JP2587753B2 - 光学的変位量測定装置 - Google Patents

光学的変位量測定装置

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JP2587753B2
JP2587753B2 JP16422292A JP16422292A JP2587753B2 JP 2587753 B2 JP2587753 B2 JP 2587753B2 JP 16422292 A JP16422292 A JP 16422292A JP 16422292 A JP16422292 A JP 16422292A JP 2587753 B2 JP2587753 B2 JP 2587753B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、物体の変位量を光学的
に測定するための光学的変位量測定装置に係わる。ここ
で、物体の変位量とは、物体の移動量や変形量等をい
う。
【0002】
【従来の技術】物体の変位量を光学的に測定する手段の
一つとして、スペックル法がある。スペックル法では、
物体にレーザ光等の可干渉な光を照射し、該照射光が該
物体の粗面等で拡散反射して形成する斑点状の模様(以
下、「スペックルパターン」という)を利用する。特開
昭59−212773号公報に、スペックル法を採用し
た光学的速度検出装置の開示がある。この装置では、移
動する被測定物体に、ある時間間隔をおいて二回、可干
渉な光を照射する。該二回の照射により得られるスペッ
クルパターンを、それぞれ、複数の受光素子に受光さ
せ、光電変換する。各受光素子で採取したサンプル値を
互いにシフトさせて、その相関関係を演算する。かかる
演算から、スペックルパターンの移動量を求め、もっ
て、被測定物体の移動量及び移動速度を求めている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように相関演算に
より移動量・移動速度を求める装置においては、サンプ
ル値の採取や相関演算に時間がかかり、実時間測定性の
点において十分でない。本発明は上記問題点に鑑みてな
されたものであり、その目的は、被測定対象の変位状態
を短時間で測定でき実時間測定性に優れ、かつ、高精度
で、ダイナミックレンジが広い光学的変位量測定装置を
提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の光学的変位量測定装置は、被測定対象の像
を適当な時間間隔をおいた二の測定時刻に入力し、各測
定時刻における該像を二重記録するための第一の記録手
段と、該第一の記録手段にコヒーレント光を照射して該
二重記録像を読みだすための第一のコヒーレント光投光
手段と、該読み出した二重記録像をフーリエ変換して第
一のフーリエ変換像を形成するための第一のフーリエ変
換手段と、該第一のフーリエ変換像を記録するための第
二の記録手段と、該第二の記録手段にコヒーレント光を
照射して該第一のフーリエ変換像を読みだすための第二
のコヒーレント光投光手段であって、該コヒーレント光
の形状を変化させるためのコヒーレント光変形手段を具
備したものと、該読み出した第一のフーリエ変換像をフ
ーリエ変換して第二のフーリエ変換像を形成するための
第二のフーリエ変換手段と、該第二のフーリエ変換像の
状態を検出するための光検出手段と、から構成される。
ここで、該光検出手段が、該第二のフーリエ変換像の位
置を検出するための光重心位置検出手段であることが好
ましい。また、該コヒーレント光変形手段は、該形成さ
れた第一または第二のフーリエ変換像の状態に基づい
て、該コヒーレント光の形状を変化させることが好まし
い。より好ましくは、該コヒーレント光変形手段は、該
光重心位置検出手段の検出結果に基づいて、前記コヒー
レント光の形状を変化させる。該光学的変位量測定装置
は、さらに、該光重心位置検出手段の検出結果に基づ
き、該二の測定時刻の間における被測定対象の該光学的
変位量測定装置に対する相対的変位量を演算するための
演算手段を備えていることが好ましい。また、該第一の
記録手段は、コヒーレント光を該被測定対象へ照射する
ための光照射手段を備え、この照射コヒーレント光によ
り該二の測定時刻において形成されるスペックルパター
ンを二重記録することが好ましい。該第一及び第二の記
録手段は、強誘電性液晶空間光変調素子であることが好
ましい。
【0005】
【作用】上記構成を有する本発明の光学的変位量測定装
置においては、該第一の記録手段が、該光学的変位量測
定装置に対して相対的に変位する被測定対象の像を適当
な時間間隔をおいた二の測定時刻に入力し、各時刻にお
ける該像を二重記録する。該第一のコヒーレント光投光
手段が、該第一の記録手段にコヒーレント光を照射し
て、該第一の記録手段に記録された該二重記録像を読み
出す。該読みだした二重記録像を、該第一のフーリエ変
換手段がフーリエ変換し、第一のフーリエ変換像を形成
する。該第二の記録手段が、該第一のフーリエ変換像を
記録する。該第二のコヒーレント光投光手段は、該コヒ
ーレント光変形手段がコヒーレント光の形状を変化させ
た後、このコヒーレント光を該第二の記録手段に照射し
て、該第二の記録手段に記録された該第一のフーリエ変
換像を読み出す。該読みだした第一のフーリエ変換像
を、該第二のフーリエ変換手段がフーリエ変換し、第二
のフーリエ変換像を形成する。該光検出手段が、該第二
のフーリエ変換像の状態を検出する。ここで、該光検出
手段が光重心位置検出手段である場合には、該光重心位
置検出手段は、該第二のフーリエ変換像の位置を検出す
る。ここで、該第二のフーリエ変換像の位置は、該二の
測定時刻の間における、被測定対象の該第一の記録手段
に対する相対的変位量(すなわち、該光学的変位量測定
装置に対する相対的変位量)と一定の関係を有してい
る。したがって、該光重心位置検出手段は、その検出結
果として、該相対的変位量を示す情報を出力することに
なる。該コヒーレント光変形手段は、該形成された第一
または第二のフーリエ変換像の状態に基づいて、該コヒ
ーレント光の形状を変化させることが好ましい。より好
ましくは、該コヒーレント光変形手段は、該光重心位置
検出手段の検出結果に基づいて、前記コヒーレント光の
形状を変化させる。該光学的変位量測定装置が前記演算
手段を備えている場合には、該演算手段は、該光重心位
置検出手段の検出結果に基づき、該二の測定時刻の間に
おける被測定対象の光学的変位量測定装置に対する相対
的変位量を演算する。なお、該第一の記録手段がコヒー
レント光を照射するための光照射手段を備えている場合
には、該被測定対象の像として、スペックルパターンが
得られる。
【0006】図1は、本実施例に係る光学的移動速度測
定装置(以下、「測定装置」という)1の概略構成を示
す光学系統平面図である。該測定装置1は、光源として
のHe−Neレーザ装置2と;該He−Neレーザ装置
2からのレーザ光を、所定時間間隔をおいて二度被測定
物体30に照射して、二のスペックルパターンを形成す
るためのスペックルパターン形成部1Aと;該形成した
二のスペックルパターンを二重記録するための第一の強
誘電性液晶空間光変調素子(以下、「第一のFLC−S
LM」という)7と;該He−Neレーザ装置2からの
レーザ光を、スペックルパターンが二重記録された該第
一のFLC−SLM7で位相変調し、さらに空間的にフ
ーリエ変換することにより、ヤングの干渉縞を含む回折
像を形成するための干渉縞形成部1Bと;該形成した回
折像を記録するための第二の強誘電性液晶空間光変調素
子(以下、「第二のFLC−SLM」という)13と;
該He−Neレーザ装置2からのレーザ光を、ヤングの
干渉縞を含む該回折像が記録された該第二のFLC−S
LM13で位相変調し、さらに空間的にフーリエ変換す
ることにより、複数の回折光光点を形成させるための回
折光光点形成部1Cと;該形成した回折光光点のうちの
+1次回折光の位置を測定し、被測定物体30の該所定
時間間隔における移動量ひいては移動速度を演算するた
めの測定・演算部1Dとを備えている。つまり、測定装
置1では、スペックルパターン形成部1Aで得た互いに
同一のパターンを有する二のスペックルパターンに対
し、FLC−SLM7、干渉縞形成部1B、FLC−S
