JPH0642916A - 光学的変位量測定装置 - Google Patents

光学的変位量測定装置

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JPH0642916A
JPH0642916A JP3226459A JP22645991A JPH0642916A JP H0642916 A JPH0642916 A JP H0642916A JP 3226459 A JP3226459 A JP 3226459A JP 22645991 A JP22645991 A JP 22645991A JP H0642916 A JPH0642916 A JP H0642916A
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Tamiki Takemori
民樹 竹森
Yuji Kobayashi
祐二 小林
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 測定対象の相対的変位量や速度を短時間に測
定でき、測定対象の速度の変化を細かい時間間隔で測定
でき、かつその測定精度及びダイナミックレンジの向上
がはかれる光学的変位量測定装置を提供することを目的
とする。 【構成】 測定対象たる移動する測定物体19のスペッ
クルパターンを時間間隔Δtをおいて第一の光変調器6
に二重記録する。この二重記録パターンを読みだしフー
リエ変換して第二の光変調器11に記録した後再度フー
リエ変換してPSD15A上に自己相関信号光を形成さ
せる。PSD15Aは自己相関信号光のピーク位置を直
接検出し、演算・制御装置15Bがその結果に基づき測
定物体の移動量及び速度を演算する。演算・制御装置1
5Bはまた、その演算結果に基づいてスペックルパター
ンの二重書き込みの時間間隔Δtを制御して自己相関信
号光が常にPSDの受光面の測定誤差の小さい範囲に受
光されるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は物体の変位量や変位速度
を光学的に測定するための光学的変位量測定装置に係わ
る。ここで、物体の変位量とは物体の移動量や変形量を
含む概念である。
【0002】
【従来の技術】物体の変位量を光学的に測定する手段の
一つとして、スペックルパターンを利用したスペックル
法がある。物体の粗面等にレーザ光を照射するとこれが
拡散反射し互いに干渉して斑点状の模様を結像する。こ
の模様をスペックルパターンといい、物体の粗面等の形
状に固有のものである。また、個々の明るい斑点をスペ
ックルという。特開昭59−212773号にこのスペ
ックル法を利用した光学的速度検出装置の開示がある。
この装置では、測定物体のスペックルパターンを移動前
後のそれぞれについて複数の受光素子に受光させ光電変
換する。各受光素子から採取したサンプル値を互いにシ
フトさせながらその相関関係を演算することによって、
スペックルパターンの移動量を求め測定物体の移動量及
び移動速度を検出している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような相関演算に
より移動物体の速度を求める従来の装置においては、サ
ンプル値の採取や相関演算に時間がかかり実時間測定性
の点において十分でないという問題点があった。またこ
のように速度検出自体に時間がかかるため、物体の速度
が変化していく状態を短い時間間隔で測定していくこと
もできなかった。
【0004】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
であり、その目的は測定対象の相対的変位量や変位速度
を短時間で測定でき、実時間測定性に優れた光学的変位
量測定装置を提供することにある。また、測定対象の相
対的変位速度の短い時間間隔毎の変化を測定することが
できる光学的変位量測定装置を提供することを目的とす
る。
【0005】本発明は更に、相対的変位量や変位速度の
検出誤差を少なくし、測定精度の向上がはかれ、さらに
はそのダイナミックレンジを高めることが可能な光学的
変位量測定装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の光学的変位量測定装置は、測定対象へ光を照射
するための第一の照射手段と、この照射光に基づく測定
対象からの反射光または透過光を受光して該測定対象の
像を所定の時間間隔で二重記録し該測定対象と該光学的
変位量測定装置との間の相対的変位を記録する第一の記
録手段と、該第一の記録手段にコヒーレント光を照射し
て記録された像を読みだすための第一のコヒーレント光
投光手段と、該読み出された像をフーリエ変換するため
の第一のフーリエ変換手段と、該第一のフーリエ変換手
段により形成した第一のフーリエ変換像を記録するため
の第二の記録手段と、該第二の記録手段にコヒーレント
光を照射して該記録された第一のフーリエ像を読みだす
ための第二のコヒーレント光投光手段と、該読み出され
た第一のフーリエ変換像をフーリエ変換するための第二
のフーリエ変換手段と、該第二のフーリエ変換手段によ
り形成された第二のフーリエ変換像の重心の位置を検出
し該測定対象と該光学的変位量測定装置との間の相対的
変位量を求めるための光重心位置検出手段と、該光重心
位置検出手段の検出結果に基づいて該第一の記録手段へ
像を二重記録する該所定の時間間隔を制御する制御手段
とにより構成される。
【0007】
【作用】上記構成を有する本発明の光学的変位量測定装
置は、装置に対して相対的に変位する測定対象に第一の
照射手段により光を照射し、測定対象からの透過光また
は反射光を第一の記録手段に受光させる。第一の記録手
段は測定対象の像を所定の時間間隔をおいて二重記録し
測定対象と装置との相対的変位状態を記録する。この第
一の記録手段に第一のコヒーレント光投光手段からのコ
ヒーレント光を照射して第一の記録手段の該二重記録像
を読み出す。これを第一のフーリエ変換手段によりフー
リエ変換し第一のフーリエ変換像を第二の記録手段に記
録する。この第二の記録手段に第二のコヒーレント光投
光手段からのコヒーレント光を照射して記録された第一
のフーリエ変換像を読み出す。これを第二のフーリエ変
