JP2547152B2 - 植生用ネット - Google Patents

植生用ネット

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JP2547152B2
JP2547152B2 JP4118416A JP11841692A JP2547152B2 JP 2547152 B2 JP2547152 B2 JP 2547152B2 JP 4118416 A JP4118416 A JP 4118416A JP 11841692 A JP11841692 A JP 11841692A JP 2547152 B2 JP2547152 B2 JP 2547152B2
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  • Pit Excavations, Shoring, Fill Or Stabilisation Of Slopes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、法面の崩落防止工法に
用いて好適な植生用ネットの改良技術に関する。
【0002】
【従来の技術】上記法面の崩落防止工法の一つとして、
例えば経糸と緯糸とによって編織された一重のネット
に、経糸方向に間隔を隔てて植生材料収納袋の支承部を
設け、あるいは図7に示すように、それぞれ経糸21と緯
糸22とから成るフロントネット23とバックネット24とを
重ね合わせに編織させた二重のネット23,24間に、経糸
方向に適宜間隔を隔てて植生材料収納袋25の支承部26を
形成して、この植生材料収納袋25を支承させた植生用ネ
ットN1 を、アンカー27や止め釘28などを用いて法面29
に張設し、かつ、前記植生材料収納袋25ならびに植生用
ネットN1 を覆うように、種子や肥料、保水剤などを含
む植生基材30を適宜の厚さに吹き付ける工法がある。こ
の工法によれば、植生基材30の中間部に位置する植生用
ネットN1 によって植生基材30の流亡が阻止されると共
に、発芽成長した植物に対する肥料の適宜供給により法
面29が緑化され、法面29の崩落が効果的に防止される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の植生用
ネットN1 を法面29に強固に張設させる上で多数のアン
カー27や止め釘28を必要とし、特に法面29に凹凸がある
場合には、法面29と植生用ネットN1 との間の寸法が大
きくなって、降雨や凍上によって植生基材30や法面表土
が流失し易くなり、あるいはこの時、アンカー27や止め
釘28の本数を多くして植生基材30や法面表土の流失対策
をとると、その分、施工性が悪くなる問題があった。
【0004】本発明は、合理的な改良によって、植生用
ネットの強固な張設をアンカーや止め釘の本数を減少さ
せながら達成でき、あるいは、凹凸のある法面を植生用
ネットの張設対象にした場合であっても、特にアンカー
や止め釘の本数を増やさないで、従って施工性の良い状
態で植生基材や法面表土の流亡を効果的に防止できるに
至った植生用ネットを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】第1発明による植生用ネ
ットは、経糸と緯糸とによって編織される一重のネット
を対象にしたものであって、この一重のネットの裏面側
に、当該ネットとによってループを形成するループ糸
を、ネットの編織と同時に経糸方向に適宜間隔を隔てて
編み込み、当該ループ糸を法面に対する接触係止部材と
した点に特徴がある。第2発明の植生用ネットは、それ
ぞれ経糸と緯糸とから成るフロントネットとバックネッ
トとを編みつつ当該両ネットを互いに重ね合わせるよう
に編織し、この編織に際して、経糸方向に適宜の間隔を
隔てて植生材料収納袋の支承部を緯糸方向の袋状に形成
すると共に、この支承部間のバックネット側の裏側に、
フロントネットあるいはバックネットの緯糸の一部を遊
離させた遊離緯糸を、経糸方向に、適宜間隔を隔てて編
