JPH06504323A - 金属酸化物の還元方法およびそのための容器 - Google Patents
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Abstract
(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるため要約のデータは記録されません。
Description
【発明の詳細な説明】
金属酸化物の還元
本発明は、金属酸化物特に鉄鉱石の還元方法とこの方法に用いるための容器に関
する。
鉄鉱石の還元方法で特に重要なものとして2つの方法がある。
先ず第1の方法では、鉄鉱石(望ましくは予熱および予備還元されたもの)と石
炭とを容器内の鉄浴中または鉄浴上に注入する。石炭は鉄浴中に溶は込み、鉄鉱
石は還元されて溶融鉄になる。この方法では、鉄浴上方のガス空間内に酸素含有
ガスを注入して、鉄浴からのCOおよびHlを後燃焼させることにより、放出さ
れるエネルギーの多くが鉄浴に伝達されるようにする。この方法の望ましい態様
においては、石炭と酸素含有ガスとを底部羽目から鉄浴中に注入することにより
、溶融鉄および溶融スラグの液滴および液流をガス空間内へ吹き上げさせ、co
およびH3の後燃焼によって放出されたエネルギーの伝達を効率良(行うための
媒体とする。しかしこの方法は、鉄浴へのエネルギー伝達を効率良くに行い、鉄
鉱石の還元が吸熱反応であることによる鉄浴の熱損失を補うという利点はあるが
、ガス空間内へ噴出した溶融鉄の一部が酸化され、鉄浴内でこれが再度還元され
なければならないという欠点がある。
第2の方法では、比較的厚いスラグ層で溶融鉄をガス空間から分離すると共に底
吹き速度を下げることによって、上記のような望ましくない溶融鉄の酸化現象を
回避する。これにより溶融鉄とガス空間との接触は最小限になる。この方法の最
大の欠点は、ガス空間内で後燃焼により発生したエネルギーを鉄浴へ効率良(伝
達することが難しい点である。またもう一つの欠点は、エネルギー伝達が悪いた
め排ガス温度が高くなり、容器の耐火ライニングの損耗が早まることである。
本発明の目的は、上記公知技術の欠点を軽減した鉄鉱石の還元方法を提供するこ
とである。
本発明によれば、金属層とスラグ層とを含んで成る溶融浴を収容した容器内で金
属酸化物を還元する方法であって、下記の工程:(a)上記浴内および/または
浴上へ金属酸化物と炭素質材料とを注入し、この金属酸化物を上記金属層内で溶
解および還元して金属にする工程、
(b)上記スラグ層内へガスを注入して、溶融スラグの一部、液滴、スプラッシ
ュおよび/または液流を、上記金属層の金属の混入が極力少ない状態で、上記浴
の上方にあるガス空間内へ噴出あるいは吹き出させる工程、および
(C)上記ガス空間内へ酸素含有ガスを注入してCOおよび存在するH3を後燃
焼させ、この後燃焼により発生した熱を上記のスラグの一部、スプラッシュおよ
び/または液流に直接伝達する工程を含んで成る金属酸化物の還元方法が提供さ
れる。
本明細書において用語「金属層」は、実質的に金属から成る層を意味する。
本明細書において用語「スラグ層」は、実質的にスラグから成る層を意味する。
具体的には、スラグ層が金属層と浴上力のガス空間とを分離し、ガス空間内のC
OおよびH7の酸化と金属層内の金属の還元とが相互に干渉し合わないようにす
る。また、スラグ層内へ直接にガスを注入することによって、ガス空間内のCO
および(存在する)Hlの後燃焼で発生した熱をスラグ層へ、そして金属層へ効
率良く伝達させ、金属酸化物の還元による熱損失を補うことができる。
望ましくは、金属酸化物と炭素質材料を個々に洛中と浴上に注入する。
望ましくは、炭素質材料としては、石炭、アルミニウム精錬炉の使用済み容器ラ
イニング、および排出スラッジから成る群から選択した一種または二種以上を用
いる。特に望ましくは、炭素質材料として石炭を用いる。
望ましくは、スラグ層内へ注入するガスは、不活性ガス、リサイクルされたプロ
セスガス、Co5Co! 、天然ガス、プロパン、またはブタンの内の一種また
