JPH0652605U - 可動ショルダーサポート - Google Patents

Abstract

(57)【構成】 【目的】 通常走行時には乗員に窮屈さを感じさせず、
車両旋回時には乗員の身体上側部分を支持して着座姿勢
をより一層安定させることのできるショルダーサポート
を提供する。 【構成】 ショルダーサポートの上部を上側支持軸に支
持し、該上側支持軸はシートバックに向けて延ばして揺
動可能に取付ける一方、ショルダーサポートの下部はシ
ートバックに向けて延びて固定された下側支持軸に回転
自在に支持し、ショルダーサポートの上部とシートの車
体固定側との間には操作ワイヤーを介設し、シート傾動
時に遠心力作用方向側のショルダーサポート上部を操作
ワイヤーによって下方に引っ張って前方に揺動させるよ
うにしたことを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、ローリングシートに採用され、車両旋回時において乗員の着座姿 勢をより一層安定させることができるようにした可動ショルダーサポートに関す る。

【０００２】

【従来の技術】

車両の旋回時においては、乗員に遠心力が作用し、身体がシートに対して旋回 外方に傾いて安定した着座感が損なわれることがある。 そこで従来の車両用シートには、旋回時に乗員の身体が遠心力と反対方向に傾 くようにシートを傾動させ、乗員の着座姿勢を安定させるようにしたローリング シートが種々提案されている（実公昭６３−１６２０号公報、等参照）。 かかるローリングシートでは、乗員の身体を遠心力の作用する方向と反対方向 にシートごと傾かせているので、固定式シートに着座している場合に比して乗員 に対する遠心力の影響を低減できるものの、頭部、肩部等の身体上部は支えがな く、依然として遠心力の影響を受けて外方にふられ易く、この点で改善の余地が あった。 他方、スポーツカーにおいては、シートバック上部両側にショルダーサポート を形成し、旋回時において乗員の上半身を支えてこれが外方にふられるのを防止 することが行われている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、従来のショルダーサポートは乗員の身体に合わせて製作されており、 これを一般の車両に適用すると、乗員が窮屈さを感じ、却って快適さが損なわれ るという問題があった。 この考案は、かかる問題点に鑑み、車両旋回時において乗員の着座姿勢をより 一層安定させることができ、しかも乗員に窮屈さを感じさせないようにしたショ ルダーサポートを提供することを課題とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本件考案者は上述の課題を解決すべく鋭意研究した結果、ローリングシートの シートバックの上部両側にショルダーサポートを揺動自在に設け、通常走行時に はショルダーサポートを開いておき、旋回時にはシートの傾動に伴ってショルダ ーサポートを前方に揺動させて乗員の肩部を支持してやればよいことに着目し、 本考案を完成するに至った。 即ち、本考案に係る可動ショルダーサポートは、 「車両旋回時にシートを駆動機構によって遠心力の作用方向と反対方向に傾動 させるようにしたローリングシートにおいて、 シートバック上部両側にはショルダーサポートが設けられ、該ショルダーサポ ートの上部は上側支持軸に支持され、該上側支持軸はシートバックに向けて延び て揺動可能に取付けられている一方、ショルダーサポートの下部は下側支持軸に 回転自在に支持され、該下側支持軸はシートバックに向けて延びて固定され、シ ョルダーサポートの上部とシートの車体固定側との間には操作ワイヤーが介設さ れており、 車両旋回時に遠心力作用方向側のショルダーサポート上部がシートの傾動に伴 い操作ワイヤーによって相対的に下方に引っ張られて下側支持軸の回りに前方に 揺動されているようにした」ことを要旨とする。 本考案は車両旋回時にシートを駆動機構によって遠心力の作用方向と反対方向 に傾動させるようにしたローリングシートであればどのような構造のものにも適 用できる。

