JP2649028B2 - 植生マット - Google Patents

植生マット

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JP2649028B2
JP2649028B2 JP6037689A JP3768994A JP2649028B2 JP 2649028 B2 JP2649028 B2 JP 2649028B2 JP 6037689 A JP6037689 A JP 6037689A JP 3768994 A JP3768994 A JP 3768994A JP 2649028 B2 JP2649028 B2 JP 2649028B2
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Nisshoku Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば山腹や河川の
堤防の法面、その他道路建設や土地造成などに伴って形
成される法面などの緑化工法に用いられる植生マットに
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、上記の法面などには、その保護
と景観を保持するために植物を植生して緑化することが
行われる。このような緑化を行うに際して従来において
は、例えば特願平4−238984号公報や実公平5−
26117号公報に開示されるような植生マットがあ
る。
【0003】前者の公報では、植生材料の主体にピート
モスを使用しているので、軽くて施工性が良い植生マッ
トが開示されているけれども、ピートモスは、撥水性が
あるから初期の吸水性が悪く、したがって、植生マット
が乾燥し易く、植物の成長がよくない。また、そのため
に、施工直後に大量の雨に会うと、その降水で植生材料
が植生マットの上からも下からも流亡することが頻繁に
ある。
【0004】一方、植生材料の流亡を防止するという観
点から後者の公報の植生マットは有利である。すなわ
ち、この植生マットは、図10に示すように、やしの実
の繊維を主体とした植物繊維を不織布状に混紡して厚さ
5mm以下のシート状に形成された植物性繊維マット5
1の下側に、バーク堆肥を主体とし、これに有機物質肥
料、植物性有機肥料、遅効性肥料、発芽促進剤、微生物
繁殖剤、土壌改良剤、土壌菌、保水剤、保温剤、保湿剤
を混合した植物成育基盤材52に植物種子を混入して5
mm〜30mmの厚さに形成された緑化層材53を設
け、この緑化層材53の上下両面を紙または不織布5
4,55で挟持し、さらに、これら全体の表裏両面ネッ
ト56,57で被覆し、全体を繊維糸58で縫着してな
るものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、図10に示
した前記従来の植生マットは、緑化層材53の流亡を防
止するという点では効果的であるけれども、法面に接す
る緑化層材53が比較的硬質であることから、植生マッ
トの法面への馴染みが悪く、マット裏面が部分的に法面
から浮き上がった状態となりがちであり、しかも、この
緑化層材53は水分を含んでも腐食するには長期を要
し、前記各種の肥料や土壌改良剤などが法面に落下しに
くい。したがって、植生マットと法面との間に隙間が生
じ、種子がたとえ発芽しても根づきにくく枯死すること
が多い。要するに、植物種子と植生基材からなる緑化層
材53が落下して法面に密着することがないので、植生
マットが乾燥して植生物が成育するのが難しい。
【0006】また一方で、上記の植生マットを法面に強
固に張設させる上で多数のアンカーや止め釘を必要と
し、特に法面に凹凸がある場合には、アンカーや止め釘
の本数を多くして植物種子および植生基材や法面表土の
流失対策をとると、その分、施工性が悪くなる問題があ
った。
【0007】この発明は、上述の事柄に留意してなされ
たもので、法面に対する馴染みがよく、降水で植生材料
が上面からも下面からも流亡するのを防止できるととも
に、植物種子の発芽・成育を良好に行わせて植生物が確
実に成育でき、更には、強固な張設をアンカーや止め釘
