JPH0651244B2 - デイスク部材のクランプ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、磁気ディスク，光ディスク等のように円環状
板体からなるディスク部材の内周面を支持するディスク
部材のクランプ装置に関するものである。

［従来の技術］ ディスク部材として例えば磁気ディスクは、アルミニウ
ム等の金属材を円環状に形成した基板の表面に磁性体か
らなる磁気記録膜が形成されるようになっており、この
ような磁気ディスクは、予め基板の表裏面を極めて精巧
に研磨加工して磁性体を塗布することによって均一な膜
厚を有する記録膜を形成し、この記録膜形成後にさらに
記録膜の膜厚を均一にならしめるためにバニッシング加
工を施すことによって製造される。また、このようにし
て製造された磁気ディスクに対しては、その記録膜の膜
厚が適正に保たれているか否か、ピンホールの有無、異
物の混入の有無等の検査が行われる。

前述したように磁気ディスクの製造や製造後の検査等の
作業を行うに当っては、基板を適宜の支持手段によって
支持させる必要があるが、前述した各作業を円滑かつ効
率的に行い、しかも記録膜が形成される基板の表面部分
に損傷を生じさせないようにするために、その支持手段
は磁性体の塗布の前後を問わず基板の内周縁部に係合さ
せるようにしなければならない。

このように基板の内周縁部を支持させるための支持手段
としては、例えば基板の内周縁部における表裏各面に当
接する雄雌のクランプ部材を備えたクランプユニットを
用い、基板を一方のクランプ部材に嵌合させた状態で他
方のクランプ部材を前記一方のクランプ部材に挿嵌させ
ることにより、該基板を両クランプ部材間に挟持させる
ように構成したものや、相対向するテーパ面を備えた複
数のチャック駒を用い、該各チャック駒を基板の半径方
向に変位させるようになし、基板のチャック時にはこれ
ら各チャック駒を半径方向外方に拡開させて、チャック
駒におけるテーパ面に基板の内周縁角隅部を当接させる
ことによって、そのチャックを行うようにしたものが従
来から用いられている。

［発明が解決しようとする問題点］ ところで、前述したような構成を有するディスク部材の
支持手段にあっては、そのクランプ部材やチャック駒に
よって基板の表面のうちの内周部近傍の部分が覆われて
しまい、このために、この部分に磁性体の記録膜を形成
することができなくなる欠点がある。とりわけ、情報の
書き込み及び記録の読み取りヘッドの改良等によって、
かかる内周縁部近傍をも記録領域として利用する傾向に
ある近年においては、この部分にも記録膜を形成するこ
とができるようにすることが、記録容量の向上等の見地
から、必要となっている。また、磁性体の塗布後におけ
るバニッシング加工を行う場合においては、その加工精
度を向上させるために、基板の表面全体が均一な平面と
なすことが好ましく、このためにも内周縁側に磁性体の
塗布等を行うことが必要となる。

本発明は叙上の点に鑑みてなされたもので、その目的と
するところは、ディスク部材の全面、特にその内周縁部
分をも円滑かつ確実に加工，検査することを可能ならし
めるようにしたディスク部材のクランプ装置を提供する
ことにある。

［問題点を解決するための手段］ 前述の目的を達成するために、本発明は、中空円筒状に
形成した主軸に、その先端開口部に向けて軸線方向に割
り込みを設けることによって少なくとも３片のフラップ
部片を形成し、ディスク部材の板厚と略同一の厚みを有
するクランプ爪を該各フラップ部片に半径方向外方に突
設し、これら各フラップ部片の内面に傾斜した摺動部を
形成すると共に、該各摺動部と摺接する作動部材を前記
主軸の軸線方向に変位可能に装着し、また前記主軸の外
周には、前記クランプ爪に近傍・離間する位置決め部材
を該主軸をガイドとして往復変位可能に設け、該位置決
め部材によって、前記ディスク部材を位置決めした状態
で、前記作動部材によって前記各フラップ部片を各クラ
ンプ爪と共に半径方向外方に変位させて、該各クランプ
爪を前記ディスク部材の内周面に圧接させることによ
り、該ディスク部材をクランプさせるようになし、また
前記割り込み部及び主軸の先端部には、弾性シール部材
を設けることによって、前記作動部材とフラップ部片と
の間の摺動部を密閉する構成したことをその特徴とする
ものである。

