JPH08176412A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物

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JPH08176412A
JPH08176412A JP31897594A JP31897594A JPH08176412A JP H08176412 A JPH08176412 A JP H08176412A JP 31897594 A JP31897594 A JP 31897594A JP 31897594 A JP31897594 A JP 31897594A JP H08176412 A JPH08176412 A JP H08176412A
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rubber
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acid
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composition
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Application number
JP31897594A
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English (en)
Inventor
Tatsuo Nakajima
達雄 中島
Takemi Konomoto
武美 此本
Toru Hasegawa
亨 長谷川
Hisahiro Nishio
寿浩 西尾
Tadashi Yasuda
直史 安田
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NTN Corp
JSR Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 機械的性質、耐オゾン性を確保しながら柔軟
性と屈曲疲労特性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供す
る。 【構成】 (A)熱可塑性ポリエステルエラストマー4
0〜95重量%と、(B)水素化アクリロニトリルブタ
ジエン系ゴム(B−1)とアクリル系ゴム(B−2)か
ら成り、かつ(B−1)成分と(B−2)成分の重量比
が、(B−1)成分/(B−2)成分=1/9〜9/1
であるゴム60〜5重量%を含む組成物において、
(B)成分が架橋されている組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機械的性質、耐熱性、
柔軟性、耐オゾン性、屈曲疲労特性に優れた熱可塑性ポ
リエステルエラストマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性ポリエステルエラストマーは、
機械的性質、耐熱性、および耐油性に優れているが、エ
ラストマーとしては硬度が高く、柔軟性と圧縮永久歪に
劣るという欠点があり、その用途の拡大が制約されてい
る。そこで、それらを解決するために、ゴム成分を配合
し、柔軟性を改良することが提案されている。例えば特
開平1−266154には熱可塑性エラストマーにアク
リルゴムをブレンドした組成物が開示されている。しか
し、このような組成物は機械的性質の低下が大きく、ま
た、成形加工時の離型性が悪いという欠点があった。こ
のように従来の熱可塑性ポリエステルエラストマーは、
柔軟性に欠け、圧縮永久歪に劣るという欠点があり、そ
れを改良するためにゴムを配合しても機械的性質が低下
したり離型性が悪くなり、工業部品や自動車部品におけ
るブーツ材、ホース材、ベルト材としての用途の拡大が
制約されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、熱可
塑性ポリエステルエラストマーの優れた機械的性質、耐
熱性を損なうことなく、柔軟性、耐オゾン性、屈曲疲労
性に優れた熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物を
提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点を
解決するために、(A)熱可塑性ポリエステルエラスト
マー40〜95重量%と、(B)水素化アクリロニトリ
ルブタジエン系ゴム(B−1)とアクリル系ゴム(B−
2)から成り、かつ(B−1)成分と(B−2)成分の
重量比が、(B−1)成分/(B−2)成分=1/9〜
9/1であるゴム60〜5重量%を含む組成物におい
て、(B)成分が架橋されている組成物を提供するもの
である。 (1)上記熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)は