の本数を減少させながら達成でき、あるいは、凹凸のあ
る法面を張設対象にした場合であっても、特にアンカー
や止め釘の本数を増やさないで、植物種子および植生基
材や法面表土の流亡を効果的に防止できる植生マットを
提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明の植生マットは、少なくとも部分的に分解
可能な素材よりなる上面シートと下面シートとの間に、
植物種子と植生基材とを挟持させるとともに、前記上面
シートの外面側に植物種子の発芽成育が可能な目合いを
有する第1のネットを付設し、下面シートの外面側に第
2のネットを付設し、更に、該第2のネットが、経糸と
緯糸とによって編織されるネットであり、このネットの
裏面側に、当該ネットとによってループを形成するルー
プ糸を経糸方向に適宜間隔を隔てて編み込み、当該ルー
プ糸を法面に対する接触係止部材としてあり、しかも、
上面シートと第1のネットの間に水解性シートを付設し
ことを特徴とする。また、別の観点からこの発明の植
生マットは、少なくとも部分的に分解可能な 素材よりな
る上面シートと下面シートとの間に、植物種子と植生基
材とを挟持させるとともに、前記上面シートの外面側に
植物種子の発芽成育が可能な目合いを有する第1のネッ
トを付設し、下面シートの外面側に第2のネットを付設
し、更に、該第2のネットが、経糸と緯糸とによって編
織されるネットであり、このネットの裏面側に、当該ネ
ットとによってループを形成するループ糸を経糸方向に
適宜間隔を隔てて編み込み、当該ループ糸を法面に対す
る接触係止部材としてあり、しかも、前記下面シートと
第2のネットの間に水解性シートを付設したことを特徴
とする。
【0009】この発明における水溶性シートとしては、
例えば降雨など水分に触れると比較的短時間で溶けてな
くなるものが好ましく、例えばポリビニルアルコール
(以下、PVAという)などのように完全に水にとける
ような性質の材料からなるものがよい。そして、前記水
解性シートとは、水溶性シートのように水にすぐに溶け
たりするのではなく、例えば30〜50%のパルプ繊維
と、35〜45%のポリプロピレン繊維と、10〜30
%のパウダー状または繊維状のPVAとからなる水解性
不織布を用いることができる。また、パルプ材料や、ス
フのような材料を水溶性糊剤でバインドしたものや、目
の詰んだ水解性シートを用いてもよい。
【0010】また、前記第1のネット6の構成素材とし
ては、従来から一般的に用いられているポリエチレンや
ポリプロピレンあるいはナイロンといった合成繊維から
なる耐腐食性素材以外に、例えば、微生物によつて分解
腐食して経時的に消失する綿、絹、麻などの天然繊維
や、再生セルロースからなるビスコースレーヨン等の再
生繊維や、ビスコースレーヨン繊維等に比べて引張強度
が大きいが経時的に強度が低下して腐食する特性を有す
る強力レーヨン繊維等の腐食性素材を用いてもよく、さ
らに、第1のネットとして、抗菌処理を施して、腐食時
期を調整できるように構成してあってもよい。
【0011】この発明の第2のネットは、その裏面側に
設けたループ糸が法面に接触係止して当該ループ糸が当
該植生マット張設のための固定部材として機能すると共
に、このループ糸に植物種子および植生基材や法面表土
が絡むように保持する機能を有するものである。
【0012】
【作用】この発明の植生マットにおいては、植物種子や
植生基材を包被する上下両面のシートが水溶性シートか
らなるので、全体が柔軟性に富み、これを法面に敷設し
た場合、法面にうまく馴染み、部分的な浮き上がりが抑
止された状態で法面に密着する。そして、法面に接する
下面シートが分解することで、植物種子や植生基材が法
面に落下し、これと密着し易くなり、植生マットと法面
との間に隙間が生じにくい。また、植生マットの上面側
は水溶性シートより溶けにくい水解性シートおよび第1
のネットが設けられているので、降雨などがあっても前
記植物種子や植生基材が流失したり、凍上することがな
い。さらに、第1のネットが法面のエロージョンを防止
する。このように、上記植生マットによって、法面には
