JP2011068925A - 混銑車における溶銑の脱りん方法 - Google Patents

混銑車における溶銑の脱りん方法 Download PDF

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Abstract

【課題】混銑車にて脱りん処理を行うに際して、スラグのフォーミングの抑制、混銑車へのスラグ付着の抑制及び脱りん効率を向上させながら脱りん処理を行う。
【解決手段】Siが0.1質量%〜0.3質量%の溶銑を混銑車に装入してCaOを含む精錬剤を用いて溶銑の脱りん処理を行う方法において、前記脱りん処理の開始から3分〜5分間となる第1段階では、溶銑に供給する気体酸素比率を0%とし、スラグの塩基度が1.7〜1.9になるまでの第2段階では気体酸素比率を50〜63%とし、スラグの塩基度が2.0〜2.3になるまでの第3段階では気体酸素比率を67〜78%とし、スラグの塩基度が2.0以上となる第4段階では気体酸素比率を0%とする点にある。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば、Siが0.1質量%〜0.3質量%の溶銑を混銑車に装入してCaOを含む精錬剤を用いて溶銑の脱りん処理を行う方法に関する。
従来より、高炉から出銑した溶銑を混銑車(トピードカー)に装入して、混銑車にて溶銑の脱りん処理等を行う様々な技術が開示されている。
特許文献1では、転炉スラグを脱りん成分として利用して混銑車にて溶銑脱りん処理を行うに当たり、全脱りん処理時間の80%以上にわたり、湯面の上方から溶銑へ酸素含有ガスを吹き付けて2次燃焼させ、フリーボード部の温度を高めるている。
特許文献2では、容器内に入れられる溶銑の量が体積で容器容積の50%以上100%未満となる容器において転炉スラグを脱りん成分として利用して溶銑の脱りんをするに際し、前記転炉スラグとして塊状の転炉スラグを用い、この塊状転炉スラグを溶銑の上方から添加している。
特開2001−329309号公報 特開2002−285219号公報
さて、混銑車にて行う脱りん処理では、スラグがフォーミングしないように行うことが好ましいが、特許文献1及び特許文献2では、スラグのフォーミングに着目して酸素の吹き付け等の精錬条件を規定したものではなく、これらの技術を用いても、確実にスラグのフォーミングを抑制し且つ混銑車へのスラグの付着も抑制しながら、効率良く脱りんを行うことは困難であった。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、スラグのフォーミングの抑制と混銑車へのスラグ付着の抑制とをしながら効率良く脱りんを行うことができる混銑車における溶銑の脱りん方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、Siが0.1質量%〜0.3質量%の溶銑を混銑車に装入してCaOを含む精錬剤を用いて溶銑の脱りん処理を行う方法において、前記脱りん処理の開始から3分〜5分間となる第1段階では、溶銑に供給する気体酸素比率を0%とし、スラグの塩基度が1.7〜1.9になるまでの第2段階では気体酸素比率を50〜63%とし、スラグの塩基度が2.0〜2.3になるまでの第3段階では気体酸素比率を67〜78%とし、スラグの塩基度が2.0以上となる第4段階では気体酸素比率を0%とする点にある。
本発明によれば、混銑車にて脱りん処理を行うに際して、スラグのフォーミングの抑制をすることができると共に混銑車へのスラグ付着の抑制もできて、しかも効率良く脱りん処理を行うことができる。
混銑車による溶銑の脱りん処理を示す図である。 気体酸素比率を各段階にて変化させる範囲を示す図である。 スラグの塩基度が1.9までの気体酸素比率とスラグの付着量との関係図である。 スラグの塩基度が1.9〜2.3における気体酸素比率とスラグの付着量との関係図である。 スラグの塩基度とスラグの付着量との関係図である。 実施例3を例示した図である。 実施例10を例示した図である。 比較例23を例示した図である。 比較例26を例示した図である。 比較例29を例示した図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1は、混銑車による溶銑の脱りん処理を示す図である。