高融点結晶性セグメント(A−1)と低融点結晶性セグ
メント(A−2)を含んでおり、(A−1)と(A−
2)との組成比は、好ましくは重量比95/5〜5/9
5であり、さらに好ましくは70/30〜30/70で
ある。 (2)また、上記(B−1)成分は、アクリロニトリル
とブタジエンとからなるランダム共重合体で、ブタジエ
ン重合単位の二重結合の80%以上、好ましくは90%
以上を水素化したゴムであり、(B−2)成分は、オレ
フィン0〜90重量%、アルキルアクリレート99.9
〜10重量%、架橋部位として官能基を有する化合物0
〜15重量%から成るアクリル系ゴムである。 (3)上記(B−1)と(B−2)との組成比は1/9
〜9/1、好ましくは2/8〜8/2である。 (4)また上記(A)成分の組成物中における配合割合
は好ましくは50〜90重量%、さらに好ましくは50
〜85重量%、ゴム成分(B)の配合割合は、好ましく
は50〜10重量%、さらに好ましくは50〜15重量
%である。 (5)(B)成分は動的架橋されることがのぞましい。
【0005】本発明の(A)成分である熱可塑性ポリエ
ステルエラストマーは、ポリエステルブロック共重合体
であり、その重合体連鎖中に、主として芳香族ポリエス
テル単位からなる高融点結晶性セグメント(A−1)
と、主として脂肪族ポリエーテル単位および/または脂
肪族ポリエステル単位からなる低融点重合体セグメント
(A−2)とを有している。
【0006】ハードセグメントである高融点結晶性セグ
メント(A−1)の芳香族ポリエステル単位は、酸成分
とグリコール成分とから形成される。上記酸成分は実質
的にテレフタール酸および/または2,6−ナフタレン
ジカルボン酸である。これらテレフタール酸または2,
6−ナフタレンジカルボン酸のほかに、イソフタール酸
などの他の芳香族ジカルボン酸、あるいはアジピン酸、
セバチン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、
ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸を少量併用しても
よい。上記グリコール成分は、炭素数2〜12のグリコ
ール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、ヘキサンジオール、デカンジオールなどである。な
お、高融点結晶性セグメント(A−1)の融点の下限は
特に限定されないが、一般的には150℃以上であり、
好ましくは170℃以上、さらに好ましくは190℃以
上であり、その上限は通常300℃である。また高融点
結晶性セグメント(A−1)の重合度は、通常3〜35
である。
【0007】ソフトセグメントである低融点重合体セグ
メント(A−2)を構成する脂肪族ポリエーテル単位
は、ポリアルキレングリコールで形成される。その具体
例としては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロ
ピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポ
リエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロ
ック共重合体などが挙げられ、特にポリテトラメチレン
グリコールが好ましい。これらのポリアルキレングリコ
ールは、その炭素数と酸素数の比が2〜4.5のもので
あれば、単独または混合物として用いることができる。
【0008】低融点重合体セグメント(A−2)を構成
するもう一つの単位である脂肪族ポリエステル単位は、
主として脂肪族ジカルボン酸とグリコールからなる。そ
の主たる酸性分である脂肪族ジカルボン酸は、例えばコ
ハク酸、アジピン酸、セバチン酸、デカンジカルボン酸
などである。これら脂肪族ジカルボン酸のほかにイソフ
タール酸などの芳香族ジカルボン酸を少量併用してもよ
い。また、上記脂肪族ポリエステル単位を形成するグリ
コール成分は、炭素数2〜12のグリコール成分であ
り、その具体例としては高融点結晶性セグメント(A−
1)でグリコール成分として例示したものが挙げられ
る。
【0009】上記脂肪族ポリエステル単位は、脂肪族ジ
カルボン酸とグリコール成分とを通常の方法で重縮合さ
せて得られるものであり、ホモポリエステルでも共重合
ポリエステルでもよく、あるいは環状のラクトンを開環
重合して得られるポリラクトン、例えばポリ−ε−カプ
ロラクトンでもよい。なお、低融点重合体セグメント
(A−2)の融点の上限は特に限定されないが、一般的
には130℃以下であり、好ましくは100℃以下であ
る。また、低融点重合体セグメント(A−2)の分子量
は、通常400〜6000である。
【0010】熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)
中の高融点結晶性セグメント(A−1)と低融点重合体