LM13、及び、回折光光点形成部1Cにより、ジョイ
ント変換相関処理と同様な処理を行って、該スペックル
パターンの自己相関信号光を形成する。測定・演算部1
Dにより、該自己相関信号光の位置を測定し、その測定
結果に基づいて、該二のスペックルパターン間の距離、
ひいては、被測定物体の移動速度を演算するのである。
【0007】以下、かかる測定装置1の構成について、
詳細に説明する。
【0008】直方体状の被測定物体30が、ベルトコン
ベア状の搬送装置31により、図1の矢印Vの方向(図
の紙面に沿う方向)に延びる搬送経路上を搬送移動され
ている。なお、該直方体状の被測定物体30は、図の紙
面に対し垂直な方向に延びる平面状粗面30Aを有して
いる。He−Neレーザ装置2は、直線偏光状態で、か
つ、略円形のビーム形状を有する平行光を連続的に照射
している。スペックルパターン形成部1Aでは、ハーフ
ミラー3が、He−Neレーザ装置からのレーザ光の一
部を反射して、音響光学偏向器(以下、「AOD」とい
う)4に導く。AOD4は、AODコントローラ20の
制御のもとレーザ光を偏向する。より詳しくは、AOD
4は、レーザ光を偏向して、これを所定時間間隔をおい
て二度、特定の一の方向に照射させる。この結果、レー
ザスポット光が、搬送装置31の搬送経路上の一の固定
領域Rに、該所定時間間隔をおいて二度パルス状に照射
されることになる。(以下、該二度の照射時刻を、それ
ぞれ、「第一の照射時刻t1及び第二の照射時刻t2」と
いい、該所定時間間隔を「照射時刻間隔△t(=t2
1)」という。また、該照射時刻間隔△tにおける該
被測定物体30の移動距離を|S(△t)|とする。)
該二度の照射光は、それぞれ、被測定物体30の粗面3
0Aのうち、照射時刻t1及びt2に該固定領域Rに達し
た領域30R1及び30R2でそれぞれ散乱反射され、二
の反射光を形成する。(以下、それぞれ、「第一及び第
二の反射光」という。)該第一及び第二の反射光は、該
領域30R1及び30R2の粗面形状に固有なスペックル
パターンを有することになる。つまり、該第一及び第二
の反射光は、互いに同一のスペックル分布が該移動方向
Vに全体的に該移動距離|S(△t)|だけずれたよう
なパターン(以下、それぞれ、「第一及び第二のスペッ
クルパターン」という)を有することになる。
【0009】結像レンズ5が、該第一及び第二のスペッ
クルパターンを、第一のFLC−SLM7の書き込み側
光入射面7Sw上に結像する。したがって、該光入射面
7Swに結像された第一及び第二のスペックルパターン
は、図2Aに示すように、互いに同一のスペックル分布
が、全体的に、一のシフト方向x’に、一のシフト距離
(以下、「シフト距離|M(△t)|」という)だけず
れたようなパターンとなる。より詳しくは、第一及び第
二のスペックルパターンのうちの相対応する各明斑点部
(図のスペックル1及び2)が、該シフト方向x’に、
該シフト距離|M(△t)|だけ間隔をおいて、形成さ
れるのである。ここで、該シフト方向x’は、被測定物
体の移動方向(図1の矢印V)と一定の関係にある。本
実施例の場合、結像レンズ5の光軸5Aは図1の紙面に
そって延びているため、該シフト方向x’も図1の紙面
に沿う方向に延びている。(なお、図1及び2Aのy’
方向は、図1の紙面に垂直に延びる方向である。)ま
た、該シフト距離|M(△t)|は、被測定物体移動距
離|S(△t)|との間に、該結像レンズ5の結像倍率
mで決まる以下の数式1の関係を有する。
【数1】|M(△t)|=m・|S(△t)|
【0010】該第一のFLC−SLM7は、該書き込み
側光入射面7Swに結像された該第一及び第二のスペッ
クルパターンを二重記録するべく、FLC−SLMコン
トローラ19により駆動される。
【0011】一方、ハーフミラー3を透過した平行レー
ザビームは、干渉縞形成部1Bにおいて、第一のコリメ
ータレンズ8Aとスペイシャルフィルター8B及び第二
のコリメータレンズ8Cからなるビーム径変換光学系8
により、所望のビーム径の平行レーザビームに変換され
る。該平行レーザビームの一部は、ハーフミラー9で反
射され、可変アパーチャ10Aとハーフミラー10Bか
らなる第一の読みだし光学系10により、該第一のFL
C−SLM7の読みだし側光入射面7Srに導かれる。
なお、該可変アパーチャ10Aは、該レーザビームをさ
らに所望のビーム径に変換するためのものである。該光
入射面7Srに照射されたレーザビームは、FLC−S
LM7内で、ここに記録されている該第一及び第二のス
ペックルパターンによる位相変調を受けた後、該光入射
面7Srより出射する。こうして、該二重記録されたス
ペックルパターンの読みだしが行われる。該FLC−S
LM7から出射したレーザビームは、前記ハーフミラー
10Bを透過した後、第一のフーリエ変換レンズ12に
より空間的にフーリエ変換され、レンズ12の像側焦点
面上に回折像Pを結像する。この回折像Pは、前記二重
記録されたスペックルパターンの強度分布のフーリエ変
換像である。ここで、該第一及び第二のスペックルパタ
ーンの強度分布を、それぞれ、g0(x’,y’)、及
び、g0(x’−|M(△t)|,y’)とする。この
場合には、これら二のスペックルパターンからなるスペ
ックルパターンの強度分布g(x’,y’)は、以下の
数式2で表されることになる。
【数2】 g(x’,y’)=g0(x’,y’)+g0(x’−|
M(△t)|,y’)=g0(x’,y’)*{δ
(x’,y’)+δ(x’−|M(△t)|,y’) なお、*は、重畳積分を示す。したがって、該FLC−
SLM7に二重記録されたスペックルパターンの強度分
布のフーリエ変換像Pの強度分布は、以下の数式3で表
されることになる。
【数3】 |F{g(x’,y’)}|2=2G0(x’,y’)2
{1+cos(2π・|M(△t)|・x”/λf12)} ここで、λは、FLC−SLM7への読みだし光である
He−Neレーザ光の波長であり、f12は、フーリエ変
換レンズ12の焦点距離である。この数式3より明かな
ように、該回折像Pには、間隔(以下、|K(△t)|
という)が以下の数式4であるような明暗の縞が形成さ
れる。
【数4】|K(△t)|=λf12/|M(△t)| かかる明暗の縞は、前記相対応する各スペックル1及び
2からの回折光が干渉することによって生じるヤングの
干渉縞である。なお、このヤングの干渉縞の縞の並ぶ方
向(各縞の延びる方向に対し垂直な方向)は、前記スペ
ックル分布のシフト方向x’に平行となり、図1の紙面
に沿う方向x”に平行となる。一方、該数式3のG
0(x’,y’)は、前記第一のスペックルパターンの
強度分布g0(x’,y’)をフーリエ変換したもので
ある。したがって、数式3より明かなように、該回折像
Pは、ヤングの干渉縞とスペックルパターンのフーリエ
変換像との重ね合わせの像となっている。この回折像P
の形状を示したものが、図2Bである。この図より明か
なように、回折像Pは、スペックルパターン、ひいては
各スペックルの形状のフーリエ変換像にヤングの干渉縞
が重なりあったものである。なお、この図で、y”方向
は、図1の紙面に垂直に延びる方向である。
【0012】該第二のFLC−SLM13は、その書き
込み側光入射面13Swが該レンズ12の像側焦点面上
に位置するように配置されている。したがって、該回折
像Pが該光入射面13Swに結像されることになる。該
第二のFLC−SLM13は、該回折像Pを記録するよ
うに、該FLC−SLMコントローラ19により駆動さ
れる。
【0013】回折光光点形成部1Cには、ミラー11A
とビーム整形部11B、及び、ハーフミラー11Cから
なる第二の読みだし光学系11が設けられている。該第
二の読みだし光学系11は、ハーフミラー9を透過した
He−Neレーザビームを、ビーム整形部11Bで所望
の形状に変形させた後、これを、第二のFLC−SLM
13の読みだし側光入射面13Srのうち前記回折像P
が記録されている位置に対応する位置に導く。該光入射
面13Srに照射されたレーザビームは、該FLC−S
LM13内で、ここに記録されている該回折像Pのヤン
グの干渉縞による位相変調を受けた後、該光入射面13
rより出射する。こうして、該記録されたヤングの干
渉縞の読みだしが行われる。該第二のFLC−SLM1
