JP2001329309A - 溶銑脱りん処理法 - Google Patents

溶銑脱りん処理法

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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 転炉スラグを脱りん剤として有効利用して溶
銑脱りんを行なう際に、処理容器のフリーボード内壁面
へのスラグの付着・堆積を防止し、該フリーボードの実
質的な縮小を阻止してスロッピング等の事故を確実に阻
止することのできる技術を確立すること。 【解決手段】 転炉スラグを脱りん成分として利用して
溶銑脱りん処理を行うに当たり、酸素含有ガスの吹き付
けを行なわない時間帯では脱りん剤として転炉スラグを
使用せず、転炉スラグの添加中および添加後は湯面の上
方から溶銑へ酸素含有ガスを吹き付けて2時燃焼させ、
フリーボード部の温度を高めることによってフリーボー
ド内壁面へのスラグの付着・堆積を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高炉で製造された
溶銑中のりん(P)を、転炉装入前の予備処理によって
効率よく除去することのできる溶銑脱りん処理法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】最近、溶銑段階で脱珪と脱りんを行なう
溶銑予備処理が普及している。すなわち溶銑中のPの除
去については、転炉で多量の生石灰を添加して脱りん処
理する方法が汎用されていたが、転炉での精錬は通常約
1650℃の高温で行われるため、低温処理を好む脱り
ん処理にとって有利な方法とは言えない。これに対し溶
銑予備処理は通常約1300℃の低温で行われるため、
脱りん効率の点ではより有効な方法である。また予備処
理によって脱りんを行う際には、前処理で予め脱Si処
理を行う場合と、高炉から出銑された溶銑にそのまま脱
りん剤を添加して脱りん処理する場合がある。
【0003】そして、溶銑脱りん処理を終えた溶銑を転
炉で吹錬する際に、溶銑中のP含有量[P]が製品規格
以下まで低減している場合は、最早脱りん処理は不要で
あるから転炉吹錬では脱炭および昇温のみを行えばよ
い。しかしながら、全くスラグのない状態(スラグレ
ス)で吹錬を行うと、排ガスへの鉄分のダストロスが著
しく増加するため、通常は、吹錬中の溶銑のカバーを目
的として少量の生石灰が添加される。
【0004】一方、溶銑の[P]量が製品規格レベルま
で低下していない場合は、転炉吹錬工程でも多少の脱り
ん処理が必要となるので、溶銑中の[P]量に応じて生
石灰が添加される。つまり予め溶銑脱りん処理を行なっ
た場合でも、転炉吹錬工程では副原料の添加が不可欠で
あり、その結果として、脱りん処理していない溶銑を使
用した場合の2〜3割程度の転炉スラグが生成する。
【0005】他方、転炉での精錬温度は約1650℃と
高温であるため、前述の如くスラグの脱りん能は低く、
従って精錬スラグ中のP濃度は低くなる。特に溶銑予備
処理で脱りんを行った溶銑を用いて吹錬した時に生じる
転炉スラグは、溶銑中のP濃度が低いことから転炉スラ
グ中のP濃度も非常に低く(0.2〜0.8質量%程
度)、またこの転炉スラグは、通常約50質量%程度の
CaO(生石灰)を含んでいる。従ってこの転炉スラグ
を、より低温で脱りん処理が行われる溶銑脱りん時の脱
りん成分として利用すれば、再度脱りん能を発揮するこ
とが確認されている。
【0006】溶銑脱りん後のスラグ中に含まれるP濃度
は通常2〜4質量%程度であるから、溶銑脱りん剤とし
てP濃度の低い転炉スラグを使用すれば、スラグ中へP
を効果的に濃化することができ、脱りん剤として用いら
れる生石灰の使用量を大幅に削減できる。
【0007】こうした転炉スラグを利用した溶銑脱りん
プロセスを例示すると、図1のフロー図に示す通りであ
る。即ち図中、1は高炉設備、2は混銑車、3は転炉を
