JPH0657523B2 - ウエビング巻取装置 - Google Patents

ウエビング巻取装置

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JPH0657523B2
JPH0657523B2 JP60294728A JP29472885A JPH0657523B2 JP H0657523 B2 JPH0657523 B2 JP H0657523B2 JP 60294728 A JP60294728 A JP 60294728A JP 29472885 A JP29472885 A JP 29472885A JP H0657523 B2 JPH0657523 B2 JP H0657523B2
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webbing
lever
wheel
engagement
rotation
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、乗員拘束用ウエビングを巻取るウエビング巻
取装置に用いられ、ウエビングの装着後はウエビングの
引出しが常に阻止される状態と、車両緊急時にのみ巻取
軸のウエビング引出方向回転を阻止する状態とが使いわ
けできるウエビング巻取装置に関する。
[従来技術及び発明が解決しようとする問題点] 現在車両に設置される巻取装置には、必要時にウエビン
グの引出方向回転を阻止するロツク機構が内蔵されてい
る。
このロツク機構には、通常はウエビングの巻取り、引き
出しが可能で、車両緊急時に加速度センサでこれを感知
し、瞬時に巻取軸のウエビング引出方向回転を阻止する
所謂ELR(エマージエンシー・ロツキング・リトラク
タ)と、ウエビングを装着後のウエビングの引出を阻止
する所謂ALR(オートマチツク・ロツキング・リトラ
クタ)とがある。
ELRでは、車両の通常走行で、ウエビングを巻取軸か
ら自由に巻取、引出ができるので乗員は、自由な運転姿
勢をとることができる。
一方、ALRでは、所定量のウエビング引出で、それ以
後は、巻取軸から引き出されることがないので、乗員を
確実に拘束することができる。
ここでELRとALRが併設された巻取装置が開示され
ている(一例として実開昭59−76252号)。
これは、必要に応じてELR又はALRに切り換えるこ
とができるようになっている。すなわち、ウエビングの
巻取軸への全巻取時にロツク輪へ付勢力で係合可能とさ
れている爪を強制的に解除して以後の係合を阻止し、加
速度センサによるロツク手段の制御とし、ウエビングの
全引出後の巻取時に爪のロツク輪への係合阻止を解除し
て以後のウエビングの引出しを阻止することができる。
従って、単一の巻取装置でありながら、必要に応じてE
LRとALRの役目を果たすことができる。
しかしながら、このELRとALRとの切り換え構造が
複雑で部品点数が多くなり組み付け作業性が煩雑とな
る。
また、ALRからELRへ切り換える場合、一度ウエビ
ングを全て巻取る必要があるため、この際に巻取軸と共
に回転するロツク輪が爪と当接しながら回転し、断続的
な作動音が発生することになる。
さらに、ELR作動中において、悪路走行時に乗員の慣
性力によってウエビングの引出、巻取が繰り返され、ウ
エビングが徐々に巻き取られる(ロツク輪の1歯毎に爪
の係合位置が巻取側にずれる)ことがある。この悪路走
行時のウエビング巻取阻止構造をさらに構成として加え
ると構造が複雑となり、さらに組付作業性が低下するこ
ととなる。
本発明は上記事実を考慮し、構造が簡単でALR作動中
のウエビング巻取時の作動音の発生を防止すると共にこ
の防止動作に連動してELR作動中の悪路走行における
ウエビングの巻取を防止することができるウエビング巻
取装置を得ることが目的である。
[問題点を解決するための手段及び作用] 本発明に係るウエビング巻取装置は、ウエビングの巻取
り引出しが行われる巻取軸と、 この巻取軸に付勢手段の付勢力で追従回転するロツク輪