3から出射したレーザビームは、該ハーフミラー11C
を透過し、第二のフーリエ変換レンズ15により空間的
にフーリエ変換される。この結果、該レンズ15の像側
焦点面15F上には、図2Cに示すように、0次回折光
光点と、該第一及び第二のスペックルパターンの相関に
応じた複数の回折光光点(n次回折光;n=±1,±
2,・・・)が結像される。該複数の回折光光点は、該
ヤングの干渉縞の縞の並ぶ方向に対して平行に並ぶた
め、図1の紙面に沿う方向(x方向)に並ぶことにな
る。ここで、該±1次回折光は、同一のパターンを有す
る該第一及び第二のスペックルパターンに対してジョイ
ント変換相関処理と同一の処理を施した結果得られた、
該スペックルパターンの自己相関信号光である。これら
回折光光点の互いに隣あう光点間の距離(以下、「|N
(△t)|」という)は互いに等しく、その値は、該ヤ
ングの干渉縞の縞間隔|K(△t)|の値の逆数と比例
関係にある。比例定数は、FLC−SLM13の読みだ
し側面13Srに照射した読みだし光(He−Neレー
ザ光)の波長λと該フーリエ変換レンズ15の焦点距離
15で決まる。したがって、前記数式4より、該光点間
距離|N(△t)|は、スペックルパターンのシフト距
離|M(△t)|と以下の数式5の関係にある。
【数5】|M(△t)|=β|N(△t)| ここでβは正の定数であり、その値は、読みだし光の波
長λと、該レンズ12及び15の焦点距離f12、f15
定まる。したがって、該光点間距離|N(△t)|を測
定すれば、上述の数式1及び5より、該被測定物体の移
動距離|S(△t)|を求めることができる。
【0014】前記フーリエ変換レンズ15の後段には、
一次元位置検出用半導体位置検出素子(以下、「PS
D」という)16が、その光入射面(検出可能領域)1
6Sが該像側焦点面15F上に位置するように配置され
ている。ここで、該PSD16は、図1、3A及び3B
に示すように、その検出しうる一次元方向(x方向)が
図1の紙面に沿う方向に平行になるように、配置されて
いる。該光入射面16Sの原点16Sx0は、該レンズ1
5の光軸15Aが該像側焦点面15Fと交差する中心点
15Oから所定距離dだけx方向に離間するように、配
置されている。ここで、0次回折光は、該中心点15O
に結像される。一方、+1次回折光は、該光入射面16
S上に図3A及びBに示すように結像される。PSD1
6は、該1次回折光の重心位置(ピーク位置)16Sx1
の、該原点16Sx0からの距離Xを検出する。したがっ
て、以下の数式6により、前記光点間距離|N(△t)
|を求めることができる。
【数6】|N(△t)|=X+d つまり、該PSDの検出値Xに基づき、前記数式1、5
及び6を演算することにより、該被測定物体の移動距離
|S(△t)|を求めることができる。なお、かかる数
式1、5及び6の演算は、該PSD16に接続された演
算・制御装置17が行う。すなわち、演算・制御装置1
7は、PSD16の検出値Xを示す信号を受取り、その
信号に基づき、該数式1、5及び6を演算して、該被該
測定物体の移動距離|S(△t)|を求めるのである。
【0015】該演算・制御装置17にはまた、該AOD
コントローラ20が接続されており、該照射時刻間隔値
△tの情報が入力される。したがって、該演算・制御装
置17は、以下の数式7を演算することで、被測定物体
の移動速度vを求めることができる。
【数7】v=|S(△t)|/(△t) 該演算・制御装置17に接続された速度表示装置18
は、求められた被測定物体の移動速度vの値をその表示
面に表示する。
【0016】なお、該演算・制御装置17は、AODコ
ントローラ20を介してAOD4による被測定物体への
He−Neレーザ光の照射タイミングを調整し、かつ、
FLC−SLMコントローラ19を介して第一及び第二
のFLC−SLM7、13を駆動することにより、測定
装置1全体の動作を制御する機能をも有する。
【0017】上記構成の測定装置1に採用されている第
一のFLC−SLM7について、以下、詳細に説明す
る。該第一のFLC−SLM7では、図4に示すよう
に、強誘電性液晶層(以下、「液晶層」という)7F
が、一対の配向層7Eと7Gとの間に設けられている。
該配向層7Eの該液晶層7Fと反対の側には、誘電体ミ
ラー7Dと、アモルファスシリコン層(以下、「α−S
i層」という)7Cと、書き込み側透明電極(以下、
「電極」という)7Bと、ガラス層7Aが設けられてい
る。また、該配向層7Gの該液晶層7Fと反対の側に
は、読み出し側透明電極(以下、「電極」という)7H
と、ガラス層7Iと、反射防止膜7Jとが設けられてい
る。該液晶層7FはカイラルスメクチックC(Sc *)液
晶であり、像を記録するための記録層として機能する。
該α−Si層7Cは光伝導体層であり、アドレス材料と
して機能する。該ガラス層7Aが、前記書き込み側光入
射面7Swを、また該反射防止膜7Jが、読み出し側光
入射面7Srを規定する。該一対の電極7Bと7Hとの
間には、後述するように、FLC−SLMコントローラ
19が、書き込み用及び消去用の駆動電圧Vw,Veとそ
の補償電圧Vwc,Vecをパルス状に印加する。なお、該
補償電圧Vwc,Vecは、液晶層7Fの劣化を防止するた
めに印加されるものである。また、図1に示すように、
発光ダイオード(LED)6が書き込み側光入射面7S
wの全面を照射するように設けられており、液晶層7F
に既に記録されている像を消去するのに用いられる。
【0018】以上、第一のFLC−SLM7の構成につ
いて説明したが、第二のFLC−SLM13も該第一の
FLC−SLM7と同様の構成をしており、該FLC−
SLMコントローラ19が、その電極13B・13H間
の印加電圧を制御する。また、図1に示すように、第二
のFLC−SLM13には、記録消去用の発光ダイオー
ド(LED)14が備えられている。上記FLC−SL
M7及び13は、書き込み速度が極めて早く実時間測定
性において極めて優れている。また、二値記録デバイス
であるため、スペックルパターンやヤングの干渉縞を記
録するのに適している。なお、FLC−SLMの構造及
び動作の詳細は、特開平2−289827号公報に説明
されている。また、本実施例で用いているPSD16
は、光束の重心(強度中心)の位置を直接検出できるも
のである。つまり、+1次回折光光点のピーク位置を測
定するのに、その強度分布の走査や比較演算等を行うこ
となく、直接ピーク位置を測定することができる。した
がって、該書き込み速度の早いFLC−SLMの動作に
追随した動作を行うことができる。
【0019】上記構成の測定装置1は、演算・制御装置
17の制御のもと、図5Aに示すタイミングで動作し
て、+1次回折光光点をPSD16の光入射面16S上
に結像し、さらに、PSD16の検出結果に基づいて被
測定物体の速度vを演算する。かかる動作(以下、「回
折光光点形成動作F」という)について、以下説明す
る。まず、発光ダイオード6が第一のFLC−SLM7
の該光入射面7Swに一様な光を照射している間、FL
C−SLMコントローラ19は、該第一のFLC−SL
M7の電極7B・7H間に、消去用補償電圧Vecと消去
用駆動電圧Veを、互いに等しい時間だけこの順に印加
し、前回の測定の際FLC−SLM7に記録された像を
消去する。なお、該補償電圧Vecと該駆動電圧Veは、
互いに極性が逆で、その絶対値が等しい。FLC−SL
Mコントローラ19は、次に、該電極7B・7H間に、
書き込み用補償電圧Vwcと書き込み用駆動電圧Vwを、
やはり互いに等しい時間だけこの順で加える。(なお、
該書き込み用駆動電圧Vwの極性は、該消去用駆動電圧
eのそれと逆である。また、該補償電圧Vwcと該駆動
電圧Vwとは、互いに極性が逆で、その絶対値が等し
い。)AODコントローラ20は、この書き込み駆動電
圧Vwの印加中、AOD4を制御して、照射時刻間隔△
tをおいて2回レーザ光を被測定物体30に照射させ
る。(なお、該2回のレーザ光の照射時間を、互いに等
しい時間Twとする。)この結果、該FLC−SLM7
に該第一及び第二のスペックルパターンが二重記録され
る。該スペックルパターンの記録と同時に、第一の読み
だし光学系10からのHe−Neレーザ光が、FLC−
SLM7に照射されて、該二重記録されたスペックルパ
