JP3861618B2 - 転炉を用いた溶銑の脱りん方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、転炉を用いた溶銑の脱りん処理、とりわけホタル石等の融点降下剤を用いることなく溶銑の脱りん処理を可能とした、環境規制に適応した技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、鋼板に対する要求性能が高度になるにともない、溶銑段階におけるりんや硫黄の低減が要求されている。このため、従来は主に転炉のみで行っていた、溶銑の脱珪、脱りんおよび脱硫処理を脱炭工程に先だって行う、いわゆる溶銑予備処理を行うことが普及してきている。この溶銑予備処理は、脱炭工程の付加を軽減するだけでなく、製鋼工程におけるトータルコス卜の低減および発生スラグ量の低減などをはかれる利点もある。
【0003】
一方、最近になり、地球環境を保全する観点から、環境に与える負荷の大きい、フッ素やナトリウムの使用を極力控えることが要望されてきている。従って、製鋼工程において融点を下げるための添加剤や脱硫剤としてよく使用される、フッ素を含有するホタル石や、ナトリウムを含有するソーダ灰は、その使用を抑制することが求められている。
【0004】
ここで、溶銑の予備処理工程のうち、脱りん処理は、転炉や取鍋、或いはトピードカーを反応容器として、酸素源やCaO源を投入して実施されるのが一般的である。この脱りん反応は酸化反応であり、溶融スラグとメタルと間の反応により進行する。従って、特に反応容器として転炉を用いた場合は、炉内のフリーボード(溶銑表面と容器上面との間の空間)が大きく、酸素投入速度を大きくできるため、脱りん処理に有利である。
【0005】
例えば、特開平11−269524号公報には、底吹き攪拌と上吹き酸素とによりスラグおよびメタルの攪拌を行い、両者の混合を促進する方法が開示されている。しかし、この方法では、脱りん率が不充分であり、低りん溶銑の溶製は困難である。また、ホタル石使用量として1kg/t未満が好ましいとの記載があり、ホタル石の使用を完全に中止するための技術ではない。
【0006】
また、特開平11−269522号公報には、A12O3を用いる技術が開示されている。しかし、A12O3を用いると、転炉の炉体耐火物保護のために実施するスラグコーティングで生成した耐火物表面の保護層における、溶融剥離が促進され、炉の寿命を低下することが問題になる。
【0007】
さらに、特開平1−188613号公報には、非脱炭酸素効率の推移から吹錬条件を適正化し、スラグの滓化状態を制御することが開示されている。さらにまた、特開昭60−169506号公報には、滓化率を向上させるためにSiO2源を投入することが開示されている。しかし、これらの技術は、脱珪および脱りん処理後の溶銑の脱炭処理に関するものであり、処理中の温度、成分組成等が大きく異なり、溶銑の脱りん処理に適用することは難しいものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明は、ホタル石等の融点降下剤を使用することなく、りん濃度の低い溶銑を溶製し得る方法について提案することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、転炉に装入した溶銑にフラックスを供給するとともに、酸素ガスを上吹きして溶銑の予備処理を行うに当り、転炉に装入した溶銑の表面積SMと、該溶銑の表面における酸素ガスの吹き付け面積SGとの比SG/SMを0.05〜0.30、かつ酸素ガス流量を0.5〜2.5m3(標準状態)/t・minに制御して、溶銑中のりん濃度を0.040mass%以下に調整することを特徴とする転炉を用いた溶銑の脱りん方法である。
【0010】
また、上記の脱りん方法において、溶銑中のりん濃度が0.040〜0.050mass%の範囲では比SG/SMを0.07〜0.30に制御し、それ以降は比SG/SMを0.05〜0.10に制御することが、極低域までの脱りんを行うのに有利である。
【0011】
ここで、転炉に装入した溶銑の表面積SMとは、静止浴面における溶銑の上表面の面積である。そして溶銑の表面における酸素ガスの吹き付け面積SGとは、幾何学的に決まるものであり、具体的には、前述の溶銑表面積SMのうち、酸素ガスが吹きつけられる面積である。
【0012】
【発明の実施の形態】
さて、脱りん反応は酸化反応であるが、CaOが存在しなければ、その反応は進行しないため、従来は、吹錬初期にCaO源を一括投入して吹錬していた。また、脱りん処理後のりん濃度を0.040mass%以下の低域あるいは極低域とするには、ホタル石などのスラグの融点を低下させるフラックスの添加が必要であった。
【0013】
そこで、発明者らは、脱りん反応が溶融スラグとメタルとの間の反応であることから、スラグの溶融割合(滓化率)に着目し、鋭意検討を重ねた。
まず、転炉吹錬において、酸素ガスが溶鋼や溶融スラグと衝突する際の火点は高温であることが知られており、発明者らは、この火点の面積を指標として、スラグの溶融率を制御する手法について鋭意究明した。さらに、酸素ガス流量についても併せて検討した。
【0014】
