JPH0664697B2 - 複合磁気ヘツド - Google Patents

複合磁気ヘツド

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JPH0664697B2
JPH0664697B2 JP22839685A JP22839685A JPH0664697B2 JP H0664697 B2 JPH0664697 B2 JP H0664697B2 JP 22839685 A JP22839685 A JP 22839685A JP 22839685 A JP22839685 A JP 22839685A JP H0664697 B2 JPH0664697 B2 JP H0664697B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は複合磁気ヘッドに関するものであり、特に磁気
ギャップ近傍部が強磁性金属薄膜で形成されてなる、い
わゆる複合型の磁気ヘッドに関するものである。
〔発明の概要〕
本発明は、酸化物磁性材料と磁性薄膜により磁気コア半
体が構成され、前記磁気コア半体同士が突き合わされて
なる複合磁気ヘッドにおいて、 前記磁性薄膜を、Fe,Al,Siを主成分とし、Al及びSiの組
成範囲がそれぞれ2〜10重量%Al,4〜15重量%Siであっ
て、さらに0.005〜4重量%の窒素を含有してなる軟磁
性薄膜とし、 特に高周波数域において高い出力を示し、高耐摩耗性を
有する複合磁気ヘッドを提供しようとするものである。
〔従来の技術〕
例えばVTR(ビデオテープレコーダ)等の磁気記録再生
装置においては、記録信号の高密度化が進められてお
り、この高密度記録に対応して磁気記録媒体として磁性
粉にFe、Co、Ni等の強磁性金属の粉末を用いた、いわゆ
るメタルテープや、強磁性金属材料を蒸着によりベース
フィルム上に被着した、いわゆる蒸着テープ等が使用さ
れるようになっている。そして、この種の磁気記録媒体
は高い抗磁力Hcを有するために、記録再生に用いる磁気
ヘッドのヘッド材料にも高い飽和磁束密度Bsを有するこ
とが要求されている。例えば、従来磁気ヘッド材料とし
て多用されているフェライト材では飽和磁束密度Bsが低
く、またパーマロイでは耐摩耗性に問題がある。
一方、上述の高密度記録化に伴って、磁気記録媒体に記
録される記録トラックの狭小化も進められており、これ
に対応して磁気ヘッドのトラック幅も極めて狭いものが
要求されている。
そこで従来、これらの要求を満たすために、例えばセラ
ミックス等の非磁性基板上に飽和磁束密度の高い磁性薄
膜を被着形成し、これをトラック部分とした複合磁気ヘ
ッドや、磁気コア部がフェライト等の強磁性酸化物から
なり、これら各磁気コア部の突き合わせ面に磁性薄膜を
被着した複合磁気ヘッドが提案されている。
さらには、本願出願人が先に特願昭58−250988号明細書
において開示したように、例えばメタルテープ等の高い
抗磁力を有する磁気テープに高密度記録するのに適した
複合磁気ヘッドも提案されている。この複合磁気ヘッド
は、Mn−Znフェライト等の強磁性酸化物により形成され
る一対の磁気コア半体の突き合わせ面をそれぞれ斜めに
切り欠いて磁性薄膜形成面を形成し、この磁性薄膜形成
面上に真空薄膜形成技術により被着されたFe−Al−Si系
合金(いわゆるセンダスト)薄膜同士をスペーサを介し
て突き合わせることにより作動ギャップを構成するよう
にしたものであって、磁気特性や信頼性等の点で優れた
特性を有するものである。
〔発明が解決しようとする問題点〕
ところで、上述の複合磁気ヘッドにおいては、その電磁
変換特性は、作動ギャップを構成し記録・再生に直接関
与する磁性薄膜の磁気特性によって大きく左右される。
通常、この種の複合磁気ヘッドでは、上記磁性薄膜とし
て熱安定性に優れたセンダスト膜が用いられている。し
かしながら、センダスト膜を磁性薄膜とした場合には、
高密度記録化の進展に伴って、特に高周波数域での透磁
率が不足し出力の確保が難しいという問題がある。
