JPH0647303A - 貝殻粉の製造方法 - Google Patents
貝殻粉の製造方法Info
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- JPH0647303A JPH0647303A JP20571892A JP20571892A JPH0647303A JP H0647303 A JPH0647303 A JP H0647303A JP 20571892 A JP20571892 A JP 20571892A JP 20571892 A JP20571892 A JP 20571892A JP H0647303 A JPH0647303 A JP H0647303A
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- shell powder
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 光沢や色調に優れ、粒度が細かく揃った偏平
な貝殻粉を効率よく生産する。 【構成】 真珠層を有する貝殻を破砕用液体と混合し、
この混合物に攪拌体を接触させて運動させることによ
り、前記貝殻を破砕用液体中で粉砕して貝殻粉体とする
工程と、前記貝殻粉体を粒径により分級し、前記真珠層
から生成した薄片状粒体のみを得るとともに、その他の
粉体を除去する工程と、を具備する。
な貝殻粉を効率よく生産する。 【構成】 真珠層を有する貝殻を破砕用液体と混合し、
この混合物に攪拌体を接触させて運動させることによ
り、前記貝殻を破砕用液体中で粉砕して貝殻粉体とする
工程と、前記貝殻粉体を粒径により分級し、前記真珠層
から生成した薄片状粒体のみを得るとともに、その他の
粉体を除去する工程と、を具備する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、真珠層を有する貝殻を
粉砕して光沢を有する薄片粒状の貝殻粉を得るための製
造方法に関する。
粉砕して光沢を有する薄片粒状の貝殻粉を得るための製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】装飾技法の1種として古くから「螺鈿」
が知られている。螺鈿は、夜光貝等の貝殻の真珠層を細
かく切り分け、その細片を漆地または木地に埋め込むこ
とにより、その真珠色および光沢を生かすもので、高級
漆器や家具、楽器などの装飾に使用されている。
が知られている。螺鈿は、夜光貝等の貝殻の真珠層を細
かく切り分け、その細片を漆地または木地に埋め込むこ
とにより、その真珠色および光沢を生かすもので、高級
漆器や家具、楽器などの装飾に使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記螺鈿に
使用される貝殻片は通常数mm角程度のものであるが、
この程度の大きさの貝殻片を装飾に用いるには、貝殻片
を一つ一つ手作業で装飾部位に固定しなければならず、
高い熟練度を要するうえ生産性が低い。このため、螺鈿
は一般の装飾に比してコストがかかる欠点を有してい
た。
使用される貝殻片は通常数mm角程度のものであるが、
この程度の大きさの貝殻片を装飾に用いるには、貝殻片
を一つ一つ手作業で装飾部位に固定しなければならず、
高い熟練度を要するうえ生産性が低い。このため、螺鈿
は一般の装飾に比してコストがかかる欠点を有してい
た。
【0004】一方、貝殻を布袋内等に詰め、これをハン
マー等で叩いて破砕し、適当な大きさの破片を集めて装
飾に使用する試みも一部でなされているが、この場合に
は破片の大きさや形状が不揃いにならざるを得ないた
め、破片表面が荒れるうえ、貝殻の無光沢部が真珠層と
