JPH0655852A

JPH0655852A - 感熱転写記録媒体の再生方法及び感熱転写記録装置

Info

Publication number: JPH0655852A
Application number: JP4232711A
Authority: JP
Inventors: Eiki Hirano; 栄樹平野; Kenji Shinozaki; 研二篠崎; Mari Natori; 万里名取
Original assignee: Sony Corp
Current assignee: Sony Corp
Priority date: 1992-08-08
Filing date: 1992-08-08
Publication date: 1994-03-01
Also published as: EP0583194A3; DE69321790D1; US5371059A; EP0583194A2; EP0583194B1; DE69321790T2

Abstract

(57)【要約】【目的】拡散性染料を使用した感熱転写記録を行うに
際し、感熱転写記録媒体へ外部から染料を連続的に補給
して、感熱転写記録媒体を多数回の繰り返して使用でき
るようにする。【構成】拡散性染料を含有した色材層２を有する感熱
転写記録媒体１と被転写体１０とを重ね、感熱転写記録
用加熱手段６による選択的加熱により感熱転写記録媒体
１の染料を被転写体１０に転写して画像を形成するため
の感熱転写記録装置において、感熱転写記録媒体１に比
べ高濃度の拡散性染料からなる染料供給体４、及び染料
供給体４から感熱転写記録媒体１へ染料を拡散させるた
めの染料補給用加熱手段７を設け、感熱転写記録後に染
料補給用加熱手段７を加熱して染料供給体４から感熱転
写記録媒体１へ染料を熱拡散させ、感熱転写記録媒体１
に染料を補給する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、感熱転写記録媒体に
染料を補給することにより感熱転写記録媒体を繰り返し
使用できるようにする感熱転写記録媒体の再生方法並び
にそのような再生方法を実施するために適した感熱転写
記録媒体、再生装置及び感熱転写記録装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、印画紙等の被転写体とインク
シート等の感熱転写記録媒体とを重ね、それをサーマル
ヘッドやレーザ等の加熱手段を用いて画像信号に応じて
選択的に加熱し、感熱転写記録媒体から被転写体に染料
を転写させて画像を記録する感熱転写記録方法が広く行
われているが、この場合に使用される感熱転写記録媒体
は使い捨てされている。そこで、経済的観点及び環境保
護の観点から感熱転写記録媒体を再生し、繰り返し使用
できるようにすることが社会的に要請されている。

【０００３】感熱転写記録媒体の利用効率を向上させる
方法としては、色材層再生法や多数回色材層構成法等よ
うに、感熱転写記録媒体の色材層を再生して繰り返し利
用できるようにする方法と、相対速度法等のように感熱
転写記録媒体を有効利用する方法に分類される。このう
ち、色材層再生法は、色材層を熱溶融させて被転写体に
転写させることにより画像を形成する熱溶融型感熱転写
記録に使用する感熱転写記録媒体を繰り返し使用できる
ようにする方法であり、感熱転写記録媒体をエンドレス
ベルト状に形成し、転写により消費された感熱転写記録
媒体の色材層を、熱溶融性のインクを塗布すること等に
よって再形成する方法である（特公昭４９−２６２４５
号、特公昭５９−１６９３２号等）。多数回色材層構成
法も熱溶融型感熱転写記録に適用される方法であって、
インクシートの色材層を、多孔質網状構造層中に熱溶融
性のインクを含浸させることにより形成し、インクシー
トの表面のインクが消費されても内部から表面へインク
がしみ出すようにする方法であり、これにより数回の転
写を可能とする（小沢、清水、電子通信学会全国大会、
１２３６（１９８３））。また、相対速度法は、昇華性
染料を使用した感熱転写記録方法において、被転写体に
対するインクシートの相対速度を変えることによりイン
クシートの繰り返し記録性を改良する方法であり、これ
により数回の転写を可能とする（田口、他、電子写真学
会誌、ｖｏｌ．２４、Ｎｏ．３、ｐ１７（１９８
５））。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
感熱転写記録媒体の利用効率を向上させる方法のうち、
色材層再生法や多数回色材層構成法においては、感熱転
写記録媒体の色材層の表面を均一に再形成することが困
難であるという問題を有する。また、色材層再生法は染
料の補給をウェットプロセスで行うため有機溶剤が必要
となり、補給機構の簡素化や保守の簡略化を図ることが
できない。多数回色材層構成法では一旦形成した色材層
へ外部から染料を補給するものではないため、インクシ
ートの繰り返し記録性は数回に止まり、多数回の転写を
可能とするものではない。このため、これらの方法は実
用には至っていない。相対速度法も、被転写体とインク
シートとの相対速度を変えるための機構が複雑になると
いう問題を有し、また、このこの方法も染料を外部から
補給するものでないためインクシートの繰り返し記録性
は数回に止まり、多数回の転写を可能とするものではな
い。このため、相対速度法も実用には至っていない。

