JP4458439B1 - 鮑の貝殻の真珠層分離方法、鮑の貝殻の真珠層分離物の製造方法、及び真珠層分離物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 鮑の貝殻を加熱した後に、水に浸して急冷して真珠層と稜柱層の間に亀裂を入れ、次いでこの鮑の貝殻を酸性溶液に浸して亀裂部分における稜柱層を構成する炭酸カルシウムを分解除去させ、鮑の貝殻から真珠層を分離する。
【選択図】 なし
Description
鮑の貝殻は、他の貝類の貝殻と同様に、外層、中層、内層の三層からなっており、外層を殻皮(又は角質層、periostracum)、中間層を稜柱層(又は角柱層、prismatic layer)、内層を真珠層(nacreous layer)という。
このうち、真珠層は貝殻全体の50〜60%を占め、白銀色で真珠光沢のある部分であり、鮑の貝殻の薬理効果は、この真珠層に由来している。
しかしながら、このような従来の分離方法では、殻皮と稜柱層を完全に除去することが困難であり、生産された真珠層分離物に不純物(特に鮑の貝殻稜柱層)が含まれてしまうという問題があった。
しかし、上記の通り、伝統的な鮑の貝殻の真珠層の分離方法は、一つずつ手作業で行うものであるため、大規模な生産や品質のコントロールを行うことが困難であった。
一方、本発明者は、鮑の貝殻を加熱し、その後、冷却を速やかに行うためにこれを水に浸して急冷したところ、真珠層と稜柱層の間に亀裂が入ることを知見した。この知見から、亀裂部分で繋がっている真珠層と稜柱層を分離する方法として、両者が炭酸カルシウムで構成されていることから、酸で処理して繋がっている部分の炭酸カルシウムを分解除去することで、真珠層の品質を損なうことなく、貝殻から真珠層を高い純度で分離することに成功し、本発明を完成させた。この方法によれば、手作業によることなく、より品質に優れた真珠層分離物を生産することが可能である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
まず、本実施形態の鮑の貝殻の真珠層分離方法において、原料として用いる鮑の貝殻について説明する。
鮑の貝殻は、中国の伝統医学において眼科の薬として用いられ、平肝潜陽(平肝し、肝の陽を潜ませ)、明目することで、主に頭痛や眩暈、緑内障、高血圧眼底出血、白内障、角膜炎、視神経炎等の症状の治療に用いられている。平肝潜陽、明目とは、肝臓の陰陽を均衡させて、視界を明るく感じさせることであり、滋肝補腎を通じて、肝臓の疏泄機能(肝臓の生理機能のひとつであり、精神機能や臓腑の活動をのびやかに円滑に保つこと。自律神経系の働きに似ており、新陳代謝と同様な意味がある。)を増強することをいう。
その他、降圧排痙、眼圧の低下、目の感覚を心地よく快適にして痛みをなくす作用、目の乾き,腫れの痛み,目のかすみちらつき、涙目等の症状を改善する作用、目ヤニの排出の増加、視力の上昇、飛蚊症状(muscae volitantes)の改善作用を得るためなどに使用される。なお、降圧排痙とは、中国の伝統医学において、眼内圧力を低下させ、眼圧を正常状態に調整することを意味する。これにより、緑内障症状を取り除き、眼部組織に栄養をつけ、毛様体(ciliary body)痙攣を取り除き、肝胆湿熱(肝の湿熱であるイライラ、怒りやすい、不眠、のぼせ、肝経にそった痒み、陰部の痒み、湿疹、目の痒み、ただれ、赤目、胆経の湿熱で口が苦い、吐き気、胸焼け、黄疸など)の毒素を取り除き、眼部環境改善して、視力を向上させる。
さらに、鮑の貝殻の真珠層には、これらの微量元素の他、ケラチン(keratin)や、アミノ酸などの有効成分が含まれている。