換手段により再びフーリエ変換して、第二のフーリエ変
換像を形成する。第二のフーリエ変換像の重心の位置を
光重心位置検出手段により検出し、測定対象の光学的変
位量測定装置に対する相対的変位量を求める。制御手段
により、光重心位置検出手段の検出結果に基づき第一の
記録手段へ像を二重記録する該所定の時間間隔を制御す
る。
【0008】
【実施例】以下、本発明の第一実施例を図面を参照しな
がら説明する。
【0009】図1は、本発明の第一実施例に係る光学的
変位量測定装置1の概略構成を示す光学系統図である。
測定対象である測定物体19は、搬送装置18により搬
送移動されており、He−Neレーザ装置2からのレー
ザ光の一部が音響光学偏向器(以下偏向器という)4に
より偏向されて測定物体19に所定時間間隔をおいて二
度照射されるように構成されている。二度の照射光に基
づく測定物体19の反射光がそれぞれ結像レンズ5によ
り第一の強誘電性液晶空間光変調器(以下光変調器とい
う)6の書き込み側光入射面上に結像されて、測定物体
19の移動前後の像(スペックルパターン)が第一の光
変調器6に二重記録される。レーザ装置2からのレーザ
光の他の一部はまた第一の読みだし光学系9を経て第一
の光変調器6の読みだし光入射面に入射され、光変調器
6に記録された像の読み出しが行われる。読み出された
像は第一のフーリエ変換レンズ10によりフーリエ変換
され、フーリエ変換像が第二の光変調器11に記録され
る。レーザ装置2からのレーザ光の残りの一部が第二の
読み出し光学系13を経て第二の光変調器11の読みだ
し側に入射されてフーリエ変換像の読みだしが行われ
る。読み出された像は第二のフーリエ変換レンズ14に
より再びフーリエ変換され形成されたフーリエ変換像の
重心位置が半導体位置検出装置15Aで検出される。こ
の検出結果に基づき演算・制御装置15Bにより測定物
体19の該所定時間間隔における移動量及び速度が演算
される。演算・制御装置15Bはさらに、偏向器コント
ローラ17を介して偏向器4を制御しレーザ光を測定物
体19に照射する該所定時間間隔を調整する。
【0010】前記He−Neレーザ装置2は、コヒーレ
ント光であるレーザ光を出射するためのものであり、直
線偏光状態のレーザ光を出射する。He−Neレーザ装
置2から出射したレーザ光は、ハーフミラー3に入射す
る。ここで、レーザ光の一部は反射されて偏光器4に入
射し、残りは第一及び第二の読みだし光学系9及び13
に導かれる。
【0011】前記音響光学偏向器4は超音波を伝搬させ
る媒体を備えており入射光を回折させる回折格子として
機能する。回折角は超音波の周波数の変化に応じて変わ
る性質を有する。該偏向器4は、ハーフミラー3で反射
され該偏向器4に入射した光の回折光を、超音波周波数
の変調に応じて任意の方向に偏向させることができる。
したがって、該偏向器4は超音波周波数を変調させるこ
とにより一次回折光を測定物体19上に選択的に照射さ
せる光シャッタとして機能する。尚、偏向器4には、偏
向器コントローラ17が接続されており、測定物体19
に一次回折光を照射させるタイミングを制御する。
【0012】図2は前記第一の強誘電性液晶空間光変調
器6の構成を示す断面図である。強誘電性液晶層(以下
液晶層という)6Cが一対の配向層6Aと6Bとの間に
設けられている。該配向層6Aの液晶層6Cと反対の側
には、誘電体ミラー6Fとアモルファスシリコン層(以
下a−Si層という)6Eと書き込み側透明電極(以下
電極という)6Dとが設けられている。また、該配向層
6Bの液晶層6Cと反対の側には、読み出し側透明電極
(以下電極という)6Gとガラス層6Hと反射防止膜6
Iとが設けられている。該液晶層6Cはカイラルスメク
チックC(Sc *)液晶である。該a−Si層6Eは光伝
導体層であり、アドレス材料として機能する。該書き込
み側透明電極6Dは書き込み光入射面6Swを、また該
反射防止膜6Iは読み出し光入射面6Srを規定する。
該一対の電極6Dと6Gとの間には後述するように書き
込み用及び消去用の駆動電圧と補償電圧がパルス状に印
加される。尚、図1に示されるように、該第一の光変調
器6には光変調器コントローラ16が接続されており、
電極6Dと6Gとの間に印加する電圧を制御する。ま
た、発光ダイオード(LED)7が該第一の光変調器6
の書き込み側入射面6Swの全面を照射するように設け
られており、液晶層6Cに既に記録されている像を消去
するのに用いられる。
【0013】該カイラルスメクチックC(Sc *)液晶層
6Cは、分子の自発分極の方向が両電極6D及び6Gの
いずれかの方向に向いた状態で安定する二値安定特性を
有する。液晶層が二つの安定状態のうちの一つで安定し
ている場合において、該液晶層に自発分極の方向とは逆
向きで値が液晶層に特有のしきい値Es以上の電場がか
かると、自発分極が電場の方向に揃うよう反転し液晶分
子の配列状態が変化して他の一つの安定状態に入る。
【0014】以下、光変調器6の書き込み動作について
説明する。液晶分子全体がその自発分極が一方の電極の
方向に向いた状態で安定している場合において、両電極
間に自発分極とは逆向きの電場を与えるような極性の書
き込み用直流駆動電圧を印加する。書き込みパターン光
が入射面6Swを経て光伝導体層たるa−Si層6Eに
入射すると、a−Si層6Eが光入射位置において低抵
抗となり、液晶層の対応する位置にしきい値電場Es
上の電場がかかる。その結果、光入射部分に対応した液
晶層の位置の分子の自発分極が電場の方向に反転し分子
の配列状態が変化して、書き込みパターンが液晶層6C
内に記録される。なお、この分子配列状態はその後電場
を切ってもそのまま保持されるため、書き込みパターン
が液晶層6C内に記録保持されることになる。
【0015】パターン書き込みが行われた光変調器6か
らのパターン読み出し動作は以下のように行う。液晶層
6C内ではパターン書き込み位置とそれ以外の位置とで
液晶分子の配列状態が異なっており、読み出し光に対す
る屈折率が異なっている。したがって、読み出し光が読
み出し光入射面6Srから入射して液晶層6C内を伝搬
すると、書き込みパターンに基づいた位相変調がなさ
れ、もって書き込みパターンの読み出しがなされる。
