JPH0665168U - 車両のシート取付部構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 フロアパネル中央部に車体前後方向に延びる
トンネル部が形成された車両において、該トンネル部側
面を利用してシートを車体に取りつけるシート取付ブラ
ケットを設けることにより、上記シート後方の乗員の足
元スペースを広げることを目的とする。 【構成】 フロアパネル１の中央部に形成されたトンネ
ル部２を挟んで、左右のフロントシート３，３が設けら
れた車両において、上記トンネル部２の両側面２ａ，２
ａに上記フロアパネル１の上面より浮かせた状態で左右
のシート取付ブラケット部１０，１０を取りつけると共
に、該シート取付ブラケット部１０，１０に上記フロン
トシート３のシートクッション３ａをスライド自在に保
持するスライド機構４のロアレール６ｂ，６ｂの後端部
を固定する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は車両のシート取付部構造、特にフロアパネルの中央部に車体前後方向 に延びるトンネル部が形成されていると共に、該トンネル部を挟んで設けられた 左右のシートを車体に取り付ける車両のシート取付部の構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に自動車のフロントシートは、例えば実開平３−１１０９３３号公報に記 載されているように、スライド機構を介して車体に取り付けられており、このス ライド機構により乗員の体格に合わせてシートの前後位置を調節できるようにな っている。そして、 上記スライド機構は、図４に示すように、車体前後方向に 配置された左右一対のアッパレール２１，２１と、同じく車体前後方向に配置さ れ、且つ各アッパレール２１，２１にそれぞれ係合してこれらのアッパレル２１ ，２１を前後スライド可能に支持する一対のロアレール２２，２２とを有し、各 アッパレール２１，２１がフロントシート２３を構成するシートクッション２３ ａの左右両側部下面に固設されていると共に、各ロアレール２２，２２の前後両 端部が複数の取付ブラケット２４…２４を介してフロアパネル２５上に固設され ている。

【０００３】 また、上記スライド機構が設けられていないシートについても該シートを構成 するシートクッションの下面の４隅が、それぞれ複数の取付ブラケットを介して フロアパネル上に取り付けられている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、上記のようにフロントシートの前後位置を調整するスライド機構に おける左右一対のロアレールの前後両端部、もしくはフロントシートを構成する シートクッションの下面の４隅をそれぞれフロアパネル上に取り付ける複数の取 付ブラケットのうち、特に、ロアレールの後端部やシートクッションの後端部下 面に配置された取付ブラケットが邪魔となって、リアシートに着座した乗員の足 元スペースが狭められ、あるいはフロントシートとリアシートとの間に中間シー トが設けられている場合には、該中間シートに着座した乗員の足元スペースが狭 められて、居住性が低下することになる。

【０００５】 特に、図４に示すように、フロアパネル２５の中央部に車体前後方向に延びる トンネル部２６が形成されている場合には、該トンネル部２６によりフロントシ ート２３ａの後方の中間シートやリアシート側乗員の足元スペースが更に制約さ れることになって、居住性が著しく低下することになる。

【０００６】 そこで本考案は、フロアパネルの中央部に車体前後方向に延びるトンネル部が 形成された車両において、上記トンネル部を有効利用することにより、車体構造 に大幅な変更を加えることなく、また、特に大掛かりな手段を設けることなく、 乗員の足元スペースを広げることのできる車両のシート取付部構造を提供するこ とを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決するために、本考案は、次のように構成したことを特徴とす る。

【０００８】 まず、本願の請求項１に係る考案（以下、第１考案という）は、フロアパネル の中央部に車体前後方向に延びるトンネル部が形成されていると共に、該トンネ ル部を挟んで設けられた左右のシートを車体に取り付ける車両のシート取付部構 造において、上記トンネル部の側面に上記フロアパネル上面より浮かせた状態で シート取付ブラケットを固設すると共に、該シート取付ブラケットに上記シート を構成するシートクッションのトンネル部寄りの後端部下面を取り付けたことを 特徴とする。

