JPH0641404A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物

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JPH0641404A
JPH0641404A JP14235292A JP14235292A JPH0641404A JP H0641404 A JPH0641404 A JP H0641404A JP 14235292 A JP14235292 A JP 14235292A JP 14235292 A JP14235292 A JP 14235292A JP H0641404 A JPH0641404 A JP H0641404A
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JP
Japan
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rubber
weight
polymer
acid
copolymer
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Application number
JP14235292A
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English (en)
Inventor
Toshio Teramoto
俊夫 寺本
Toru Hasegawa
亨 長谷川
Tatsuo Nakajima
達雄 中島
Takemi Konomoto
武美 此本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
JSR Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポリエステルエラストマーが有する優れた機
械的強度、耐熱性および耐候性を損なうことなく、柔軟
性と圧縮永久歪が改良された熱可塑性エラストマー組成
物を提供することを目的とする。 【構成】 熱可塑性ポリエステルエラストマーにゴム質
重合体とジチオカルバミン酸のニッケル塩を配合し、溶
融混合中にゴム質重合体を動的に架橋してなる熱可塑性
エラストマー組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリエステルエラスト
マーが有する優れた機械的強度、耐熱性および耐候性を
損なうことなく、柔軟性と圧縮永久歪が改良された熱可
塑性エラストマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性ポリエステルエラストマーは、
ポリエステルとポリエーテル繰返し単位、またはポリエ
ステルとポリエステルをポリマー主鎖中に有する多重ブ
ロック共重合体であり、機械的性質、耐熱性、耐候性お
よび耐油性に優れている。しかしながら、該ポリエステ
ルエラストマーは、エラストマーとしては硬度が高く、
柔軟性に劣るという欠点があり、また圧縮永久歪が大き
く、その用途の拡大が制約されている。このような欠点
を改良し柔軟な材料とする方法として、ポリエステルエ
ラストマーにポリスチレン型ブロック共重合体を配合し
て軟質化する方法(特開昭50−82162号)、ポリ
エステルエラストマーにエチレン共重合体を配合して軟
質化する方法(特公昭60−7662号)などが提案さ
れている。しかし、これらの方法で得られるポリエステ
ルエラストマーの柔軟性は未だ十分でなく、また得られ
る組成物の耐油性および耐候性が低下してしまうという
欠点がある。また、加硫可能なゴムを配合したのちに、
通常のゴムで行われているように、ゴムロール上で架橋
剤を添加して配合したゴムを加硫せしめることによっ
て、柔軟性と耐油性および耐熱性を両立させることが提
案されている(特公昭55−35057号)。しかし、
この方法では架橋剤を添加する温度がポリエステルエラ
ストマーの融点よりも著しく低温であるため、十分に架
橋剤を分散混練することが難しく、また実際の製造上安
定な組成物を得ることは困難である。さらに耐油性、耐
候性および耐熱性も、まだ十分ではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このようにポリエステ
ルエラストマーは、機械的性質や耐熱性などに優れてい
るため、その用途の拡大が望まれているが、柔軟性と圧
縮永久歪に劣るという欠点がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の点に
鑑みて鋭意研究した結果、ポリエステルエラストマーに
架橋可能なゴム質重合体とジチオカルバミン酸のニッケ
ル塩を配合し、溶融混合中にゴム質重合体を動的に架橋
することによって、柔軟性に富み、良好な圧縮永久歪を
有し、しかも機械的強度、耐熱性および耐候性が低下し
ない熱可塑性エラストマー組成物が得られることを見い
出し、かかる知見に基づいて本発明を完成したものであ
る。すなわち本発明は、(A)熱可塑性ポリエステルエ
ラストマー50〜95重量%と(B)架橋可能なゴム質
重合体50〜5重量%との合計100重量部に対して、
(C)次式(I)で表わされるジチオカルバミン酸のニ
ッケル塩
【化2】 を0.1〜10重量部配合し、架橋してなる熱可塑性エ
ラストマー組成物を提供するものである。
【0005】本発明の(A)成分である熱可塑性ポリエ
ステルエラストマーは、ポリエステルブロック共重合体
であり、その重合体連鎖中に、主として芳香族ポリエス
テル単位からなる高融点結晶性セグメント(A−1)
と、主として脂肪族ポリエーテル単位(a)および/ま
たは脂肪族ポリエステル単位(b)からなる低融点重合
体セグメント(A−2)とを有している。
【0006】ハードセグメントである高融点結晶性セグ
メント(A−1)の芳香族ポリエステル単位は、酸成分
とグリコール成分とから形成されるが、この酸成分は実