図1に示すように、混銑車1にて溶銑2の脱りん処理を行うには、まず、高炉から出銑した溶銑2を混銑車1の容器3に装入し、混銑車1にて脱りん処理を行うために当該混銑車を脱りんステーションに移動する。そして、脱りんステーションでは、混銑車1の容器3における開口部4に、気体酸素を溶銑2に吹くための吹付けランス5が挿入されると共に、精錬剤等を溶銑2に吹き込むための吹込みランス6が挿入されることになる。
そして、吹付けランス5により溶銑2に向けて気体酸素が吹き付けられると共に、溶銑2に向けて吹込みランス6により精錬剤が吹き込まれることによって溶銑2の脱りん処理が行われる。
以下、本発明の溶銑の脱りん方法について詳しく説明する。
本発明の溶銑の脱りん方法は、混銑車1に装入された溶銑2に対して脱りん処理を行うもの対象としている。また、この脱りん処理では、精錬剤や気体酸素を連続的に供給することにしている。さらに、脱りん処理では、後述するように、第1段階、第2段階、第3段階、第4段階の4つの段階に分けて、徐々に増加する塩基度に応じて気体酸素比率を調整している。
混銑車にて脱りん処理を行う溶銑中の[Si]は、0.1質量%〜0.3質量%であり、このことは、例えば、特開2001−329309号公報に記載されているように、一般的なことである。
溶銑2に供給する精錬剤は、CaOを含むものである。また、精錬剤は、CaOの他にOを含んでもよい。CaO源としては生石灰が用いられ、O(酸素源)としては酸化鉄が用いられる。
図2に示すように、本発明の脱りん処理においては、精錬剤や気体酸素を供給して脱りん処理を行うものであるが、まず、脱りん処理の開始から3分〜5分となる第1段階では、溶銑に供給する気体酸素比率を0%としている。
ここで、気体酸素比率とは、供給している全酸素に対する気体酸素の割合を示したものであり、具体的には、精錬剤によって供給した固体酸素(酸化鉄中の酸素)と吹付けランス5により供給した気体酸素との合計を全酸素とし、この全酸素に対する気体酸素の割合である。気体酸素比率は、例えば、式(1)により示すことができる。なお、脱りん処理において、CaO(生石灰)中のOは、脱りん反応における酸素分として反応に寄与しないため、当該CaO中の酸素は、固体酸素には含まれない。
式(1)に示すように、第1段階において気体酸素比率を0%とするということは、当該第1段階において吹付けランス5により気体酸素を吹き込まないことを示している。この第1段階では、スラグを滓化させることが重要であり、スラグを滓化させる初期段階では、特開2001−329309公報や特開2002−285219公報に開示されているように、気体酸素の吹きつけを行わないことが一般的である。
また、脱りん処理の開始から3分〜5分までの第1段階では、脱りんに寄与するスラグ(脱りんスラグ)が十分に滓化していない状況であり、この時点にて、気体酸素を吹き込んでしまうと、容器3内に残存していしている脱珪スラグによるフォーミングが発生する恐れがある。そのため、この点からも脱りん処理の開始から3分〜5分までの第1段階では気体酸素を吹き込まないようにしている。なお、脱りん処理の開始から3分〜5分までは、スラグが十分に滓化していないため、塩基度を基準として気体酸素を制御することは好ましくなく、例えば、第1段階におけるスラグの塩基度を計算すると、1.1〜1.5程度となっている。
次に、図2に示すように、第1段階の終了後、即ち、脱りん処理を開始してから3分〜5分の経過後に気体酸素を吹き込む場合においては、その後のスラグ(脱りんスラグ)の塩基度(CaO/SiO2)が1.7〜1.9になるまでの第2段階では、気体酸素比率を50〜63%としている。図3は、スラグの塩基度が1.9までの気体酸素比率とスラグの付着量との関係をまとめたものである。図3のプロット点は、10〜100ch(チャージ)の結果の平均値である。
