JPH078135Y2 - 回転研摩砥石 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この考案は主として硬質材の刃物を研摩する回転研摩砥
石に関する。

〈従来の技術〉 従来例えばセラミック刃物、超硬金属刃物やカッター等
を研摩する砥石として金属円板の周面や端面にダイヤモ
ンド粒等からなる砥粒を付着させて砥面とし、金属円板
を回転させて研摩する砥石が知られている。そしてこの
ような研摩では被研摩材が硬質であるため押接力が大き
い割に研削量が少なく、発熱量も大きいにもかかわら
ず、砥石の砥粒を保護するために水や油等の砥液を使用
しない無水研摩であることが多い。

〈考案が解決しょうとする課題〉 しかし、上記のような従来の研摩砥石では砥面と刃物の
接触摩擦による発熱で砥粒の接着バインダの溶解等によ
る砥面の目づまりが激しく研摩性能が低下したり、砥石
側の砥粒層と母材金属の付着面の剥離、刃物側のセラミ
ック材の亀裂や母材接着面の剥離等の問題があり、これ
らを防止するために低温雰囲気や空冷装置を必要として
いた。

〈問題点を解決するための手段〉 上記のような問題点を解消するための本考案の研摩砥石
は、母材１の回転円板の側面または周面に砥粒を付着せ
しめた砥粒層からなる砥面5a、5bを形成した構造におい
て、上記母材１の砥面5a側より他の面側に開口する貫通
孔よりなる冷却孔６を穿設し、研摩作動中に上記冷却孔
６の砥面側開口部にエアの乱流を生ぜしめるとともに冷
却孔６内にエアを自然流通させて上記砥面5a及び回転円
板を冷却する構造としたことを特徴としている。

〈作用〉 回転中の回転円板１の砥面5a又は5bに被研摩物の研摩部
を押接して研摩する際、上記砥面5a又は5bと被研摩物と
の間に生ずる摩擦熱を冷却孔６自体により放熱するほ
か、冷却孔６の砥面側開口部において生じる空気流によ
って砥面5aにおける摩擦熱を放熱冷却せしめる。

〈実施例〉 第１図は本考案の実施例を示す研摩砥石の断面図及び端
面（正面）図で、回転円板を構成する母材１はアルミニ
ウム合金，鉄又は特殊鋼等の金属製で、フランジ状の円
板部２とその背面中央に突出するボス部３とから構成さ
れ、母材１の中心には回転軸（図示しない）に嵌着する
軸孔４が穿設されている。上記円板部２の端面と外周面
にはダイヤモンド微粒子を接着剤により、又は溶射等に
よって付着させた砥粒層が砥面5a,5bとして付着形成さ
れ、各砥面は端面において平面研摩が、また外周面にお
いて周面研摩がそれぞれ可能な構造になっている。

上記母材１のボス部３における軸孔４の外周には正面側
及び背面側に開口するように貫通している冷却孔６が所
定ピッチで同芯円上に多数穿設され、表面側には皿状の
座ぐり７が形成されて面取りが施されている。

上記構造により砥石を回転させてその砥面5a又は5bに刃
物を押接して研摩すると、砥面5a,5bと刃物研削面との
間で生じる発熱は砥面の回転によって生じる空気の流れ
によって冷却されるほか、母材１への伝導熱は上記冷却
孔６内に生ずる気流によっても放熱される。さらに、端
面の砥面5aには冷却孔６を通じて砥石の背面側より空気
が導かれて端面側において空気の乱流を生じ、この乱流
によって砥石端面が冷却される。このとき冷却孔６の正
面側開口端の座ぐり７は砥石正面側の空気の乱流を助長
し、冷却効果を一層増大させる。

上記冷却孔６は第２図に示すように円板部２の砥面5aの
砥粒層を貫く位置に穿設しても良く、この場合は砥面自
体の冷却効果が大きいほか、皿状の座ぐり７は砥面5aに
対して鈍角に交差しているので、研摩時に冷却孔６の周
壁端部が刃物の刃先に接衝して刃先のこぼれが生じるの
を防止する。またこの場合冷却孔６は外周側の砥面5bに
開口させることもできる。

第３図は母材１の端面にうず巻状の放射溝８を形成する
ように、ソリッド状のダイヤモンド砥粒層を貼着して分
割された砥面5aを形成したもので、冷却孔６が円板部２
の背面側から上記放射溝８に開口している。ダイヤモン
ド砥粒層はダイヤモンド粒を樹脂等のバインダでソリッ
ド状に形成したものを用いている。

放射溝８は刃物研摩時にそれ自体が円板部２の内周側又
は外周側、若しくは冷却孔６からの空気流の流通路とな
って砥面5aや刃物の刃先の冷却効果を高めるほか、砥面
5aからの砥粒溜めとなって目詰まり防止の機能を果たす
ものである。また放射溝８は同一方向に湾曲して所定角
度の間隔で放射状をなしているので、幅のある刃物の刃
先を常に放射溝８をまたいだ状態で砥面に押接させるこ
とが可能となり、放射溝８の断面上端部が刃先と折衝す
ることによる刃こぼれを防止できる。

〈考案の効果〉 本考案は以上の如く構成される結果、母材の円板に砥粒
を付着させてなる主として無水研摩砥石の研摩時の砥面
側に生じる空気の乱流と、冷却孔内の空気の自然流通に
より冷却効果を高めて発熱による砥面の目づまりや砥粒
層の剥離を防止し、研摩性能の維持を図ることができる
ほか、構造もきわめて簡単で研摩時の特別の冷却装置を
必要としないという利点を生じるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図（Ａ）、（Ｂ）
は第１実施例を示す砥石の側断面図及び正面図、第２図
は第二実施例を示す側断面図、第３図（Ａ）、（Ｂ）は
第三実施例を示す正面図及び第３図（Ａ）のＡ−Ａ断面
図である。 1:母材、2:円板部 3:ボス部、4:軸孔 5a,5b:砥面、6:冷却孔 7:座ぐり（面取部）、8:放射溝

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】母材（１）の回転円板の側面または周面に
   砥粒を付着せしめた砥粒層からなる砥面（5a）、（5b）
   を形成した構造において、上記母材（１）の砥面（5a）
   側より他の面側に開口する貫通孔よりなる冷却孔（６）
   を穿設し、研摩作動中に上記冷却孔（６）の砥面側開口
   部にエアの乱流を生ぜしめるとともに冷却孔（６）内に
   エアを自然流通させて上記砥面（5a）及び回転円板を冷
   却する構造とした回転研摩砥石。