質的にテレフタール酸および/または2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸である。また、テレフタール酸および
2,6−ナフタレンジカルボン酸のほかにイソフタール
酸などの他の芳香族ジカルボン酸、あるいはアジピン
酸、セバチン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカンボン
酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸を少量併用し
てもよい。
【0007】また、上記芳香族ポリエステル単位を形成
するグリコール成分は、炭素数2〜12のグリコール、
例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、テ
トラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘ
キサンジオール、デカンジオールなどである。なお、高
融点結晶性セグメント(A−1)の融点の下限は特に限
定されないが、一般的には150℃以上であり、好まし
くは170℃以上、さらに好ましくは190℃以上であ
る。
【0008】ソフトセグメントである低融点重合体セグ
メント(A−2)を構成する脂肪族ポリエーテル単位
(a)は、平均分子量が約400〜600の範囲にある
ポリアルキレングリコールで形成されるが、このポリア
ルキレングリコールは、例えばポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレング
リコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレング
リコールブロック共重合体であり、特にポリテトラメチ
レングリコールが好ましい。これらは、その炭素数:酸
素数の比が2〜4.5のものであれば、単独ではもちろ
ん混合物として用いることもできる。
【0009】低融点重合体セグメント(A−2)を構成
するもう一つの単位である脂肪族ポリエステル単位
(b)は、主として脂肪族ジカルボン酸とグリコールか
らなるが、その主たる酸性分である脂肪族ジカルボン酸
は、例えばコハク酸、アジピン酸、セバチン酸、デカン
ジカルボン酸である。また、これら脂肪族ジカルボン酸
のほかにイソフタール酸などの芳香族ジカルボン酸を少
量併用してもよい。
【0010】また、上記脂肪族ポリエステル単位(b)
を形成するグリコール成分は、炭素数2〜12のグリコ
ール成分であり、高融点結晶性セグメント(A−1)の
芳香族ポリエステル単位を形成するグリコール成分とし
て例示したものと同様のものである。
【0011】脂肪族ポリエステル単位(b)は、上記脂
肪族ジカルボン酸とグリコール成分とを通常の方法で重
縮合せしめて得られるものであり、ホモポリエステルで
も共重合ポリエステルでもよく、あるいは環状のラクト
ンを開環重合して得られるポリラクトン(例えばポリ−
ε−カプロラクトン)でもよい。その融点の上限は特に
限定されないが、一般的には130℃以下が好ましく、
特に好ましくは100℃以下である。
【0012】熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)
中の高融点結晶性セグメント(A−1)と低融点重合体
セグメント(A−2)との組成比は、好ましくは重量比
で95/5〜5/95であり、さらに好ましくは70/
30〜30/70である。また、熱可塑性ポリエステル
エラストマー(A)としては、軟化点が100℃以上で
あるエラストマーが特に好適である。
【0013】熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)
として特に好ましく用いられるポリエステルブロック共
重合体は、高融点結晶性セグメント(A−1)としてポ
リテトラメチレンテレフタレートまたはポリトリメチレ
ンテレフタレート−2,6−ナフタレートを用い、低融
点重合体セグメント(A−2)としてポリテトラメチレ
ングリコールなどのポリエーテル、ポリテトラメチレン
アジペート、ポリ−ε−カプロラクトンなどの脂肪族ポ
リエステルを用いて形成されるものである。また、ジカ
ルボン酸やグリコールの一部としてポリカルボン酸や多
官能性ヒドロキシ化合物、オキシ酸などが共重合された
ものでもよい。該多官能性成分は、3モル%以下の範囲
で共重合せしめることにより、高粘度化成分として有効
に作用する。該多官能性成分としては、例えばトリメリ
ット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノ
ンテトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、グリセ
リン、ペンタエリスリトールまたはそれらのエステル、
酸無水物などを挙げることができる。
【0014】本発明の(B)成分であるゴムとしては、
非ハロゲンジエン系ゴム、非ハロゲンジエン系ゴムの水
添物、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、オレフ
ィン系ゴム、ハロゲン系ゴム、シリコーンゴムなどが挙
げられる。
【0015】上記非ハロゲンジエン系ゴムとしては、例
えば天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジ
エン共重合体ゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重
合体ゴム、ポリブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブ
タジエン共重合体ゴム、アクリル酸エステル−ブタジエ
ン共重合体ゴムなどが挙げられる。
【0016】上記非ハロゲンジエン系ゴムの水添物とし
ては、例えば水素化ポリブタジエン、水素化ポリイソプ
レン、水素化スチレン−ブタジエンランダム共重合体ゴ
ム、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴ
ム、水素化アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体ゴ
ム、水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体など
が挙げられる。
【0017】上記水素化スチレン−ブタジエンブロック
共重合体ゴムとしては、 (b−1):ビニル芳香族化合物重合体ブロック(イ)
とビニル芳香族化合物と共役ジエンとのランダム共重合
体ブロック(ロ)とからなる(イ)−(ロ)もしくは
(イ)−(ロ)−(イ)ブロック共重合体、または上記
ブロック(イ)と上記ブロック(ロ)およびビニル芳香
族化合物と共役ジエンからなりビニル芳香族化合物が漸
増するテーパーブロック(ハ)とからなる(イ)−
(ロ)−(ハ)ブロック共重合体を水素添加することに
より得られる、共役ジエン部分の二重結合の少なくとも
80%が飽和されており、ポリスチレン換算数平均分子
量が5〜60万である水添ジエン系共重合体、 (b−2):上記ブロック(イ)、共役ジエン重合体あ
るいはビニル芳香族化合物と共役ジエンとの共重合体か
らなり、1,2−ビニル結合含量が25〜95%である
ブロック(ニ)および1,2−ビニル結合含量が20%
以下である共役ジエン重合体ブロック(ホ)からなる
(イ)−(ニ)−(ホ)ブロック共重合体を水素添加す
ることにより得られる、共役ジエン部分の二重結合の少
なくとも80%が飽和されており、ポリスチレン換算数
平均分子量が4〜70万である水添ジエン系共重合体、 (b−3):上記ブロック(ニ)と上記ブロック(ホ)
からなる、(ホ)−(ニ)−(ホ)または〔(ホ)−
(ニ)〕m(ただし、mは2以上)で表されるブロック
共重合体を水素添加することにより得られる、共役ジエ
ン部分の二重結合の少なくとも90%が飽和されてお
り、ポリスチレン換算数平均分子量が5万〜60万であ
る水添ジエン系共重合体、などが挙げられる。
【0018】なお、ここでビニル芳香族化合物として
は、スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−
ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエ
ステルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられるが、
特に好ましくはスチレンとα−メチルスチレンである。
【0019】また、上記共役ジエンとしては1,3−ブ
タジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブ
タジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエ
ン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブ
チル−1,3−オクタジエン、クロロプレンなどが挙げ
られるが、好ましくは1,3−ブタジエン、イソプレン
および1,3−ペンタジエンであり、特に好ましくは
1,3−ブタジエンである。
【0020】上記(b−1)は、ブロック(イ)、ブロ
ック(ロ)および必要に応じて加えられるブロック
(ハ)からなるジエン系共重合体(以下、「重合体b−
1」という)を水素添加して得られる水添共役ジエン系
共重合体(以下、「水添共重合体b−1」という)であ
る。
【0021】重合体b−1中のビニル芳香族化合物と共
役ジエン(ビニル芳香族化合物/共役ジエン)の割合は
重量比で、通常5〜60/95〜40、好ましくは5〜
40/95〜60である。また、ブロック(イ)および
必要に応じて加えられるブロック(ハ)中の結合ビニル
芳香族化合物量の合計は、通常全モノマーの3〜50重
量%、好ましくは3〜25重量%であり、ブロック
(ロ)中の共役ジエン部分におけるビニル結合含量は、
通常15%以上、好ましくは30%以上である。重合体
b−1の水素添加率は80重量%以上、好ましくは90
重量%以上である。
【0022】さらに、水添共重合体b−1のポリスチレ
ン換算数平均分子量は5〜60万、好ましくは7〜25
万である。
【0023】上記(b−2)は、ブロック(イ)、ブロ
ック(ニ)およびブロック(ホ)からなるジエン系共重
合体(以下、「重合体b−2」というを水素添加して得
られる水添共役ジエン系共重合体(以下、「水添重合体
b−2」という)である。重合体b−2中のブロック
(イ)の含量は、通常10〜50重量%、好ましくは1
5〜45重量%、ブロック(ニ)の含量は、通常30〜
80重量%、好ましくは35〜70重量%であり、ブロ
ック(ホ)の含量は、通常5〜30重量%、好ましくは
5〜25重量%である。なお、ブロック(ニ)の1,2
−ビニル結合含量は25〜95%、好ましくは30〜6
0%であり、ブロック(ホ)の1,2−ビニル結合含量
は20%以下、好ましくは5〜15%である。
【0024】重合体b−2の水素添加率は80%以上、
好ましくは90%以上であり、水添重合体b−2のポリ
スチレン換算数平均分子量は4〜70万、好ましくは6
〜40万である。
【0025】上記(b−3)は、ブロック(ニ)とブロ
ック(ホ)からなるジエン系共重合体(以下、「重合体
b−3」という)を水素添加して得られる水添共役ジエ
ン系重合体(以下、「水添重合体b−3」という)であ
る。
【0026】重合体b−3中のブロック(ニ)の含量
は、通常10〜95重量%、好ましくは15〜90重量
%であり、ブロック(ホ)の含量は、通常5〜90重量
%、好ましくは10〜85重量%である。なお、ブロッ
ク(ニ)およびブロック(ホ)の1,2−ビニル結合含
量は、重合体b−2の場合と同様である。
【0027】重合体b−3の水素添加率は、90%以
上、好ましくは95%以上であり、水添重合体b−3の
ポリスチレン換算数平均分子量は、5万〜60万、好ま
しくは10万〜40万である。
【0028】なお、これらの重合体b−1〜b−3は、
カップリング剤を用いてカップリングされていてもよ