【0016】以上、第一の光変調器6の構成及び動作に
ついて説明したが、第二の光変調器11も該第一の光変
調器6と同様の構成を有しており同様の動作を行う。第
二の光変調器11もまた、前記光変調器コントローラ1
6に接続され、記録消去用の発光ダイオード12も備え
ている。
【0017】前記第一の読み出し光学系9は、前記ハー
フミラー3を透過したレーザビームを前記第一の光変調
器6の読み出し側に読み出し光として導くものである。
該第一の読み出し光学系9では、ハーフミラー3を透過
してきた光が変換光学系8により一定のビーム径を有す
る平行光に変換される。該変換光学系8は一対のコリメ
ータレンズ8A及び8Cとその間に設けられたスペイシ
ャルフィルター8Bとから構成されている。得られた平
行光の一部がハーフミラー9Aで反射されて可変アパー
チャ9Bでそのビーム径を所望の値に変更させられる。
この光ビームの一部がハーフミラー9Cで反射されて第
一の光変調器6の読み出し光入射面6Srに入射され
る。
【0018】前記第一の光変調器6に入射した読み出し
光は液晶層6C内で位相変調された後読み出し光入射面
6Srから出射する。該読み出し光は前記ハーフミラー
9Cを透過して前記第一のフーリエ変換レンズ10に到
る。該第一のフーリエ変換レンズ10は該読み出し光を
フーリエ変換してフーリエ変換像を第二の光変調器11
に記録させる。
【0019】前記第二の読み出し光学系13は、前記第
一の読み出し光学系9のハーフミラー9Aを透過したレ
ーザビームを前記第二の光変調器11の読み出し側に読
み出し光として導くものである。該第二の読み出し光学
系13では、前記ハーフミラー9Aを透過したレーザビ
ームがミラー13Aにより反射され、ハーフミラー13
Bでその一部が反射されて第二の光変調器11の読みだ
し光入射面11Srに入射する。
【0020】前記第二の光変調器11に入射した読み出
し光は液晶層11C内で位相変調された後読み出し光入
射面11Srから出射する。該読み出し光は前記ハーフ
ミラー13Bを透過して前記第二のフーリエ変換レンズ
14に到る。前記第二のフーリエ変換レンズ14は該読
み出し光をフーリエ変換してフーリエ変換像を半導体位
置検出装置15A上に結像させる。
【0021】前記半導体位置検出装置15Aは、第二の
フーリエ変換レンズ14により形成されたフーリエ変換
像である自己相関信号光の位置を検出するためのもので
ある。また、前記演算・制御装置15Bは、該半導体位
置検出装置15Aの検出結果に基づいて測定物体19の
移動量及び速度を演算すると共にその演算結果に基づい
て偏向器コントローラ17と光変調器コントローラ16
とを制御する。なお、速度表示装置15Cが演算結果た
る速度を表示する。
【0022】半導体位置検出装置(以下PSDという)
15Aは、スポット状の光の位置を検出する光センサで
ある。PSDは、入射光を電気信号に変換するためのP
N接合面を有する半導体デバイスで、P層やN層が抵抗
層となっておりこれに電流取り出し電極が接続されてい
る。PSDには、図4a及び図4bに示すような一軸上
の位置を検出するための一次元PSDと、二軸上の位置
を検出するための二次元PSDとがあり、本発明におい
ては後述のように用途に応じてどちらも使用できる。
【0023】次に上記実施例に係る光学的変位量測定装
置の動作について説明する。
【0024】図3に示すように、消去用発光ダイオード
7の光を第一の光変調器6の光入射面6Sw全面に照射
させつつ、消去用直流駆動電圧Veを該第一の光変調器
6の電極6Dと6Gとの間に印加する。すると、液晶層
6Cにかかる消去用電場Eeがしきい値電場Es以上とな
って、液晶層分子全体の自発分極が電場Eeの方向に向
いて一様に配列する。この結果、すでに記録されていた
像が消去される。なお、液晶の劣化を防止するため、消
去用駆動電圧Ve印加前にその印加時間と同一の時間だ
け消去用電圧とは逆極性の直流補償電圧Vecが印加され
る。
【0025】He−Neレーザ装置2から出射したレー
ザビームのうちハーフミラー3で反射されたものが偏向
器4に入射する。偏向器4は偏向器コントローラ17の
制御に基づき、ある時刻tnに所望のスポット径を有す
る一次回折光を一定の偏向方向(偏向角θ)に偏向して
測定物体19の表面に照射する。該照射された光は測定
物体19の表面で反射されて結像レンズ5に到る。該結
像レンズ5は該反射光を第一の光変調器6の書き込み光
入射面6Sw上に結像しそこにスペックルパターンを結
像させる。
【0026】図3に示すように、該スペックルパターン
が第一の光変調器6へ入射された時刻すなわち時刻tn
には、電極6Dと6Gとの間には書き込み用直流駆動電
圧Vwが印加されている。この書き込み用直流駆動電圧
wは消去用駆動電圧Veとは逆の極性を有する。液晶層
6C内では、明るい斑点状のスペックルが入射した位置
に対応した位置の電場Ewのみがしきい値電場Es以上と
なり、その位置の分子の自発分極が書き込み用電場Ew
に揃う方向に反転する。この結果、スペックル位置の液
晶分子の配列状態が変化し、その変化後の状態が記録さ
れる。このようにして、液晶層6Cに測定物体19の時
刻tnにおけるスペックルパターン像(スペックルパタ
ーン1)が記録保持される。なお、液晶の劣化を防止す
るため、書き込み用駆動電圧Vw印加前には、その印加
時間と同一時間だけ駆動電圧Vwとは逆極性の補償電圧
wcが印加される。
【0027】本実施例で用いる強誘電性液晶空間光変調
器6は既述のように液晶分子配列の安定状態が二つある
二値記録素子であるため、このように明暗パターンであ
るスペックルパターンを記録するのに非常に適してい
る。また、強誘電性液晶の書き込み速度はμsecオー
ダと極めて速いため、実時間測定性の点からも優れてい
る。
【0028】光変調器6の液晶層6Cは既述のように記
録した情報を保持する機能がある。そこで、スペックル
パターン1を記録保持させたまま、前記と同様の操作を
行い、液晶層6Cに時刻tnからΔtn秒後の時刻におけ
る測定物体のスペックルパターン2をも記録させる。す
なわち、図3に示すように偏向器コントローラ17が偏
向器4を制御し、時刻tn+Δtnに一次回折光を再び偏
向角θで偏向して測定物体19に照射させる。そして、