混在してしまい、螺鈿ほどの装飾性は得られ難かった。
マー等で叩いて破砕し、適当な大きさの破片を集めて装
飾に使用する試みも一部でなされているが、この場合に
は破片の大きさや形状が不揃いにならざるを得ないた
め、破片表面が荒れるうえ、貝殻の無光沢部が真珠層と
混在してしまい、螺鈿ほどの装飾性は得られ難かった。
【0005】なお、貝殻の構造を簡単に説明すると、貝
殻はほぼ純粋な炭酸カルシウムからなり、燐酸カルシウ
ムや炭酸マグネシウムが僅かに含まれる。貝殻は、内側
から上層、中層、下層の3層で通常構成され、上層の一
部が真珠光沢を有する真珠層となる。中層は稜柱層を構
成し、上層から外側に延び、さらに下層は殻皮や毛を形
成して外面に達する。真珠層は貝の分泌液中の成分が層
状に固化したもので、緻密かつ硬質で層状に剥離する性
質を有する。一方、その以外の部分は光沢がなく、真珠
層に比して脆くなる。この明細書では、これらの光沢に
乏しい部分を無光沢部と称する。
殻はほぼ純粋な炭酸カルシウムからなり、燐酸カルシウ
ムや炭酸マグネシウムが僅かに含まれる。貝殻は、内側
から上層、中層、下層の3層で通常構成され、上層の一
部が真珠光沢を有する真珠層となる。中層は稜柱層を構
成し、上層から外側に延び、さらに下層は殻皮や毛を形
成して外面に達する。真珠層は貝の分泌液中の成分が層
状に固化したもので、緻密かつ硬質で層状に剥離する性
質を有する。一方、その以外の部分は光沢がなく、真珠
層に比して脆くなる。この明細書では、これらの光沢に
乏しい部分を無光沢部と称する。
【0006】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、光沢や色調に優れ、粒度が細かく揃った偏平な貝殻
粉を効率よく生産することを課題としている。
で、光沢や色調に優れ、粒度が細かく揃った偏平な貝殻
粉を効率よく生産することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る貝殻粉の製
造方法は、真珠層を有する貝殻を破砕用液体と混合し、
この混合物に攪拌体を接触させて運動させることによ
り、前記貝殻を破砕用液体中で粉砕して貝殻粉体とする
工程と、前記貝殻粉体を粒径により分級し、前記真珠層
から生成した薄片状粒体のみを得るとともに、その他の
粉体を除去する工程と、を具備することを特徴とする。
造方法は、真珠層を有する貝殻を破砕用液体と混合し、
この混合物に攪拌体を接触させて運動させることによ
り、前記貝殻を破砕用液体中で粉砕して貝殻粉体とする
工程と、前記貝殻粉体を粒径により分級し、前記真珠層
から生成した薄片状粒体のみを得るとともに、その他の
粉体を除去する工程と、を具備することを特徴とする。
【0008】なお、破砕用液体として、低級アルコール
またはその希釈液を使用してもよい。また、薄片状粒体
を酸素系漂白剤で漂白してもよい。貝殻としては、白蝶
貝、黒蝶貝、メキシコ鮑および夜光貝が好適である。
またはその希釈液を使用してもよい。また、薄片状粒体
を酸素系漂白剤で漂白してもよい。貝殻としては、白蝶
貝、黒蝶貝、メキシコ鮑および夜光貝が好適である。
【0009】
【作用】本発明の貝殻粉の製造方法では、真珠層を有す
る貝殻を破砕用液体と混合し、この混合物に攪拌体を接
触させて回転させるので、貝殻各部にかかる粉砕力が均
一になり、真珠層は攪拌強度によって決まるほぼ一定の
粒度分布に破砕されるうえ、真珠層を構成する各層が剥
離するため、表面が平滑で真珠状光沢に優れた偏平な貝
殻粉が容易に製造できる。
る貝殻を破砕用液体と混合し、この混合物に攪拌体を接
触させて回転させるので、貝殻各部にかかる粉砕力が均
一になり、真珠層は攪拌強度によって決まるほぼ一定の