く、例えば〔(イ)−(ロ)」n−X、〔(イ)−
(ロ)−(ハ)〕n−X、〔(イ)−(ロ)−(イ)〕
n−X(nは2〜4、Xはカップリング剤残基を示す)
などで表わされるものも含まれる。
【0029】上記アクリルゴムとしては、例えばアクリ
ル酸ブチル−アクリル酸エチル共重合体ゴムなどが挙げ
られる。上記エピクロルヒドリンゴムとしては、エピク
ロルヒドリン単独またはエピクロルヒドリンとエチレン
オキサイドの共重合ゴムが挙げられる。上記オレフィン
系ゴムとしては、例えばエチレン−プロピレン共重合体
ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム
などが挙げられる。上記ハロゲン系ゴムとしては、クロ
ロプレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロスルフ
ォン化ポリエチレンゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブ
チルゴム、塩素化エチレン−プロピレンゴムなどが挙げ
られる。上記シリコーンゴムとしては、ジメチルポリシ
ロキサン、メチルビニルポリシロキサン、メチルフェニ
ルビニルポリシロキサン、トリフルオロプロピルメチル
ビニルポリシロキサン、メチルフェニルシリコーンなど
が挙げられる。これらのほかに、いわゆる多硫化ゴム、
クロロフォスファゼンゴム、ウレタンゴム、エチレン−
酢酸ビニル共重合ゴム、ポリエチレンオキサイドゴム、
フッ素ゴムなどの通称で呼ばれる合成ゴムも同様に、本
発明のゴム(B)として使用することができる。
【0030】本発明において好ましいゴム(B)は、非
ハロゲンジエン系ゴム、非ハロゲンジエン系ゴムの水添
物、エピクロルヒドリンゴムなどである。さらに具体的
には、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、水素
化アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、水素化ア
クリル酸エステル−ブタジエン共重合ゴム、エチレン−
プロピレン共重合ゴムなどである。
【0031】ここでいう水素化アクリル酸エステル−ブ
タジエン共重合ゴムは、アクリル酸アルキルエステルま
たはアクリル酸アルコキシ置換アルキルエステルと共役
ジエンからなるランダム共重合体の共役ジエン重合単位
の二重結合の90%以上を水素化したゴムであり、詳し
くは特開平2−218704号に記載されている。
【0032】本発明においては、これらのゴムに官能
基、例えばカルボキシ基、エポキシ基、アミノ基などを
導入することによって、さらに相溶性を向上させ、機械
的強度や圧縮永久歪を改良することができる。官能基の
導入は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレ
イン酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アミノ(メ
タ)アクリレートなどをゴム(B)を形成する他の成分
とともに共重合することによって行うことができる。な
お、これら官能基の導入は、(A)成分と混合する前に
行ってもよいし、(A)成分と混練するときに同時に行
ってもよい。本発明におけるゴム(B)の溶解パラメー
タ値は、通常8.0以上、好ましくは8.5以上、さら
に好ましくは9.0以上である。
【0033】ゴムの溶解パラメータ値、は日本ゴム協会
発行のゴム工業便覧や同協会発行の新ゴム技術入門など
の文献に記載されている値を参考にすることができる
が、これらの文献に記載されていないゴムに関しては、
講談社発行の溶剤ハンドブックに記載されている各種の
方法で測定することができる。本明細書においては、文
献既知でないゴムについては、Smallにより提案さ
れた物質の分子凝集エネルギー定数から試算する簡便な
方法で求めた値を目安とした。
【0034】本発明においては、ゴム(B)中のゲル含
量は、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上
である。なお、ゲル含量は、架橋前のゴムを十分溶解で
きる溶剤、例えばトルエンやメチルエチルケトンなどを
用いて、架橋後のゴムを溶解したときの不溶分の割合を
もって算出する。
【0035】(A)成分と(B)成分の使用量は、
(A)成分/(B)成分=50〜95/50〜5重量%
であり、好ましくは60〜90/40〜10重量%、さ
らに好ましくは60〜80/40〜20重量%である。
(A)成分の使用量が95重量%を超える領域では、得
られる組成物の柔軟性と圧縮永久歪の向上効果が十分認
められない。また(A)成分の使用量が50重量%未満
の領域では、得られる組成物を安定して製造することが
困難であり、また、流動性の低下が大きく加工性が劣
る。
【0036】本発明の(C)成分は次式(I)で表わさ
れるジチオカルバミン酸のニッケル塩である。
【化3】
【0037】(C)成分の好ましい例としては、ジエチ
ルジチオカルバミン酸ニッケル、ジブチルジチオカルバ
ミン酸ニッケルおよびジメチルジチオカルバミン酸ニッ
ケルが挙げられ、さらに好ましいものとしてはジブチル
ジチオカルバミン酸ニッケルが挙げられる。上記式
(I)におけるR1 およびR2 のアルキル基としてはメ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基、ノニル基など、好ましくはメチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基などである。上記式(I)中のR1
およびR2 におけるアルキル基の炭素数が10を超える
と、得られる組成物の耐熱性と耐候性が低下する。
【0038】(C)成分の使用量は(A)成分と(B)
成分の合計100重量部に対して0.1〜10重量部、
好ましくは0.5〜5重量部、さらに好ましくは0.5
〜3重量部である。0.1重量部未満では、得られる組