セグメント(A−2)との組成比は、好ましくは重量比
で95/5〜5/95であり、さらに好ましくは70/
30〜30/70である。また、熱可塑性ポリエステル
エラストマー(A)としては、軟化点が100℃以上で
あるものが特に好ましい。
【0011】熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)
として特に好ましく用いられるポリエステルブロック共
重合体は、高融点結晶性セグメント(A−1)としてポ
リテトラメチレンテレフタレートまたはポリトリメチレ
ンテレフタレート−2,6−ナフタレートを用い、低融
点重合体セグメント(A−2)としてポリテトラメチレ
ングリコールなどのポリエーテル、ポリテトラメチレン
アジペート、ポリ−ε−カプロラクトンなどの脂肪族ポ
リエステルを用いて形成されるものである。また、ジカ
ルボン酸やグリコールの一部としてポリカルボン酸や多
官能性ヒドロキシ化合物、オキシ酸などが共重合された
ものでもよい。これらの多官能性成分は、3モル%以下
の範囲で共重合させることにより、高粘度化成分として
有効に作用する。多官能性成分としては、例えばトリメ
リット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ベンゾフェ
ノンテトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、グリ
セリン、ペンタエリスリトール、またはこれらのエステ
ル、酸無水物などを挙げることができる。
【0012】熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)
は、通常の重合方法によって製造することができる。好
適な重合方法としては、芳香族ジカルボン酸またはその
ジメチルエステルと低融点セグメント形成性ジオールと
を、触媒の存在下に約150〜260℃に加熱し、エス
テル化反応またはエステル交換反応を行い、次いで真空
下に過剰の低分子ジオールを除去しつつ重縮合反応を行
うことにより熱可塑性エラストマーを得る方法;あらか
じめ調整した高融点ポリエステルセグメント形成性プレ
ポリマーおよび低融点重合体セグメント形成性プレポリ
マーに、それらのプレポリマーの末端基と反応する2官
能性の鎖延長剤を混合し、反応させたのち、系を高真空
に保ち、揮発成分を除去することにより熱可塑性ポリエ
ステルエラストマーを得る方法;高重合度の高融点ポリ
エステルとラクトン類とを加熱混合し、ラクトンを開環
重合させつつエステル交換反応させることにより熱可塑
性ポリエステルエラストマーを得る方法などがある。
【0013】本発明の(B)成分中の水素化アクリロニ
トリルブタジエン系ゴム(以下、水素化NBR、水添N
BRという)(B−1)は、アクリロニトリルとブタジ
エンからなる共重合体で、ブタジエン重合単位の二重結
合の80%以上、好ましくは90%以上を水素化したゴ
ムである。該ランダム共重合体中のアクリロニトリルの
割合は20〜50重量%、好ましくは30〜45重量%
である。
【0014】また、アクリル系ゴム(B−2)は、オレ
フィン0〜90重量%、アルキルアクリレート99.9
〜10重量%、架橋性部位としてカルボキシル基やエポ
キシ基等の官能基を有する化合物0〜15重量%から成
るゴムである。オレフィンとしては、エチレン、プロピ
レン、ブテン−1、等とこれらの混合物が含まれるが、
このうちC1 〜C4 のα−オレフィンが好ましく、エチ
レンが特に好ましい。アルキルアクリレートとしては、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メ
チルなどのアルキル(メタ)アクリレートやアルコキシ
アルキルアクリレート、アルキルチオアルキルアクリレ
ートなどの単量体又は混合物であり、好ましくはC1
4 のアルキル(メタ)アクリレートである。架橋性部
位としては、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシ
ル基含有化合物、アリルグリシジルエーテル等のエポキ
シ基含有化合物、2−クロルエチルビニルエーテル等の
反応性ハロゲン原子含有化合物が挙げられる。
【0015】アクリル系ゴム(B−2)を構成する上記
各成分の量は、好ましくはオレフィン30〜90重量
%、アルキルアクリレート70〜10重量%、架橋性部
位0〜10重量%である。さらに好ましくはオレフィン
30〜80重量%、アルキルアクリレート69.5〜1
2重量%、架橋性部位0.5〜8重量%である。
【0016】本発明の組成物における(A)熱可塑性ポ
リエステルエラストマーの配合割合は40〜95重量
%、好ましくは50〜90重量%、さらに好ましくは5
0〜85重量%である。ゴム(B−1)と(B−2)と
からなるゴム成分(B)の配合割合は60〜5重量%、
好ましくは50〜10重量%、さらに好ましくは50〜
15重量%である。(A)成分の割合が95重量%を超
