JP2003105766A - 法面の緑化植生工法 - Google Patents

法面の緑化植生工法

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JP2003105766A
JP2003105766A JP2002203721A JP2002203721A JP2003105766A JP 2003105766 A JP2003105766 A JP 2003105766A JP 2002203721 A JP2002203721 A JP 2002203721A JP 2002203721 A JP2002203721 A JP 2002203721A JP 2003105766 A JP2003105766 A JP 2003105766A
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weft
weaving
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Michihei Sakate
三千兵 坂手
Mitsuo Taniguchi
美津男 谷口
Tomofumi Matsumoto
奉文 松本
Hiroyuki Komabashiri
裕之 駒走
Shuhei Matsumoto
収平 松本
Hiroshi Aoki
宏 青木
Kazuji Tokura
和司 戸倉
Toshikazu Horie
利和 堀江
Kenji Onishi
健司 大西
Tetsuo Mori
哲夫 森
Toshihiko Suzuki
敏彦 鈴木
Sadao Muto
貞夫 武藤
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Nisshoku Corp
Original Assignee
Nisshoku Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ネットの滑り防止や植生基材、法面表土の流
れ防止の機能を有する植生ネット、或いは、ネット上部
の植生基材層を三次元的に保持できる法面の緑化植生工
法を提供する。 【解決手段】 経糸3と緯糸4とによって編織される一
重のネット5の裏面部に、この裏面部とによってループ
を形成するように、ネット編織用とは別の緯糸4Bをネ
ット5の緯糸方向に編織して、この編織緯糸4Bのネッ
ト5とは遊離した部分を係止部材6とし、このネット5
を、前記係止部材6が設けられた裏面部を法面N側にし
て敷設する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば法面の緑
化工法に用いられる緑化用の植生ネット及び植生基体に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、道路建設や土地造成などに形
成される山腹の法面などには、その保護と景観を維持す
るために、緑化工法を施すことが行われている。この緑
化工法の一つとして、経糸と緯糸とから成る植生ネット
をアンカーや止め釘などを用いて法面に張設し、かつ、
有機堆肥、化学肥料、植物性繊維、保水剤、土壌改良材
などを配合した植物種子を含む植生基材を、上記のネッ
トを覆うように吹き付ける緑化工法がある。
【0003】或いは、植生ネットとして、経糸方向に適
宜の間隔を隔てて袋収納部を備えたものを用い、この袋
収納部に植生材料の収容袋を収納させて植生基体と成
し、これを法面に張設し、かつ、このネットを覆うよう
に、植物種子を混合した植生基材を吹き付ける緑化工法
もあり、これらによる法面の緑化工法にあっては、法面
に吹き付けた植生基材が植生ネットの目に絡むことで、
この植生基材の流亡が効果的に防止されるとされてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、法面に吹き
付けられた植生基材の層は、ネットの目を通して互いに
連結されてはいるが、実質的には、ネットによって上下
に二分された状態にあって、ネット下部側の植生基材層
は、法面とネットとによって拘束されてはいるものの、
その基材層と法面との間に隙間が形成された場合に、そ
の部分で植生基材や法面表土が流れてしまうことがあっ
た。また、植生ネット自体の滑り防止を強固に図る上
で、アンカーや止め釘の多数本を必要としたのである。
【0005】一方、ネット上部側の植生基材層は、二次
元的な平面のネットに乗り掛かっているだけの状態にあ
ることから、乾燥によりクラックが発生したり、強い降
雨等によって植生基材層が流失したりすることがあっ
た。
【0006】この他の課題として、緑化用の植生基体を
構成するための袋収納部を備えた植生ネットとして、従
来は、二重のネットを用いて、この二重のネット間
に、緯糸と平行になるように袋収納部を形成したり、
特開平6−185061号公報に示されるように、ネッ
トとして一重(一枚もの)のものを用い、このネットの
一方の側に、一部の経糸を潜らせるようにして、緯糸と
平行になるように袋収納部を形成したりしていたが、上
記の手段では、ネットとして二重のものを用いるた
め、ネットの製造材料である糸を多く必要とし、加え
て、その製作工程が複雑であるなど製造コストが嵩むと
いった問題があった。
【0007】上記の手段においては、の手段のよう
な問題はないものの、植生材料の収容袋をネットの経糸
を潜らせるだけであるため、植生ネットに対する植生材
料収容袋の保持が必ずしも確実ではなく、かつ、植生材
料の収容袋を袋収納部に収納させ難い問題もあった。
【0008】本発明は、上述の事柄に留意してなされた
もので、第1発明では、ネットの滑り防止や植生基材、
法面表土の流れ防止の機能を有する植生ネット、或い
は、ネット上部の植生基材層を三次元的に保持できる植
生ネットを提供することを目的とし、これに加えて、第
2発明では、袋収納部を備えた植生ネットを、構成が簡
単でコスト的に安価であり、しかも、植生材料収容袋の
収納が容易かつ確実なものにして提供することを目的と
している。そして、第3発明では、第2発明による植生
ネットを用いて、緑化用の植生基体を安価に提供するこ
とを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、第1発明では、緑化用の植生ネットとして、経糸と
緯糸とによって編織される一重のネットの表裏少なくと
も一方の面部に、この面部とによってループを形成する
ように、ネット編織用とは別の緯糸をネットの緯糸方向
に適宜の間隔を隔てて編織して、この編織緯糸のネット
とは遊離した部分を係止部材としている。
【0010】上記の構成の植生ネットにおいて、ネット
とは遊離した緯糸方向の係止部材を、植生ネットの裏面
部(法面側)に備えさせた場合は、これが法面に露出し
た石礫などに係止することで、植生ネットの位置ずれ防
止の機能を発揮し、また、吹き付けた植生基材について
は、これが流れたとしても係止部材に引っ掛かって絡む
ことで、かつ、法面表土についても、これが係止部材に
絡むことで、これらの流失が防止される。
【0011】或いは、ネットとは遊離した緯糸方向の係
止部材を、植生ネットの表面部に備えさせた場合は、こ
の係止部材に植生基材が絡むことで、この係止部材とネ
ットとによって植生基材が三次元的に保持されるように
なり、ネット上部側の植生基材層に乾燥によるクラック
が発生したり、強い降雨等によって植生基材層が流失し
たりすることが防止される。係止部材を植生ネットの表
裏両面に備えさせた場合は、上記の効果が相乗すること
は言うまでもない。
【0012】第2発明による緑化用の植生ネットは、経
糸と緯糸とによって編織される一重のネットに、植生材
料収容袋を収納するための袋収納部を編織して成るもの
であって、一重のネットに、一重のネットと二重構造に
なるように、ネット編織用とは別の経糸と緯糸とをネッ
トの経糸方向に適宜の間隔を隔てて編織して、この編織
部分と一重のネット部分とによって、緯糸方向で連続し
た二重のネット構造の袋収納部を形成し、更に、一重の
ネットの表裏少なくとも一方の面部に、この面部とによ
ってループを形成するように、ネット編織用とは別の緯
糸をネットの緯糸方向に適宜の間隔を隔てて編織して、
この編織緯糸のネットとは遊離した部分を係止部材とし
ている。
【0013】上記構成の植生ネットにあっては、一重の
ネットにネット編織用とは別の経糸と緯糸とを編織して
袋収納部を形成して、植生ネットそのものを実質的に一
重としているので、上記した効果を備えることに加え
て、植生ネットの構成が簡単で製作が容易であり、か
つ、安価なものとなる。また、袋収納部がネットの緯糸
方向で連続する構成であるので、この袋収納部に対する
植生材料収容袋の収納が容易であり、その収容袋の保持
も確実に行われる。
【0014】一重のネットに袋収納部を形成するには、
例えば、一重のネットの編織に際して、緯糸方向で複数
本置きの複数本のネット編織用経糸に、これらと経糸グ
ループを形成するように、それぞれ袋収納部編織用の経
糸を引っ掛け連結し、各グループの複数本の袋収納部編
織用の経糸を、袋収納部編織用の第1緯糸によって網目
状に連結し、かつ、各グループの緯糸方向一方の袋収納
部編織用の端部経糸に、袋収納部編織用の第2緯糸を絡
めておき、一重のネットを所定目合い編織する度に、上
記経糸どうしの引っ掛け連結を止めて、一重のネットの
更なる編織を所定の目合い数にわたって継続し、この継
続編織の間、端部経糸に絡めた第2緯糸を、これを絡め
ていた経糸と隣の経糸グループの端部経糸とにわたって
繰り返しジャンプ連結させることで、このジャンプ連結
させた第2緯糸と経糸を網目状に連結した第1緯糸、及
び、これらに相対峙する一重のネット部分とによって、
経糸どうしの非連結部に、緯糸方向で連続する袋収納部
を形成することができる。
【0015】この袋収納部を備えた植生ネットに係止部
材を形成するには、上記の更なるネットの継続編織後に
おいて、経糸どうしを連結する一重のネットの所定目合
いの編織の間に適宜、一重のネット面部とによってルー
プを形成するように、端部経糸に絡めた第2緯糸を、こ
れを絡めていた経糸と隣の経糸グループの端部経糸とに