【０００９】 また、本願の請求項２に係る考案（以下、第２考案という）は、上記第１考案 におけるトンネル部の両側面に上記フロアパネル上面より浮かせた状態で左右の シート取付ブラケットを固設し、これらのシート取付ブラケットに上記左右のシ ートを構成する各シートクッションのトンネル部寄りの後端部下面をそれぞれ取 り付けると共に、上記左右のシート取付ブラケットを、上記トンネル部の上面か ら両側面に跨がって該トンネル部に接合した連結部材により連結したことを特徴 とする。

【００１０】 さらに、本願の請求項３に係る考案（以下、第３考案という）は、上記第２考 案における連結部材を、トンネル部に形成された開口部周辺に沿って配置したこ とを特徴とする。

【００１１】

【作用】

上記の各考案によれば、それぞれ次のような作用が得られることになる。

【００１２】 まず、第１ないし第３考案のいずれにおいても、トンネル部の側面にフロアパ ネル上面より浮かせた状態でシート取付ブラケットが固設されていると共に、こ のシート取付ブラケットにシートを構成するシートクッションのトンネル部寄り の後端部下面が取り付けられているので、該シートクッションのトンネル部寄り の後端部下面とフロアパネル上面との間に空間が形成されることになって、該シ ートクッションの後方に着座した乗員の足元スペースが拡張されて、居住性が向 上する。

【００１３】 特に、第２考案によれば、トンネル部の両側面に固設された左右のシート取付 ブラケットが、トンネル部の上面から両側面に跨がって該トンネル部に接合され た連結部材により連結されているので、各シート取付ブラケット自体の強度や剛 性、および該ブラケットのトンネル部に対する取付強度が高められると共に、こ れに伴って、シートの取付強度が向上することになる。

【００１４】 さらに、第３考案によれば、上記連結部材が、トンネル部に形成された開口部 周辺に沿って設けられているので、該開口部周辺の剛性が高められ該部の変形が 防止されることになり、これにより、該開口部に取り付けられる取付部材、例え ばパーキングブレーキレバー等の取付強度が向上し、該ブレーキレバーの操作性 等が向上する。

【００１５】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

【００１６】 図１は本考案に係る車両のシート取付部構造を、例えば自動車のフロントシー トに適用した場合の実施例を示すもので、図示のように、車体の床面部を形成す るフロアパネル１の車幅方向の中央部には、該フロアパネル１の上面部より上方 に突出して車体前後方向（図２おいて上下方向）に延びるトンネル部２が形成さ れており、このトンネル部２を挟んで左右のフロントシート３，３が配置されて いる。これらのフロントシート３，３はそれぞれシートクッション３ａ，３ａと 、該シートクッション３ａ，３ａの後端部にリクライニング機構（図示せず）を 介して立設されたシートバック３ｂ，３ｂとで構成されている。

【００１７】 そして、上記フロアパネル１の上面とフロントシート３を構成するシートクッ ション３ａの下面との間には、該シートクッション３ａを含むフロントシート３ の全体を前後方向にスライドさせて前後位置を調整するスライド機構４が設けら れており、 このスライド機構４は、車幅方向において所定の間隔を隔てて車体 前後方向に配置された左右一対のアッパレール５ａ，５ｂと、同じく車体前後方 向に配置され且つ各アッパレール５ａ，５ｂに係合してこれらの各アッパレール ５ａ，５ｂを前後スライド可能に支持する一対のロアレール６ａ，６ｂとを有す る。

【００１８】 なお、各アッパレ−ル５とロアレール６との間には、該ロアレール６に沿って 各アッパレール５を良好にスライドさせるためのローラ７ａおよびボール部材７ ｂ，７ｂが設けられている。

【００１９】 そして上記一対のアッパレール５ａ，５ｂが、上記シートクッション３ａの左 右の両側部下面に固設されていると共に、車体の外側部寄りに配置された一方の ロアレール６ａの前後両端部が前後一対の取付ブラケット８，８（一方のみ図示 ）によりフロアパネル１上に固定されている。また、上記トンネル部２寄りに配 設された他方のロアレール６ｂについては、その前端部が車体外側部寄りに配置 された上記ロアレール６ａと同様の取付ブラケット８（図示せず）によりフロア パネル１上に固定されていると共に、このトンネル部２寄りに配置されたロアレ ール６ｂの後端部が、シート取付部材９により車体に取り付けられている。

