JPH0641971A - 緑化用植生基体 - Google Patents

緑化用植生基体

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JPH0641971A
JPH0641971A JP17165192A JP17165192A JPH0641971A JP H0641971 A JPH0641971 A JP H0641971A JP 17165192 A JP17165192 A JP 17165192A JP 17165192 A JP17165192 A JP 17165192A JP H0641971 A JPH0641971 A JP H0641971A
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greening
bag
fiber
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Hiroyuki Kanbe
廣之 神部
Kiwamu Iizuka
究 飯塚
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Nisshoku Corp
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Nisshoku Corp
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  • Pretreatment Of Seeds And Plants (AREA)
  • Pit Excavations, Shoring, Fill Or Stabilisation Of Slopes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 例えば敷設後半年〜1年程度の期間は、網状
体として充分な引張強度を保持し、前記期間の後は、構
成素材の大部分が分解腐食して土壌と同質化し、公害問
題を招いたりすることなく、環境緑化に寄与することが
できる緑化用植生基体を提供すること。 【構成】 袋7内に植生材料8を収容した植生袋体6を
網状体1に装着すると共に、この網状体1に、植物種子
5を直接付着保持させたり、植物種子5を保持させた張
芝体10を係着したり、網状体1に植物種子5の発芽成育
可能なマット15を係着し、このマット15上に植物種子5
を付着保持させた緑化用植生基体Nにおいて、前記網状
体1を腐食性繊維と合成繊維とからなる混紡繊維、ある
いは、高分子エマルジョンまたは水溶性ポリマーの少な
くとも一方をビスコース溶液に内添してなる混繊レーヨ
ンを用いて形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、例えば緑化工事に用いられる緑
化用植生基体に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、道路建設や土地造成などに伴っ
て形成される山腹の法面などには、その保護と景観を保
持するために植物を植生して緑化することが行われてい
る。ところで、本願出願人は、実公昭57− 52204号公
報、実公昭58−5709号公報および特開昭61−179923号公
報などにおいて、大型設備を必要としたり複雑な施工な
どを行うことなく、簡単な施工手段で、かつ、経済的に
前記法面などの緑化を行うことができる緑化用植生基体
を出願している。
【0003】前記緑化用植生基体は、網状体に収容部を
形成し、この収容部内に、有機質材料や保水材および肥
料などの植生材料を袋内に収容した植生袋体を収容する
一方、網状体に植物種子や肥料などを直接付着保持させ
たり、あるいは、これら植物種子や肥料などを保有する
張芝帯を係着し、または、網状体に植物種子の発芽成育
可能なマットを係着し、このマット上に植物種子を付着
保持させたものである。そして、このような緑化用植生
基体を法面などの施工対象面に敷設することにより、植
物種子を発芽させて法面などを緑化させるようにしたも
のである。
【0004】ところで、前記緑化用植生基体に使用され
る網状体は、その何れもがナイロン、ポリエチレン、ポ
リプロピレンなどのプラスチック繊維で形成されてい