成物の耐熱性と耐候性が低下し、10重量部を超える
と、得られる組成物の機械的強度が低下する。
【0039】(C)成分は得られる組成物の耐熱性と耐
候性を保持する目的で添加されるが、(C)成分の代わ
りに例えばフェノール系、アミン系、イミダゾール系な
どの一般的なゴム用老化防止剤だけを添加しても耐熱性
や耐候性を十分に保持することはできない。特に、アミ
ン系老化防止剤やイミダゾール系老化防止剤の添加は、
ポリエステルエラストマーの劣化を促進する場合もあ
る。(C)成分は(B)成分であるゴム質重合体に分散
すればいつ添加してもよいが、架橋前または架橋中に
(A)および(B)成分に添加することが好ましい。
【0040】本発明においては、熱可塑性ポリエステル
エラストマー(A)、ゴム質重合体(B)およびジチオ
カルバミン酸のニッケル塩(C)を単純にブレンドする
だけではなく、より高い性能の組成物を得るために、混
合中にゴム質重合体(B)を動的に架橋する。「動的架
橋」とは、Uniroyal社のW.M.Fische
rらや、Monsanto社のA.Y.Coranらに
より開発された手法であり、熱可塑性樹脂のマトリック
ス中にゴムをブレンドし、架橋剤とともに混練りしなが
らゴムを高度に架橋させ、しかもそのゴムを微細に分散
させるプロセスのことである。
【0041】動的架橋において使用する架橋剤として
は、硫黄、過酸化物、樹脂架橋剤などの一般的にゴムに
使用される架橋剤を使用することができ、(B)成分と
して使用するゴム質重合体の種類にあわせて適当な架橋
剤を選ぶことができる。また、通常のゴム加硫と同様に
架橋助剤や架橋促進剤などの添加剤を添加することもで
きる。具体例としては、例えば架橋剤ハンドブック(山
下普三、金子東助著、大成社)に記載されている架橋
剤、架橋助剤、架橋促進剤などを挙げることができる。
【0042】本発明における動的架橋は、各種押出機、
バンバリーミキサー、ニーダー、さらにこれらを組み合
わせたものなどにより、上記各成分を混練することによ
って行なうことができる。しかし、生産性を考慮する場
合は、二軸押出機を用いて混練することが最も好まし
い。このとき、押出機の途中から可塑剤および架橋剤の
添加を行なう。
【0043】したがって、二軸押出機としては、L/D
=30以上の長軸型のものが好ましい。溶融混練時の各
成分の添加方法には、(A)、(B)、(C)全成分と
架橋剤を同時に添加する方法と、(A)、(B)、
(C)全成分を混練したのち、途中から架橋剤を添加す
る方法があるが、好ましくは(A)、(B)、(C)全
成分を混練したのちに架橋剤を添加する。
【0044】架橋剤の使用量は、目的とする最終組成物
に要求される性能によって適宜定めることができるが、
イオウ加硫系、脂肪架橋剤の場合には、通常、組成物中
の(B)成分100重量部に対して、主たる架橋剤0.
1〜8重量部、加硫促進剤0.1〜10重量部、加硫促
進助剤0.5〜10重量部、活性剤0.5〜10重量
部、架橋助剤0.1〜10重量部の範囲であり、目的と
する組成物に応じて適宜決定される。
【0045】本発明のゴム(B)を熱可塑性ポリエステ
ル(A)中に十分に分散させ、かつその界面を強化して
物性をさらに向上させるために、いわゆる相溶化剤を用
いることができる。相溶化剤は大きく分けると、化学反
応を伴わないものと伴うものがある。前者は、通常ブロ
ック共重合体やグラフト共重合体であり、いわゆる乳化
作用を示す。後者は、末端や側鎖に官能基を有するポリ
マーやポリマーの末端に重合性基を有する高分子マクロ
マーなどである。
【0046】相溶化剤の具体例としては、エチレン/グ
リシジルメタクリレート共重合体−ポリメチルメタクリ
レートグラフトポリマー、エチレン/グリシジルメタク
リレート共重合体−アクリロニトリル/スチレン共重合
体グラフトポリマー、エチレン/グリシジルメタクリレ
ート共重合体−ポリスチレングラフトポリマー、エチレ
ン/エチルアクリレート共重合体−ポリメチルメタクリ
レートグラフトポリマー、エチレン/エチルアクリレー
ト共重合体−ポリアクリロニトリルグラフトポリマー、
エチレン/エチルアクリレート共重合体−ポリアクリロ
ニトリルグラフトポリマー、エチレン/エチルアクリレ
ート共重合体−ポリスチレングラフトポリマー、エチレ
ン/酢酸ビニル共重合体−ポリメチルメタクリレートグ
ラフトポリマー、エチレン/酢酸ビニル共重合体−ポリ
アクリロニトリルグラフトポリマー、エチレン/酢酸ビ
ニル共重合体−ポリスチレングラフトポリマー、ポリプ
ロピレン−ポリアクリロニトリルグラフトポリマー、ポ
リプロピレン−ポリスチレングラフトポリマー、ポリプ
ロピレン−ポリスチレングラフトポリマー、ポリエチレ
ン−ポリメチルメタクリレートグラフトポリマー、ポリ
エチレン−ポリアクリロニトリルグラフトポリマー、ポ
リエチレン−ポリスチレングラフトポリマー、エポキシ
変性ポリスチレン−ポリメチルメタクリレートグラフト
ポリマー、ポリブチレンテレフタレート−ポリスチレン
グラフトポリマー、酸変性アクリル−ポリメチルメタク
リレートグラフトポリマー、酸変性アクリル−ポリスチ
レングラフトポリマー、ポリスチレン−ポリメチルメタ
クリレートグラフトポリマー、ポリスチレン−ポリエチ
レングラフトポリマー、ポリスチレン−ポリブタジエン
グラフトポリマー、ポリスチレン−ポリアクリロニトリ
ルブロック共重合体、ポリスチレン−ポリブチルアクリ
レートブロック共重合体などが挙げられる。
【0047】相溶化剤の具体例としては、日本油脂株式
会社社製モデパーA1100,A3100,A410
0,A5100,A6100,A1200,A420
0、A5200,A6200,A1400,A340
0,A4400,A5400,A6400、東亜合成化
学工業株式会社社製RESEDA(登録商標名)GP1
00,GP200,GP300,GP400,GP50
0,GP700などの市販品を挙げることができる。こ
れらを含めた相溶化剤の例は、秋山三郎著「表面」19
91年Vol.29,No.1や、前田佳治ら著雑誌
「高分子加工」1991年40巻4号などに記載されて
