JPH0639380Y2 - 硬貨処理機の送りベルト駆動装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、硬貨の選別、計数、包装などの処理をおこな
う硬貨処理機の送りベルト駆動装置に関するものであ
る。

〔先行技術〕

硬貨処理機は、一般に、硬貨の選別、計数などをおこな
う硬貨通路に接続された回転円板を備え、硬貨処理機に
投入された硬貨は、回転円板に送られ、回転円板の回転
により生成された遠心力によって、一枚づつ、硬貨通路
に送られるように構成されている。硬貨通路に送られた
硬貨は、送りベルトと硬貨通路の上面との間に挟持され
て、硬貨通路内を送られる。送りベルトは、処理すべき
硬貨の厚みに合致するように、その鉛直方向の位置が調
整可能に構成され、開閉可能なカバーに取付けられてい
る。したがって、硬貨通路内で、何らかの原因で、硬貨
のジャミングなどが発生し、硬貨を取り除く必要のある
ときには、カバーを開くことにより、硬貨を取り除くこ
とができるようになっている。

かかる送りベルトを駆動するモータは、硬貨処理機本体
に設けられており、したがって、モータの駆動力を、カ
バーに設けられた送りベルトに伝達する機構が必要であ
る。

この駆動力伝達機構としては、実開昭62-146273号に開
示されるように、モータの出力軸に設けた駆動プーリ
と、カバーに設けた従動プーリとに、伝動ベルトを巻回
して、モータの駆動力を伝達する機構が知られている
が、このように、伝達ベルトを用いる場合には、その構
造が複雑になるばかりでなく、伝動ベルトがスリップし
れ、駆動力を所望のように伝達できないことがあり、ま
た、伝動ベルトに、加わる張力が一定ではないため、耐
久性が低いという問題があった。

また、実開昭53-11293号は、送りベルトが巻回された従
動ギヤを、硬貨処理機本体に設けられたモータによって
回転される駆動ギヤの上方に、かつ、その軸が互いに平
行になるように設け、カバーが閉じたときに、駆動ギヤ
と従動ギヤとが、互いに噛合するようにして、モータの
駆動力を送りベルトに伝達する駆動力伝達機構を開示し
ている。

〔考案の解決しようとする課題〕

駆動ギヤと従動ギヤとを噛合させて、モータの駆動力を
送りベルトに伝達するこの駆動力伝達機構は、構造も比
較的簡単であり、モータの駆動力を確実に送りベルトに
伝達することができるという点で好ましい。

しかしながら、従動ギヤが、駆動ギヤの上方に設けられ
ているため、硬貨が、硬貨通路内に送られると、従動ギ
ヤが上方に押し上げられ、駆動ギヤとの噛み合い状態が
変化するという問題があり、とくに、処理すべき硬貨の
厚みが大きい場合には、この傾向が著しく、したがっ
て、モータの駆動力を、所望のように、従動ギヤに伝達
できない場合があった。

そこで、従来は、ばね等により、従動ギヤを下方に付勢
する加圧手段をカバーに設けていたが、このような加圧
手段を設けることは、カバーの重量を増大させることに
なり、カバーを開閉する場合に不便であるという問題が
あった。

〔考案の目的〕

本考案は、カバーの開閉が容易で、かつ、モータの駆動
力を、送りベルトに、確実に伝達することのできる硬貨
処理機の送りベルト駆動装置を提供することを目的とす
るものである。

〔考案の構成〕

本考案のかかる目的は、開閉可能なカバーと、該カバー
の開閉動作と所定の関係をもって開閉する支持部材と、
機体に形成された硬貨通路と、該硬貨通路の上面との間
で、硬貨を挟持可能で、前記支持部材に取付けられた送
りベルトと、前記機体に設けられ、モータによって駆動
可能な駆動歯車と、前記支持部材に設けられ、該駆動歯
車と噛合および噛合解除可能で、かつ、前記送りベルト
を駆動可能な従動歯車とを備えた硬貨処理機であって、
前記カバーが閉じられた状態において、前記従動歯車
が、該従動歯車の軸と前記駆動歯車の軸とが実質的に同
一水平面内に位置するように、前記支持部材に設けられ
たことを特徴とする硬貨処理機の送りベルト駆動装置に
よって達成される。

〔考案の作用〕

本考案によれば、硬貨処理機が硬貨を処理し得るカバー
が閉じられた状態において、送りベルトを駆動可能な従
動歯車が、その軸と駆動歯車の軸とが実質的に同一水平
面内に位置するように、支持部材に設けられているか
ら、硬貨が、硬貨通路の上面と送りベルトとの間に送り
込まれて、送りベルトに上向きの力が加えられても、従
動歯車が上方に押し上げられて、駆動歯車との噛み合い
状態が変化することが確実に防止される。

〔実施例〕

以下、添付図面に基づいて、本考案の実施例につき、詳
細に説明を加える。

第１図は、本考案の実施例にかかる送りベルト駆動装置
を備えた硬貨処理機の硬貨通路近傍の略正面図であり、
第２図は、その略平面図、第３図は、第１図の右方から
見た略側面図であり、一部が省略されている。

第１図および第２図に示されるように、硬貨処理機の機
体１には、硬貨通路２が形成されており、硬貨通路２
は、一対の通路ガイド３、３′と、選別レール４、４′
を備えている。周知のように、通路ガイド３、３′及び
選別レール４、４′は、選別レール４、４′が、処理す
べき硬貨の縁部を支持し、処理すべき硬貨よりも径の小
さい硬貨は、選別レール４、４′の間の間隙を落下する
ように、その間隔が調整される。