ターンが読み出され、ヤングの干渉縞を含む前記回折像
Pが形成される。FLC−SLMコントローラ19は、
該第一のFLC−SLM7に該電圧Vwc・Vwを印加す
るのと同時に、該第二のFLC−SLM13に消去用の
補償電圧Vecと駆動電圧Veを加える。これと同時に、
発光ダイオード14が該FLC−SLM13に一様な光
を照射することにより、前回の測定の際記録された像を
消去する。FLC−SLMコントローラ19は、FLC
−SLM7へのスペックルパターンの書き込みの終了と
同時に、該FLC−SLM13の電圧13B・13H間
に、書き込み補償電圧Vwcと書き込み駆動電圧Vwを順
に印加して、該ヤングの干渉縞を含む回折像PをFLC
−SLM13に記録する。この回折像Pの記録と同時
に、He−Neレーザビームが、第二の読みだし光学系
11を経て、該FLC−SLM13に照射され、該ヤン
グの干渉縞の読み出しが行われる。この結果、該第一及
び第二のスペックルパターンの相関を示す回折光光点が
形成される。該演算・制御装置17は、PSD16の出
力値Xから、被測定物体30の移動距離|S(△t)|
ひいては移動速度vを演算し、該速度表示装置18が、
移動速度を表示する。以上の一連の動作により、一の回
折光光点形成動作Fが終了する。
【0020】なお、以上の説明においては、AOD4
が、所定の時刻間隔△tをおいて2回レーザ光を被測定
物体30に照射するようにしている。しかしながら、か
かるAOD4は設けなくても良い。この場合には、図5
Bに示すように、He−Neレーザ光を、被測定物体3
0に常に照射させ続ける。FLC−SLMコントローラ
19が、第一のFLC−SLM7に対し、該第一及び第
二の時刻t1及びt2に(すなわち、時刻間隔△tをおい
て2回)、書き込み駆動電圧Vwをパルス状に印加す
る。こうして、該時刻t1及びt2において得られる第一
及び第二のスペックルパターンを、FLC−SLM7に
二重記録するのである。なお、該照射時刻t1及びt2
おける書き込み駆動電圧Vwの印加時間Twは、互いに等
しく、その和は、その直前に印加する書き込み補償電圧
wcの印加時間と等しくなるように制御すれば良い。ま
た、上記説明では、図5A及び5Bに示すように、第一
及び第二のFLC−SLM7、13の読みだし側光入射
面7Sr、13Srには、第一及び第二の読みだし光学系
10、11により、常に、He−Neレーザ光を照射さ
せている。しかしながら、He−Neレーザ光は、図5
A及び5B中に点線で示すようなタイミングで照射して
も良い。すなわち、第一のFLC−SLM7の読みだし
側光入射面7Srには、FLC−SLM7への書き込み
駆動電圧Vwの印加の終了後、一定の時間だけ、He−
Neレーザ光を照射して、ヤングの干渉縞を形成させ
る。これと同時に、第二のFLC−SLM13に前記電
圧Vwc、Vwを印加して、該形成されたヤングの干渉縞
を記録する。そして、該ヤングの干渉縞の記録と同時
に、第二のFLC−SLM13の読みだし側光入射面1
3Srに、He−Neレーザ光を照射して、回折光光点
を形成させる。なお、このようにHe−Neレーザ光を
選択的に光入射面7Sr、13Srに照射させるために
は、例えば、図1に点線で示すように、前記ビーム径変
換光学径8の前段に、例えばAODからなる光シャッタ
21を設ければ良い。該AOD21は、He−Neレー
ザビームを偏向し、図5A及び5Bに点線で示した時間
だけ、これを、前記第一及び第二の読みだし光学系1
0、11に入射させることができる。
【0021】次に、第二の読みだし光学系11に設けら
れているビーム整形部11Bについて、詳細に説明す
る。
【0022】まず、本発明において該ビーム整形部11
Bを設けた理由について、以下、説明する。FLC−S
LM7に第一及び第二の各スペックルパターンを記録す
るためには、既述のように、第一及び第二の時刻t1
2のそれぞれにおいて、照射時間Twの間被測定物体に
レーザ光を照射するか(図5A)、または、印加時間T
wの間FLC−SLM7に駆動電圧Vwを印加する(図5
B)。(なお、以下、該照射時間Tw及び印加時間T
wを、「記録時間Tw」という。)しかして、該記録時間
w中も、被測定物体30は、移動速度vで移動し続け
ている。したがって、FLC−SLM7に記録されるの
は、実際には、図2Aに示したような略円形状のスペッ
クルからなるスペックルパターンではなく、図6に示す
ようなスペックルパターンとなる。すなわち、実際に
は、略円形状のスペックルが、前記シフト方向x’に、
ι=m・v・Twで示される長さだけ移動した軌跡が、
スペックルとして記録されるのである。(ここで、m
は、結像レンズ5の結像倍率である。)したがって、F
LC−SLM7に記録される各スペックルの長さιは、
被測定物体30の移動速度vに応じた長さになる。
【0023】以下、図7を参照して、FLC−SLM7
に記録されるスペックルの形状と、FLC−SLM13
に記録される回折像Pの形状との関係について、さらに
具体的に説明する。まず、図7に示すように、被測定物
体30の移動速度va、vbが、例えば、va<vbの関係
にある場合には、各速度va、vbに対して得られるスペ
ックルの長さιa、ιbは、ιa<ιbの関係になる。とこ
ろで、スペックルパターンが、このようにx’方向に長
さιだけ延びるような形状のスペックルからなる場合に
は、このスペックルパターンの強度分布g0(x’,
y’)のフーリエ変換像の強度分布G0(x’、y’)
は、(λ・f12)/(2r・ι)に比例する幅Dをもっ
てx’方向に分布することになる。(ここで、2rは、
略円形状のスペックルの直径である。)したがって、ス
ペックルの長さιが長い程、(すなわち、被測定物体3
0の移動速度vが大きいほど)、該フーリエ変換像G0
(x’,y’)のx’方向の幅Dは、小さくなるのであ
る。具体的には、図7に示すように、長さιa、ιb(ι
a<ιb)を有するスペックルからなるスペックルパター
ンの強度分布g0a(x’,y’)及びg0b(x’,
y’)に対するフーリエ変換像の強度分布G0a(x’,
y’)及びG0b(x’,y’)は、そのx’方向の幅D
aとDbが、Da>Dbの関係になる。つまり、該フーリエ
変換像G0a、G0bの形状は、vbの場合の方がvaの場合
より、x’方向の幅Dが短い細長い略楕円形状となるの
である。
【0024】一方、前記回折像Pは、既述のように、該
スペックルパターンのフーリエ変換像G0(x’、
y’)に、ヤングの干渉縞が重なりあったものである。
したがって、被測定物体の速度va、vbに対しては、図
に示すような回折像Pa、Pbが得られ、FLC−SLM
13に記録されることになる。しかして、He−Neレ
ーザ装置2から出射されるレーザビームのスポット形状
は、略円形状である。したがって、被測定物体30の移
動速度vが小さく(vaの場合)、FLC−SLM13
に記録された回折像Pの形状が略円形状である場合に
は、FLC−SLM13に入射したレーザビームは、そ
のほとんどの部分が、該回折像P中のヤングの干渉縞に
よる変調を受けて、フーリエ変換レンズ15の作用によ
り、±1、2・・次回折光を形成する。しかしながら、
被測定物体30の移動速度vが大きく(vbの場合)、
回折像Pの形状が細長い略楕円形状になった場合には、
FLC−SLM13に入射したレーザビームのうちその
左右の縁部分は、ヤングの干渉縞による変調を受けるこ
とができない。このため該レーザビームの左右の縁部分
は、フーリエ変換レンズ15を経て、0次回折光を形成
することになる。しかして、該0次回折光は、PSD1
6の入射面16Sに迷光として入射し、PSD16の検
出ノイズとなる可能性が高い。したがって、移動速度v
が大きく、回折像Pの形状が細長く延びた形状となる場
合には、PSD16のS/N比が低下し、測定装置1
は、高精度の測定を実行することができなくなってしま
うおそれがある。また、このように回折像Pの形状が細
長い略楕円形状である場合、ヤングの干渉縞により変調
を受けられるのは、レーザビームのうちの中心に位置す
る一部分にすぎない。したがって、この場合には、ヤン
グの干渉縞による変調を受ける光量が減少してしまう。
このため、+1次回折光の光強度が低くなり、この点か
らも、PSD16のS/N比が低下してしまう。