さらには、センダストはパーマロイに比べれば硬いもの
の、フェライト等やその他のコア材に比べると摩耗し易
く、したがって磁気ヘッド自体の耐久性に問題が生ずる
虞れがある。
そこで本発明は、前述の複合型磁気ヘッドの電磁変換特
性のより一層の改善を図り、特に高周波数域においても
高出力を有し、さらに耐摩耗性に優れた複合磁気ヘッド
を提供することを目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者等は、上述の複合磁気ヘッドの高出力化を図る
ため、特に作動ギャップを構成し直接記録・再生に関与
する磁性薄膜について検討を重えた結果、窒素を含有す
るFe−Al−Si系磁性薄膜が高周波数域での透磁率が高
く、高い硬度を有する等、磁気特性や機械特性に優れ、
複合磁気ヘッドに磁性薄膜として有用であるとの知見を
得るに至った。
本発明の複合磁気ヘッドはこのような知見に基づいて完
成されたものであって、酸化物磁性材料と磁性薄膜によ
り磁気コア半体が構成され、前記磁気コア半体同士が突
き合わされてなる複合磁気ヘッドにおいて、前記磁性薄
膜が、Fe,Al,Siを主成分とし、Al及びSiの組成範囲がそ
れぞれ2〜10重量%Al,4〜15重量%Siであって、さらに
0.005〜4重量%の窒素を含有することを特徴とするも
のである。
〔作用〕
窒素を含有するFe−Al−Si系合金薄膜は、硬度や高周波
数域における透磁率等に優れた特性を有し、これを磁気
ギャップを構成し記録・再生に関与する磁性薄膜とする
ことにより、出力の向上が図られ、耐摩耗性も改善され
る。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
先ず、磁性薄膜を磁気ギャップ形成面に対して斜めに配
置した複合磁気ヘッドを例にして本発明を説明する。
第1図は本発明を適用した複合磁気ヘッドの一例を示す
外観斜視図であり、第2図はその磁気テープ対接面を示
す要部拡大平面図である。
この磁気ヘッドにおいては、磁気コア半体(11),(1
2)が強磁性酸化物、例えばMn−Zn系フェライトで形成
され、これら磁気コア半体(11),(12)の接合面を斜
めに切り欠いた磁性薄膜形成面(11a),(12a)には、
フロントギャップ形成面からバックギャップ形成面に至
るまで連続して高透磁率合金、本発明においては窒素を
含有するFe−Al−Si系合金膜である磁性薄膜(13)が真
空薄膜形成技術により被着形成されている。そして、こ
れら一対の磁気コア半体(11),(12)をSiO等のギ
ャップ材を介して突き合わせ、上記磁性薄膜(13)の当
接面がトラック幅Twの磁気ギャップgとなるように構成
されている。ここで、上記各磁気コア半体(11),(1
2)に被着形成される磁性薄膜(13)は、磁気テープ対
接面から見たときに、一直線状に連なっており、磁気コ
ア半体(11),(12)の突き合わせ面である接合面、す
なわち磁気ギャップ形成面(10)に対してθなる角度で
傾斜している。
そして磁気ギャップgの形成面近傍、すなわち磁気テー
プ対接面における磁気ギャップgの両側部には、トラッ
ク幅を規制し上記磁性薄膜(13)の摩耗を防止するため
の非磁性材(14),(15)が溶融充填されている。
上記磁性薄膜形成面(11a),(12a)と磁気ギャップ形
成面(10)とがなす角θは、20゜〜80゜の範囲内に設定
することが好ましい。ここで20゜以下の角度であると隣
接トラックからのクロストークが大きくなり、望ましく
は30゜以上の角度を持たせるのがよい。また、上記傾斜
角度を90゜にした場合は、耐摩耗性が劣ることから、80
゜程度以下とするのがよい。また、傾斜角度を90゜にす
ると、磁気ギャップgの近傍部に形成される上述の磁性
薄膜(13)の膜厚をトラック幅Twに等しく形成する必要
があり、真空薄膜形成技術を用いて薄膜を形成するにあ
たって、多くの時間を要してしまうことや、膜構造が不
均一化してしまう点で好ましくない。
すなわち、上記磁気コア半体(11),(12)に被着形成
