度で昇温させて、再結
晶させる。
このようにして得られたAl−Zn−Mg−Cu系合金板は、著
しく微細な再結晶粒を有しており、したがって超塑性加
工が可能となる。
実施例 [実施例1] 第1表に示す成分組成の合金1〜5について、400mm厚
のスラブをDC鋳造法により鋳造した。得られたスラブに
対し第2表に示す条件A〜Lにて均質化処理、第1次熱
間圧延、加熱保持(中間焼鈍)、第2次熱間圧延を施し
て、6mm厚の熱延板とした。次いで圧延率80%で1.2mm厚
に冷間圧延し、再結晶のために各合金の溶体化処理温度
にソルトバスにより急速加熱し、10分間保持した後、水
焼入れした。また合金1について第2表の条件記号Aに
て熱間圧延を行なったあものの一部は、第2次熱間圧延
後に冷間圧延率80%で圧延した後、比較法として0.01℃
/secで昇温させて再結晶させた(記号M)。
以上のようにして得られた再結晶後の最終板の板面の結
晶粒度を調べた結果、第3表に示す結果が得られた。
第3表から、所要量のMn、Cr、もしくはZrを含有する発
明合金1〜4についてこの発明で規定する条件で処理し
た圧延板は、いずれも結晶粒径が10μm以下と著しく小
さいことが明らかであり、これらの圧延板については充
分に超塑性加工をなし得ることが判明した。なおこれら
のうち、特に合金1は第5発明〜第8発明で対象として
いるAl−Zn−Mg−Cu系合金であり、これに対してこの発
明で規定する条件を充足する条件Aで処理した板は結晶
粒径が7μmと著しく小さく、充分に超塑性加工可能で
ある。
一方Mn、Zr、Crを実質的に含まない比較合金5について
この発明の条件範囲内で処理した場合(条件記号E)に
は結晶粒径が35μmと大きくなった。また条件記号Fは
第2次熱間圧延終了後の冷却速度が0.1℃/secより小さ
かった例であり、この場合も結晶粒径が30μmと大きく
なった。さらに条件記号Gは第1次熱間圧延後の加熱保
持(中間焼鈍)温度が低過ぎ、しかも第2次熱間圧延終
了後の冷却速度が遅かった例であり、この場合も結晶粒
径が43μmと大きくなった。また条件記号Hは、第1次
熱間圧延圧下率が30%に満たなかったものであり、この
場合は、混粒組織となって25μmを越える再結晶粒が混
ざった状態であった。また条件記号IおよびJは、第1
次熱間圧延終了後の加熱保持(中間焼鈍)からの冷却速
度が高過ぎた例であり、この場合も結晶粒径が30μmと
大きくなった。そして条件記号KおよびLは第1次熱間
圧延とそれに続く加工保持・冷却を行なわなかったもの
であり、この場合も結晶粒径は42μmと大きくなった。
さらに条件記号Mは、再結晶焼入れのための加熱を徐速
昇温で行なった例であり、この場合には結晶粒径が320
μmと粗大化してしまった。
[実施例2] 実施例1の第1表に示す合金1について、第2次熱間圧
延開始までは第2表の条件Aと同様に処理し、第2次熱
間圧延において最終パス前9mmの段階で温度が330℃とな
るように圧延し、このコイルに対して引続き圧延クーラ
ントを付加して冷却しつつ圧延して上り温度150℃で最
終パス熱延(上り板厚6mm)を行なった。得られた熱延
板に対して実施例1と同様に冷間圧延および再結晶を行
なった。再結晶後の結晶粒径を調べたところ、平均7μ
mであり、充分に超塑性加工が可能であることが判明し
た。
[実施例3] 実施例1の合金1について、第2表の条件記号Aに従っ
て均質化処理および熱間圧延するにあたり、中間焼鈍後
0.01℃/secの冷却速度で室温まで冷却した後、第2次熱
間圧延開始温度まで再加熱を行なった。また実施例1の
合金3についても、第2表の条件記号Cに従って均質化