た。これは、これらのプラスチック繊維が丈夫で安価な
こと、法面などの緑化を行うためには、この法面に植物
が根付き、この植物がある程度成長するまでは網状体の
強度を保持して、網状体で法面を保護し、網状体が植物
の植生基盤となる必要があるためである。
【0005】しかしながら、前記のプラスチック繊維
は、通常の条件下では半永久的に変質しない特性があ
り、このため他の動植物性繊維と異なり、長年のうちに
風雨に曝されて風化または腐食して土壌に同質化される
ことがなく、網状体が半永久的に残ることになる。従っ
て、最近では、以上のような特性がむしろ災いとなり、
プラスチック公害として地球環境的な問題となってきて
いる。すなわち、以上のような状況下において、法面な
どの緑化を行うために、プラスチック繊維からなる網状
体を使用することは、一方では環境緑化に寄与するもの
の、他方では公害問題を招くといった相矛盾することに
なるのである。
【0006】そこで、このような問題を解決するため
に、例えばジュートなどの植物繊維からなる網状体を使
用することが試みられたり、また、ビスコースレーヨン
は、再生セルロースからなり、長時間を経過しなくても
完全に腐食するいわゆる腐食性繊維であり、しかも、織
機に比較的容易にかけることができることから、このビ
スコースレーヨンを、例えば実公昭63− 828号公報に開
示されるように、網状体を部分的に腐食させるような場
合に用いることが試みられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前述のよう
に、網状体の構成素材として、ジュートなどの植物繊維
やビスコースレーヨンを使用する場合には、次のような
問題が発生した。すなわち、法面などの緑化を行うため
に使用される理想的な網状体は、その敷設後約半年〜1
年程度は充分な引張強度を保持し、植物がある程度まで
成長した後に腐食して土壌と同質化することが望ましい
が、前記植物繊維やビスコースレーヨンなどからなる網
状体は、その何れもが法面などに敷設後約2ケ月を経過
するとほとんどが腐食してしまって、植物を植生するた
めに必要な植生基盤強度が得られなくなり、換言する
と、植物が発芽して充分に成長するまでには、2ケ月と
いう期間は余りにも短か過ぎ、網状体で法面などを保護
して、植物の植生基盤を確保するといった本来の目的を
達成することができなかったのである。
【0008】本発明は、上述の事柄に留意してなされた
もので、その目的とするところは、例えば敷設後半年〜
1年程度の期間は、網状体として充分な引張強度を保持
し、前記期間の後は、構成素材の大部分が分解腐食して
土壌と同質化し、公害問題を招いたりすることなく、環
境緑化に寄与することができる緑化用植生基体を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本願においては、次のような構成を採用している。
第1発明においては、袋内に植生材料を収容した植生袋
体を網状体に装着すると共に、この網状体に植物種子を
付着保持させてなる緑化用植生基体において、前記網状
体を腐食性繊維と合成繊維とからなる混紡繊維を用いて
形成している。
【0010】第2発明においては、袋内に植生材料を収
容した植生袋体を網状体に装着すると共に、この網状体
に、植物種子を保持させた張芝体を係着してなる緑化用
植生基体において、前記網状体を腐食性繊維と合成繊維
とからなる混紡繊維を用いて形成している。
【0011】第3発明においては、袋内に植生材料を収
容した植生袋体を網状体に装着すると共に、この網状体
に植物種子の発芽成育可能なマットを係着し、このマッ
ト上に植物種子を付着保持させてなる緑化用植生基体に
おいて、前記網状体を腐食性繊維と合成繊維とからなる
混紡繊維を用いて形成している。
【0012】第4発明においては、袋内に植生材料を収
容した植生袋体を網状体に装着すると共に、この網状体
に植物種子を付着保持させてなる緑化用植生基体におい
て、前記網状体を、高分子エマルジョンまたは水溶性ポ
リマーの少なくとも一方をビスコース溶液に内添してな
る混繊レーヨンを用いて形成している。
【0013】第5発明においては、袋内に植生材料を収
容した植生袋体を網状体に装着すると共に、この網状体
に、植物種子を保持させた張芝体を係着してなる緑化用
植生基体において、前記網状体を、高分子エマルジョン