【００２０】 次に、上記シート取付部材９の構成について図１ないし図３に基づいて詳しく 説明すると、このシート取付部材９は、上記ロアレール６ｂ，６ｂの後端部がそ れぞれ取り付けられる左右のシート取付ブラケット部１０，１０と、これらのブ ラケット部１０，１０を連結する連結部１１とが一体的に形成された形状とされ ており、上記シート取付ブラケット部１０は、フロアパネル１の上面と所定の間 隔を隔てた状態でトンネル部２の左右の側面２ａ，２ａより車外側に向けて水平 方向に延びる水平面部１０ａと、該水平面部１０ａに縦壁面部１０ｂを介して連 設されたフランジ部１０ｃとを有し、該フランジ部１０ｃから水平面部１０ａに かけての車体前後方向に沿った断面形状がハット型形状とされている。更に、上 記フランジ部１０ｃの前後両端部には、下方に延びる前後一対の垂直面部１０ｄ ，１０ｄが一体的に形成されていると共に、これらの垂直面部１０ｄ，１０ｄに おけるトンネル部２側の端部には、該トンネル部２の側面２ａに沿って車体前後 方向に延びる取付部１０ｅ，１０ｅが設けられており、トンネル部２の側面２ａ ，２ａと各取付部１０ｅ，１０ｅがそれぞれ複数の取付ボルト１０ｆ…１０ｆに より固着されている。

【００２１】 一方、上記連結部１１はトンネル部２の上面に接合された上面部１１ａと、該 上面部１１ａからトンネル部２の側面にかけ膨出形成されて、上記シート取付ブ ラケット部１０の水平面部１０ａに連接された膨出部１１ｂと、上記上面部１１ ａからトンネル部２の側面２ａに沿って下方に延長されて上記フランジ部１０ｃ に連接された連接部１１ｃとで構成されている。

【００２２】 更に、上記水平面部１０ａには、該水平面部１０ａにロアレール６ｂを取りつ けるための取付ボルト１２ａが挿通される取付穴１０ｇが形成されており、この 取付穴１０ｇに挿通された取付ボルト１２ａがナット１２ｂにより締め付けられ ることにより、上記ロアレール６ｂが水平面部１０ａに固定されている。また、 トンネル部２の上面２ｂには開口部１３が形成されており、この開口部１３の周 辺に上記シート取付部材９の連結部１１が配設されている。

【００２３】 上記の構成によれば、トンネル部２の側面２ａ，２ａにフロアパネル１の上面 より浮かせた状態でシート取付部材９におけるシート取付ブラケット部１０が設 けられていると共に、該シート取付ブラケット部１０に上記シートクッション３ ａの下面に設けられて該シートクッション３ａをスライド自在に支持するスライ ド機構４のロアレール６ｂの後端部下面が取り付けられているので、シートクッ ション３ａのトンネル部２寄りの後端部下面とフロアパネル１の上面との間に図 １に示すように所定の空間Ｘが形成されることになる。これにより図３に鎖線で 示すように、後部座席側乗員の足先（イ）を空間Ｘ内に位置させることが可能と なるので、シートクッション３ａの後方に着座した乗員の足元スペースが拡張さ れて、居住性を向上させることができる。

【００２４】 更に、上記トンネル部２の上面から両側面に跨がって該トンネル部２に接合さ れた連結部１１により、トンネル部２の両側２ａ，２ａに設けられたシート取付 ブラケット部１０，１０が連結されているので、各シート取付ブラケット部１０ の強度や剛性、および該ブラケット部１０のトンネル部２に対する取り付け強度 が高められると共に、これに伴って、フロントシート３の支持強度が向上するこ とになる。