と、 前記付勢手段の付勢力に抗してロツク輪が巻取軸に対し
て回転遅れを生ずることにより巻取軸のウエビング引出
方向回転を阻止するロツク手段と、 前記ロツク輪と係合及び係合解除自在に移動できロツク
輪との係合によってロツク輪に巻取軸に対する回転遅れ
を生じさせるポールレバーと、 車両の急減速状態の感知によってポールレバーをロツク
輪との係合方向に移動させる加速度センサと、 前記ロツク輪と係合及び係合解除自在に移動できロツク
輪との係合によって前記ロツク輪に巻取軸に対する回転
遅れを生じさせる係合レバーと、 前記巻取軸と所定の摩擦力で係合されるとともに係合レ
バーと係合され巻取軸にその摩擦力に基づき追随回転し
この追随回転により巻取軸のウエビング引出方向回転時
に係合レバーをロツク輪との係合方向に押出移動させ巻
取軸のウエビング巻取方向回転時に係合レバーをロツク
輪との係合解除方向に押圧移動させる摩擦部材と、 前記係合レバーに設けられたピンと、 ウエビング引出方向回転によって一方向へ回転し巻取軸
のウエビング巻取方向回転によって反対方向へ回転する
ように設けられ、回転方向に沿って端に溝出口と他端に
溝入口とを有して形成されたカム溝を備え、ウエビング
全引出時付近で前記ピンを溝入口からカム溝内へ挿入さ
せこの挿入状態をウエビング全巻取時付近まで保持し、
ウエビング全巻取時付近でピンを溝出口からカム溝外へ
離脱させこの離脱状態をウエビング全引出時付近まで保
持し、ピンのカム溝内への挿入状態では係合レバーのロ
ツク輪との係合方向及び係合解除方向の移動を許容し、
ピンのカム溝外への離脱状態では係合レバーのロツク輪
との係合方向の移動を当接阻止する作動板と、 前記係合レバーに設けられ係合レバーのロツク輪との係
合解除方向の移動と連動して加速度センサの前記感知に
関わらずポールレバーのロツク輪との係合方向の移動を
当接阻止する阻止手段と、 を有する。
本発明によれば、摩擦部材が、巻取軸との摩擦力に基づ
き巻取軸に追随回転すると、係合レバーが、巻取軸のウ
エビング引出方向回転時に、ロツク輪との係合方向に移
動し、巻取軸のウエビング巻取方向回転時に、ロツク輪
との係合解除方向に移動する。
一方、作動板が、巻取軸のウエビング引出方向回転によ
って一方向に回転して、ウエビング全引出時付近に到る
と、ピンが、溝入口からカム溝内へ挿入する。この挿入
状態は、ウエビング全巻取時付近まで保持される。
ピンのカム溝内への挿入状態では、巻取軸のウエビング
引出方向回転及びウエビング巻取方向回転に応じて、係
合レバーがロツク輪と係合及び係合解除できる。
巻取軸のウエビング引出方向回転により係合レバーがロ
ツク輪と係合すると、ロツク輪が巻取軸に対して回転遅
れを生じ、この回転遅れに基づき、ロツク手段が、巻取
軸のウエビング引出方向回転を阻止する。
これにより、ウエビング装着状態で常にウエビングの引
出しを阻止するALR機構が作動する。
ここで、係合レバーは、巻取軸のウエビング巻取方向回
転により、ロツク輪と係合解除するので、ウエビングの
巻取時における、係合レバーとロツク輪との間での作動
音の発生が防止される。
作動板が、ピンのカム溝内への挿入状態で、巻取軸のウ
エビング巻取方向回転によって反対方向へ回転して、ウ
エビング全巻取時付近に到ると、ピンが溝出口からカム
溝外へ離脱される。この離脱状態は、ウエビング全引出
時付近まで保持される。
ピンのカム溝外への離脱状態では、巻取軸のウエビング
引出方向回転に関わらず、係合レバーがロツク輪と係合
できない。このとき、摩擦部材は、巻取軸との摩擦力に
抗して巻取軸と相対回転する。
一方、加速度センサが車両の急減速状態を感知すると、
ポールレバーがロツク輪と係合して、ロツク輪は巻取軸
に対して回転遅れを生ずる。ロツク輪の回転遅れに基づ
き、ロツク手段が、巻取軸のウエビング引出方向回転を
阻止する。
これにより、加速度センサが、車両の急減速状態を感知
したときに限り、ウエビングの引出しを阻止するELR
機構が作動する。
ここで、車両が悪路を走行する際、加速度センサがその