図3に示すように、気体酸素比率が50%未満(0.5未満)のときは脱りん処理において混銑車の上部側であって溶銑処理中のフリボード部8及びスラグライン7に付着するスラグの付着量は多いが、気体酸素比率を50%以上にすると、混銑車の上部側、即ち、溶銑処理中のフリボード部8及びスラグライン7に付着するスラグの付着量が激減する。つまり、供給する気体酸素を固体酸素と同じか、それよりも多くすることにより、気体酸素の吹きつけによる2次燃焼(COガスとOとの反応)が進み、その結果、フリーボード部分の温度を高めることができるため、混銑車へのスラグの付着を減少させることができる。
さて、スラグの塩基度が1.7になるまではスラグの粘度が高い。そのため、酸素供給によりCOガスの発生量が多い場合にはスラグの上部(トップスラグ)からCOガスの抜けにくく、スラグのフォーミングが発生し易い状況下にある。この状況下で、気体酸素比率を63%よりも大きくしてしまうと、多くのCOガスが発生してしまいスラグのフォーミングが助長される。また、スラグの塩基度が1.9より大きくなる状況下では、上述した気体酸素比率50〜63%の範囲では、スラグの付着量が増加するという傾向にある。
このようなことから、スラグの塩基度が1.7〜1.9になるまでの第2段階では、気体酸素比率を50%以上63以下%にする必要がある。
次に、図2に示すように、スラグの塩基度が2.0〜2.3になるまでの第3段階では気体酸素比率67〜78%としている。図4は、スラグの塩基度が1.9〜2.3における気体酸素比率とスラグの付着量との関係をまとめたものである。図4のプロット点は、10〜100ch(チャージ)の結果の平均値である。
図4に示すように、気体酸素比率が67%未満(0.67未満)のときは脱りん処理において混銑車の上部側、即ち、溶銑処理中のフリボード部8及びスラグライン7に付着するスラグの付着量は多いが、気体酸素比率を67%以上にすると、混銑車の上部側に付着するスラグの付着量が激減する。即ち、気体酸素比率を67%以上とし、供給する気体酸素を固体酸素よりも大きくすることにより、フリーボード部分の温度を高めることができ、その結果、スラグの付着を減少させることができたと考えられる。
なお、第3段階では、スラグの融点が高くなるためにスラグラインから天井部にかけての混銑車の上部にスラグが付着し易くなる。スラグラインから天井部にかけてのフリーボード部分の温度を上昇させてスラグの付着を抑制するためには、気体酸素比率を上昇させることが必要であるため、第2段階よりも気体酸素比率を上昇させることを前提としている。
気体酸素比率を78%よりも大きくしてしまうと、気体酸素比率が高いために、多量のCOガスが発生してしまいスラグのフォーミングが助長される。
次に、図2に示すように、スラグの塩基度が2.0以上である第4段階では、気体酸素比率を0%としていて、気体酸素の供給を停止している。第3段階は、脱りん処理において末期であり、この段階においては溶銑中の[P]を一挙に下げる必要がある。脱りん処理の末期に気体酸素を供給すると溶銑の温度が上昇し、脱りん処理の効率が低下する。また、スラグの塩基度が2.0未満の段階で気体酸素比率を0%にすると、溶銑中の脱りんの除去に必要な石灰が不足し、脱りん効率が低下して、所望の脱りん濃度を達成することができない。
スラグの塩基度が2.3より大きくなった後に気体酸素比率を0%にする(第3段階から第4段階に移行する)と、脱りん処理後のスラグの塩基度が2.5以上になる可能性がある。
図5に示すように、脱りん処理後のスラグの塩基度が2.5以上になるとスラグの融点が高くなるため、混銑車内、特にスラグライン7から天井にかけてのスリーボード部8におけるスラグの付着量が増加する傾向にあることから、脱りん処理後のスラグの塩基度が2.5以上にならないように、スラグの塩基度が2.3になるまでに脱りん処理の末期に移行する必要がある。なお、図5のプロット点は、10〜100ch(チャージ)の結果の平均値である。
上述したように、本発明によれば、スラグの塩基度に応じて気体酸素比率を変化させることによって、混銑車へのスラグの付着量を抑制すると共に、スラグのフォーミングを抑制しつつ脱りん効率を向上させている。
表1は、実施条件をまとめたものであり、表2は、表1に示した精錬剤をまとめたものである。後述するように、表3は本発明の溶銑の脱りん方法にて脱りん処理を行った実施例を示し、表4は、本発明の溶銑2の脱りん方法とは異なる方法にて脱りん処理を行った比較例をまとめたものである。