示しており、高炉設備1から出銑された溶銑は混銑車2
で移送する過程で予備処理され、その後転炉3で吹錬処
理される。ここで従来は、溶銑予備処理および転炉吹錬
で生成した予備処理スラグや転炉スラグは施設外へ搬出
し、2次資源としてセメント原料や路盤材などとして使
用されていたが、上記転炉スラグを利用するプロセスで
は、転炉3から生じる転炉スラグの全量を溶銑予備処理
工程へ返還して溶銑脱りん剤として有効利用し、生成し
た予備処理スラグのみを施設外へ搬出している。このプ
ロセスを採用する際の一般的な転炉スラグ組成(質量
%)は次の通りである。CaO:45〜53%、SiO
2:12〜18%、MgO:6〜8%、FeO:10〜
20%、Fe23:5〜10%、MnO:3〜10%、
25:0.4〜2.0%
【0008】溶銑脱りん処理が行われる処理容器として
は、混銑車の他、取鍋や転炉型脱りん炉等が使用される
が、いずれにしても、吹錬工程で副生する転炉スラグを
脱りん剤として利用することによって生石灰の使用量を
大幅に削減することができ、多大なコスト低減が可能と
なる。
【0009】転炉では、吹錬終了後炉内の溶鋼のみを取
鍋に受鋼し、スラグは専用の鍋あるいはパンに排出され
る。この転炉スラグは約1650℃の転炉内では均一な
溶融状態にあるが、鍋あるいはパンに排出後の冷却過程
で幾つかの鉱物相が析出する。代表的な鉱物相は、2C
aO・SiO2(dicalcium si1icat
e)、CaO(1ime)、FeO(Wustit
e)、2CaO・Fe23(dicalcium fe
rrite)、および2CaO・SiO2・A12
3(gehlenite)であり、転炉スラグを脱りん
剤として再利用することは、これらの鉱物相からなる転
炉スラグを脱りん剤として用いることを意味する。
【0010】前述した様に溶銑予備処理温度は通常13
00℃であり、転炉での操業温度に比べると低温である
ため、転炉スラグを脱りん剤として再利用した場合、転
炉スラグは転炉内の様に均一な融体とはならず、これに
起因して種々の障害を引き起こす。
【0011】転炉スラグを脱りん剤として再利用する場
合に発生する重大な操業上の問題の一つは、処理容器の
溶銑面より上方側のいわゆるフリーボード部内壁面への
スラグ付着現象である。この付着スラグは脱りん処理の
繰り返しと共に堆積して成長し、たとえば約200回の
脱りん処理を繰り返した時点で、付着スラグ厚みは約1
mにも達することがある。
【0012】脱りん処理では、脱りんのための酸化剤と
して供給する鉄鉱石粉や酸素ガスが溶銑中のCと反応
し、COガスの発生を伴ないながら脱りんが進行する。
このため、スラグ中にCOガスがトラップされてスラグ
フォーミングを起こし、このフォーミングが甚だしい場
合は、スラグが炉口から溢れ出るスロッピングを引き起
こす。このスロッピングは、軌道や周辺設備を焼損させ
るなど重大なトラブルの原因となるので、脱りん処理工
程ではスロッピングの発生率を低位に抑制することが重
要となる。
【0013】スロッピングの発生を抑制するには、混銑
車等の処理容器内で、溶銑上に十分な空間(フリーボー
ド)を確保しておく必要があるが、脱りん剤として転炉
スラグを使用した場合は、前記の様にフリーボード部内
壁面へのスラグの付着・堆積が著しいため短期間のうち
に溶銑上部の空間が縮小され、スロッピングを起こし易
くなる。そのため、該スラグの付着・堆積量を見越して
反応容器内の空間を十分に確保することの必要上、処理
容器内への受銑量を減らさざるを得ず、ひいては脱りん
処理量の低下や容器内壁面の耐火物コストの上昇などが
問題になってくる。
【0014】即ち、転炉スラグを脱りん剤として再利用
することで、脱りん用として用いられる生石灰の量が大
幅に削減され、脱りん処理コストの大幅な低減が可能と
なる反面、フリーボード部ヘのスラグの付着・堆積によ
る前記障害が軽視できず、転炉スラグを脱りん剤として