植物の成育に好適な育成基盤が形成され、この育成基盤
に種々の植物が成育する。
【0013】また、法面に対する植生マットの固定部材
として機能するループ糸を有する第2のネットを植生マ
ットの裏面側に設けたことで、法面に対する植生マット
の張設強度が高くなり、又はアンカーや止め釘の使用本
数を減らしてもマット張設強度を保持できる。あるい
は、ループ糸の機能で植生マット張設の強度が高くなる
ことから、例えば凹凸のある法面を植生マットの張設対
象にした場合であっても、特にアンカーや止め釘の本数
を増やすことなく植生マットを法面に強固に張設させる
ことができる。一方、法面に張設された植生マットのル
ープ糸に植物種子および植生基材や法面表土が絡むよう
にして保持されることで、植物種子および植生基材や法
面表土の流亡が効果的に防止されることになり、全体と
して、植生マットの法面に対する施工性の大幅なる向上
と、植物種子および植生基材や法面表土の効果的な流失
防止が達成される植生マットを提供できる。
【0014】
【実施例】図1、図2は、この発明の一実施例に係る植
生マットMを示し、これらの図において、1,2はそれ
ぞれ水溶性の上面シート、下面シートである。そして、
3,4はそれぞれ両シート1,2間に介装される植物種
子、植生基材である。5は上面シート1の外面側に付設
される水解性シート、6は水解性シート5の外面側に付
設される第1のネット、7は前記各シート1,2,5お
よびネット6を一括して縫着するミシン糸である。9は
隣接して形成される植生マットMが切断される部位を示
している。
【0015】更に、下面シート2の外面側に第2のネッ
トNを付設し、更に、該第2のネットNが、経糸a,b
と緯糸c,dとによって編織される一重のネットの裏面
側に、補助ネットeとによってループを形成するループ
糸Rを、ネットの編織と同時に経糸方向に適宜間隔を隔
てて編み込み、当該ループ糸Rを法面nに対する接触係
止部材としてある。
【0016】この第2のネットNは、図4に示すよう
に、例えば二本のモノフィラメントの経糸a,bを鎖編
みすると共に、これに二本のモノフィラメントの緯糸
c,dをジグザク状に編み込んで編織されているが、こ
の編織に際し、経糸方向で適宜の間隔を置いて緯糸cの
一本を経糸a,bから遊離させて、この遊離させた緯糸
cと残りの経緯糸a,b、dによる補助ネットeとによ
って、第2のネットNの裏面側にループRを繰り返し形
成している(図3参照)。
【0017】より詳しくは、経糸方向で適宜間隔毎に、
前記緯糸cを補助ネットeの1目合あるいは複数目合に
絡ませて、当該緯糸cの所定間隔にわたる遊離によって
ループRを繰り返し形成している。尚、前記緯糸c,d
の一本をフラットヤーンにして、これを補助ネットeか
ら遊離させたり、あるいは逆に、このフラットヤーンの
緯糸と経糸a,bとによって補助ネットeを編織させる
等の選択が適宜可能である。
【0018】次に、前記上面シート1および下面シート
2は、例えばポリビニルアルコール(PVA)のように
完全な水溶性の高分子材料や水溶性の紙材等の水溶性の
素材で形成されたもので構成されている。
【0019】また、図1、図6において、8は、カット
部分であり、マット製造時にそのカット部分8の中央部
に幅方向に設定されたカットライン9で切断されるよう
になっており、そのカット部分8では、上面シート1お
よび下面シート2間に、植物種子3や植生基材4の代わ
りに植物性繊維材よりなるマット10を介在させてい
る。その植物性繊維材としては、例えば、ヤシの実の繊
維を主体とした植物繊維をマット状に成形したもの等が
好ましい。
【0020】また、上記の他に、保水性のあるレーヨン
や綿等の繊維を圧着することなく水溶性のバインダーで
接着したソフトな不織布をマット状としたものや、紙お
むつ等に用いられている高分子吸収体、吸水性を有する
紙材と適度の耐水性を有する紙材を積層したもの等をマ
ット10として用いることができる。
【0021】このようなマット10は、容易に水に溶け
ることなく、かつ法面nへの定着・同化性が良好であ
り、現地での加工時に、植生マットMの接合部で、その
カット部分8を下方に重ねて折り返してもすぐには消失