【０００５】

【作用】

車両旋回時には、シートが駆動機構によって遠心力の作用する方向とは反対の 方向に傾動される。 その際、ショルダーサポートの上側支持軸が揺動自在にシートバックに支持さ れ、又ショルダーサポートの上部がシートの車体固定側部分に操作ワイヤーで連 結されていることから、ショルダーサポートの上部がシートの傾動に伴って操作 ワイヤーによってシートバックに対して相対的に下方に引っ張られ、全体として はショルダーサポートが下側支持軸の回りに前方に揺動し、乗員の肩部が支持さ れる。

【０００６】

【実施例】

以下、本考案を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。 図１ないし図４は本考案の一実施例による可動ショルダーサポートを示す。図 において、車室フロアＦ上にはローリングシート１が配設され、該ローリングシ ート１はシートクッション２とシートバック３とから構成されている。 上記シートクッション２の下面にはアッパフレーム２０が固定され、車室フロ アＦにはスライダ機構２１を介してロアフレーム２２が固定され、該ロアフレー ム２２には前後方向に延びる回転軸２３によってアッパフレーム２０が左右に揺 動自在に連結され、又アッパフレーム２０とロアフレーム２２との間には駆動機 構が設けられており、こうしてローリングシート１は車両旋回時に左右に傾動さ れるようになっている。

【０００７】 他方、上記シートバック３上部の左右両側にはショルダーサポート４が設けら れ、該ショルダーサポート４はフレーム４０の外側にクッション部材を配設しそ の外側を表皮で覆って構成されている。 上記フレーム４０の上端部には長尺のサポートバー（上側支持軸）４１の先端 部が挿通されて抜け止めされ、両者の間にはブッシュ４２が介設されてフレーム ４０は回転自在に設けられ、該サポートバー４１はシートバック３に向けて延び ている。他方、シートバック３のフレーム３０上端側部には取付ピン３１が前方 に突出して固定され、該取付ピン３１にはゴムブッシュ３２を介してサポートバ ー４１の後端部が揺動自在に取付けられている。 また、ショルダーサポート４のフレーム４０の下端部には短尺の回転軸（下側 支持軸）４３が挿通されて抜け止めされ、両者の間にはブッシュ４４が介設され てフレーム４０は回転軸４３の回りに回転自在となっている。この回転軸４３は シートバック３に向けて延びてフレーム３０の取付ブラケット３３に固定されて いる。 さらに、ショダーサポート４の上部にはサポートバー４１より前側にて操作ワ イヤー５の先端取付片５０が通常走行時における操作ワイヤー５の弛みを解消す る為のコイルばね５１を介して連結され、該操作ワイヤー５は支持ブラケット５ ２によってシートバックフレーム３０に支持され、又操作ワイヤー５のアウタチ ューブ５３の下端は取付ブラケット５４によってシートクジョン２のフレーム２ ４に支持され、操作ワイヤー５の他端はスライダ機構２１のアッパレールに固定 されている。

【０００８】 ここで、ローリングシート１の構造例を図３及び図４に基づいて簡単に説明す ると、シートクッション２のアッパフレーム２０とロアフレーム２２とはその前 後の縦壁面が幅方向ほぼ中央で車体前後方向に延びる軸２３で連結され、こうし てアッパフレーム２０はロアフレーム２２に対して左右方向に傾動自在となって いる。 ロアフレーム２２の両側にはＬ字状リンク６０の中央が取付ピン６１によって 回転自在に枢支され、該両リンク６０の一端には連結ピン６２が取付けられ、該 連結ピン６２はアッパフレーム２０の縦壁面の長孔６３に嵌合されている。 また、上記両リンク６０の他端間にはロッド６４が連結され、該ロッド６４間 にはナット６５が自在継手で連結され、該ナット６５にはねじ軸６６が螺合され ている。 このねじ軸６６はロアフレーム２２のブラケット６７に回転自在に支持され、 又ねじ軸６６には小径ギア６８が取付けられ、該小径ギア６８は駆動モータ６９ の大径ギア６１０に噛合され、駆動モータ６９はブラケット６７に取付けられて おり、こうして駆動機構が構成されている。 また、ねじ軸６６にはロータリエンコーダ６１１がジョイントによって連結さ れてねじ軸６６の回転角が検出されるようになっている。

