JPH0653316U - モールの取り付け構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 自動車の車体外側面に形成される凹溝にクリ
ップを介して嵌め込み状に固定されるモールを、見栄え
よく取り付けることができる。 【構成】 上記凹溝３の底部3aに固定されるベース部材
９と、このベース部材９に対して凹溝３の幅方向にスラ
イド可能に保持されるとともに、上記モール４の内側に
係合させられるスライド部材10とを上記クリップ５に備
える。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本願考案は、自動車の車体外側面に形成される凹溝に、クリップを介して嵌め 込み状に固定されるモールの取り付け構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

自動車の車体外側面においては、接合部に沿って凹溝を形成するとともに、こ の凹溝にモールを嵌め込んで接合部の見栄えの向上を図ることが多い。

【０００３】 たとえば、実公平３─２７８８２号公報に記載されているように、ルーフパネ ルとルーフサイドパネルの接合部に沿って凹溝を形成し、長尺状のルーフモール を上記凹溝に嵌め込み状に装着しているものがある。

【０００４】 より詳しくは、凹溝の底面に所定間隔をあけて接着剤等を用いてクリップを固 定し、上記クリップの上面係合部にルーフモールの内側を係合させることにより 、ルーフモールが車体に対して取り付けられる。

【０００５】 これにより、凹溝がルーフモールによって塞がれるとともに、ルーフパネルと ルーフサイドパネルの接合部が隠蔽され、しかも上記ルーフモールによって車体 上部の見栄えが良くなる。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、上記ルーフモールは、軟質の合成樹脂を長尺状に成型したものが多 く、本体の両側には舌部が延出形成されている。この両舌部を含むモールの幅は 、凹溝の幅よりも広く設定されており、上記舌部が凹溝の両側壁に弾性的に当接 して変形させられることにより、凹溝の幅のばらつきやクリップの取り付け位置 のばらつきを吸収して、ルーフモールを上記凹溝にすき間なく円滑に装着できる ように構成されている。

【０００７】 しかし、クリップの取り付け位置にばらつきがあると、一方の舌部が大きく変 形させられるて、ルーフモール本体が蛇行するように装着されてしまい、外観上 非常に見栄えが悪い。

【０００８】 さらに、上記のようなクリップの取り付け位置のばらつきがひどい場合には、 ルーフモール本体の蛇行だけでなく、上記舌部が凹溝の一側壁にしか当接しない 場合が生じ、他方の側壁とルーフモールとの間にすき間ができてしまう。この結 果、上記すき間に埃等が溜まり、さらに外観上の見栄えが悪くなってしまう。

【０００９】 本願考案は、上述の事情のもとで考えだされたものであって、自動車の車体外 側面に形成される凹溝に、クリップを介して嵌め込み状に固定されるモールの取 り付け構造であって、上記クリップの取り付け精度に関わりなく、上記モールを 蛇行させることなく凹溝に嵌め込み固定できる、モールの取り付け構造を提供す るとをその課題とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

本願考案は、上述の課題を解決するため、次の手段を講じている。 すなわち、本願考案は、車体外側面に形成される凹溝に、クリップを介して嵌 め込み状に固定されるモールの取り付け構造であって、 上記クリップは、上記凹溝の底部に固定されるベース部材と、このベース部材 に対して溝幅方向にスライド可能に保持されるとともに、上記モールの内側に係 合させられるスライド部材とを備えることを特徴としている。

【００１１】

【考案の作用および効果】

本願考案に係るクリップは、ベース部材とスライド部材とを備えている。 上記ベース部材は、従来と同様に、上記凹溝の底部に所定間隔をあけて固定さ れる。

【００１２】 一方、上記スライド部材は、上記ベース部材に対して凹溝の幅方向にスライド 可能に保持されるとともに、上記モールの内側に係合させられるように構成され ている。