せず、植物種子3や植生基材4の流亡を効果的に防ぐこ
とができ、かつそのカット部分8においても、植物種子
3を良好に発芽・成育させることができる。ちなみに、
マット10は、例えば、幅25cm、長さ1m、厚さ5
〜6mm程度の矩形シート状に形成したものが用いられ
るが、植生マットMの厚みが増す程、マット10の厚み
も大とするのが好ましい。なお、マット10を、二枚合
わせとして、その間に保水材や肥料を介在させるとカッ
ト部分8において、より一層良好な発芽・成長を促すこ
とができる。
【0022】また、マット10を二枚合わせとして、そ
の間にバーミキュライト、パーライトのような保水材や
一般化成肥料、バーク堆肥等の肥料等を挟持させるよう
に構成した場合には、カット部分8においてより一層良
好な発芽・成長を促すことができる。
【0023】上記上面シート1と下面シート2との間に
挟持される前記植物種子3としては、牧草などの外来種
植物の種子や、花植物種子、野草、樹木などの郷土種植
物の種子が用いられる。具体的には、牧草種子として
は、クリーピングレッドフェスク、ハイランドベントグ
ラス、レッドトップ、バミューダグラス、ケンタッキー
ブルーグラスなどがあり、花植物種子としては、黄デー
ジー、フランス菊、大金鶏菊、のこぎり草、ハエトリナ
デシコ、カリフォルニアポピー、ムラサキハナナ、カス
ミソウ、コスモス、ケイトウ、カワラナデシコ、テンニ
ンギクなどがあり、また、野草種子としては、よもぎ、
すすき、めどはぎ、いたどりなどがある。さらに、樹木
植物としては、あかまつ、やしゃぶし、いたちはぎ、や
まはぎ、こまつなぎなどがある。そして、これらの植物
の種子が適宜混合される。
【0024】前記植生基材4は、植物の成育や土壌の改
良に必要な基材であり、例えば一般化成肥料や土壌改良
剤、バーク堆肥やピートモスなどの有機質材、バーミキ
ュライトやパーライトなどの無機質材などを適宜混合し
たものが用いられる。
【0025】上記上面シート1と第1のネット6との間
に付設される水解性シート5としては、前記水溶性の上
面シート1や下面シート2などと異なり、降雨やその他
の水分によってすぐに溶けたりしない性質を有するもの
で、例えば30〜50%のパルプ繊維と、35〜45%
のポリプロピレン繊維と、10〜30%のパウダー状ま
たは繊維状のPVAとからなる水解性不織布を用いるこ
とができる。
【0026】ここで、パルプ繊維の添加割合を30%以
下とすると、水分吸収によるPVAの溶解に伴う分散性
の問題や強度上の問題が発生し、一方、これを50%と
すると、ポリプロピレン繊維やPVAの添加割合が少な
くなって、水分による溶解性の問題や強度上の問題が発
生する。
【0027】また、ポリプロピレン繊維の添加割合を3
5%以下とすると、水分による溶解性の問題や強度上の
問題が発生し、一方、これを45%以上とすると、パル
プ繊維やPVAの添加割合が少なくなって、水分による
溶解性の問題が派生する。
【0028】そして、PVAの添加割合を10%以下と
すると、水分による溶解性の問題が発生し、一方、これ
を30%以上とすると、パルプ繊維やポリプロピレン繊
維の添加割合が少なくなって、強度上の問題が発生す
る。
【0029】以上のことから、パルプ繊維、ポリプロピ
レン繊維およびPVAを上述の割合で配合し、溶解性と
一定の強度とを得るようにしている。
【0030】前記第1のネット6は、上面シート1が溶
解した状態での植物種子3や植生基材4の凍上ならびに
流亡を、水解性シート5とともに防止するためのもので
あって、少なくとも植物種子3の発芽成育が可能な目合
いを有することが必要である。そして、この実施例にお
いては、第1のネット6は、従来から一般的に用いられ
ているポリエチレンやポリプロピレンあるいはナイロン
といった合成繊維からなり、耐腐食性を有している。
【0031】また、第1のネット6の構成素材として
は、前記耐腐食性素材以外に、例えば微生物によって分
解腐食して経時的に消失する綿、絹、麻などの天然繊維
や、再生セルロースからなるビスコースレーヨンなどの
再生繊維や、ビスコースレーヨン繊維などに比べて引張