粒度分布に破砕されるうえ、真珠層を構成する各層が剥
離するため、表面が平滑で真珠状光沢に優れた偏平な貝
殻粉が容易に製造できる。
【0010】また、破砕用液体中での粉砕により、装飾
には適さない無光沢部は選択的に微粉末状に粉砕されて
しまうから、分級工程によりこれら微粉末を除去すれ
ば、真珠層から得られた、装飾性に優れる薄片状粒体の
みを得ることができる。
には適さない無光沢部は選択的に微粉末状に粉砕されて
しまうから、分級工程によりこれら微粉末を除去すれ
ば、真珠層から得られた、装飾性に優れる薄片状粒体の
みを得ることができる。
【0011】
【実施例】以下、本発明に係る貝殻粉の製造方法の実施
例を具体的に説明する。まず、真珠層を有する貝殻を必
要に応じて細片化し、さらに必要であれば無光沢部を除
去する。細片化する方法としては、単に貝殻を粗く砕い
ても良いし、あるいは切断工具で切断しても良い。無光
沢部を除去するには、細片または貝殻の表層側をグライ
ンダ等により削る方法、薄く切りとる方法、表層側のみ
を酸などの薬品によって溶解除去する方法などが実施可
能である。細片の寸法としては、一辺が数cmから数m
m角程度が好適であるが、貝殻の厚さに応じて適宜変更
して良いし、可能で有れば、貝殻を細片化せずに使用し
てもよい。
例を具体的に説明する。まず、真珠層を有する貝殻を必
要に応じて細片化し、さらに必要であれば無光沢部を除
去する。細片化する方法としては、単に貝殻を粗く砕い
ても良いし、あるいは切断工具で切断しても良い。無光
沢部を除去するには、細片または貝殻の表層側をグライ
ンダ等により削る方法、薄く切りとる方法、表層側のみ
を酸などの薬品によって溶解除去する方法などが実施可
能である。細片の寸法としては、一辺が数cmから数m
m角程度が好適であるが、貝殻の厚さに応じて適宜変更
して良いし、可能で有れば、貝殻を細片化せずに使用し
てもよい。
【0012】装飾用として好適な貝殻材料としては、白
蝶貝、黒蝶貝、メキシコ鮑等の鮑科の貝、夜光貝などが
挙げられるが、本発明はこれらに限定されることはな
く、貝殻内に緻密な真珠層を有する貝であれば、いかな
るものも使用可能である。メキシコ鮑のように貝殻の肉
厚が大きい貝を原料とする場合には、貝殻の無光沢部を
予め除去しておくことが望ましい。また、白蝶貝のよう
に変色域の多い貝の場合には、必要な同一色調を有する
真珠層部分、例えば白色部を予め選別しつつ細片化する
ことが望ましい。
蝶貝、黒蝶貝、メキシコ鮑等の鮑科の貝、夜光貝などが
挙げられるが、本発明はこれらに限定されることはな
く、貝殻内に緻密な真珠層を有する貝であれば、いかな
るものも使用可能である。メキシコ鮑のように貝殻の肉
厚が大きい貝を原料とする場合には、貝殻の無光沢部を
予め除去しておくことが望ましい。また、白蝶貝のよう
に変色域の多い貝の場合には、必要な同一色調を有する
真珠層部分、例えば白色部を予め選別しつつ細片化する
ことが望ましい。
【0013】次に、貝殻細片を破砕用液体と混合する。
破砕用液体としては、メチルアルコールやエチルアルコ
ール等の低級アルコール、その水溶液などが揮発性に富
んで後処理が容易であるから好適であるうえ、貝殻粉か
ら汚れを除去する効果も高い。ただし、例えば水,ポリ
ビニルアルコール水溶液,グリセリン水溶液,アルコー
ル類やその誘導体,炭化水素,ハロゲン炭化水素,エー
テル,アセタール,ケトン,エステル,脂肪酸,フェノ
ール類などの液体も、揮発や洗浄などにより除去可能
で、かつ貝を変質あるいは溶解させなければ使用可能で
ある。
破砕用液体としては、メチルアルコールやエチルアルコ
ール等の低級アルコール、その水溶液などが揮発性に富
んで後処理が容易であるから好適であるうえ、貝殻粉か