この照射により得られるスペックルパターン2を、書き
込み駆動電圧Vwが印加されたままの光変調器6に照射
して記録させる。この結果、スペックルパターン1と2
とが二重記録される。
【0029】偏向器4はこのように、時刻tnにおいて
回折光をある偏向角θで偏向して測定物体19に照射さ
せる。その後、偏向角を大きく変化させて光を測定物体
に照射させないようにする。時刻tn+Δtnに再び偏向
角θで回折光を偏向してこれを測定物体に照射させる。
つまり偏向器4は、照射時刻tnおよびtn+Δtnにお
いて、同一の方向(偏向角θ)に回折光を偏向し測定物
体に照射させてスペックルパターン1と2とを形成させ
るのである。この偏向方向はまた全照射時刻においても
同一である。すなわち、全照射時刻t1,t1+Δt1
2,t2+Δt2、・・、tn、tn+Δtn、・・におい
て偏向器4は、回折光を同一の方向(偏向角θ)に偏向
して測定物体に照射させるのである。なお、測定開始時
刻t1から時間がかなり経過し、測定物体が測定開始当
初の位置より大きく移動した場合には、この偏向角θを
変化させることによって回折光を測定物体に照射させる
ようにしても良い。ただし、その場合においても、スペ
ックルパターン1と2とを形成するために回折光を偏向
する偏向角は互いに等しくしなければならない。すなわ
ち、少なくとも時刻tnと時刻tn+Δtnにおける偏向
角(偏向方向)は互いに等しくしなければならない。
【0030】以上のようにして、時刻tnにおける測定
物体のスペックルパターン1と時刻tn+Δtnにおける
スペックルパターン2とが光変調器6に二重記録され
る。測定物体19が時刻tnからΔtnたつまでの間にΔ
nだけ移動したとすると、光変調器6には時刻tnから
Δtn秒たつ間に移動した測定物体19の移動前後のス
ペックルパターンが二重記録されることになる。スペッ
クルパターンは測定物体19の形状等に固有のものであ
るため、スペックルパターン1と2とは同一のスペック
ル分布を有する。したがって液晶層6Cには、同一のス
ペックルパターンが測定物体19の移動方向と平行な方
向に互いに一定の間隔ΔS’nだけずれて記録されるこ
とになる。このずれ量ΔS’nと測定物体19の移動量
ΔSnとは、結像レンズ5等の結像系で決まる比例関係
にある。
【0031】第一の光変調器6の液晶層6Cに記録され
た前記二重スペックルパターンは以下のように読み出さ
れ光学的に処理されることにより測定物体19の移動量
ΔSn及び移動速度Vn=ΔSn/Δtnが求められる。
【0032】レーザ装置2から出射したレーザ光のうち
ハーフミラー3を透過しハーフミラー9Aで反射された
分が、第一の読み出し光学系9に導かれて光変調器6の
読み出し光として用いられる。なお、読み出し光のビー
ム径は可変アパーチャ9Bにより所望のビーム径とされ
る。読み出し光は光変調器6の読み出し光入射面6Sr
より入射して液晶層6C内を伝搬し、誘電体ミラー6F
で反射して再び液晶層6C内を伝搬した後読み出し光入
射面6Srより出射する。読み出し光は液晶層6C内を
伝搬する際に位相変調を受け、スペックルパターン1及
び2のずれ量ΔS’nに対応した回折パターンを形成す
る。このように読み出し光がスペックルパターンのずれ
量ΔS’nひいては測定物体移動距離ΔSnに対応した回
折パターン光として光変調器6より出射することによ
り、二重スペックルパターンの読み出しが行われる。
【0033】読み出された二重スペックルによる回折パ
ターン光は、第一のフーリエ変換レンズ10によってレ
ンズ焦点面上に結像される。この読み出し光はコヒーレ
ント光であるため、焦点面上にフラウンホーファ回折像
たる明暗の干渉縞いわゆるヤング縞が結像される。換言
すれば、二重スペックルパターンが空間周波数領域へフ
ーリエ変換されてフーリエ変換面上にヤング縞が形成さ
れる。このヤング縞の並んだ方向(縞に垂直な方向)
は、測定物体19の移動方向と平行であり、縞間隔ΔM
nの逆数は測定物体19の移動量ΔSnに比例している。
【0034】フーリエ変換レンズ10の後側には、第二
の光変調器11がその書き込み光入射面11Swがレン
ズ10の焦点面上に位置するように配置されている。光
変調器11には、図3のように書き込み駆動電圧Vw
印加されているため、その液晶層11Cにヤング縞が記
録される。すなわち、ヤング縞の明部が入射した部分の
液晶の分子配列状態が変化することで、記録が行われる
のである。なお、かかる記録の前には、前回記録された
像の消去がおこなわれることは第一の光変調器6と同様
である。
【0035】本実施例で用いる強誘電性液晶空間光変調
器11も既述のように液晶分子配列の安定状態が二つあ
る二値記録素子であるため、明暗の縞からなるヤング縞
を記録するのに非常に適している。また強誘電性液晶層
の書き込み速度が非常に速いことから実時間測定性の点
からも極めて優れている。更に、二値記録デバイスであ
る強誘電性液晶空間光変調器をスペックルパターン及び
ヤング縞の記録デバイスとして用いることによりこれを
二値の位相変調器として利用でき、光効率を大きくで
き、かつ鋭い相関ピークを得ることができる。
【0036】レーザ装置2からのレーザ光のうち両ハー
フミラー3及び9Aを透過した分が、第二の読みだし光
学系13に導かれて第二の光変調器11の読みだし光入
射面11Srに照射され読み出し光として用いられる。
この読み出し光は、液晶層11C内を伝搬する際に位相
変調を受けヤング縞記録位置に対応した回折パターンを
形成する。したがって、読み出し光がヤング縞の縞間隔
・縞方向に対応した回折パターンとして光変調器11よ
り出射することによってヤング縞の読み出しが行われ
る。
【0037】読み出されたヤング縞による回折パターン
光は、第二のフーリエ変換レンズ14によってその焦点
面上に結像される。この読みだし光もやはりコヒーレン
ト光であるため、焦点面上にフラウンホーファ回折像を
結像する。換言すれば、ヤング縞パターンが空間周波数
領域へフーリエ変換されて、そのフラウンホーファ回折
像がフーリエ変換面上に形成されることになる。この結
果、焦点面上にスポット状の0次回折光とやはりスポッ
ト状の一対の自己相関信号光たる±一次の回折光とが結
像される。つまり、一定のずれ量をもって形成された二