強度が大きいが経時的に強度が低下して腐食する特性を
有する強力レーヨン繊維などの腐食性素材を用いてもよ
く、さらに、ネットとして、抗菌処理を施して、腐食時
期を調整できるように構成してあってもよい。
【0032】前記抗菌処理を施した第1のネットとし
て、例えば本願出願人が平成4年12月19日に特許出
願している「植生用網状体」(特願平4−355600
号)がある。そこで、このネットの構成を簡単に説明す
る。
【0033】この抗菌処理を施した第1のネットを得る
手法としては、次のようなものがある。一つは、前記腐
食性素材単独で構成されたネット、あるいは、前記腐食
性素材のいずれかとナイロン、ポリプロピレンなどの合
成繊維とからなる混紡繊維を用いて形成したネットに、
ジメチルベンジルアンモニウムクロライドを有効成分と
する抗菌剤を、塗布したり、吹き付けたり、あるいは、
抗菌剤を収容した処理槽中に前記ネットを浸漬する。
【0034】また、第1のネットを構成する経糸や緯糸
として、前記腐食性素材や混紡繊維を用い、これらの経
糸や緯糸の素材中に前記抗菌剤を予め内添しておき、こ
の抗菌剤が内添された経糸や緯糸で第1のネットを編織
する。
【0035】このようにして構成された第1のネット
は、例えば法面に敷設した後半年〜2年程度は必要な強
度を有し、その後、徐々に腐食されて土壌と同質化され
るといった優れた性質を備えている。
【0036】前記の各シート1,2,5、第1,2のネ
ット6,Nおよびマット10を縫着するミシン糸7とし
ては、ジュート綿やレーヨンが適当である。
【0037】次に、上記構成を有する植生マットMを製
造する方法について、図5、図6を参照しながら簡単に
説明する。
【0038】図5(A)に示す第2のネットNの上面
に、PVAシートからなる下面シート2を、図示してい
ないコンベア上に流し、図5(B)に示すように、第2
のネットNおよび下面シート2上に、植生基材4、植物
種子3を落下散布する。この場合、所定の間隔で植物種
子3、植生基材4が散布されない所定幅の無散布ゾーン
Z(図6参照)が形成されるようにする。図5(C)に
示すように、上面シート1となるべきPVAシートを供
給して植物種子3および植生基材4の上面を覆う。
【0039】次いで、前記無散布ゾーンZにマット10
を投入する。そのマット10,10間の間隔は植生マッ
トMの厚さが1cmの場合で10m間隔、2cmの場合
で5m間隔、3cmの場合で3m間隔程度とするのが好
ましい。
【0040】そして、図示しない折り返し装置によっ
て、図5(D)に示すように、下面シート2の進行方向
の両側端部2aを上方に折り返し、上面シート1の両側
端部1aと重ね、上面シート1および下面シート2の進
行方向の両側端部1a,1bを封じる。
【0041】次いで、図5(E)に示すように、水解性
シート5を供給し、折り返し部2aおよび上面シート1
の上面を覆い、更に、図5(F)に示すように、水解性
シート5の上面を第1のネット6で覆う。
【0042】そして、図5(G)および図6に示すよう
に、第2のネットN、下面シート2、上面シート1、水
解性シート5および第1のネット6とともにマット10
を一括して、図示していないミシン装置によって縫着す
る。この縫着は、前記折り返し部2aにおいては比較的
小さな間隔(細かい目合い)で行い、これを除く部分に
ついては、比較的大きな間隔(粗い目合い)で行うのが
よい。なお、図5(G)および図6における符号25は
ミシン装置のミシン針を示す。
【0043】前記縫着後、図示していない裁断装置によ
って、前記マット10を投入したカット部分8において
裁断することにより、図5(H)および図2に示すよう
に、所定の長さ、所定幅の植生マットMが形成される。
なお、この植生マットMは適宜の巻取り装置(図示せ
ず)によってロール状に巻き取られる。
【0044】また、植生マットMにおいては、植物種子
3や植生基材4を包被する上面シート1および下面シー
ト2としてPVAシートを用いているので、製造時にお
いて、埃がたたず、したがって、作業環境が良好に維持
される。また、ミシン装置によって縫着する際、ミシン