み込んでバックネットとによってループを形成し、当該
ループ糸を法面に対する接触係止部材とした点に特徴が
ある。
【0006】
【作用】第1および第2発明の何れにおいても、植生用
ネットの裏面側に設けたループ糸が法面に接触係止して
当該ループ糸がネット張設のための固定部材として機能
すると共に、このループ糸に植生基材や法面表土が絡む
ように保持される。
【0007】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1は本発明の第1実施例にかゝる一重の植生用
ネットNの一部分を示し、図2は当該植生用ネットNを
用いた法面緑化の施工状態を示すもので、この植生用ネ
ットNは、例えば二本のモノフィラメントの経糸1,2
を鎖編みすると共に、これに二本のモノフィラメントの
緯糸3,4をジグザク状に編み込んで編織されている
が、この編織に際し、経糸方向で適宜の間隔を置いて緯
糸3の一本を経糸1,2から遊離させて、この遊離させ
た緯糸31と残りの経緯糸1,2,4によるネット5と
によって、ネット裏面側に大小のループ6a,6bを繰
り返し形成している。
【0008】より詳しくは、経糸方向で適宜間隔毎に、
前記緯糸3をネット5の1目合あるいは複数目合に絡ま
せて、当該緯糸3所定間隔にわたって遊離させること
によって得た経糸方向の遊離緯糸31とネット5とによ
って大小の第1及び第2ループ6a,6bを繰り返し形
成しており、この内の第2ループ6bを肥料用や植生用
の材料収納袋7a,7bの支承部としている。尚、前記
緯糸3,4の一本をフラットヤーンにして、これをネッ
ト5から遊離させたり、あるいは逆に、このフラットヤ
ーンの緯糸と経糸1,2とによってネット5を編織させ
る等の選択が適宜可能であり、また図示していないが、
前記植生用ネットNには、それの幅方向に所定間隔を隔
てて経糸方向に補強ロープが設けられている。
【0009】前記肥料材料収納袋7aは、降雨などにより
肥料養分が徐々に滲み出すような厚みと通気性とを有す
るように、ポリビニールアルコールなどのビニロン系や
ポリエステルなどのポリエステル系、ナイロンなどのポ
リアミド系、アクリルなどのポリアクリルニトリル系な
どの不織布、その他、好ましくは可溶性の素材(例え
ば、スフ系やパルプ系の不織布、可溶性紙、生分解性プ
ラスチックなどによる袋内に、例えば肥料や土壌改良
剤、保水剤など植物の生育に直接的または間接的に必要
な肥料基材を収容して成る。一方、植生材料収納袋7b
は、植生の発芽・成育の妨げにならず、しかも、水分に
より溶解する高分子系フィルムあるいは澱粉系フィルム
または寒冷紗付き水溶性紙、例えば商品名ボンリック
(金星製紙株式会社製)などの可溶性素材による袋内に
例えば牧草種子を収容して成る。
【0010】上記構成の植生用ネットNを用いた法面8
の緑化は次のようにして行われる。即ち、図2に示すよ
うに、植生用ネットNの第2ループ6b内に肥料材料収納
袋7aと植生材料収納袋7bを収容させて、この植生用ネッ
トNのループ6a,6bを法面8側に向けると共に、植生材
料収納袋7bを肥料材料収納袋7aよりも上方に位置させた
状態で、当該植生用ネットNをアンカー9や止め釘10な
どを用いて法面8の敷設する。このようにして法面8に
敷設された植生用ネットNの上から、種子や有機質材
料、化学肥料、土壌改良剤、保水剤などを混合して例え
ばゲル状にした植生基材11を、適宜の吹付け機によって
適宜の厚さになるように吹付けるのである。
【0011】かゝる法面緑化の施工によれば、前記第2
ループ6b内に収容された肥料材料収納袋7aと植生材料収
納袋7bの厚みに規制される状態で、前記植生用ネットN
が法面8から浮き上がるようにして張設され、当該植生
用ネットNが植生基材11の中間部に位置することで、前
記植生基材11の流亡が効果的に阻止されると共に、発芽
成長した植物に対する肥料の適宜供給により法面8が緑
化され、法面8の崩落が防止される。
【0012】一方、前記第2ループ6bを形成する遊離