える((B)成分が5重量%未満)と、得られる組成物
の柔軟性の向上効果が十分得られない。また(A)成分
の配合割合が40重量%未満((B)成分が60重量%
を超える)では、得られる組成物の加工性と流動性が劣
る。
【0017】水素化NBR(B−1)とアクリル系ゴム
(B−2)の重量比は、(B−1)成分/(B−2)成
分=1/9〜9/1であり、好ましくは2/8〜8/2
である。ゴム中における(B−1)成分の比率が10%
未満では、得られる組成物の機械的特性の低下が大き
く、(B−1)成分の比率が90%を超えると得られる
組成物の流動性、屈曲疲労特性が劣る。更に必要に応じ
て本発明の組成物にアクリロニトリル−ブタジエン共重
合体ゴム、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合ゴム
等の他のゴムを添加することができる。
【0018】ゴム(B)成分の架橋はポリエステルエラ
ストマー(A)と混合前、混合中、混合後のどの時点で
もかまわないが、より高い物性を得るには混合中、つま
り動的架橋を行うのが好ましい。動的架橋とは、熱可塑
性ポリエステルエラストマーのマトリックス中にゴム
(B)をブレンドし、架橋剤と共に混練しながらゴムを
架橋させ、しかも、そのゴムを微細に分散させるプロセ
スのことである。架橋剤としては、水素化NBRとアク
リル系ゴムの夫々に適した架橋剤を併用して使用するこ
とができる。また、これらの架橋剤と共に架橋助剤、架
橋促進剤を併用してもよい。本発明における混練は、各
種押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、あるいはこ
れらを組み合わせたものによって行われるが、生産性と
混練性を考えると二軸押出機を用いるのが好ましい。
【0019】本発明においては、ゴム(B)を熱可塑性
ポリエステルエラストマー(A)中に十分に分散させ、
かつその界面を強化して物性をさらに向上させるため
に、いわゆる相溶化剤を用いることができる。相溶化剤
は大きく分けると、化学反応を伴わないものと伴うもの
がある。前者は、通常ブロック共重合体やグラフト共重
合体であり、いわゆる乳化作用を示す。後者は、末端や
側鎖に官能基を有するポリマーやポリマーの末端に重合
性基を有する高分子マクロマーなどである。相溶化剤の
具体例としては、エチレン/グリシジルメタクリレート
共重合体−ポリメチルメタクリレートグラフトポリマ
ー、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体−ア
クリロニトリル/スチレン共重合体グラフトポリマー、
エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体−ポリス
チレングラフトポリマー、エチレン/エチルアクリレー
ト共重合体−ポリメチルメタクリレートグラフトポリマ
ー、エチレン/エチルアクリレート共重合体−ポリアク
リロニトリルグラフトポリマー、エチレン/エチルアク
リレート共重合体−ポリスチレングラフトポリマー、エ
チレン/酢酸ビニル共重合体−ポリメチルメタクリレー
トグラフトポリマー、エチレン/酢酸ビニル共重合体−
ポリアクリロニトリルグラフトポリマー、エチレン/酢
酸ビニル共重合体−ポリスチレングラフトポリマー、ポ
リプロピレン−ポリアクリロニトリルグラフトポリマ
ー、ポリプロピレン−ポリスチレングラフトポリマー、
ポリプロピレン−ポリスチレングラフトポリマー、ポリ
エチレン−ポリメチリルメタクリレートグラフトポリマ
ー、ポリエチレン−ポリアクリロニトリルグラフトポリ
マー、ポリエチレン−ポリスチレングラフトポリマー、
エポキシ変性ポリスチレン−ポリメチルメタクリレート
グラフトポリマー、ポリブチレンテレフタレート−ポリ
スチレングラフトポリマー、酸変性アクリル−ポリメチ
ルメタクリレートグラフトポリマー、酸変性アクリル−
ポリスチレングラフトポリマー、ポリスチレン−ポリメ
チルメタクリレートグラフトポリマー、ポリスチレン−
ポリエチレングラフトポリマー、ポリスチレン−ポリブ
タジエングラフトポリマー、ポリスチレン−ポリアクリ
ロニトリルブロック共重合体、ポリスチレン−ポリブチ
ルアクリレートブロック共重合体、オキサゾリン基含有
化合物などが挙げられる。
【0020】入手できる相溶化剤の具体例としては、日
本油脂株式会社製モデパーA1100,A3100,A
4100,A5100,A6100,A1200,A4
200,A5200,A6200,A1400,A34
00,A4400,A5400,A6400、東亜合成
化学工業株式会社製RESEDA(登録商標名)GP1
00,GP200,GP300,GP400,GP50
0,GP700などの市販品を挙げることができる。こ
れらを含めた相溶化剤の例は、秋山三郎著「表面」19
91年Vol.29,No.1や、前田佳治ら著雑誌
「高分子加工」1991年40巻4号などに記載されて