は二種から選択される。特に望ましくは、上記不活性ガスは窒素である。
本発明の望ましい態様によれば、スラグ層内へのガス注入手段の流出口を、容器
の側壁から距離を置いたスラグ層の浴表面の下に配置する。
スラグ層中へのガス流の導入を、転炉状の容器の側壁羽目で行う場合のように容
器の側壁から直接に行うのではなく、側壁から距離を置いた位置で行うことに利
点がある。スラグの一部、液滴および/または液流から成る噴出ゾーンを形成す
るために、またそれによりスラグ層の表面積を拡大するために、スラグ層内への
ガス注入手段をこのガスの注入用羽口直径の5倍以上に相当する距離だけ容器壁
から離して配置することが有利であることが分かった。この容器壁は、例えば円
筒状精錬反応炉に有るような鉛直の壁の形であってよい。この壁が傾斜している
場合(例えば円錐状の場合)には、スラグ層の移動しない表面が容器壁と接触し
ている線が、注入羽口までの距離を算出する起点となる。羽目直径すなわち考慮
すべき外径は、10mmから150mmまでの範囲、望ましくは25mmから6
0mmまでの範囲である。
本発明の望ましい態様によれば、スラグ層中へのガス注入は、スラグ層表面へ向
かう方向で行う。このガス導入は、スラグ層表面に対して垂直であってもよく、
またその方が望ましいし、あるいはスラグ層表面に対して傾斜していてもよい。
このガス導入方式は、スラグ層表面から離れた位置でそれに傾斜させて行うガス
導入方式や、スラグ層表面に平行に行うガス導入方式とは全く異なる。この望ま
しいガス導入方式は噴出ゾーンの形成を促進し、容器ライニングの損耗を少なく
する。
望ましくは、酸素含有ガスは、酸素、空気および水蒸気から成る群から選択する
。特に望ましいのは、空気を予備加熱したものである。
本発明によれば、金属酸化物還元用の容器であって、この容器は金属層とその上
のスラブ層とを含んで成る溶融浴を保持するのに適しており、下記の構成要素:
(a)金属酸化物が上記金属層内で溶解および還元されて金属になるように、上
記浴内および/または浴上へ金属酸化物と炭素質材料とを注入し手段、
(b)溶融スラグの一部、液滴、スプラッシュおよび/または液流を、上記金属
層の金属の混入が極力少ない状態で、上記浴の上方にあるガス空間内へ噴出させ
るために、上記スラグ層内へガスを注入する手段、および
(c)Coおよび存在するHlを後燃焼させ、この後燃焼により発生した熱を上
記のスラグのスプラッシュおよび/または液流に直接伝達するために、上記ガス
空間内へ酸素含有ガスを注入する手段を含んで成る金属酸化物の還元用容器が提
供される。
望ましくは、容器の基底部を上段部分と下段部分とを含んで構成し、操業時に金
属層は下段部分の上で上段部分の高さ以下に存在させ、スラグ層はこの金属層の
上と上段部分の上とに存在させる。
このような構成においては、スラグ層中へのガス注入手段は、上段部分を貫通し
て延びた羽口を含んで成ることが望ましい。
また、金属層中への金属酸化物および/または炭素質材料の注入手段は、下段部
分を貫通して延びた羽口を含んで成ることが望ましい。
本発明による酸化物還元用容器の望ましい態様を模式的に図示した添付図面を参
照して、本発明をより詳細に説明する。
以下、鉄鉱石および/または部分還元済鉄鉱石の還元について本発明の望ましい
態様を説明するが、本発明の適用対象はこれに限定されることはなく、種々の金
属酸化物に対しても適用できることは勿論である。
図示した容器は、金属製の外殻と耐火材料製の内側ライニングとから成り、操業
時には金属層3とスラグ層5とを含んで成る溶融鉄浴がこの容器内に収容される
。この容器は傾斜した軸21の周りに回転できるように支持されており、はぼ円
錐形をした上部開口端23から廃ガスを排出するようになっている。
この容器の基底部は下段部分7と上段部分9とを有し、操業時には、金属層3が
上段部分9のレベル以下の範囲に存在するように溶融鉄浴を制御する。
この容器は更に、羽口11が下段部分7を貫通して延びており、また部分的に予