処理および熱間圧延するにあたり、中間焼鈍後0.01℃/s
ecの冷却速度で室温まで冷却した後、第2次熱間圧延開
始温度まで再加熱した。その他の条件は実施例1と同様
にして処理した。
得られた再結晶後の圧延板の結晶粒径は、合金1では8
μm、合金3では10μmであり、実施例1の場合と同様
に充分に微細化されていることが判明した。
[実施例4] 実施例1の合金1および合金3について、それぞれ第2
表の条件記号A、Cに従って均質化処理および熱間圧延
した後、圧延率80%の冷間圧延を行ない、次いで連続焼
鈍炉を用いて20℃/secの昇温速度で合金1は480℃に、
合金3は490℃に昇温し、7分間で通板させ、炉の出側
で水冷することにより連続的な再結晶化処理を行なっ
た。
得られた再結晶板の結晶粒径を調べたところ、合金1で
は12μm、合金3では13μmであり、いずれも微細結晶
粒組織となっていることが判明した。
[実施例5] 実施例1の第1表の合金3について、実施例1の第2表
中の条件Cと同じ条件で均質化処理、熱間圧延を行なっ
た。その後、冷間圧延率を55%、70%、90%と3種に変
えて冷間圧延を行ない、次いで実施例1と同様にソルト
バスにて加熱して再結晶させた。
この実施例5における最終板の結晶粒径を冷間圧延率に
対応して第4表に示す。
発明の効果 この発明の方法によれば、超塑性加工に適した微細な結
晶粒を有するアルミニウム合金圧延板を得ることがで
き、しかも単にそればかりでなく、冷間圧延性を低下さ
せことなく、しかも冷間加工の加工率をさほど大きくせ
ずにかつ過時効処理や温間加工等を行なうことなく微細
結晶粒を得ることができるため、生産性が低下したり冷
間加工が困難となったりすることなく、量産的規模で実
際的に超塑性加工に適したアルミニウム合金圧延板を製
造することが可能となった。
【図面の簡単な説明】 第1図はこの発明の方法の一例における第2次熱間圧延
に最終パスから最終パス後の状況を説明するための模式
図、第2図はこの発明の方法の他の例における第2次熱
間圧延の最終パスの状況を説明するための模式図、第3
図(A)、(B)はこの発明の方法のさらに他の例にお
ける第2次熱間圧延の最終パスの状況を説明するための
模式図である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】展伸用熱処理型アルミニウム合金であっ
    て、しかもMn0.05〜1.5%(重量%、以下同じ)、Cr0.0
    5〜0.4%、Zr0.05〜0.3%のうちの1種または2種以上
    を含有するアルミニウム合金を素材とし、圧下率30%以
    上の第1次熱間圧延を施した後、その合金の溶体化処理
    温度の80%以上の温度で0.5〜24時間加熱し、その後0.0
    01〜0.05℃/secの範囲内の冷却速度で溶体化処理温度の
    60〜90%の温度まで冷却し、その温度から直ちにもしく
    はその温度に24時間以内保持してから、第2次熱間圧延
    を開始して、溶体化処理温度の40〜80%の温度で第2次
    熱間圧延を終了させた後引続いて0.1℃/sec以上の冷却
    速度で180℃以下の温度まで冷却し、その後加工率60%
    以上の冷間加工を行なった後、その合金の再結晶温度以
    上の温度に1℃/sec以上の昇温速度で昇温させて再結晶
    させることを特徴とする微細結晶粒を有するアルミニウ
    ム合金材料の製造方法。
  2. 【請求項2】展伸用熱処理型アルミニウム合金であっ
    て、しかもMn0.05〜1.5%、Cr0.05〜0.4%、Zr0.05〜0.