される磁性薄膜(13)の膜厚tは、 t=Twsinθ でよいことから、トラック幅Twに相当する膜厚を膜付け
する必要がなく、ヘッド作製に要する時間を短縮するこ
とができる。ここで、Twはトラック幅であり、θは上記
磁性薄膜形成面(11a),(12a)と磁気ギャップ形成面
(10)とのなす角度である。
一方、本発明においては、上記磁性薄膜(13)の材質
は、窒素を含有するFe−Al−Si系合金とする。
本発明者等の実験によれば、Fe−Al−Si系合金薄膜中の
窒素Nの含有量が増加するのに伴なって透磁率が急激に
向上し、特に窒素Nの含有量が約2重量%のときに窒素
Nを全く含まないFe−Al−Si系合金薄膜に比べて透磁率
がおよそ2.4倍にも達していることが分かった。また、
この透磁率は、上記Fe−Al−Si系合金薄膜に含まれる窒
素Nの含有量が多すぎると却って低下してしまい、1MHz
の周波数では上記窒素Nの含有量が3重量%以下である
ことが好ましい。しかしながら、上記Fe−Al−Si系合金
薄膜においては、窒素Nの含有量の増加とともに比抵抗
が増加することから、より高周波数領域での使用、例え
ばデジタルVTR用磁気ヘッド等への使用を考えると、上
記窒素Nの含有量が4重量%程度までは実用可能である
と考えられる。
同時に、Fe−Al−Si系合金薄膜に含まれる窒素Nの含有
量の増加に伴なって、ビッカース硬度も急激に高くな
り、上記窒素Nの含有量が約2重量%を越えるとほぼ一
定の硬度を確保することができることがわかった。
したがって、本発明の複合磁気ヘッドにおいて、磁性薄
膜であるFe−Al−Si系合金薄膜に含有される窒素Nの含
有量としては、0.005〜4重量%の範囲であることが好
ましい。上記含有量が0.005重量%未満であると充分な
効果が期待できず、また上記含有量が4重量%を越える
と却って透磁率が低下してしまい保磁力Hcも大きく成っ
てしまう虞れがある。さらに、上記窒素Nとともに酸素
を含有してもよい。
一方、上記磁性薄膜の主成分であるFe,Al,Siの組成範囲
としては、上記Alの含有量が2〜10重量%、上記Siの含
有量が4〜15重量%、残部がFeであることが好ましい。
すなわち、上記磁性薄膜を FeAlSi (a,b,c,dは各成分の重量比を表す。) で表わしたときに、その組成範囲が、 70≦a<95 2≦b≦10 4≦c≦15 0.005≦d≦4 a+b+c+d=100 であることが望ましい。上記AlやSiが少なすぎても、ま
た逆に多すぎても磁性薄膜の磁気特性が劣化してしま
う。
また、上記Feの一部をCoあるいはNiのうち少なくとも1
種と置換することも可能である。
上記Feの一部をCoと置換することにより飽和磁束密度Bs
を上げることができる。特に、Feの40重量%をCoで置換
したもので最大の飽和磁束密度Bsが得られる。このCoの
置換量としては、Feに対して0〜60重量%の範囲内であ
ることが好ましい。
同様に、上記Feの一部をNiと置換することにより、飽和
磁束密度Bsを減少することなく透磁率を高い状態に保つ
ことができる。このNiの置換量としては、Feに対して0
〜40重量%の範囲内であることが好ましい。
さらに、上述の磁性薄膜には、耐食性や耐摩耗性を改善
するために各種元素を添加剤として加えもよい。上記添
加剤として使用される元素としては、Sc,Y,La,Ce,Nd,Gd
等のランタン系列元素を含むIIIa族元素、Ti,Zr,Hf等の
IVa族元素、V,Nb,Ta等のVa族元素、Cr,Mo,W等のVIa族元
素、Mn,Tc,Re等のVIIa族元素、Cu,Ag,Au等のIb族元素G
a,In,Ge,Sn,Sb等が挙げられる。これら添加剤の1種ま
たは2種以上を組み合わせて、上記磁性薄膜に対して0
〜10重量%の範囲で添加する。すなわち、上記添加剤を
Tとし上記磁性薄膜を FeAlSi (a,b,c,d,e,の各成分の重量比を表わす。) で表わしたときに、その組成範囲が 65≦a<95 2≦b≦10 4≦c≦15 0.005≦d≦6 0≦e≦10 a+b+c+d+e=100 を満足することが望ましい。上記添加剤の添加量が10重