【０００５】この発明は、このような従来技術の課題を
解決しようとするものであり、感熱転写記録方法を実施
するにあたり、感熱転写記録媒体へ外部から染料を連続
的に補給できるようにし、感熱転写記録媒体の多数回の
繰り返し使用を実現できるようにすることを目的とす
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明者らは、昇華性
染料等の熱拡散性の染料を使用した感熱転写記録媒体に
おいては、その色材層のバインダーとして、染料と適度
な相溶性を有し、かつ染料の拡散性がよい樹脂を使用す
ると、加熱により色材層中を染料が速やかに拡散するこ
と、また、そのような色材層に対して高濃度の染料から
なる染料供給体を接触させて加熱すると、染料供給体か
ら色材層へ染料が熱拡散により移行するので、これによ
り転写により消費された色材層の染料を補給でき、しか
も色材層の染料濃度を均一化できることを見出しこの発
明を完成させるに至った。

【０００７】即ち、この発明は、拡散性染料を含有した
色材層を有する、再生すべき感熱転写記録媒体と、該感
熱転写記録媒体に比べ高濃度の拡散性染料からなる染料
供給体とを接触させ、加熱により染料供給体から感熱転
写記録媒体へ染料を拡散させて補給することを特徴とす
る感熱転写記録媒体の再生方法を提供する。

【０００８】またこの発明は、感熱転写記録と共にこの
ような再生方法を実施できるようにした感熱転写記録装
置として、拡散性染料を含有した色材層を有する感熱転
写記録媒体と被転写体とを重ね、感熱転写記録用加熱手
段による選択的加熱により感熱転写記録媒体の染料を被
転写体に転写して画像を形成するための感熱転写記録装
置において、感熱転写記録媒体に比べ高濃度の拡散性染
料からなる染料供給体、及び染料供給体から感熱転写記
録媒体へ染料を拡散させるための染料補給用加熱手段を
有することを特徴とする感熱転写記録装置を提供する。

【０００９】また、感熱転写記録媒体の再生方法を独立
的に実施する装置として、拡散性染料を含有した色材層
を有する、再生すべき感熱転写記録媒体を係止する手
段、係止した感熱転写記録媒体に比べ高濃度の拡散性染
料からなる染料供給体、及び染料供給体から感熱転写記
録媒体へ染料を拡散させるための染料補給用加熱手段を
有することを特徴とする感熱転写記録媒体の再生装置を
提供する。

【００１０】また、この発明の再生方法を好適に実施で
きる感熱転写記録媒体として、色材層が、拡散性染料を
含浸させたシリコン樹脂またはシリコン樹脂誘導体から
なる感熱転写記録媒体を提供する。

【００１１】さらに、この発明の再生方法に好適に使用
できる染料供給体として、染料と可塑剤からなる染料供
給体を提供する。

【００１２】以下、この発明を詳細に説明する。

【００１３】この発明の再生方法を実施する感熱転写記
録媒体は、染料として熱拡散性の染料を使用したもので
ある。このよう染料としては、分散染料、ロイコ染料、
油溶化した酸性染料、油溶化したカチオン染料等のよう
に融点が低く、容易に熱転写させることができる染料を
任意に選択することができ、また、転写後に被転写体の
受像層の高分子と共有結合あるいはイオン結合により画
像を完全に定着できるようにするものも使用することが
できる。染料としては、特に、染料のバインダー樹脂と
相溶性が高く、且つその樹脂中の拡散係数の大きいもの
が好ましい。