【００２５】 特に、実施例においては、上記連結部材１１がトンネル部２に形成された開口 部１３の周辺に沿って設けられているので、該開口部１３の周辺の剛性が高めら れ該部の変形が防止されることになり、これにより図１、２に示すように、開口 部１３に例えばパーキングブレーキ１４が取り付けられる場合には、該パーキン グブレーキレバー１４の支持強度が高められてその操作性等が向上する。

【００２６】 なお、本実施例においては、上記シート取付部材９をシート取付ブラケット部 １０と連結部１１とで一体形成した場合について説明したけれども、上記シート 取付ブラケット部１０と連結部１１とを別々に形成し、その両者を溶接等によっ て連結してもよい。また、本実施例においては、上記シート取付部材９によりフ ロントシート３のシートクッション３ａの後端部を車体に取りつける場合につい て説明したが、シート取付部材９により支持されるシートとしては、フロントシ ート３に限定されるものではなく、フロントシート３とリアシートとの間に中間 シートが設けられている場合には、この中間シートに通用することも可能である 。

【００２７】

【考案の効果】

以上のように、第１ないし第３考案のいずれにおいても、フロアパネルより浮 かせた状態でトンネル部側面にシート取付ブラケットが固設されているので、シ ートクッションのトンネル部寄りの後端部下面とフロアパネル上面との間に空間 が形成されることになって、該シートクッションの後方に着座した乗員の足元ス ペースが拡張されて、居住性が向上する。

【００２８】 特に、第２考案によれば、連結部材により左右のシート取付ブラケットが連結 されているので、シート取付ブラケット自体の強度や剛性、および該ブラケット のトンネル部に対する取付強度が高められると共に、これに伴って、シートの支 持強度が向上することになる。

【００２９】 さらに、第３考案によれば、トンネル部の開口部周辺に沿って設けられた連結 部材により、該開口部周辺の剛性が高められ該部の変形が防止されることになっ て、該開口部に取り付けられる取付部材、例えばパーキングブレーキレバー等の 支持強度が向上し、その操作性等を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案に係る車両シート取付部構造を示す車
体前方側よりみた要部断面図。

【図２】 シートを取り外した状態のシート取付部構造
の平面図。

【図３】 シートを取り外した状態のシート取付部構造
の斜視図。

【図４】 従来のシート取付構造を示す要部断面図。

【符号の説明】

１ フロアパネル ２ トンネル部 ２ａ 側面 ３ フロントシート ３ａ シートクッション ３ｂ シートバック ４ スライド機構 ５ａ，５ｂ アッパレール ６ａ，６ｂ ロアレール ８ ブラケット ９ シート取付部材 １０ シート取付ブラケット部 １１ 連結部 １３ 開口部

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 フロアパネルの中央部に車体前後方向に
   延びるトンネル部が形成されていると共に、該トンネル
   部を挟んで設けられた左右のシートを車体に取り付ける
   車両のシート取付部構造であって、上記トンネル部の側
   面に上記フロアパネル上面より浮かせた状態でシート取
   付ブラケットが固設されていると共に、該シート取付ブ
   ラケットに上記シートを構成するシートクッションのト
   ンネル部寄りの後端部下面が取り付けられていることを
   特徴とする車両のシート取付部構造。
2. 【請求項２】 フロアパネルの中央部に車体前後方向に
   延びるトンネル部が形成されていると共に、該トンネル
   部を挟んで設けられた左右のシートを車体に取り付ける
   車両のシート取付部構造であって、上記トンネル部の両
   側面に上記フロアパネル上面より浮かせた状態で左右の
   シート取付ブラケットが固設されており、これらのシー
   ト取付ブラケットに上記左右のシートを構成する各シー
   トクッションのトンネル部寄りの後端部下面がそれぞれ
   取り付けられていると共に、上記左右のシート取付ブラ
   ケットが、上記トンネル部の上面から両側面に跨がって
   該トンネル部に接合された連結部材により連結されてい
   ることを特徴とする車両のシート取付部構造。
3. 【請求項３】 連結部材は、トンネル部に形成された
   開口部周辺に沿って配設されていることを特徴とする請
   求項２記載の車両のシート取付部構造。