【0025】以上の点に鑑み、本発明では、ビーム整形
部11Bを設け、FLC−SLM13に照射するHe−
Neレーザビームのビーム形状を、被測定物体の移動速
度vにあわせて変形することとしたのである。具体的に
は、該ビーム整形部11Bは、被測定物体30の移動速
度vが大きくなる程、He−Neレーザビームのx”方
向(図1の紙面に沿う方向)の幅dが小さい楕円状にな
るように、該ビーム形状を変形させる。かかるビーム整
形を行うことにより、レーザビームのうち、ヤングの干
渉縞による変調を受けることができない光量を小さくし
て、0次回折光の光強度を低減化すると共に、レーザビ
ームのうち、ヤングの干渉縞による変調を受ける光量を
大きくして、+1次回折光の光強度を向上させることが
できる。したがって、PSD16のS/N比を向上さ
せ、高精度の検出を行わせることができる。
【0026】該ビーム整形部11Bの構成の詳細につい
て、以下、図1及び8A乃至8Cを参照して、説明す
る。該ビーム整形部11Bは、第二の読みだし光学系1
1のミラー11Aより、入射光軸11R0に沿って入射
した略円形状のHe−Neレーザビームを整形し、出射
光軸11R1に沿って出射させるものである。なお、ミ
ラー11Cは、ここに該出射光軸11R1に沿って入射
したHe−Neレーザビームを、FLCーSLM13内
の、前記回折像Pが記録されている位置に適切に照射す
るような位置に配置されている。ビーム整形部11Bに
入射するHe−Neレーザビームの形状は、図8Bに示
すような略円形状である。ここで、該略円形状のレーザ
ビームの、図1及び8Aの紙面に垂直な方向(以下、
「y”方向」という)における径と、図の紙面に沿う方
向(以下、「x”方向」という)における径とを、共に
0とおく。該ビーム整形部11Bは、該He−Neレ
ーザビームのy”方向における径をd0に維持したま
ま、そのx”方向における径d0を所望の倍率で縮小さ
せ、FLC−SLM13に記録されている回折像Pの幅
Dとほぼ等しい径d1にする。すなわち、図8Cに示す
ように、該ビーム整形部11Bから出射するビームは、
y”方向における径がd0で、x”方向における径が、
図7に示した回折像Pの幅D(DaやDb)とほぼ等しい
値d1であるような略楕円形状となるのである。
【0027】ビーム整形部11Bは、図8Aに示すよう
に、第一の回転ステージ114上に設けられた第一のプ
リズム110と、第一の並進ステージ116上に設けら
れた第二の回転ステージ115と、該回転ステージ11
5上に設けられた第二のプリズム111と、第二の並進
ステージ117と、該第二の並進ステージ117上に設
けられたミラー112と、固定ミラー113とからな
る。該第一及び第二のプリズム110、111は、互い
に同一の直角三角柱形状のプリズムである。入射光軸1
1R0に沿って進んできたレーザビームは、該第一のプ
リズム110の第一の側面110S1の中心軸110I
上の一点に入射して、その第二の側面110S2から出
射する。該第一のプリズム110から出射したレーザビ
ームは、第二のプリズム111の第一の側面111S1
の中心軸111I上の一点に入射して、第二の側面11
1S2から出射する。該第二のプリズム111から出射
したレーザビームは、ミラー112及び113で反射さ
れて、該出射軸11R1に沿ってミラー11Cに向かう
ことになる。ここで、第一の回転ステージ114は、入
射光軸11R0に対する第一のプリズムの角度位置(す
なわち、入射光軸11R0と第一の側面110S1とのな
す角度)を所望の値に調整すべく、該プリズム110を
該中心軸110Iのまわりに回転させる。第一のプリズ
ム110は、入射したレーザビームのx”方向の径d0
を、その角度位置に応じた倍率で縮小する。該第二の回
転ステージ115は、第一のプリズムから出射したレー
ザビームの光軸に対する第二のプリズムの角度位置(す
なわち、第一のプリズムからの出射光軸と第一の側面1
11S1とのなす角度)を調整すべく、プリズム111
を該中心軸111Iのまわりに回転して、該第二のプリ
ズムから出射するレーザビームの光軸11R2が、該入
射光軸11R0と平行になるようにする。該第二のプリ
ズム111は、レーザビームを、該入射光軸11R0
対して平行な光軸11R2に沿って出射させる。該第二
のプリズムはまた、第一のプリズム110から出射した
レーザビームのx”方向の径を、その角度位置に応じた
倍率で更に縮小することにより、回折像Pの幅Dとほぼ
等しい値d1にする。該第一の並進ステージ116は、
第二のプリズム111を、第一のプリズム110の角度
位置に応じた位置に並進移動させる。すなわち、該第一
の並進ステージ116は、第一のプリズム110から出
射したレーザビームを、第一のプリズムの角度位置によ
らず、常に、第一の側面111S1上の該中心軸111
I上に入射させるためのものである。第二の並進ステー
ジ117は、第一及び第二のプリズムの角度位置に応じ
てミラー112を並進移動させることにより、第二のプ
リズムからの出射光軸11R2が、常に、該ミラー11
2に達するようにする。なお、ミラー112及び113
は、共に、レーザビームが45度の入射角度で入射する
ような角度位置に配置されており、ビーム径d1を何等
変化させることはない。
【0028】以下、第一及び第二のプリズム110、1
11、及び、ミラー112の位置関係について、図9を
参照して、更に詳しく説明する。
【0029】まず、入射光軸11R0に対して垂直に延
びる平面p1を考える。また、第一のプリズム110の
角度位置として、該平面p1に対する第一の側面110
1の角度θ1を考える。なお、該角度θ1は、時計回り
の方向を正とする。いま、第一のプリズム110の基準
状態位置として、図9に実線で示すように、θ1=θ1 0
=0を考える。すなわち、レーザビームが側面110S
1に垂直に入射するような場合を、基準状態位置とす
る。かかる基準状態位置においては、第一のプリズム1
10は、入射したビームのx”方向における径d0を、
所定の倍率M0で変化させる。ここで、該倍率M0の値
は、スネルの法則に基づき、一義的に定まる。なお、レ
ーザビームは、該側面110S1上の中心軸110I上
に入射しているとする。
【0030】第二のプリズム111が、かかる基準状態
位置にある該第一のプリズム110から出射したレーザ
ビームを、入射光軸11R0と平行な光軸11R2に沿っ
て出射させるためには、第二のプリズム111は、図9
のやはり実線で示すような角度位置になければならな
い。換言すれば、第一のプリズムから出射したレーザビ
ームが、第二のプリズム111の第一の側面111S1
に対し、やはり垂直に入射するようにしなければならな
い。したがって、図に示すように、入射光軸11R0
延長線に対し垂直に延びる平面p2を考えた場合、側面
111S1は、該平面p2から特定の角度θ2 0だけ時計回
りの方向に傾いた位置にある必要がある。ここで、該角
度θ2 0の値も、スネルの法則に基づき、一義的に定ま
る。そこで、側面111S1が、平面p2から該特定の角
度θ2 0だけ時計回りの方向に傾いた位置にあるような状
態を、第二のプリズムの基準状態位置とする。この場
合、第二のプリズムには、レーザビームが、第一のプリ
ズムに対するのと同一の入射角度で入射することになる
ため、該第二のプリズムは、レーザビームのx”方向に
おける径を、第一のプリズムと同一の倍率M0で変化さ
せることになる。したがって、第二のプリズムから出射
したレーザビームのx”方向における径d1(この場
合、d1 0)は、数式d1 0=(M02・d0で与えられる
ことになる。なお、ここで、レーザビームは、側面11
1S1の中心軸上111Iに入射している。また、第二
のプリズム111からの出射光軸11R2(この場合、
11R2 0)は、図9の実線で示される位置になるため、
ミラー112は、図に実線で示す位置にある必要があ
る。そこで、かかる位置を、ミラー112の基準状態位
置とする。
【0031】次に、第一のプリズム110を、該基準状
態位置から、図中一点鎖線で示すように、該中心軸11
0Iを中心として、時計回り方向にθ1だけ回転させた
場合を考える。この場合、第一のプリズム110は、ビ
ーム径d0を、該角度θ1に対応した倍率Mだけ変化させ
る。該倍率Mは、該角度値θ1から、スネルの法則に基
