JPH0231001Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、シートバツクが上下に２分割され
れた自動車用シート（座席）などの車両用シー
ト、詳しくは、シートクツシヨンが前後方向に移
動可能に取付けられ、シートバツクが上下方向に
上部バツク部と下部バツク部とに分割形成されそ
の下部バツク部が前記シートクツシヨンに対して
ヒンヂで連結されている車両用シートの改良に関
するものである。

（従来の技術） 従来この種の車両用シートとして実公昭57−
11580号公報記載のものが開示されている。これ
は、シートバツクの上部バツク部と下部バツク部
とがヒンヂにより互いに連結され、上部バツク部
が車体面（背パネル）に対して移動可能に取付け
られている。

従つて、シートクツシヨンの前進によつて下部
バツク部が斜下方に移動し、この下部バツクの移
動に追随して上部バツク部は車体面と平行に斜下
方に移動する構造である。そのため、着座者はシ
ートクツシヨンが前進した位置においても、その
腰部が傾斜した前進位置にある下部バツク部の前
面により常に離れることがなく支承されているた
め、着座者の背面全体は上部バツク部および下部
バツク部に支承されて常に安楽姿勢を保つことが
できる利点がある。

しかし乍ら斯る構造の従来品はシートバツクを
構成する上部バツク部が、下部バツク部にヒンヂ
で連結され車体面に対して移動可能に取付けられ
ているため、車両の走行時における振動によつて
ガタが生じ、異音が発生する不具合があつた。ま
た、上部バツク部の背面を車体面に移動可能に取
付けなければならないため、取付工数がかかる欠
点がある。

（目的） この考案は前記従来品の長所を損なうことな
く、前記不具合を除去することを目的とするもの
である。

（構成） この考案はシートクツシヨンの移動操作時に、
着座者が前倒姿勢をとり、着座者の背部がシート
バツクの上部バツク部から離れることに着目して
なされたものであり、その要旨とするところは、
前記上部バツク部を車体に固定すると共に下部バ
ツク部の上部と上部バツク部の下部とをリンクで
連結して下部バツク部がシートクツシヨンの移動
に追従して移動するようにしたものであり、前記
リンクはＬ字状に形成し、その上端を上部バツク
部の前側に、また、下端は下部バツク部の後側よ
り上方に突出するブラケツトに夫々回動自在に枢
着されている構造である。

（作用効果） 前記シートクツシヨンを前後に移動調整する
際、上部バツク部は下部バツク部と連動せず動く
ことがなく、着座者の腰部を支承する上部バツク
部が動かない。従つて、着座者はその腰部、背部
を上部バツク部、下部バツク部に支承されている
着座者の背部が引きつつたような不快感が生じ
る。

しかし乍ら、前記シートクツシヨンの移動操作
は、シートクツシヨンのロツク解除用の操作部材
シートクツシヨンの底部前方に設けてあるため着
座者は前倒姿勢で操作しなければならないため、
着座者はその背部を上部バツク部に支承したまま
の状態で行なうことが困難である。

従つて、シートクツシヨンの前後移動調節の
際、前記上部バツク部が固定されている不具合は
生じない。

また、前記リンクはＬ字状に形成し、その上端
を上部バツク部の前側に、また、下端は下部バツ
ク部の後側より上方に突出するブラケツトに夫々
回動自在に枢着しているので、シートクツシヨン
を前方に移動した際、下部バツク部はリンクの上
端を回転中心に前方に回動するが、下部バツク部
はその後側より上方に突出するブラケツトがリン
クの下端に枢着されているため、下部バツク部の
上部前面と、上部バツク部の下部前面との間に段
差が生じない。

上部バツク部が車体に固定されているため、前
記従来品の如き、車両の走行中にガタ付くことが
ないし、異音も発生することがない。更に、上部
バツク部を車体に掛止することにより固定できる
ため、取付が頗る簡単になる。

（実施例） 第１図はこの考案に係る自動車用シートを示
し。図中ａはシートクツシヨンを示し、このシー
トクツシヨンａは車床ｅに固定したシートスライ
ダー５に載置され、該シートスライダー５によつ
て前後方向に移動可能に取付けられている。そし
て、このシートスライダー５はロツク装置により
所定位置に保持され、そのロツク解除用の操作部
材５１が、シートクツシヨンａの底部前方に位置
するように配設されている。

図中ｂ，ｃは上部バツク部ｃと下部バツク部ｂ
とから構成されているシートバツクを示し、車体
ｄの壁面（背パネル）に沿つて設けてある。

そして、下部バツク部ｂとシートクツシヨンａ
とはヒンヂ３，４によつて枢着されている。これ
を第４図において説明すると、シートクツシヨン
ａのパイプ製フレーム４１にボルト４３など固定
部材でヒンヂブラケツト４２を固定し、こりヒン
ヂブラケツト４２にヒンヂピン４を設け、このヒ
ンヂピン４に、下部バツク部ｂのフレーム（不図
示）と、一体のヒンヂフレーム３をブツシユ４４
を介して回動自在に枢着して、シートクツシヨン
ａの前後方向の移動に伴なつて下部バツク部ｂが
追動するように構成されている。