備還元した鉄鉱石および/または石炭等の適当な炭素質材料を鉄浴中または鉄浴
上へ注入するための羽口13が上部壁15を貫通して延びている。
この容器は更に、羽口17が上段部分9を貫通して延びており、これに用いて窒
素等の適当なガスをスラグ層5内へ注入してスラグ層5を攪拌し、溶融スラグの
液滴および/または液流を鉄浴上方のガス空間内へ噴き上げさせる。
羽口17は、上段部分9の底部内であって容器側壁から距離10の位置に設けで
ある。側壁からの距離は300mmであり、これは羽口外径30mmの10倍で
ある。
この容器は更に、ノズル19が上部壁15を貫通してガス空間内にまで延びてお
り、溶融スラグの液滴および/または液流が噴き上げられているゾーン27(以
下「後燃焼ゾーン」と呼称する)の方へ、予熱された空気等の適当な酸素含有ガ
スの流れを送り込む。
操業時には、本発明の方法の望ましい態様によれば、鉄浴中および/または鉄浴
上へ注入された鉄鉱石が金属層3内で還元され、金属層3内で発生した反応ガス
COおよびHlが後燃焼ゾーン27内で後燃焼され、これにより発生したエネル
ギーが金属層3へ伝達されて金属層3の熱バランスを維持する。ここで、スラグ
層5中への窒素注入が羽口17を通して行われ、金属層3には直接に当たらない
ので、金属層3が比較的静止したゾーンであることが容易に理解されよう。この
ようにして、後燃焼ゾーン27内へ噴き上げられる溶融鉄が極めて少なくなる。
そして注目すべき点は、後燃焼ゾーン内で発生したエネルギーの熱伝達効率に影
響せずに、上記の過程が行われるという点である。このように事実上スラブ層5
が金属層3と後燃焼ゾーン27とを分離しているので、後燃焼ゾーン27内での
COおよび(もし存在すれば)Hzの酸化反応と金属層内での金属酸化物の還元
反応とが互いに影響し合うことがない。
更に、図に示したように、望ましい態様においては、鉄浴表面上への鉄鉱石およ
び/または石炭の注入用上部羽口13と後燃焼ゾーン27とを容器の反対側の部
位に配置することによって、金属層3と後燃焼ゾーンとの分離を更に明確にする
。
本発明の望ましい実施態様の利点を以下の実施例によって明示する。
溶融鉄Itを製造するために、温度800℃のFeOを1250kgと揮発成分
が約30%の石炭350kgとを、上部羽口13から鉄浴上へ注入した。同時に
、鉄鉱石ファイン200kg、廃ガス浄化で回収した微粉ダスト50kg、石炭
80kgを、底部羽口11から鉄浴中へ注入し、1300″Cの高温空気145
ONm’をノズル19から後燃焼ゾーン27内へ吹込み、窒素30〜30ONm
”を底部羽口17からスラグ層5内へ注入した。溶融鉄浴の温度は約1500°
Cであり、廃ガス温度は約1650℃であった。後燃焼ゾーン27から金属層3
へのエネルギー伝達の効率は約90%であった。
本発明の精神および範囲を逸脱することなく上記望ましい実施態様の改変は種々
可能である。
この観点で、容器の望ましい態様は2つの股部分を有しているが、このことは本
発明に必須の特徴ではなく、スラグ層5中への窒素等のガスの直接注入は、上記
以外の手段、例えば単一段の基底部の底部から金属層を貫通して延びて配置した
ノズルによって行うこともできる。
容器が傾斜壁部を有する望ましい実施態様によれば、スラグ層5内へのガス導入
用ノズルは、スラグ表面が側壁と接する点から距離10を置いて配置される。
+□A1、− PCT/EP 91102501フ白ントページの続き
(81)指定回 EP(AT、BE、CH,DE。
DK、ES、FR,GB、GR,IT、LU、MC,NL、SE)、0A(BF
、BJ、CF、CG、CI、CM、GA、GN、ML、MR,SN、TD、TG
)、AT、AU、BB、BG、BR,CA、CH,C3,DE。
DK、ES、FI、GB、HU、JP、KP、KR,LK、LU、MG、MN、
MW、NL、No、PL、RO、SD、SE、SU、US
Claims (19)
