JP2005139504A - 溶銑予備処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】脱珪・脱燐速度を従来より十分に向上させるばかりでなく、混銑車の溶銑受入口での凝固滓の付着問題をも解消可能な溶銑予備処理方法を提供する。
【解決手段】容器内に保持した溶銑2に複数本のランスを介して酸化剤を吹込み、該溶銑の脱珪及び脱燐を行う溶銑予備処理方法である。処理当初は、前記ランスのうちの一本又は数本に、先端が逆Y字形の多孔ランス5を採用して、酸素ガス8を溶銑に上吹きすると同時に、別のランスを溶銑中に浸漬し、その浸漬ランスから酸化鉄を溶銑中に吹込む。該溶銑の燐が予定濃度に達した後は、前記多孔ランスの先端を前記浸漬ランスの深さより浅い位置に浸漬して、溶銑の上下方向で互いに前記ランスを離隔させた状態で酸化鉄を吹込む。
【選択図】 図1
【解決手段】容器内に保持した溶銑2に複数本のランスを介して酸化剤を吹込み、該溶銑の脱珪及び脱燐を行う溶銑予備処理方法である。処理当初は、前記ランスのうちの一本又は数本に、先端が逆Y字形の多孔ランス5を採用して、酸素ガス8を溶銑に上吹きすると同時に、別のランスを溶銑中に浸漬し、その浸漬ランスから酸化鉄を溶銑中に吹込む。該溶銑の燐が予定濃度に達した後は、前記多孔ランスの先端を前記浸漬ランスの深さより浅い位置に浸漬して、溶銑の上下方向で互いに前記ランスを離隔させた状態で酸化鉄を吹込む。
【選択図】 図1
Description
本発明は、溶銑予備処理方法に係わり、詳しくは、混銑車、溶銑鍋等の容器内に保持した溶銑に、ランスを介して酸化剤を吹込み、脱珪・脱燐する溶銑予備処理技術の改良に関する。
近年、製鋼工程では、転炉吹錬の負荷軽減、製鋼トータルコストのミニマム化を図るため、溶銑が含有する珪素(元素記号Si)、燐(元素記号P)を、転炉での酸素吹錬の前に予め酸化剤等を用いて除去する所謂「溶銑予備処理」が普及している。
その処理方式は、使用する容器(例えば、転炉、溶銑鍋、混銑車等)に応じて様々であるが、混銑車、溶銑鍋等の容器に保持した溶銑へランスを浸漬し、該ランスを介して酸化剤(固体酸素源(酸化鉄)、気体酸素源等)や塩基度調整剤(石灰系フラックス等)を吹き込む方式が多用されている。その理由は、容器に転炉を採用する方式と比べて、酸化剤の反応効率が高く、処理コストが低いという利点にある。なお、この処理方式では、珪素は燐より酸素との親和力が大きいので、脱珪が脱燐に優先して起きることになる。つまり、処理の開始当初は、脱珪が支配的で、珪素がある程度低減してから脱燐が優勢になる。
ところで、このような混銑車あるいは溶銑鍋を容器にした処理方式では、処理効率をさらに向上させるため、最近は、複数本のランスを同時に利用する技術が注目を浴びている。
例えば、混銑車内に保持された溶銑中に浸漬ランスを介して酸化剤をキャリアガスと共に吹き込む溶銑の脱燐方法において、図4に示すように、前記浸漬ランス1を複数本使用し、溶銑2中の異なった位置に同時に酸化剤3を吹き込む技術が提案されている(特許文献1参照)。また、同様な混銑車4内に保持された溶銑2中に浸漬ランス1を介して酸化剤3をキャリアガスと共に吹き込む溶銑の脱燐方法において、2本の浸漬ランス1の先端を、溶銑2の上下方向で互いに離隔し、且つ同一方向に向けて配置すると共に、1本のランスからの酸素供給速度(QO2:m3(標準状態)/min/t)をQO2:≦0.13として酸化剤を吹き込むようにした技術も開示されている(特許文献2参照)。そして、これらの技術によれば、反応界面積の増加と酸化剤の分散が達成でき、確かに従来より高効率で溶銑の脱珪、脱燐ができるようになった。