再利用する上で大きな障害となっていた。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な事
情に着目してなされたものであって、その目的は、転炉
スラグを脱りん剤として有効利用して溶銑脱りんを行な
う際に、処理容器のフリーボード内壁面へのスラグの付
着・堆積を防止し、該フリーボードの実質的な縮小を阻
止してスロッピング事故の発生を確実に阻止することの
できる技術を確立することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係る溶銑脱りん法とは、転炉スラグを
脱りん成分として利用して溶銑脱りんを行うに当たり、
実質的な脱りん処理時間の80%以上にわたり、湯面の
上方から溶銑へ酸素含有ガスを吹き付けて2次燃焼させ
ることにより、フリーボード部の温度を高めるところに
要旨を有している。この脱りん処理を行なうに当たって
は、酸素含有ガスを吹き付けていない時間帯では脱りん
剤として転炉スラグを使用せず、転炉スラグの添加中お
よび添加後は、脱りん処理の末期まで酸素含有ガスを吹
き付けてフリーボード部の温度を高めることにより、処
理容器のフリーボード内壁面へのスラグの付着・堆積を
より確実に阻止することができるので好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明者らは上記の様な課題の下
で、脱りん剤として転炉スラグを使用した時に見られる
フリーボード内壁面へのスラグの付着・堆積を防止し、
スロッピング事故の発生を防止すべく、脱りん剤として
転炉スラグを用いた時に見られるスラグ付着の原因を追
求した結果、次の様な事実が確認された。
【0018】即ち、脱りん剤として転炉スラグを利用し
たときに見られる処理炉内のフリーボード内壁面に付着
するスラグの鉱物相をX線回折で同定したところ、β−
2CaO・SiO2相と2CaO・SiO2・A123
の2相が検出された。そして当該スラグを顕微鏡観察し
たところ、図2に示す如くβ−2CaO・SiO2相の
周りが2CaO・SiO2・A123相で埋められた状
態になっていることが確認された。該β−2CaO・S
iO2相と2CaO・SiO2・A123相は、共に転炉
スラグ中に多量に存在する高融点化合物であり、純粋な
β−2CaO・SiO2の融点は2300℃、純粋な2
CaO・SiO2・A123の融点は1593℃である
が、実際の付着物中にはMnOやP、Oなどの他成分も
含まれているため、正確な融点は明確でない。しかしい
ずれにしても、溶銑脱りん時の溶銑温度である約130
0℃より高融点であることは間違いない。
【0019】脱りん剤として転炉スラグを使用せず、生
石灰粉、鉄鉱石粉および螢石粉の混合物をインジェクシ
ョンする従来の脱りん処理方法においては、高融点の生
石灰中CaOの大半が未反応のままスラグ中に残存す
る。従って、この場合も脱りんスラグ中に多少のβ-2
CaO・SiO2相や2CaO・SiO2・Al23相は
生成するが、既にβ-CaO・SiO2相や2CaO・S
iO2・Al23相が晶出している転炉スラグを脱りん
剤として用いた場合に比べて、脱りんスラグ中に存在す
るβ-CaO・SiO2相や2CaO・SiO2・Al2
3相は非常に少ない。つまり、フリーボード部へのスラ
グ付着は、転炉スラグを脱りん剤として使用した場合に
より顕著に発生する現象である。
【0020】これらのことから、転炉スラグを脱りん剤
として再利用したときに見られるフリーボード内壁面へ
のスラグ付着機構は次の様に考えられる。
【0021】転炉吹錬時は溶鋼温度が約1650℃であ
るため、転炉スラグは均一な溶融混合物であるが、溶銑
脱りん時の溶銑温度は約1300℃と低温であるため、
上記高融点化合物は溶融せず、脱りんスラグの中に固体
状態で存在する。
【0022】一方脱りん処理中は、少なからず脱りんス
ラグのスプラッシュやスラグフォーミングが起こり、脱
りんスラグがフリーボード部の内壁面に接触するが、こ
のとき、スラグ中に固体状態で含まれる前記高融点のβ