つの同一パターンであるスペックルパターンに対して、
レンズ10及び14による二度のフーリエ変換処理すな
わちジョイント変換処理と同様に考えられる処理をした
ことにより、自己相関信号光を形成せしめたのである。
0次光はレンズ14の光軸上に結像され、一対の自己相
関信号光はヤング縞の縞の並んだ方向(縞に垂直な方
向)と平行な方向に0次光を中心として点対称状に結像
される。自己相関信号光と0次光との距離ΔLnはヤン
グ縞の縞間隔ΔMnの逆数に比例するため、測定物体1
9の移動距離ΔSnに比例する。すなわち、ΔLn=αΔ
nという関係にある。ここで、αは書き込み用結像レ
ンズ5やフーリエ変換レンズ10及び14の焦点距離等
の光学系により定まる比例定数である。したがって、一
対の自己相関信号光のうちの一方の0次光に対する位置
を測定すれば、測定物体19の移動方向及び移動距離Δ
nが求められる。
【0038】本発明における0次光に対する自己相関信
号光の位置の測定について以下説明する。まず0次光の
位置は、0次光がレンズ14の光軸上に現れるものであ
ることから、その位置はレンズ14の配置によって定ま
る。一方、自己相関信号光の位置は、レンズ14の焦点
面上に置かれたPSD15Aによって求まる。すなわ
ち、自己相関信号光をPSD受光面で受光し、その受光
面内での位置を測定し、PSD15Aとレンズ14の光
軸との位置関係から、0次光に対する自己相関信号光の
位置を求めるのである。なお、PSDの種類として一次
元PSDと二次元PSDとがあるが、用途に応じていず
れかを用いる。一次元PSDは、測定物体19の移動方
向が予めわかっており移動量及び移動速度のみを求めた
い場合に用いる。すなわち、PSDの一次元軸を測定物
体の移動方向と平行になるように配置して一次元軸上に
おける自己相関信号光の位置を測定するのである。一
方、測定物体19の移動量・移動速度のみならず移動方
向もわかっていない場合には、自己相関信号光の0次光
からの距離と方向とを共に測定すべく、二次元PSDを
用いる。
【0039】以下、図4a及び図4bに示される一次元
PSDを例にして、PSD15Aによる自己相関信号光
の位置測定について説明する。PSD15Aの表面のう
ち、PN接合面154の存在する範囲内で一対の電流取
り出し電極152及び153の間の領域151がPSD
の受光面として機能する。スポット状の自己相関信号光
Rがこの受光面151に照射されると、半導体内で正と
負の電荷が同量発生し、これらはPN接合面を通過して
光入射点近傍のP層に正、N層に負の電荷となって現れ
る。P層は抵抗の大きい抵抗層となっているため、この
P層内の不均一な正電荷分布がP層内の電荷の流れを作
り出し、P層両端に設けられた一対の出力電極152及
び153までの距離に反比例する量の電流が各電極15
2、153から取り出されることになる。これら電流値
を測定することにより、自己相関信号光RのPSD受光
面151上の一次元軸上の位置が求められ、もって自己
相関信号光の0次光位置からの距離が求められる。二次
元PSDにおいても同様な原理により自己相関信号光の
二軸上の位置が求められ、もって0次光に対する自己相
関信号光の方向及び距離が求められる。なお、二次元P
SDにおいてはP層N層の他N-層N+層等も用いられる
ことがあるが、測定範囲となる受光面とは、これらの層
の接合面に対応する範囲であって二組の一対の取り出し
電極の間の領域として規定されることになる。
【0040】演算・制御装置15Bは、PSD15Aの
電流取り出し電極152及び153の測定値から自己相
関信号光の位置を演算し、0次光から自己相関信号光ま
での距離ΔLnを求め、測定物体19の移動量ΔSn(及
び移動方向)を求める。更に、測定物体19の移動速度
nをも演算する。ここで、移動速度Vnは式Vn=ΔSn
/Δtn=ΔLn/αΔtnで求められる。この移動速度
nは速度表示装置15Cに表示される。
【0041】PSD15Aは上述のように光束の重心
(強度中心)の位置を直接検出する機能を有する。本発
明ではかかる機能を有するPSD15Aを用いるため、
スポット状の自己相関信号光Rのピーク位置Rpを直接
検出することができる。したがって、自己相関信号光の
ピーク位置を検出するのに、図4cに示すように測定し
た自己相関信号光の強度分布を走査しその結果を比較し
て強度最大の位置Rpを求めていくといった複雑な走査
・演算を必要とせず、簡便かつ高速に検出できる。さら
に、測定物体19の移動量や速度も、自己相関信号光位
置の検出結果から極めて簡単な演算により求めることが
できる。このため、応答速度が非常に速い強誘電性液晶
空間光変調器6及び11の動作に追随した処理が可能と
なる。この結果、実時間測定性に優れた光学的変位量測
定装置を実現できる。
【0042】以上詳述した測定物体19の移動量及び移
動速度の測定は、図3に示すようなタイミングで行われ
る。まず消去用発光ダイオード7で照射しつつ第一の光
変調器6に消去用の補償電圧Vecと駆動電圧Veをこの
順で加える。次に、光変調器6に書き込み用補償電圧V
wcを加えた後、書き込み用駆動電圧Vwを加える。この
書き込み駆動電圧Vw印加中に、偏向器4がΔtnの間隔
をおいて2回レーザ光を測定物体19に照射させること
により、光変調器6にスペックルパターンが二重記録さ
れる。光変調器6に書き込み用補償電圧及び駆動電圧を
印加するのと同時に、第二の光変調器11に消去用発光
ダイオード12の光を照射させつつ消去用の補償電圧V
ecと駆動電圧Veを加える。第一の光変調器6の書き込
みが終了するのと同時に、第二の光変調器11に書き込
み補償電圧Vwcと書き込み駆動電圧Vwを順に印加し
て、第一の光変調器6から出射した読み出し光パターン
を第二の光変調器11に記録する。この記録と同時に読
み出しが行われ、PSD15Aに光変調器11からの読
み出し光が照射され、そこに自己相関信号光が結像す
る。
【0043】このようにして、ある時刻tnにおいて記
録時間間隔Δtnをとった場合の測定物体19の移動量
ΔSnが測定され、その結果、時刻tnにおける移動速度
n=ΔSn/Δtnが求められる。次いで、時刻tn+1
おいて、同様な動作を行うことにより、時間間隔Δt
n+1における移動量ΔSn+1が測定され、時刻tn+1にお