いる。これらの相溶化剤の中で特に好ましいものは、使
用するゴム(B)の種類によっても異なるが、熱可塑性
ポリエステルエラストマー(A)と直接反応するエポキ
シ基、オキサゾリン基またはカルボキシル基を有する相
溶化剤である。また、これら反応性相溶化剤のエポキシ
基やオキサゾリン基等の官能基は、先に述べたアクリル
系ゴム(B−2)の架橋剤と共通の官能基であり、この
場合相溶化剤はゴム(B−2)の架橋剤としても作用す
る。例えばゴム(B−2)の架橋部位にカルボキシル基
がある場合、エチレン−グリシジルメタクリレート共重
合体の各種グラフトポリマーは相溶化剤とゴム(B−
2)の架橋剤として働く。
【0021】相溶化剤の添加量としては(A)ポリエス
テルエラストマーと(B)ゴムの合計100重量部に対
して0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量
部である。0.1重量部未満の添加では相溶化剤の効果
が十分ではなく、20重量部を超えて添加しても相溶化
剤としての効果は飽和しており、相溶化剤の種類によっ
ては耐熱性の低下や柔軟性の低下がおこり好ましくな
い。
【0022】本発明の組成物には、金型離型性や摺動
性、耐摩耗性を向上させるために滑剤、内部離型剤や摺
動改質剤を添加することができる。これら添加剤の例と
しては、ステアリン酸などの脂肪酸、モンタンワックス
などのワックス類、低分子量ポリエチレンや低分子量ポ
リプロピレンなどの低分子量ポリオレフィン、ジメチル
ポリシロキサンなどのポリオルガノシロキサン、オクタ
デシルアミン、リン酸アルキル、脂肪酸エステル、エチ
レンビスステアロアミドなどのアミド系滑剤、ステアリ
ン酸Naやステアリン酸Caなどの脂肪酸金属塩、4フ
ッ化エチレン樹脂などのフッ素樹脂粉末、二硫化モリブ
デン粉末、シリコーン樹脂粉末、シリコーンゴム粉末な
どが挙げられる。この中でも25℃における粘度が10
〜1,000,000センチストークスのポリオルガノ
シロキサンが好ましく、分散性や取扱い性からマスター
バッチやシリコーンゴム粉末、シリカなどに配合したも
のがより好ましい。添加量はゴム(B−1)、(B−
2)の配合量により変化するが、(A)+(B)成分の
和100重量部に対して0.01〜10重量部程度が好
ましい。
【0023】本発明の組成物には、柔軟性と流動性をさ
らに向上させるために機械的強度などを損なわない範囲
で可塑剤を添加することができる。使用することができ
る可塑剤としては、プロセスオイル、またはエクステン
グオイルと呼ばれる鉱物油系ゴム用軟化剤、ジオクチル
フタレート、ジブチルフタレート、ジエチルフタレー
ト、ブチルベンジルフタレート、ジ−2−エチルヘキシ
ルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシル
フタレート、ジイソノニルフタレートなどのフタル酸エ
ステル類、トリクレジルホスフェート、トリエチルホス
フェート、トリブチルホスフェート、トリ−2−エチル
ヘキシルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリ
ブトキシエチルホスフェート、トリス−クロロエチルホ
スフェート、トリス−ジクロロプロピルホスフェート、
縮合リン酸エステル、トリフェニルホスフェート、トリ
キシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェ
ート、キシレニルジフェニルホスフェート、2−エチル
ヘキシルジフェニルホスフェート、トリラウリルホスフ
ェート、トリセチルホスフェート、トリステアリルホス
フェート、トリオレイルホスフェートなどのリン酸エス
テル類、トリメリット酸オクチルエステル、トリメリッ
ト酸イソノニルエステル、トリメリット酸イソデシルエ
ステルなどのトリメリット酸エステル類、ジペンタエリ
スリトールエステル類、ジオクチルアジペート、ジメチ
ルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ
イソブチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソデ
シルアジペート、ジブチルジグリコールアジペート、ジ
−2−エチルヘキシルアゼレート、ジオクチルアゼレー
ト、ジオクチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセ
バケート、メチルアセチルリシノレートなどの脂肪酸エ
ステル類、ピロメリット酸オクチルエステルなどのピロ
メリット酸エステル類、エポキシ化大豆油、エポキシ化
アマニ油、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル(例えば
エポキシ化脂肪酸オクチルエステル)などのエポキシ系
可塑剤、アジピン酸エーテルエステル、ポリエーテルエ
ステル、ポリエーテルなどのポリエーテル系可塑剤、ア