わたって繰り返しジャンプ連結させることで、この編織
緯糸のネットとは遊離したジャンプ部分によって係止部
材を形成することができる。
【0016】或いは、上記した各グループの緯糸方向両
側の袋収納部編織用の端部経糸に、袋収納部編織用の第
2緯糸を絡めておいて、この第2緯糸を、これを絡めて
いた経糸と隣の経糸グループの端部経糸とにわたって繰
り返しジャンプ連結させることによっても、第2緯糸を
クロスさせる状態で、袋収納部と係止部材とを形成する
ことができるのであり、即ち、袋収納部編織用の緯糸を
適宜ジャンプ連結させるだけで、袋収納部ならびに紐状
緯糸を備えた植生ネットを、容易かつ安価に製作するこ
とができるのである。
【0017】そして、本発明による緑化用の植生基体
は、上記構成の袋収納部を備えた植生ネットを用いて、
これの袋収納部に植生材料の収容袋を収納させて成るも
のであって、上記構成の植生ネットを用いることから、
ネットの位置ずれ防止機能や法面表土ならびに植生基材
の保持機能を有せしめ得る植生基体を、植生材料収容袋
を確実に保持できるものにして、安価に提供することが
できる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1(A)は緑化用植生ネット1
の表面側を示し、同図(B)は裏面側を示している。
【0019】この植生ネット1は、例えば図8に示すよ
うに、植物種子を含む植生基材2を法面Nに吹き付ける
緑化工法に用いられるもので、ここで言う緑化用植生ネ
ット1の裏面側とは法面Nへの張設側の面である。
【0020】この緑化用の植生ネット1は、図2にも示
すように、経糸3と緯糸4とによって一重のネット5を
編織する際に、経糸方向に適宜の間隔を隔てて一重のネ
ット5の裏面部に、この面部とによってループを形成す
るように係止部材6を形成して成るもので、経糸3と緯
糸4の素材としては、ポリエチレンやポリプロピレンな
どのように耐腐食性に優れたものや、麻やジュートなど
の植物性繊維あるいはビスコースレーヨンなどのように
比較的短期間で腐食されるようなものなど、従来からの
素材のほかに、次のような素材を好適に用いることがで
きる。
【0021】すなわち、強力レーヨンや、防腐処理を施
した種々の腐食性素材(これらの素材およびこれを用い
た植生ネットとしては、特公平6−99918号公報に
示されるものがある)や、腐食性繊維と合成繊維とから
成る混紡繊維や、高分子エマルジョンまたは水溶性ポリ
マーのうち少なくとも一方をビスコース溶液に内添した
混繊レーヨン(これらの素材を用いた植生ネットおよび
これを用いた植生ネットとしては、特公平7−5399
4号公報に示されるものがある)、その他、生分解生プ
ラスチックによる繊維などのように、腐食時期を調整で
きるようにした素材を好適に用いることができる。
【0022】係止部材6を備えた植生ネット1の製造手
順の一例を、図3〜図5を参照して説明すると、ネット
編織用の経糸3として、例えばポリエチレンよりなる2
00〜2000デニール程度のモノフィラメントを用
い、緯糸4として、例えばポリエチレンよりなるよりな
る300〜3000デニール程度のテープ状のフラット
ヤーンを用いて、植生ネット1をラッシェル織機により
次のように編織する。
【0023】即ち、目合いの大きさが15mm×15m
mで、緯糸方向の幅が約100cmの植生ネット1を編
織するものとして、先ずは、モノフィラメントを数本を
鎖編みした鎖糸をネット編織用の経糸3にして、これの
65本を15mm間隔にして、これにフラットヤーンか
ら成るネット編織用の緯糸4を順次絡ませて、15mm
×15mmの目合いで一重のネット5を編織するのであ
る。
【0024】この一重のネット5の編織に際して、端部
の1目合い分の2本のネット編織用の経糸3A,3A
と、これから6目合い置きで1目合い分毎の2本のネッ
ト編織用経糸3A,3Aを特定して、これらと経糸グル
ープを形成するように、この経糸3A,3Aに、ネット
編織用とは別の例えばモノフィラメントから成る係止部
材編織用の経糸3B,3Bを引っ掛け連結し、各経糸グ
ループの経糸3B,3Bについては、これらを例えばフ
ラットヤーンから成る係止部材編織用の第1緯糸4Aに
よって編目状に連結する。
【0025】一方、一端側の経糸グループを除いて、残
りの経糸グループの緯糸方向一方の端部経糸3Bに、例
えばフラットヤーンから成る係止部材編織用の第2緯糸
4Bを、図6に示したように、ループを形成するように
絡めさせておき、一重のネット5の所定の目合い数の編
織毎に、上記経糸3A,3Bどうしの引っ掛け連結を止
めて、一重のネット5の編織を継続するのである。
【0026】上記のネット編織用の経糸3A,3Aに係
止部材編織用の経糸3B,3Bを引っ掛け連結するの
は、一重のネット5の例えば7目合い程度であり、引っ
掛け連結を止めるのは、一重のネット5の例えば3目合
い程度であって、引っ掛け連結を止めた部分には、一重
のネット5とは遊離した状態で、第1緯糸4Aによって
編目状に連結された経糸3B,3Bが帯状に存すること
になる。
【0027】そして、上記の経糸3A,3Aと経糸3
B,3Bとを引っ掛け連結しない間での一重のネット5
の継続編織に際して、各経糸グループにおける係止部材
編織用の第2緯糸4Bを、それまで絡めていた経糸3B
と、緯糸方向一方側に隣る経糸グループの端部経糸3B
とにわたって、繰り返しジャンプ連結させて、このジャ
ンプ連結させた第2緯糸4Bとネット5とによって、一
重のネット5のネット裏面部にループを形成するのであ
り、このループを形成する緯糸4Bの内、ネット5とは
遊離した緯糸部分を係止部材6とするのであって、以上
の編織の繰り返しにより、目合いが15mm×15mm
の一重のネット5の裏面部に、経糸方向に適宜の間隔を
おいて、係止部材6が形成された植生ネット1が製造さ
れるのである。
【0028】この実施の形態では、係止部材6を形成す
るための緯糸4Bを、上記の特定させた隣り合うネット
編織用の経糸3A,3Aにわたって、一重のネット5の
半目合いのピッチでジャンプ連結させているが、このピ
ッチよりも疎になるように、例えば一重のネット5の1
目合いピッチや2目合いピッチなどでジャンプ連結させ
るようにしてもよいのである。
【0029】緯糸4Bのジャンプ連結に際して、この緯
糸4Bを、図6に示したように、ループを形成するよう
にネット編織用の経糸3Aに絡めて、タイトな組織を構
成させているので、植生ネット1のひきつりが効果的に
防止されて好適であるが、図7に示すように、緯糸4B
を単に1回だけ、ネット編織用の経糸3Aに絡めるよう
に挿入係止させてもよいのであり、この場合は、ルーズ
な組織を構成できることから、植生ネット1をフレキシ
ブルなものにすることができる。
【0030】法面Nの緑化に際しては、図8に示すよう
に、上記の植生ネット1を、それの係止部材6を法面N
側に向けて、アンカー8や止め釘9を用いて張設し、か
つ、肥料、土壌改良剤、保水剤など植物の生育に直接的
または間接的に必要な植生材料に植物種子を混合した植
生基材2を、これを例えばゲル状にして適宜の吹付け機
によって、植生ネット1を覆うように吹き付けるのであ
るが、この際、一重のネット5とは遊離して弛んでいる
係止部材6が、法面Nに露出した石礫などに係止して、
植生ネット1の位置ずれ防止の機能を発揮することか
ら、ネット張設用のアンカー8や止め釘9の使用本数を
少なくしても、法面Nに対する植生ネット1の滑り防止
が強固に達成される。
【0031】また、植生基材2と法面Nとの間に隙間が
形成されて、法面表土が流れる事態が生じたとしても、
これが係止部材6に引っ掛かって絡むことで、法面表土
の流失が効果的に防止されるのであり、かつ、植生基材
2についても、これが係止部材6に絡むことで、流失が
効果的に防止されるのである。
【0032】上記の緯糸4Bによる係止部材6を、一重
のネット5の裏面部に形成することに限られるものでは
なく、図9に示すように、係止部材6を一重のネット5
の表面部に形成して、これをアンカー8や止め釘9を用
いて張設し、かつ、植物種子を混合した植生基材2を吹
き付ける緑化工法をとってもよいのである。
【0033】かゝる工法においては、植生ネット1に吹
き付けた植生基材2がネット上で係止部材6に絡んで、
この係止部材6とネット5とによって植生基材2が三次
元的に保持されることから、ネット上部側の植生基材層
に乾燥によるクラックが発生したり、強い降雨等によっ
て植生基材2が流失したりすることが防止される。
【0034】図10に示すように、係止部材6を一重の
ネット5の両面部に形成した場合は、法面Nに対する植
生ネット1の強固な滑り防止と、法面表土ならびに吹き
付け植生基材2の流失防止が効果的に達成されることは
言うまでもない。
【0035】この図10に示す植生ネット1において
は、ネット5の経糸方向に所定の間隔を隔てて、ネット
5の両面部に交互に係止部材6を形成しているが、係止
部材6をネット両面部の同じ位置に形成するようにして
もよい。
【0036】尚、図示はしないが、上記した三つの形態
の植生ネット1に対して、それの裏面側に植生種子を担
持させたシートを設けて、これを植生基体と成し、この
植生基体を、それのシートを法面側に向けてアンカーや
止め釘により法面に張設し、かつ、この植生基体に例え
ばゲル状にした植生基材を吹き付けることによっても、
法面の緑化を効果的に達成することができる。
【0037】この時、植生ネット1のシート付設側に、
ループによる係止部材6が形成されている場合は、施工
後において、植生ネット1からシートが剥離したとして
も、このシートに係止部材6が乗り掛かるように係止す
ることで、シートの位置ずれが防止されることになる。
【0038】上記の植生ネット1に設けられるシートと
しては、植物種子の発芽生育の妨げにならず、しかも、
水分により溶解するクレープ紙、高分子系フィルムある
いは澱粉系フィルム、寒冷紗付き水溶性紙、スフ綿、ス
フ系不織布、パルプ系不織布など各種の水溶性素材ある
いは水解性素材などを選択でき、好適には、スフによる
薄綿ラップをシートにして、このシートに、植物種子、
肥料、土壌改良剤などよりなる植生基材を、例えばポリ