針25が上面シート1および下面シート2を貫通するこ
とによって小孔が形成されるが、小孔周辺のシート部分
が小孔を塞ぐように作用する。したがって、上面シート
1および下面シート2間の植物種子3や植生基材4が漏
れ出ることがない。そして、上面シート1および下面シ
ート2としてPVAシートを用いていることから、カッ
ト部分8を、ヤシの実の繊維を主体とした植物繊維のマ
ット10や不織布の水解性シート5に代えて、PVAシ
ートをヒートシールすることで構成することも可能であ
る。また、PVAシートは安価に入手でき、安価な植生
マットMを得ることができる。
【0045】更に、植生マットMにおいては、下面シー
ト2の進行方向の両側端部2aが上方に折り返されてい
るので、上面シート1の両側端部1aが両側端部2aに
よって包まれる。したがって、両シート1,2間に散布
状態で介装された植物種子3や植生基材4が外部に漏れ
出ることがない。さらに、両側端部2aを上方に折り返
し、上面シート1の両側端部1aと重なるようにしてい
るので、カット部分8に介在させたマット10とあいま
って、両シート1,2間の植物種子3や植生基材4が両
シート1,2によって完全に包被されることになり、外
部に漏れ出ることがない。
【0046】さて、上述のようにして製造された植生マ
ットMは、例えば次のようにして法面に敷設される。す
なわち、図7に示すように、複数の植生マットMを、下
面シート2を第2のネットNを介して法面n側に、そし
て、その長さ方向が法面nの上下方向になるように、ま
た、幅方向の一部が互いに重なるようにして幅方向に並
べ、アンカーなどの止着具27を用いて、法面nに固定
する。この場合、法面nの最上位、つまり法肩部では、
図中に拡大して示すように、その長さ方向の両端に形成
されるカット部分8を展開してここに止着具27を挿通
させる。また、植生マットM,M間の接合部において
は、前記カット部分8を下面シート2側に折り返し、こ
の折り返し部分を挿通するように止着具27を設ける。
【0047】この際、第2のネットNのループRを法面
n側に向けた状態で上記止着具27で法面nの敷設す
る。かゝる法面緑化の施工によれば、ループRが法面n
に接触係止して、これらの遊離緯糸cが植生マットMの
張設のための固定部材として機能することから、植生マ
ットMの張設用のアンカーや止着具27の使用本数を減
少させることが可能となり、あるいは、凹凸のある法面
nが植生マットMの張設対象である場合、特にアンカー
や止着具27の本数を増やさなくとも、植生マットMの
確実強固な張設が達成され、更に、この遊離緯糸cに植
物種子3および植生基材4や法面表土が絡むように保持
されることで、植物種子3および植生基材4や法面表土
の降雨や凍上による流失が効果的に防止される。
【0048】しかも前記植生マットMは、その上下両面
のシート1,2が薄い水溶性シートからなるので、マッ
ト全体が柔軟性に富み、法面nに多少の凸凹があったと
しても法面nに良好に馴染み、部分的に浮き上がったり
することなく法面nに密着する。そして、植生マットM
が法面nに敷設された当初においては、植物種子3や植
生基材4は、両シート1,2によって覆われており、そ
れらの流出が効果的に防止される。
【0049】そして、降雨や撒水などによって、植生マ
ットMに水がかかると、上面シート1および下面シート
2が速やかに溶解し、特に、法面nに接する下面シート
2が上面シート1よりも速やかに溶解する。したがっ
て、植生マットM内の植物種子3や植生基材4が隙間の
ない状態で法面nに密着するとともに、第2のネットN
が邪魔することなく植物種子3が容易に発芽し、発芽し
た幼苗は肥料および水分の供給を受けて確実に成長す
る。
【0050】一方、植生マットMの上面シート1には、
PVAシートよりも溶解しにくい水解性シート5および
ネット6が設けられているので、また、、植生マットM
の接合端部には、容易に水溶することのないマット10
が法面nに定着しているので、これらによって、前記法
面n上の植物種子3や植生基材4が良好に好適に保持さ
れ、植物種子3や植生基材4の凍上や流亡が効果的に防
止される。
【0051】そして、そのマット10は、植物が成長す