ら汚れを除去する効果も高い。ただし、例えば水,ポリ
ビニルアルコール水溶液,グリセリン水溶液,アルコー
ル類やその誘導体,炭化水素,ハロゲン炭化水素,エー
テル,アセタール,ケトン,エステル,脂肪酸,フェノ
ール類などの液体も、揮発や洗浄などにより除去可能
で、かつ貝を変質あるいは溶解させなければ使用可能で
ある。
【0014】破砕用液体に対する貝殻細片の混合比は5
〜30wt%程度、好ましくは10〜20wt%が好ま
しい。5wt%未満では無光沢部を完全に除去すること
が困難になるうえ、破砕効率が悪くてコストがかかる。
30wt%より大では均一粒径に破砕することが困難に
なるうえ、真珠層を著しく傷つけて色調が消失するおそ
れを有する。
〜30wt%程度、好ましくは10〜20wt%が好ま
しい。5wt%未満では無光沢部を完全に除去すること
が困難になるうえ、破砕効率が悪くてコストがかかる。
30wt%より大では均一粒径に破砕することが困難に
なるうえ、真珠層を著しく傷つけて色調が消失するおそ
れを有する。
【0015】次いで、この混合物内に攪拌体を接触させ
て回転させ、前記貝殻細片を粉砕して貝殻粉体を得る。
回転速度は、貝殻の硬度、攪拌体の形状や寸法、貝殻細
片と破砕用液体との混合比にもよるが、一般には5,0
00〜20,000rpm程度が好適である。攪拌体と
しては、金属など硬質の材料で成形された攪拌羽根を混
合液に浸漬して回転しても良いし、あるいは容器の内面
に羽根を取り付け、容器ごと回転させても良い。さらに
これらの構成を組み合わせることも可能である。さらに
回転に限らず、攪拌体を振動させて貝殻を粉砕してもよ
い。
て回転させ、前記貝殻細片を粉砕して貝殻粉体を得る。
回転速度は、貝殻の硬度、攪拌体の形状や寸法、貝殻細
片と破砕用液体との混合比にもよるが、一般には5,0
00〜20,000rpm程度が好適である。攪拌体と
しては、金属など硬質の材料で成形された攪拌羽根を混
合液に浸漬して回転しても良いし、あるいは容器の内面
に羽根を取り付け、容器ごと回転させても良い。さらに
これらの構成を組み合わせることも可能である。さらに
回転に限らず、攪拌体を振動させて貝殻を粉砕してもよ
い。
【0016】攪拌により、貝殻の無光沢部は微粉砕され
る一方、利用価値のある真珠層の光沢部は比較的粒径の
揃った偏平粒状に粉砕されるため、次の分別処理で無光
沢部を効率よく除去することができる。これに対し、破
砕用液体を使用せずに粉砕を行うと、無光沢部を選択的
に微粉砕する効果が得られず、真珠層を著しく傷つけた
り、貝殻粉の粒度がばらつくうえ一定形状の偏平粉が製
造できない。
る一方、利用価値のある真珠層の光沢部は比較的粒径の
揃った偏平粒状に粉砕されるため、次の分別処理で無光
沢部を効率よく除去することができる。これに対し、破
砕用液体を使用せずに粉砕を行うと、無光沢部を選択的
に微粉砕する効果が得られず、真珠層を著しく傷つけた
り、貝殻粉の粒度がばらつくうえ一定形状の偏平粉が製
造できない。
【0017】粉砕処理が完了したら、混合液をメッシュ
フィルタに通して所望粒度の貝殻粉のみを分別する。な
お、本発明の方法で装飾用に適した綺麗な貝殻粉が得ら
れる粒度範囲は一般に25〜1000μm程度である。
これより小さいと光沢が減少する一方、これより大きい
と不定形状の粒子の割合が増し、装飾用として使用し難
くなる。ただし、装飾用以外に使用する場合にはこの限
りではない。
フィルタに通して所望粒度の貝殻粉のみを分別する。な
お、本発明の方法で装飾用に適した綺麗な貝殻粉が得ら
れる粒度範囲は一般に25〜1000μm程度である。
これより小さいと光沢が減少する一方、これより大きい
と不定形状の粒子の割合が増し、装飾用として使用し難
