JPH06341167A

JPH06341167A - コンクリート構造体の施工方法

Info

Publication number: JPH06341167A
Application number: JP12982293A
Authority: JP
Inventors: Yukihiro Sakuta; 幸弘作田; Masatoshi Fujiyoshi; 雅利藤吉; Makoto Nagao; 眞永尾; Hirotaka Otake; 弘孝大竹
Original assignee: Maeda Corp
Current assignee: Maeda Corp
Priority date: 1993-05-31
Filing date: 1993-05-31
Publication date: 1994-12-13

Abstract

(57)【要約】【目的】コンクリート型枠の分解、移動の必要がなく、
また資材の節約を図ることができるとともに、迅速な施
工が可能なコンクリート構造体の施工方法を提供する。【構成】断面略Ｕ字状に形成したプレキャストコンクリ
ート製横梁１内に梁鉄骨２を固定する一方、形成すべき
コンクリート柱３の隅部にコーナー部材４を配置すると
ともに、これらコーナー部材４間を液密的に連結するよ
う側板５を固定し、さらに内部に柱用鉄骨６を配設し、
この柱用鉄骨６の上端側面に、前記梁鉄骨２の端部を載
置すべきベッド体７を固定し、隣合う前記プレキャスト
コンクリート製横梁間に複合床板を配設し、この複合床
板上にコンクリートを打設する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はコンクリート構造体の施
工方法に係り、特に、柱、梁、及び梁上の床を一体的に
構築する方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】周知のように、建設現場においてコンク
リート柱等の構造体を構築する場合には、構築すべきコ
ンクリートを流し込むための型枠が不可欠である。この
型枠はいわゆるコンパネを用いて組み立て、内部の形状
が所定のものとなるように周囲から保持したりコンパネ
自体を接続して構成される。

【０００３】また、横梁や梁上の床を構築する際にも基
本的には同様の工程を以って行われている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の型枠
構造では、型枠が単なる板材の組み合わせで形成されて
いるため多数の手間がかかるる問題があった。

【０００５】しかも、コンクリートの養生後はこの型枠
を取り外さなければならないため、この脱型工程に多大
な手間がかかるのは勿論、コンクリートが付着した多量
の板材が出ることとなり、これの運搬や保存にも多くの
手数がかかっていた。

【０００６】また、従来の方法では横梁や梁上の床スラ
ブを構築する際にも、基本的には同様の工程で行ってい
たため、多量の型枠資材が必要になるとともに、それを
支えるための支保工が林立することとなる。そしてこの
ような型枠や支保工の組立、分解を伴ってこれらを移動
しながら作業を進めるので、上記の作業の省力化が強く
望まれている。

【０００７】さらに、従来の施工法では鉄骨同士を繋ぎ
用のプレートで連結するようにしているが、支保工で支
持された状態において、繋ぎ用のプレートを両方の鉄骨
にボルト締めするには熟練した鳶職人が必要である。し
かし、安全性と作業効率との要請からさらなる改善が望
まれている。

【０００８】なお、近年プレキャストコンクリート製横
梁を用いて支保工を簡単なものとする工法も開発されて
いるが、現場組み工程がそれほど簡略化されておらず、
工期の大幅な削減はできていない。

【０００９】本発明は前記事項に鑑みてなされたもの
で、コンクリート型枠の分解、移動の必要がなく、熟練
を要することなく迅速で容易に施工できるコンクリート
構造体の施工方法を提供することを技術的課題とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は前記技術的課題
を解決するために、以下のような方法とした。即ち、断
面略Ｕ字状に形成したプレキャストコンクリート製横梁
１内に梁鉄骨１を固定する一方、形成すべきコンクリー
ト柱３の隅部にコーナー部材４を配置するとともに、こ
れらコーナー部材４間を液密的に連結するよう側板５を
固定し、さらに内部に柱用鉄骨６を配設する。

【００１１】さらに、この柱用鉄骨６の上端側面に、前
記梁鉄骨２の端部を載置すべきベッド体７を固定し、隣
合う前記プレキャストコンクリート製横梁間にデッキプ
レート８を配設しこのデッキプレート８上にコンクリー
トを打設する。

