JPH0643143U - モルタル流出止め型枠 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 プレキャスト柱の柱脚接合面の接合をモルタ
ル充填方式で行なう際に、モルタル流出止め型枠を使用
して、柱脚接合の工期を短縮できるようにするととも
に、その作業を簡単にできるようにした。 【構成】 モルタル流出止め型枠は、４本の直線状のシ
ール枠１からなり、各シール枠１の一端に、その端面に
対向して前後移動する押しボルト４がねじ調節可能に設
けられる。各シール枠１に設けた押しボルト４とその対
向端面との間を、他のシール枠１の押しボルトを有しな
い方の端部に係合させて、４本のシール枠１を井桁状に
組み立てられるようになっている。また各シール枠１に
は、それが置かれる床スラブとの間に隙間ができないよ
うにシール用ゴム６が接着されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、プレキャスト工法において、プレキャスト鉄筋コンクリート柱の柱 脚接合面の接合をモルタル充填方式にて行なう場合、モルタルの流出を止めるた めに柱接合面の周囲を囲むようにしたモルタル流出止め型枠に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、プレキャスト柱の柱脚接合面の接合をモルタル充填方式を用いて行なう 場合、図５に示すように下階のプレキャスト柱１１の鉄筋が上側の床スラブ１２ 上に突出した上端部と、その位置に対応する上階のプレキャスト柱の鉄筋下端部 を、上階のプレキャスト柱に埋め込んであるスプライススリーブ１３に挿入する 。またプレキャスト柱の脚部接合面に間隔保持用の突出を設けて、スラブ面に対 して所定の間隔をあけておく。そしてその間隔を封止するように床スラブ上の柱 脚の周囲にモルタルを使用してシールモルタル１４を塗布し、シールモルタル１ ４が硬化した後、スプライススリーブ１３の注入口１５から高強度無収縮モルタ ルを充填し、スプライススリーブ１３の排出口１６からモルタルが流出したらモ ルタルの充填を完了させている。このように柱脚周囲にシールモルタル１４を塗 布することにより、スプライススリーブ１３の下端から床スラブ上に流出したモ ルタルがシールモルタル１４により止められ、外部に流出することがない。なお スプライススリーブ１３へのモルタル充填と同時に、プレキャスト柱１１の柱脚 接合面の隙間にも同時にモルタルを充填している。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来のプレキャスト柱の柱脚接合面を接合する場合に、鉄筋接合部のスプライ ススリーブに充填するモルタルの流出を止めるためにシールモルタルを塗布する 方法では、シールモルタルが硬化するまで、次の工程すなわちスプライススリー ブへのモルタルの注入が行なえず、作業性の悪いものであった。 またシールモルタルを塗布するためには、左官工の技術を必要とするため、そ の技術を有する人でなければ作業できないという問題もあった。 そこで本考案は、プレキャスト柱の柱脚接合面の接合をモルタル充填方式で行 なう際に、モルタル流出止め型枠を使用することにより工期を短縮してできるよ うにし、かつ特殊な技術を要すことなくモルタル流出止め型枠を使用できるよう にし、さらにモルタル流出止め型枠は大きさの異なるプレキャスト柱に対応でき るようにすることを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は、直線状の４本のシール枠をプレキャスト柱の柱脚部周囲に井桁状に 組み立てて、プレキャスト柱の鉄筋継手に充填するモルタルの流出を防止できる ようにしたモルタル流出止め型枠であって、上記目的を達成したものである。モ ルタル流出止め型枠を構成する各シール枠は断面略矩形に形成され、各シール枠 の一端にその端面に対向して前後移動する押しボルトがねじ調節可能に設けられ 、各シール枠の押しボルトとその対向端面との間に他のシール枠の押しボルトを 有しない方の端部をはさみつけられるようになっている。 各シール枠には、底面及びそれがプレキャスト柱と対向する側面に、シール用 ゴムを接着することにより、モルタルの流出をより完全に止めることが可能にな る。