くなる。ただし、装飾用以外に使用する場合にはこの限
りではない。
【0018】メッシュフィルタにより分別された貝殻粉
は、必要に応じて漂白剤で漂白する。漂白剤としては、
過酸化水素溶液、あるいは各種過酸化物を含有する酸素
系漂白剤を使用することが好ましい。塩素系漂白剤によ
っても貝殻粉の漂白は可能であるが、強度を低下させる
おそれがあるため、装飾用としては好ましくない。過酸
化水素溶液を漂白剤として使用する場合、その濃度は5
〜35wt%程度、浸漬時間は1〜200hr程度であ
ることが好ましい。この範囲を越えると過酸化水素水に
よって貝殻粉が脆くなるおそれがある。また、上記範囲
未満であると、漂白効果が得られ難い。
は、必要に応じて漂白剤で漂白する。漂白剤としては、
過酸化水素溶液、あるいは各種過酸化物を含有する酸素
系漂白剤を使用することが好ましい。塩素系漂白剤によ
っても貝殻粉の漂白は可能であるが、強度を低下させる
おそれがあるため、装飾用としては好ましくない。過酸
化水素溶液を漂白剤として使用する場合、その濃度は5
〜35wt%程度、浸漬時間は1〜200hr程度であ
ることが好ましい。この範囲を越えると過酸化水素水に
よって貝殻粉が脆くなるおそれがある。また、上記範囲
未満であると、漂白効果が得られ難い。
【0019】漂白が完了した貝殻粉は、十分に洗浄され
た後、乾燥機にかけて粉砕用液体を除去し、完成品とさ
れる。必要に応じては、再度メッシュフィルタにかけて
混入した微細な粉末を除去し、光沢を高めてもよい。
た後、乾燥機にかけて粉砕用液体を除去し、完成品とさ
れる。必要に応じては、再度メッシュフィルタにかけて
混入した微細な粉末を除去し、光沢を高めてもよい。
【0020】上記構成からなる貝殻粉の製造方法によれ
ば、真珠層を有する貝殻細片を破砕用液体と混合し、こ
の混合物内に攪拌体を接触させて回転させるので、貝殻
細片にかかる粉砕力が均一になる。このため、真珠層は
攪拌強度によって決まるほぼ一定の粒度分布に破砕され
るとともに、真珠層を構成する各層が綺麗に剥離するた
め、表面が平滑で真珠状光沢および色調に優れた偏平な
貝殻粉が容易に製造できる。
ば、真珠層を有する貝殻細片を破砕用液体と混合し、こ
の混合物内に攪拌体を接触させて回転させるので、貝殻
細片にかかる粉砕力が均一になる。このため、真珠層は
攪拌強度によって決まるほぼ一定の粒度分布に破砕され
るとともに、真珠層を構成する各層が綺麗に剥離するた
め、表面が平滑で真珠状光沢および色調に優れた偏平な
貝殻粉が容易に製造できる。
【0021】また、破砕用液体中の粉砕により、装飾に
は適さない無光沢部は微粉末状に粉砕されてしまうか
ら、分別工程によりこれら微粉末を除去して、真珠層か
ら生成した装飾性に優れた一定粒度の薄片状粒体のみを
得ることができるという優れた効果を奏する。
は適さない無光沢部は微粉末状に粉砕されてしまうか
ら、分別工程によりこれら微粉末を除去して、真珠層か
ら生成した装飾性に優れた一定粒度の薄片状粒体のみを
得ることができるという優れた効果を奏する。
【0022】なお、本発明で得られた貝殻粉は、物品に
塗料または接着剤を塗布した後、この塗布面上に散布し
ても良いし、予め塗料に混入しておき、この塗料を物品
に塗布してもよい。貝殻粉の粒径は小さいから、塗布方
法は印刷、吹き付けなど任意に選択可能である。また、
貝殻粉の表面を予め染色剤で染色した後、使用しても良
い。
塗料または接着剤を塗布した後、この塗布面上に散布し
ても良いし、予め塗料に混入しておき、この塗料を物品
に塗布してもよい。貝殻粉の粒径は小さいから、塗布方
法は印刷、吹き付けなど任意に選択可能である。また、
貝殻粉の表面を予め染色剤で染色した後、使用しても良