ける移動速度Vn+1が求められる。こうして、時刻t1
2,t3,・・、tn、tn+1、・・における移動速度V
1,V2,V3,・・、Vn,Vn+1、・・が順に求められ
る。なお、本発明においては、既述のように応答速度の
速い光変調器6及び11と処理速度の速いPSD15A
とを用いているため、速度測定を極めて短い時間間隔で
行うことができる。すなわち、測定時刻t1,t2
3,・・、tn、tn+1、・・の時刻間隔ΔTt1-t2,Δ
t2-t3、・・ΔTtn-tn+1、・・を極めて短くすること
ができる。したがって、測定物体19の速度の変化する
状態を細かい時刻間隔で測定していくことができる。
【0044】ここで、ある時刻tnに記録時間間隔Δtn
をとって移動速度Vnを測定したとする。測定物体19
の速度が増加している場合には、次の測定時刻tn+1
測定されるべき速度Vn+1は速度Vnより大きくなる。こ
の場合に、測定時刻tn+1における記録時間間隔Δ
n+1’をΔtnと等しくとると、測定物体の移動量ΔS
n+ 1’がΔSnより大きくなるために、0次光からの自己
相関信号光の距離ΔLn+1’もΔLnより大きくなる。そ
の結果、図5a及び図5bのR’で示されるように、自
己相関信号光がPSD15Aの測定範囲たる受光面15
1からはずれた位置に結像されてしまうおそれがある。
この場合には、時刻tn+1における測定が不可能となっ
てしまう。また、たとえ受光面151内に結像されたと
しても受光面周辺部に結像されてしまうおそれもある。
しかし、受光面周辺部はその中心部に比べ測定誤差が大
きいため、自己相関信号光はなるべく受光面中心部に結
像させることが望ましい。また逆に、測定物体の速度が
減少している場合には、測定時刻tn+1における記録時
間間隔Δtn+1”をΔtnと等しくとると、ΔLn+1”が
ΔLnより小さくなるため、図5a及び図5bのR”で
示されるように、自己相関信号光がやはりPSD15A
の受光面の範囲外かまたは周辺部に結像されてしまうお
それがある。
【0045】そこで、本発明においては、演算・制御装
置15Bが、時刻tnまでの測定結果に基づいて次回の
測定時刻tn+1における記録時間間隔Δtn+1をフィード
バック制御し、自己相関信号光が常にPSD受光面内に
結像されるようにしている。具体的には、時刻tnまで
の測定結果に基づいて速度の時間的変化の状態を求め、
次回の測定時刻tn+1における速度Vn+1の値を予測す
る。そして、この値Vn+ 1が時刻tnにおける速度Vn
り大きいと予測される場合には、次回の記録時間間隔Δ
n+1を時刻tnにおける時間間隔Δtnに対して適当な
量だけ小さくする。また、逆に、Vn+1がVnより小さい
と予測される場合には、Δtn+1をΔtnより適当な量だ
け大きくする。こうして、0次光からの自己相関信号光
の距離ΔLn+1を調整し、自己相関信号光を図5a及び
図5bのRで示されるようなPSD受光面のほぼ中心位
置に結像させる。この結果、自己相関信号光は、R’や
R”で示されるように受光面の範囲外や周辺部に結像す
ることが防止される。記録時間間隔Δtをこのように制
御することにより、自己相関信号光を常にPSD受光面
の中心部に持っていくことができ、誤差の少ない測定が
可能となる。さらに、このように測定物体の速度に応じ
て記録時間間隔Δtを変化させるようにしたため、光学
的変位量測定装置1のダイナミックレンジを高めること
ができる。
【0046】なお、次回の測定時刻tn+1における記録
時間間隔Δtn+1を時刻tnまでの測定結果に基づいて調
整する方法としては、上述のようなものの他、以下のよ
うなものでもよい。すなわち、時刻tnにおいて測定物
体の速度が急に増加してVnとなった場合に、次回の測
定時刻tn+1における速度Vn+1はVnと同一かそれより
増加すると予想し、Δtn+1をΔtnより小さく調整す
る。また、測定物体の速度が急に減少した場合には、逆
にΔtn+1をΔtnより大きく調整するようにしてもよ
い。
【0047】本実施例においては、偏向器4によるレー
ザ光の光シャッタ動作によりスペックルパターンの記録
時間間隔Δtが決定されている。このため、演算・制御
装置15Bが偏向器コントローラ17をフィードバック
制御することで、偏向器4を制御しかかるΔtの調整を
行う。例えば、時刻tnまでの測定結果から時刻tn+1
おける速度Vn+1が大きいものと予想される場合には、
偏向器4による測定物体19への光照射時間間隔Δt
n+1をΔtnより短くなるように制御する。また、演算・
制御装置15Bは、かかる記録時間間隔Δtの調整と共
に、光変調器コントローラ16をも制御して、光変調器
6に書き込み駆動電圧を印加する時間や光変調器11の
電圧印加タイミングをも調整する。
【0048】以下、本発明の第二実施例を図面を参照し
ながら説明する。
【0049】第二実施例の光学的変位量測定装置20
は、図6に示すように、第一実施例の光学的変位量測定
装置1とほぼ同一である。異なる点は、第一実施例では
He−Neレーザ装置2からの光の一部を偏向器4で偏
向して測定物体19に照射していたのに対し、第二実施
例ではHe−Neレーザ装置2とは別に、パルス状光源
たるレーザダイオード(以下LDという)21を設けて
LD光により測定物体19を照射しスペックルパターン
を形成させる点である。そして、このLDパルスのパル
ス間隔を調整するためのLDコントローラ22が、偏向
器コントローラ17の代わりに設けられている。
【0050】第二実施例の装置の動作は、第一実施例の
それとほぼ同様であり、図3に示すようなタイミングで
行われる。第一の光変調器6の書き込み駆動電圧Vw
加中に、LD21がΔtnの間隔をおいて2回レーザパ
ルス光を測定物体19に照射することにより、光変調器
6にスペックルパターンを二重記録させる。そして、本
実施例においては、演算・制御装置15BがLDコント
ローラ22をフィードバック制御することによって、L
D21のパルス間隔Δtを変化させ、自己相関信号光が
常にPSD15Aの中心部付近に結像するようにしてい
る。例えば、時刻tnまでの測定結果に基づき時刻tn+1
における速度Vnが大きいものと予想される場合には、
図5cで示すようにLD21の時刻tn+1におけるパル