まず、実施例及び比較例における実施条件について説明する。
表1に示すように、精錬剤は、精錬剤A、精錬剤B、精錬剤Cの3種類とし、表1に示す供給剤の供給速度は、精錬剤A、精錬剤B、精錬剤C及び気体酸素を溶銑2に供給した場合の値である。精錬剤A、精錬剤B、精錬剤Cの各種成分は、表2に示すものである。なお、3種類の精錬剤を使用しているが、これに限定されない。
表2に示す各精錬剤中に含有するO2量(酸素の量)は、式(2)により求めた。その他は、脱りんに寄与しない成分である。
実施例及び比較例における塩基度(計算塩基度C/S)は、当業者常法通りに、例えば、式(3)より求めた。また、塩基度を求めるに際しての処理中溶銑[Si]は、当業者常法通りに、例えば、式(4)により求めた。
脱珪酸素効率は、「鉄と鋼、vol.15(1983),1738-1445,混銑車脱珪の処理前Si濃度と脱珪酸素効率の関係、野見山寛、市川浩、丸川雄浄、姉崎正治、植木弘三満」のfig6の中心値を使用して式(5)により求めた。
スラグのフォーミングの有無は、脱りんスラグがフォーミングして、当該スラグが混銑車の開口部4から外部へと流出すれば、フォーミング有り(有、「×」)とし、スラグが開口部4から外部へ流出しなげれば、フォーミング無し(無、「○」)とした。なお、混銑車を用いた脱りん処理では、スラグを保持できるフリーボード部分が溶銑1トン当たり0.13m3程度(最大でも0.2m3)しか確保できないため、一端、大きなフォーミングが発生すると、スラグは外部へ流出してしまうことから、上述したように、スラグの流出の有無によりフォーミングの発生の有無を判断しても問題がない。また、スラグのフォーミングについては、例えば、「鉄と鋼、vol.78 No2 (1992),p200-208,原茂太、萩野和巳著」に記載されている。
スラグの付着量については、脱りん処理前と脱りん処理後の混銑車の空の重量(鉄皮+耐火物+付着物の総重量)をロードセルにて測定し、重量の増加量をスラグの付着量とした。混銑車の空の重量の測定は、脱りん処理後に溶銑を取鍋(溶銑鍋)に排出後、混銑車内に残ったスラグを排出した後に行った。脱りん処理前後において混銑車の重量の増減が無い場合には、スラグ付着無しとし、スラグの付着量が1.5ton/ch以下の場合を「小」とし、スラグの付着量が3.0ton/chよりも大きい場合を「大」とした。混銑車へのスラグ付着は主に溶銑処理中の溶銑より上部のスラグよりも上部側にて発生する。特に、1チャージ当たりのスラグの付着量が3.0tonを超えて大きくなると、上部側に付着したスラグによって混銑車のバランスが不安定になったり、溶銑の積載量(装入量)が大幅に低下することにより生産性が低下する場合がある。 脱りん効率は、脱りん処理前のりん濃度[Pi質量%]と、脱りん処理後のりん濃度[Pf質量%]との比(Pi/Pf)を、脱りん処理にて使用した酸素量(固体酸素分も気体酸素に換算)で割った値であり、式(6)で表すことができる。
なお、脱りん効率を求めるにあたっては、溶銑中のSiの酸化に用いられる酸素(脱珪酸素分)は除外することが一般的であるため、脱珪酸素分は除外した。
脱りん効率の評価については、式(6)による値が0.1以上0.12未満では、通常レベルであり、脱りん効率の値が0.12以上であれば良好「○」とした。脱りん効率が高ければ高いほど、脱りん剤(精錬剤)の使用量を低減できると共に、比較的処理時間も短くすることができる。特に、脱りん効率が0.12以上になると、脱りん処理の処理時間が大幅に短くできると共に精錬剤の使用量の低減を実現できるのに加え、同じ処理時間であっても[P]を十分に下げる効果があり、実操業においては非常に好ましい。脱りん効率が0.1未満であるときは、脱りん処理に大量の精錬剤と処理時間が必要であるため、実操業では好ましくない。