い。
【0023】例えば、貝殻粉の用途としては、仏壇、仏
具、あるいは漆器等の蒔絵、着物、帯、織物への振りか
け加工、織物用染料への添加、グラビア、スクリーン印
刷用塗料への添加などが考えられる。プラスチック原料
に添加し、製品を一体成形してもよい。
具、あるいは漆器等の蒔絵、着物、帯、織物への振りか
け加工、織物用染料への添加、グラビア、スクリーン印
刷用塗料への添加などが考えられる。プラスチック原料
に添加し、製品を一体成形してもよい。
【0024】
【実験例】次に、実験例を挙げて本発明の効果を実証す
る。白蝶貝(試料1)、黒蝶貝(試料2)、メキシコ鮑
(試料3)および夜光貝(試料4)を原料として使用
し、本発明の方法により貝殻粉を作成した。そして顕微
鏡写真を撮影するとともに、光沢等を肉眼で観察した。
る。白蝶貝(試料1)、黒蝶貝(試料2)、メキシコ鮑
(試料3)および夜光貝(試料4)を原料として使用
し、本発明の方法により貝殻粉を作成した。そして顕微
鏡写真を撮影するとともに、光沢等を肉眼で観察した。
【0025】前処理として、白蝶貝およびメキシコ鮑は
切断により真珠層を選別し、黒蝶貝および夜光貝は選別
せずに細片化した。これらの細片10〜20gと、メタ
ノール300mlをそれぞれ粉砕機「DX−7(日本精
機製作所製:商品名)」に投入し、その攪拌羽根を1
0,000〜15,000rpmで回転させた。攪拌時
間は、試料1〜3で40分、試料4で10分とした。
切断により真珠層を選別し、黒蝶貝および夜光貝は選別
せずに細片化した。これらの細片10〜20gと、メタ
ノール300mlをそれぞれ粉砕機「DX−7(日本精
機製作所製:商品名)」に投入し、その攪拌羽根を1
0,000〜15,000rpmで回転させた。攪拌時
間は、試料1〜3で40分、試料4で10分とした。
【0026】粉砕後、得られた貝殻粉をメッシュフィル
タを用いて、25μm未満、25〜300μm、300
〜500μm、500〜1000μm、1000μm以
上の5段階にそれぞれ分級し、光学顕微鏡によりそれぞ
れ50倍の写真を撮影した。その結果を図1〜図4(試
料1:白蝶貝)、図5〜図8(試料2:黒蝶貝)、図9
〜図12(試料3:メキシコ鮑)、および図13〜図1
6(試料4:夜光貝)に示す。
タを用いて、25μm未満、25〜300μm、300
〜500μm、500〜1000μm、1000μm以
上の5段階にそれぞれ分級し、光学顕微鏡によりそれぞ
れ50倍の写真を撮影した。その結果を図1〜図4(試
料1:白蝶貝)、図5〜図8(試料2:黒蝶貝)、図9
〜図12(試料3:メキシコ鮑)、および図13〜図1
6(試料4:夜光貝)に示す。
【0027】これらの写真から明らかなように、図1,
図5,図9,図13に示す25μm未満の粒子は無光沢
部由来の微粉末が多量に混入しているため、粒径および
平均粒径が不揃いであるのに対し、25〜300μm、
300〜500μm、500〜1000μmの貝殻粉で
は、真珠層を粉砕してできた偏平な粒子のみとなり、粒
径もほぼ揃った。
図5,図9,図13に示す25μm未満の粒子は無光沢
部由来の微粉末が多量に混入しているため、粒径および
平均粒径が不揃いであるのに対し、25〜300μm、
300〜500μm、500〜1000μmの貝殻粉で
は、真珠層を粉砕してできた偏平な粒子のみとなり、粒
径もほぼ揃った。
【0028】また、各粒径範囲の貝殻粉の光沢を肉眼で
調べた結果、25μm未満の貝殻粉はいずれも光沢のな
い白色を呈していたのに対し、25〜300μm、30
0〜500μm、500〜1000μmの貝殻粉では、
艶のある半光沢を呈していた。一方、1000μm以上
の貝殻粉は、個々の粒子の表面が荒れて光沢に乏しかっ
た。