いる。
【0048】これらの相溶化剤の中で特に好ましいもの
は、使用するゴム(B)の種類によっても異なるが、熱
可塑性ポリエステルエラストマー(A)と直接反応する
エポキシ基またはカルボキシル基を有する相溶化剤であ
る。
【0049】本発明においては、本発明の(A)成分と
(B)成分の混練中に動的に架橋することにより、得ら
れる組成物のパルスNMR法により室温で測定した横緩
和時間(以下、T2 という)の分布が、次のようにな
る。すなわち、T2 を100〜500μsの長時間領域
(以下、T2 lという)、20μs〜100μs未満の
中時間領域(以下、T2 mという)および0〜20μs
未満の短時間領域(以下、T2 sという)の3領域に分
けた場合、信号強度を基準として、T2 lが55〜85
%、T2 mが5〜20%およびT2 sが10〜40%と
なる。
【0050】本発明においては、本発明の(A)成分、
(B)成分および(C)成分の混練中に動的に架橋する
ことにより、得られる組成物のパルスNMR法により室
温で測定した横緩和時間(以下、T2 という)の分布
が、次のようになる。すなわち、T2 を100〜500
μsの長時間領域(以下、T2 lという)、20μs〜
100μs未満の中時間領域(以下、T2 mという)お
よび0〜20μs未満の短時間領域(以下、T2 sとい
う)の3領域に分けた場合、信号強度を基準として、T
2 lが55〜85%、T2 mが5〜20%およびT2
が10〜40%となる。このT2 lが55%未満の場
合、T2 mが20%を超える場合またはT2 sが40%
を超える場合には、得られる組成物の柔軟性と圧縮永久
歪が劣る。また、T2 mが5%未満の場合やT2 sが1
0%未満の場合には得られる組成物の機械的強度が劣
る。
【0051】パルス法NMRによるT2 の測定方法には
種々のものがあるが、不均質系の固体に対して精度良く
2 が測定できるソリッドエコー法による測定が好まし
い。T2 l、T2 mおよびT2 sの割合は、測定信号
(FID)を次式1に近似してT2 l,T2 mおよびT
2 sにおける信号強度を求め、その割合から求めること
ができる。
【0052】
【数1】
【0053】これらの測定方法や解析方法に関しては例
えば「高分子の磁気共鳴」高分子実験学18、高分子学
会高分子実験学編集委員会編、共立出版株式会社(19
75)などに詳しく記載されている。このようにして求
められたT2 は、原料として使用する熱可塑性ポリエス
テルエラストマー(A)やゴム質重合体(B)の種類に
よっても異なるが、同一原料を用いて同一組成で製造し
た未架橋の組成物のT2 lの割合に対して、動的架橋を
行った組成物のT2 lの割合が99%以下、好ましくは
98〜87%、さらに好ましくは97〜90%である場
合に、より改良された組成物を得ることができ、99%
を超えると、機械的性質と圧縮永久歪が劣る。
【0054】本発明の組成物には、有機過酸化物を添加
することができる。有機過酸化物は、好ましくは組成物
中の(B)成分100重量部に対して、有機過酸化物中
の活性酵素量が0.001〜0.1モルになる量を添加
する。0.001モル未満では十分な架橋が生起しな
い。また、0.1モルを超えて使用しても、より以上の
架橋は期待できず、経済的でないうえ、他の好ましくな
い副反応、例えば重合体の分解などが起こりやすくな
る。
【0055】本発明の熱可塑性エラストマー組成物に
は、柔軟性と流動性をさらに向上させるために、機械的
強度などを損なわない範囲で可塑剤を添加することがで
きる。使用できる可塑剤としては、プロセスオイル、ま
たはエクステングオイルと呼ばれる鉱物油系ゴム用軟化
剤、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジエ
チルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジ−2−
エチルヘキシルフタレート、ジイソデシルフタレート、
ジウンデシルフタレート、ジイソノニルフタレートなど
のフタル酸エステル類、トリクレジルホスフェート、ト
リエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ
−2−エチルヘキシルホスフェート、トリメチルホスフ
ェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリス−ク
ロロエチルホスフェート、トリス−ジクロロプロピルホ
スフェート、縮合リン酸エステル、トリフェニルホスフ
ェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェ
ニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェー
ト、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、トリ
ラウリルホスフェート、トリセチルホスフェート、トリ
ステアリルホスフェノート、トリオレイルホスフェート
などのリン酸エステル類、トリメリット酸オクチルエス
テル、トリメリット酸イソノニルエステル、トリメリッ
ト酸イソデシルエステルなどのトリメリット酸エステル
類、ジペンタエリスリトールエステル類、ジオクチルア
ジペート、ジメチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシ
ルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジブチルアジ
ペート、ジイソデシルアジペート、ジブチルジグリコー
ルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジ
オクチルアゼレート、ジオクチルセバケート、ジ−2−
エチルヘキシルセバケート、メチルアセチルリシノレー
トなどの脂肪酸エステル類、ピロメリット酸オクチルエ
ステルなどのピロメリット酸エステル類、エポキシ化大
豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化脂肪酸アルキル
エステル(例えばエポキシ化脂肪酸オクチルエステル)
などのエポキシ系可塑剤、アジピン酸エーテルエステ
ル、ポリエーテルエステル、ポリエーテルなどのポリエ
ーテル系可塑剤などが挙げられ、これらの可塑剤は単独
でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0056】本発明の組成物に上記可塑剤を添加する場
合、ブリード性の面からはフタル酸エステル類、リン酸
エステル類、エポキシ系可塑剤、ポリエーテル系可塑剤
などが好ましく、さらに好ましくはフタル酸エステル類
およびポリエーテル系可塑剤である。可塑剤の添加は、
架橋剤の添加前、添加後のいずれでもよく、また一部を
架橋前に添加し、残りを架橋後に添加してもよい。好ま
しい添加量は、(A)成分と(B)成分の合計100重
量部に対して3〜50重量部、さらに好ましくは5〜4
5重量部、特に好ましくは10〜30重量部である。可
塑剤の添加量が3重量部未満の場合、可塑剤の添加によ
る流動性と柔軟性の向上効果が十分でない。また、添加
量が50重量部を超えると可塑剤のブリードアウトが起
こり、成形品の表面がベタつき使用できなくなる。
【0057】本発明の熱可塑性エラストマー組成物に
は、流動性および機械的強度を損なわない範囲で、充填
剤、例えば炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレ
ー、カオリン、タルク、シリカ、ケイソウ土、雲母粉、
アスベスト、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウ
ム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化
モリブデン、グラファイト、カーボンブラック、カーボ
ン繊維など、あるいは着色剤、例えばカーボンブラッ
ク、群青、酸化チタン、亜鉛華、べんがら、紺青、アゾ
顔料、ニトロン顔料、レーキ顔料、フタロシアニン顔料
または耐摩耗性向上剤、例えば二硫化モリブデン、テフ
ロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シリコンオイ
ル、グラファイトパウダーなどを配合することができ
る。また、液状NBR、液状アクリルゴム、液状ポリブ
タジエンゴムなどの液状ゴムを機械的強度を損なわない
範囲で配合することにより、流動性や柔軟性をさらに向
上させることができる。
【0058】また、本発明の熱可塑性エラストマー組成
物には、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボ
ネート、PET、PBT、ポリアセタール、ポリアミ
ド、エポキシ樹脂、フッ化ビニリデン、ポリスルホン、
エチレン−酢酸ビニル共重合体PPS樹脂、ポリエーテ
ルエーテルケトン、PPO樹脂、スチレン−メタクリル
酸メチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合
体、ゴム変性PPO樹脂、スチレン−マレイミド系共重
合体、ゴム変性スチレン−マレイミド系共重合体、ポリ
エステル系エラストマー以外のエラストマー(例えばポ
リアミド系エラストマー)などの樹脂や熱可塑性エラス
トマーなどを適宜ブレンドすることができる。
【0059】本発明の組成物を成形することにより得ら
れる成形体は、バンパー部品、サイドシールド、ステア
リングホイール、モール、ハンドル、ラック・ピニオン
式ステアリング用ブーツ、マクファーソンストラットブ
ーツ、プロペラシャフト用ブーツ、トーリングブーツ、
ステアリングブーツ、ボールジョイントシール、タイロ
ッドシール、ユニバーサルジョイントシール、エアーサ
スペンション用ベローズ、ローリングダイヤフラムなど
の自動車部品、靴底、サンダルなどの履物、電線被覆、
コネクター、キャッププラグなどの電気部品、ゴルフク
ラブグリップ、野球バットのグリップ、水泳用フィン、
水中眼鏡などのスポーツ、レジャー用品、キーボードス
イッチなどのラバーコンタクト、カールコード、カップ
リング、Oリング、ガスケット、防水布、油圧ホース、
パワステホース、バキャームチューブ、コイルチューブ
などのカーデンホースなどのチューブ、ホース類右、パ
ッキンロール、ベルトなどの素材として使用することが
できる。
【0060】
【実施例】以下に、実施例によって本発明をさらに詳し
く説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これ
らの実施例に何ら制限されるものではない。
【0061】実施例1;表1に示すように、熱可塑性ポ
リエステルエラストマー(PIBIFLEX46M、エ
ニクム・ポリメリ社製)70重量%、ゴム質重合体
(1)(アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、N
BR N220S、日本合成ゴム社製)30重量%、お
よびポリエステルエラストマーとゴム質(1)との合計
100重量部に対して1重量部のジブチルジチオカルバ
ミン酸ニッケルを、二軸押出機を用いて210℃にて混
練中、二軸押出機の途中から架橋剤(1)(2,5−ジ
メチル−2、5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン
0.3重量部を添加し、ゴム質重合体(1)を動的に架
橋し、ペレット状の熱可塑性エラストマー組成物を得
た。得られたペレットを十分に乾燥したのち、射出成形
機で成形することにより試験片を作製した。作製した試
験片について、以下の物性試験を行った。 (1) 硬度:JIS K−6301 JIS A硬度 (2) 引張強度(TB ):JIS K−6301 J
IS 3号ダンベル (3) 引張伸度(EB ):JIS K−6301 J
IS 3号ダンベル (4) 圧縮永久歪:JIS K−6301 100℃