または水溶性ポリマーの少なくとも一方をビスコース溶
液に内添してなる混繊レーヨンを用いて形成している。
【0014】第6発明においては、袋内に植生材料を収
容した植生袋体を網状体に装着すると共に、この網状体
に植物種子の発芽成育可能なマットを係着し、このマッ
ト上に植物種子を付着保持させてなる緑化用植生基体に
おいて、前記網状体を、高分子エマルジョンまたは水溶
性ポリマーの少なくとも一方をビスコース溶液に内添し
てなる混繊レーヨンを用いて形成している。
【0015】
【作用】第1発明においては、緑化用植生基体の主素材
となる網状体が、動植物性の天然繊維または生分解性化
学繊維などの腐食性繊維と、ビニロンやポリエステル系
などの合成繊維とからなる混紡繊維を用いて形成され、
前記腐食性繊維は、微生物で分解腐食されて経時的に消
失するものの、前記合成繊維は、微生物で分解されるこ
となく半永久的に所定の引張強度を確保できることか
ら、以上の腐食性繊維と合成繊維とを所定の割合で、例
えば腐食性繊維60〜80%と合成繊維40〜20%の割合で混
合した混紡繊維を用いて前記網状体を編織することによ
り、山腹の法面などに植物が植生するまでの敷設後約半
年〜1年程度の期間は必要な強度を保持し、網状体で法
面などを保護して植物の植生基盤を確保でき、網状体に
付着保持された植物種子を良好に育成させることができ
る。
【0016】そして、網状体を編織する混紡繊維の構成
素材である腐食性繊維は、法面などに植生された植物種
子が発芽して成長する頃には、微生物で分解腐食されて
土壌と同質化し、つまり、前記混紡繊維を構成する合成
繊維は分解腐食されないものの、前記腐食性繊維が分解
腐食されてしまうことから、網状体の全体が法面などに
半永久的に残ったりして公害問題を招いたりすることな
く、環境緑化に寄与することができる。
【0017】第2発明においては、第1発明の場合と同
様に、緑化用植生基体の主素材となる網状体が、腐食性
繊維と合成繊維とからなる混紡繊維を用いて形成されて
いるため、一定期間は必要な強度を保持し、網状体で法
面などを保護して植物の植生基盤を確保でき、網状体に
係着された張芝体上の植物種子を良好に育成させること
ができる。また、張芝体上の植物種子が発芽して成長す
る頃には網状体の大部分が分解腐食されて土壌と同質化
するのであり、従って、公害問題を招いたりすることな
く、環境緑化に寄与することができる。
【0018】第3発明においては、第1発明の場合と同
様に、緑化用植生基体の主素材となる網状体が、腐食性
繊維と合成繊維とからなる混紡繊維を用いて形成されて
いるため、一定期間は必要な強度を保持し、網状体で法
面などを保護して植物の植生基盤を確保でき、網状体に
係着されたマット上の植物種子を良好に育成させること
ができる。また、マット上の植物種子が発芽して成長す
る頃には網状体の大部分が分解腐食されて土壌と同質化
するのであり、従って、公害問題を招いたりすることな
く、環境緑化に寄与することができる。
【0019】第4発明においては、網状体の素材とし
て、微生物で分解腐食される再生セルロースからなるビ
スコース溶液に、酢酸ビニル樹脂などの高分子エマルジ
ョンまたはポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマー
の少なくとも一方を内添してなる混繊レーヨンが用いら
れ、ビスコースレーヨン自体は微生物で分解腐食されて
経時的に強度低下を招くものの、ビスコース溶液の段階
で高分子エマルジョンや水溶性ポリマーの所定量(例え
ば2〜15%)を内添することにより、混繊レーヨンとし
ての引張強度が強化され、この混繊レーヨンを1000デニ
ール程度にする場合でも、網状体の確実かつ良好な編織
が可能となり、しかも、前記混繊レーヨンで編織される
網状体に必要な所定強度を確保することができる。
【0020】そして、ビスコース溶液には多量の水酸基
が含まれるものの、このビスコース溶液に前記エマルジ
ョンやポリマーを内添することにより、混繊レーヨン全
体としての水酸基量を少なくすることができ、この混繊
レーヨンで網状体を編織したときの水分吸収を少なくし
て、微生物による分解腐食を抑制できる。従って、以上
のような混繊レーヨンで網状体を編織することにより、
この網状体に法面などに植物の植生基盤を確保する上で