【００１２】そして、前記デッキプレート８上、プレキ
ャストコンクリート製横梁１内、及び前記コーナー部材
４及び側板５内に一体的にコンクリートを流入させ、前
記コーナー部材４及び側板５を恒久型枠とする。

【００１３】なお、前記ベッド体７を、前記柱用鉄骨６
に垂直に固定された水平底板９と、この水平底板９上に
垂直に立設し、所定の間隔を以って配置した２枚の固定
板１０、１０とから構成し、前記梁鉄骨２の一部を前記
固定板１０、１０間に挟持させて締着することにより前
記梁鉄骨２の仮固定及び本固定ができるような方法を採
ることができる。なお、固定板１０を一方のみとし、前
記梁鉄骨２の一部を固定板１０に密着させるような方法
でもよい。

【００１４】

【作用】プレキャストコンクリート製横梁１、コンクリ
ート柱３、デッキプレート８に夫々コンクリートを打設
する各工程において、撤去が必要な型枠は用いず、型枠
はすべて恒久的なものとしたので、極めて効率的な施工
が可能となる。

【００１５】プレキャストコンクリート製横梁１はＵ字
型であり、内部には予め梁鉄骨２を固定しておくので、
ひとつの部材として取り扱うことができ、運搬や施工が
容易である。また、運搬や施工中は内部が空洞なので軽
量であり、取り扱いが容易である。

【００１６】さらに、前記ベッド体７を、梁鉄骨２の端
部を載置すべきものとしたので、クレーン等でつり上げ
たプレキャストコンクリート製横梁１をそのまま落し込
むだけでプレキャストコンクリート製横梁１の仮固定が
できるため支保工は不要となる。

【００１７】また、従来のような繋ぎ用のプレートも使
用しないため接続作業自体も容易であり、熟練した鳶職
人によらずとも安全かつ迅速な施工が可能となる。

【００１８】

【実施例】本発明の実施例を図１ないし図６に基づいて
説明する。この発明は型枠の撤去が不要で、柱、梁、及
び梁上の床を一体的に構築するものである。まず、形成
すべきコンクリート柱３の隅部にコーナー部材４を配置
するとともに、これらコーナー部材４間を液密的に連結
するよう側板５を固定し、さらに内部に柱用鉄骨６を配
設する。

【００１９】前記コーナー部材４は強化モルタル等で形
成され、図２に示すように、長手方向に対して直角な角
部を有するいわゆるＬアングル型に形成されている。こ
のコーナー部材４の両側縁は４５度の角度に形成されて
いる。この角度は通常、４５から７５度の範囲で設定さ
れる。そして、この両側縁に側板５の側縁が密接するよ
うになっている。この側板５は長方形の強化モルタル板
等で形成されており、その端部は前記コーナー部材４の
両側縁とは逆の方向で４５度の傾斜が設けられている。
この側板５はその幅について多数の種類が用意されてお
り、あらゆる寸法のコンクリート柱に対応することがで
きるようになっている。

【００２０】前記コーナー部材４と側板５とは、前記コ
ーナー部材４の両側縁と側板５との接合面の外側に位置
する平板２０とボルト２１で接合されるようになってい
る。即ち、前記平板２０には貫通孔（図示せず）が設け
られており、ボルト２１はこの貫通孔からコーナー部材
４または側板５を貫通して型枠内部に露出するようにな
っている。なお、コーナー部材４と側板５の外面におい
て平板２０が設けられる位置には凹部が設けられてお
り、ボルト頭が型枠外面に突出しないようになってい
る。

【００２１】前記した構成において、初めに、コーナー
部材４の角部をコンクリート柱となるべき部分の隅部に
配置する。続いて、このコーナー部材４の両側縁に密接
する側板５とを組み合わせ、平板２０とボルト２１及び
ナット２２で固定する。なお、このとき平板２０とボル
ト２１で固定すると同時に、外部にクランプを設けて締
着するようにしてもよい。

【００２２】前記ボルト２０は型枠内に突出するため、
後述するコンクリートの打設後はこれがアンカーのよう
な作用をなして強度の向上とコンクリートへの密着性の
向上とを図ることができる。