ス間隔Δtn+1を時刻tnにおけるΔtnより短くするよ
うに制御する。この結果、自己相関信号光は図5aや図
5bに示すように、R’ではなくRの位置に結像される
ことになる。
【0051】以下、本発明の第三実施例を図面を参照し
ながら説明する。
【0052】第三実施例にかかる装置23は、図7に示
すように、第一実施例とほぼ同一であり、偏向器4と偏
向器コントローラ17がない点のみ異なる。ハーフミラ
ー3の反射角度は一定であるため、He−Neレーザ装
置2からハーフミラー3に達した光の一部が常に一定の
方向に反射される。したがって、図8に示すように、ハ
ーフミラー3からの反射光が測定物体19に常に照射さ
れる。二重記録されるスペックルパターンの時間間隔Δ
nは、第一の光変調器6に印加する書き込み駆動電圧
wの時間間隔Δtnにより定まる。本実施例において
は、演算・制御装置15Bが光変調器コントローラ16
を制御することにより、光変調器6に書き込み駆動電圧
wを印加する時間間隔Δtnを変化させ、自己相関信号
光が常にPSD15Aの中心部付近に結像されるように
している。また、第一の光変調器6への電圧印加タイミ
ングを変化させるのに伴い、第二の光変調器11への電
圧印加タイミングをも変化させるような制御が行われ
る。
【0053】なお、ハーフミラー3として反射角度が可
変なものを設けても良い。この場合には、測定開始時刻
1から時間がかなり経過し測定物体19が測定開始当
初の位置から大きく移動しても、反射角度を変化させる
ことにより反射光を測定物体に照射させ続けることがで
きる。ただし、第一の光変調器6に二重記録を行う間
(すなわち、スペックルパターン1と2を記録している
時及びその間Δtn)は、ハーフミラーを固定して反射
角度を一定に保つ必要がある。そこで、かかる角度可変
ハーフミラー3を用いる場合には、第一の光変調器6に
書き込み駆動電圧Vwを印加するタイミングにあわせて
ハーフミラーの角度を調整する。この調整は、図示しな
い角度コントローラにより行う。
【0054】本実施例においては、さらに第一実施例の
ように偏向器4及び偏向器コントローラ17を設けても
良い。この場合には、偏向器コントローラ17が偏向器
4の偏向角を一定に維持することによって、回折光を常
に測定物体19に照射させ続ける。そして、光変調器6
への電圧印加タイミングを制御することによって、光変
調器6への二重記録の時間間隔Δtnを制御する。な
お、時間がかなり経過して測定物体19が大きく移動し
た場合には、偏向角を変化させて回折光を測定物体に照
射させ続けるようにしても良い。ただし、二重記録を行
う間は偏向角を一定に保つよう制御して、測定物体の移
動状態を光変調器6に記録する。
【0055】なお、本実施例ではこのようなタイミング
で第一の光変調器6への二重書き込みを行うため、書き
込み用補償電圧Vwcの印加時間は、二回の書き込み用駆
動電圧Vwの印加時間をたしあわせた時間と等しいよう
にして、液晶層6Cの劣化を防止している。
【0056】本発明は上述した実施例の光学的変位量測
定装置に限定されることなく本発明の趣旨から逸脱する
ことなく種々の変更が可能となる。たとえば、上述の実
施例では、二重記録時間間隔Δtn+1を前回までの測定
結果及び前回の記録時間間隔Δtnに基づいて制御した
が、前回ではなく2回前あるいは3回前までの測定結果
及び記録時間間隔に基づいて制御してもよい。既に行わ
れた測定に基づいて記録時間間隔を制御するのであれば
よいのである。
【0057】また、上述の実施例では光学的変位量測定
装置は固定されており測定物体が移動していたが、この
逆でもよい。すなわち、光学的変位量測定装置が移動し
ており、測定物体は固定されているものでもよい。この
場合には、固定された測定物体の光学的変位量測定装置
に対する相対的な移動量及び速度を測定することによっ
て、光学的変位量測定装置の絶対的移動量及び速度が求
められることになる。たとえば、光学的変位量測定装置
を自動車等移動する物体に載置することにより、この移
動物体の移動量及び速度を求めることができる。
【0058】スペックルパターンを光変調器6に二重記
録する時間間隔を制御する方法のうち、測定物体への光
照射タイミングを制御する方法の例として第一及び第二
実施例を、また、光変調器への駆動電圧印加タイミング
を制御する方法の例として第三実施例を記載したが、本
発明は、これら実施例に限られない。
【0059】さらに、測定物体にはレーザ光のようなコ
ヒーレント光でなくインコヒーレント光を照射しても良
い。この場合には、スペックルパターンでなく測定物体
の像が第一の光変調器に記録される。こうして変位前後
の物体の像を第一の光変調器に二重記録する。記録した
変位前後の物体の像を読み出しフーリエ変換してヤング
縞を形成し、第二の光変調器に記録する。記録したヤン
グ縞を読みだしフーリエ変換して0次光と自己相関信号
光を形成する。この自己相関信号光の位置を測定するこ
とにより、測定物体の変位量及び変位速度を求めること
ができる。
【0060】また、スペックルパターンを二重記録する
手段としては、強誘電性液晶空間光変調器に限られず、
測定物体変位前の受光パターンを少なくとも変位後の受
光パターンを記録するまで蓄積でき物体変位前後の像を
二重記録することが可能な空間光変調器であればよい。
【0061】更に、上述の実施例では光を測定物体に照
射させその反射光パターンで物体の変位量及び変位速度
を測定していたが、測定物体の種類等によっては透過光
パターンで測定を行ってもよい。すなわち、測定物体の
透過光に形成された像やスペックルパターンを第一の光
変調器に二重記録させるようにしてもよい。
【0062】上述の実施例においては、第一の光変調器
に二重スペックルパターンを記録しこれをフーリエ変換
してヤング縞を形成し、このヤング縞を第二の強誘電性
液晶空間光変調器11に記録した後これをフーリエ変換
する。しかし、第二の光変調器11は、強誘電性液晶空
間光変調器でなくてもよい。明暗のヤング縞パターンを
記録できる空間光変調器であればよい。
【0063】更に、測定物体からの透過光または反射光
に形成されたパターンの光強度が小さい場合には、結像
レンズ5と第一の光変調器6との間に公知のイメージイ
ンテンシファイアを設けて、パターンの光強度を高めた