緯糸31は勿論のこと、当該第2ループ6bと第1ルー
プ6aの緯糸3が共に法面8に接触係止して、これらの
遊離緯糸31がネット張設のための固定部材として機能
することから、ネット張設用のアンカー9や止め釘10
の使用本数を減少させることが可能となり、あるいは、
凹凸のある法面8が植生用ネットNの張設対象である場
合、特にアンカー9や止め釘10の本数を増やさなくと
も、植生用ネットNの確実強固な張設が達成され、更
に、この遊離緯糸31に植生基材11や法面表土が絡む
ように保持されることで、当該植生基材11や法面表土
の降雨や凍上による流失が効果的に防止される。
【0013】前記経糸1,2と緯糸3,4および補強ロ
ープの材質としては、合成樹繊維や植物性繊維、その他
ビスコースレーヨンや生分解性樹脂繊維等が用いられ
る。しかし、これらの材質に限られるものではなく、例
えば、通常のビスコースレーヨンに比べて引張強度が大
きいが、時間の経過と共にその強度が低下するといった
特性を有するポリノジックレーヨンやタイヤコード用ビ
スコースレーヨンなどの強力レーヨンも好適である。
【0014】即ち、上記の強力レーヨンは、一般のビス
コースレーヨンや生分解性プラスチック等の素材に比べ
て引張強度が大であって、湿潤時における強度低下が小
さく且つ敷設後半年を過ぎても当初の90%程度の引張
強度を維持し、その後、時間の経過と共に強度が低下し
て、やがては腐食して土と同質化する特性を示すもの
で、この強力レーヨンを植生用ネットの素材として用い
れば、植物が発芽・成育するまでの間(例えば半年乃至
2年程度)、当該植生用ネットが強度を十分に維持する
ことから法面上の植生基材の流亡が効果的に防止され、
その後、植物がある程度成育し繁茂するころから徐々に
その強度が低下し、分解・腐食して遂には土に帰するこ
とから、例えばネット素材を半永久的に変質しない合成
樹脂繊維とする場合のような二次公害が防止されるもの
であって、法面の緑化にとって極めて好適である。
【0015】あるいは、腐食性の繊維であっても、これ
を撥水や防水、防虫(防カビや防バクテリアなど)等の
防腐処理を施すことによって、その素材強度を半年乃至
二年程度は十分に維持させることができ、かつ、やがて
は徐々に分解・腐食して遂には土に帰することから、腐
食性の繊維で編織して防腐処理したネットまたは防腐処
理した腐食性繊維で編織したネットの何れであっても、
腐食の進行を相当期間遅れさせ得ることから、これも法
面の緑化工法に好適に使用できる。尚、腐食性繊維に対
する防腐の処理としては、撥水剤や接着剤による表面撥
水の処理が一般的であるが、腐食性繊維の分解・腐食は
バクテリアの存在によるものでもあることから、腐食性
繊維自体あるいは腐食性繊維で編織したネットを、防カ
ビ剤や防バクテリア剤、防腐剤などに浸漬又は塗布させ
る防腐処理も好適に実施可能である。
【0016】上記の撥水処理の対象となる腐食性の素材
としては、動物性や植物性、化学性など種々のものがあ
るが、例えば動物性の素材としては皮や毛、植物性の素
材としては綿や麻、パルプといった天然繊維が代表的で
ある。また、化学性素材としては薬品で易腐食化したポ
リオレフィン系の素材や、ビスコースレーヨンなどの再
生繊維、その他微生物分解性プラスチックや光分解性プ
ラスチックがある。
【0017】微生物分解性のプラスチックとしては、例
えば商品名トーン(米国AMKO社製)や商品名プルラ
ン(林原株式会社製)、商品名ソア・フィル(三菱レー
ヨン株式会社製)等がある。光分解型プラスチックとし
ては、例えば商品名ポリグレイド(米国アンベイス社
製)や商品名プラスチゴン(米国アイデアマスターズ社
製)等がある。
【0018】例えば再生繊維であるビスコースレーヨン
を撥水処理するには、ビスコースレーヨン製造装置から
繰り出されたビスコースレーヨンを乾燥機に通して予備
乾燥させ、次いで撥水処理槽内の撥水剤に潜らせ、ある
いは、撥水剤をシャワリングやスプレーなどの手段でビ
スコースレーヨンに塗布させ、かつ、絞り用ローラで撥