ビニルアルコール(PVA)のような水溶性糊剤によっ
て付着保持させ、かつ、このシートを、上記の水溶性糊
剤と同様の水溶性糊剤を用いて、植生ネット1の裏面側
に係着させることである。
【0039】上記の緑化工法に代えて、図11及び図1
2に裏面側から見て示すように、一重のネット5の裏面
部に、それの経糸方向に適宜の間隔を隔てて、係止部材
6と袋収納部10とを交互に備えさせて植生ネット1を
形成し、これの袋収納部10に植生材料の収容袋11を
収納させて、緑化用の植生基体12を構成し、この植生
基体12を、図15に示すように、アンカー8や止め釘
9を用いて法面Nに張設し、かつ、この植生基体12に
例えばゲル状にした植生基材2を吹き付けることによっ
ても、法面Nの緑化を効果的に達成することができる。
【0040】この工法に用いる植生ネット1の製造手順
の一例を、図13及び図14に基づいて説明すると、上
記した実施の形態と同じように、ネット編織用の経糸3
として、例えばポリエチレンよりなる200〜2000
デニール程度のモノフィラメントを用い、緯糸4とし
て、例えばポリエチレンよりなるよりなる300〜30
00デニール程度のテープ状のフラットヤーンを用い
て、植生ネット1をラッシェル織機により次のように編
織する。
【0041】即ち、目合いの大きさが15mm×15m
mで、緯糸方向の幅が約100cmの植生ネット1を編
織するものとして、先ずは、モノフィラメントを数本を
鎖編みした鎖糸をネット編織用の経糸3にして、これの
65本を15mm間隔にして、これにフラットヤーンか
ら成るネット編織用の緯糸4を順次絡ませて、15mm
×15mmの目合いで一重のネット5を編織(図示はし
ないが、このようにして編織されたネットは、図4に示
した一重のネット5そのものである。)するのである。
【0042】この一重のネット5の編織に際して、端部
の1目合い分の2本のネット編織用の経糸3A,3A
と、これから6目合い置きで1目合い分毎の2本のネッ
ト編織用経糸3A,3Aを特定して、これらと経糸グル
ープを形成するように、この経糸3A,3Aに、ネット
編織用とは別の例えばモノフィラメントから成る袋収納
部編織用の経糸3B,3Bを引っ掛け連結し、各経糸グ
ループの経糸3B,3Bについては、これらを例えばフ
ラットヤーンから成る袋収納部編織用の第1緯糸4Aに
よって編目状に連結する。
【0043】一方、一端側の経糸グループを除いて、残
りの経糸グループの緯糸方向一方の端部経糸3Bに、例
えばフラットヤーンから成る袋収納部編織用の第2緯糸
4Bを、図5に示したように、ループを形成するように
絡めさせておき、一重のネット5の所定の目合い数の編
織毎に、上記経糸3A,3Bどうしの引っ掛け連結を止
めて、一重のネット5の編織を継続するのである。
【0044】これまでのネット編織の形態は、図3〜図
5で示した一重のネット5の編織と何ら変わるものでは
なく、図3〜図5で称するところの係止部材編織用の経
緯糸を、袋収納部編織用の経緯糸3B,4A,4Bと称
しているだけであって、後述するように、この袋収納部
編織用の経緯糸3B,4A,4Bは、袋収納部10の他
に係止部材6をも編織するものである。
【0045】上記のネット編織用の経糸3A,3Aに袋
収納部編織用の経糸3B,3Bを引っ掛け連結するの
は、一重のネット5の例えば25目合い程度であり、引
っ掛け連結を止めるのは、一重のネット5の例えば6目
合い程度であって、引っ掛け連結を止めた部分には、一
重のネット5とは遊離した状態で、第1緯糸4Aによっ
て編目状に連結された経糸3B,3Bが帯状に存するこ
とになる。
【0046】そして、上記の経糸3A,3Aと経糸3
B,3Bとを引っ掛け連結しない間での一重のネット5
の継続編織に際して、各経糸グループにおける袋収納部
編織用の第2緯糸4Bを、それまで絡めていた経糸3B
と、緯糸方向一方側に隣る経糸グループの端部経糸3B
とにわたって、繰り返しジャンプ連結させて、経糸3
B,3Bを網目状に連結した第1緯糸4Aと繰り返しジ
ャンプ連結させた第2緯糸4B、及び、これらに相対峙
する一重のネット部分5Aとによって、経糸3A,3A
と経糸3B,3Bとの非連結部に、緯糸方向で連続する
袋収納部10を形成するのであり、以上の編織を繰り返
し行わせることで、目合いが15mm×15mmの一重
のネット5の裏面側に、経糸方向に適宜の間隔をおいて
袋収納部10が形成された植生ネット1が製造されるの
である。
【0047】そして更に、上記の更なる一重のネット5
の継続編織後において、即ち、上記の袋収納部10を形
成して後に、一重のネット5を所定の目合い数で編織す
る間に、上記の袋収納部編織用の第2緯糸4Bを、それ
まで絡めていた経糸3Bと、緯糸方向一方側に隣る経糸
グループの端部経糸3Bとにわたって、弛ませるように
繰り返しジャンプ連結させて、このジャンプ連結させた
緯糸4Bとネット5とによって、一重のネット5のネッ
ト裏面部にループを形成するのであり、このループを形
成する緯糸4Bの内、ネット5とは遊離した緯糸部分を
係止部材6とするのであって、以上の編織の繰り返しに
より、目合いが15mm×15mmの一重のネット5の
裏面側に、経糸方向に適宜の間隔をおいて、袋収納部1
0と係止部材6とが形成された植生ネット1が製造され
るのである。
【0048】上記構成の植生ネット1に対して、それの
袋収納部10に植生材料収容袋11を収納することで、
緑化用の植生基体12が構成されるのであるが、かゝる
構成の植生基体12にあっては、植生ネット1が殆ど一
重のネット5によって構成されているので、ネット全体
を二重構造にする手段に比較して、植生ネット1の製造
コストをダウンさせることができ、かつ、袋収納部編織
用の第2緯糸4Bを適宜ジャンプ連結させるだけで、係
止部材6ならびに袋収納部10が形成されるので、係止
部材6ならびに袋収納部10を備えた植生ネット1の製
作が容易かつ安価なものとなり、しかも、袋収納部10
に対する植生材料収容袋11の収納が容易であって、そ
の収容袋11の保持も確実に行われる。
【0049】この植生基体12に備えられる植生材料の
収容袋11は、肥料、土壌改良剤、保水剤など植物の生
育に直接的または間接的に必要な植生材料13を、降雨
などにより肥料養分が徐々に滲み出すような厚みと通気
性とを有するように、ポリビニールアルコールなどのビ
ニロン系やポリエステルなどのポリエステル系、ナイロ
ンなどのポリアミド系、アクリルなどのポリアクリルニ
トリル系などの不織布、その他、スフ系不織布、パルプ
系不織布、可溶性紙、生分解性プラスチックフィルムな
どの腐食性素材から成る袋14に収納して成るもので、
植生材料13には、必要に応じて植物種子が混入され
る。
【0050】法面Nの緑化に際しては、図15に示すよ
うに、予め工場で又は施工現場で、植生ネット1の袋収
納部10に植生材料収容袋11を収納させた植生基体1
2を、それの係止部材6を法面N側に向けて、アンカー
8や止め釘9を用いて張設し、かつ、植物種子を混合し
た植生基材2を、これを例えばゲル状にして適宜の吹付
け機によって、植生ネット1を覆うように吹き付けるの
であるが、この植生ネット1の裏面部には、一重のネッ
ト5とは遊離して弛んでいる係止部材6を形成している
ので、図7に示して既述したと同様に、この係止部材6
は、植生ネット1の位置ずれ防止の機能を発揮すること
から、ネット張設用のアンカー8や止め釘9の使用本数
を少なくしても、法面Nに対する植生ネット1の滑り防
止が強固に達成される。
【0051】また、吹き付けた植生基材2や法面表土が
係止部材6に引っ掛かって絡むことで、これらの流失も
効果的に防止されるのである。
【0052】そして、植生基体12を法面Nに張設させ
た状態では、袋収納部編織用の経糸3Bにジャンプ連結
させた緯糸4Bが、その他の糸とは離れているために、
この緯糸4Bが法面Nの凹凸に自在に馴染むことはもと
より、この緯糸4Bによって形成された袋収納部10も
法面Nによく馴染み、その結果、袋収納部10に収納さ
れた植生材料収容袋11が法面Nの凹凸面に密着するこ
とから、植生材料収容袋11は、所定の肥料養分を供給
するだけではく、堰き止め効果を発揮して法面Nの法面
表土のエロージョンを確実に防止するようになる。
【0053】図示はしないが、上記植生基材2の吹き付
けによる法面Nの緑化に際して、上記の植生材料10を
収容した収容袋11と、この植生材料収容袋11とは別
なる構成の植生材料収容袋、即ち、植生の発芽・成育の
妨げにならず、しかも、水分により溶解する高分子系フ
ィルムあるいは澱粉系フィルムまたは寒冷紗付き水溶性
紙、例えば商品名ボンリック(金星製紙株式会社製)な
どの可溶性素材による袋内に例えば牧草種子を収納した
植生材料収容袋とを、植生ネット1の袋収納部10に例
えば交互に収納させて、これを緑化用の植生基体12と
し、この植生基体12を法面Nに張設して、これに植生
基材2を吹き付けるようにしてもよいのである。
【0054】上記の実施の形態では、一重のネット5の
裏面部に、それの経糸方向に適宜の間隔を隔てて、係止
部材6と袋収納部10とを交互に備えさせ、この植生ネ
ット1の袋収納部10に植生材料収容袋11を収納させ
て、係止部材6を法面N側に向けて張設させているが、
この植生基体12を、それの表裏を逆にして法面Nに張
設させる緑化工法をとってもよいのである。
【0055】或いは、この表裏を逆にして植生基体12
を法面Nに張設させる緑化工法と同じようになるが、図
16に示すように、植生ネット1として、一重のネット
5の裏面側に袋収納部10を編織する際に、袋収納部編
織用の緯糸4Bとは別の緯糸を用いて、そのネット5の
表面部に係止部材6を形成し、この植生ネット1の袋収
納部10に植生材料収容袋11を収納させた植生基体1
2を、それの係止部材6を表面側に向けて張設させ、か
つ、この植生基体12を覆うように植生基材2を吹き付
ける緑化工法をとってもよいのである。
【0056】このような緑化工法をとるときは、植生ネ
ット1の吹き付けた植生基材2が係止部材6に絡むこと
で、この植生基材2が係止部材6とネット5とによって
三次元的に保持されることになり、ネット上部側の植生