最も外側の層を殻皮といい、硬タンパク質(Scleroprotein)の一種からなっており、酸腐食耐性がある。
中間の層は、稜柱層とよばれ、角柱状の方解石(calcite、カルサイト)で構成されている。これらの殻皮と稜柱層は、外套膜背面のへりからの分泌でしか形成されない。
一方、内層は、真珠層とよばれ、球状の霰石(Aragonite、アラゴナイト)で構成されている。この真珠層は、外套膜の全表面から分泌によって形成され、貝類の成長に伴って厚みを増す。貝殻全体の50〜60%を占めており、色は白銀色で、真珠光沢がある。
次に、本実施形態の鮑の貝殻の真珠層分離方法について説明する。
(1)前処理工程
まず、鮑の貝殻のうち、成体の殻頂(Umbo)の磨損部に真珠光沢が現れ、殻の内面が白銀色を呈し、真珠の様な彩色光沢の強い鮑の貝殻を選別して、加工原料とする。
次に、鮑の貝殻を水で洗浄して内外表面の泥や砂を取り除き、次いで水に浸して表面付着物を軟化させる。次いで、この鮑の貝殻を回転ドラムに入れ、互いにぶつけ合わせて、摩擦作用により鮑の貝殻の表面付着物を除去する。
(2)吸水工程
次に、鮑の貝殻を水に浸し、水を十分に吸収させる。
このとき、鮑の貝殻を水に2〜3時間浸すことが好ましい。これにより、鮑の貝殻に飽和するまで水分を吸収させることができる。
次いで、吸水させた鮑の貝殻を加熱した後、水に浸して急冷して、鮑の貝殻の稜柱層と真珠層間に亀裂を入れる(分層しているが、分離はまだしていない状態である)。
このとき、加熱は、240℃〜260℃で行うことが好ましい。240℃未満の温度では、稜柱層と真珠層の間に十分な亀裂を入れることができず、260℃を超える温度で加熱すると、真珠層の光沢が失われるとともに、鮑の貝殻における有効成分が消失し、品質が劣化するためである。
なお、加熱時間は、鮑の貝殻の温度上昇の経過を確認して、目的の温度(例えば260℃)に達した時点からカウントする。
そして、加熱により焼成した鮑の貝殻を迅速に水に入れることにより、方解石からなる稜柱層と霰石からなる真珠層と間に亀裂を入れる。
具体的には、加熱温度が240℃の場合、稜柱層と真珠層の間に十分に亀裂を入れるためには、180分〜200分間の加熱が必要である。一方、260℃であれば、加熱時間は、150分〜175分間で十分であり、200分間では真珠層の光沢に変化が生じる。
したがって、焼き入れ工程において、加熱温度を240℃〜260℃とし、加熱時間を150分〜200分間とすれば、稜柱層から高い純度で真珠層を分離することは可能である。
上記加熱した鮑の貝殻を浸すのに用いる水の温度は18℃前後、量は鮑の貝殻の5倍以上が好ましい。
次に、稜柱層と真珠層間に亀裂の入った鮑の貝殻を、酸性溶液に浸す。これにより、亀裂部分の稜柱層を構成する方解石(炭酸カルシウム)を分解除去して、真珠層を稜柱層から分離することができる。
酸性溶液としては、4w/v%〜5w/v%の酢酸水溶液を用いることが好ましい。このような酢酸水溶液を用いれば、真珠層の品質を損なうことなく、真珠層を分離することができる。なお、酢酸水溶液の温度は18℃〜24℃とし、酢酸水溶液の量は鮑の貝殻の3倍前後とすることが好ましい。
本発明では、この酸処理工程に先だって、鮑の貝殻における方解石からなる稜柱層と霰石からなる真珠層との間に亀裂を入れ、その後酸処理工程で酢酸と反応させることで、この亀裂部分の方解石を分解除去して、真珠層を高い純度で稜柱層から分離することを可能としている。
また、溶液を絶えず攪拌して、酸処理の条件を均一にすることが好ましい。
次に、分離した真珠層を水で洗浄した後、低温で乾燥させる。
そして、この真珠層を粉末化して食品や飲料に含有させることで、鮑の貝殻の真珠層の有効成分を有する健康飲食品を製造する。