づき、一義的に定まる。この場合、第一のプリズム11
0から出射した光軸は、図中一点鎖線で示すように、第
二のプリズム111の側面111S1上の、該中心軸1
11Iとは異なる軸111I’上に入射してしまう。し
たがって、該光軸を前記中心軸111I上に入射させる
ためには、第二のプリズム111を、図9の矢印Eの方
向に、△eだけ移動させなければならない。なお、値△
eも、角度値θ1から、スネルの法則に基づき、一義的
に定まる。また、この場合、第二のプリズムからの出射
光軸11R2を入射光軸11R0に平行にさせるために
は、第二のプリズム111を、その基準状態位置から、
図中一点鎖線で示すように、該角度θ1と等しい角度で
ある△rだけ反時計回りの方向に回転させる必要があ
る。この場合、第二のプリズムには、レーザビームが、
第一のプリズムに対するのと同一の入射角度で入射する
ことになる。したがって、該第二のプリズムは、レーザ
ビームのx”方向における径を、第一のプリズムと同一
の倍率Mだけ変化させることになる。したがって、第二
のプリズムからの出射ビームのx”方向における径d1
は、d1=(M)2・d0で与えられることになる。ま
た、図中一点鎖線で示すように、第二のプリズム111
からの出射光軸11R2は、前記基準状態位置における
出射光軸11R2 0から△hだけずれている。したがっ
て、ミラー112も、図9中一点鎖線で示すように、矢
印Hの方向に△hだけ移動させなければならない。な
お、値△hも、前記角度値θ1から、スネルの法則に基
づき、一義的に定まる。
【0032】以上より明かなように、第一のプリズムの
角度θ1に基づき、第二のプリズムを並進移動させなけ
らばならない量△e、第二のプリズムを回転させなけれ
ばならない角度量△r(=θ1)、ミラー112を並進
移動させなけらばならない量△h、及び、ビームの変形
倍率(d1/d0)が一義的に定まるのである。したがっ
て、所望のビーム変形倍率(d1/d0)を得たい場合に
は、第一のプリズムを、対応する角度位置θ1に設定し
た後、第二のプリズムを、その基準状態位置から対応す
る△eだけ並進移動し、かつ、対応する回転角度量△r
(=θ1)で回転し、さらに、ミラー112をその基準
状態位置から△hだけ並進移動させれば、該所望のビー
ム変形倍率を得ることができる。
【0033】ここで、第一及び第二のプリズム110、
111の具体例として、図10Aのような形状と配置の
ものを考える。すなわち、プリズム材質をSiO2(屈
折率n=1.547)とし、プリズム底面の直角三角形
の一の頂角をθt=34.463度、斜辺の長さを40
[mm]とする。第一及び第二のプリズムの、入射光軸
11R0に平行な方向における距離を30[mm]とす
る。この場合には、基準状態位置における第二のプリズ
ムの角度位置は、θ2 0=21.073度となる。また、
この場合のビーム径変換倍率は、(d1/d0)=0.4
7である。かかる場合において、該第一のプリズムの回
転角度量θ1と、第二のプリズムの必要な並進移動量△
eとの関係を示したものが、図10Cである。ここで、
θ1は、図9の時計回りの回転方向を正とした値であ
る。また、△eの値は図9の矢印Eの方向を負としてい
る。さらに、該第一のプリズムの角度値θ1と、第二の
プリズムの必要な回転角度量△r(=θ1)の関係を示
したものが、図10Dである。ここで、△rの値は、図
9の反時計回りの方向に正をとっている。また、該第一
のプリズムの角度値θ1と、ミラー112の必要な並進
移動量△hとの関係を示したものが、図10Eである。
ここで、△hの値は、図9の矢印Hの方向に負をとって
いる。そして、第一のプリズムの角度値θ1と、得られ
るビームの変形倍率(d1/d0)の関係を示したもの
が、図10Bである。
【0034】図1に示すように、ビーム整形部11B
は、演算・制御装置17に接続されている。該演算・制
御装置17は、該第一及び第二の回転ステージ114、
115と、該第一及び第二の並進ステージ116、11
7とを制御して、該角度θ1、該移動量△e、該角度△
r、及び、該移動量△hを調整する。演算・制御装置1
7はまた、その格納領域に、第一のプリズムの角度位置
θ1と、ビームの変形倍率(d1/d0)、第二のプリズ
ムの並進移動量△eと回転角度量△r(=θ1)、及
び、ミラー112の並進移動量△hの関係を、図10B
乃至Eのようなグラフか、または、計算式として、格納
している。演算・制御装置17はまた、その格納領域
に、被測定物体30の速度vと、ビーム整形部11Bで
実行すべきビーム径変換倍率(d1/d0)の値との関係
を格納している。より詳しくは、FLC−SLMに記録
される回折像Pのx”方向における幅Dは、図7を参照
して説明したように、被測定物体30の速度vと一定の
関係がある。したがって、ビーム径d1をほぼ回折像幅
Dと等しくするのに適した変形倍率(d1/d0)も、被
測定物体の速度vと、一定の関係がある。そこで、該演
算・制御装置17は、かかる速度vと変換倍率(d1
0)との関係を、グラフまたは計算式として、格納し
ておく。
【0035】以上説明したビーム整形部11Bによれ
ば、被測定物体30の速度vの値がどのように変化して
も、回折像Pの形状にあうように、He−Neレーザビ
ームを整形することができる。したがって、He−Ne
レーザビームのうちヤングの干渉縞による変調を受けな
い部分(光量)を最小限にでき、0次回折光の強度を最
小限に抑えることができる。また、回折像Pの形状にあ
うように該レーザビームを集光することができるため、
レーザビームの光量を最大限ヤングの干渉縞で変調で
き、+1次回折光の光強度を最大限にできる。このた
め、被測定物体の速度によらず、PSD16のS/N比
すなわち検出精度を、常に、高い状態に維持することが
できる。したがって、本発明の測定装置1によれば、高
精度で測定を行うことができる。また、このように広い
範囲の移動速度vに対して高精度の測定が可能となるた
め、測定装置1のダイナミックレンジを大きくすること
ができる。
【0036】上記構成の測定装置1の測定動作につい
て、図11のフローチャートを参照して、以下、説明す
る。まず、ステップS1において、演算・制御装置17
は、ビーム整形部11Bを制御し、第一及び第二のプリ
ズム110、111、及び、ミラー112を、図9中実
線で示した基準位置状態に設定する。すなわち、入射光
軸11R0が、プリズム110に垂直に入射するように
する。演算・制御装置17は、この状態で、測定装置1
全体を制御して、前記回折光光点形成動作F(図5Aま
たは5B)を一回実行する(ステップS2)。この回折
光光点形成動作Fにより、被測定物体vの値がおおまか
に測定される。演算・制御装置17は、次に、この回折
光光点形成動作Fで求められた被測定物体30の速度値
vから、ビーム整形部11Bで実行すべきビーム径変換
倍率(d1/d0)を求める(ステップS3)。演算・制
御装置17は、さらに、求められたビーム径変換倍率
(d1/d0)に対応する第一のプリズムの角度θ1の値
を求める。演算・制御装置はさらに、ビーム整形部11
Bの第一の回転ステージ114を駆動して、第一のプリ
ズムを該角度位置θ1に設定する(ステップS4)。演
算・制御装置は、ステップS5において、該角度値θ1
に対応した第二のプリズムの並進移動量△eを求め、第
一の並進ステージ116を駆動して、第二のプリズム1
11を△eだけ移動させる。さらに、ステップS6で、
演算・制御装置は、該角度値θ1に対応した第二のプリ
ズムの回転角度量△r(=θ1)を求め、第二の回転ス
テージ115を駆動して、第二のプリズムを△rだけ回
転させる。ステップS7で、演算・制御装置は、該角度
値θ1に対応したミラー112の並進移動量△hを求
め、第二の並進ステージ117を駆動して、ミラー11
2を△hだけ移動させる。ビーム整形部11Bをこの状
態に設定したまま、演算・制御装置17は、再び、測定
装置1全体を制御して、回折光光点形成動作Fを一回行
う(ステップS8)。この場合には、PSD16は高精
度の検出を実行することができる。したがって、この回
の回折光光点形成動作Fにより、被測定物体の速度vを
高精度に測定することができる。
【0037】本発明は、上述した実施例の光学的移動速