しかしながら、これらの技術を処理当初の脱珪が主体の時期から適用すると、スラグのフォーミングが多発し、該フォーミングの防止剤(炭素系物質等)を添加したり、処理を中断してスラグフォーミングの沈静化を図る必要があり、処理時間の延長が避けられない。また、酸化剤の吹込み効率(溶銑中に単に吹き込まれる程度)は良いものの、酸化剤の反応効率(通常は、下記の脱珪外脱燐酸素効率で評価する)の低下をきたすとの問題がある。
脱珪外脱燐酸素効率=溶銑中燐の酸化に用いられた酸素量/(溶銑中に吹き込んだ全酸素量−Siの酸化に使用された酸素量)(×100%) ……(1)
ここに、式(1)右辺の各酸素量の単位は、m3(標準状態)/溶銑tである。
ここに、式(1)右辺の各酸素量の単位は、m3(標準状態)/溶銑tである。
このように、上記従来の技術では、脱珪・脱燐速度の充分な向上が得られておらず、溶銑予備処理全体の処理時間を十分に短縮できていない問題がある他、処理コストが嵩むという問題もあった。
さらに、脱珪・脱燐効率の阻害因子として、処理容器へ凝固滓が付着し、それが処理作業を円滑にさせないという問題もある。特に、混銑車では、溶銑の受入れ不良の問題が発生し易い。これは、混銑車の溶銑受入口の内面壁にガラ(凝固滓)が多量に付着して、ランスの容器内への挿入を困難にする、あるいはランスが挿入できたとしても、スラグフォーミングの影響を受けて溶銑が流出するため、処理を断念せぎるを得なくなるという問題である。加えて、脱燐が主体となる時期に溶銑温度の低下が大きいと、その後の脱硫処理時に、溶銑を撹拌するインペラや溶銑鍋に地金が付き、脱硫処理に支障が起きる。そのため、溶銑を十分に脱燐せずに脱硫工程へ移行させることにもなる。上記の従来技術では、このような問題を解決することは困難であった。
特開2002−69519号公報(2頁右欄下から4行〜3頁右欄7行、図6)
特開2002−146423号(2頁右欄下から11行〜3頁左欄3行、図1)
本発明は、かかる事情に鑑み、脱珪・脱燐速度を従来より十分に向上させるばかりでなく、混銑車の溶銑受入口での凝固滓の付着問題をも解消可能な溶銑予備処理方法を提供することを目的としている。
発明者は、上記目的を達成するため、上記した従来技術のさらなる改良に努力し、その成果を本発明に具現化した。
すなわち、本発明は、容器内に保持した溶銑に複数本のランスを介して酸化剤を吹込み、該溶銑の脱珪及び脱燐を行う溶銑予備処理方法において、処理当初は、前記ランスのうちの一本又は数本に、先端が逆Y字形の多孔ランスを採用して、酸素ガスを溶銑に上吹きすると同時に、別のランスを溶銑中に浸漬し、その浸漬ランスから酸化鉄を溶銑中に吹込み、該溶銑の燐が予定濃度に達した後は、前記多孔ランスの先端を前記浸漬ランスの深さより浅い位置に浸漬して、溶銑の上下方向で互いに前記ランスを離隔させた状態で酸化鉄を吹込むことを特徴とする溶銑予備処理方法である。
この場合、前記溶銑の燐が予定濃度に達した後は、前記多孔ランスの浸漬深さを、溶銑の浴面下1m以内で、且つ前記浸漬ランスの浸漬深さより0.1m以上浅くするのが好ましい。また、前記処理の終了時には、浸漬したランスのいずれかを溶銑浴面の上方まで上昇させ、それを介して酸素ガスを溶銑に吹き付けるのが良い。さらに、前記燐の予定濃度を0.08質量%以下(0は含まず)としたり、あるいは前記容器を混銑車又は取鍋とするのが良い。