必要な一定期間にわたる引張強度を確保でき、網状体に
付着保持された植物種子や前記張芝体が保持する植物種
子を良好に育成させることができる。
【0021】また、構成素材として混繊レーヨンが用い
られ、この混繊レーヨンは微生物により経時的に分解腐
食されるため、前記混繊レーヨンで網状体を編織するこ
とにより、前記網状体や張芝体に保持された植物種子が
発芽して成長する頃には、微生物で分解腐食されて土壌
と同質化される。一方、前記ビスコース溶液に内添され
る微生物で腐食され難い前記ポリマーやエマルジョン
は、前記混繊レーヨンの腐食に伴い分解されてしまうこ
とから、前記網状体が法面などに半永久的に残ったりし
て公害問題を招いたりすることなく、環境緑化に寄与す
ることができる。
【0022】第5発明においては、第4発明の場合と同
様に、網状体の素材として、ビスコース溶液に高分子エ
マルジョンまたは水溶性ポリマーの少なくとも一方を内
添してなる混繊レーヨンが使用されているため、一定期
間は網状体で法面などを保護して植物の植生基盤を確保
でき、網状体に係着された張芝体上の植物種子を良好に
育成させることができる。また、張芝体上の植物種子が
発芽して成長する頃には網状体の大部分が分解腐食され
て土壌と同質化されるため、公害問題を招いたりするこ
となく、環境緑化に寄与することができる。
【0023】第6発明においては、第4発明の場合と同
様に、網状体の素材として、ビスコース溶液に高分子エ
マルジョンまたは水溶性ポリマーの少なくとも一方を内
添してなる混繊レーヨンが使用されているため、一定期
間は網状体で法面などを保護して植物の植生基盤を確保
でき、網状体に係着されたマット上の植物種子を良好に
育成させることができる。また、マット上の植物種子が
発芽して成長する頃には網状体の大部分が分解腐食され
て土壌と同質化されるため、公害問題を招いたりするこ
となく、環境緑化に寄与することができる。
【0024】そして、上記何れの発明においても、網状
体によって降雨、融雪、風食、凍上などによる法面など
のエロージョン(浸食)が防止されると共に、網状体や
張芝体やマットに固着した植物種子が発芽成育して数年
のうちに法面を緑化保護することができる。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例を、図面を参照しなが
ら説明する。図1および図2は、本発明の第1実施例を
示す。まず、図1において、Nは緑化用植生基体で、1
はその主素材である網状体である。この実施例における
網状体1の縦糸2および横糸3は、腐食性繊維と合成繊
維とからなる混紡繊維から構成されている。
【0026】前記腐食性繊維としては、微生物で分解腐
食されて経時的に消失する例えば綿、絹、麻などの天然
繊維およびビスコースレーヨンなどの生分解性化学繊維
などが使用される。また、前記合成繊維としては、微生
物では分解されることなく半永久的に所定の引張強度が
確保される例えばポリビニールアルコールなどのビニロ
ン系、ポリエステルなどのポリエステル系、ナイロンな
どのポリアミド系およびアクリルなどのポリアクリルニ
トリル系などが使用される。そして、このような腐食性
繊維60〜80%と合成繊維40〜20%の割合で混合して混紡
繊維としたものが好ましく、このような混紡繊維を縦糸
2および横糸3となるように編織して、例えば幅1m、
長さ5m,目合いが20×12mmの網状体1を形成するの
である。
【0027】そして、前記網状体1の一方の表面には、
同図において拡大して示すように、ポリビニルアルコー
ル(以下、PVAと云う)などの水溶性糊剤4を介して
植物種子5が肥料や土壌改良剤などと共に付着保持され
ている。また、網状体1の他方の表面には、適宜の間隔
(例えば50cm)をおいて植生袋体6が装着されてい
る。
【0028】前記植生袋体6は、例えばスフ、パルプ系
不織布、可溶性紙または生分解性プラスチックフィルム
などの腐食性素材からなる袋7内に、肥料、保水剤、土
壌改良剤など植物の成育に必要な植生材料8を収容した
もので、植生材料8の組成は任意である。そして、この
実施例においては、植生袋体6は網状体1の一部の縦糸
2を潜らせるようにして横糸3と平行になるように保持
されている。なお、前記植生袋体6には、袋7内に植物
種子をも混入してあってもよい。