度測定装置に限定されることなく、本発明の主旨から逸
脱することなく、種々の変更が可能となる。
【0038】ビーム整形部11Bは、上述のものには限
られない。たとえば、図12A及び12Bに示すような
可変アパーチャ装置200からなるものでも良い。該可
変アパーチャ200は、アパーチャ駆動部201と可変
アパーチャ部202とからなる。該可変アパーチャ部2
02は、左遮蔽板202Aと右遮蔽板202Bとからな
り、該左及び右遮蔽板202A、Bにより、アパーチャ
202Cが形成されている。一方、アパーチャ駆動部2
01は、該左及び右遮蔽板202A、Bのそれぞれに、
一端が回動可能に連結された一対のリンク201A、2
01Bと、該リンク201A、Bの他端が回動可能に連
結された移動部201Cと、該移動部201Cに螺合さ
れ、装置200に対し上下方向に固定された固定片20
1Dとからなる。なお、かかる可変アパーチャ装置20
0をビーム整形部11Bに設ける場合には、前記入射光
軸11R0及び出射光軸11R2が、同一直線状になるよ
うに、すなわち、これらが同一の光軸11Rになるよう
に、ミラー11A及び11Cの位置を選択する。また、
図12A及び12Bの紙面における上下方向は、図1の
紙面に垂直なy”方向と平行であり、その左右方向は、
図1の紙面に沿うx”方向に平行である。
【0039】該可変アパーチャ装置200では、アパー
チャ駆動部201の固定片201Dを回転させると、そ
の回転に伴い、移動部201Cが上下方向に移動して、
該リンク201A、Bを介して、該右及び左遮蔽板20
2A、Bを左右方向に移動させる。この結果、アパーチ
ャ202Cのx”方向における幅d’が変化する。かか
る幅d’は、該固定片201Dの回転量に対応して定ま
る。したがって、該可変アパーチャ装置200は、固定
片201Dの回転量を調整することにより、He−Ne
レーザビームのx”方向の幅d’を、FLC−SLM1
3に記録された回折像Pのx”方向の幅Dにほぼ等しく
なるように、調整することができる。この場合、可変ア
パーチャ装置200は、演算・制御装置17に接続され
ており、該演算・制御装置17が、該可変アパーチャ装
置200の固定片201Dの回転を制御する。該演算・
制御装置17はまた、その格納領域に、固定片201D
の回転量とアパーチャ202Cの幅d’との関係を示す
グラフまたは計算式を、格納している。演算・制御装置
17の格納領域はまた、被測定物体の移動速度vと回折
像Pのx”方向の幅Dとの関係を示す計算式またはグラ
フも格納している。かかる可変アパーチャ装置200を
採用した測定装置1で測定を行う際には、図13に示す
ように、まず、固定片201Dを、図12Aに示す位置
(すなわち、d’が最大になる位置)に設定して(ステ
ップS11)、回折光光点形成動作Fを実行する(ステ
ップS12)。演算・制御装置17は、該回折光光点形
成動作Fで求められた被測定物体の移動速度vを基に、
回折像Pの幅Dを求める(ステップS13)。演算・制
御装置17は、アパーチャ202Cの幅d’を回折像P
の幅Dとほぼ等しくするのに必要な固定片201Dの回
転量を求め、該回転量だけ該固定片201Dを回転させ
る(ステップS14)。この状態で、再び、回折光光点
形成動作Fを実行して、被測定物体の速度vを高精度に
測定する。
【0040】かかる可変アパーチャ装置200によれ
ば、回折像Pの形状に応じて、He−Neレーザビーム
の形状を整形することができる。したがって、被測定物
体の速度vが大きくなっても、He−Neレーザビーム
のうちヤングの干渉縞で回折されない部分が増大するの
を防止することができる。したがって、0次回折光の強
度が増大するのを防止でき、PSD16のS/N比の減
少を防止することができる。ただし、該可変アパーチャ
装置200は、He−Neレーザビームの一部を遮蔽す
ることによって、これを所望の形状に整形するものであ
る。つまり、既述の実施例のビーム整形部11Bと異な
り、He−Neレーザビーム光を所望の形状に集光する
ものではない。このため、該可変アパーチャ装置200
によれば、アパーチャ202Cの幅d’を小さくした場
合には、回折像Pに照射される光量も減少し、+1次回
折光の光強度は低下してしまう。しかしながら、上述の
ように、0次回折光の光強度が増大するのを防止するこ
とができるため、PSD16に高精度の検出を行わせる
ことができる。
【0041】本発明によれば、ビーム整形部11Bとし
て、上述の例の他、ズームレンズやズーミング管、ビー
ムエキスパンダ等の種々のビーム整形装置を採用するこ
とができる。
【0042】上述の実施例では、演算・制御装置17に
よる演算結果速度vの値に基づき、ビーム径の変換倍率
を求めた。しかしながら、FLC−SLM13に記録さ
れたヤングの干渉縞を含む回折像Pを直接観測し、その
観測結果に基づいて、ビーム径の変換倍率を求め、ビー
ム整形を行ってもよい。
【0043】上述の実施例では、PSD16により+1
次回折光光点の重心位置を検出し、その結果に基づい
て、被測定物体の速度を演算した。しかし、回折光光点
の位置を検出する手段としては、PSDのような半導体
位置検出素子に限らず、種々の光重心位置検出手段を利
用できる。さらに、光重心位置検出手段以外の光検出手
段により、+1次回折光光点の状態を検出し、その検出
結果に基づいて、被測定物体の速度を演算するようにし
ても良い。例えば、+1次回折光光点の状態(例えば、
光強度)は、FLC−SLM13に記録されているヤン
グの干渉縞の縞間隔(ひいては、被測定物体の移動距
離)と一定の関係がある。したがって、レンズ15の像
側焦点面15F上に、光電子増倍管等の0次元の光(強
度)検出手段を設け、その検出結果に基づいて、被測定
物体の速度を演算しても良い。かかる0次元の光検出手
段によれば、+1次回折光光点の状態(強度)を高速に
検出できるため、FLC−SLMの高速動作に追随した
動作を行うことができ、測定装置1の実時間測定性を優
れたものにすることができる。
【0044】上述の実施例は、光学的移動速度測定装置
に関するものであったが、本発明はこれに限られない。
被測定物体の歪み状態を測定し応力分布を調べるような
ものでも良い。物体の移動量や歪み量等、物体の変位状
態を測定できれば良い。さらに、移動方向等の変位方向
を求めるようにすることもできる。すなわち、被測定物
体30の移動方向Vと該回折光光点の並ぶ方向とは一定
の関係にあるので、該PSD16として2次元の半導体
位置検出素子を採用することで、該被測定物体の移動方
向をも求めることができる。
【0045】上述の実施例では、レーザ光を被測定物体
に照射し、反射光にスペックルパターンを形成して、該
被測定物体の変位量を測定している。しかし、被測定物
体の種類等によっては、その透過光にスペックルパター
ンを形成し、測定を行ってもよい。
【0046】上述の実施例では、測定装置は固定されて
おり、被測定物体が移動していたが、この逆に、測定装
置が移動しており、被測定物体が固定されていてもよ
い。この場合には、固定されている被測定物体の、測定
装置に対する相対的な移動量及び速度を測定することに
よって、速度測定装置の、絶対的移動量及び速度が求め
られる。たとえば、測定装置を自動車等移動する物体に
載置することにより、この移動物体の移動量及び速度を
求めることができる。
【0047】さらに、被測定物体には、レーザ光のよう
なコヒーレント光でなく、インコヒーレント光を照射し
ても良い。この場合には、スペックルパターンでなく、
被測定物体の像を第一のFLC−SLMに記録する。第
一及び第二の照射時刻における被測定物体の像を第一の
FLC−SLMに二重記録し、該二重記録像を読み出し
フーリエ変換すれば、ヤングの干渉縞を含む回折像が得
られる。これを第二のFLC−SLMに記録し、さら
に、該記録されたヤングの干渉縞を読みだしフーリエ変
換すれば、該回折光光点が得られるからである。
【0048】スペックルパターンを二重記録する手段と
しては、強誘電性液晶空間光変調素子に限られず、第一
の測定時刻における被測定物体の受光パターンを、少な
くとも第二の測定時刻まで蓄積でき、被測定物体の像を
二重記録することが可能な空間光変調素子であればよ
い。また、被測定物体からの透過光または反射光に形成
されたパターンの光強度が小さい場合には、結像レンズ