次に、上記のような方法により、鮑の貝殻の真珠層を稜柱層から分離する原理等について、詳細に説明する。
[1.鮑の貝殻への水の飽和]
上記実施形態の鮑の貝殻の真珠層分離方法における吸水工程では、鮑の貝殻を2〜3時間水に浸し、その稜柱層を構成する方解石に、飽和に達するまで水を充分に吸収させている。
この鮑の貝殻に水分を飽和させるまでの時間は、次のように決定した。
この結果から、鮑の貝殻の含水の飽和点は2.91%であり、合理的な吸水時間は約2〜3時間と判定できる。
鮑の貝殻の稜柱層を構成する方解石に亀裂を入れるための加熱温度条件は、熱分析法(Thermal Analysis)を用いて次のように検討し、候補となる温度範囲を決定した。そして、このように決定して得られた範囲内で、真珠層の分離に適する上記加熱温度条件(240℃〜260℃)を実験により見いだした。
熱分析は、TGS−2熱天秤(thermo-balance:パーキン・エルマー社製)と、TADS−3600熱分析DATA STATION(パーキン・エルマー社製)を用い、熱重量測定(TG:Thermogravimetry)と、微分熱重量測定(DTG:Derivative TG)により行った。
第一段階:TG曲線において、240℃〜320℃に1つの小さな重量減少が認められ、その減少率は約3%であった。この重量減少は、鮑の貝殻中の有効物質の減少によると考えられる。また、DTG曲線における温度ピークは280℃付近であった。
第二段階:TG曲線における600℃〜780℃の重量減少率は約40%であった。この重量減少は、炭酸カルシウムの分解によると考えられる。
この結果から、加熱温度として有効成分が失われないと考えられる240〜320℃以下の温度で、かつ真珠層の光沢に変化が認められない温度を設定することが必要であることがわかった。
鮑の貝殻に吸水させて加熱した後に、水に入れて急冷することにより、稜柱層と真珠層の間に亀裂を入れる原理について、稜柱層と真珠層の結晶構造に基づき以下に説明する。
すなわち、方解石は霰石よりも熱変化に対して、その結晶構造が大きく変化するため、安定な結晶構造を保っている霰石によって、方解石と霰石との境界面において、方解石の結晶構造が破壊され、境界面で亀裂が起こると考えられる。また、方解石は水を吸収しやすいことから、加熱前の吸水工程及び加熱後の焼入れ工程により、その結晶構造の破壊はさらに促進されているものと考えられる。
稜柱層及び真珠層とも、その主成分は炭酸カルシウムであり、酸と反応するが、方解石からなる稜柱層の方が、霰石からなる真珠層よりも、その結晶構造から反応性が高くなっている。
また、前工程の加熱、水に浸しての急冷によって稜柱層の結晶構造は破壊され、その表面積は大きくなっており、その反応性はさらに高まっていると考えられる。
この酸との反応性の差を利用して、真珠層との反応を極力避けるため、酸として弱酸の酢酸を用い、濃度も4〜5w/v%と低い濃度としている。また、反応を均一な条件で行うため、鮑の貝殻が全て酢酸溶液に浸るようにし、また混合物を攪拌している。
なお、本実施形態では酸として酢酸を用いているが、これに限定されるものではなく、同様の効果が得られれば、その他の弱酸を使用してもよい。
上記実施形態の鮑の貝殻の真珠層分離方法における前処理工程に従って、野生の鮑の貝殻のうち、成体の殻頂の磨損部に真珠光沢が現れ、殻の内面が白銀色を呈しかつ彩色光沢の強い鮑の貝殻を選別し、その外表層の付着物を除去して2.7時間水に浸し、鮑の貝殻に水を十分に吸収させた。
次に、鮑の貝殻を水から引き上げて滴る水分を拭き取ってオーブンに入れ、240℃で200分間加熱した後、水に浸して急冷し、稜柱層と真珠層の間に亀裂を入れた。そして、そのまま水に3時間浸して、水を十分に吸収させた。