［作用］ 而して、クランプ爪を半径方向内側に位置させて、該ク
ランプ爪にディスク部材の内周部を挿嵌させることがで
きる状態に保持する。

そこで、ディスク部材を適宜のハンドリング手段によ
り、例えば、その外周縁部を挟持することによって前工
程から取り出して、研磨，磁性体の塗布等の加工や検査
等を行う特定の作業部にまで搬送して、該ディスク部材
をクランプ爪に嵌合させる。然る後に、作動部材を作動
させて、主軸のフラップ部を拡開せしめ、クランプ爪を
半径方向外方に変位させて、該クランプ爪をディスク部
材の内周面に圧接させることにより、該クランプ爪によ
ってディスク部材をクランプさせることができる。

しかも、クランプ爪のディスク部材に対する当接面はデ
ィスク部材の厚みとほぼ一致する寸法となっており、こ
のためにディスク部材とクランプ爪との位置合せを極め
て厳格に行わなければ、ディスク部材を安定した状態で
クランプできなくなる。しかしながら、主軸には位置決
め部材が嵌合されており、該位置決め部材を所定の位置
に配置して、ディスク部材を当接させることにより、該
ディスク部材をクランプ爪に正確に当接させることがで
きる。また、作動部材はフラップ部片と摺接して摩耗す
るが、この摺接部が弾性シール部材により外部と隔絶さ
れているから、研磨液や磁性体塗液等が摺接部に付着し
たり、また摩耗粉等の異物がディスク部材に付着したり
するのを防止できる。

該クランプ爪の厚みはディスク部材の板厚とほぼ同一と
なっているので、このクランプ時におけるクランプ爪は
ディスク部材の表面と同一の平面を形成することにな
り、このためにディスク部材の内周縁部にまで加工を施
したり、検査を行うことができるようになる。

なお、ここで、ディスク部材は、基板に磁性体を塗布す
る前の状態だけでなく、磁性体を形成した後の状態をも
含め、また磁気ディスクだけでなく、光ディスク等のよ
うに所定の板厚を有する円環状板体を含めた概念を有す
るものとして定義される。

［実施例］ 以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明す
る。

第１図乃至第３図は本発明の第１の実施例を示し、図中
において、１は円環状板体からなるディスク部材を示
し、該ディスク部材１はクランプ装置２によってその内
周面をクランプすることができるようになっている。こ
のクランプ装置２は、中空円筒状に形成したばね性のあ
る金属性からなる主軸３を有し、この主軸３は図示しな
い回転駆動機構に連結されて、該回転駆動機構によって
高速回転させることができるようになっている。

主軸３には、第２図に示したように、その先端開口部か
ら中間部に至るまでの間にスリット溝４，４，・・・が
形設されて先割れ状態となって、６個のフラップ部片
５，５，・・・が形成されている。そして、該各フラッ
プ部片５の先端部には半径方向外方、即ち主軸３の軸線
方向と直交する方向にクランプ爪６，６，・・・が突設
されている。該各クランプ爪６はディスク部材１の板厚
とほぼ同一の厚みに形成されており、その先端部におけ
るクランプ面6aはディスク部材１の内周面と面接触させ
ることができるようにするために、該ディスク部材１の
内周面に近似した曲面形状となっている。

前述のクランプ爪６のクランプ面6aは、主軸３における
フラップ部片５が自由状態にあるときには、ディスク部
材１の内周面より僅かに内側となる位置する非クランプ
状態となり、フラップ部片５を拡開する方向に曲成する
ことによって、クランプ爪６を半径方向外方に変位させ
ると、そのクランプ面6aをディスク部材１の内周面に圧
接することができるクランプ状態となる。このようにフ
ラップ部片５を拡開させるために、主軸３の内側には作
動部材として截頭円錐形の楔部材７が装着されており、
またフラップ部片５の内面には該楔部材７に摺接するテ
ーパ面を有する摺動部5aが形設されている。そして、こ
の楔部材７には作動杆7aが連設されて、該作動杆7aを主
軸３の軸線に沿って第１図の左方向に移動させることに
よって、フラップ部片５を外側に反るように曲成させ
て、クランプ爪６を非クランプ状態からクランプ状態に
変位させることができるようになっている。そして、こ
の楔部材７とフラップ部片５の摺動部5aとの間の摺接部
分に研磨液や磁性体塗液等の付着を防止したり、またそ
の間の摺接による摩耗粉等がディスク部材１に付着する
のを防止するために、スリット溝４の形成部分からクラ
ンプ爪６，６間の部分及びフラップ部片５の先端開口部
分にはシリコンゴム等からなる弾性シール材８が充填さ
れて、その摺動部分を密閉している。