ジピン酸系やフタル酸系などのポリエステル系可塑剤な
どが挙げられ、これらの可塑剤は単独でまたは2種以上
組み合わせて用いることができる。
【0024】本発明の組成物に上記可塑剤を添加する場
合、ブリード性の面からはフタル酸エステル類、リン酸
エステル類、エポキシ系可塑剤、ポリエーテル系可塑剤
などが好ましく、さらに好ましくはフタル酸エステル類
およびポリエーテル系可塑剤である。可塑剤の添加量と
しては、(A)ポリエステルエラストマーと(B)ゴム
の合計100重量部に対して0.2〜30重量部、好ま
しくは1〜25重量部である。0.2重量部未満の添加
では柔軟性と流動性の改良効果が十分でなく、30重量
部を超えて添加すると機械的強度の低下とブリードの可
能性がある。可塑剤の添加は、架橋剤の添加前、添加後
のいずれでもよく、また一部を架橋前に添加し、残りを
架橋後に添加してもよい。
【0025】本発明の組成物に液状アクリロニトリル−
ブタジエン共重合ゴム、液状アクリルゴム、液状ポリブ
タジエンゴムなどの液状ゴムを機械的強度を損なわない
範囲で配合することにより、流動性や柔軟性をさらに向
上させることができる。本発明の組成物には、流動性や
機械的強度を損なわない範囲で、充填剤、例えば炭酸カ
ルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、タル
ク、シリカ、ケイソウ土、雲母粉、アスベスト、アルミ
ナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウ
ム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、グラ
ファイト、カーボンブラック、カーボン繊維など、ある
いは着色剤、例えばカーボンブラック、群青、酸化チタ
ン、亜鉛華、べんがら、紺青、アゾ顔料、ニトロン顔
料、レーキ顔料、フタロシアニン顔料などを配合するこ
とができる。さらに、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸
収剤などの各種安定剤を数種類組み合わせて添加するこ
ともできる。
【0026】また、本発明の熱可塑性エラストマー組成
物には、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボ
ネート、PET、PBT、ポリアセタール、ポリアミ
ド、エポキシ樹脂、フッ化ビニリデン、ポリスルホン、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、PPS樹脂、ポリエー
テルエーテルケトン、PPO樹脂、スチレン−メタクリ
ル酸メチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合
体、ゴム変性PPO樹脂、スチレン−マレイミド系共重
合体、ゴム変形スチレン−マレイミド系共重合体などの
樹脂を適宜ブレンドすることができる。
【0027】本発明の組成物を成形することにより得ら
れる成形体は、バンパー部品、サイドシールド、ステア
リングホイール、モール、ハンドル、ラック・ピニオン
式ステアリング用ブーツ、等速ジョイントブーツ、マク
ファーソンストラットブーツ、プロペラシャフト用ブー
ツ、トーリングブーツ、ステアリングブーツ、ボールジ
ョイントシール、タイロッドシール、ユニバーサルジョ
イントシール、エアーサスペンション用ベローズ、ロー
リングダイヤフラムなどの自動車部品、靴底、サンダル
などの履物、電線被覆、コネクター、キャッププラグな
どの電気部品、ゴルフクラブグリップ、野球バットのグ
リップ、水泳用フィン、水中眼鏡などのスポーツ、レジ
ャー用品、キーボードスイッチなどのラバーコンタク
ト、カールコード、カップリング、Oリング、ガスケッ
ト、防水布、油圧ホース、パワステホース、バキューム
チューブ、コイルチューブなどのカーデンホースなどの
チューブ、ホース類、パッキンロール、ベルトなどの素
材として使用することができる。
【0028】
【実施例】以下に実施例および比較例によって本発明を
さらに詳しく説明する。本発明はその要旨を越えない限
り、これら実施例によって何ら制限されるものではな
い。使用したポリマーと添加剤は次の通りである。 熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE):ハイ
トレル(東レ・デュポン社製) 水素化NBR:トーナックC4550(バイエル ジャ
パン) アクリル系ゴム1:VAMAC G(デュポン社製) アクリル系ゴム2:AREX 210(日本合成ゴム社
製) アクリル系ゴム3:AREX 220(日本合成ゴム社
製) NBR:N220S(日本合成ゴム社製) 架橋剤A:2.5−ジメチル−2.5−ジ(t−ブチル
パーオキシ)ヘキサン 架橋剤B:N,N’−m−フェニレンジマレイミド 架橋剤C:ヘキサメチレンジアミンカルバメート 架橋剤D:ステアリン酸Na 架橋剤E:ステアリン酸K 架橋剤F:安息香酸アンモニウム 相溶化剤:モディパーA4400(日本油脂社製 エチ