基材層に乾燥によるクラックが発生したり、強い降雨等
によって植生基材2が流失したりすることが防止され
る。
【0057】図17に示すように、係止部材6を一重の
ネット5の両面部に形成して、これを植生ネット1と
し、これの袋収納部10に植生材料の収容袋11を収納
させて植生基体12を構成し、この植生基体12を法面
Nに張設して植生基材2を吹き付ける緑化工法をとって
もよく、かゝる構成によれば、法面Nに対する植生ネッ
ト1の強固な滑り防止と、法面表土ならびに吹き付け植
生基材2の流失防止が効果的に達成されることは言うま
でもない。
【0058】この図17に示す植生ネット1において
は、ネット両面部の同じ位置に係止部材6,6を形成し
ているが、この係止部材6を、ネット5の経糸方向に所
定の間隔を隔てて交互に形成するようにしてもよい。
【0059】上記のネット編織において、一重のネット
5の1目合い毎や2目合い毎など、少ない目合い数で経
糸3A,3Bどうしの連結を止めて、袋収納部編織用の
緯糸4Bを端部経糸3B,3Bにわたってジャンプ連結
させれば、植生ネット1の経糸方向に殆ど連続的に袋収
納部10を形成することができる。
【0060】もっとも、このように袋収納部10を連続
的に形成する場合は、係止部材6を袋収納部10,10
間に係止部材6を形成することができなくなるが、この
場合は、図16に示した緑化工法をとるように、即ち、
一重のネット5の表面側に係止部材6を形成して、この
植生ネット1を用いた植生基体12を、それの係止部材
6を表面側に向けて法面Nに設置する緑化工法をとるよ
うにすればよい。
【0061】尚、図11〜図14に示した実施の形態で
は、係止部材6ならびに袋収納部10を形成する緯糸4
Bを、互いに隣り合う袋収納部編織用の経糸3B,3B
にわたって、一重のネット5の半目合いのピッチでジャ
ンプ連結させているが、このピッチよりも疎になるよう
に、例えば一重のネット5の1目合いピッチや2目合い
ピッチなどでジャンプ連結させるようにしてもよいので
ある。
【0062】また、袋収納部10を形成する経糸3Bの
本数を2本にしているが、図18に示すように、経糸3
Bを3本にして、これらを第1緯糸4Aによって網目状
に連結したり、経糸3Bを4本以上にしたりしてもよ
く、或いは図19に示すように、経糸3Bを1本にして
もよいのである。これらの図において、第2緯糸4Bの
ジャンプ連結による係止部材6については、これの図示
を省略している。
【0063】係止部材6ならびに袋収納部10を形成す
るためにジャンプ連結させる第2緯糸4Bを、経糸グル
ープの内の緯糸方向一方の端部経糸3Bのみに絡めさせ
ているが、これに加えて、図20に示すように、他端側
の経糸グループを除いて、残りの経糸グループの緯糸方
向他方の端部経糸3Bにも第2緯糸4Bを絡めさせてお
いて、互いに隣り合う経糸グループ間において、それら
の端部経糸3B,3Bにわたって、第2緯糸4Bをクロ
スさせるように繰り返しジャンプ連結させてもよいので
ある。
【0064】このように、ジャンプ連結させる第2緯糸
4Bをクロスさせる編織形態は、図18に示したネット
構成にも採用でき、或いは、経糸3Bを1本にした図1
9に示すネット構成や、袋収納部10を有しない図5〜
図7に示したネット構成にあっても、特定した1本の経
糸3Bに2本の第2緯糸4Bを絡めさせておいて、この
緯糸4Bを1本ずつ、これまで絡めていた経糸3Bとそ
の両側の経糸3Bとにわたって、繰り返しジャンプ連結
させることで、クロス編織の形態をとることができる。
【0065】尚、上記それぞれの実施の形態では、植生
ネット1を構成する経糸3,3A,3Bとしてモノフィ
ラメントを、また、緯糸4,4A,4Bとしてフラット
ヤーンを用いているが、このような種類に限られるもの
ではなく、上記とは逆の組み合わせであってもよく、経
糸3,3A,3Bおよび緯糸4,4A,4Bの全てを、
モノフィラメントまたはフラットヤーンにしてもよく、
経糸3,3A,3Bと緯糸4をフラットヤーンとし、ジ
ャンプさせる緯糸4A,4Bをモノフィラメントとして
もよい。
【0066】また、経糸3,3A,3Bをフラットヤー
ン、緯糸4,4Aをモノフィラメントとしてもよく、こ
の場合、ジャンプさせる緯糸4Bとしては、モノフィラ
メント、フラットヤーンのいずれであってもよい。
【0067】また、袋収納部編織用の緯糸4A,4Bは
同時に2本にすることも可能で、この場合、モノフィラ
メントとフラットヤーン、或いは、腐食する糸と耐腐食
性糸等の組み合わせが可能であり、かつ、このように2
本以上とすることにより、1回のジャンプで袋収納部1
0を密にすることができる。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載によ
る緑化用の植生ネットにあっては、一重のネットの表裏
少なくとも一方の面部に、このネットとは遊離した係止
部材を形成した点に特徴を有し、かゝる構成によれば、
係止部材を植生ネットの裏面部(法面側)に備えさせた
場合は、これが植生ネットの位置ずれ防止機能を発揮す
ることから、植生ネットを法面に強固に設置する上で好
適であり、更に、この係止部材に、植生ネットに吹き付
ける植生基材や法面表土が絡むことから、これらの流失
が効果的に防止される。
【0069】或いは、係止部材を植生ネットの表面部に
備えさせた場合は、この係止部材に植生基材が絡むこと
で、この係止部材とネットとによって植生基材が三次元
的に保持されることから、ネット上部側の基材層にクラ
ックが発生したり、植生基材が流亡したりすることが防
止される。係止部材を植生ネットの表裏両面に備えさせ
た場合は、上記の効果が相乗することは言うまでもな
い。
【0070】請求項2記載による緑化用の植生ネットに
あっては、一重のネットの編織に際して、そのネット編
織用の経糸と緯糸とは別の経糸と緯糸とを用いて、植生
材料収容袋の袋収納部と係止部材とを形成しているの
で、請求項1記載の発明による効果を奏することに加え
て、植生ネットそのものとしては、これの主体が殆ど一
重のネットから成ることから、ネット全体の構成が簡単
なものとなり、袋収納部を備えた植生ネットを製作容易
かつ安価に得ることができる。また、袋収納部がネット
の緯糸方向で連続する構成であることから、袋収納部に
対する植生材料収容袋の収納が容易であり、その収容袋
の保持も確実に行われるのである。
【0071】請求項5記載の緑化用植生基体にあって
は、これを法面に張設して、植物種子を含む植生基材を
吹き付けることで、法面の緑化が好適に行われるのであ
って、上記した植生ネットを用いることから、袋収納部
に植生材料収容袋を確実に保持させる作業が容易であっ
て、植生基体そのものの取扱いも簡単であり、更に、法
面に対する植生ネットの強固な設置や、植生ネットに吹
き付ける植生基材や法面表土の流失防止が可能であっ
て、法面の緑化をコスト的に安価に達成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は緑化用植生ネットを表面側から見た斜
視図、(B)は緑化用植生ネットを裏面側から見た斜視
図である。
【図2】一部を捲って表面側から見た植生ネットの部分
斜視図である。
【図3】裏面側から見た植生ネットの平面図である。
【図4】一重のネットの平面図である。
【図5】係止部材用の緯糸をジャンプ連結させた状態の
説明図である。
【図6】ループを形成するように、係止部材用の緯糸を
ネット編織用の経糸に絡めた状態を示す説明図である。
【図7】係止部材用の緯糸をネット編織用の経糸に絡め
た状態を示す別の実施形態の説明図である。
【図8】法面に植生ネットを張設し、このネット上に植
生基材を吹き付ける法面緑化工法の説明図である。
【図9】他の実施の形態による植生ネットを用いた法面
緑化工法の説明図である。
【図10】更なる他の実施の形態による植生ネットを用
いた法面緑化工法の説明図である。
【図11】植生材料の収容袋を備えた別の実施の形態に
おける緑化用植生基体を裏面側から見た斜視図である。
【図12】裏面側から見た緑化用植生基体の部分斜視図
である。
【図13】裏面側から見た植生ネットの平面図である。
【図14】係止部材用ならびに袋収納部編織用の緯糸を
ジャンプ連結させた状態の説明図である。
【図15】植生基体を法面に設置し、この植生基体に植
生基材を吹き付ける法面緑化工法の説明図である。
【図16】他の実施の形態による植生基体を用いた法面
緑化工法の説明図である。
【図17】更なる他の実施の形態による植生基体ト用い
た法面緑化工法の説明図である。
【図18】袋収納部編織用の経糸を3本にした他の実施
の形態の説明図である。
【図19】袋収納部編織用の経糸を1本にした他の実施
の形態の説明図である。
【図20】第2緯糸をクロスさせてジャンプ連結させた
他の実施の形態の説明図である。
【符号の説明】
3,3A…ネット編織用の経糸、3B…ネット編織用と
は別の経糸、4…ネット編織用の緯糸、4A,4B…ネ
ット編織用とは別の緯糸、5…一重のネット、5A…ネ
ット部分、6…係止部材、10…袋収納部、11…植生
材料の収容袋。
【手続補正書】
【提出日】平成14年8月28日(2002.8.2
8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 法面の緑化植生工法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、面の緑化植生
工法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、道路建設や土地造成などに形
成される山腹の法面などには、その保護と景観を維持す
るために、緑化工法を施すことが行われている。この緑
化工法の一つとして、経糸と緯糸とから成る植生ネット
をアンカーや止め釘などを用いて法面に張設し、かつ、
有機堆肥、化学肥料、植物性繊維、保水剤、土壌改良材
などを配合した植物種子を含む植生基材を、上記のネッ
トを覆うように吹き付ける緑化工法がある。
【0003】或いは、植生ネットとして、経糸方向に適
宜の間隔を隔てて袋収納部を備えたものを用い、この袋
収納部に植生材料の収容袋を収納させて植生基体と成