本発明では、酸化鉄等を溶銑中へ吹き込むランスを複数本用い、それらの溶銑内における浸漬深さを相互に違えるばかりでなく、処理中の各ランスの使用時期を適正化して酸化鉄や塩基度調整剤の吹込みを行うので、脱燐反応時間の短縮が図られる他、脱燐反応が停滞する脱燐期(脱燐が主体になる時期)の未期での酸化剤の反応効率を向上させ、且つ酸化鉄の使用量も削減できるようになる。また、形状を改善したランスから酸素ガスを溶銑へ吹き付けたり、酸化鉄を溶銑中に分散し易くするようにしたので、脱珪期(脱珪が優先的に起きる時期)でのスラグ滓化向上、脱燐期での溶銑温度低下が達成されると共に、溶銑から発生してくるCOガスの二次燃焼を促進し、容器壁への凝固滓の付着が抑制されるようになる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を、溶銑の保持容器を混銑車、ランスを二本とした例で説明する。
まず、本発明では、処理当初は、図5に示した混銑車4の溶銑2に浸漬される浸漬ランス1のうちの一本に、先端が逆Y字形のランス(以下、多孔ランス5という)を採用し、溶銑予備処理の当初は図4に示すように、多孔ランス5を溶銑中に浸漬させずに、酸素ガス(以下、気酸8という)を溶銑の浴面に上吹きすると同時に、浸漬ランス1を溶銑中に深く浸漬し、その浸漬ランス1から固体酸素源(酸化鉄)3を溶銑中に吹込むようにした。なお、記号9はスラグを表す。
溶銑予備処理の当初、すなわち、前記脱珪期に気酸8を溶銑2の浴面に上吹きするのは、前記したように、形成されるスラグ9の滓化を促進し、固体酸素源3との反応で生じた酸化珪素や酸化燐をスラグへ速やかに移行すると共に、その後の脱燐期(脱燐が主体になる時期)における溶銑温度の極度な低下を防止するためである。そして、本発明の重要ポイントは、使用するランスのうちの一本に、図1に示すような先端が逆Y字形の多孔ランス5を採用することにある。通常、上吹き気酸8の量が多いと、溶銑2のスロッピングが激しくなるが、このような形状の多孔ランス5を使用すると、気酸8の垂直方向への分力が弱まり、スロッピングの抑制になるからである。さらには、溶銑浴面上に予備処理に伴って存在するCOガスの燃焼にも有効で、二次燃焼を活発にして容器壁への地金や凝固滓の付着を二次燃焼によって抑制する効果もある。なお、図1には2孔の例を示したが、蛸足状になる3孔以上のランスであっても良い。また、上記した浸漬ランスとしては、混銑車で従来より利用されている単管で、先端が水平に曲げられた形状のランス等が使用できる。
この脱珪期での酸化鉄の吹き込みは、前記浸漬ランスを介してのみ行い、形成されるスラグの塩基度を調整したり、スラグの粘性を低下させるため、石灰系フラックス(石灰、生石灰、必要に応じ蛍石等、以下、塩基度調整剤6という)の吹き込みも同時に行う。なお、本明細書では、「酸化鉄」及び「酸化剤」の2つの言葉を使い分けているが、酸化剤とは、酸化鉄含有物質等の固体酸素源(例えば、酸化鉄)及び気酸の2種類を合わせたものを言う。また、気酸は、酸素濃度99%以上の純酸素でも、あるいは、酸化鉄含有物質の搬送気体(例えば、空気、不活性ガス等)に純酸素を加えたもののいずれでもかまわない。さらに、固体酸素源や塩基度調整剤6は、粉粒状にして前記搬送気体により吹き込むことになる。固体酸素源としては、酸化鉄の他、高炉原料の焼結鉱や鉄鉱石の粉体、製鉄ダスト、ミルスケール等の酸化鉄含有物質が使用できる。