水剤を適宜絞って別の乾燥機で乾燥処理し、次いでキュ
アリング装置で例えば150℃で3分間または 170℃で1
分間のキュアリング処理を行い、これを巻き取る形態を
とることができる。尚、上記の撥水剤としては、例えば
商品名アサヒガードAG−310やAG−433(何れ
も旭硝子株式会社製)の5〜7%溶液が用いられる。
【0019】このようにして撥水処理されたビスコース
レーヨンは、撥水の処理前とは異なり、湿潤時における
強度低下が小さく、上述した強力レーヨンとほゞ同等の
特性を持つようになる。そして、このように撥水処理さ
れたビスコースレーヨンを用いて植生用ネットを編織す
るのであるが、撥水処理をする前のビスコースレーヨン
によって植生用ネットを編織してから、これを撥水処理
する形態も実施可能である。
【0020】撥水処理されたネットの腐食度合いと引張
強度を調べるために、次のような実験を行った。即ち、
撥水処理しない2000デニールのビスコースレーヨン
によって二枚のネットを編織すると共に、一方のネット
のみを上記したアサヒガードAG−310のスプレーに
よって撥水処理し、これらを1989年9月に、1割2
分勾配の南向き法面に敷設して、敷設後における腐食の
度合いと引張強度について調べたところ、表1のような
結果が得られた。
【0021】
【表1】
【0022】表1から明らかなように、撥水処理を施し
たネットは、半年を経過しても引張強度は当初の96%
程度を維持しており、還元すれば腐食の度合い(即ち引
張強度の低下度合い)は4%程度であって、腐食が殆ど
進行していないことが判明した。そして、時間の経過と
共に腐食がやゝ進行するものの、一年を経過しても引張
強度は当初の90%程度を維持(腐食の度合いは10%
程度)し、二年経過の時点で急激に引張強度が低下する
ものの、引張強度の低下度合いは未だ40%程度であっ
て未だ十分な引張強度を有しており、このような特性を
有するネットは、上記した強力レーヨン製の植生用ネッ
トと同等の機能を持つものであると言っても過言でな
く、即ち、ビスコースレーヨンを撥水処理した植生用ネ
ットであっても法面の緑化保護が永続的に維持されるこ
とが容易に理解される。
【0023】上記の撥水処理はビスコースレーヨンを対
象にしたものであるが、上述した微生物分解性プラスチ
ックや光分解性プラスチックなど各種の腐食性素材を撥
水処理の対象にしたり、これらの腐食性素材によって編
織した植生用ネットを撥水処理の対象にすることができ
る。尚、撥水の処理対象がセルロース系以外の他の化学
繊維である場合は、例えば上記した商品名アサヒガード
AG−710やAG−730などの3〜5%溶液が好適
であるが、処理対象によっては、その他シリコン系やフ
ッ素系、ワックス系の撥水剤なども好適に実施可能であ
る。
【0024】上述の説明から理解されるように、腐食性
の繊維であっても撥水処理を施すことによって、法面へ
の敷設後所定の期間内は所望の強度を維持させることが
できると共に、期間経過後において徐々に腐食させるこ
とができるのであるが、このような特性を持たせるため
の撥水処理に接着剤を用いることも可能であり、この接
着剤として、例えばアクリル樹脂系の商品名ポリゾール
A−403−2やAT−130、その他AP−6710
(何れも昭和高分子株式会社製)などを選択でき、これ
らを2〜3倍に希釈して、これを腐食性素材そのものや
腐食性素材で編織された植生用ネットに塗布させたり浸
漬させたりすればよい。
【0025】上述したように、腐食はバクテリアの存在
によるものでもあることから、腐食性繊維そのもの或い
は腐食性繊維で編織された植生用ネットに、商品名ベン
レート(デュポン社製)や商品名トップジンM(日本槽
達株式会社製)、その他商品名キシラモンEX(武田薬
品工業株式会社製)などの防カビ剤、防バクテリア剤、
防腐剤などを塗布させたり或いは浸漬させたりしても、
これを法面の緑化工法に好適に用いることができる。
【0026】腐食性繊維と合成繊維とから成る混紡繊維