量%を越えると磁性薄膜の磁気特性を劣化してしまう虞
れがある。
あるいは、上記添加剤としてRu,Rh,Rd,Os,Ir,Pt等の白
金族元素を1種以上添加してもよい。この場合、上記白
金族元素の添加量としては40重量%以下であることが好
ましい。上記添加量が40重量%を越えると磁性薄膜の磁
気特性を劣化してしまう虞れがある。
さらに、上記IIIa族元素、IVa族元素等の添加剤と上記
白金族元素の両者を添加することも可能である。この場
合の組成範囲としては、上記IIIa族元素、IVa族元素等
の添加剤をT、上記白金族元素をPとし、上記磁性薄膜
を FeAlSi (a,b,c,d,e,fは各成分の重量比を表わす。) で表わしたときに、 55≦a<95 2≦b≦10 4≦c≦15 0.005≦d≦6 0≦e≦10 0≦f≦40 a+b+c+d+e+f=100 を満足することが好ましく、さらに上記白金族元素とし
て第5周期の白金族元素、すなわちRu,Rh,Pdを使用した
ときにはe+f≦20,上記白金族元素として第6周期の
白金族元素、すなわちOs,Ir,Ptを使用したときにはe+
f≦40であることが望ましい。上述の範囲越える添加剤
を添加すると、磁気特性が劣化する虞れがある。
実際、窒素を含有するセンダスト膜(窒素を5容量%含
有するArガス中でスパッタリング)を第1図に示す磁気
ヘッドに応用し、ヘッドを試作して(実施例とする)電
磁変換特性を測定した。その結果、第3図に示すよう
に、磁性薄膜(13)を窒素を含まないセンダスト膜とし
た磁気ヘッド(比較例とする)に比べて、周波数3MHzで
3dB,5MHzでおよそ4dB出力が高くなっていることがわか
った。
次に、第1図に示す磁気ヘッドの構成をより明確なもの
とするために、その製造方法について説明する。
上記実施例の磁気ヘッドを作製するには、先ず、第4図
に示すように、例えばMn−Zn系フェライト等の強磁性酸
化物基板(20)の上面(20a)、すなわちこの強磁性酸
化物基板(20)における磁気コア半体突き合わせ時の接
合面に、回転砥石等により断面略V字状の第1の切溝
(21)を全幅に亘って複数平行に形成し、磁性薄膜形成
面(21a)を形成する。なお、上記磁性薄膜形成面(21
a)は、上記強磁性酸化物基板(20)の磁気ギャップ形
成面に対応する上面(20a)と所定角度θで傾斜するよ
うに斜面として形成され、その角度θは、ここではおよ
そ45゜に設定されている。
次に、第5図に示すように、上記磁性薄膜形成面(21
a)を含む基板(20)の上面(20a)全面に亘って前述の
窒素を含有するFe−Al−Si系合金をスパッタリング、イ
オンプレーティング、蒸着等の真空薄膜形成技術を用い
て被着し、磁性薄膜(22)を形成する。
上記磁性薄膜(22)に窒素Nを導入する方法としては、 (I)窒素ガスを含む雰囲気中で上記真空薄膜形成技術
を行い、この窒素ガスの濃度によって得られる磁性薄膜
中の窒素Nの含有量を調節して導入する方法、 (II)窒素と各成分のうちの少なくとも1種との化合物
と、残りの成分の合金とを蒸発源として使用し、得られ
る磁性薄膜中に窒素Nを導入する方法、 等が挙げられる。さらに、上記磁性薄膜(22)を構成す
るFe,Al,Si等の各成分元素の組成を調節する方法として
は、 (i)Fe,Al,Siや他の添加剤,置換金属等を所定の割合
となるように秤量し、これらをあらかじめ例えば高周波
溶解炉等で溶解して合金インゴットを形成しておき、こ
の合金インゴットを蒸発源として使用する方法、 (ii)各成分の単独元素の蒸発源を用意し、これら蒸発
源の数で組成を制御する方法、 (iii)各成分の単独元素の蒸発源を用意し、これら蒸
発源に加える出力(印加電圧)を制御して蒸発スピード
をコントロールし組成を制御する方法、 (iv)合金を蒸発源として蒸着しながら他の元素を打ち
込む方法、 等が挙げられる。
次いで、第6図に示すように、磁性薄膜(22)が被着形