また、下部バツク部ｂは前述の如きシートクツ
シヨンａに連動できるように、その上部に、リン
ク１を介して上部ブラケツトｃに連結されている
（第２図、第３図）。図中２は下部バツク部ｂのフ
レーム（図示せず）に溶接によつて固着され上部
バツク部ｂ方向に突出せるブラケツトを示す。

リンク１は略Ｌ字状に形成され、その上端が上
部バツク部ｃ前側内のフレーム（図示せず）に固
着したブラケツト１１にピン１２によつて回動自
在に枢着され、下端部は前記下部バツク部ｂの上
端面側より上方に突出するブラケツト２にピン１
３で枢着されている。従つて下部バツク部ｂはシ
ートクツシヨンａが前進すると、リンク１がピン
１２を中心として回動するため下降する（第１
図、２点連鎖）。

上部バツク部ｃは車体ｄの壁面に突設した掛止
片６に掛止されることにより固定されている。即
ち、上部バツク部ｃの背面側に設けたフレーム７
（例えば枠線、金属片）を鉤形状の掛止片６に挿
込むと、上部バツク部ｃは車体ｄに固定される。
この固定手段は、図示するもののほかに種々のも
のが考えられる。

斯して、下部バツク部ｂはシートクツシヨンａ
の動きに連動して移動するが、上部バツク部ｂは
車体ｄに固定されたまま移動しない。従つて、シ
ートクツシヨンａをシートスライダー５によつて
前進させると、ヒンヂ３，４の位置も移動するた
め下部バツク部ｂが斜下方に移動する。さのた
め、着座者の尻部と背部全体とはシートクツシヨ
ンａと上、下部バツク部ｂ，ｃにおける支承され
て前記実施例の如き安楽姿勢を保つことができ
る。

しかし、シートクツシヨンａを移動調節中にお
いては着座者の上背部は上部バツク部ｃに支承さ
れない。斯る動作は前傾姿勢をとらなければ、シ
ートスライダー５のロツク解除用の操作部材５１
に、着座者の手が届かずロツク解除操作が行なえ
ないためである。従つて、シートクツシヨンａの
移動によつて下部バツク部ｂが連動して移動し、
これらに着座者の尻部と腰部若しくは下背部が常
に支承され乍ら動くが、着座者の上背部は上部バ
ツク部に接触していないため、上部バツク部が固
定されていても、引きつつたような不快感が生じ
ることがなく快適に使用できる。加えて、リンク
はＬ字状に形成され、その上端を上部バツク部の
前側に、下端を下部バツク部の後側より上方に突
出するブラケツトに夫々回動自在に枢着している
ので、シートクツシヨンを前方に移動させた際
に、下部バツク部の上部と上部バツク部の下部と
の間に前後方向の段差が生じない。そのため、シ
ートクツシヨンを前方に移動した際に、上部バツ
ク部全体と下部バツク部の上部との前面は略同一
平面状になり、しかも、上部バツク部は移動せず
所定の傾斜角度を保持しているので、座り心地が
良好になる。

更に、本考案は上部バツク部は車体に固定され
ているので、下部バツク部より下方のシートクツ
シヨンに加わる前後方向の負荷は上部バツク部か
ら車体に分散される。

そのため、上部バツク部を枠線など軽量のフレ
ームを使用して形成でき、軽量化と、低コスト化
が図れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は一部を切欠して示す側面図、第２図は
要部を示す正面図、第３図は同縦断面図、第４図
はシートクツシヨンと下部バツク部の連結構造を
示す断面図である。 図中、ａはシートクツシヨン、ｂは下部バツク
部、ｃは上部バツク部、１はリンクを夫々示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートクツシヨンが前後方向に移動可能に取付
   けられ、シートバツクが上下方向に上部バツク部
   と下部バツク部とに分割形成されその下部バツク
   部が前記シートクツシヨンに対してヒンヂで連結
   されている車両用シートにおいて、シートクツシ
   ヨンの底部前方にシートクツシヨンを前方に移動
   可能とするロツク解除用操作部材を配設し、前記
   上部バツク部を車体に固定すると共に下部バツク
   部の上部と上部バツク部の下部とをリンクで連結
   し、且つ該リンクはＬ字状に形成し、その上端を
   上部バツク部の前側に、下端を下部バツク部の後
   側より上方に突出するブラケツトに夫々回動自在
   に枢着して、下部バツク部がシートクツシヨンの
   移動に連動して移動するようにしたことを特徴と
   する車両用シート。