を素材にして上記構成の植生用ネットを編織したもので
あっても、これを法面緑化の工法に好適に使用できる。
即ち、上記の合成繊維は分解腐食されることはないが、
植物種子が発芽して成長する頃には微生物によって腐食
性繊維が分解腐食されて土壌と同質化されることから、
植生用ネットの全体が半永久的に法面に残ることがな
く、従って公害問題が抑止されることから好適に実施で
きるのである。
【0027】この混紡繊維の腐食性繊維としては、微生
物によって経時的に分解腐食される例えば綿、絹、麻な
どの天然繊維やビスコースレーヨンなどの生分解性化学
繊維などを選択でき、合成繊維としては、微生物では分
解されることなく半永久的に所定の引張強度が確保され
る例えばポリビニールアルコールなどのビニロン系、ポ
リエステルなどのポリエステル系、ナイロンなどのポリ
アミド系、及び、アクリルなどのポリアクリルニトリル
系などの合成繊維を選択できる。
【0028】この混紡繊維の組成としては、腐食性繊維
60〜80%と合成繊維40〜20%の割合で混合した
ものが好ましい。即ち、腐食性繊維の配合比率を80%
以上とする場合には、微生物による腐食性繊維の分解腐
食が良好に行われるものの、合成繊維の配合比率が20
%以下となって、植生用ネットを法面に張設させた状態
での植生基材に対する保持力が不足し、合成繊維を40
%以上の配合比率にすると、ネット自体の強度はアップ
するものの法面への合成繊維の残存量が多くなって、環
境良化の寄与度が低くなるからである。
【0029】次に、腐食性繊維としてビスコースレーヨ
ンを、合成繊維としてポリエステルを用い、これら両者
をビスコースレーヨン70%に対してポリエステルを3
0%の比率で配合した混紡繊維と、その比較例としてビ
スコースレーヨンを単独使用した場合の引張強度につい
て試験を行ったところ、表2に示す結果が得られた。
尚、両者の引張試験は、微生物の活性が高くて、繊維の
分解腐食による強度低下が最も起こり易い7月に開始し
た。
【0030】
【表2】
【0031】表2から明らかなように、比較例として用
いたビスコースレーヨンは、約2か月を経過すると引張
強度が0となったのに対し、混紡繊維においては、敷設
時から徐々に微生物による分解腐食で強度低下が起こる
ものの、1年半経過時の引張強度が1.2Kgもあるこ
とが判明した。尚、引張強度が0.5Kg以上あれば、
法面に敷設した植生用ネットによって植生基材の凍上や
崩壊を十分に防止できることから、引張強度が1.2K
gもあれば法面の保護が十分に達成される。
【0032】また、ビスコース溶液に高分子エマルジョ
ン又は水溶性ポリマーの少なくとも一方を内添してなる
混繊レーヨンを素材にして上記構成の植生用ネットを編
織したもの法面の緑化工法に好適に使用できる。即
ち、前記ビスコース溶液に内添される微生物で腐食され
難いエマルジョンやポリマーは、混繊レーヨンの腐食に
伴い分解されてしまうことから、植生用ネットが法面な
どに半永久的に残ったりして公害問題を招いたりするこ
となく、環境緑化に寄与することができる。
【0033】この混繊レーヨンとしては、微生物によっ
て分解腐食される再生セルロースから成るビスコース溶
液に、微生物では分解腐食されず且つレーヨンの分解腐
食による強度低下を補うことのできる高分子エマルジョ
ン(例えば酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、エチレン酢
酸ビニル樹脂など)と、水溶性ポリマー(例えばポリビ
ニルアルコール、ポリアクリルアマイドなど)の何れか
一方を、ビスコース溶液の段階で内添させたもの、ある
いは、エマルジョンとポリマーとの両者を内添させたも
のが使用される。混繊レーヨンの組成としては、ビスコ
ース溶液に高分子エマルジョンや水溶性ポリマーを2〜
15%の割合で内添させたものが好ましい。
【0034】尚、ビスコース溶液には、本来多量の水酸
基が含まれているが、このビスコース溶液にエマルジョ
ンやポリマーを内添させることによって混繊レーヨン全