【００１４】染料のバインダー樹脂としては、染料と適
度な相溶性を有し、染料を十分に含浸させることがで
き、且つ染料の拡散性が高い樹脂を使用する。また、こ
のような樹脂としては、良好な耐熱性と機械的強度を兼
ね備えたものが好ましい。

【００１５】バインダー樹脂としては、例えば、シリコ
ン樹脂やシリコン樹脂誘導体等を好ましく使用すること
ができる。ここで、シリコン樹脂誘導体としては、ジメ
チルシリコン樹脂、メチルフェニルシリコン樹脂等の一
般的なシリコン樹脂、末端変性シリコン樹脂、シリコン
架橋体とポリエステルやポリ塩化ビニル等の有機樹脂と
のブロック共重合体等をあげることができる。なお、シ
リコン樹脂と有機樹脂のブロック共重合体において、シ
リコン樹脂の比率が少ないと染料の拡散速度が低下する
ので、シリコン樹脂は少なくとも１０％以上とすること
が好ましい。

【００１６】以上のような染料とバインダー樹脂を使用
した感熱転写記録媒体の具体的態様としては、例えば、
図４に示したように、シリコン樹脂またはシリコン樹脂
誘導体等からなるバインダー樹脂層に染料を飽和溶解度
まで含浸させた色材層２の単独層からなるシート状の感
熱転写記録媒体１ａをあげることができる。この場合、
色材層２は、異なる２種以上のシリコン樹脂層を積層し
たもの、あるいはシリコン樹脂層と他の有機樹脂層を積
層したものから形成してもよい。また、感熱転写記録媒
体の具体的態様としては、図５に示したように，基体３
上に、図４に示したような色材層２を積層した２層構造
のシート状の感熱転写記録媒体１ｂとしてもよい。この
場合、基体３としては、ポリエチレンテレフタレート、
ポリイミド等のプラスチックフィルム類、コンデンサ紙
等の紙類、または金属シート類等を使用することができ
る。また、感熱転写記録媒体は、図４や図５に示したよ
うにシート状に形成する場合にはエンドレスリボン状に
することができる。この他、図６に示したように、感熱
転写記録媒体はプラスチックロールや金属ロールを基体
３として、ロール状に形成してもよく、図７に示したよ
うに、後述する染料供給体４を内側にして円筒状に形成
してもよい。

【００１７】以上のような感熱転写記録媒体において、
色材層、即ち染料を含浸させたバインダー樹脂層は厚く
形成すると、染料のバッファー機能をもたせることがで
き、染料を補給しなくても暫時染料を被転写体へ安定的
に供給できるようなる。そのため、バインダー樹脂層は
ある程度厚く形成することが好ましい。しかし、バイン
ダー樹脂層を厚く形成した場合、熱転写時に感熱転写記
録媒体側からサーマルヘッド等の加熱手段で加熱したと
きにはその熱効率が低下する。そこで、このような熱効
率の低下の問題に対しては、被転写体側から加熱すれば
よい。被転写体側から加熱する場合には被転写体として
薄いフィルムを使用し、フィルムに熱転写画像を形成し
た後、このフィルムを台紙にラミネートして最終的な熱
転写画像を得るようにすることが好ましい。

【００１８】この発明の再生方法において、感熱転写記
録媒体に染料を供給する染料供給体としては、感熱転写
記録媒体よりも高濃度の染料からなるものを使用する
が、このような染料供給体としては、染料単独、媒体に
高濃度の染料を分散させたもの、または多孔質物質に高
濃度に染料を含浸させたもの等を使用することができ
る。また、このような染料供給体には、染料の拡散性を
高めるために、フタル酸ジシクロヘキシル等の可塑剤、
アルキルスルホン酸等の界面滑性剤を含有させることが
好ましい。