調べた結果、25μm未満の貝殻粉はいずれも光沢のな
い白色を呈していたのに対し、25〜300μm、30
0〜500μm、500〜1000μmの貝殻粉では、
艶のある半光沢を呈していた。一方、1000μm以上
の貝殻粉は、個々の粒子の表面が荒れて光沢に乏しかっ
た。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る貝殻
粉の製造方法によれば、真珠層を有する貝殻細片を破砕
用液体と混合し、この混合物内に攪拌体を接触させて回
転させるので、貝殻細片にかかる粉砕力が均一になる。
このため、真珠層は攪拌強度によって決まるほぼ一定の
粒度分布に破砕されるとともに、真珠層を構成する各層
が綺麗に剥離するため、表面が平滑で真珠状光沢および
色調に優れた偏平な貝殻粉が容易に製造できる。
粉の製造方法によれば、真珠層を有する貝殻細片を破砕
用液体と混合し、この混合物内に攪拌体を接触させて回
転させるので、貝殻細片にかかる粉砕力が均一になる。
このため、真珠層は攪拌強度によって決まるほぼ一定の
粒度分布に破砕されるとともに、真珠層を構成する各層
が綺麗に剥離するため、表面が平滑で真珠状光沢および
色調に優れた偏平な貝殻粉が容易に製造できる。
【0030】また、破砕用液体中の粉砕により、装飾に
は適さない無光沢部は微粉末状に粉砕されてしまうか
ら、分級工程によりこれら微粉末を除去して、真珠層か
ら生成した装飾性に優れた一定粒度の薄片状粒体のみを
得ることができる。
は適さない無光沢部は微粉末状に粉砕されてしまうか
ら、分級工程によりこれら微粉末を除去して、真珠層か
ら生成した装飾性に優れた一定粒度の薄片状粒体のみを
得ることができる。
【図1】本発明に係る貝殻粉の製造方法の実験例により
得られた白蝶貝の粒径25μm未満の貝殻粉の顕微鏡写
真である。
得られた白蝶貝の粒径25μm未満の貝殻粉の顕微鏡写
真である。
【図2】同実験例により得られた白蝶貝の粒径25〜3
00μmの貝殻粉の顕微鏡写真である。
00μmの貝殻粉の顕微鏡写真である。
【図3】同実験例により得られた白蝶貝の粒径300〜
500μmの貝殻粉の顕微鏡写真である。
500μmの貝殻粉の顕微鏡写真である。
【図4】同実験例により得られた白蝶貝の粒径500〜
1000μmの貝殻粉の顕微鏡写真である。
1000μmの貝殻粉の顕微鏡写真である。
【図5】同実験例により得られた黒蝶貝の粒径25μm
未満の貝殻粉の顕微鏡写真である。
未満の貝殻粉の顕微鏡写真である。
【図6】同実験例により得られた黒蝶貝の粒径25〜3
00μmの貝殻粉の顕微鏡写真である。
00μmの貝殻粉の顕微鏡写真である。
【図7】同実験例により得られた黒蝶貝の粒径300〜
500μmの貝殻粉の顕微鏡写真である。
500μmの貝殻粉の顕微鏡写真である。
【図8】同実験例により得られた黒蝶貝の粒径500〜
1000μmの貝殻粉の顕微鏡写真である。
1000μmの貝殻粉の顕微鏡写真である。
【図9】同実験例により得られたメキシコ鮑の粒径25
μm未満の貝殻粉の顕微鏡写真である。
μm未満の貝殻粉の顕微鏡写真である。
【図10】同実験例により得られたメキシコ鮑の粒径2
5〜300μmの貝殻粉の顕微鏡写真である。
5〜300μmの貝殻粉の顕微鏡写真である。
【図11】同実験例により得られたメキシコ鮑の粒径3
00〜500μmの貝殻粉の顕微鏡写真である。
00〜500μmの貝殻粉の顕微鏡写真である。
【図12】同実験例により得られたメキシコ鮑の粒径5
00〜1000μmの貝殻粉の顕微鏡写真である。
00〜1000μmの貝殻粉の顕微鏡写真である。
【図13】同実験例により得られた夜光貝の粒径25μ
m未満の貝殻粉の顕微鏡写真である。
m未満の貝殻粉の顕微鏡写真である。