体としての水酸基量は少なくなり、従って、この混繊レ
ーヨンによって植生用ネットを編織したときの水分吸収
が少なくなることから、微生物による分解腐食を効果的
に抑制させることができる。
【0035】高分子エマルジョンとして酢酸ビニル樹脂
エマルジョンの5%をビスコース溶液に内添させた10
00デニールの混繊レーヨンと、その比較例として10
00デニールのビスコースレーヨンを単独使用した場合
の引張強度について試験を行ったところ、表3に示す結
果が得られた。尚、両者の引張試験は、前述した場合と
同様に、微生物の活性が高くて、繊維の分解腐食による
強度低下が最も起こり易い7月に開始した。
【0036】
【表3】
【0037】表3から明らかなように、比較例として用
いたビスコースレーヨンは、約2か月を経過すると引張
強度が0となったのに対し、混繊レーヨンにおいては、
敷設時から徐々に微生物による分解腐食で強度低下が起
こるものの、1年経過時の引張強度が0.6Kgもあ
り、従って、この混繊レーヨンにより編織した植生用ネ
ットによっても法面の保護が好適に達成されることが理
解できる。
【0038】以下、それぞれ一重のネットによる変形構
成の植生用ネットNを図3乃至図5に示す。図3に示す
植生用ネットNは、大小の第1及び第2ループ6a,6bを
互いに連ねる状態で経糸方向に繰り返し形成し、この内
の第2ループ6bを材料収納袋7a,7bの支承部とし、第1
ループ6aを法面8に対する接触係止部材としている。図
4に示す植生用ネットNは、上記した袋支承部を構成す
る程度の大きさのループ6を経糸方向で適宜間隔毎に形
成したものであって、所定間隔毎のループ6を材料収納
袋7a,7bの支承部とし、残りのループ6を法面8に対す
る接触係止部材としている。
【0039】図5に示す植生用ネットNは、緯糸3,4
の目合いピッチを経糸方向で適宜間隔毎に異ならせて、
経糸方向で疎密を繰り返す横縞模様を形成するようにネ
ットを編織し、この編織に際して、一本の緯糸3を疎な
るネット部分nから遊離させつつ当該緯糸3を密なる
ネット部分nに編み込んで、この遊離させた緯糸31
と残りの経緯糸1,2,4によるネット(疎なるネット
部分n)5とによってネット裏面側に大きなループ6
を繰り返し形成している。尚、上記構成では緯糸3を密
なるネット部分nの全域に編み込んでいるが、当該緯
糸3を密なるネット部分nの限られた範囲に編み込ん
だり、疎密のネット部分n,nの適宜部位に編み込
んだりして、図2〜4に示した形態のループ6、6a,
6bをとることが可能である。
【0040】以上は一重のネット構成によるものである
が、二重のネット構成による植生用ネットNの一例を図
6に示す。この植生用ネットNは、鎖編みされる二本の
経糸(例えばモノフィラメント)1,2と、二本の緯糸
(例えばモノフィラメントとフラットヤーン)3,4と
によって、それぞれフロントネット12とバックネット
13を編みつつ当該両ネット12,13を互いに重ね合
わせるように編織して成るもので、この編織に際して、
経糸方向に適宜間隔を隔てて植生材料収納袋7a,7b
の支承部14を緯糸方向の袋状に形成すると共に、更
に、この支承部14,14間でのバックネット部分の編
織に際して、二本の緯糸3,4を経糸1,2から遊離さ
せて、この遊離緯糸31,41バックネット13とに
よってネット裏面側に大きなループ6を繰り返し形成し
ている。
【0041】尚、この二重ネットの構成による植生用ネ
ットNにおいて、前記遊離緯糸31,41によるループ
6を支承部14,14間の全体にわたって形成している
が、支承部14,14間の或る限られた範囲だけに形成
したり、あるいは、例えば2個のループ6を支承部1
4,14間に形成する等の変更が可能である。また、図
2〜5に示す実施例では一本の緯糸3を経糸1,2から
遊離させ、図6に示す実施例では二本の緯糸3,4を遊
離させて、これらの遊離緯糸31,41をループ糸とし
て適宜ループ6、6a,6bを形成しているが、経糸の
一本を遊離させたり、あるいは、例えば経糸を三本にし