る頃には、法面nと同化するため、植物が充分に根を張
ることができ、その他の部分と同様に成長むらのない早
期緑化を確実に図ることができる。
【0052】水溶性シートとしては、そして、そのマッ
ト10は、植物が成長する頃には、法面nと同化するた
め、植物が充分に根を張ることができ、その他の部分と
同様に成長むらのない早期緑化を確実に図ることができ
る。
【0053】そして、上面シート1および下面シート2
としてそれぞれ用いられる水溶性シートとしては、上記
PVAシートのほか、水溶性の高分子フィルムを用いて
もよい。また、水解性シート5として、スフやポリプロ
ピレン、ナイロンなどをPVAなどの水溶性糊剤でバイ
ンドしたものや、パルプ材料からなる紙を水溶性糊剤で
バインドした水解性紙を用いることもできる。さらに、
図8に示すような目合いが詰まったネットTを用いても
よい。この場合、ネットTをビスコースレーヨンなど腐
食性材料より形成するのが好ましい。
【0054】また、第2のネットNの構成素材として
は、基本的に前記第1のネットと同様の素材を用いるの
が好ましい。すなわち、第1のネットに用いた耐腐食性
素材以外に、例えば微生物によって分解腐食して経時的
に消失する綿、絹、麻などの天然繊維や、再生セルロー
スからなるビスコースレーヨンなどの再生繊維や、ビス
コースレーヨン繊維などに比べて引張強度が大きいが経
時的に強度が低下して腐食する特性を有する強力レーヨ
ン繊維などの腐食性素材を用いてもよく、さらに、ネッ
トとして、抗菌処理を施して、腐食時期を調整できるよ
うに構成してあってもよい。
【0055】さらに、上述の各実施例では、植物種子3
および植生基材4よりも上方側に、上面シート1、水解
性シート5およびネット6を設け、植物種子3および植
生基材4よりも下方側に、下面シート2のみを設けたも
のであったが、この構成を次に説明するように、種々に
変えてもよい。
【0056】すなわち、下面シート2の下面に水解性シ
ートを付設した植生マットMでもよい。この水解性シー
トは、上述した水解性シート5と同様に、種々のタイプ
のもので構成できることはいうまでもない。このように
構成した植生マットMにおいては、水溶性シートからな
る下面シート2が法面nに直接触れないため、法面nに
多少の水分があるような場合にでも施工できるといった
利点がある。あるいは、上面シート1または下面シート
2を前述したような水解性シートや微生物分解性のシー
ト等の少なくとも部分的に分解するシート材で形成して
もよい。
【0057】図9に示す第2のネットNは、緯糸c,d
の目合いピッチを経糸方向で適宜間隔毎に異ならせて、
経糸方向で疎密を繰り返す横縞模様を形成するように編
織し、この編織に際して、一本の緯糸cを疎なるネッ
ト部分nから遊離させつつ当該緯糸cを密なるネッ
ト部分nに編み込んで、この遊離させた緯糸cと残り
の経緯糸a,b、dによる補助ネット(疎なるネット部
分n)eとによってネット裏面側に大きなループRを
繰り返し形成している。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の植生マ
ットにおいては、植物種子や植生基材を包被する上下両
面のシートが水溶性シートで構成されているので、部分
的な浮き上がりが抑止された状態で法面に密着する。そ
して、法面に接する下面シートが分解することで、植物
種子や植生基材が法面に落下し、これと密着し易くな
り、植生マットと法面との間に隙間が生じにくい。ま
た、植生マットの上面側は水溶性シートより溶けにくい
水解性シートおよび第1のネットが設けられているの
で、降雨などがあっても前記植物種子や植生基材が流失
したり、凍上することがない。さらに、第1のネットが
法面のエロージョンを防止する。
【0059】また、法面に対する植生マットの固定部材
として機能するループ糸を有する第2のネットを植生マ
ットの裏面側に設けたことで、法面に対する植生マット
の張設強度が高くなり、又はアンカーや止め釘の使用本
数を減らしてもマット張設強度を保持できる。あるい
は、ループ糸の機能で植生マット張設の強度が高くなる