悪路での走行状態を車両の急減速状態として感知し、ま
た、悪路走行により乗員に作用する慣性力でウエビング
の引出し、巻取りが繰り返される場合がある。ポールレ
バーがロツク輪と係合すると、巻取軸のウエビング巻取
方向回転の毎に、ウエビングが徐々に巻き取られること
が考えられる。
阻止手段は、巻取軸のウエビング巻取方向回転によって
生ずる係合レバーのロツク輪との係合解除方向の移動と
連動し、ポールレバーのロツク輪との係合方向の移動を
阻止する。これによって、加速度センサが車両の急減速
状態を感知してもポールレバーがロツク輪と係合でき
ず、悪路走行時にウエビングが徐々に巻き取られること
が防止される。
このように、本発明では、ALRの構成部品である係合
レバーのロツク輪との係合解除方向への移動によって、
ポールレバーのロツク輪との係合を阻止することがで
き、ALRの不都合(作動音の発生)及びELRの不都
合(悪路走行時のウエビングの巻取)を1つの動作で解
消することができる。
[実施例] 第1図には本発明に係るロツク機構が適用されたウエビ
ング巻取装置の実施例が分解斜視図として示されてい
る。この巻取装置ではフレーム10が図示しない取付ボ
ルトによって車体へ固着されている。このフレーム10
の両側部からは一対の脚板12、14が互に平行に延長
されている。
これらの脚板12、14には巻取軸20が軸支されてお
り、この巻取軸20の中央部へ半径方向に貫通される貫
通孔22には乗員拘束用ウエビング(図示省略)の一端
が係止されるようになっている。この乗員拘束用ウエビ
ングは巻取軸20へ層状に巻取られており、ウエビング
端部に取付けられたタングプレートを、車体へ取付られ
るバツクル装置に係合させることにより乗員はウエビン
グの中間部を装着することができる。
巻取軸20の長手方向一端からは突出部20Aが形成さ
れている 突出部20Aの回りには第1図及び第3図に示されるロ
ツク手段の一部を構成するロツクプレート24、25が
配置されている。
これらのロツクプレート24、25はそれぞれ中央部に
略U字形の切欠凹部26が形成された略C字状となって
おり、この切欠凹部26内へ突出部20Aが対応して巻
取軸20と共に回転するようになっている。
この切欠凹部26の幅寸法は第3図に示される如く突出
部20Aの幅寸法よりも若干大きく形成されており、ロ
ツクプレート24、25が巻取軸20に対して所定角度
だけ相対回転可能となっている。
これらのロツクプレート24、25の一端にはそれぞれ
爪部28、30が形成されており、脚板12へ固着され
る内歯ラチエツトホイル32のロツク歯と対応してい
る。
さらに、ロツクプレート24、25にはそれぞれ一対の
ピン34、36が突出しており、ロツク輪38へ形成さ
れる長孔40内へ挿入されている。このロツク輪38は
巻取軸20の軸心部から突出される小径軸部20Bへ軸
支されて巻取軸20と相対回転可能となっている。
またこのロツク輪38は小径軸部20Bの先端へ嵌着さ
れる回転ホイル42の係止ピン43との間にねじりコイ
ルばね44が介在されている。
このねじりコイルばね44はロツク輪38へ同軸的に支
持され、その一端部は回転ホイル42のばね係止ピン4
3へ当接し、他端部は、ロツク輪38から突出したばね
係止ピン45へ当接している。このねじりコイルばね4
4の付勢力を受けてロツク輪38が巻取軸20のウエビ
ング引出方向(第1図矢印A方向)に付勢回転されてい
る。
従って、このロツク輪38はねじりコイルばね44の付
勢力で第3図に示される如くロツクプレート24、25
のピン34、36を長孔40の一端部へ収容して爪部2
8、30を内歯ラチエツトホイル32と離間させてい
る。
しかしこのロツク輪38はウエビング引出方向に回転す
る巻取軸20との間に相対回転が生ずるとねじりコイル
ばね44の付勢力に抗して回転遅れを生じ、この回転遅
れ時にはロツクプレート24、25を長孔40の長手方
向へ案内し、これによって第4図に示される如く爪部2
8、30を内歯ラチエツトホイル32へかみ合わせるよ
うになっている。