し、これを法面に張設し、かつ、このネットを覆うよう
に、植物種子を混合した植生基材を吹き付ける緑化工法
もあり、これらによる法面の緑化工法にあっては、法面
に吹き付けた植生基材が植生ネットの目に絡むことで、
この植生基材の流亡が効果的に防止されるとされてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、法面に吹き
付けられた植生基材の層は、ネットの目を通して互いに
連結されてはいるが、実質的には、ネットによって上下
に二分された状態にあって、ネット下部側の植生基材層
は、法面とネットとによって拘束されてはいるものの、
その基材層と法面との間に隙間が形成された場合に、そ
の部分で植生基材や法面表土が流れてしまうことがあっ
た。また、植生ネット自体の滑り防止を強固に図る上
で、アンカーや止め釘の多数本を必要としたのである。
【0005】一方、ネット上部側の植生基材層は、二次
元的な平面のネットに乗り掛かっているだけの状態にあ
ることから、乾燥によりクラックが発生したり、強い降
雨等によって植生基材層が流失したりすることがあっ
た。
【0006】この他の課題として、緑化用の植生基体を
構成するための袋収納部を備えた植生ネットとして、従
来は、二重のネットを用いて、この二重のネット間
に、緯糸と平行になるように袋収納部を形成したり、
特開平6−185061号公報に示されるように、ネッ
トとして一重(一枚もの)のものを用い、このネットの
一方の側に、一部の経糸を潜らせるようにして、緯糸と
平行になるように袋収納部を形成したりしていたが、上
記の手段では、ネットとして二重のものを用いるた
め、ネットの製造材料である糸を多く必要とし、加え
て、その製作工程が複雑であるなど製造コストが嵩むと
いった問題があった。
【0007】上記の手段においては、の手段のよう
な問題はないものの、植生材料の収容袋をネットの経糸
を潜らせるだけであるため、植生ネットに対する植生材
料収容袋の保持が必ずしも確実ではなく、かつ、植生材
料の収容袋を袋収納部に収納させ難い問題もあった。
【0008】本発明は、上述の事柄に留意してなされた
もので、ネットの滑り防止や植生基材、法面表土の流れ
防止の機能を有する植生ネット、或いは、ネット上部の
植生基材層を三次元的に保持できる法面の緑化植生工法
を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明では、経糸と緯糸とによって編織される一
重のネットの裏面部に、この裏面部とによってループを
形成するように、ネット編織用とは別の緯糸をネットの
緯糸方向に編織して、この編織緯糸のネットとは遊離し
た部分を係止部材とし、このネットを、前記係止部材が
設けられた裏面部を法面側にして敷設することを特徴と
する
【0010】上記の工法において、ネットとは遊離した
緯糸方向の係止部材を、植生ネットの裏面部に備えさ
せ、このネットを、前記係止部材が設けられた裏面部を
法面側にして敷設することによって、これが法面に露出
した石礫などに係止、植生ネットの位置ずれ防止の機
能を発揮し、また、吹き付けた植生基材については、こ
れが流れたとしても係止部材に引っ掛かって絡、か
つ、法面表土についても、これが係止部材に絡で、こ
れらの流失が防止される。
【0011】或いは、ネットとは遊離した緯糸方向の係
止部材を、植生ネットの表面部に備えさせた場合は、
この係止部材に植生基材が絡むことで、この係止部材と
ネットとによって植生基材が三次元的に保持されるよう
になり、ネット上部側の植生基材層に乾燥によるクラッ
クが発生したり、強い降雨等によって植生基材層が流失
したりすることが防止される。
【0012】この発明に係る法面の緑化植生工法に採用
される緑化用の植生ネットの望ましい実施の形態として
は、経糸と緯糸とによって編織される一重のネットに、
植生材料収容袋を収納するための袋収納部を編織して成
るものであって、一重のネットに、一重のネットと二重
構造になるように、ネット編織用とは別の経糸と緯糸と
をネットの経糸方向に適宜の間隔を隔てて編織して、こ
の編織部分と一重のネット部分とによって、緯糸方向で
連続した二重のネット構造の袋収納部を形成し、更に、
一重のネットの裏面部に、この裏面部とによってループ
を形成するように、ネット編織用とは別の緯糸をネット
の緯糸方向に適宜の間隔を隔てて編織して、この編織緯
糸のネットとは遊離した部分を係止部材としている。
【0013】上記構成の植生ネットにあっては、一重の
ネットにネット編織用とは別の経糸と緯糸とを編織して
袋収納部を形成して、植生ネットそのものを実質的に一
重としているので、上記した効果を備えることに加え
て、植生ネットの構成が簡単で製作が容易であり、か
つ、安価なものとなる。また、袋収納部がネットの緯糸
方向で連続する構成であるので、この袋収納部に対する
植生材料収容袋の収納が容易であり、その収容袋の保持
も確実に行われる。
【0014】一重のネットに袋収納部を形成するには、
例えば、一重のネットの編織に際して、緯糸方向で複数
本置きの複数本のネット編織用経糸に、これらと経糸グ
ループを形成するように、それぞれ袋収納部編織用の経
糸を引っ掛け連結し、各グループの複数本の袋収納部編
織用の経糸を、袋収納部編織用の第1緯糸によって網目
状に連結し、かつ、各グループの緯糸方向一方の袋収納
部編織用の端部経糸に、袋収納部編織用の第2緯糸を絡
めておき、一重のネットを所定目合い編織する度に、上
記経糸どうしの引っ掛け連結を止めて、一重のネットの
更なる編織を所定の目合い数にわたって継続し、この継
続編織の間、端部経糸に絡めた第2緯糸を、これを絡め
ていた経糸と隣の経糸グループの端部経糸とにわたって
繰り返しジャンプ連結させることで、このジャンプ連結
させた第2緯糸と経糸を網目状に連結した第1緯糸、及
び、これらに相対峙する一重のネット部分とによって、
経糸どうしの非連結部に、緯糸方向で連続する袋収納部
を形成することができる。
【0015】この袋収納部を備えた植生ネットに係止部
材を形成するには、上記の更なるネットの継続編織後に
おいて、経糸どうしを連結する一重のネットの所定目合
いの編織の間に適宜、一重のネット面部とによってルー
プを形成するように、端部経糸に絡めた第2緯糸を、こ
れを絡めていた経糸と隣の経糸グループの端部経糸とに
わたって繰り返しジャンプ連結させることで、この編織
緯糸のネットとは遊離したジャンプ部分によって係止部
材を形成することができる。
【0016】或いは、上記した各グループの緯糸方向両
側の袋収納部編織用の端部経糸に、袋収納部編織用の第
2緯糸を絡めておいて、この第2緯糸を、これを絡めて
いた経糸と隣の経糸グループの端部経糸とにわたって繰
り返しジャンプ連結させることによっても、第2緯糸を
クロスさせる状態で、袋収納部と係止部材とを形成する
ことができるのであり、即ち、袋収納部編織用の緯糸を
適宜ジャンプ連結させるだけで、袋収納部ならびに紐状
緯糸を備えた植生ネットを、容易かつ安価に製作するこ
とができるのである。
【0017】そして、更に望ましい実施の形態として、
この工法に採用される緑化用の植生基体は、上記構成の
袋収納部を備えた植生ネットを用いて、これの袋収納部
に植生材料の収容袋を収納させて成るものであって、上
記構成の植生ネットを用いることから、ネットの位置ず
れ防止機能や法面表土ならびに植生基材の保持機能を有
せしめ得る植生基体を、植生材料収容袋を確実に保持で
きるものにして、安価に提供することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1はこの発明に係る法面の緑化
植生工法に採用される緑化用植生ネットを示し、(A)
は緑化用植生ネット1の表面側を示し、同図(B)は裏
面側を示している。
【0019】この植生ネット1は、例えば図8に示すよ
うに、植物種子を含む植生基材2を法面Nに吹き付ける
緑化工法に用いられるもので、ここで言う緑化用植生ネ
ット1の裏面側とは法面Nへの張設側の面である。
【0020】この緑化用の植生ネット1は、図2にも示
すように、経糸3と緯糸4とによって一重のネット5を
編織する際に、経糸方向に適宜の間隔を隔てて一重のネ
ット5の裏面部に、この面部とによってループを形成す
るように係止部材6を形成して成るもので、経糸3と緯
糸4の素材としては、ポリエチレンやポリプロピレンな
どのように耐腐食性に優れたものや、麻やジュートなど
の植物性繊維あるいはビスコースレーヨンなどのように
比較的短期間で腐食されるようなものなど、従来からの
素材のほかに、次のような素材を好適に用いることがで
きる。
【0021】すなわち、強力レーヨンや、防腐処理を施
した種々の腐食性素材(これらの素材およびこれを用い
た植生ネットとしては、特公平6−99918号公報に
示されるものがある)や、腐食性繊維と合成繊維とから
成る混紡繊維や、高分子エマルジョンまたは水溶性ポリ
マーのうち少なくとも一方をビスコース溶液に内添した
混繊レーヨン(これらの素材を用いた植生ネットおよび
これを用いた植生ネットとしては、特公平7−5399
4号公報に示されるものがある)、その他、生分解生プ
ラスチックによる繊維などのように、腐食時期を調整で
きるようにした素材を好適に用いることができる。
【0022】係止部材6を備えた植生ネット1の製造手
順の一例を、図3〜図5を参照して説明すると、ネット
編織用の経糸3として、例えばポリエチレンよりなる2
00〜2000デニール程度のモノフィラメントを用
い、緯糸4として、例えばポリエチレンよりなる300
〜3000デニール程度のテープ状のフラットヤーンを
用いて、植生ネット1をラッシェル織機により次のよう
に編織する。
【0023】即ち、目合いの大きさが15mm×15m
mで、緯糸方向の幅が約100cmの植生ネット1を編
織するものとして、先ずは、モノフィラメントを数本を
鎖編みした鎖糸をネット編織用の経糸3にして、これの
65本を15mm間隔にして、これにフラットヤーンか
ら成るネット編織用の緯糸4を順次絡ませて、15mm
×15mmの目合いで一重のネット5を編織するのであ
る。
【0024】この一重のネット5の編織に際して、端部