【0029】上述のように構成された緑化用植生基体N
は、図2に示すように、山腹などの法面9に、植物種子
5が法面9に接すると共に、植生袋体6が等高線に平行
になるようにして敷設され、アンカーピンやアンカーボ
ルト(何れも図外)などで固定される。
【0030】このようにして法面9に敷設された緑化用
植生基体Nは、その網状体1が腐食性繊維と合成繊維と
からなる混紡繊維を編織してなるものであるから、この
網状体1は、法面9への敷設後半年〜1年程度の期間は
必要な強度を保持することとなる。従って、この網状体
1が法面9を保護して植物の植生基盤を確保し、網状体
1に付着保持された植物種子5を良好に育成させること
ができる。そして、腐食性繊維は、微生物で経時的に分
解腐食され、植物種子5が発芽して成長する頃には土壌
と同質化される。つまり、合成繊維は、分解腐食されな
いものの、腐食性繊維が分解腐食されてしまうと共に、
植生材料8を収容した袋7が腐蝕性素材からなるので、
緑化用植生基体Nの構成要素の大部分が土壌と同質化さ
れ、網状体1の全体が法面9に半永久的に残ったりして
公害問題を招いたりすることなく、環境緑化に寄与する
ことができる。
【0031】次に、以上のような腐食性繊維としてビス
コースレーヨンを、また、合成繊維としてポリエステル
を用い、これら両者を70:30の比率で配合したこの実施
例に係る混紡繊維と、その比較例としてビスコースレー
ヨンを単独使用した場合の引張強度について試験を行っ
たところ、次の表1に示す結果が得られた。なお、両者
の引張試験は、微生物の動きが活発で、この微生物の分
解腐食による強度低下が最も起こり易い7月に開始し
た。また、両者の引張試験は、それぞれ2000デニールの
ものを使用した。
【0032】
【表1】
【0033】上記表1から明らかなように、比較例とし
て用いたビスコースレーヨンは、約2か月経過すると引
張強度が0となったのに対し、本実施例に係る混紡繊維
は、敷設時から徐々に微生物による分解腐食で強度低下
が起こるものの、1年半経過時の引張強度が 1.2Kgも
あり、従って、前記混紡繊維で網状体1を編織すること
により、この網状体1が法面9を保護して植物の植生基
盤を確保し得ることが理解できる。なお、網状体1を構
成する素線1本当りの引張強度が 0.5Kg以上あれば、
法面9に敷設したとき、その凍上や崩壊を防止できるこ
とから、引張強度が 1.2Kgもある場合には、法面9の
充分な保護ができる。
【0034】図3および図4は、本発明の第2実施例を
示す。この実施例における緑化用植生基体Nは、植物種
子5を網状体1に直接付着保持させるのではなく、植物
種子5を保持させた張芝体10を、上述の腐食性繊維と合
成繊維とからなる混紡繊維を編織してなる網状体1の一
方の面に係着してなるものである。
【0035】すなわち、図3において拡大して示すよう
に、2枚の可溶性シート11, 12の間に、植物種子5を肥
料や土壌改良剤などと共にPVAなどの水溶性糊剤13を
用いて固着挟持して張芝体10を形成し、この張芝体10
を、その一方の可溶性シート11を網状体1の一方の面に
水溶性糊剤14を用いて係着したものである。可溶性シー
ト11, 12としては、植生の発芽・成育の妨げにならず、
しかも水分により溶解するクレープ紙、高分子系フィル
ムあるいは澱粉系フィルムまたは寒冷紗付き水溶性紙
〔例えば金星製紙株式会社製のポンリック(商品名)〕
などがある。なお、この実施例において、可溶性シート
12を省略してもよい。
【0036】図4は、上述のようにして構成された緑化
用植生基体Nを法面9に敷設した状態を示している。こ
の実施例においては、前記第1実施例と同様に、緑化用
植生基体Nの主素材となる網状体1が、腐食性繊維と合
成繊維とからなる混紡繊維を用いて形成されているた
め、一定期間は必要な強度を保持し、網状体1で法面9
などを保護して植物の植生基盤を確保でき、網状体1に
係着された張芝体10上の植物種子5を良好に育成させる
ことができる。また、張芝体10上の植物種子5が発芽し
て成長する頃には、網状体1の大部分、植生袋体6およ
び張芝体10が分解腐食されて土壌と同質化するのであ
り、従って、公害問題を招いたりすることなく、環境緑
化に寄与することができる。
【0037】図5および図6は、本発明の第3実施例を