    3%のうちの1種または2種以上を含有するアルミニウ
    ム合金を素材とし、圧下率30%以上の第1次熱間圧延を
    施した後、その合金の溶体化処理温度の80%以上の温度
    で0.5〜24時間加熱し、その後0.001〜0.05℃/secの範囲
    内の冷却速度で溶体化処理温度の60〜90%の温度まで冷
    却し、その温度から直ちにもしくはその温度に24時間以
    内保持してから、第2次熱間圧延を開始して、最終パス
    の入側の温度が溶体化処理温度の40〜80%となるように
    かつ最終パスを通じての冷却速度が0.1℃/sec以上にな
    るようにしかも圧延上り温度が180℃以下の温度となる
    ように第2次熱間圧延し、その後加工率60%以上の冷間
    加工を行なった後、その合金の再結晶温度以上の温度に
    1℃/sec以上の昇温速度で昇温させて再結晶させること
    を特徴とする微細結晶粒を有するアルミニウム合金材料
    の製造方法。
  3. 【請求項3】展伸用熱処理型アルミニウム合金であっ
    て、しかもMn0.05〜1.5%、Cr0.05〜0.4%、Zr0.05〜0.
    3%のうちの1種または2種以上を含有するアルミニウ
    ム合金を素材とし、圧下率30%以上の第1次熱間圧延を
    施した後、その合金の溶体化処理温度の80%以上の温度
    で0.5〜24時間加熱し、その後0.001〜0.05℃/secの範囲
    内の冷却速度で室温まで冷却し、次いで溶体化処理温度
    の60〜90%の温度に再加熱して、直ちにもしくはその温
    度に24時間以内保持してから、第2次熱間圧延を開始
    し、溶体化処理温度の40〜80%の温度で第2次熱間圧延
    を終了させた後引続いて0.1℃/sec以上の冷却速度で180
    ℃以下の温度まで冷却し、その後加工率60%以上の冷間
    加工を行なった後、その合金の再結晶温度以上の温度に
    1℃/sec以上の昇温速度で昇温させて再結晶させること
    を特徴とする微細結晶粒を有するアルミニウム合金材料
    の製造方法。
  4. 【請求項4】展伸用熱処理型アルミニウム合金であっ
    て、しかもMn0.05〜1.5%、Cr0.05〜0.4%、Zr0.05〜0.
    3%のうちの1種または2種以上を含有するアルミニウ
    ム合金を素材とし、圧下率30%以上の第1次熱間圧延を
    施した後、その合金の溶体化処理温度の80%以上の温度
    で0.5〜24時間加熱し、その後0.001〜0.05℃/secの範囲
    内の冷却速度で室温まで冷却し、次いで溶体化処理温度
    の60〜90%の温度に再加熱して、直ちにもしくはその温
    度に24時間以内保持してから、第2次熱間圧延を開始
    し、最終パスの入側の温度が溶体化処理温度の40〜80%
    となるようにかつ最終パスを通じての冷却速度が0.1℃/
    sec以上になるようにしかも圧延上り温度が180℃以下の
    温度となるように第2次熱間圧延し、その後加工率60%
    以上の冷間加工を行なった後、その合金の再結晶温度以
    上の温度に1℃/sec以上の昇温速度で昇温させて再結晶
    させることを特徴とする微細結晶粒を有するアルミニウ
    ム合金材料の製造方法。
  5. 【請求項5】Zn5.1〜8.1%、Mg1.8〜3.4%、Cu1.2〜2.6
    %、Ti0.2%以下を含有するとともに、Mn0.05〜1.5%、
    Cr0.05〜0.4%、Zr0.05〜0.3%のうちの1種または2種
    以上を含有するアルミニウム合金を素材とし、圧下率30
    %以上の第1次熱間圧延を施した後、400〜520℃の温度
    で0.5〜24時間加熱し、その後0.001〜0.05℃/secの範囲
    内の冷却速度で280〜430℃の範囲内の温度まで冷却し、
    その温度から直ちにもしくはその温度に24時間以内保持
    してから、第2次熱間圧延を開始して、250〜400℃の温