なお、回転ホイル42は一対の係止爪46が巻取軸20
の矩形孔48へ入り込むことにより巻取軸20へ係止さ
れると共に巻取軸20と一体的に回転するようになって
いる。
回転ホイル42の外周面50には、摩擦部材を構成する
板ばね52が取りつけられている。この板ばね52は略
V字状に屈曲され、中間部で外周面50へ圧接され、巻
取軸20の回転を摩擦力を介して受けるようになってい
る。この板ばね52のV字形の一片は中間部が屈曲され
回転ホイル外周面50へ2箇所で当っている。
板ばね52の一端部52Aは、係合レバー54と連結さ
れている。係合レバー54は略三角形状でその一頂点5
4Aが脚板12へピン56を介して軸支され他の頂点5
4Bは前記板ばね52の一端部52Aを挟持するアーム
部58とされている。
また、もう一方の頂点54Cにはロツク輪38の歯部と
対応する爪59が形成され、係合レバー54をピン56
を中心に第6図矢印B方向へ回転させるとこの爪59が
ロツク輪38と係合し、ロツク輪38に巻取軸20に対
して回転遅れを生じさせるようになっている。
すなわち、巻取軸20がウエビング引出方向(第1図矢
印A方向)へ回転すると、板ばね52も摩擦力を受けて
同方向へ回転するためその一端部52Aでアーム部58
を押圧し爪59とロツク輪38とを係合させるようにな
っている(第6図(B)参照)。
なお、巻取軸20のウエビング巻取方向回転時には、板
ばね52が前記アーム部58を逆方向へ押圧するのでロ
ツク輪38が係合レバー54と離間された状態で回転す
るようになっている。
従って、ロツク輪38と係合レバー54との当接状態で
の回転による断続的な音の発生が防止されている。
一方、係合レバー54の一辺54Dは阻止手段を構成
し、ポールレバー60のアーム62と対応している。ポ
ールレバー60はピン64で脚板12へ軸支されてお
り、加速度センサ66の作動時に回転駆動され、先端部
がロツク輪38へかみ合い、ウエビング引出方向の回転
を停止させるようになっている。
しかし、アーム62は巻取軸20のウエビング巻取回転
時(矢印A方向と反対方向)に板ばね54及び係合レバ
ー54の一辺54Dを介して巻取軸20の回転を受け、
ロツク輪38とのかみ合いが外れるようになっている。
加速度センサ66は、ケース70がピン72、ブラケツ
ト74により脚板12の取付ブラケツト75へ取りつけ
られ、円錐受部76内へ配置されたボール78が加速度
作用時に円錐受部76内を登り上がるようになってい
る。
ケース70へピン80で軸支されたアクチユエータ82
は一方がボール78上へ載置されており、ボール78に
よって押上げられると、他端に形成された球部84がポ
ールレバー60をピン64回りに回転させて、ポールレ
バー60の先端部をロツク輪38へかみ合わせるように
なっている。
ここにアクチユエータ82の球部84は軸心が水平でか
つピン72の中心を通っている。従って、加速度センサ
66が脚板12への取付角度をピン72の軸心回りに変
更された場合にも球部84はポールレバー60との接触
位置が変らず、加速度作用時にポールレバー60を傾動
することができる。
このように、本発明に係る巻取装置では、加速度センサ
によりロツク輪38と係合するポールレバー60と、巻
取軸20のウエビング引出方向回転時に係合する係合レ
バー54の爪59との2個のロツク機構を備えている
(尚、ロツク手段としてのロツクプレート24、25は
両ロツク機構へ共通に用いられる)。
以下加速度センサ66によるロツク機構をELR(エマ
ジエンシ−・ロツキング・リトラクタ)と称し、巻取軸
20のウエビング巻取方向回転時に係合レバー54の爪
59とロツク輪38の噛み合いによるロツク機構をAL
R(オートマチツク・ロツキング・リトラクタ)と称し
て、このELRとALRとの切り換え構造を説明する。
第1図及び第2図に示される如く、回転ホイル42の軸
心部には、ピニオンギヤ86が一体的に形成されてい
る。ピニオンギヤ86の基部には円柱部86Aが形成さ
れ、作動板88が軸支されている。
作動板88は円板状でその回転ホイル42方向端面に案