×22hr (5) 耐熱性:JIS K−6301 ギヤー式老化
試験機を用いて120℃×150時間後のTB の変化率
(%)を測定した。 (6) 耐油性:100℃の雰囲気下でJIS 3号油
にダンベルを48時間浸漬後のTB の変化率(%)を測
定した。 (7) 耐候性:サンシャインウェザーメーターを用い
てブラックパネル温度83℃と雨あり条件で300時間
後のTB の変化率(%)を測定した。 (8) 成形外観:上記成形においてショートショット
がなく、著しい外観不良(フロマーク、デラミネーショ
ンなど)がない場合に、成形加工性を良好とした。 物性の評価結果を、表1に示す。
【0062】実施例2;ゴム質重合体(1)の代わりに
ゴム質重合体(2)(水添アクリロニトリル−ブタジエ
ン共重合ゴム、テルバン1907、バイエル ジャパン
社製)を用い、架橋剤(1)の添加量を0.4重量部と
する以外は実施例1と同様にして組成物を得、作製した
試験片の物性試験を行った。物性の評価結果を、表1に
示す。 実施例3;ゴム質重合体(1)の代わりにゴム質重合体
(3)(アクリルゴム、ノックスタイトPA302、N
OK社製)を用い、架橋剤(2)(安息香酸アンモニウ
ム1.2重量部+ステアリン酸0.3重量部)を各成分
と同時に投入する以外は実施例1と同様にして組成物を
得、作製した試験片の物性試験を行った。物性の評価結
果を、表1に示す。
【0063】比較例1〜4;ポリエステルエラストマ
ー、ゴム質重合体(1)、ジブチルジチオカルバミン酸
ニッケルおよび架橋剤(1)の配合割合を表1に示すよ
うに変える以外は、実施例1と同様にして組成物を得
た。これらの組成物から作製した試験片について、物性
試験を行った。ただし、比較例2の組成物は成形するこ
とができなかった。物性の評価結果を、表1に示す。 比較例5〜8;ジチオカルバミン酸ニッケルの代わり
に、下記の老化防止剤(1)〜(4)1重量部を用いる
以外は実施例1と同様にして組成物を得た。得られた組
成物から作製した試験片について、物性試験を行った。
物性の評価結果を、表1に示す。 比較例5(老化防止剤(1)) 2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチル
フェノール) 比較例6(老化防止剤(2)) 重合された2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロ
キノリン 比較例7(老化防止剤(3)) オクチル化ジフェニルアミン 比較例8(老化防止剤(2)+老化防止剤(4)) 重合された2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロ
キノリン0.5重量部と2−メルカプトベンゾイミダゾ
ール0.5重量部の混合物
【0064】
【表1】
【0065】表1に示す物性の評価結果から明らかなよ
うに、実施例1〜3の組成物は各物性がバランスよく優
れている。これに対して比較例1は、ポリエステルエラ
ストマーの配合割合が本発明の範囲を超えており、得ら
れた組成物は硬度が高く、圧縮永久歪も劣っている。比
較例2は、ゴム質重合体(NBR)の配合割合が本発明
の範囲を超えており、安定した製造が困難であり、得ら
れた組成物は流動性が悪く、成形できない。比較例3
は、ジチオカルバミン酸ニッケルの配合割合が本発明の
範囲未満の例であり、得られた組成物の耐熱性、耐油性
および耐候性が劣っている。比較例4は、ジチオカルバ
ミン酸ニッケルの配合割合が本発明の範囲を超えている
例であり、引張強度と引張伸度が劣っており、成形外観
も悪い。比較例5〜8は、ジチオカルバミン酸ニッケル
の代わりにゴム用の老化防止剤を用いた例であり、いず
れの場合も耐熱性と耐候性が劣っている。特に、アミン
系の老化防止剤(オクチル化ジフェニルアミン)を使用
した比較例7と、イミダゾール系の老化防止剤(2−メ
ルカプトベンゾイミダゾール)を使用した比較例8で
は、耐熱性および耐候性の低下が著しい。
【0066】
【発明の効果】本発明は、ポリエステルエラストマーに
架橋可能なゴム質重合体と特定のジチオカルバミン酸の
ニッケル塩を配合し、溶融混練中にゴム質重合体を動的
に架橋することによって、ポリエステルエラストマーの
特徴である機械的強度、耐熱性および耐候性を保持しな
がら、課題であった柔軟性と圧縮永久歪を改良したもの
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中島 達雄 静岡県磐田市東貝塚1342−2 (72)発明者 此本 武美 静岡県掛川市初馬2092

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリエステルエラストマー50
    〜95重量%と架橋可能なゴム質重合体50〜5重量%
    との合計100重量部に対して、次式(I)で表わされ
    るジチオカルバミン酸のニッケル塩 【化1】 を0.1〜10重量部配合し、架橋してなる熱可塑性エ
    ラストマー組成物。
JP14235292A 1992-06-03 1992-06-03 熱可塑性エラストマー組成物 Pending JPH0641404A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002265775A (ja) * 2001-03-14 2002-09-18 Fujikura Rubber Ltd 環境保護ヒドリンゴム組成物
JP2003064252A (ja) * 2001-08-27 2003-03-05 Fujikura Rubber Ltd 環境保護ヒドリンゴム組成物

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002265775A (ja) * 2001-03-14 2002-09-18 Fujikura Rubber Ltd 環境保護ヒドリンゴム組成物
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