示す。この実施例における緑化用植生基体Nは、上述の
腐食性繊維と合成繊維とからなる混紡繊維を編織してな
る網状体1の一方の面に、植物種子5の発芽成育可能な
マット15を係着し、このマット15上に植物種子5を付着
保持させてなるものである。
【0038】すなわち、図5において拡大して示すよう
に、網状体1の一方の面に、水溶性糊剤16を用いて可溶
性素材よりなるマット15を係着し、このマット15の網状
体1とは反対側の表面に、植物種子5を肥料や土壌改良
剤などと共にPVAなどの水溶性糊剤17を用いて付着保
持させてなるものである。マット15の素材としては、植
物種子5の発芽成育可能なスフ綿、スフ系不織布、パル
プ系不織布などがある。
【0039】図6は、上述のようにして構成された緑化
用植生基体Nを法面9に敷設した状態を示している。こ
の実施例においては、前記第1、第2実施例と同様に、
緑化用植生基体Nの主素材となる網状体1が、腐食性繊
維と合成繊維とからなる混紡繊維を用いて形成されてい
るため、一定期間は必要な強度を保持し、網状体1で法
面9などを保護して植物の植生基盤を確保でき、網状体
1に係着されたマット15上の植物種子5を良好に育成さ
せることができる。また、マット15上の植物種子5が発
芽して成長する頃には、網状体1の大部分、植生袋体6
およびマット15が分解腐食されて土壌と同質化するので
あり、従って、公害問題を招いたりすることなく、環境
緑化に寄与することができる。
【0040】上述の第1〜第3実施例においては、網状
体1を腐食性繊維と合成繊維とからなる混紡繊維を用い
て形成していたが、これに代えて、網状体1の縦糸2と
横糸3として、高分子エマルジョンまたは水溶性ポリマ
ーの少なくとも一方をビスコース溶液に内添した混繊レ
ーヨンを用い、この混繊レーヨンで網状体1を編織する
ようにしてもよい。以下、これについて、詳細に説明す
る。
【0041】前記混繊レーヨンとしては、微生物で分解
腐食される再生セルロースからなるビスコース溶液に、
微生物では分解腐食されることなく、このビスコースレ
ーヨンの分解腐食による強度低下を補うところの、例え
ば酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、エチレン酢酸ビニル
樹脂などの高分子エマルジョンと、ポリビニルアルコー
ル、ポリアクリルアマイドなどの水溶性ポリマーとの何
れか一方を内添するか、または、エマルジョンとポリマ
ーとの両者を内添したものが使用される。そして、混繊
レーヨンは、ビスコース溶液に対し高分子エマルジョン
や水溶性ポリマーを2〜15%の割合で内添したものが好
ましい。
【0042】混繊レーヨンは、ビスコースレーヨンの原
料であるビスコース溶液に、高分子エマルジョンや水溶
性ポリマーを添加して混合溶液を調製し、この混合溶液
を扁平な特殊口金から紡糸して、所謂リボンストローと
称されるテープ状に形成される。
【0043】そして、上述のように調製された混繊レー
ヨンは、微生物で分解腐食されて経時的に強度低下を招
くものの、この混繊レーヨンには高分子エマルジョンや
水溶性ポリマーが内添されていることから、混繊レーヨ
ンとしての引張強度が強化され、この混繊レーヨンを10
00デニール程度とする場合でも、網状体1の縦糸2と横
糸3としての充分な使用が可能となる。そこで、このよ
うな混繊レーヨンを用いて、前記図1〜図3に示される
形態の緑化用植生基体Nにおける網状体1を形成するこ
とにより、網状体1を確実かつ良好に編織することがで
き、しかも、混繊レーヨンで編織される網状体1に必要
な所定強度を確保することができる。
【0044】また、ビスコース溶液には、本来多量の水
酸基が含まれるものの、このビスコース溶液にエマルジ
ョンやポリマーを内添することにより、混繊レーヨン全
体としての水酸基量を少なくすることができ、この混繊
レーヨンで網状体1を編織したときの水分吸収を少なく
して、微生物による分解腐食を抑制できる。従って、上
述の混繊レーヨンで網状体1を編織することにより、こ
の網状体1には、これを法面9などに敷設したとき、植
物の植生基盤を確保する上で必要な一定期間にわたる引
張強度が確保され、網状体1に付着保持された植物種子
5(図1,2参照)や、張芝体10に保持された植物種子
5(図3,4参照)や、マット15に付着保持された植物