【００２３】前記した型枠内には柱用鉄骨６が配設され
る。この柱用鉄骨６は図２に示すように十字型に形成し
た基部の夫々の先端に平板部６ａを直角に設けた形状と
なっている。そして、部分的に前記平板部６ａの側縁同
士を結合する橋絡部６ｂが設けられている。この柱用鉄
骨６の周囲には鉄筋２４が配設されている。

【００２４】前記平板部６ａにはベッド体７が設けられ
るようになっている。このベッド体７は図５に示すよう
に、前記平板部６ａに垂直に固定された水平底板９と、
この水平底板９上に垂直に立設され、所定の間隔を以っ
て配置した２枚の固定板１０、１０からなっている。こ
の固定板１０、１０には貫通孔１０ａが多数穿設されて
いる。

【００２５】次に、プレキャストコンクリート製横梁１
につき説明する。このプレキャストコンクリート製横梁
１は、前記コンクリート柱３から放射状または２方向な
いし３方向に設けられるものであり、図３及び図４に示
すように、排水溝のように断面略Ｕ字状に形成されてお
り、その底部には受け金具２３が設けられている。

【００２６】この受け金具２３は梁鉄骨２を支持するた
めのものであり、梁鉄骨２の底面に溶接されている。こ
の梁鉄骨２はＨ鋼であり、この梁鉄骨２の上面にはワイ
ア２５を掛けるための吊り金具２６が設けられている。
この梁鉄骨２は、現場内のヤード等で予めプレキャスト
コンクリート製横梁１内に組み込まれる。

【００２７】前記プレキャストコンクリート製横梁１に
は鉄筋２７、２９が配筋されているとともに、底部には
溝３０が４箇所設けられており、この溝３０に接続用鉄
筋２８が配置される。接続用鉄筋２８はプレキャストコ
ンクリート製横梁１と前記コンクリート柱３とを接続す
る際に両者間を橋絡するよう設けられる。なお、前記プ
レキャストコンクリート製横梁１の上縁両側には長手方
向に沿って突起１ａが設けられている。

【００２８】前記した構成において、プレキャストコン
クリート製横梁１を前記コンクリート柱３に接続する工
程につき説明する。まず図１に示すように、プレキャス
トコンクリート製横梁１の両端からは梁鉄骨２が突出し
ており、Ｈ型の鉄骨の内下側に位置する板状部を除去し
ておく、これにより梁鉄骨２の両端はＴ状部４０とな
る。このＴ状部４０には前記貫通鋼１０ａに合致した取
付孔が設けられている。

【００２９】なお、プレキャストコンクリート製横梁１
の両端部下面は部分的に除去してあり、接続作業用の窓
３０となっている。そして、クレーン（図示せず）で釣
り上げた前記プレキャストコンクリート製横梁１の端部
（Ｔ状部４０）を固定板１０、１０の間に挿入する。こ
の状態で前記プレキャストコンクリート製横梁１の両端
部下面は側板５に乗り仮固定されるとともに、梁鉄骨２
が水平底板９上に載って仮固定される。したがって支保
工がなくとも確実に仮固定を行える。

【００３０】この状態で水平底板９と梁鉄骨２とをボル
ト３１で締着し、さらに固定板１０、１０と梁鉄骨２と
をボルト３２で締着する。この後、前記窓３０は塞いで
おく。そして、梁鉄骨２と柱用鉄骨６とを溶接部３３に
より一体化する。

【００３１】この後、複合床板８を隣合うコンクリート
製横梁１間に敷つめ、この上に網状の鉄筋４１を置き、
この鉄筋４１に前記鉄筋２９を引っかけて固定する。前
記複合床板としては、デッキプレート、ＰＣ板等が使用
される。

【００３２】続いて前記複合床板８からコンクリート５
０を打設する。コンクリート５０は複合床板８上から前
記プレキャストコンクリート製横梁１内に流入してＵ字
の溝が埋まるとともに、前記コーナー部材４と側板５と
で囲まれる型枠内にも流入する。ここで前記コーナー部
材４と側板５は恒久型枠となりコンクリート養生後も型
枠を撤去する作業は不要となる。また、複合床板８を使
用したことによりスラブ鉄筋組み型枠施工を省略するこ
とができる。