内手段の一部を構成する円弧状の溝88Aが設けられ、
係合レバー54の頂点54Cに取り付けられた溝88A
と共に案内手段とされるピン89Aと対応している。作
動板88の端面には内歯ギヤ88Fが設けられており、
カバー87へ軸支されたギヤ90を介してピニオンギヤ
86と噛み合っている。これにより、作動板88は巻取
軸20の回転が減速されて伝達されるようになってい
る。
従って、作動板88は巻取軸20のウエビング巻取から
引出までの間にほぼ1回転するようになっている。すな
わち、巻取軸20がウエビング巻取方向へ回転した場合
は作動板88が第6図矢印A方向へ回転し溝88Aに沿
ってピン89Aを案内し、このピン89Aが溝88Aの
一端部(溝出口)88Bへと至り、さらに巻取軸20回
転し、ほぼ全巻き状態となるとピン89Aは溝88AA
から押し出され、作動板88の外周へ至るようになって
いる(ALRロツク機構解除)。この状態では係合レバ
ー54の爪59はロツク輪38から離れる寸法である。
このためには、作動板88の一部であって溝88Aの出
口を構成する部分を弾性可撓片88Gとすることが好ま
しく、これによって、溝88Aの出口を弾性的に閉止し
た状態にできる。
また、ピン89Aが作動板88の外周へ当接されている
状態で巻取軸20がウエビング引出方向へ回転した場合
は、ピン89Aは作動板88の外周に沿って移動し溝8
8Aの他方の他部(溝入口)88Cから半径方向へ突出
する爪88Dに案内され、第6図(A)に示される如く
再び溝88Aへ入り込むようになっている(ALRロツ
ク機構再開)。
ここで、ピン89は溝88A内で作動板88の半径方向
に若干量動き得る大きさとされ、巻取軸20がウエビン
グ引出方向へ回転する場合はピン89Aは板ばね52の
付勢力で第6図(B)の反時計方向(矢印B方向)に回
転し溝88Aの内側(巻取軸20の軸心に近い側)の側
面に当接するようになっている。この状態では、係合レ
バー54の爪59はロツク輪38と係合し、ウエビング
引出方向回転は阻止されるように構成されている。
また、巻取軸20がウエビング巻取方向へ回転した場合
は、ピンは板ばねの付勢力で溝の外側の側面と当接し
(第6図(B)の状態)、これにより爪59とロツク輪
38とは離間された状態で回転するようになっている。
なお、本実施例に適用される巻取装置では、このALR
ロツク機構が、ELRロツク機構よりも優先されるよう
になっており、ALRロツク機構の解除の場合のみEL
Rロツク機構の作動、すなわち加速度センサの作動がロ
ツク輪38へ伝達されるようになっている。
以下本実施例の作用を説明する。
乗員がシートベルト装置を装着する前は、ウエビングは
巻取装置10の巻取軸20へ全巻取状態となっている。
従って、ピン89Aが既に溝88Aから外れて作動板8
8の外周へ配置され、係合レバー54を常にロツク輪3
8と離間させており、加速度センサ66のポールレバー
60はアームが係合レバー54と当接するまで上昇可能
であるため、この巻取軸20のロツク機構はELRとな
っている。
ロツク機構がELRの状態では、乗員がウエビングを装
着した後の車両通常時には、ボール78が円錐円部76
の底部にあるので、ポールレバー60は板ばね52の回
転に拘らず、ロツク輪38と離間している。このため、
ウエビングを装着した乗員は任意にウエビングを巻取軸
20へ巻取、又は巻取軸20から引き出して自由な運転
姿勢をとることができる。
車両が衝突等の緊急状態に陥ると、ボール78はアクチ
ユエータ82をピン80周りに押し上げるので、球部8
4を介してポールレバー60が回転されロツク輪38と
噛み合う。係合レバー54はポールレバー60のアーム
62と離れているので、ポールレバー60の回転を妨げ
ることはない。
一方、乗員は慣性により加速度方向へ移動するので、ウ
エビングが巻取軸20から引き出され、巻取軸20は時
計方向に回転する。このため、巻取軸20と共に回転し
たロツク輪38はポールレバー60によってその回転が
阻止され、巻取軸20との間に相対回転が生じる。