てこの内の一本をネット部分から遊離させたりして、こ
れらをループ糸として適宜ループ6、6a,6bを形成
することも可能であり、更には、一重又は二重のネット
を編織する際に同時に、ループ形成のための専用のルー
プ糸を経糸方向に適宜間隔を隔てて編み込んで、このル
ープ糸によって所定のループ6、6a,6bをネット裏
面側に形成させる形態をとることも可能である。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように第1及び第2発明の
何れにおいても、法面に対するネットの固定部材として
機能するループ糸を植生用ネットの裏面側に設けたこと
で、法面に対する植生用ネットの張設強度が高くなり、
又はアンカーや止め釘の使用本数を減らしても従来通り
のネット張設強度を得ることができる。あるいは、ルー
プ糸の機能でネット張設の強度が高くなることから、例
えば凹凸のある法面を植生用ネットの張設対象にした場
合であっても、特にアンカーや止め釘の本数を増やすこ
となく植生用ネットを法面に強固に張設させることがで
きる。一方、法面に張設された植生用ネットのループ糸
に植生基材や法面表土が絡むようにして保持されること
で、植生基材や法面表土の流亡が効果的に防止されるこ
とになり、全体として、植生用ネットの法面に対する施
工性の大幅なる向上と、植生基材や法面表土の効果的な
流失防止が達成される植生用ネットを提供できるに至っ
たのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】一重のネット構成による植生用ネットの編織形
態を示す部分平面図である。
【図2】法面の緑化処理状態を示す説明図である。
【図3】第1別実施例の植生用ネットによる法面緑化の
説明図である。
【図4】第2別実施例の植生用ネットによる法面緑化の
説明図である。
【図5】第3別実施例の植生用ネットによる法面緑化の
説明図である。
【図6】二重ネットの構成の植生用ネットによる法面緑
化の説明図である。
【図7】従来例の植生用ネットによる法面緑化の説明図
である。
【符号の説明】
1,2…経糸、3,4…緯糸、31,41…遊離緯糸、
6,6a,6b…ループ、6b,14…支承部、8…法
面、12…フロントネット、13…バックネット。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 経糸と緯糸とによって編織される一重の
    ネットの裏面側に、当該ネットとによってループを形成
    するループ糸を、ネットの編織と同時に経糸方向に適宜
    間隔を隔てて編み込み、当該ループ糸を法面に対する接
    触係止部材としてあることを特徴とする植生用ネット。
  2. 【請求項2】 前記緯糸の目合いピッチを経糸方向で適
    宜間隔毎に異ならせて、前記一重のネットに経糸方向で
    疎密を繰り返す横縞模様を形成してある請求項1に記載
    された植生用ネット。
  3. 【請求項3】 前記接触係止部材となるループとは別に
    当該ループ間に、植生材料収納袋の支承部となる第2の
    ループを、前記一重のネットとループ糸とによって形成
    してある請求項1または2に記載された植生用ネット。
  4. 【請求項4】 それぞれ経糸と緯糸とから成るフロント
    ネットとバックネットとを編みつつ当該両ネットを互い
    に重ね合わせるように編織し、この編織に際して、経糸
    方向に適宜の間隔を隔てて植生材料収納袋の支承部を
    糸方向の袋状に形成すると共に、この支承部間のバック
    ネット側の裏側に、フロントネットあるいはバックネッ
    トの緯糸の一部を遊離させた遊離緯糸を、経糸方向に、
    適宜間隔を隔てて編み込んでバックネットとによってル
    ープを形成し、当該ループ糸を法面に対する接触係止部
    材としてあることを特徴とする植生用ネット。
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