後光変調器6の書き込み入射面6Swに入射させるよう
にしてもよい。
【0064】
【発明の効果】以上詳述したことから明かなように、本
発明の光学的変位量測定装置においては、第一の記録手
段に、装置に対して相対的に変位する測定対象の像を所
定の時間間隔をおいて二重記録し測定対象と装置との相
対的変位状態を記録する。かかる二重記録された変位前
後の測定対象の像(スペックルパターン)に対し、二つ
のフーリエ変換レンズによりジョイント変換相関処理と
同様に考えられる処理をして0次光と自己相関信号光と
を形成する。そして、0次光に対する自己相関信号光の
位置を光重心位置検出手段で直接測定することにより測
定対象の相対的変位量及び変位速度を測定する。したが
って、自己相関信号光のピーク位置を検出するのに走査
や複雑な比較演算が不要となり、短時間で測定をするこ
とができる。このため、実時間測定性に優れ、かつ、測
定対象の速度の変化状態を極めて短い時間間隔で測定し
ていくことが可能となる。
【0065】また、光重心位置検出手段からの信号を、
測定対象の像(スペックルパターン)を二重書き込みす
るための手段にフィードバックすることにより、光重心
位置検出手段が受光する自己相関信号光の位置をその位
置検出誤差の少ない範囲に制限することができるため、
誤差が少なくなり測定精度の向上がはかれる。しかも、
測定対象の相対的変位速度の変化に対応したフィードバ
ック制御を行うため、光学的変位量測定装置のダイナミ
ックレンジを著しく高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例にかかる光学的変位量測定
装置を示す光学系統図である。
【図2】本発明で使用される光変調器を拡大して示す断
面図である。
【図3】本発明の第一及び第二実施例にかかる光学的変
位量測定装置の動作タイミングチャートである。
【図4a】本発明で使用される一次元PSDを説明する
ための斜視図である。
【図4b】本発明で使用される一次元PSDを説明する
ための断面図である。
【図4c】PSDを使用しない場合に自己相関信号光の
ピーク位置を検出するための走査方法を示す図である。
【図5a】本発明において自己相関信号光を常にPSD
受光面に受光させるよう制御する際のPSD面上での自
己相関信号光の動きを説明する説明図である。
【図5b】本発明において自己相関信号光を常にPSD
受光面に受光させるよう制御する際のPSD面上での自
己相関信号光の動きをその光強度分布によって説明する
説明図である。
【図5c】第二実施例において自己相関信号光を常にP
SD受光面に受光させるよう制御する際のLD21の光
出射タイミングを説明する説明図である。
【図6】本発明の第二実施例にかかる光学的変位量測定
装置を示す光学系統図である。
【図7】本発明の第三実施例にかかる光学的変位量測定
装置を示す光学系統図である。
【図8】本発明の第三実施例にかかる光学的変位量測定
装置の動作タイミングチャートである。
【符号の説明】
1 光学的変位量測定装置 2 He−Neレーザ装置 3 ハーフミラー 4 偏向器 6 第一の光変調器 10 第一のフーリエ変換レンズ 11 第二の光変調器 14 第二のフーリエ変換レンズ 15A PSD 15B 演算・制御装置 16 光変調器コントローラ 17 偏向器コントローラ 19 測定物体 20 光学的変位量測定装置 21 LD 22 LDコントローラ 23 光学的変位量測定装置

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 測定対象へ光を照射するための第一の照
    射手段と、この照射光に基づく測定対象からの反射光ま
    たは透過光を受光して該測定対象の像を所定の時間間隔
    で二重記録し該測定対象と光学的変位量測定装置との間
    の相対的変位を記録する第一の記録手段と、該第一の記
    録手段にコヒーレント光を照射して記録された像を読み
    だすための第一のコヒーレント光投光手段と、該読み出
    された像をフーリエ変換するための第一のフーリエ変換
    手段と、該第一のフーリエ変換手段により形成した第一
    のフーリエ変換像を記録するための第二の記録手段と、
    該第二の記録手段にコヒーレント光を照射して該記録さ
    れた第一のフーリエ像を読みだすための第二のコヒーレ
    ント光投光手段と、該読み出された第一のフーリエ変換
    像をフーリエ変換するための第二のフーリエ変換手段
    と、該第二のフーリエ変換手段により形成された第二の
    フーリエ変換像の重心の位置を検出し該測定対象と該光
    学的変位量測定装置との間の相対的変位量を求めるため
    の光重心位置検出手段と、該光重心位置検出手段の検出
    結果に基づいて該所定の時間間隔を制御する制御手段と
    を備えたことを特徴とする該光学的変位量測定装置。
  2. 【請求項2】 前記第一の照射手段がコヒーレント光を
    前記測定対象へ照射して、該測定対象からの反射光また
    は透過光にスペックルパターンを形成させ、該スペック
    ルパターンを前記第一の記録手段へ二重記録することを
    特徴とする請求項1記載の光学的変位量測定装置。
  3. 【請求項3】 前記制御手段が前記第一の照射手段が前
    記測定対象へ光を照射する時間間隔を制御することによ
    り、前記所定の時間間隔を制御することを特徴とする請
    求項1記載の光学的変位量測定装置。
  4. 【請求項4】 前記制御手段が前記第一の記録手段を制
    御することにより前記所定の時間間隔を制御することを
    特徴とする請求項1記載の光学的変位量測定装置。
  5. 【請求項5】 前記第一の記録手段が、少なくとも前記
    所定の時間間隔の間記録した像を蓄積する機能のある空
    間光変調器であることを特徴とする請求項1記載の光学
    的変位量測定装置。
  6. 【請求項6】 前記重心位置検出手段が半導体位置検出
    素子であることを特徴とする請求項1記載の光学的変位
    量測定装置。
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