【００１９】なお、感熱転写記録媒体の再生時には染料
供給体を加熱するが、この場合の加熱方法には特に制限
はない。染料供給体から感熱転写記録媒体への染料を拡
散により移行することができる限り、種々の方法を用い
ることができる。例えば、感熱転写記録媒体と染料供給
体とを重ね合わせ、ヒーターにより加熱してもよく、ま
た染料供給体自体を通電加熱するようにしてもよい。

【００２０】

【作用】この発明の感熱転写記録媒体の再生方法におい
ては、拡散性染料を含有した色材層を有する感熱転写記
録媒体であって、感熱転写記録に使用しその染料濃度が
低下したものに対して、高濃度の拡散性染料からなる染
料供給体を接触させ、加熱するので、染料供給体から感
熱転写記録媒体の色材層へ染料が速やかに熱拡散し、さ
らにその色材層中でも染料は速やかに熱拡散する。した
がって、感熱転写記録により消費された染料が色材層に
補給されると共に、染料の補給された色材層中の染料濃
度が均一化される。よって、感熱転写記録媒体の色材層
へ外部から連続的に染料を補給することが可能となり、
感熱転写記録媒体の繰り返し記録性が数回に止まること
はなく、多数回の記録が可能となる。さらにこの場合、
色材層中の染料濃度は均一化されるので、染料を補給し
た後の感熱転写記録媒体の印字品位が低下することはな
い。また、この染料の補給はドライプロセスで行われる
ので、染料の補給機構の簡素化とその機構の保守の簡略
化を図ることも可能となる。

【００２１】

【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて具
体的に説明する。なお、各図中、同一符号は同一または
同等の構成要素を表している。

【００２２】実施例１図１はこの発明の感熱転写記録装置であって、Ｂ／Ｗ用
の多数回転写を行う装置の概略構成図である。同図の装
置には、感熱転写記録用加熱手段として、マトリクス状
に配置された発熱素子５を有する熱ヘッド６を設け、ま
た、染料補給用加熱手段として染料補給用ヒータ７を設
けた。また、感熱転写記録媒体１としては、背面１ｂに
耐熱処理を施した厚さ６μｍのＰＥＴフィルムに、予め
飽和量までブラック染料を溶解させたポリエステル変性
メチルフェニルシリコン樹脂（東レダウコーニングシリ
コーン社製、ＰＨ１１）を乾燥膜厚が５μｍになるよう
にして塗布して硬化させることにより色材層２Ｂを形成
したエンドレスリボン状のものを取り付けた。また、染
料供給体として、色材供給用インクスティック８を取り
付けた。この色材供給用インクスティック８は、厚さ５
ｍｍの多孔質ポリエチレン発泡体にブラック染料を保持
させた染料層８Ｂを有するものである。また、この装置
のプラテンロール９上には、表面１０ｆにポリエステル
受像層を有する印画紙１０を巻き付けた。

【００２３】このような装置において、印画紙１０と感
熱転写記録媒体１とを重ね合わせ、熱ヘッド５により感
熱転写記録媒体１側から加熱することにより感熱転写記
録を行い、印画紙１０の受像層にＢ／Ｗ画像を得た。得
られた画像の光学密度はマクベス濃度計でＯＤ＝２に達
した。

【００２４】また、記録終了後に表面の染料濃度が部分
的に低下した感熱転写記録媒体１の再生を次のように行
った。即ち、感熱転写記録媒体１の色材層２Ｂを色材供
給用インクスティック８と接触させ、染料補給用ヒータ
７により約１００℃で数１０ミリ秒加熱した。その結
果、色材供給用インクスティックの染料層８Ｂから染料
が感熱転写記録媒体１の色材層２Ｂに拡散し、染料層８
Ｂと色材層２Ｂの染料濃度は平衡となり、感熱転写記録
媒体１が再生された。