このようにして得られた真珠層の分離率を測定するとともに、その光沢を肉眼により確認した。なお、真珠層の分離率は、(稜柱層と真珠層が分離した鮑の貝殻数÷全鮑の貝殻数)×100の計算式にもとづき算出した。
酸処理工程において、鮑の貝殻を5w/v%の酢酸に5分間浸した点以外は、実施例1と同様の条件で、鮑の貝殻から真珠層を分離した。
(実施例3)
鮑の貝殻の加熱温度を260℃とし、加熱時間を150分にした点以外は、実施例2と同様の条件で、鮑の貝殻から真珠層を分離した。
(実施例4)
鮑の貝殻の加熱温度を260℃とし、加熱時間を175分にした点以外は、実施例2と同様の条件で、鮑の貝殻から真珠層を分離した。
吸水させた鮑の貝殻を200℃で240分間加熱した点、及び、酸処理工程において、鮑の貝殻を3w/v%の酢酸に20分間浸した点以外は、実施例1と同様の条件で、鮑の貝殻から真珠層を分離した。
(参考例2)
吸水させた鮑の貝殻を220℃で240分間加熱した点以外は、参考例1と同様の条件で、鮑の貝殻から真珠層を分離した。
吸水させた鮑の貝殻を240℃で150分間加熱した点、及び、酸処理工程において、鮑の貝殻を5w/v%の酢酸に5分間浸した点以外は、実施例1と同様の条件で、鮑の貝殻から真珠層を分離した。
(参考例4)
参考例3と同じ条件で、再度実験を行い、その結果を確認した。
吸水させた鮑の貝殻を260℃で150分間加熱した点、及び、酸処理工程において、鮑の貝殻を8w/v%の酢酸に3分間浸した点以外は、実施例1と同様の条件で、鮑の貝殻から真珠層を分離した。
(参考例6)
酸処理工程において、鮑の貝殻を10w/v%の酢酸に5分間浸した点以外は、参考例5と同様の条件で、鮑の貝殻から真珠層を分離した。
鮑の貝殻を260℃で200分間加熱した点、及び、酸処理工程において、鮑の貝殻を5w/v%の酢酸に3分間浸した点以外は、実施例1と同様の条件で、鮑の貝殻から真珠層を分離した。
(参考例8)
吸水させた鮑の貝殻を260℃で240分間加熱した点、及び、酸処理工程において、鮑の貝殻を3w/v%の酢酸に20分間浸した点以外は、実施例1と同様の条件で、鮑の貝殻から真珠層を分離した。
吸水させた鮑の貝殻を290℃で240分間加熱した点、及び、酸処理工程において、鮑の貝殻を3w/v%の酢酸に10分間浸した点以外は、実施例1と同様の条件で、鮑の貝殻から真珠層を分離した。
(参考例10)
吸水させた鮑の貝殻を290℃で200分間加熱した点、及び、酸処理工程において、鮑の貝殻を5w/v%の酢酸に3分間浸した点以外は、実施例1と同様の条件で、鮑の貝殻から真珠層を分離した。
吸水させた鮑の貝殻を290℃で150分間加熱した点、及び、酸処理工程において、鮑の貝殻を5w/v%の酢酸に5分間浸した点以外は、実施例1と同様の条件で、鮑の貝殻から真珠層を分離した。
(参考例12)
鮑の貝殻の加熱温度を290℃とし、加熱時間を120分にした点以外は、比較例9と同様の条件で、鮑の貝殻から真珠層を分離した。
以上の結果を図2に示す。
鮑貝殻60kgを研磨機で表面の殻皮と稜柱層を摩擦で削り取って、真珠層を得た。この真珠層を洗浄後、105℃で乾燥して、後述する走査型電子顕微鏡観察、及び粉末X線回折に供した。その結果をそれぞれ図3,図5に示す。
(参考例13)
実施例1で真珠層と分離した鮑の貝殻の内側を削り取り、稜柱層を得た。この稜柱層を粉末X線回折に供した。その結果を図6に示す。
また、参考例7に示されるように、加熱温度が260℃であり、かつ加熱時間が200分の場合は、稜柱層と真珠層の間に十分な亀裂が入り、真珠層の光沢は変化するものの、消失はしなかった。