5と第一のFLC−SLM7との間に、公知のイメージ
インテンシファイアを設け、パターンの光強度を高めた
後、第一のFLC−SLM7の書き込み入射面7Sw
入射させるようにしてもよい。
【0049】
【発明の効果】以上詳述したことから明らかなように、
本発明の光学的変位測定装置によれば、第一の記録手段
が、光学的変位量測定装置に対して相対的に変位する被
測定対象の像を適当な時間間隔をおいて入力し、各時刻
における該像を二重記録する。第一のコヒーレント光投
光手段が、該第一の記録手段にコヒーレント光を照射し
て、該第一の記録手段に記録された該二重記録像を読み
出す。該読みだした二重記録像を、第一のフーリエ変換
手段がフーリエ変換し、第一のフーリエ変換像を形成す
る。第二の記録手段が、該第一のフーリエ変換像を記録
する。第二のコヒーレント光投光手段は、コヒーレント
光変形手段がコヒーレント光の形状を変化させた後、こ
のコヒーレント光を該第二の記録手段に照射して、該第
二の記録手段に記録された該第一のフーリエ変換像を読
み出す。該読みだした第一のフーリエ変換像を、第二の
フーリエ変換手段がフーリエ変換し、第二のフーリエ変
換像を形成する。光検出手段が、該第二のフーリエ変換
像の状態を検出する。ここで、該光検出手段が光重心位
置検出手段である場合には、該光重心位置検出手段は、
該第二のフーリエ変換像の重心位置を検出する。このよ
うに本発明の光学的変位量測定装置は、該第二のフーリ
エ変換像の状態(重心位置)を検出するのに走査や複雑
な相関演算が不要であり、測定を短時間で行うことがで
きる。このため、実時間測定性に優れている。また、該
第二のコヒーレント投光手段は、該コヒーレント光変形
手段がコヒーレント光の形状を変化させた後、これを該
第二の記録手段へ照射する。したがって、被測定物体の
相対的変位量がいかなる値であっても、これを常に高精
度で測定することができる。したがって、本発明の光学
的変位量測定装置は、高精度でダイナミックレンジが広
いという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例にかかる光学的移動速度測定装
置を示す光学系統平面図である。
【図2A】FLC−SLM7に二重記録されるスペック
ルパターンの状態を示す模式説明図である。
【図2B】FLC−SLM13に記録される回折像Pの
状態を示す模式説明図である。
【図2C】レンズ15の像側焦点面15F上に結像され
る回折光光点の状態を示す模式説明図である。
【図3A】図1のPSD16をレンズ15の側から見た
場合の配置状態を説明する正面説明図である。
【図3B】図1のPSD16とレンズ15の位置関係を
説明する平面説明図である。
【図4】図1の強誘電性液晶空間光変調素子を拡大して
示す断面図である。
【図5A】図1の光学的移動速度測定装置が実行する回
折光光点形成動作の動作タイミングチャートである。
【図5B】図1の光学的移動速度測定装置が実行する他
の回折光光点形成動作の動作タイミングチャートであ
る。
【図6】FLC−SLM7に二重記録されるスペックル
パターンの実際の状態を示す模式説明図である。
【図7】スペックルパターンの形状と回折像Pとの関係
を示す模式説明図である。
【図8A】ビーム整形部11Bを示す光学系統平面図で
ある。
【図8B】図8AのVIIIB−VIIIB断面上におけるHe−
Neレーザビームのビーム形状を示す説明図である。
【図8C】図8AのVIIIC−VIIIC断面上におけるHe−
Neレーザビームのビーム形状を示す説明図である。
【図9】ビーム整形部11B中の光学系を説明する平面
説明図である。
【図10A】ビーム整形部11B中のプリズムの配置状
態を説明する平面説明図である。
【図10B】ビーム整形部11Bにおける第一のプリズ
ム110の角度位置θ1とビーム変形倍率(d1/d0
との関係を示すグラフである。
【図10C】ビーム整形部11Bにおける第一のプリズ
ム110の角度位置θ1と第二のプリズム111の並進
移動量△eとの関係を示すグラフである。
【図10D】ビーム整形部11Bにおける第一のプリズ
ム110の角度位置θ1と第二のプリズム111の回転
角度量△rとの関係を示すグラフである。
【図10E】ビーム整形部11Bにおける第一のプリズ
ム110の角度位置θ1とミラー112の並進移動量△
hとの関係を示すグラフである。
【図11】測定装置1の実行する被測定物体の速度の測
定動作を説明するフローチャートである。
【図12A】ビーム整形部11Bの他の例である可変ア
パーチャ装置200のアパーチャ部の幅d’が最大であ
る状態を示す正面説明図である。
【図12A】ビーム整形部11Bの他の例である可変ア
パーチャ装置200のアパーチャ部の幅d’が最小であ
る状態を示す正面説明図である。
【図13】ビーム整形部11Bに可変アパーチャ装置2
00を採用した場合の、測定装置1の実行する被測定物
体の速度の測定動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 光学的移動速度測定装置 2 He−Neレーザ装置 7 強誘電性液晶空間光変調素子 11B ビーム整形部 12 フーリエ変換レンズ 13 強誘電性液晶空間光変調素子 15 フーリエ変換レンズ 16 PSD
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−332722(JP,A) 特開 平5−296720(JP,A) 特開 平5−256861(JP,A) 特開 平5−118816(JP,A) 特開 平4−204312(JP,A) 特開 平3−175303(JP,A) 特開 昭57−187605(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被測定対象の像を適当な時間間隔をおい
    た二の測定時刻に入力し、各測定時刻における該像を二
    重記録するための第一の記録手段と、該第一の記録手段
    にコヒーレント光を照射して該二重記録像を読みだすた
    めの第一のコヒーレント光投光手段と、該読み出した二
    重記録像をフーリエ変換して第一のフーリエ変換像を形
    成するための第一のフーリエ変換手段と、該第一のフー
    リエ変換像を記録するための第二の記録手段と、該第二
    の記録手段にコヒーレント光を照射して該第一のフーリ
    エ変換像を読みだすための第二のコヒーレント光投光手
    段であって、該コヒーレント光の形状を変化させるため
    のコヒーレント光変形手段を具備したものと、該読み出
    した第一のフーリエ変換像をフーリエ変換して第二のフ
    ーリエ変換像を形成するための第二のフーリエ変換手段
    と、該第二のフーリエ変換像の状態を検出するための光
    検出手段とを備えたことを特徴とする光学的変位量測定
    装置。
  2. 【請求項2】 前記光検出手段が、前記第二のフーリエ
    変換像の位置を検出するための光重心位置検出手段であ
    ることを特徴とする請求項1記載の光学的変位量測定装
    置。
  3. 【請求項3】 前記コヒーレント光変形手段が、前記光
    重心位置検出手段の検出結果に基づいて、前記コヒーレ
    ント光の形状を変化させることを特徴とする請求項2記
    載の光学的変位量測定装置。
  4. 【請求項4】 前記第一の記録手段は、コヒーレント光
    を前記被測定対象へ照射するための光照射手段を備え、
    この照射コヒーレント光により前記二の測定時刻におい
    て形成されるスペックルパターンを二重記録することを
    特徴とする請求項1記載の光学的変位量測定装置。
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JP4616692B2 (ja) * 2005-04-21 2011-01-19 株式会社ミツトヨ 変位検出装置
JP2017211315A (ja) * 2016-05-26 2017-11-30 株式会社リコー 被搬送物検出装置、液体を吐出する装置、被搬送物検出方法及びプログラム

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