【００３３】なお、コンクリート柱部分に注目すると、
コーナー部材４と側板５とが恒久的外装材となり塗装等
の下地となるため表面仕上げは不要である。以上述べた
ように、型枠を単なる板材の組み合わせで形成する従来
のものに比較して型枠そのものの組み立てが極めて容易
である。

【００３４】また、コーナー部材４はどの現場でも共通
とし、側板５の幅寸法を変えるだけで任意寸法の内容積
が得られるため、現場での自由度が大きく施工が容易と
なる。

【００３５】さらにコンクリートの養生後も型枠を取り
外す必要がなく脱型工程を省略することができる。ま
た、コンパネや桟木を使用せず、型枠がそのまま外装材
となるので廃材が生じることがなく、工期の大幅短縮を
図ることができる。

【００３６】なお、図６は他の実施例を示し、一方の固
定板１０の垂直面を除去し、梁鉄骨２が一枚の固定板１
０にだけ固定されるようにした例を示す。この例では梁
鉄骨２を挟持することがないため固定板１０と梁鉄骨２
との間にガタが生ずる余地はなく、また材料も節約でき
るという特徴がある。

【００３７】

【発明の効果】本発明によれば、柱、梁、及び梁上の床
を一体的に構築するに際して型枠の撤去の必要がなく極
めて効率的な施工が可能となる。また、プレキャストコ
ンクリート製横梁はＵ字型であり、内部に予め梁鉄骨を
固定しておくことでひとつの部材として取り扱うことが
でき、しかも軽量であることから運搬や施工が容易であ
る。

【００３８】さらに、ベッド体は梁鉄骨の端部を載置す
べき形状となっているため、そのまま仮固定ができ支保
工は不要であり接続も容易である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例の要部を示す分解斜視図

【図２】本発明の実施例のコンクリート柱周囲の平面図

【図３】本発明の実施例を示すプレキャストコンクリー
ト製横梁の断面図

【図４】本発明の実施例を示すベッド体と梁鉄骨との接
続状態を示す断面図

【図５】本発明の実施例を示すベッド体のＡ−Ａ断面図

【図６】本発明の他の実施例を示すベッド体のＡ−Ａ断
面図

【符号の説明】

１・・プレキャストコンクリート製横梁、２・・梁鉄骨、３・・コンクリート柱、４・・コーナー部材、５・・側板、６・・柱用鉄骨、７・・ベッド体、８・・複合床板、９・・水平底板、１０・・固定板。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者大竹弘孝東京都千代田区富士見二丁目10番26号前田建設工業株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】断面略Ｕ字状に形成したプレキャストコ
ンクリート製横梁内に梁鉄骨を固定する一方、形成すべ
きコンクリート柱の隅部にコーナー部材を配置するとと
もに、これらコーナー部材間を連結するよう側板を固定
し、さらに内部に柱用鉄骨を配設し、この柱用鉄骨の上
端側面に、前記梁鉄骨の端部を載置すべきベッド体を固
定し、隣合う前記プレキャストコンクリート製横梁間に
デッキプレートを配設しこのデッキプレート上にコンク
リートを打設して、前記デッキプレート上、プレキャス
トコンクリート製横梁内、及び前記コーナー部材及び側
板内に一体的にコンクリートを流入させ、前記コーナー
部材及び側板を恒久型枠とすることを特徴とするコンク
リート構造体の施工方法。
【請求項２】前記ベッド体を、前記柱用鉄骨に垂直に
固定された水平底板と、この水平底板上に垂直に立設さ
れ所定の間隔を以って配置した２枚の固定板とで構成
し、前記梁鉄骨の一部を前記固定板間に挟持させた状態
でプレキャストコンクリート製横梁を仮固定することを
特徴とする請求項１記載のコンクリート構造体の施工方
法。
【請求項３】前記ベッド体は、前記柱用鉄骨に垂直に
固定された水平底板と、この水平底板上に垂直に立設し
た固定板とで構成し、前記梁鉄骨の一部を前記固定板間
に密接させた状態でプレキャストコンクリート製横梁を
仮固定することを特徴とする請求項１記載のコンクリー
ト構造体の施工方法。