図6は、実施例3を例示したものである。図6及び表3に示すように、実施例1では、まず、溶銑2の脱りん処理を開始してから3分になるまでの第1段階では、気体酸素比率を0%としている。そして、処理時間が3分を経過した後は、気体酸素比率を58%に上昇させて第2段階に移行(第1段階から第2段階に切り替わる)し、この第2段階では、気体酸素比率を58%の一定にしている。さらに、実施例3では、スラグの塩基度が1.8になった時点で気体酸素比率を70%に上げて第3段階に移行(第2段階から第3段階に切り替わる)し、スラグの塩基度が2.2になった時点で気体酸素比率を再び0%にして第4段階に移行(第3段階から第4段階に切り替わる)している。この第3段階及び第4段階においても、一度上昇又は下降させた気体酸素比率は一定としている。
図7は、実施例10を例示したものである。図7及び表3に示すように、実施例11では、まず、溶銑2の脱りん処理を開始してから4分になるまでの第1段階では、気体酸素比率を0%としている。そして、処理時間が4分を経過した後は、気体酸素比率を55%に上昇させて第2段階に移行し、スラグの塩基度が1.8になった時点で気体酸素比率を68%に上げて第3段階に移行し、スラグの塩基度が2.0になった時点で気体酸素比率を再び0%にして第4段階に移行している。
他の実施例においても、脱りん処理の開始から3分〜5分間となる第1段階では、溶銑に供給する気体酸素比率を0%とし、第1段階が終了してからスラグの塩基度が1.7〜1.9になるまでの第2段階では気体酸素比率を50〜63%とし、第2段階が終了してからスラグの塩基度が2.0〜2.3になるまでの第3段階では気体酸素比率を67〜78%とし、第3段階終了後は気体酸素比率を0%としている。
以上、実施例1〜実施例15では、どの段階においてもスラグのフォーミングは発生することがなく、また、スラグの付着量についても少ない(スラグ付着「小」又は「無」)状況であった(結果の欄参照)。これに加え、脱りん効率Wの値も1.2以上であり、効率良く脱りん処理を行うことができた(結果の欄参照)。
図8は、比較例23を例示したものである。図8及び表4に示すように、比較例23では、スラグの塩基度が1.9となる第2段階での気体酸素比率を63%より大きい67%にしている。気体酸素比率が大きすぎるために、脱りん処理途中にてフォーミングが発生して処理を一時的に中断しなければならない状況となった。なお、表4及び図8等に示す処理時間は、スラグのフォーミングにより処理を中断した時間は除いた値としている。
図9は、比較例26を例示したものである。図9及び表4に示すように、比較例26では、スラグの塩基度が1.9となる段階での気体酸素比率を86%にしている。気体酸素比率が大きすぎるために、脱りん処理途中にてフォーミングが発生して処理を一時的に中断しなければならない状況となった。
図10は、比較例29を例示したものである。図10及び表4に示すように、比較例29では、スラグの塩基度が2.0〜2.3となる第4段階での気体酸素比率を0%にせず、気体酸素を吹き込んだ。そのため、比較例29では、気体酸素を吹き込んだために、溶銑の温度が上昇し、脱りん処理の効率が低下し、脱りん効率が悪化するものとなった。
比較例16〜比較例35に示すように、各段階にて、気体酸素比率や塩基度等が本発明の条件のいずれか1つでも外れた場合、スラグのフォーミング、スラグ付着量の増加(スラグ付着「大」)、脱りん効率の低下(W=1.2未満)が見受けられた。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 混銑車
2 溶銑
3 容器
4 開口部
5 吹付けランス
6 吹込みランス

Claims (1)

  1. Siが0.1質量%〜0.3質量%の溶銑を混銑車に装入してCaOを含む精錬剤を用いて溶銑の脱りん処理を行う方法において、
    前記脱りん処理の開始から3分〜5分となる第1段階では、溶銑に供給する気体酸素比率を0%とし、スラグの塩基度が1.7〜1.9になるまでの第2段階では気体酸素比率を50〜63%とし、スラグの塩基度が2.0〜2.3になるまでの第3段階では気体酸素比率を67〜78%とし、スラグの塩基度が2.0以上となる第4段階では気体酸素比率を0%とすることを特徴とする混銑車における溶銑の脱りん方法。
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