ことから、例えば凹凸のある法面を植生マットの張設対
象にした場合であっても、特にアンカーや止め釘の本数
を増やすことなく植生マットを法面に強固に張設させる
ことができる。一方、法面に張設された植生マットのル
ープ糸に植物種子および植生基材や法面表土が絡むよう
にして保持されることで、植物種子および植生基材や法
面表土の流亡が効果的に防止されることになり、全体と
して、植生マットの法面に対する施工性の大幅なる向上
と、植物種子および植生基材や法面表土の効果的な流失
防止が達成される植生マットを提供できる。
【0060】このように、この発明の植生マットによれ
ば、法面には植物の成育に好適な育成基盤が形成され、
この育成基盤に種々の植物を良好に成育させることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係る植生マットを示す部
分破断斜視図である。
【図2】上記実施例における植生マットの断面図であ
る。
【図3】同じく上記実施例における植生マットの断面図
である。
【図4】上記実施例における第2のネットの構成説明図
である。
【図5】上記実施例における植生マットの製造工程を説
明するための図である。
【図6】上記実施例における植生マットの縫着工程の一
例を示す部分断面斜視図である。
【図7】上記実施例における植生マットを法面に敷設す
る状態を示す斜視図である。
【図8】水解性シートの一例を示す斜視図である。
【図9】第2のネットの他の例を示す斜視図である。
【図10】従来例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…上面シート、2…下面シート、2a…側端部、3…
植物種子、4…植生基材、5,T…水解性シート、6…
第1のネット、8…カット部分、a,b…経糸、c…緯
糸(接触係止部材)、d…緯糸、e…補助ネット、R…
ループ、n…法面、M…植生マット、N…第2のネッ
ト。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも部分的に分解可能な素材より
    なる上面シートと下面シートとの間に、植物種子と植生
    基材とを挟持させるとともに、前記上面シートの外面側
    に植物種子の発芽成育が可能な目合いを有する第1のネ
    ットを付設し、下面シートの外面側に第2のネットを付
    設し、更に、該第2のネットが、経糸と緯糸とによって
    編織されるネットであり、このネットの裏面側に、当該
    ネットとによってループを形成するループ糸を経糸方向
    に適宜間隔を隔てて編み込み、当該ループ糸を法面に対
    する接触係止部材としてあり、しかも、上面シートと第
    1のネットの間に水解性シートを付設したことを特徴と
    する植生マット。
  2. 【請求項2】 少なくとも部分的に分解可能な素材より
    なる上面シートと下面シートとの間に、植物種子と植生
    基材とを挟持させるとともに、前記上面シートの外面側
    に植物種子の発芽成育が可能な目合いを有する第1のネ
    ットを付設し、下面シートの外面側に第2のネットを付
    設し、更に、該第2のネットが、経糸と緯糸とによって
    編織されるネットであり、このネットの裏面側に、当該
    ネットとによってループを形成するループ糸を経糸方向
    に適宜間隔を隔てて編み込み、当該ループ糸を法面に対
    する接触係止部材としてあり、しかも、前記下面シート
    と第2のネットの間に水解性シートを付設したことを特
    徴とする植生マット。
  3. 【請求項3】 前記上面シートおよび下面シートがポリ
    ビニルアルコールシートからなる請求項1または2に記
    載の植生マット。
  4. 【請求項4】 前記第2のネットが、緯糸の目合いピッ
    チを経糸方向で適宜間隔毎に異ならせて、一重のネット
    に経糸方向で疎密を繰り返す横縞模様を有する請求項1
    または2に記載の植生用ネット。
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