この相対回転はねじりコイルばね44を変形させること
になり、巻取軸20と共に回転するロツクプレート2
4、25は第4図に示される如くピン34、36がロツ
ク輪38の長孔40によって案内され、爪部28、30
は内歯ラチエツトホイル32と噛み合い巻取軸20のウ
エビング引出方向回転が阻止される。この結果乗員はウ
エビングによる確実な拘束状態となる。
また、車両が凹凸の多い悪路上を走行した場合には、ボ
ール78はアクチユエータ82及びポールレバー60を
押し上げたままの状態となる。またこれと同時に乗員が
車体振動を受けて上下動するので、ウエビングは巻取軸
20から引出、巻取を繰り返す。
この場合、従来の巻取装置では、ウエビングの巻取にあ
たってロツク輪が一歯分以上回転すると、上昇したまま
にあるポールレバー60と噛み合い、次第にウエビング
が巻取軸20へ巻取られることになる。
しかし、本実施例では、巻取軸20のウエビング巻取方
向回転を受けた板ばね52から係合レバー54の一辺5
4Dを介してアーム62が時計回り方向の回転力を受
け、ポールレバー60を押し下げてロツク輪38から離
間させる。このため、圧縮されたねじりコイルばね44
の付勢力が放出されてロツク輪38は瞬間的に時計方向
へ回転する。
その後さらに車両振動によって巻取軸20がウエビング
引出方向に回転されてもロツク輪38は前のロツク状態
か又はこれよりもさらにウエビング引出方向にラチエツ
ト歯の一歯分以上回転した状態でロツクされることにな
り、ウエビングが次第に巻取軸20へ巻取られることは
ない。
このように本実施例では、車両が悪路上を走行してもウ
エビングを巻取軸20へ次第に巻取ることがないので、
乗員は快適な運転状態となることができる。
ここで、本実施例に係る巻取装置では、必要に応じてそ
のロツク機構をALRに切り換えることができる。
これは、ウエビングを巻取軸20から全部引出すことに
より切り換えることができる。
巻取軸20のウエビング引出方向回転で作動板88が第
6図矢印A方向と反対方向へ回転する。この回転はピニ
オンギヤ86及びギヤ90により減速されており、ウエ
ビング全巻取から全引出までの間にほぼ1回転する。
ウエビング全引出直前ではピン89Aが作動板88の外
周であって溝88Aの一端部88Cへ配置されている。
従って、ウエビングをさらに引出して、全引出状態とな
ると、このピン89Aが溝88Aの他端部88Cへ取り
付けられた爪89Dに案内され再び溝88A内へ入り込
み、ALRとすることができる。(第6図(A)参
照)。
これは、巻取軸20がウエビング引出方向へ回転してい
るので板ばね52を介してこの回転力が係合レバー54
へ伝達されており、この係合レバー54はピン56を中
心に第6図矢印B方向へ回転されピン89Aは容易に溝
88A内へ入り込むことができる。
ここで、巻取軸20をウエビング巻取方向へ回転させる
ことにより乗員はウエビング装着状態となることができ
る。この場合、ピン89Aは板ばね52からの回転で溝
88Aの外側の側面に当接しながら移動するので(第6
図(B))、ロツク輪38と係合レバー54とは離間さ
れた状態となり、ロツク輪38と係合レバー54との当
接状態で巻取軸20が回転する場合に生じる断続的な当
接音は発生しない。
また、ウエビング引出方向回転時には、板ばね52の付
勢力でピン89Aが溝88Aの内側の側面に当接するの
で常に係合レバー54がロツク輪38と噛み合い、前記
ELRの場合と同様にロツク手段を作動させ、この引出
回転を阻止できる。
すなわち、ウエビングが巻取方向回転から引出方向回転
に変ると同時に板ばね52により係合レバー54は直ち
にロツク輪38と係合できるのでALRとしての機能を
損なうことがない。
また、ロツク機能を再びELRにする場合は巻取軸をウ
エビング巻取方向へ全て巻取ってピン89Aを溝88A
の他端部88Bから押し出し(第6図(C))、係合レ
バー54とロツク輪38との係合を常時阻止することに
より、所定以上の加速度でポールレバー60をロツク輪