    度で第2次熱間圧延を終了させた後引続いて0.1℃/sec
    以上の冷却速度で180℃以下の温度まで冷却し、その後
    加工率60%以上の冷間加工を行なった後、350〜500℃の
    温度に1℃/sec以上の昇温速度で昇温させて再結晶させ
    ることを特徴とする微細結晶粒を有するアルミニウム合
    金材料の製造方法。
  6. 【請求項6】Zn5.1〜8.1%、Mg1.8〜3.4%、Cu1.2〜2.6
    %、Ti0.2%以下を含有するとともに、Mn0.05〜1.5%、
    Cr0.05〜0.4%、Zr0.05〜0.3%のうちの1種または2種
    以上を含有するアルミニウム合金を素材とし、圧下率30
    %以上の第1次熱間圧延を施した後、400〜520℃の温度
    で0.5〜24時間加熱し、その後0.001〜0.05℃/secの範囲
    内の冷却速度で280〜430℃の範囲内の温度まで冷却し、
    その温度から直ちにもしくはその温度に24時間以内保持
    してから、第2次熱間圧延を開始して、最終パスの入側
    の温度が250〜400℃となるようにかつ最終パスを通じて
    の冷却速度が0.1℃/sec以上になるようにしかも圧延上
    り温度が180℃以下の温度となるように第2次熱間圧延
    し、その後加工率60%以上の冷間加工を行なった後、35
    0〜500℃の温度に1℃/sec以上の昇温速度で昇温させて
    再結晶させることを特徴とする微細結晶粒を有するアル
    ミニウム合金材料の製造方法。
  7. 【請求項7】Zn5.1〜8.1%、Mg1.8〜3.4%、Cu1.2〜2.6
    %、Ti0.2%以下を含有するとともに、Mn0.05〜1.5%、
    Cr0.05〜0.4%、Zr0.05〜0.3%のうちの1種または2種
    以上を含有するアルミニウム合金を素材とし、圧下率30
    %以上の第1次熱間圧延を施した後、400〜520℃の温度
    で0.5〜24時間加熱し、その後0.001〜0.05℃/secの範囲
    内の冷却速度で室温まで冷却し、次いで280〜430℃の範
    囲内の温度に再加熱して、直ちにもしくはその温度に24
    時間以内保持してから、第2次熱間圧延を開始し、250
    〜400℃の温度で第2次熱間圧延を終了させた後引続い
    て0.1℃/sec以上の冷却速度で180℃以下の温度まで冷却
    し、その後加工率60%以上の冷間加工を行なった後、35
    0〜500℃の温度に1℃/sec以上の昇温速度で昇温させて
    再結晶させることを特徴とする微細結晶粒を有するアル
    ミニウム合金材料の製造方法。
  8. 【請求項8】Zn5.1〜8.1%、Mg1.8〜3.4%、Cu1.2〜2.6
    %、Ti0.2%以下を含有するとともに、Mn0.05〜1.5%、
    Cr0.05〜0.4%、Zr0.05〜0.3%のうちの1種または2種
    以上を含有するアルミニウム合金を素材とし、圧下率30
    %以上の第1次熱間圧延を施した後、400〜520℃の温度
    で0.5〜24時間加熱し、その後0.001〜0.05℃/secの範囲
    内の冷却速度で室温まで冷却し、次いで280〜430℃の範
    囲内の温度に再加熱して、直ちにもしくはその温度に24
    時間以内保持してから、第2次熱間圧延を開始し、最終
    パスの入側の温度が250〜400℃となるようにかつ最終パ
    スを通じての冷却速度が0.1℃/sec以上になるようにし
    かも圧延上り温度が180℃以下の温度となるように第2
    次熱間圧延し、その後加工率60%以上の冷間加工を行な
    った後、350〜500℃の温度に1℃/sec以上の昇温速度で
    昇温させて再結晶させることを特徴とする微細結晶粒を
    有するアルミニウム合金材料の製造方法。
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