【０００５】

【作用】

上記のモルタル流出止め型枠は、プレキャスト柱の柱脚接合面の接合をモルタ ル充填方式で行なう場合に、接合部に充填されるモルタルが柱脚接合部の下の床 スラブ上に広がるのを止めるために使用する。 モルタル流出止め型枠を組み立てる場合は、シール枠をプレキャスト柱の柱脚 接合面の周面に押し当てて床スラブ上に４本のシール枠を井桁状に組み立てる。 その際に、各シール枠は押しボルトとその対向端面との間を、他のシール枠の押 しボルトを有しない方の端部に係合させて、押しボルトをねじ調節してシール枠 端部をはさみつけることにより４本のシール枠を井桁状に固定する。この場合、 シール枠に設けた押しボルトが他のシール枠をはさみつける位置を変えるだけで 、井桁の異なる大きさに対応させることができる。シール枠を井桁状にした状態 で、プレキャスト柱の柱脚接合部のスプライススリーブにモルタルを充填し、そ の排出口からモルタルが出るとモルタルの充填を完了する。この場合、スプライ ススリーブの下端からモルタルが流出して床スラブ上に流れるが、それは井桁状 のモルタル流出止め型枠により止められ、その外側に流出することはない。 またモルタル流出止め型枠を配置する床スラブの表面に不陸がある場合でも、 各シール枠にシール用ゴムを接着させてあるので、そのシール用ゴムにより不陸 を吸収するとともに、プレキャスト柱の柱脚との隙間を密閉することができ、さ らに各シール枠の凹部と他のシール枠との係合部での隙間を密閉することができ る。

【０００６】

【実施例】

本考案のモルタル流出止め型枠を図１〜３により説明する。 モルタル流出止め型枠は、４本の直線状のシール枠１で構成され、それらは図 ２に示される井桁状に組み立てられるようになっている。これらシール枠１は金 属製であるが、それらを木製や、樹脂製にすることも可能である。 各シール枠１は断面が略矩形に形成され、シール枠１の一端の上面から断面Ｌ 字形の連結材２が突出され、その連結材２の先端に雌ねじ部３を介して押しボル ト４がねじ調節可能に設けられる。押しボルト４の先端はシール枠１の端面１ａ に対向して前後に移動可能であり、その移動は押しボルト４を雌ねじ部３に対し てねじ調節することにより行なわれる。押しボルト４の先端に当て板５が取付け られ、当て板５とシール枠１の端面１ａとの間に、他のシール枠１の端部をはさ みつけられるようになっている。なお、当て板５は必ずしも設ける必要はなく、 さらにシール枠１の外側面に押しボルト４の先端がスライドする溝部を形成して もよい。 また各シール枠１の底面及び内側側面に、シール用ゴム６が接着され、シール 枠１が床スラブ上に置かれたときに、床スラブとの間、およびプレキャスト柱と の間の隙間を生じさせないようにするとともに、各シール枠１の押しボルトの対 向端面１ａと他のシール枠１とのはさみつけ部に隙間を生じさせないようになっ ている。

【０００７】 プレキャスト柱の柱脚接合面の接合をモルタル充填方式で行なう場合、接合部 に充填するモルタルが床スラブ上に広がらないようにするために、上記のモルタ ル流出止め型枠を図３に示すように使用する。 この場合、プレキャスト柱７をセットし、かつ上階側のプレキャスト柱７に埋 め込まれたスプライススリーブ１３に、上下階のプレキャスト柱７の鉄筋の接合 部を挿入させておく。その後、４本のシール枠１をプレキャスト柱７の柱脚周面 に押し当てて床スラブ８上に井桁状に配置し、各シール枠１に設けた押しボルト ４とその対向端面１ａとの間を、他のシール枠１の押しボルトを有しない方の端 部に係合させて押しボルト４をねじ込んで井桁状に固定する。次いで、スプライ ススリーブ１３に高強度無収縮モルタルを充填し、モルタルがスプライススリー ブ１３の排出口から流出するとその充填を完了する。このモルタル充填時に、ス プライススリーブ１３の下端からモルタルが床スラブ８の上に流れるが、井桁状 のシール枠１で止められる。 なお柱脚接合の作業が完了した後は、各シール枠１に設けた押しボルト４を緩 めて他のシール枠１との係合を外せば、容易に４本のシール枠１に分解でき、次 ぎの作業に使用することができる。