38へ係合させてロツク手段を作動させるようにする。
また、本実施例では、巻取軸20の回転を摩擦部材であ
る板ばね52を介して係合レバー54へ伝達したが、引
張コイルばね等でロツク輪38方向へ付勢しても構造が
簡単なALR又はELRへ切り換え可能な巻取装置が得
られる。
[発明の効果] 以上説明した如く本発明に係るウエビング巻取装置は、
構造が簡単でALR作動中のウエビング巻取時の作動音
の発生を防止すると共にこの防止動作に連動してELR
作動中の悪路走行におけるウエビングの巻取を防止する
ことができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本実施例に係るウエビング巻取装置の分解斜視
図、第2図は第1図のII線矢視分解斜視図、第3図はロ
ツクプレートの内歯ラチエツトホイルへの対応関係を示
す正面図、第4図は第3図の作動図、第5図はロツク輪
とねじりコイルばねとの組付状態を示す説明図、第6図
(A)〜(C)は作動板と係合レバーとの動作状態を示
す説明図である。 20……巻取軸、 24、24……ロツクプレート(ロツク手段)、 32……内歯ラチェツトホイル(ロツク手段)、 38……ロツク輪、 44……ねじりコイルばね、 52……板ばね(摩擦部材)、 54……係合レバー、 54D……一辺(阻止手段) 59……爪、 60……ポールレバー、 62……アーム(阻止手段)、 66……加速度センサ、 88……作動板、 88A……溝(案内手段)、 89A……ピン(案内手段)。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ウエビングの巻取り引出しが行われる巻取
    軸と、 この巻取軸に付勢手段の付勢力で追従回転するロツク輪
    と、 前記付勢手段の付勢力に抗してロツク輪が巻取軸に対し
    て回転遅れを生ずることにより巻取軸のウエビング引出
    方向回転を阻止するロツク手段と、 前記ロツク輪と係合及び係合解除自在に移動できロツク
    輪との係合によってロツク輪に巻取軸に対する回転遅れ
    を生じさせるポールレバーと、 車両の急減速状態の感知によってポールレバーをロツク
    輪との係合方向に移動させる加速度センサと、 前記ロツク輪と係合及び係合解除自在に移動できロツク
    輪との係合によって前記ロツク輪に巻取軸に対する回転
    遅れを生じさせる係合レバーと、 前記巻取軸と所定の摩擦力で係合されるとともに係合レ
    バーと係合され巻取軸にその摩擦力に基づき追随回転し
    この追随回転により巻取軸のウエビング引出方向回転時
    に係合レバーをロツク輪との係合方向に押出移動させ巻
    取軸のウエビング巻取方向回転時に係合レバーをロツク
    輪との係合解除方向に押圧移動させる摩擦部材と、 前記係合レバーに設けられたピンと、 ウエビング引出方向回転によって一方向へ回転して巻取
    軸のウエビング巻取方向回転によって反対方向へ回転す
    るように設けられ、回転方向に沿って一端に溝出口と他
    端に溝入口とを有して形成されたカム溝を備え、ウエビ
    ング全引出時付近で前記ピンを溝入口からカム溝内へ挿
    入させこの挿入状態をウエビング全巻取時付近まで保持
    し、ウエビング全巻取時付近でピンを溝出口からカム溝
    外へ離脱させこの離脱状態をウエビング全引出時付近ま
    で保持し、ピンのカム溝内への挿入状態では係合レバー
    のロツク輪との係合方向及び係合解除方向の移動を許容
    し、ピンのカム溝外への離脱状態では係合レバーのロツ
    ク輪との係合方向の移動を当接阻止する作動板と、 前記係合レバーに設けられ係合レバーのロツク輪との係
    合解除方向の移動と連動して加速度センサの前記感知に
    関わらずポールレバーのロツク輪との係合方向の移動を
    当接阻止する阻止手段と、 を有するウエビング巻取装置。
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