さらに、図中９は主軸３に嵌合した位置決め部材を示
し、該位置決め部材９は中空円筒状に形成した軸部9aの
先端に半径方向外方に突出するフランジ部9bを連設する
ことにより形成されて、クランプ装置２の主軸３上を軸
方向に移動することができるようになっている。そし
て、軸部9aを突出させてクランプ爪６の背面に当接させ
ることによって、ディスク部材１が該クランプ爪６に挿
嵌されたときに、該ディスク部材１の内周部分と当接す
ることができるようになっており、これによって、ディ
スク部材１をその内周面部が確実にクランプ爪６のクラ
ンプ面6aに対面する位置に位置決めすることができるよ
うになっている。

なお、第３図中10はディスク部材１の外周面をチャック
してクランプ装置２にそれを移載するハンドラである。

本実施例は前述のように構成されるもので、次にその作
動について説明する。

まず、楔部材７を第１図中の右方に位置させて、クラン
プ爪６には外力が加わらない状態に保持し、該クランプ
爪６のクランプ面6aがディスク部材１の内周面より僅か
に内側に位置する状態に保持し、この状態でハンドラ10
によってディスク部材１をチャックしてクランプ装置２
に向けて移行させる。そして、ディスク部材１をクラン
プ装置２のクランプ爪６に嵌合させるようにするが、こ
のクランプ爪６へのディクク部材１の嵌合時に該クラン
プ爪６とディスク部材１との間に摩擦させないようにす
るために、該ハンドラ10はセンサ（図示せず）によって
常時クランプ装置２の中心位置を検出して、ディスク部
材１とクランプ爪６との間に所定の隙間を保持した状態
で該ディスク部材１をクランプ装置２に移載するように
している。この移載に際しては、クランプ装置２にはそ
のクランプ爪の背面に位置決め部材９のフランジ部9aが
当接しているので、ディスク部材１のクランプ装置２に
おける軸方向の位置決めを確実に行うことができる。

このようにしてディスク部材１をクランプ装置２のクラ
ンプ爪６に遊嵌させた後に、楔部材７を第１図中の矢印
方向に変位させると、該楔部材７はフラップ部片５の内
面に形設した摺動部部5aに沿って移動し、該フラップ部
片５は主軸３の半径方向外方に湾曲する方向に向けて曲
成せしめられることになり、これによってクランプ爪６
は拡開して、ディスク部材１の内周面に当接することに
なる。そして、この状態からさらに楔部材７を移動させ
てクランプ爪６を拡開させる方向に押圧すると、該クラ
ンプ爪６のクランプ面6aがディスク部材１の内周面に圧
接せしめられることになり、このときにばね性を有する
フラップ部片５は撓められて、この撓み量の大きさに大
じたクランプ力を発揮する。従って、この楔部材７の移
動量を調整すれば、クランプ爪６によるディスク部材１
のクランプ力の調整を行うことができ、ディスク部材１
の回転速度、加工の種類等に応じて適正なクランプ力を
発揮させることができる。

なお、この場合において、フラップ部片５の自由状態と
なった非クランプ状態にあるときに、クランプ面6aがデ
ィスク部材１の内周縁部より僅かに小径となるように設
定しておくことによって、クランプ時におけるフラップ
部片５は少ない変位量で大きなクランプ力を発揮させる
ことができるようになる。

前述のようにしてクランプ爪６によってディスク部材１
をクランプした後に、ハンドラ10を該ディスク部材１か
ら離間させると共に、位置決め部材９を後退させ、この
状態で、主軸３を回転させ、また研磨ヘッド等適宜の作
業装置を用いてこのディスク部材１に対して所定の作業
を行う。この場合において、クランプ装置２におけるク
ランプ爪６はディスク部材１と略同一の厚みを有するも
のであるから、ディスク部材１の表裏各面とクランプ爪
６の表裏各側面とがほぼ同一面を形成するようになり、
このために該ディスク部材１の加工や検査をその内周縁
部まで支障なく行うことができ、この結果、該ディスク
部材１の内周縁部まで確実に記録膜の形成を行うことが
できるようになる。また、ディスク部材１はフラップ部
５のばね力によって生じるクランプ爪６のディスク部材
１の内周面に対する圧接力によって該ディスク部材１は
極めて安定した状態に支持されるようになって、主軸３
によってディスク部材１を高速で回転駆動しながら作業
を行う場合にも、それがみだりに板厚方向に振動したり
する不都合を生じることはない。