−2CaO・SiO2相や2CaO・SiO2・A123
相がフリーボード部の内壁面に付着し、処理を繰り返す
度に堆積していく。
【0023】図3は、該付着物の高温での状態をゼーゲ
ルコーン試験で調査した結果を示したもので、該付着ス
ラグは通常の溶銑脱りん処理温度である1300℃では
固体状態である。ところが温度を1400℃まで高める
と、該付着スラグは軟化・溶融することが判明した。そ
して、1400℃で溶融した該スラグを水で急冷して顕
微鏡観察を行なったところ、図4に示す如くβ−2Ca
O・SiO2相の周りに2CaO・SiO2・A123
のデンドライトが生成していることが確認された。即ち
この付着スラグは、1400℃まで温度を高めること
で、バインダーの役割をしていた2CaO・SiO2
A123相が溶融し、より高融点のβ−2CaO・Si
2相も形をなさなくなることが判明した。
【0024】以上の調査結果から発明者らは、脱りん処
理中の雰囲気温度を1400℃程度以上に高めてやれ
ば、転炉スラグを脱りん剤として再利用した場合でもフ
リーボード内壁面へのスラグの付着・堆積を阻止できる
と考えた。ところが、溶銑温度を1300℃から140
0℃に高めると、低温処理を好む脱りん反応が阻害され
脱りん効果が低下してくるので、より多くの脱りん剤が
必要となる。従って、溶銑温度を高めることなく処理容
器のフリーボード部のみを1400℃程度以上に高める
ことが望まれる。
【0025】そこで、フリーボード部を効果的に昇温さ
せるための手段について種々の方法を試みた結果、脱り
ん処理炉内の湯面に向けて酸素含有ガスを吹き付けれ
ば、該酸素と炉内に存在するCOとの反応による2次燃
焼によってフリーボード部を効率よく昇温させることが
でき、脱りん効率を下げることなく炉内壁面へのスラグ
の付着を可及的に阻止できることが分かった。
【0026】すなわち脱りん処理では、溶銑中のPの酸
化剤として酸化鉄や酸素含有ガスが使用され、この酸化
鉄や酸素含有ガスは溶銑の上方から添加する場合と、溶
銑内へ浸漬したランスからインジェクションする場合が
あるが、いずれの場合も、これら酸化剤の添加によって
溶銑中に多量含まれるCが同時に酸化され、多量のCO
ガスが発生する。ランスを用いて湯面の上方から酸素含
有ガスを吹き付ける場合、酸素の一部は溶銑中のCやP
と反応することなく、下記式(1)で示す如く溶銑内か
ら発生したCOガスの燃焼に消費されることが知られて
おり、この反応は2次燃焼と呼ばれている。該式(1)
の反応は発熱反応であり、該発熱反応によってフリーボ
ード部の温度が上昇し、炉内壁面の温度を1400℃以
上に高めることができるのである。この様子を図5の模
式図に示す。 1/2O2+CO=CO2……(1)
【0027】上記式(1)の反応は、酸素含有ガスを湯
面に向けて吹き付けた場合に生じる反応であり、本発明
を実施するに当たっては、酸素含有ガスを吹き付けてフ
リーボード内で2次燃焼させることが必須となる。ちな
みに、酸素含有ガスを溶銑中に浸漬したランスからイン
ジェクションする方法では、酸素は下記式(2)、
(3)、(4)、(5)で示される如く溶銑中の各元素
と反応するのみで、前記式(1)の2次燃焼反応は生じ
ないため、フリーボード部内壁面のスラグ付着防止効果
は得られない。 C+1/2O2=CO ……(2) Mn+1/2O2=MnO……(3) 2P+5/2O2=P25……(4) Fe+1/2O2=FeO……(5)
【0028】この様に、酸素含有ガスの吹き付けによる
2次燃焼を利用してフリーボードの温度を高めることで
炉内壁面へのスラグ付着を防止する際には、脱りん処理
中全般に渡って酸素含有ガスの吹き付けを行なうことが
望ましく、脱りん処理中の一部の時間帯だけに酸素含有
ガスを吹き付けるだけでは、酸素含有ガスを吹き付けて
いない時間帯で内壁面へのスラグ付着が進行するため、
十分な付着防止効果が得られなくなる恐れがある。
【0029】ただし、脱りん処理の初期は溶銑中に0.