の1目合い分の2本のネット編織用の経糸3A,3A
と、これから6目合い置きで1目合い分毎の2本のネッ
ト編織用経糸3A,3Aを特定して、これらと経糸グル
ープを形成するように、この経糸3A,3Aに、ネット
編織用とは別の例えばモノフィラメントから成る係止部
材編織用の経糸3B,3Bを引っ掛け連結し、各経糸グ
ループの経糸3B,3Bについては、これらを例えばフ
ラットヤーンから成る係止部材編織用の第1緯糸4Aに
よって編目状に連結する。
【0025】一方、一端側の経糸グループを除いて、残
りの経糸グループの緯糸方向一方の端部経糸3Bに、例
えばフラットヤーンから成る係止部材編織用の第2緯糸
4Bを、図6に示したように、ループを形成するように
絡めさせておき、一重のネット5の所定の目合い数の編
織毎に、上記経糸3A,3Bどうしの引っ掛け連結を止
めて、一重のネット5の編織を継続するのである。
【0026】上記のネット編織用の経糸3A,3Aに係
止部材編織用の経糸3B,3Bを引っ掛け連結するの
は、一重のネット5の例えば7目合い程度であり、引っ
掛け連結を止めるのは、一重のネット5の例えば3目合
い程度であって、引っ掛け連結を止めた部分には、一重
のネット5とは遊離した状態で、第1緯糸4Aによって
編目状に連結された経糸3B,3Bが帯状に存すること
になる。
【0027】そして、上記の経糸3A,3Aと経糸3
B,3Bとを引っ掛け連結しない間での一重のネット5
の継続編織に際して、各経糸グループにおける係止部材
編織用の第2緯糸4Bを、それまで絡めていた経糸3B
と、緯糸方向一方側に隣る経糸グループの端部経糸3B
とにわたって、繰り返しジャンプ連結させて、このジャ
ンプ連結させた第2緯糸4Bとネット5とによって、一
重のネット5のネット裏面部にループを形成するのであ
り、このループを形成する緯糸4Bの内、ネット5とは
遊離した緯糸部分を係止部材6とするのであって、以上
の編織の繰り返しにより、目合いが15mm×15mm
の一重のネット5の裏面部に、経糸方向に適宜の間隔を
おいて、係止部材6が形成された植生ネット1が製造さ
れるのである。
【0028】この実施の形態では、係止部材6を形成す
るための緯糸4Bを、上記の特定させた隣り合うネット
編織用の経糸3A,3Aにわたって、一重のネット5の
半目合いのピッチでジャンプ連結させているが、このピ
ッチよりも疎になるように、例えば一重のネット5の1
目合いピッチや2目合いピッチなどでジャンプ連結させ
るようにしてもよいのである。
【0029】緯糸4Bのジャンプ連結に際して、この緯
糸4Bを、図6に示したように、ループを形成するよう
にネット編織用の経糸3Aに絡めて、タイトな組織を構
成させているので、植生ネット1のひきつりが効果的に
防止されて好適であるが、図7に示すように、緯糸4B
を単に1回だけ、ネット編織用の経糸3Aに絡めるよう
に挿入係止させてもよいのであり、この場合は、ルーズ
な組織を構成できることから、植生ネット1をフレキシ
ブルなものにすることができる。
【0030】法面Nの緑化に際しては、図8に示すよう
に、上記の植生ネット1を、それの係止部材6を法面N
側に向けて、アンカー8や止め釘9を用いて張設し、か
つ、肥料、土壌改良剤、保水剤など植物の生育に直接的
または間接的に必要な植生材料に植物種子を混合した植
生基材2を、これを例えばゲル状にして適宜の吹付け機
によって、植生ネット1を覆うように吹き付けるのであ
るが、この際、一重のネット5とは遊離して弛んでいる
係止部材6が、法面Nに露出した石礫などに係止して、
植生ネット1の位置ずれ防止の機能を発揮することか
ら、ネット張設用のアンカー8や止め釘9の使用本数を
少なくしても、法面Nに対する植生ネット1の滑り防止
が強固に達成される。
【0031】また、植生基材2と法面Nとの間に隙間が
形成されて、法面表土が流れる事態が生じたとしても、
これが係止部材6に引っ掛かって絡むことで、法面表土
の流失が効果的に防止されるのであり、かつ、植生基材
2についても、これが係止部材6に絡むことで、流失が
効果的に防止されるのである。
【0032】上記の緯糸4Bによる係止部材6を、一重
のネット5の裏面部に形成することに限られるものでは
なく、図9に示すように、係止部材6を一重のネット5
の表面部に形成して、これをアンカー8や止め釘9を用
いて張設し、かつ、植物種子を混合した植生基材2を吹
き付ける緑化工法をとってもよいのである。
【0033】かゝる工法においては、植生ネット1に吹
き付けた植生基材2がネット上で係止部材6に絡んで、
この係止部材6とネット5とによって植生基材2が三次
元的に保持されることから、ネット上部側の植生基材層
に乾燥によるクラックが発生したり、強い降雨等によっ
て植生基材2が流失したりすることが防止される。
【0034】図10に示すように、係止部材6を一重の
ネット5の両面部に形成した場合は、法面Nに対する植
生ネット1の強固な滑り防止と、法面表土ならびに吹き
付け植生基材2の流失防止が効果的に達成されることは
言うまでもない。
【0035】この図10に示す植生ネット1において
は、ネット5の経糸方向に所定の間隔を隔てて、ネット
5の両面部に交互に係止部材6を形成しているが、係止
部材6をネット両面部の同じ位置に形成するようにして
もよい。
【0036】尚、図示はしないが、上記した三つの形態
の植生ネット1に対して、それの裏面側に植生種子を担
持させたシートを設けて、これを植生基体と成し、この
植生基体を、それのシートを法面側に向けてアンカーや
止め釘により法面に張設し、かつ、この植生基体に例え
ばゲル状にした植生基材を吹き付けることによっても、
法面の緑化を効果的に達成することができる。
【0037】この時、植生ネット1のシート付設側に、
ループによる係止部材6が形成されている場合は、施工
後において、植生ネット1からシートが剥離したとして
も、このシートに係止部材6が乗り掛かるように係止す
ることで、シートの位置ずれが防止されることになる。
【0038】上記の植生ネット1に設けられるシートと
しては、植物種子の発芽生育の妨げにならず、しかも、
水分により溶解するクレープ紙、高分子系フィルムある
いは澱粉系フィルム、寒冷紗付き水溶性紙、スフ綿、ス
フ系不織布、パルプ系不織布など各種の水溶性素材ある
いは水解性素材などを選択でき、好適には、スフによる
薄綿ラップをシートにして、このシートに、植物種子、
肥料、土壌改良剤などよりなる植生基材を、例えばポリ
ビニルアルコール(PVA)のような水溶性糊剤によっ
て付着保持させ、かつ、このシートを、上記の水溶性糊
剤と同様の水溶性糊剤を用いて、植生ネット1の裏面側
に係着させることである。
【0039】上記の緑化工法に代えて、図11及び図1
2に裏面側から見て示すように、一重のネット5の裏面
部に、それの経糸方向に適宜の間隔を隔てて、係止部材
6と袋収納部10とを交互に備えさせて植生ネット1を
形成し、これの袋収納部10に植生材料の収容袋11を
収納させて、緑化用の植生基体12を構成し、この植生
基体12を、図15に示すように、アンカー8や止め釘
9を用いて法面Nに張設し、かつ、この植生基体12に
例えばゲル状にした植生基材2を吹き付けることによっ
ても、法面Nの緑化を効果的に達成することができる。
【0040】この工法に用いる植生ネット1の製造手順
の一例を、図13及び図14に基づいて説明すると、上
記した実施の形態と同じように、ネット編織用の経糸3
として、例えばポリエチレンよりなる200〜2000
デニール程度のモノフィラメントを用い、緯糸4とし
て、例えばポリエチレンよりなるよりなる300〜30
00デニール程度のテープ状のフラットヤーンを用い
て、植生ネット1をラッシェル織機により次のように編
織する。
【0041】即ち、目合いの大きさが15mm×15m
mで、緯糸方向の幅が約100cmの植生ネット1を編
織するものとして、先ずは、モノフィラメントを数本を
鎖編みした鎖糸をネット編織用の経糸3にして、これの
65本を15mm間隔にして、これにフラットヤーンか
ら成るネット編織用の緯糸4を順次絡ませて、15mm
×15mmの目合いで一重のネット5を編織(図示はし
ないが、このようにして編織されたネットは、図4に示
した一重のネット5そのものである。)するのである。
【0042】この一重のネット5の編織に際して、端部
の1目合い分の2本のネット編織用の経糸3A,3A
と、これから6目合い置きで1目合い分毎の2本のネッ
ト編織用経糸3A,3Aを特定して、これらと経糸グル
ープを形成するように、この経糸3A,3Aに、ネット
編織用とは別の例えばモノフィラメントから成る袋収納
部編織用の経糸3B,3Bを引っ掛け連結し、各経糸グ
ループの経糸3B,3Bについては、これらを例えばフ
ラットヤーンから成る袋収納部編織用の第1緯糸4Aに
よって編目状に連結する。
【0043】一方、一端側の経糸グループを除いて、残
りの経糸グループの緯糸方向一方の端部経糸3Bに、例
えばフラットヤーンから成る袋収納部編織用の第2緯糸
4Bを、図5に示したように、ループを形成するように
絡めさせておき、一重のネット5の所定の目合い数の編
織毎に、上記経糸3A,3Bどうしの引っ掛け連結を止
めて、一重のネット5の編織を継続するのである。
【0044】これまでのネット編織の形態は、図3〜図
5で示した一重のネット5の編織と何ら変わるものでは
なく、図3〜図5で称するところの係止部材編織用の経
緯糸を、袋収納部編織用の経緯糸3B,4A,4Bと称
しているだけであって、後述するように、この袋収納部
編織用の経緯糸3B,4A,4Bは、袋収納部10の他
に係止部材6をも編織するものである。
【0045】上記のネット編織用の経糸3A,3Aに袋
収納部編織用の経糸3B,3Bを引っ掛け連結するの
は、一重のネット5の例えば25目合い程度であり、引
っ掛け連結を止めるのは、一重のネット5の例えば6目
合い程度であって、引っ掛け連結を止めた部分には、一
重のネット5とは遊離した状態で、第1緯糸4Aによっ
て編目状に連結された経糸3B,3Bが帯状に存するこ
とになる。
【0046】そして、上記の経糸3A,3Aと経糸3
B,3Bとを引っ掛け連結しない間での一重のネット5