【００１３】 すなわち、本願考案に係るモールの取り付け構造においては、凹溝に嵌め込ま れたモールを、上記スライド部材によって溝幅方向に変位させることができるの である。

【００１４】 このため、上記クリップの取り付け位置が溝幅方向にばらついたとしても、そ のばらつきを上記スライド部材を変位させることによって調整することが可能と なり、モールの中心線を凹溝の中心線に合わせることが可能となる。

【００１５】 さらに、上記モールは、軟質の材料で形成されるとともに、本体の両側から舌 部が延出形成させられている。そして、この舌部が凹溝の両側壁を弾性的に押圧 するようにして上記凹溝に装着される。

【００１６】 したがって、上記スライド部材を設けることによって上記モールを、上記舌部 の弾力によって、この舌部が同程度変形させられる溝幅方向位置に変位させるこ とができる。すなわち、上記ルーフモール自体が凹溝の幅方向のセンタ位置に自 動的にスライドするように構成することもできる。

【００１７】 したがって、クリップの取り付け位置のばらつきがあっても、上記モールが蛇 行したり、凹溝の側壁とルーフモールとの間にすき間が生じることはない。

【００１８】

【実施例の説明】

以下、本願考案の好ましい実施例を、図面を参照しながら具体的に説明する。 本実施例は、自動車の車体外側面においてルーフパネルとルーフサイドパネル との接合部に形成される凹溝に、クリップを介して嵌め込み状に装着されるルー フモールの取り付け構造に本願考案を適用している。

【００１９】 ルーフパネル１とルーフサイドパネル２の接合部に沿って凹溝３が形成されて いるとともに、この凹溝３にルーフモール４が嵌め込まれ、接合部の見栄えの向 上が図られている。より詳しくは、上記凹溝３の底面３ａに両面テープ等を用い て所定間隔をあけてクリップ５が取り付けられるとともに、このクリップ５を介 してルーフモール４が凹溝３に嵌め込み状に固定されている。

【００２０】 上記ルーフモール４は、金属薄板を略Ｃ字状に形成した芯材６と、塩化ビニー ル等の軟質樹脂をこの芯材６の外面に沿って添着した被覆部７ａを備える本体７ と、この本体７の被覆部７ａから両側方へ延出させられる舌部８，８とを備えて 構成されている。

【００２１】 上記両舌部８，８を含むルーフモール４の幅寸法は、上記凹溝３の幅よりも若 干大きく形成されており、上記モール４を凹溝３に嵌め込んだとき、上記両舌部 ８，８が凹溝３の両側壁３ｂ，３ｂに沿ってそれぞれ弾性的に当接するように形 成されている。

【００２２】 本実施例に係るクリップ５は、図２に示すように、凹溝３の底面３ａに固定さ れるベース部材９と、このベース部材９に挿入保持されるスライド部材１０とを 備えている。

【００２３】 上記ベース部材９は、凹溝３の底面３ａに両面テープ１６を介して固定される 脚部１１と、上記スライド部材１０を挿入保持するための挿入保持部１２と、こ の挿入保持部１２の一側外面から溝幅方向に延出して凹溝３の側壁３ｂに当接す る当接部１３とを備えている。そして、上記挿入保持部１２には、上面に開口部 １７が設けられたあり溝１８が形成されている。

【００２４】 一方、上記スライド部材１０は、上記挿入保持部１２のあり溝１８に挿入保持 される方形平板状のスライド部１４と、このスライド部１４の上面中央部から上 方へ突出させられ、ルーフモール４のＣ字開口部１７に係合させられる一対の係 合部１５とを備えている。

【００２５】 上記係合部１５は、上記スライド部材１０の中央部に形成された開口の縁部に 互いに対向するように形成されており、弾性的に近接して上記Ｃ字開口部１７に 係合させられるように形成されている。 上記あり溝１８の幅は、上記スライド部１４の幅よりも大きく形成されている とともに、上記Ｃ字開口部１７の幅も上記係合部１５の幅より大きく形成されて いる。