成された第1の切溝(21)内に、非磁性材(23)を充填
した後、上記基板(20)の上面(20a)を平面研削し、
平滑度良く面出しを行い、上記基板(20)の上面(20
a)に上記磁性薄膜形成面(21a)上に被着される磁性薄
膜(22)の端面を露出させる。
次に、第7図に示すように、上記磁性薄膜(23)が被着
形成された磁性薄膜形成面(21a)に隣接して、上記第
1の切溝(21)の一側縁(21b)と若干オーバーラップ
するように第1の切溝(21)と平行に第2の切溝(24)
を切削加工し、上記基板(20)の上面(20a)に対して
鏡面加工を施す。この結果、上記磁性薄膜(22)のみに
より磁気ギャップが構成されるようにトラック幅が規制
される。
この場合、上記磁性薄膜形成面(21a)上に磁性薄膜(2
2)を被着形成した後、トラック幅を規制するための第
2の切溝(24)を形成するという工程となっているた
め、この第2の切溝(24)の切削位置を調節することに
よりトラック幅を精度良く製造することが可能となり、
磁性薄膜のみで構成された磁気ギャップ部から最短距離
を通って強磁性酸化物に磁束を通す形状の磁気ヘッドを
歩留り良く製造できるとともに、出力も大きくなり、生
産性や信頼性、製造コストの点で有利である。
上述のような工程により作製される一対の強磁性酸化物
基板(20)のうち、一方の基板(20)に対して、第8図
に示すように、上記第1の切溝(21)及び第2の切溝
(24)と直交する方向に溝加工を施し、巻線溝(25)を
形成し強磁性酸化物基板(30)を得る。
続いて、上記基板(20)の上面(20a)か上記基板(3
0)の上面(30a)上の少なくともいずれか一方にギャッ
プスペーサを被着し、第9図に示すように、これら基板
(20),(30)を上記磁性薄膜(22)同士が突き合わさ
れるように接合配置する。そして、これら基板(20)及
び(30)をガラスにより融着すると同時に、上記第2の
切溝(24)内に上記非磁性材(26)を充填する。なお、
上記ギャップスペーサとしては、SiO,ZrO,Ta
,Cr等が使用される。また、この製造工程におい
て、上記第2の切溝(24)への非磁性材(26)の充填
は、基板(20),(30)の融着と同時でなく、例えば第
8図に示す工程であらかじめ第2の切溝(24)内に非磁
性材(26)を充填し、第9図に示す工程ではガラス融着
のみとしてもよい。
そして、第9図中A−A線及びA′−A′線の位置でス
ライシング加工し、複数個のヘッドチップを切り出した
後、磁気テープ摺接面を円筒研磨して第1図に示す磁気
ヘッドを完成する。なお、このとき基板(20)及び(3
0)に対するスライシング方向を突き合わせ面に対して
傾斜させることにより、アジマス記録用の磁気ヘッドを
作製することができる。
ここで、完成した磁気ヘッド(すなわち第1図に示す磁
気ヘッド)の一方の磁気コア半体(11)は強磁性酸化物
基板(20)を母材としており、他方の磁気コア半体(1
2)は強磁性酸化物基板(30)を母材としている。ま
た、磁性薄膜(13)は磁性薄膜(22)に、非磁性材(1
4)は非磁性材(23)に、非磁性材(15)は非磁性材(2
6)にそれぞれ対応している。
このような製造工程により製造される磁気ヘッドにおい
ては、磁性薄膜(22)の膜構造の不均一な部分が第6図
で説明した研磨工程、すなわちギャップ面研磨加工時に
削り取られてしまうため、磁気ギャップが一平面上に形
成され磁路に沿ってその各部が高透磁率を示す磁性薄膜
(22)のみによって構成され、安定した高出力が得られ
るようになる。
ところで、本発明は上述の実施例に限定されるものでな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の構造
をとりうる。
例えば、第10図は、磁気ギャップ近傍部にのみ磁性薄膜
を形成した磁気ヘッドの一例を示すものである。この磁
気ヘッドにおいては、一対の磁気コア半体(40),(4
1)がMn−Zn系フェライト等の強磁性酸化物で形成さ