(1)走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)による評価
実施例1により得られた真珠層分離物について、走査型電子顕微鏡(HITACHI S-5500電界放出走査電子顕微鏡(FE-SEM: Field Emission Scanning Electron Microscopy)で観察を行った。
また、比較例1の従来の手作業により分離して得られた真珠層分離物についても、同様にして走査型電子顕微鏡により観察した。図3にそれぞれの結果を示す。
これに対し、従来の手作業により分離された真珠層分離物には、球状の霰石の結晶構造のみならず、方解石の結晶構造が存在しており、真珠層から稜柱層を完全には除去できていないことがわかる。
実施例1により得られた真珠層分離物を粉末化して、その粉末X線回折をX線回折分析計(日本理学Rigaku D/max-RC,CuKα線,グラファイトモノクロメータ-(graphite monochromator),50kV,80mA,走査速度8(°)・min-1)で測定した。その結果を図4に示す。
また、比較例1の従来の手作業により分離して得られた真珠層分離物、及び参考例13で得られた稜柱層分離物についても、同様に粉末X線回折を測定した。その結果をそれぞれ図5,図6に示す。
これに対して、実施例1で得られた真珠層分離物には、この稜柱層分離物に特徴的なピークは見あたらなかった。
したがって、実施例1で得られた真珠層分離物は、稜柱層が含まれていない純度の高いものであることが確認された。
例えば、本実施形態等では、鮑の貝殻から真珠層を分離しているが、方解石からなる稜柱層と霰石からなる真珠層を有する貝殻であれば、同様の原理及び方法を適用して、その真珠層を分離することが可能である。
Claims (7)
- 真珠層及び稜柱層を含む鮑の貝殻から真珠層を分離する鮑の貝殻の真珠層分離方法であって、
鮑の貝殻を水に浸し、吸水した鮑の貝殻を加熱した後に、水に浸して急冷して真珠層と稜柱層の間に亀裂を入れ、次いでこの鮑の貝殻を酸性溶液に浸して前記亀裂部分における稜柱層を構成する炭酸カルシウムを分解除去して、前記鮑の貝殻から真珠層を分離することを特徴とする鮑の貝殻の真珠層分離方法。 - 前記加熱を240℃〜260℃の温度で行うことを特徴とする請求項1記載の鮑の貝殻の真珠層分離方法。
- 前記酸性溶液として、4w/v%〜5w/v%の酢酸水溶液を用いることを特徴とする請求項1又は2記載の鮑の貝殻の真珠層分離方法。
- 真珠層及び稜柱層を含む鮑の貝殻から真珠層を分離する鮑の貝殻の真珠層分離物の製造方法であって、
鮑の貝殻を水に浸し、吸水した鮑の貝殻を加熱した後に、水に浸して急冷して真珠層と稜柱層の間に亀裂を入れ、次いでこの鮑の貝殻を酸性溶液に浸して前記亀裂部分における稜柱層を構成する炭酸カルシウムを分解除去して、前記鮑の貝殻から真珠層を分離することを特徴とする鮑の貝殻の真珠層分離物の製造方法。 - 前記加熱を240℃〜260℃の温度で行うことを特徴とする請求項4記載の鮑の貝殻の真珠層分離物の製造方法。
- 前記酸性溶液として、4w/v%〜5w/v%の酢酸水溶液を用いることを特徴とする請求項4又は5記載の鮑の貝殻の真珠層分離物の製造方法。
- 真珠層及び稜柱層を含む貝殻から真珠層を分離する真珠層分離物の製造方法であって、
貝殻を水に浸し、吸水した貝殻を加熱した後に、水に浸して急冷して真珠層と稜柱層の間に亀裂を入れ、次いでこの貝殻を酸性溶液に浸して前記亀裂部分における稜柱層を構成する炭酸カルシウムを分解除去して、前記貝殻から真珠層を分離することを特徴とする真珠層分離物の製造方法。
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