前記脱珪期に引き続き、溶銑の脱珪・脱燐が進行し、珪素や燐の含有量が低下し、燐が予定濃度に達した後の脱燐は、本発明においては、前記浸漬ランスに加え、前記多孔ランスの先端を前記浸漬ランスの深さより浅い位置に浸漬して、溶銑の上下方向で互いに前記ランスを離隔させた状態で酸化鉄を吹込む脱燐処理を行う。浸漬ランス及び多孔ランスの両方のランスを介して溶銑中の異なる位置で酸化鉄を吹き込むことにより、酸素供給速度を局所的に過剰に増加させることなく、トータルの酸素供給速度を大きくすることができ、この結果、反応が促進されて、脱燐期の末期に脱燐反応の停滞を起こすことなく、速やかな脱燐進行ができるからである。また、前記燐の予定濃度とは、脱燐期において脱燐反応が停滞する燐の低燐濃度領域をさすものである。
すなわち、脱燐効率は、脱燐酸素効率で評価でき、脱燐酸素効率は、
脱燐酸素効率=溶銑中燐の酸化に用いられた酸素量/(溶銑中に吹き込んだ全酸素量―Siの酸化に使用された酸素量)(×100%)で表されるが、この脱燐酸素効率が脱燐期の末期に停滞する。この停滞する燐の濃度である低濃度領域に達した段階を、本発明では、前記したように、燐の予定濃度の段階として、多孔ランスの浸漬処理を行い、反応停滞の解消を図るものである。
脱燐酸素効率=溶銑中燐の酸化に用いられた酸素量/(溶銑中に吹き込んだ全酸素量―Siの酸化に使用された酸素量)(×100%)で表されるが、この脱燐酸素効率が脱燐期の末期に停滞する。この停滞する燐の濃度である低濃度領域に達した段階を、本発明では、前記したように、燐の予定濃度の段階として、多孔ランスの浸漬処理を行い、反応停滞の解消を図るものである。
この反応停滞の領域は、実験でも求めることができるが、燐濃度が0.007〜0.008質量%になる時期が該当し、0.008質量%以下では脱燐反応が停滞して、処理時間増加並びに溶銑中に吹き込んだ酸化鉄若しくは酸化剤の脱酸素効率の低下を生じる。本発明においては、前記したように燐濃度が0.008質量%までに脱燐された時期(燐が予定濃度に達した時期)に、気酸を溶銑に吹き付けている多孔ランスを溶銑中に浸漬し、該多孔ランスからも酸化鉄あるいは酸化剤の溶銑中への吹き込みを開始する。
図2を用いて、さらに本発明を具体的に説明する。なお、図2は、溶銑中に吹き込む酸化剤として、酸化鉄(以下、固体酸素源という)を用いた例である。酸化剤としては、固体酸化鉄、気体酸素源のいずれも用いることが可能であるが、固体酸素源を用いた理由は、脱珪・脱燐効率としては固体酸素源には、溶銑中で溶融してスラグになることによりスラグ-メタル間反応を促進するから、気体酸素源に比べ反応効率が良い利点があるからである。また、溶銑予備処理初期の溶銑表面へは気体酸素を吹き付け温度降下防止、スラグ付着の低下などを狙った。
図2中、浸漬ランスからの吹き込みを細線で示し、多孔ランスからの吹き込みを太線で示す。
浸漬ランスを溶銑中に浸漬させ、固体酸素源及び生石灰の吹き込みを開始する。まず、この吹き込みにより、優先的にSiが除去される。この脱珪期では、スラグが脱珪の進行につれてフォーミングを起こし易くなるので、溶銑受け入れ口からスラグ溢流が生じないように、浸漬ランスからの酸化鉄の吹き込みは、図2に示すように、徐々にその量を増加させる吹き込みパターンが好ましい。そして、脱燐期に達した段階では、反応効率を高めるため個体酸素源(酸化鉄)の供給速度を所定量まで増加させて、脱燐反応の促進を図るのである。
その間、太線で示す多孔ランスは、溶銑上にあって、脱珪期は、気体酸素を溶銑表面に供給し、前記固体酸素源の吹き込みにより発生するCOの燃焼等によって熱補償を行い、溶銑温度の大幅低下を阻止する。
以上の溶銑予備処理過程は、図2において(A)で示す期間であり、混銑車における溶銑予備処理では、浸漬ランス、多孔ランスの位置関係は、図4で示される状況である。