【００２５】このような感熱転写記録と感熱転写記録媒
体の再生とを繰り返し行ったところ、感熱転写記録媒体
の色材層２Ｂの染料濃度は一定に保たれ、転写感度の低
下は見られなかった。

【００２６】実施例２図２はこの発明の感熱転写記録装置であって、フルカラ
ー用の多数回転写を行う装置の概略構成図である。この
装置にも、発熱素子５を有する熱ヘッド６と染料補給用
ヒータ７を設けた。また、感熱転写記録媒体１として
は、実施例１と同様に、背面１ｂに耐熱処理を施した厚
さ６μｍのＰＥＴフィルムに、予め飽和量まで染料を溶
解させたポリエステル変性メチルフェニルシリコン樹脂
（東レダウコーニングシリコーン社製、ＰＨ１１）を乾
燥膜厚が５μｍになるようにして塗布して硬化させるこ
とにより色材層を形成したものを取り付けた。この場
合、色材層は走方向に３分割（２Ｙ、２Ｍ、２Ｃ）し、
各区分の染料としてイエロー（住友化学社製、ＥＳＣ−
１５５）、マゼンタ（住友化学社製、ＥＳＣ−４５
１）、シアン（サンドイ社製、ＦｏｒｏｎＢｌｕｅ）
を使用した。染料供給体としては、イエロー、マゼン
タ、シアンの各染料に１０％のフタル酸ジシクロヘキシ
ルを加えて厚さ５ｍｍに成形した染料層８Ｙ、８Ｍ、８
Ｃをそれぞれ有する３つのインクスティック８を取り付
けた。

【００２７】このような装置において、感熱転写記録を
次のように行った。まず、実施例１と同様の印画紙１０
と感熱転写記録媒体１のイエローの色材層２Ｙとを重ね
合わせ、熱ヘッド６により感熱転写記録媒体１側から加
熱して感熱転写記録を行った。次に、感熱転写記録媒体
１を移動させて感熱転写記録媒体１のマゼンタの色材層
２Ｍ、シアンの色材層２Ｃで順次同様に感熱転写記録を
行い、フルカラーの画像を得た。得られた画像の光学密
度は、イエロー、マゼンタ、シアン共にマクベス濃度計
でＯＤ＝２に達した。

【００２８】また、記録終了後に表面の染料濃度が部分
的に低下した感熱転写記録媒体１の再生を次のように行
った。即ち、感熱転写記録媒体１のイエローの色材層２
Ｙをイエローの染料層８Ｙを有するインクスティック８
と接触させ、染料補給用ヒータ７で数１０ミリ秒加熱
し、イエローの染料をインクスティックのイエローの染
料層８Ｙから感熱転写記録媒体１のイエローの色材層２
Ｙへ拡散させることにより感熱転写記録媒体１のイエロ
ーの色材層２Ｙを再生した。同様にして、感熱転写記録
媒体１のマゼンタの色材層２Ｍおよびシアンの色材層２
Ｃもそれぞれそれらの染料層を有するインクスティック
と接触させ、加熱することにより再生した。

【００２９】このような感熱転写記録と感熱転写記録媒
体の再生とを繰り返し行ったところ、感熱転写記録媒体
の各色材層の染料濃度は一定に保たれ、転写感度の低下
は見られなかった。

【００３０】比較例１感熱転写記録媒体の色材層のバインダー樹脂として、ポ
リエステル変性メチルフェニルシリコン樹脂の代わりに
ポリビニルブチラール樹脂を用いる以外は実施例２と同
様にして感熱転写記録媒体を作製し、感熱転写記録及び
感熱転写記録媒体の再生を行った。その結果、感熱転写
記録媒体の再生時の加熱を数１０ミリ秒とすることによ
っては、インクスティックの染料層から感熱転写記録媒
体の色材層へ染料を十分に拡散させて補給することはで
きず、得られた画像の転写感度は、繰り返し転写回数が
増すごとに低下していた。