第３図に示されるように、硬貨処理機の機体１には、硬
貨通路２を覆うカバー５の下方の一縁部がヒンジ６によ
って枢着されている。カバー５の下方で、ヒンジ６の近
傍の機体１には、固定部材９が形成されており、固定部
材９には、ヒンジ10によって、回動板８の一縁部が枢着
されている。回動板８の他縁部には、支持板７の一端部
が固定されている。

カバー５のヒンジ６とは反対側の他縁部の近傍には、下
方に延びる連結リンク15が、揺動可能に形成されてお
り、支持板７の他端部には、機体１に形成された長孔14
が形成され、連結リンク15が挿通されている。

支持板７には、選別レール４、４′の上面との間で、硬
貨を挟持しつつ、搬送する送りベルト11が巻回されたプ
ーリ12、12′およびプーリ12と同軸の従動歯車13が取付
けられている。

機体１には、モータ18および駆動歯車16が設けられ、モ
ータ18の出力軸と駆動歯車16には、伝動ベルト17が巻回
されている。駆動歯車16は、支持板７に取付けられた従
動歯車13と噛合可能になっている。駆動歯車16と従動歯
車13は、カバー５が閉じられて、硬貨処理機が硬貨を処
理可能な状態にあるときに、それぞれの軸が、実質的に
同一水平面内に位置するように配置されている。

このように構成された本考案の実施例に係る送りベルト
駆動装置を備えた硬貨処理機において、硬貨通路２内
で、硬貨のジャミングが発生し、カバー５を開いて、硬
貨を除去するときは、カバー５を、ヒンジ６まわりに、
第３図において、時計方向に回動させて、持ち上げる。
カバー５が所定の位置に持ち上げられるまでは、カバー
５に取付けられた連結リンク15は、揺動しつつ、長孔14
内をスライドするのみであり、支持板７は持ち上げられ
ない。連結リンク15が、長孔14の上端部に達すると、連
結リンク15は、第１図に示されるように、矩形リンク状
をなし、支持板７と係合するように形成されているた
め、初めて、支持板７は、カバー５とともに、持ち上げ
られるようになり、ヒンジ10まわりに、回動する。送り
ベルト11、プーリ12、12′および従動歯車13は、支持板
７に取付けられているので、カバー５が持ち上げられる
にしたがって、支持板７とともに持ち上げられる。した
がって、カバー５が所定の位置にまで持ち上げられる
と、送りベルト11と硬貨通路２との間には、大きな空間
が形成され、ジャミングを起こした硬貨を、硬貨通路２
から容易に取り除くことが可能になる。

カバー５を閉じる場合には、上述したのと反対の動作が
生じ、従動歯車13が駆動歯車16に接すると、両者は、互
いに回転しながら、噛合し、従動歯車13の軸と駆動歯車
16の軸とは、実質的に同一水平面内に位置する。この状
態になって始めて、連結リンク15と支持板７との係合が
解除され、カバー５が閉じられるにつれて、連結リンク
15は揺動しつつ、長孔14内をスライドし、カバー５が閉
じられて、カバー５の閉動作が完了し、硬貨処理機は硬
貨を処理可能な状態となる。

本実施例によれば、モータ18の駆動力を、送りベルト11
に伝達する駆動歯車16および従動歯車13は、硬貨を処理
する際には、実質的に同一水平面内に位置しているの
で、硬貨が、硬貨通路２の選別レール４、４′と送りベ
ルト11との間に送り込まれて、送りベルト11に上向きの
力が加えられても、従動歯車13が上方に押し上げられ
て、駆動歯車16との噛み合い状態が変化することが確実
に防止される。

また、本実施例によれば、従動歯車13と駆動歯車16は、
回転しつつ、噛合し、あるいは、噛合が解除されるた
め、歯先が衝突して、歯車が損傷するおそれもない。

本考案は、以上の実施例に限定されることなく、実用新
案登録請求の範囲に記載された考案の範囲内で、種々の
変更が可能であり、それらも、本考案の範囲内に属する
ものであることは言うまでもない。

たとえば、前記実施例においては、カバー５に加えて、
支持板７、連結リンク15、長孔14などを設け、カバー５
が、所定の位置に持ち上げられるまでは、支持板７が持
ち上げられないようにして、カバー５を開く力の低減を
図るとともに、カバー５を閉じる際に、従動歯車13と駆
動歯車16との噛合が円滑になされるように図っている
が、このようにすることは、必ずしも必要ではない。

〔考案の効果〕

本考案によれば、カバーの開閉が容易で、かつ、モータ
の駆動力を、送りベルトに、確実に伝達することのでき
る硬貨処理機の送りベルト駆動装置を提供することが可
能になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の実施例にかかる送りベルト駆動装置
を備えた硬貨処理機の硬貨通路近傍の略正面図、第２図
は、その略平面図、第３図は、第１図の右方から見た略
側面図であり、一部が省略されている。 １……機体、２……硬貨通路、 ５……カバー、７……支持板、 11……送りベルト、13……従動歯車、 16……駆動歯車。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】開閉可能なカバーと、該カバーの開閉動作
   と所定の関係をもって開閉する支持部材と、機体に形成
   された硬貨通路と、該硬貨通路の上面との間で、硬貨を
   挟持可能で、前記支持部材に取付けられた送りベルト
   と、前記機体に設けられ、モータによって駆動可能な駆
   動歯車と、前記支持部材に設けられ、該駆動歯車と噛合
   および噛合解除可能で、前記送りベルトを駆動可能な従
   動歯車とを備えた硬貨処理機であって、前記カバーが閉
   じられた状態において、前記従動歯車が、該従動歯車の
   軸と前記駆動歯車の軸とが実質的に同一水平面内に位置
   するように、前記支持部材に設けられたことを特徴とす
   る硬貨処理機の送りベルト駆動装置。