レングリシジルメタクリレート/アクリロニトリル ス
チレングラフト体) 老化防止剤1:イルガノックス1010(チバガイギー
社製) 老化防止剤2:ノクラックCD(大内新興社製) 可塑剤:ジウンデシルフタレート シリコーンオイル:ジメチルポリシロキサン 粘度60
000
【0029】実施例1〜9、比較例1〜7 表1,表2に示した配合で二軸押し出し機を用いて23
0℃にて各成分を混練した。このさい、架橋剤A,C〜
Fと可塑剤は二軸押し出し機の途中から添加した。
【0030】
【表1】
【表2】
【0031】このようにして得られたペレットを水分量
が0.1%以下になるまで乾燥し、射出成形機で成形し
た。 評価項目 MFR:230℃×10kg荷重 硬度:JIS K−6301 JIS A硬度 引張強度(TB ):JIS K−6301 JIS 3
号 ダンベル 引張伸び(EB ):JIS K−6301 JIS 3
号 ダンベル 成形外観:ショートショットがなく、著しい外観不良
(フローマーク、デラミネーション等)がない場合に良
好とした。 屈曲疲労性:JIS K−6301 デマッチャ屈曲疲
労試験機を用いて100℃で繰り返し屈曲疲労試験を行
い、破断した回数でランク分けした。 A:400万回で破断しない。 B:100万回以上、400万回未満で破断。 C:100万回未満で破断。 オゾン試験:オゾン濃度200pphm、40℃、歪±
10%で動的屈曲疲労試験を行い、250hrでクラッ
クの無いものを良好とした。 摩耗試験:テーバー摩耗試験機を用いCS−17ホイー
ルで1000回摩耗後の重量減少で評価した。
【0032】比較例1,2はゴム未配合又は添加量が本
発明の範囲未満の例であり、得られた組成物は高硬度で
柔軟性に欠ける。比較例3はゴムの添加量が本発明の範
囲を超えている例であり、得られた組成物は流動性が不
足のため成形できなかった。比較例4,5はゴム(B−
1)とゴム(B−2)の比が本発明の範囲からはずれて
いる例であり、得られた組成物は比較例4は耐摩耗性と
成形時の離型性が、比較例5は屈曲疲労特性が各々劣っ
ている。比較例6は架橋剤を添加しなかった例であり、
屈曲疲労特性が劣っている。比較例7は水添NBRの代
わりにNBRを用いた例であり、耐オゾン性が劣ってい
る。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、ポリエステルエラスト
マーの特徴である機械的性質、耐オゾン性を確保しなが
ら柔軟性と屈曲疲労特性を改良することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長谷川 亨 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内 (72)発明者 西尾 寿浩 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内 (72)発明者 安田 直史 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)熱可塑性ポリエステルエラストマ
    ー40〜95重量%と、(B)水素化アクリロニトリル
    ブタジエン系ゴム(B−1)とアクリル系ゴム(B−
    2)から成り、かつ(B−1)成分と(B−2)成分の
    重量比が、(B−1)成分/(B−2)成分=1/9〜
    9/1であるゴム60〜5重量%を含む組成物におい
    て、(B)成分が架橋されている組成物。
JP31897594A 1994-12-22 1994-12-22 熱可塑性エラストマー組成物 Pending JPH08176412A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002363345A (ja) * 2001-06-08 2002-12-18 Uchiyama Mfg Corp ゴム組成物
JP2008297369A (ja) * 2007-05-29 2008-12-11 Ntn Corp 自在継手用発泡固形潤滑剤および自在継手
JP2016176024A (ja) * 2015-03-20 2016-10-06 アロン化成株式会社 熱可塑性エラストマー組成物

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JP2002363345A (ja) * 2001-06-08 2002-12-18 Uchiyama Mfg Corp ゴム組成物
JP2008297369A (ja) * 2007-05-29 2008-12-11 Ntn Corp 自在継手用発泡固形潤滑剤および自在継手
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