【００３１】実施例３図３は、被転写体として薄い印画フィルム１１を使用
し、感熱転写時に被転写体側から加熱することにより、
フルカラーの感熱転写記録を行うこの発明の感熱転写記
録装置の概略構成図である。即ち、この装置において
は、発熱素子５を有する熱ヘッド６を印画フィルム１１
側から加熱するように設けた。感熱転写記録媒体として
は、実施例２と同様の各色の染料をジメチルシリコンゴ
ムに溶解させ、乾燥塗布厚が５００μｍとなるように形
成した色材層（２Ｙ、２Ｍ、２Ｃ）を染料供給体上に円
筒状に設けた。また、これらのジメチルシリコンゴムに
はカーボンブラックを添加して導電性を持たせ、さらに
電極を用意し、このジメチルシリコンゴムに通電するこ
とにより染料補給用の加熱ができるようにした。

【００３２】染料供給体としては、各色の感熱転写記録
媒体の内側に、多孔質の発泡性ポリエステルにそれぞれ
の染料を担持させた、厚さ５ｍｍの染料層８Ｙ、８Ｍ、
８Ｃを設けた。

【００３３】また、印画フィルム１１としては、裏面に
耐熱滑性層を有する厚さ６μｍのＰＥＴフィルムを基体
とし、その上に厚さ６μｍのポリエステル系樹脂からな
る受像層を有するものを用意した。この印画フィルム１
１は、フィルムローラ１２から必要量供給できるように
した。

【００３４】このような装置において、感熱転写記録を
次のように行った。まず、感熱転写記録媒体のイエロー
の色材層２Ｙと印画フィルム１１とを重ね合わせ、熱ヘ
ッド６により印画フィルム１１側から加熱して感熱転写
記録を行った。次に、マゼンタ及びシアンの各色につい
ても順次同様に感熱転写記録を行った。その後、印画フ
ィルム１１を台紙へラミネートしてフルカラー画像を得
た。得られた画像の光学密度は、イエロー、マゼンタ、
シアンの各色共にマクベス濃度計でＯＤ＝２に達した。
また、染料の補給を行うことなくこのような転写を繰り
返したところ、この感熱転写記録媒体の色材層は５００
μｍと厚いため、５回の転写を行っても感度低下は１割
以下であった。

【００３５】また、記録終了後に表面の染料濃度が部分
的に低下した感熱転写記録媒体の再生を次のように行っ
た。即ち、各色の色材層の感熱転写記録媒体に通電加熱
をすることにより染料供給体から各色の色材層へ染料を
拡散させ、各色材層を再生した。その結果、色材層は染
料供給体と染料濃度が平衡になり、繰り返し転写感度は
完全に回復した。

【００３６】比較例２感熱転写記録媒体の色材層のバインダー樹脂として、ジ
メチルシリコンゴムの代わりにポリビニルブチラール樹
脂を用いる以外は実施例３と同様にして感熱転写記録媒
体を作製し、感熱転写記録及び感熱転写記録媒体の再生
を行った。その結果、感熱転写記録媒体の再生時に、感
熱転写記録媒体を通電加熱することによっては染料供給
体から感熱転写記録媒体へ染料を十分に拡散させて補給
することはできず、得られた画像の感度は、繰り返し転
写回数が増すごとに低下していた。

【００３７】実施例４バインダー樹脂としてフェニル系シリコン樹脂を使用
し、イエローの染料（住友化学社製、ＥＳＣ−１５５）
を使用して、色材層の厚さが２０μｍの感熱転写記録媒
体を作成した。そして、染料を補給した場合及び染料を
補給しなかった場合について感熱転写を繰り返したとき
の転写感度（光学密度ＯＤ）を測定した。この結果を表
１及び図８に示す。

【００３８】

【表１】イエロー（ＯＤ）繰り返し転写回数染料補給有染料補給無１０．６６０．６５２０．６５０．６４３０．６５０．６２４０．６４０．５９５０．６５０．５４６０．６４０．５１この結果から、この発明の感熱記録転写媒体は、染料を
補給すると完全に再生できること、また、その色材層を
厚く形成すると染料のバッファー機能を大きく発揮し、
染料を補給しなくてもある程度の繰り返し転写感度を確
保できることが確認できた。