【０００９】 次に、作用効果について説明する。 通常走行時においては、アッパフレーム２０は水平な状態に保持され（図４の 実線参照）、又左右のショルダーサポート４は開いてシートバック３とほぼ平行 な状態になっている（図１(b) の一点鎖線参照）。 車両旋回時になると、車速及びステアリングの舵角等からシート１の傾動方向 及び傾動角度が演算され、その演算結果に応じて駆動モータ６９が駆動され、駆 動モータ６９の回転がギア６１０、６８を経てねじ軸６６に伝達されてねじ軸６ ６が回転し、ナット６５がねじ軸６６との噛合位置を連続的に変えながら左側又 は右側に移動する。 すると、Ｌ字状リンク６０が枢支ピン６１の回りに矢印Ａ方向又は逆方向に回 転されてアッパフレーム２０を矢印Ｂ方向又は逆方向に変位させる結果、アッパ フレーム２０は軸２３の回りに遠心力の作用方向と反対方向に傾動されて傾斜し た状態となり（例えば、図３の状態Ｃ参照）、ローリングシート１が遠心力と反 対方向に傾斜されて乗員の身体がシートクッション２に確りと受けられる。 その際、ショルダーサポート４においては、サポートバー４１の内端部がゴム ブッシュ３２を介してシートバックフレーム３０に支持されている一方、アッパ フレーム２０が傾動するとシートバック３の遠心力の作用方向側が車室フロアＦ に対して持ち上げられ、操作ワイヤー５が遠心力作用方向側のショルダーサポー ト４の上部を相対的に下方に引っ張ることとなる結果、ショルダーサポート４の 上部が回転軸４３の回りに前側下方に揺動し、図１(b) に実線で示すように、全 体としてシートバック３に対して前方に突出した状態となる。 従って、遠心力作用方向側のショルダーサポート４が前方に突出して乗員の肩 部を支持するので、乗員の身体上部が遠心力によって外方にふられることはなく 、ローリングシート１の傾動と相まって極めて安定した着座感を得ることができ る。 また、通常走行時にはショルダーサポート４は開いてほぼシートバック３とほ ぼ平行になっているので、乗員に窮屈な感じを与えることもない。

【００１０】

【考案の効果】

以上のように、本考案に係る可動ショルダーサポートによれば、車両旋回時に ローリングシートの傾動に伴って遠心力作用方向側のショルダーサポートを前方 に揺動させるようにしたので、通常走行時には乗員に窮屈さを感じさせず、車両 旋回時には乗員の身体上部を支持して着座姿勢をより一層安定させることができ る効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の一実施例による可動ショルダーサポ
ートを備えたローリングシートの概略正面及びそのシー
トバックの平面を示す図である。

【図２】 上記ショルダーサポートの構造を説明するた
めの図である。

【図３】 上記可動ショルダーサポートが適用されるロ
ーリングシートの一例を示す一部平面図である。

【図４】 上記ローリングシートの一部正面図である。

【符号の説明】

１ ローリングシート ３ シートバ
ック ４ ショルダーサポート ４１ サポート
バー（上側支持軸） ４３ 回転軸（下側支持軸） ５ 操作ワイ
ヤー

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両旋回時にシートを駆動機構によって
   遠心力の作用方向と反対方向に傾動させるようにしたロ
   ーリングシートにおいて、 シートバック上部両側にはショルダーサポートが設けら
   れ、該ショルダーサポートの上部は上側支持軸に支持さ
   れ、該上側支持軸はシートバックに向けて延びて揺動可
   能に取付けられている一方、ショルダーサポートの下部
   は下側支持軸に回転自在に支持され、該下側支持軸はシ
   ートバックに向けて延びて固定され、ショルダーサポー
   トの上部とシートの車体固定側との間には操作ワイヤー
   が介設されており、 車両旋回時に遠心力作用方向側のショルダーサポート上
   部がシートの傾動に伴い操作ワイヤーによって相対的に
   下方に引っ張られて下側支持軸の回りに前方に揺動され
   ていることを特徴とする可動ショルダーサポート。