の継続編織に際して、各経糸グループにおける袋収納部
編織用の第2緯糸4Bを、それまで絡めていた経糸3B
と、緯糸方向一方側に隣る経糸グループの端部経糸3B
とにわたって、繰り返しジャンプ連結させて、経糸3
B,3Bを網目状に連結した第1緯糸4Aと繰り返しジ
ャンプ連結させた第2緯糸4B、及び、これらに相対峙
する一重のネット部分5Aとによって、経糸3A,3A
と経糸3B,3Bとの非連結部に、緯糸方向で連続する
袋収納部10を形成するのであり、以上の編織を繰り返
し行わせることで、目合いが15mm×15mmの一重
のネット5の裏面側に、経糸方向に適宜の間隔をおいて
袋収納部10が形成された植生ネット1が製造されるの
である。
【0047】そして更に、上記の更なる一重のネット5
の継続編織後において、即ち、上記の袋収納部10を形
成して後に、一重のネット5を所定の目合い数で編織す
る間に、上記の袋収納部編織用の第2緯糸4Bを、それ
まで絡めていた経糸3Bと、緯糸方向一方側に隣る経糸
グループの端部経糸3Bとにわたって、弛ませるように
繰り返しジャンプ連結させて、このジャンプ連結させた
緯糸4Bとネット5とによって、一重のネット5のネッ
ト裏面部にループを形成するのであり、このループを形
成する緯糸4Bの内、ネット5とは遊離した緯糸部分を
係止部材6とするのであって、以上の編織の繰り返しに
より、目合いが15mm×15mmの一重のネット5の
裏面側に、経糸方向に適宜の間隔をおいて、袋収納部1
0と係止部材6とが形成された植生ネット1が製造され
るのである。
【0048】上記構成の植生ネット1に対して、それの
袋収納部10に植生材料収容袋11を収納することで、
緑化用の植生基体12が構成されるのであるが、かゝる
構成の植生基体12にあっては、植生ネット1が殆ど一
重のネット5によって構成されているので、ネット全体
を二重構造にする手段に比較して、植生ネット1の製造
コストをダウンさせることができ、かつ、袋収納部編織
用の第2緯糸4Bを適宜ジャンプ連結させるだけで、係
止部材6ならびに袋収納部10が形成されるので、係止
部材6ならびに袋収納部10を備えた植生ネット1の製
作が容易かつ安価なものとなり、しかも、袋収納部10
に対する植生材料収容袋11の収納が容易であって、そ
の収容袋11の保持も確実に行われる。
【0049】この植生基体12に備えられる植生材料の
収容袋11は、肥料、土壌改良剤、保水剤など植物の生
育に直接的または間接的に必要な植生材料13を、降雨
などにより肥料養分が徐々に滲み出すような厚みと通気
性とを有するように、ポリビニルアルコールなどのビニ
ロン系やポリエステルなどのポリエステル系、ナイロン
などのポリアミド系、アクリルなどのポリアクリルニト
リル系などの不織布、その他、スフ系不織布、パルプ系
不織布、可溶性紙、生分解性プラスチックフィルムなど
の腐食性素材から成る袋14に収納して成るもので、植
生材料13には、必要に応じて植物種子が混入される。
【0050】法面Nの緑化に際しては、図15に示すよ
うに、予め工場で又は施工現場で、植生ネット1の袋収
納部10に植生材料収容袋11を収納させた植生基体1
2を、それの係止部材6を法面N側に向けて、アンカー
8や止め釘9を用いて張設し、かつ、植物種子を混合し
た植生基材2を、これを例えばゲル状にして適宜の吹付
け機によって、植生ネット1を覆うように吹き付けるの
であるが、この植生ネット1の裏面部には、一重のネッ
ト5とは遊離して弛んでいる係止部材6を形成している
ので、図7に示して既述したと同様に、この係止部材6
は、植生ネット1の位置ずれ防止の機能を発揮すること
から、ネット張設用のアンカー8や止め釘9の使用本数
を少なくしても、法面Nに対する植生ネット1の滑り防
止が強固に達成される。
【0051】また、吹き付けた植生基材2や法面表土が
係止部材6に引っ掛かって絡むことで、これらの流失も
効果的に防止されるのである。
【0052】そして、植生基体12を法面Nに張設させ
た状態では、袋収納部編織用の経糸3Bにジャンプ連結
させた緯糸4Bが、その他の糸とは離れているために、
この緯糸4Bが法面Nの凹凸に自在に馴染むことはもと
より、この緯糸4Bによって形成された袋収納部10も
法面Nによく馴染み、その結果、袋収納部10に収納さ
れた植生材料収容袋11が法面Nの凹凸面に密着するこ
とから、植生材料収容袋11は、所定の肥料養分を供給
するだけではく、堰き止め効果を発揮して法面Nの法面
表土のエロージョンを確実に防止するようになる。
【0053】図示はしないが、上記植生基材2の吹き付
けによる法面Nの緑化に際して、上記の植生材料10を
収容した収容袋11と、この植生材料収容袋11とは別
なる構成の植生材料収容袋、即ち、植生の発芽・成育の
妨げにならず、しかも、水分により溶解する高分子系フ
ィルムあるいは澱粉系フィルムまたは寒冷紗付き水溶性
紙、例えば商品名ボンリック(金星製紙株式会社製)な
どの可溶性素材による袋内に例えば牧草種子を収納した
植生材料収容袋とを、植生ネット1の袋収納部10に例
えば交互に収納させて、これを緑化用の植生基体12と
し、この植生基体12を法面Nに張設して、これに植生
基材2を吹き付けるようにしてもよいのである。
【0054】上記の実施の形態では、一重のネット5の
裏面部に、それの経糸方向に適宜の間隔を隔てて、係止
部材6と袋収納部10とを交互に備えさせ、この植生ネ
ット1の袋収納部10に植生材料収容袋11を収納させ
て、係止部材6を法面N側に向けて張設させているが、
この植生基体12を、それの表裏を逆にして法面Nに張
設させる緑化工法をとってもよいのである。
【0055】或いは、この表裏を逆にして植生基体12
を法面Nに張設させる緑化工法と同じようになるが、図
16に示すように、植生ネット1として、一重のネット
5の裏面側に袋収納部10を編織する際に、袋収納部編
織用の緯糸4Bとは別の緯糸を用いて、そのネット5の
表面部に係止部材6を形成し、この植生ネット1の袋収
納部10に植生材料収容袋11を収納させた植生基体1
2を、それの係止部材6を表面側に向けて張設させ、か
つ、この植生基体12を覆うように植生基材2を吹き付
ける緑化工法をとってもよいのである。
【0056】このような緑化工法をとるときは、植生ネ
ット1の吹き付けた植生基材2が係止部材6に絡むこと
で、この植生基材2が係止部材6とネット5とによって
三次元的に保持されることになり、ネット上部側の植生
基材層に乾燥によるクラックが発生したり、強い降雨等
によって植生基材2が流失したりすることが防止され
る。
【0057】図17に示すように、係止部材6を一重の
ネット5の両面部に形成して、これを植生ネット1と
し、これの袋収納部10に植生材料の収容袋11を収納
させて植生基体12を構成し、この植生基体12を法面
Nに張設して植生基材2を吹き付ける緑化工法をとって
もよく、かゝる構成によれば、法面Nに対する植生ネッ
ト1の強固な滑り防止と、法面表土ならびに吹き付け植
生基材2の流失防止が効果的に達成されることは言うま
でもない。
【0058】この図17に示す植生ネット1において
は、ネット両面部の同じ位置に係止部材6,6を形成し
ているが、この係止部材6を、ネット5の経糸方向に所
定の間隔を隔てて交互に形成するようにしてもよい。
【0059】上記のネット編織において、一重のネット
5の1目合い毎や2目合い毎など、少ない目合い数で経
糸3A,3Bどうしの連結を止めて、袋収納部編織用の
緯糸4Bを端部経糸3B,3Bにわたってジャンプ連結
させれば、植生ネット1の経糸方向に殆ど連続的に袋収
納部10を形成することができる。
【0060】もっとも、このように袋収納部10を連続
的に形成する場合は、係止部材6を袋収納部10,10
間に係止部材6を形成することができなくなるが、この
場合は、図16に示した緑化工法をとるように、即ち、
一重のネット5の表面側に係止部材6を形成して、この
植生ネット1を用いた植生基体12を、それの係止部材
6を表面側に向けて法面Nに設置する緑化工法をとるよ
うにすればよい。
【0061】尚、図11〜図14に示した実施の形態で
は、係止部材6ならびに袋収納部10を形成する緯糸4
Bを、互いに隣り合う袋収納部編織用の経糸3B,3B
にわたって、一重のネット5の半目合いのピッチでジャ
ンプ連結させているが、このピッチよりも疎になるよう
に、例えば一重のネット5の1目合いピッチや2目合い
ピッチなどでジャンプ連結させるようにしてもよいので
ある。
【0062】また、袋収納部10を形成する経糸3Bの
本数を2本にしているが、図18に示すように、経糸3
Bを3本にして、これらを第1緯糸4Aによって網目状
に連結したり、経糸3Bを4本以上にしたりしてもよ
く、或いは図19に示すように、経糸3Bを1本にして
もよいのである。これらの図において、第2緯糸4Bの
ジャンプ連結による係止部材6については、これの図示
を省略している。
【0063】係止部材6ならびに袋収納部10を形成す
るためにジャンプ連結させる第2緯糸4Bを、経糸グル
ープの内の緯糸方向一方の端部経糸3Bのみに絡めさせ
ているが、これに加えて、図20に示すように、他端側
の経糸グループを除いて、残りの経糸グループの緯糸方
向他方の端部経糸3Bにも第2緯糸4Bを絡めさせてお
いて、互いに隣り合う経糸グループ間において、それら
の端部経糸3B,3Bにわたって、第2緯糸4Bをクロ
スさせるように繰り返しジャンプ連結させてもよいので
ある。
【0064】このように、ジャンプ連結させる第2緯糸
4Bをクロスさせる編織形態は、図18に示したネット
構成にも採用でき、或いは、経糸3Bを1本にした図1
9に示すネット構成や、袋収納部10を有しない図5〜
図7に示したネット構成にあっても、特定した1本の経
糸3Bに2本の第2緯糸4Bを絡めさせておいて、この
緯糸4Bを1本ずつ、これまで絡めていた経糸3Bとそ
の両側の経糸3Bとにわたって、繰り返しジャンプ連結
させることで、クロス編織の形態をとることができる。
【0065】尚、上記それぞれの実施の形態では、植生
ネット1を構成する経糸3,3A,3Bとしてモノフィ
ラメントを、また、緯糸4,4A,4Bとしてフラット
ヤーンを用いているが、このような種類に限られるもの