種子5(図5,6参照)を良好に育成させることができ
る。
【0045】さらに、混繊レーヨンの構成素材としてビ
スコース溶液が用いられ、このビスコース溶液は微生物
により経時的に分解腐食されるため、混繊レーヨンで網
状体1を編織することにより、前記植物種子5が発芽し
て成長する頃には、微生物で分解腐食されて土壌と同質
化される。一方、ビスコース溶液に内添される微生物で
腐食され難いポリマーやエマルジョンは、混繊レーヨン
の腐食に伴い分解されてしまうことから、網状体1が法
面9に半永久的に残ったりして公害問題を招いたりする
ことなく、環境緑化に寄与することができる。
【0046】次に、ビスコース溶液に高分子エマルジョ
ンとして酢酸ビニル樹脂エマルジョンの5%を内添した
本発明にかかる混繊レーヨンと、その比較例としてビス
コースレーヨンを単独使用した場合の引張強度について
試験を行ったところ、次の表2に示す結果が得られた。
なお、両者の引張試験は、前述した場合と同様に、微生
物の動きが活発で、この微生物の分解腐食による強度低
下が最も起こり易い7月に開始した。また、両者の引張
試験は、それぞれ1000デニールのものを使用した。
【0047】
【表2】
【0048】上記表2から明らかなように、比較例とし
て用いたビスコースレーヨンは、約2か月経過すると引
張強度が0となったのに対し、本発明にかかる混繊レー
ヨンは、敷設時から徐々に微生物による分解腐食で強度
低下が起こるものの、1年経過時の引張強度が 0.6Kg
もあり、従って、以上の混繊レーヨンで網状体1を編織
することにより、この網状体1が法面9を保護して植物
の植生基盤を確保し得ることが理解できる。
【0049】ところで、上述した実施例においては、植
生袋体6を網状体1の縦糸2を潜らせるようにして網状
体1に装着していたが、図7に示すようにしてもよい。
すなわち、網状体1の一方の面に植生袋体6を紐18によ
りくくりつけるなどして係着してもよい。なお、この実
施例では、網状体1に対して植生袋体6を係着した側に
張芝体10を係着しているが、植生袋体6を係着した側と
は反対の側に張芝体10を係着してもよい。また、植生袋
体6を紐18などによって網状体1に係着する手法は、図
1や図3に示した緑化用植生基体Nに適用してもよいこ
とは勿論である。
【0050】そして、植生袋体6の網状体への装着は、
図8に示すようにしてもよい。すなわち、この図に示す
網状体1は、上述の図1〜図7に示した実施例と異な
り、所謂ダブルネットに形成されており、フロントネッ
ト19とバックネット20とを重ね合わせて、補強を兼ねた
ロープ21によって、前記両ネット19, 20を互い結合し、
同図に拡大して示すように、ロープ21によって形成され
た収容部22に植生袋体6を挿入するのである。なお、23
は補強ロープである。
【0051】前記図7および図8に示した実施例からも
理解されるように、植生袋体6は網状体1に対して装着
されてあればよい。また、これらの実施例における網状
体1は、前記腐食性繊維と合成繊維とからなる混紡繊
維、あるいは、高分子エマルジョンまたは水溶性ポリマ
ーの少なくとも一方をビスコース溶液に内添してなる混
繊レーヨンを用いて形成されていることは云うまでもな
い。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1〜3に記
載された発明においては、緑化用植生基体の主素材であ
る網状体を、腐食性繊維と合成繊維とからなる混紡繊維
を用いて形成したから、山腹の法面などへの敷設後半年
〜1年程度の期間は必要な強度を保持し、網状体で法面
などを保護して植物の植生基盤を確保することができ、
法面などのエロージョンが防止される。従って、網状体
に付着保持された植物種子や、張芝体に保持された植物
種子や、マットに付着保持された植物種子を良好に育成
させることができる。そして、植物種子が発芽して成長
する頃には、網状体の大部分を分解腐食させて土壌に同
質化させることができ、このため、網状体の全体が法面
などに半永久的に残ったりして公害問題を招いたりする
ことなく、環境緑化に寄与することができる。
【0053】請求項4〜6においては、緑化用植生基体
の主素材である網状体を、ビスコース溶液に高分子エマ
ルジョンまたは水溶性ポリマーの少なくとも一方を内添