1〜0.3%程度存在するSiの酸化期でもあり、スラ
グ中のSiO2含有量が一時的に高くなる。該SiO2
有量の高いスラグは非常にフォーミングを起こし易いた
め、脱りん初期のCOガスの発生速度を抑制する必要が
あり、酸素含有ガスの吹き付けを避けなければならない
こともある。該Siの酸化期は、全脱りん処理時間の1
0〜20%程度の時間であり、この時期には、スラグフ
ォーミングを回避するため酸素含有ガスの吹き付けを避
けることが望ましく、従って酸素含有ガスの好ましい吹
き付け時間は、全脱りん処理時間の80〜90%の範囲
となる。
【0030】そこで、脱りん初期の酸素含有ガスの吹き
付けを行なわない時間帯では、スラグ付着の原因となる
転炉スラグを使用せず、生石灰と酸化鉄だけで処理を行
い、酸素含有ガスの吹き付けを行なう時期に合わせて転
炉スラグの添加を始めることで、フリーボード内壁面へ
のスラグ付着を完全に防止することが可能となる。この
様な処理パターンの例を図6に示す。
【0031】溶銑脱りん処理時に湯面上に吹き付ける酸
素含有ガスの流量は、0.04〜1Nm3/T・分と幅
広い流量で操業されるが、転炉吹錬時の酸素流量として
採用される約3Nm3/T・分に比べるとはるかに小さ
い値である。このため溶銑脱りん処理時における酸素含
有ガスの溶銑面への衝突圧力が小さく、上吹き酸素が溶
銑と完全に反応することはなく、全吹き付け酸素中の数
10%程度は常に2次燃焼に消費される。また、酸素含
有ガスの吹き付けに用いられるランスの湯面間距離を長
くし(ランス高さを上げ)、酸素含有ガスの溶銑面への
衝突力を下げてやれば、2次燃焼に使用される上吹き酸
素の比率を更に高めることができる。従って、たとえば
最小流量の0.04Nm3/T・分程度であっても、ラ
ンス高さ位置の調整によって処理容器内のフリーボード
部の温度を容易に1400℃程度まで高めることがで
き、それによりフリーボード内壁面へのスラグ付着が防
止され、フリーボード縮小に起因するスロッピングの発
生を可及的に防止することができる。
【0032】かくして本発明によれば、転炉スラグの利
用に伴うスロッピング発生という最大の問題が解消さ
れ、転炉スラグのリサイクルによる脱りん剤使用量の大
幅低減という効果を実用規模で有効に活用し得ることに
なった。
【0033】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限
を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範
囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、そ
れらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0034】実施例1 受銑容量280〜320トン(フリーボードとして約8
3を確保)の混銑車を使用し、以下の脱りん処理法で
3か月の間に200回の脱りん処理を行なった。
【0035】すなわち高炉鋳床上で脱珪処理を行い、脱
珪された溶銑を280〜320Tの範囲で混銑車に受銑
し、該溶銑上の脱珪スラグをスラグドラッガーで除去し
た後、転炉スラグ粉31kg/T、生石灰粉8kg/
T、蛍石粉0.9kg/T、鉄鉱石粉28kg/Tの混
合物を、溶銑の湯面下まで浸漬したランスから10Nm
3/分の窒素ガスと共に吹き込み、脱りん処理を行っ
た。この脱りん処理中に、水冷式のランスから湯面に向
けて酸素ガスを流量30Nm3/分、原単位2.0Nm3
/Tで吹き付けた。
【0036】なお全脱りん時間は約23分であるが、脱
りん初期の3分間は酸素ガスの吹き付けを行なわず、3
分後から脱りん処理終了まで酸素ガスを吹き続けた。な
お酸素原単位が各処理バッチ毎に若干異なるため、酸素
流量を調節することで、脱りん処理終了まで酸素ガスを
吹き続ける様に調整した。
【0037】その結果、200回の脱りん処理を終了し
た後も、該混銑車のフリーボード内壁面へのスラグ付着
はほとんど認められなかった。
【0038】実施例2 上記実施例1と同じ混戦車を使用し、以下の脱りん処理
法で3ヶ月の間に200回の脱りん処理を行なった。
【0039】即ち高炉鋳床上で脱珪処理を行ない、脱珪
された溶銑を280〜320Tの範囲で混銑車に受銑し
た。該溶銑上の脱珪スラグをスラグドラッガーで除去し
た後、転炉スラグ粉21kg/T、生石灰粉8kg/
T、螢石粉0.9kg/T、鉄鉱石粉28kg/Tの混
合物を、溶銑の湯面下まで浸漬したランスから10Nm
3/分の窒素ガスと共に吹込んで脱りんを行なった。こ
の脱りん処理中に、水冷式のランスから湯面に向けて酸
素ガスを流量50Nm3/分、原単位2.0Nm3/Tで
吹き付けた。
【0040】全脱りん時間は約23分であるが、脱りん