ではなく、上記とは逆の組み合わせであってもよく、経
糸3,3A,3Bおよび緯糸4,4A,4Bの全てを、
モノフィラメントまたはフラットヤーンにしてもよく、
経糸3,3A,3Bと緯糸4をフラットヤーンとし、ジ
ャンプさせる緯糸4A,4Bをモノフィラメントとして
もよい。
【0066】また、経糸3,3A,3Bをフラットヤー
ン、緯糸4,4Aをモノフィラメントとしてもよく、こ
の場合、ジャンプさせる緯糸4Bとしては、モノフィラ
メント、フラットヤーンのいずれであってもよい。
【0067】また、袋収納部編織用の緯糸4A,4Bは
同時に2本にすることも可能で、この場合、モノフィラ
メントとフラットヤーン、或いは、腐食する糸と耐腐食
性糸等の組み合わせが可能であり、かつ、このように2
本以上とすることにより、1回のジャンプで袋収納部1
0を密にすることができる。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載によ
法面の緑化植生工法にあっては、経糸と緯糸とによっ
て編織される一重のネットの面部に、この裏面部とに
よってループを形成するように、ネット編織用とは別の
緯糸をネットの緯糸方向に編織して、この編織緯糸の
ットとは遊離した部分を係止部材とし、このネットを、
前記係止部材が設けられた裏面部を法面側にして敷設し
たので、植生ネットの位置ずれ防止機能を発揮して、植
生ネットを法面に強固に設置する上で好適であり、更
に、この係止部材に、植生ネットに吹き付ける植生基材
や法面表土が絡むことから、これらの流失が効果的に防
止される。
【0069】或いは、係止部材を植生ネットの表面部に
備えさせた場合は、この係止部材に植生基材が絡むこ
とで、この係止部材とネットとによって植生基材が三次
元的に保持されることから、ネット上部側の基材層にク
ラックが発生したり、植生基材が流亡したりすることが
防止される。
【0070】
【0071】
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は緑化用植生ネットを表面側から見た斜
視図、(B)は緑化用植生ネットを裏面側から見た斜視
図である。
【図2】一部を捲って表面側から見た植生ネットの部分
斜視図である。
【図3】裏面側から見た植生ネットの平面図である。
【図4】一重のネットの平面図である。
【図5】係止部材用の緯糸をジャンプ連結させた状態の
説明図である。
【図6】ループを形成するように、係止部材用の緯糸を
ネット編織用の経糸に絡めた状態を示す説明図である。
【図7】係止部材用の緯糸をネット編織用の経糸に絡め
た状態を示す別の実施形態の説明図である。
【図8】法面に植生ネットを張設し、このネット上に植
生基材を吹き付ける法面緑化工法の説明図である。
【図9】他の実施の形態による植生ネットを用いた法面
緑化工法の説明図である。
【図10】更なる他の実施の形態による植生ネットを用
いた法面緑化工法の説明図である。
【図11】植生材料の収容袋を備えた別の実施の形態に
おける緑化用植生基体を裏面側から見た斜視図である。
【図12】裏面側から見た緑化用植生基体の部分斜視図
である。
【図13】裏面側から見た植生ネットの平面図である。
【図14】係止部材用ならびに袋収納部編織用の緯糸を
ジャンプ連結させた状態の説明図である。
【図15】植生基体を法面に設置し、この植生基体に植
生基材を吹き付ける法面緑化工法の説明図である。
【図16】他の実施の形態による植生基体を用いた法面
緑化工法の説明図である。
【図17】更なる他の実施の形態による植生基体ト用い
た法面緑化工法の説明図である。
【図18】袋収納部編織用の経糸を3本にした他の実施
の形態の説明図である。
【図19】袋収納部編織用の経糸を1本にした他の実施
の形態の説明図である。
【図20】第2緯糸をクロスさせてジャンプ連結させた
他の実施の形態の説明図である。
【符号の説明】 3,3A…ネット編織用の経糸、3B…ネット編織用と
は別の経糸、4…ネット編織用の緯糸、4A,4B…ネ
ット編織用とは別の緯糸、5…一重のネット、5A…ネ
ット部分、6…係止部材、10…袋収納部、11…植生
材料の収容袋。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 奉文 岡山県津山市高尾573番地の1 日本植生 株式会社内 (72)発明者 駒走 裕之 岡山県津山市高尾573番地の1 日本植生 株式会社内 (72)発明者 松本 収平 京都府綴喜郡田辺町松井ケ丘4−8−6 (72)発明者 青木 宏 京都府綴喜郡田辺町大住ケ丘5−10−8 (72)発明者 戸倉 和司 大阪府箕面市今宮3−9−25 ハイツ片岸 102 (72)発明者 堀江 利和 福井県坂井郡丸岡町八ッ口19−12−26 (72)発明者 大西 健司 大阪府交野市私部1−38−18 (72)発明者 森 哲夫 大阪府和泉市池田下町1870 (72)発明者 鈴木 敏彦 愛知県幡豆郡吉良町大字富好新田字下川並 107 (72)発明者 武藤 貞夫 愛知県幡豆郡幡豆町大字東幡豆字鳶山1− 18 Fターム(参考) 2B022 AB02 BB05 2D044 DA07 DA08 DA35 4L002 AA00 AA05 AB02 CA03 CB01 CB02 EA02 EA05 FA06

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 経糸と緯糸とによって編織される一重の
    ネットの表裏少なくとも一方の面部に、この面部とによ
    ってループを形成するように、ネット編織用とは別の緯
    糸をネットの緯糸方向に編織して、この編織緯糸のネッ
    トとは遊離した部分を係止部材としたことを特徴とする
    緑化用の植生ネット。
  2. 【請求項2】 経糸と緯糸とによって編織される一重の
    ネットに、植生材料収容袋を収納するための袋収納部を
    編織して成る緑化用の植生ネットであって、前記一重の
    ネットに、一重のネットと二重構造になるように、ネッ
    ト編織用とは別の経糸と緯糸とをネットの経糸方向に適
    宜の間隔を隔てて編織して、この編織部分と一重のネッ
    ト部分とによって、緯糸方向で連続した二重のネット構
    造の袋収納部を形成し、更に、一重のネットの表裏少な
    くとも一方の面部に、この面部とによってループを形成
    するように、ネット編織用とは別の緯糸をネットの緯糸
    方向に適宜の間隔を隔てて編織して、この編織緯糸のネ
    ットとは遊離した部分を係止部材としたことを特徴とす
    る緑化用の植生ネット。
  3. 【請求項3】 一重のネットの編織に際して、緯糸方向
    で複数本置きの複数本のネット編織用経糸に、これらと
    経糸グループを形成するように、それぞれ袋収納部編織
    用の経糸を引っ掛け連結し、各グループの複数本の袋収
    納部編織用の経糸を、袋収納部編織用の第1緯糸によっ
    て網目状に連結し、かつ、各グループの緯糸方向一方の
    袋収納部編織用の端部経糸に、袋収納部編織用の第2緯
    糸を絡めておき、一重のネットを所定目合い編織する度
    に、上記経糸どうしの引っ掛け連結を止めて、一重のネ
    ットの更なる編織を所定の目合い数にわたって継続し、
    この継続編織の間、端部経糸に絡めた第2緯糸を、これ
    を絡めていた経糸と隣の経糸グループの端部経糸とにわ
    たって繰り返しジャンプ連結して、このジャンプ連結さ
    せた第2緯糸と経糸を網目状に連結した第1緯糸、及
    び、これらに相対峙する一重のネット部分とによって、
    経糸どうしの非連結部に、緯糸方向で連続する袋収納部
    を形成し、上記の更なるネットの継続編織後において、
    経糸どうしを連結する一重のネットの所定目合いの編織
    の間に適宜、一重のネット面部とによってループを形成
    するように、端部経糸に絡めた第2緯糸を、これを絡め
    ていた経糸と隣の経糸グループの端部経糸とにわたって
    繰り返しジャンプ連結して、このジャンプ連結させた第
    2緯糸のネットとは遊離した部分を係止部材とした請求
    項2に記載された緑化用の植生ネット。
  4. 【請求項4】 一重のネットの編織に際して、緯糸方向
    で複数本置きの複数本のネット編織用経糸に、これらと
    経糸グループを形成するように、それぞれ袋収納部編織
    用の経糸を引っ掛け連結し、各グループの複数本の袋収
    納部編織用の経糸を、袋収納部編織用の第1緯糸によっ
    て網目状に連結し、かつ、各グループの緯糸方向両側の
    袋収納部編織用の端部経糸に、袋収納部編織用の第2緯
    糸を絡めておき、一重のネットを所定目合い編織する度
    に、上記経糸どうしの引っ掛け連結を止めて、一重のネ
    ットの更なる編織を所定の目合い数にわたって継続し、
    この継続編織の間、端部経糸に絡めた第2緯糸を、これ
    を絡めていた経糸と隣の経糸グループの端部経糸とにわ
    たって繰り返しジャンプ連結して、このジャンプ連結さ
    せた第2緯糸と経糸を網目状に連結した第1緯糸、及
    び、これらに相対峙する一重のネット部分とによって、
    経糸どうしの非連結部に、緯糸方向で連続する袋収納部
    を形成し、上記の更なるネットの継続編織後において、
    経糸どうしを連結する一重のネットの所定目合いの編織
    の間に適宜、一重のネット面部とによってループを形成
    するように、端部経糸に絡めた第2緯糸を、これを絡め
    ていた経糸と隣の経糸グループの端部経糸とにわたって
    繰り返しジャンプ連結して、このジャンプ連結させた第
    2緯糸のネットとは遊離した部分を係止部材とした請求
    項2に記載された緑化用の植生ネット。
  5. 【請求項5】 請求項2乃至4のいずれかに記載された
    植生ネットの袋収納部に、植生材料収容袋を収納して成
    ることを特徴とする緑化用の植生基体。
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