れ、磁気ギャップg近傍のフロントデプス側にのみ磁性
薄膜(42)が、窒素を含有するFe−Al−Si系合金をスパ
ッタリング等の真空薄膜形成技術で被着することにより
設けられている。また、非磁性材(43),(44)が磁気
ギャップgの形成面近傍に溶融充填されている。なお、
上記磁性薄膜(42)が磁気テープ形成面から見た時に磁
気ギャップ形成面に対して所定の角度θで傾斜している
ことは先の実施例と同様である。
このように構成される磁気ヘッドにおいては、先の実施
例と同様に、磁性薄膜(42)の各部がヘッドの磁路方向
に沿って高い透磁率を示すようになり、安定に高出力を
得ることができ、さらに加えて、この磁気ヘッドにおい
ては、ヘッドの後部側の接合面、すなわちバックギャッ
プ面において強磁性酸化物同士が直接ガラス融着されて
いることから、ヘッドチップ耐破壊強度が大きく製造し
易いヘッドとなっており、磁性薄膜の安定とあいまって
歩留りの向上を図ることができる。また、上記磁気ヘッ
ドでは、磁性薄膜(42)は磁気ギャップgの近傍部のみ
に形成されているため、この磁性薄膜(42)の形成面積
が少なくて済み、例えばスパッタリング装置で一括処理
可能な個数を大幅に増やせることで量産性の向上を図る
ことができる。
あるいは、第11図に示すように、磁性薄膜(13)の磁気
ギャップgから離れた位置に略V字状の屈曲部(13b)
を形成し、この屈曲部(13b)の遠方でスライシング加
工した磁気ヘッドであってもよい。なお、この第11図に
おいて、第1図に示す磁気ヘッドと同一の部材には同一
の符号を付してある。
このような構成とすることにより、スライシング加工時
に、磁気ギャップgを構成し記録・再生に関与する磁性
薄膜(13)に対して直接外部応力が加わることがなくな
り、ヒビ割れの発生等が防止される。なお、このように
磁性薄膜(13)に屈曲部(13b)をもたせた場合には、
擬似ギャップ防止のために、磁気テープ摺接面のテープ
摺接方向に沿った両端部に断面略L字状の面取り加工を
施し、段差部(51),(52)を設けることが好ましい。
この面取り加工は、上述のような段差を持つような加工
ではなく、斜面状に研磨してテーパー面として形成する
ようにしてもよい。
さらには、第12図に磁気テープ対接面を示すように、磁
性薄膜形成面(11),(12)を磁気ギャップ形成面(1
0)と所定角度で傾斜する面(11a),(12a)と、
これよりも大きな角度をもって傾斜する面(11a),
(12a)とから構成し、磁性薄膜(13)のトラック幅
を拡大するようにした磁気ヘッドであってもよい。
このような構成とすることにより、磁性薄膜(13)の膜
厚が薄くとも、トラック幅を確保することができ、生産
性の点で有利である。
なお、この第11図において、第1図に示す磁気ヘッドと
同一の部材には同一の符号を付してある。
本発明は、上述のように磁気ギャップを構成する磁性薄
膜を磁気ギャップ形成面に対して斜めに配置したものば
かりでなく、他の各種複合磁気ヘッドにも適用可能であ
る。これら複合磁気ヘッドの例を以下に述べる。なお、
図面はこれら磁気ヘッドの磁気テープ対接面を拡大して
示す平面図とした。
第12図は、強磁性酸化物よりなる磁気コア半体(61),
(62)の突き合わせ面上に磁性薄膜(63)を被着し、磁
気ギャップ形成面(64)と平行な磁性薄膜(63)同士を
当接して磁気ギャップgを構成した複合磁気ヘッドの一
例を示すものである。この磁気ヘッドでは、磁気コア半
体(61),(62)にトラック幅規制溝を設けて突き合わ
せ面(61a),(62a)を所定のトラック幅となるように
した後、磁性薄膜(63)を被着して、上記突き合わせ面
(61a),(62a)上の磁性薄膜(63)により磁気ギャッ
プgを構成するようにしたものである。なお、上記トラ
ック幅規制溝により切り欠かれた部分には、磁気記録媒
体に対する当りを確保し磁気ヘッドの摩耗を防止するた
めに、高融点ガラス等の非磁性材(64)が充填されてい
る。
この例では、若干の擬似ギャップの虞れがあるものの、