- 1.金属層とスラグ層とを含んで成る溶融浴を収容した容器内で金属酸化物を還 元する方法であって、下記の工程:(a)上記浴内および/または浴上へ金属酸 化物と炭素質材料とを注入し、この金属酸化物を上記金属層内で溶解および還元 して金属にする工程、 (b)上記スラグ層内へガスを注入して、溶融スラグの一部、液滴、スプラッシ ュおよび/または液流を、上記金属層の金属の混入が極力少ない状態で、上記浴 の上方にあるガス空間内へ噴出あるいは吹き出させる工程、および (c)上記ガス空間内へ酸素含有ガスを注入してCOおよび存在するH2を後燃 焼させ、この後燃焼により発生した熱を上記のスラグの一部、スプラッシュおよ び/または液流に直接伝達する工程を含んで成る金属酸化物の還元方法。
- 2.前記金属酸化物および炭素質材料がそれぞれ前記浴内および浴上へ注入され る請求項1記載の方法。
- 3.前記炭素質材料が、石炭、アルミニウム精煉炉での使用済み容器ライニング 、および排出スラッジから成る群の一種または二種以上から選択される請求項1 または2記載の方法。
- 4.前記炭素質材料が石炭を含んで成る請求項3記載の方法。
- 5.前記ガスが容器側壁から距離を置いた位置で前記スラグ層中へ注入される先 行する請求項のいずれか1項記載の方法。
- 6.前記スラグ層中へガスを注入するための羽口の、容器側壁からの距離が、羽 口直径のすくなくとも5倍である請求項5記載の方法。
- 7.スラグ層中へ注入される前記ガスが、スラグ層表面へ向かって注入される先 行する請求項のいずれか1項記載の方法。
- 8.スラグ層中へ注入される前記ガスが、スラグ層表面に対して垂直に注入され る請求項7記載の方法。
- 9.スラグ層中へ注入される前記ガスが、不活性ガス、リサイクルされたプロセ スガス、CO、CO2、天然ガス、プロパンまたはブタンの一種または二種以上 から選択される先行する請求項のいずれか1項記載の方法。
- 10.前記不活性ガスが窒素である請求項9記載の方法。
- 11.前記酸素含有ガスが、酸素、室気および水蒸気から成る群から選択される 先行する請求項のいずれか1項記載の方法。
- 12.金属酸化物還元用の容器であって、金層層とその上のスラグ層とを含んで 成る溶融浴を保持するのに適しており、下記の構成要素:(a)金属酸化物が上 記金属層内で溶解および還元されて金属になるように、上記浴内および/または 浴上へ金属酸化物と炭素質材料とを注入し手段、 (b)溶融スラグの一部、液滴、スプラッシュおよび/または液流を、上記金属 層の金属の混入が極力少ない状態で、上記浴の上方にあるガス空間内へ噴出させ るために、上記スラグ層内へガスを注入する手段、および (c)COおよび存在するH2を後燃焼させ、この後燃焼により発生した熱を上 記のスラグの一部、液滴および/または液流に直接伝達するために、上記ガス空 間内へ酸素含有ガスを注入する手段を含んで成る金属酸化物の還元用容器。
- 13.前記容器の基底部が下段部分と上段部分とを含んで成り、それにより、操 業時に金属層は上記下段部分の上で上記上段部分の高さ以下の範囲に存在し、ス ラグ層は上記金属層の上と上記上段部分の上に存在するようにした請求項12記 載の容器。
- 14.前記スラグ層中へガスを注入するための手段が前記上段部分を貫通して延 びた羽口を含んで成る請求項13記載の容器。
- 15.前記金属層中へ金属酸化物および/または炭素質材料を注入するための手 段が上記下段部分を貫通して延びた羽口を含んで成る請求項14記載の容器。
- 16.前記スラグ層中へガスを注入するための手段が容器側壁から距離を置いて 配置されている先行する請求項のいずれか1項記載の容器。
- 17.前記スラグ層中へガスを注入するための羽口の、前記側壁からの距離が、 羽口外径のすくなくとも5倍である請求項16記載の容器。
- 18.前記スラグ層中へガスを注入するための手段がスラグ層表面の方に向けて ある先行する請求項のいずれか1項記載の容器。
- 19.前記スラグ層中へガスを注入するための手段がスラグ層表面に対して垂直 に配置されている請求項18記載の容器。
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