すなわち、図1に示す転炉1を用いた溶銑2の脱りん処理において、上吹きランス3から溶銑2の表面に向けて酸素ガス4を供給する際、上記した定義に従う吹き付け面積(火点面積)SGと溶銑の表面積SMとの比SG/SMおよび、上吹きランス3から供給される酸素の流量について、その条件を種々に変化して、りん濃度が0.130〜0.140mass%の範囲の溶銑に脱りん処理を施した。なお、溶銑に供給したのは、酸素ガスおよびフラックス(CaO)、酸化鉄である。
【0015】
上記の種々の条件で行った脱りん処理によって得られる溶銑のりん濃度を図2に示すように、まず比SG/SMを0.05〜0.30の範囲に制御することによって、脱りん処理によってりん濃度が0.040mass%以下の低い領域まで脱りんを達成できることがわかる。但し、比SG/SMを0.05〜0.30の範囲に制御した場合にあっても、上吹きランス3からの酸素流量が0.5m3(標準状態)/t・min未満および2.5m3(標準状態)/t・minをこえると、0.040mass%以下の低い領域までの脱りんは実現されない。従って、比SG/SMを0.05〜0.30の範囲に、かつ酸素流量を0.5〜2.5m3(標準状態)/t・minの範囲に、それぞれ制御することが肝要であり、これらの条件下で脱りん処理を行うことによって、ホタル石等の融点降下剤を使用しなくても迅速にりん濃度0.040mass%以下の低濃度域までの脱りんを達成できる。
【0016】
ここで、上記比SG/SMが0.05より小さいと、所望の脱りん率が得られないのは、火点面積が小さすぎて十分なスラグおよびメタル間の攪拌が得られず、スラグの溶融率が低くなるためと考えられる。一方、比SG/SMが0.30より大きいと、所望の脱りん率が得られないのは、溶銑への酸素ガスの到達量が低くなるためであると考えられる。
【0017】
なお、火点面積SGに関して、複数の上吹きランス3が複数のノズル孔を持つ場合、火点面積SGはノズルジエットの重なりを考慮した値とする。具体的には、各ノズル孔からのガスジェットの静止浴面での重なりを幾何学的に求める。
【0018】
また、酸素流量が0.5m3(標準状態)/t・minより小さいと所望の脱りん率が得られないのは、酸素量および攪拌が不足するためであり、一方2.5m3(標準状態)/t・minをこえる場合は、酸素が過剰となり、スロッピングが激しくなったりして、酸素効率が低下するためと考えられる。
【0019】
なお、図1は、底吹きランス5を介して転炉底面からも酸素ガスあるいは不活性ガスを供給する、上底吹転炉の例を示しているが、上吹転炉の形態であってもかまわない。
【0020】
さらに、上記した条件下で脱りん処理を行うに当り、溶銑中のりん濃度が0.040〜0.050mass%の範囲では比SG/SMを0.07〜0.30に制御し、それ以降は比SG/SMを0.05〜0.10に制御することが、極低域までの脱りんを行うのに有利である。すなわち、上吹きランス3からの酸素流量を1.7m3(標準状態)/t・minに調整して脱りん処理を行う際、溶銑中のりん濃度が0.040〜0.050mass%の前後において、比SG/SMを種々に変化させた場合の、脱りん処理後のりん濃度について調査した結果を、図3に示す。なお、脱りん処理前の溶銑中りん濃度は、全て0.130%〜0.140%である。
【0021】
図3に示すように、脱りん処理前半の比SG/SMを0.07〜0.30、処理後半の比SG/SMを0.05〜0.10とすることによって、さらに脱りんが促進されることが分かる。これは、処理後半にSG/SMを若干小さくすることにより、浴面へのジェットの到達時の速度が大きくなり、攪拌が大きくなるためである。
【0022】
【発明の効果】
この発明によれば、ホタル石などの融点降下剤を使用せずに、高効率で低域さらには極低域までの脱りん処理が実現されるから、低りん溶銑または極低りん溶銑の溶製を環境への負荷を考慮して行う方途を拓くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 転炉を用いた脱りん処理の要領を示す図である。
【図2】 脱りん処理における比SG/SMと処理後の溶銑りん濃度との関係を示す図である。
【図3】 脱りん処理の前半および後半で比SG/SMを変化した場合の処理パターンと処理後の溶銑りん濃度との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 転炉
2 溶銑
3 上吹きランス
4 酸素ガス
5 底吹きランス
Claims (2)
- 転炉に装入した溶銑にフラックスを供給するとともに、酸素ガスを上吹きして溶銑の予備処理を行うに当り、転炉に装入した溶銑の表面積SMと、該溶銑の表面における酸素ガスの吹き付け面積SGとの比SG/SMを0.05〜0.30、かつ酸素ガス流量を0.5〜2.5m3(標準状態)/t・minに制御して、溶銑中のりん濃度を0.040mass%以下に調整することを特徴とする転炉を用いた溶銑の脱りん方法。
- 溶銑中のりん濃度が0.040〜0.050mass%の範囲では比SG/SMを0.07〜0.30に制御し、それ以降は比SG/SMを0.05〜0.10に制御することを特徴とする請求項1記載の転炉を用いた溶銑の脱りん方法。
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