膜厚:トラック幅の関係では有利である。
第13図は、磁性薄膜の膜厚をそのままトラック幅とした
複合磁気ヘッドの一例を示すものである。
すなわち、この複合磁気ヘッドは、セラミックス等の非
磁性材あるいはフェライト等の磁性材等により形成され
たガード材(71),(72)で挟持された磁性薄膜(73)
同士を、この磁性薄膜(73)の膜厚がそのままトラック
幅となるように突き合わせて磁気ギャップgを構成し、
この磁気ギャップg近傍ではガード材を切り欠いて高融
点ガラス(74)を充填して構成される。
この例では、記録・再生に関与する磁気回路が全て磁性
薄膜(73)により構成される。
そして、これら第12図,第13図に示すような複合磁気ヘ
ッドにおいても、磁性薄膜(63)や磁性薄膜(73)を窒
素を含有するFe−Al−Si系合金により形成することによ
り、高周波数域での高出力化や高耐摩耗化を図ることが
可能となる。
〔発明の効果〕
以上の説明からも明らかなように、本発明の複合磁気ヘ
ッドにおいては、磁気ギャップを構成し記録・再生に直
接関与する磁性薄膜を、窒素を含有するFe−Al−Si系合
金により形成しているので、この磁性薄膜の高周波数域
における透磁率等の軟磁気特性の改善が図られる。した
がって、特に高周波数域においても再生出力が高く、磁
変換特性に優れた磁気ヘッドとすることが可能である。
また、窒素を含有するFe−Al−Si系合金は、耐蝕性や耐
摩耗性も優れたものであるので、磁気ヘッドの耐久性の
点でも有利である。
これらの利点は、複合磁気ヘッドの構成に由来する高信
頼性,安定した磁気特性,高生産性,良好な歩留まり,
高密度記録化等の特徴と相俟って磁気ヘッドの性能向上
に有効に働き、実用価値の高い複合磁気ヘッドの提供が
可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を適用した磁気ヘッドの一実施例を示す
外観斜視図であり、第2図はその磁気記録媒体対接面を
示す要部拡大平面図である。 第3図は窒素を含有するFe−Al−Si系合金薄膜を磁性薄
膜とした複合磁気ヘッドの再生出力の周波数特性を窒素
を含有しないFe−Al−Si系合金薄膜を磁性薄膜とした複
合磁気ヘッドのそれと比較して示す特性図である。 第4図ないし第9図は第1図の磁気ヘッドを作製するた
めの製造工程を示す概略的な斜視図であり、第4図は第
1の切溝加工工程、第5図は強磁性金属薄膜形成工程、
第6図はガラス充填及び平面研磨工程、第7図は第2の
切溝加工工程、第8図は巻線溝加工工程、第9図はガラ
ス融着工程及びスライシング加工工程をそれぞれ示す。 第10図は磁性薄膜をフロントギャップ近傍にのみ被着形
成した実施例を示す外観斜視図であり、第11図は磁性薄
膜に屈曲部を設けこの屈曲部の遠方でスライシング加工
した実施例を示す外観斜視図である。第12図は磁性薄膜
形成面を屈曲させトラック幅を拡大した実施例における
磁気記録媒体対接面を示す要部拡大平面図である。 第13図は磁気ギャップ形成面と平行に配置される磁性薄
膜同士を当接して磁気ギャップを構成した複合磁気ヘッ
ドの磁気記録媒体対接面を示す要部拡大平面図であり、
第14図は磁性薄膜をガード材で挾持しこの磁性薄膜の膜
厚をトラック幅とした複合磁気ヘッドの磁気記録媒体対
接面を示す要部拡大平面図である。 13,42,63,73……磁性薄膜

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化物磁性材料と磁性薄膜により磁気コア
    半体が構成され、前記磁気コア半体同士が突き合わされ
    てなる複合磁気ヘッドにおいて、 前記磁性薄膜が、Fe,Al,Siを主成分とし、Al及びSiの組
    成範囲がそれぞれ2〜10重量%Al,4〜15重量%Siであっ
    て、さらに0.005〜4重量%の窒素を含有することを特
    徴とする複合磁気ヘッド。
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