さらに、前記浸漬ランスの吹き込み継続による脱燐の進行過程の反応停滞域であるP≦0.008質量%に達した段階で、溶銑上の前記多孔ランスを溶銑中に浸漬させ、該多孔ランスの先端位置を、前記浸漬ランスとは浸漬深さを異ならしめ、多孔ランスからの固体酸素源の吹き込みを開始し、浸漬ランス、多孔ランスともに固体酸素源吹き込みを脱燐に必要な期間継続する。このようにすると、同一位置での酸化剤の供給とならず、局所的な酸素ポテンシャル増大を抑止する。つまり、溶銑中の異なる箇所から酸素が供給でき、酸素供給速度を局所的に過剰に増加させることなく(脱炭反応の生起を抑制しながら)、トータルの酸素供給速度を大きくすることができる。その結果、脱燐反応を促進できるばかりでなく、処理時間の短縮や脱燐酸素効率の向上による酸化剤の使用量削減が達成される。
以上の溶銑予備処理過程は、図2において(B)で示す期間であり、混銑車における溶銑予備処理では、浸漬ランス、多孔ランスの位置関係は、図5で示されるように、多孔ランス5が溶銑中に浸漬使用され、浸漬ランス1と多孔ランス5は、浸漬深さのの差Dで深さを異ならしめて浸漬して溶銑予備処理が行われている。この浸漬深さの差Dは、0.1m以上にとるのが好ましく、より好ましくは0.3m以上、最も好ましくは0.5m以上である。また、多孔ランスの浸漬深さは、溶銑の浴面下1m以内とすると、溶銑上に浮遊するスラグが有効に撹拌され、スラグ−メタル間の反応界面積が増加するので好ましい。
なお、図2では、浸漬ランスからの固体酸素源吹き込み量を脱燐の反応停滞域で約50%減少させているが、この脱燐の反応停滞域であるP≦0.008質量%に達した段階で、固体酸素源の吹き込み量を変化させずに継続すると、吹き込み領域は、局所的に過剰な酸素ポテンシャル領域となり、脱燐反応のほか、脱炭反応を生起し、脱燐のために吹き込んだ固体酸素源の脱燐酸素効率低下を誘起することになる。したがって、過剰な酸素ポテンシャルとならないように浸漬ランス側の吹き込み量の低下を図ることが溶銑予備処理コスト低減のためには好ましい。
また、浸漬ランスからの固体酸素源吹き込み量を低下させても、多孔ランスからの固体酸素源の吹き込みが開始されるため、トータルの酸素供給速度は維持でき、脱燐酸素効率は悪化しない。さらに、多孔ランスにより、固体酸素源は、各孔より分散供給されるから、脱燐の反応停滞域であるP≦0.008質量%に達した段階での吹き込みに用いても反応停滞がない。
本発明では、上記のランスの浸漬深さに差をつける他、脱燐処理の終了時、多孔ランス側を上昇させ溶銑上に位置せしめ、多孔ランスからの気体酸素を溶銑面に吹き付ける時期を設けるのが好ましい。これにより、混銑車の溶銑受入口の内壁側に溶銑予備処理に伴って付着した凝固スラグや地金等を溶融除去することができ、前記した混銑車の溶銑受入口の状態不良問題が、別段の設備追加を伴わずに容易に解決できるからである。前記気体酸素の吹き付け量及び吹き付け時間は、凝固スラグ等の付着状況に応じて適宜決定すれば良い。なお、多孔ランスに替えて浸漬ランスを溶銑表面まで上昇させて気体酸素を溶銑面に吹き付けるようにしてもかまわない。
溶銑収容量が280tの混銑車(図4参照)及び2本のランスを用いて、溶銑の予備脱珪・脱燐処理を行った。使用した溶銑の成分は、[Si]濃度:0.20質量%、[P]濃度:0.17質量%である。脱珪・脱燐処理のための酸化剤及び塩基度調整剤の吹込みパターンは、前記図2に示した通りである。
浸漬ランス1は、溶銑2中に浸漬深さ1.5mで挿入し、酸化剤3として、固体酸素源である焼結鉱粉体を採用し、150kg/min(気体換算21.6Nm3/min)で吹込みを開始した。また、同時に、該浸漬ランス1からは、脱珪期問中のスラグ塩基度がほぼ1.0になるように、塩基度調整剤としての生石灰を吹込んだ。