処理開始から11分間は上吹き酸素ガスを使用せず、1
1分後から脱りん処理終了まで約12分間酸素ガスを吹
き続けた。この時、脱りん処理開始から11分間の上吹
き酸素を使用していない時間帯では転炉スラグを吹込ま
ず、生石灰粉、螢石粉および鉄鉱石粉のみを吹込んだ。
次いで、脱りん処理開始から11分を経過した時点で転
炉スラグ粉と鉄鉱石粉の吹込みを開始し、上吹き酸素を
使用している時間帯のみ転炉スラグ粉を吹込むようにし
た。
【0041】この処理では、200回の脱りん処理を終
了した後も、該混銑車のフリーボード内壁面へのスラグ
付着はほとんど認められなかった。
【0042】比較例1 上記と同じ容量の混銑車を使用し、以下の脱りん処理法
で3か月の間に200回の脱りん処理を行なった。
【0043】即ち高炉鋳床上で脱珪処理を行い、脱珪さ
れた溶銑を280〜320Tの範囲で混銑車に受銑し
た。該溶銑上の脱珪スラグをスラグドラッガーで除去し
た後、転炉スラグ粉31kg/T、生石灰粉8kg/
T、蛍石粉0.9kg/T、鉄鉱石粉28kg/Tの混
合物を、溶銑の湯面下まで浸漬したランスから10Nm
3/分の窒素ガスと共に吹き込み、脱りん処理を行っ
た。この脱りん処理中に、水冷式のランスから溶銑表面
に向けて酸素ガスを流量60Nm3/分、原単位2.0
Nm3/Tで吹き付けた。全脱りん処理時間は約23分
であるが、脱りん初期の3分間は酸素の上吹きを行なわ
ず、3分後から酸素ガスの吹き付けを行なった。ただ
し、酸素ガス吹き付けの流量は60Nm3/分で一定と
した為、酸素ガスの上吹きを行なっている時間は約10
分となり、残りの時間帯は酸素ガスの吹き付けを止めた
状態の処理となり、その間は2次燃焼によるフリーボー
ド部の昇温は行なえなかった。
【0044】この処理では、200回の脱りん処理終了
後に、フリーボード内壁面に厚さ約700mm、付着量
約15Tのスラグ付着が認められた。
【0045】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、脱
りん剤として転炉スラグを有効利用する際に生じる処理
容器フリーボード内壁面へのスラグの付着・堆積を、湯
面に向けて吹き付ける酸素含有ガスのフリーボード部で
の2次燃焼による昇温によって確実に阻止することがで
き、スロッピング事故などを生じることなく溶銑脱りん
を効率よく実施し得ることになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】転炉スラグの脱りん剤としてのリサイクル法と
従来法を示す概略フロー図である。
【図2】脱りん処理炉フリーボード部内壁面への付着ス
ラグの顕微鏡観察結果を示す図である。
【図3】脱りん処理炉内壁面への付着スラグのゼーゲル
コーン試験結果を示す図である。
【図4】1400℃から急冷したフリーボード内壁面付
着スラグのEPMA像である。
【図5】本発明で採用される酸素含有ガス吹き付けによ
る2次燃焼状態を示す模式図である。
【図6】フリーボード内壁面へのスラグ付着防止のため
の脱りん処理パターンを例示する説明図である。
【符号の説明】
1 転炉設備 2 混銑車 3 転炉

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転炉スラグを脱りん成分として利用して
    溶銑脱りん処理を行うに当たり、全脱りん処理時間の8
    0%以上にわたり、湯面の上方から溶銑へ酸素含有ガス
    を吹き付けて2次燃焼させ、フリーボード部の温度を高
    めることを特徴とする溶銑脱りん処理法。
  2. 【請求項2】 転炉スラグを脱りん成分として利用して
    溶銑脱りん処理を行うに当たり、酸素含有ガスの吹き付
    けを行なわない時間帯では脱りん剤として転炉スラグを
    使用せず、転炉スラグの添加中および添加後は酸素含有
    ガスの吹き付けを行なう請求項1に記載の溶銑脱りん処
    理法。
  3. 【請求項3】 初期の脱珪処理期には、酸素含有ガスの
    吹き付けを行なわない請求項1または2に記載の溶銑脱
    りん処理法。
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JP2008196026A (ja) * 2007-02-14 2008-08-28 Jfe Steel Kk 溶銑の予備処理方法
JP2011068925A (ja) * 2009-09-24 2011-04-07 Kobe Steel Ltd 混銑車における溶銑の脱りん方法
JP2013028832A (ja) * 2011-07-27 2013-02-07 Jfe Steel Corp 溶鉄の精錬方法

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