【図14】同実験例により得られた夜光貝の粒径25〜
300μmの貝殻粉の顕微鏡写真である。
300μmの貝殻粉の顕微鏡写真である。
【図15】同実験例により得られた夜光貝の粒径300
〜500μmの貝殻粉の顕微鏡写真である。
〜500μmの貝殻粉の顕微鏡写真である。
【図16】同実験例により得られた夜光貝の粒径500
〜1000μmの貝殻粉の顕微鏡写真である。
〜1000μmの貝殻粉の顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06Q 1/00
Claims (4)
- 【請求項1】真珠層を有する貝殻を破砕用液体と混合
し、この混合物に攪拌体を接触させて運動させることに
より、前記貝殻を破砕用液体中で粉砕して貝殻粉体とす
る工程と、前記貝殻粉体を粒径により分級し、前記真珠
層から生成した薄片状粒体のみを得るとともに、その他
の粉体を除去する工程と、を具備することを特徴とする
貝殻粉の製造方法。 - 【請求項2】前記破砕用液体として、低級アルコールま
たはその希釈液を使用することを特徴とする請求項1記
載の貝殻粉の製造方法。 - 【請求項3】前記薄片状粒体を酸素系漂白剤で漂白する
ことを特徴とする請求項1または2記載の貝殻粉の製造
方法。 - 【請求項4】前記貝殻として、白蝶貝、黒蝶貝、メキシ
コ鮑および夜光貝から選択される1種または2種以上の
貝殻を使用することを特徴とする請求項1,2または3
記載の貝殻粉の製造方法。
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JPH0647303A true JPH0647303A (ja) | 1994-02-22 |
JP3260166B2 JP3260166B2 (ja) | 2002-02-25 |
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ID=16511542
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JP20571892A Expired - Fee Related JP3260166B2 (ja) | 1992-07-31 | 1992-07-31 | 貝殻粉の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2011251244A (ja) * | 2010-06-02 | 2011-12-15 | Mitsubishi Paper Mills Ltd | 未焼成の貝殻粉砕物の製造方法およびそれを用いた印刷用塗工シート |
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JP6109389B1 (ja) * | 2016-05-31 | 2017-04-05 | 範子 山田 | 桜貝アクセサリーの製造方法 |
KR101971461B1 (ko) * | 2018-06-25 | 2019-04-24 | 대한민국(한국전통문화대학교 총장) | 호분 생산 공정 |
-
1992
- 1992-07-31 JP JP20571892A patent/JP3260166B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2011072207A (ja) * | 2009-09-29 | 2011-04-14 | Shingy:Kk | 鮑の貝殻の真珠層分離方法、鮑の貝殻の真珠層分離物の製造方法、及び真珠層分離物の製造方法 |
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