一方、予備処理での溶銑温度の降下を軽減するため、多孔ランス5は、その先端を溶銑浴面の上方に位置おき、10m3(標準状態)/minの気酸だけ溶銑に吹き付けるようにした。そして、溶銑の燐濃度が0.07質量%に低減した時点で、該多孔ランス5を溶銑2中に浸漬し、200kg/minの焼結鉱の粉体吹込みを行うようにした。その浸漬深さは、0.8mである。なお、脱燐期での浸漬ランス1からの焼結鉱粉の吹き込み量は、400kg/min(気体換算57.6m3(標準状態)/min)とした。
その結果、焼結鉱粉体量を徐々に増加させたためか、異常なスラグフォーミングはみられず、約12分間の処理で[Si]濃度は、0.01質量%になり、脱燐期の終了後には「P」濃度が0.050質量%になった。なお、脱燐処理の終了5分前には、多孔ランス5を再度溶銑面上0.5mの高さまで上昇させ、気酸だけを15Nm3/minで噴射したが、混銑車4の溶銑受入口7の内壁面に大きな凝固滓の付着は見出されず、その溶融除去に成功したことも確認できた。
引き続き、以上のような本発明に係る溶銑予備処理を多数チャージ実施し、その操業で得た酸素供給速度と脱燐に使用された酸素反応効率(脱珪外脱燐酸素効率)との関係を図3に整理した(図中の○印)。一方、図中の●印は、一本の浸漬ランスを用いて溶銑中に酸化剤を供給する従来の予備処理方法での結果である。図3より、同じ酸素供給速度で比較すると、本発明による脱珪外脱燐酸素効率が高くなっていることが明らかである。つまり、本発明によれば、脱珪・脱燐処理速度は上昇して高速で脱珪・脱燐処理が可能になる他、脱珪外脱燐酸素効率が高く、酸化剤の使用量も削減できる。
1 浸漬ランス
2 溶銑
3 固体酸素源(酸化剤)
4 容器(混銑車等)
5 多孔ランス
6 スラグ塩基度調整剤(例えば、生石灰)
7 混銑車の溶銑受入口
8 酸素ガス(気酸)
9 スラグ
2 溶銑
3 固体酸素源(酸化剤)
4 容器(混銑車等)
5 多孔ランス
6 スラグ塩基度調整剤(例えば、生石灰)
7 混銑車の溶銑受入口
8 酸素ガス(気酸)
9 スラグ
Claims (5)
- 容器内に保持した溶銑に複数本のランスを介して酸化剤を吹込み、該溶銑の脱珪及び脱燐を行う溶銑予備処理方法において、
処理当初は、前記ランスのうちの一本又は数本に、先端が逆Y字形の多孔ランスを採用して、酸素ガスを溶銑に上吹きすると同時に、別のランスを溶銑中に浸漬し、その浸漬ランスから酸化鉄を溶銑中に吹込み、該溶銑の燐が予定濃度に達した後は、前記多孔ランスの先端を前記浸漬ランスの深さより浅い位置に浸漬して、溶銑の上下方向で互いに前記ランスを離隔させた状態で酸化鉄を吹込むことを特徴とする溶銑予備処理方法。 - 前記多孔ランスの浸漬深さを、溶銑の浴面下1m以内で、且つ前記浸漬ランスの浸漬深さより0.1m以上浅くすることを特徴とする請求項1記載の溶銑予備処理方法。
- 前記処理の終了時には、浸漬したランスのいずれかを溶銑浴面の上方まで上昇させ、それを介して酸素ガスを溶銑に吹き付けることを特徴とする請求項1又は2記載の溶銑予備処理方法。
- 前記燐の予定濃度を0.08質量%以下(0は含まず)とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の溶銑予備処理方法。
- 前記容器を混銑車又は取鍋とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の溶銑予備処理方法。
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