【００３９】以上の実施例においては、感熱転写記録を
行うと共にこの発明の感熱記録転写媒体の再生方法も実
施することのできる感熱記録転写装置について具体的に
説明したが、この発明の感熱記録転写媒体の再生装置
は、実施例の装置において感熱記録転写媒体の再生を行
う機構を独立的に設けることにより構成することができ
る。

【００４０】

【発明の効果】この発明によれば、拡散性染料を使用し
た感熱転写記録を行うに際し、感熱転写記録媒体へ外部
から染料を連続的に補給できるようなり、感熱転写記録
媒体の多数回の繰り返し使用が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の感熱転写記録装置の実施例の概略構
成図である。

【図２】この発明の感熱転写記録装置の異なる実施例の
概略構成図である。

【図３】この発明の感熱転写記録装置の異なる実施例の
概略構成図である。

【図４】この発明の感熱転写記録媒体の断面図である。

【図５】この発明の感熱転写記録媒体の異なる態様の断
面図である。

【図６】この発明の感熱転写記録媒体の異なる態様の断
面図である。

【図７】この発明の感熱転写記録媒体及び染料供給体の
断面図である。

【図８】この発明の感熱記録転写媒体を使用した場合
の、繰り返し転写回数と転写感度との関係図である。

【符号の説明】

１、１ａ、１ｂ感熱転写記録媒体２、２Ｂ、２Ｙ、２Ｍ、２Ｃ色材層３基体４染料供給体６熱ヘッド７染料補給用ヒータ８インクスティック８Ｙ、８Ｍ、８Ｃ染料層１０印画紙１１印画フィルム

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】拡散性染料を含有した色材層を有する、
再生すべき感熱転写記録媒体と、該感熱転写記録媒体に
比べ高濃度の拡散性染料からなる染料供給体とを接触さ
せ、加熱により染料供給体から感熱転写記録媒体へ染料
を拡散させて補給することを特徴とする感熱転写記録媒
体の再生方法。
【請求項２】拡散性染料を含有した色材層を有する感
熱転写記録媒体と被転写体と感熱転写記録媒体とを重
ね、感熱転写記録用加熱手段による選択的加熱により感
熱転写記録媒体の染料を被転写体に転写して画像を形成
するための感熱転写記録装置において、感熱転写記録媒
体に比べ高濃度の拡散性染料からなる染料供給体、及び
染料供給体から感熱転写記録媒体へ染料を拡散させるた
めの染料補給用加熱手段を有することを特徴とする感熱
転写記録装置。
【請求項３】感熱転写記録媒体の被転写体側表面に染
料供給体が接触するようにした請求項２記載の感熱転写
記録装置。
【請求項４】感熱転写記録媒体がエンドレスリボン状
であり、染料供給体が円柱状である請求項３記載の感熱
転写記録装置。
【請求項５】感熱転写記録媒体の被転写体側表面の反
対側に染料供給体が接触するようにした請求項２記載の
感熱転写記録装置。
【請求項６】感熱転写記録媒体が円筒状であり、円筒
状の感熱転写記録媒体の内側に染料供給体を配した請求
項５記載の感熱転写記録装置。
【請求項７】拡散性染料を含有した色材層を有する、
再生すべき感熱転写記録媒体を係止する手段、係止した
感熱転写記録媒体に比べ高濃度の拡散性染料からなる染
料供給体、及び染料供給体から感熱転写記録媒体へ染料
を拡散させるための染料補給用加熱手段を有することを
特徴とする感熱転写記録媒体の再生装置。
【請求項８】色材層が、拡散性染料を含浸させたシリ
コン樹脂またはシリコン樹脂誘導体からなる感熱転写記
録媒体。
【請求項９】拡散性染料と可塑剤からなる染料供給
体。