してなる混繊レーヨンを用いて形成したから、前記請求
項1〜3に記載された発明と同様に、植物種子が発芽し
て成長するまでの所定期間は網状体に必要強度を保持し
て、この網状体で植物の植生基盤を確保でき、法面など
のエロージョンが防止されると共に、この網状体に付着
保持された植物種子や張芝体が保有する植物種子を良好
に育成させることができる。その上、植物の成長後には
網状体の大部分を分解腐食させることができるのであ
り、従って、網状体の全体が法面などに半永久的に残っ
たりして公害問題を招いたりすることなく、環境緑化に
寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係る緑化用植生基体を示す斜視図
である。
【図2】前記緑化用植生基体を法面に敷設した状態を示
す断面図である。
【図3】第2実施例に係る緑化用植生基体を示す斜視図
である。
【図4】前記緑化用植生基体を法面に敷設した状態を示
す断面図である。
【図5】第3実施例に係る緑化用植生基体を示す斜視図
である。
【図6】前記緑化用植生基体を法面に敷設した状態を示
す断面図である。
【図7】植生袋体の網状体への装着の他の態様を示す斜
視図である。
【図8】植生袋体の網状体への装着のさらに他の態様を
示す斜視図である。
【符号の説明】
N…緑化用植生基体、1…網状体、5…植物種子、6…
植生袋体、7…袋、8…植生材料、10…張芝体、15…マ
ット。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 袋内に植生材料を収容した植生袋体を網
    状体に装着すると共に、この網状体に植物種子を付着保
    持させてなる緑化用植生基体において、前記網状体を腐
    食性繊維と合成繊維とからなる混紡繊維を用いて形成し
    たことを特徴とする緑化用植生基体。
  2. 【請求項2】 袋内に植生材料を収容した植生袋体を網
    状体に装着すると共に、この網状体に、植物種子を保持
    させた張芝体を係着してなる緑化用植生基体において、
    前記網状体を腐食性繊維と合成繊維とからなる混紡繊維
    を用いて形成したことを特徴とする緑化用植生基体。
  3. 【請求項3】 袋内に植生材料を収容した植生袋体を網
    状体に装着すると共に、この網状体に植物種子の発芽成
    育可能なマットを係着し、このマット上に植物種子を付
    着保持させてなる緑化用植生基体において、前記網状体
    を腐食性繊維と合成繊維とからなる混紡繊維を用いて形
    成したことを特徴とする緑化用植生基体。
  4. 【請求項4】 袋内に植生材料を収容した植生袋体を網
    状体に装着すると共に、この網状体に植物種子を付着保
    持させてなる緑化用植生基体において、前記網状体を、
    高分子エマルジョンまたは水溶性ポリマーの少なくとも
    一方をビスコース溶液に内添してなる混繊レーヨンを用
    いて形成したことを特徴とする緑化用植生基体。
  5. 【請求項5】 袋内に植生材料を収容した植生袋体を網
    状体に装着すると共に、この網状体に、植物種子を保持
    させた張芝体を係着してなる緑化用植生基体において、
    前記網状体を、高分子エマルジョンまたは水溶性ポリマ
    ーの少なくとも一方をビスコース溶液に内添してなる混
    繊レーヨンを用いて形成したことを特徴とする緑化用植
    生基体。
  6. 【請求項6】 袋内に植生材料を収容した植生袋体を網
    状体に装着すると共に、この網状体に植物種子の発芽成
    育可能なマットを係着し、このマット上に植物種子を付
    着保持させてなる緑化用植生基体において、前記網状体
    を、高分子エマルジョンまたは水溶性ポリマーの少なく
    とも一方をビスコース溶液に内添してなる混繊レーヨン
    を用いて形成したことを特徴とする緑化用植生基体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022067283A (ja) * 2020-10-20 2022-05-06 日新産業株式会社 植生マットおよび設置構造

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