而して、このクランプ装置２によってディスク部材１を
クランプした状態で該ディスク部材１に特定の作業を行
うに当って、研磨液や磁性体等が使用されるが、楔部材
８とフラップ部片５の摺動部5aとは弾性シール材８によ
って密封されているので、これらの摺接面にかかる異物
が混入したり、またこれとは逆に楔部材７と摺動部5aと
の間の摺動動作時に発生する塵埃等がディスク部材１に
付着するおそれはない。しかも、前記フラップ部片５は
楔部材８の作動によって半径方向に湾曲変形するもので
はあるが、該フラップ部片５，５間に充填した弾性シー
ル材８はこのフラップ部片５の変位に追従して弾性変形
するので、該弾性シール材８によるシール機能が損なわ
れることはない。

前述のようにしてディスク部材１の加工が完了すると、
該ディスク部材１の外周面等を支持する適宜のハンドラ
によって次工程に搬送されるが、このときに、楔部材８
を前述の作動方向とは反対方向に変位させることによ
り、フラップ部片５はそのばね性によって自由状態に復
帰し、クランプ爪６は非クランプ状態に変位する。

なお、前述の実施例においては、主軸３にフラップ部片
を６片設ける構成としたものを示したが、これは工作上
の便宜に基づくもので、ディスク部材１の内周の３点を
支持させるために少なくとも３片設けるようにしておけ
ばよい。また、主軸３を回転駆動するようにしたが、デ
ィスク部材１を静止状態に保持してそれに対して作業を
行う場合においては、該主軸３を回転駆動部材に連結す
る必要がないことはいうまでもない。さらに、クランプ
爪は略円板状の部材に主軸に形成したスリット溝に連続
するスリット溝を設けることによって形成したが、要は
ディスク部材の内周面に当接するクランプ面が形成され
ておればよく、必ずしもそれを円板状に形成する必要は
ない。さらにまた、作動部材として截頭円錐形の楔部材
で形成するようにしたが、例えば球形等の形状を有する
楔部材を使用することもできる。

［発明の効果］ 以上詳述したように、本発明は、主軸に連設したディス
ク部材の板厚と略同一の厚みを有するクランプ爪を拡開
させる方向に変位させることによってディスク部材の内
周面をクランプさせるように構成したから、該クランプ
爪をディスク部材の表裏各面と同一平面となる状態でク
ランプさせることができるようになり、該ディスク部材
の内周縁部にまで加工を施すことができるようになるの
で、当該部分にも円滑に記録膜を形成することができる
ようになり、しかもクランプ爪はディスク部材とほぼ同
じ厚みに形成されているから、該ディスク部材の内周縁
部における加工を極めて円滑に行うことができ、また位
置決め部材を用いてディスク部材を正確に位置決めした
状態でクランプ爪を作動させることができるので、クラ
ンプ爪を確実にディスク部材に面接触させて、安定的に
クランプできるようになり、さらには作動部材とフラッ
プ部片との間の摺接部は弾性シール部材によって外部と
隔絶されているから、研磨液や磁性体塗液等が摺接部に
付着したり、また逆に摩耗粉等の異物がディスク部材に
付着したりするのを防止できる等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は本発明の第１の実施例を示すもの
で、第１図はクランプ装置の断面図、第２図はその斜視
図、第３図は平面図である。 １：ディスク部材、２：クランプ装置、３：主軸、４：
スリット溝、５：フラップ部片、5a：摺動部、６：クラ
ンプ爪、6a：クランプ面、７：楔部材、８：弾性シール
部材

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】円環状板体からなるディスク部材の内周面
   と係合して、該ディスク部材を支持した状態で、該ディ
   スク部材の表裏両面に対する加工を可能ならしめるよう
   にしたものにおいて、中空円筒状に形成した主軸に、そ
   の先端開口部に向けて軸線方向に割り込みを設けること
   によって少なくとも３片のフラップ部片を形成し、前記
   ディスク部材の板厚と略同一の厚みを有するクランプ爪
   を該各フラップ部片に半径方向外方に突設し、これら各
   フラップ部片の内面に傾斜した摺動部を形成すると共
   に、該各摺動部と摺接する作動部材を前記主軸の軸線方
   向に変位可能に装着し、また前記主軸の外周には、前記
   クランプ爪に近接・離間する位置決め部材を該主軸をガ
   イドとして往復変位可能に設け、該位置決め部材によっ
   て、前記ディスク部材を位置決めした状態で、前記作動
   部材によって前記各フラップ部片を各クランプ爪と共に
   半径方向外方に変位させて、該各クランプ爪を前記ディ
   スク部材の内周面に圧接させることにより、該ディスク
   部材をクランプさせるようになし、また前記割り込み部
   及び主軸の先端部には、弾性シール部材を設けることに
   よって、前記作動部材とフラップ部片との間の摺動部を
   密閉する構成したことを特徴とするディスク部材のクラ
   ンプ装置。