【０００８】 前記実施例ではスラブをはさんで上下のプレキャスト柱を接合する場合であっ たが、本考案はスラブのないＦＳＲＰＣ工法へも適用可能である。ＦＳＲＰＣ工 法では、下階の柱を建て込み後に鉄骨梁を取付け、スラブ打設前に上階の柱を建 て込むようにしている。その場合の上下のプレキャスト柱の接合はスラブ打設前 に行なうため、シール枠１はスラブのある場合の使用法とは異なり、天地を変え て柱脚接合箇所に取付ける。すなわち、下階のプレキャスト柱に比べて上階のプ レキャスト柱が大きいことを利用し、上階柱の側面をあたかもスラブであるかの ように利用する。 この接合は図４に示すように行なわれ、下階のプレキャスト柱７を建て込んで 鉄骨梁１０を取付け、さらに上階のプレキャスト柱７を建て込み、上階のプレキ ャスト柱７の下端と下階のプレキャスト柱７の上端との間の隙間Ｓの周囲に、断 面Ｌ字形の不陸吸収ゴム９を介して４本のシール枠１を井桁状に組み付ける。よ って、スプライススリーブ１３にモルタルを充填する際に、井桁状のシール枠１ によりモルタルの流出を止めることができる。

【０００９】

【考案の効果】

本考案によれば、モルタル流出止め型枠を押しボルトを有する４本のシール枠 で構成しているので、従来のようにプレキャスト柱の柱脚の周囲にシールモルタ ルを塗布する場合に比較して作業性がよく、工期を短縮することができる。また シール枠を井桁に組み立てたり分解するだけであるので、特殊な技術を要すこと がなく、井桁の大きさは押しボルトで他のシール枠をはさみつける位置を変える だけでよいので、プレキャスト柱の異なる大きさに対応できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のモルタル流出止め型枠を構成するシー
ル枠の正面図と側面図である。

【図２】本考案のモルタル流出止め型枠の組み立て状態
の斜視図である。

【図３】本考案のモルタル流出止め型枠の使用状態の説
明図である。

【図４】本考案のモルタル流出止め型枠の異なる使用状
態の説明図である。

【図５】従来のプレキャスト柱の柱脚接合部でのモルタ
ル流出止めの作業を示す説明図である。

【符号の説明】

１ シール枠 ３ 雌ねじ部 ４ 押しボルト ６ シール用ゴム

フロントページの続き (72)考案者 松原 洋志 東京都渋谷区千駄ヶ谷四丁目６番15号株式 会社フジタ内

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 直線状の４本のシール枠をプレキャスト
   柱の柱脚部周囲に井桁状に組み立てて、プレキャスト柱
   の鉄筋継手に充填するモルタルの流出を防止できるよう
   にしたモルタル流出止め型枠であって、各シール枠は断
   面略矩形に形成され、各シール枠の一端にその端面に対
   向して前後移動する押しボルトがねじ調節可能に設けら
   れ、各シール枠の押しボルトとその対向端面との間に他
   のシール枠の押しボルトを有しない方の端部をはさみつ
   けることにより４本のシール枠を井桁状に固定できるこ
   とを特徴とするモルタル流出止め型枠。
2. 【請求項２】 各シール枠の底面と、各シール枠がプレ
   キャスト柱に対向する側面に、それぞれシール用ゴムが
   接着されている請求項１のモルタル流出止め型枠。