【００２６】 上記の構成により、上記スライド部材１０がベース部材９に対して溝幅方向に 変位可能に保持される。

【００２７】 以下、上記ルーフモール４をクリップ５を介して凹溝３に装着する手順を述べ る。まず、上記脚部１１の下面を、両面テープ１６を介し、上記凹溝３の底面３ ａに固定する。この際、上記あり溝１８の方向を凹溝３の方向に合わせ、上記当 接部１３を凹溝３の一側壁３ｂに当接させることにより、各ベース部材９を凹溝 ３内の溝幅方向一定位置に固定することができる。

【００２８】 次に、上記挿入保持部１２に上記スライド部１４を挿入保持させるとともに、 ルーフモール４を上記係合部１５に上方から係合させる。このようにして、上記 ルーフモール４は凹溝３に嵌め込み状に固定される。

【００２９】 本願考案に係るルーフモールの取り付け構造においては、ルーフモール４を凹 溝３に嵌め込んだ状態で上記スライド部材１０によって凹溝３の溝幅方向にルー フモール４を変位させることができる。

【００３０】 したがって、凹溝３のゆがみやクリップ５の取り付け位置のばらつきがあって も、上記ルーフモール４が蛇行した状態で取り付けられたり、凹溝３の側壁部３ ｂとルーフモール４との間にすき間が生じることはない。

【００３１】 この結果、ルーフモール４の中心線を凹溝３の中心線に合わせることが可能と なる。

【００３２】 さらに、上記スライド部材１０を介してルーフモール４を取り付けつけること によって、上記ルーフモール４を、その舌部８，８の弾力によって、この舌部８ ，８が同程度変形させられる溝幅方向位置に変位させることができる。すなわち 、上記ルーフモール４自体が凹溝３の幅方向のセンタ位置に自動的にスライドす るように構成することができる。

【００３３】 したがって、クリップ５の取り付け位置のばらつきがあっても、上記ルーフモ ール４が蛇行した状態に取り付けられたり、凹溝３の側壁３ｂとルーフモール４ との間にすき間が生じることはない。

【００３４】 すなわち、本願考案のルーフモールの取り付け構造を採用することにより、ル ーフモール４の中心を凹溝３の中心に合わせて見栄え良く取り付けることができ る。

【００３５】 さらに、本実施例においては、上記あり溝１８を凹溝３の方向に合わせて上記 クリップ５を固定しているため、上記ルーフモール４を凹溝３の方向にも変位さ せることができる。

【００３６】 このため、継時変化等による上記ルーフモール４の長手方向寸法の変化を吸収 することもできる。

【００３７】 なお、本願考案は、上記実施例に限定されることはない。 本実施例においては、ベース部材９にスライド部材１０を挿入保持したが、反 対に、スライド部材１０にあり溝１８を形成し、ベース部材９を挿入保持できる ように構成してもかまわない。

【００３８】 また、本実施例においては、金属薄板から形成された略Ｃ字状の芯材６を備え るルーフモール４を採用したが、樹脂で一体形成されたルーフモールを採用する こともできる。

【００３９】 さらに、上記スライド部材１０をスライド可能に支持する構造等も限定される ことはない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施例に係るルーフモールの取り付け構造の
断面図である。

【図２】本実施例に係るクリップの分解斜視図である。

【符号の説明】

３ 凹溝 ３ａ 凹溝の底部 ４ （ルーフ）モール ５ クリップ ９ ベース部材 １０ スライド部材

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体外側面に形成される凹溝に、クリッ
   プを介して嵌め込み状に固定されるモールの取り付け構
   造であって、 上記クリップは、上記凹溝の底部に固定されるベース部
   材と、このベース部材に対して凹溝の幅方向にスライド
   可能に保持されるとともに、上記モールの内側に係合さ
   せられるスライド部材とを備えることを特徴とする、モ
   ールの取り付け構造。