JPH0638894Y2 - 緑化兼用防護柵 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、道路に沿って交通安全のためと植生地帯形成
のために設置される緑化兼用防護柵に関するものであ
る。

［従来の技術］ 一般に、車道と歩道等との境界には、交通事故の防止や
事故の際の衝撃の吸収緩和等を図る目的で、ガードレー
ルやガードパイプ、ボックスビーム、ガードケーブル、
オートガード等の防護柵が設置されている。

また、最近では、緑化による生活環境の改善や市街地に
おける美感の維持等を図るため、道路の緑化、特に車道
と歩道との境界部分に植生地帯を設けることが要求され
るようになり、種々の試みがなされている。

しかしながら、緑化のために上記防護柵に沿って単に植
物を植えても、その植物が成育と共に歩道や車道にはみ
出し、通行の邪魔になったり、歩行者や犬猫等の動物、
自動車等によって損傷を受けたり、風で倒れるなどの被
害を受け易く、安全に成育しにくいという問題がある。
従って、上記防護柵として、本来の交通安全のための機
能だけでなく、植物を歩行者や動物、自動車、風等から
保護しながら安全且つ確実に育成することができる植物
保護育成機能を兼ね備えたものが必要である。

そこで、本考案者は、ガードレールやガードパイプ等の
防護柵本体に沿って二重金網を設置し、該二重金網の内
部に植生用の空間を形成した緑化兼用防護柵を提案し
（例えば実願平1-46698号（実開平2-139912号）を参
照）、上記従来の問題点を解決した。

而して、このような防護柵においては、二重金網を防護
柵本体の支柱に取り付ける場合に、該支柱のビームやパ
イプ等のガード部材が固定されている位置には取付金具
を固定することが困難であるため、これらのガード部材
を避けた位置いおいて支柱に取り付けるようにするが、
防護柵本体が支柱の上部に幅広のビームが架設されたガ
ードレールである場合には、該ビームの前面（車道側の
面）に二重金網を設置して該ビームを避けた位置で取付
金具により支柱に取り付けるようにすると、該二重金網
の下半部のみが支柱に連結されて上半部はビーム幅に対
応するかなり広い範囲で支柱に連結されない状態とな
り、このため、二重金網の上半部が外力の作用により変
形し、破損し易いという問題がある。

［考案が解決しようとする課題］ 本考案の課題は、ガードレールとしての構成を持つ防護
柵本体に二重金網を取り付けるに当り、該二重金網の上
部の強度を高めて破損しにくくすることにある。

［課題を解決するための手段］ 上記課題を解決するため、本考案の防護柵は、所定間隔
で位置する支柱間にビームを架設してなる防護柵本体
と、所定間隔で対向する一対の面網を備えた二重金網と
で構成され、該二重金網を防護柵本体におけるビームの
前面に上部を該ビームに近接させて配設したことを特徴
とするものである。

［作用］ 上記防護柵は、車道と歩道との境界に設置され、二重金
網の内部の植生空間に例えば蔓性植物が植えられる。植
えられた蔓性植物は、二重金網に絡み付きながら次第に
成長していき、車道と歩道との間が次第に緑化される。
このとき、上記蔓性植物は二重金網により保護され、成
育と共に歩道や車道にはみ出したり、歩行者や犬猫等の
動物、自動車等によって損傷を受けたり、風で倒れるな
どの被害を受けることがない。

また、二重金網の上部がビームに近接しているため、該
上部にそれをビームに押し付ける方向の外力が作用して
二重金網が変形しても、該二重金網はビームに当接して
支持され、それ以上の変形が防止されるため、破損に至
るおそれがない。

一方、防護柵本体は、自動車が強く接触した場合の衝撃
を吸収緩和したり該自動車が歩道側等にオーバーランす
るのを防止し、交通事故の防止や交通安全のために機能
する。

［実施例］ 以下、本考案の実施例を図面を参照しながら詳細に説明
する。

第１図乃至及び第３図において、１はガードレールとし
ての構成を持つ防護柵本体であって、所定間隔で地面に
立設した支柱3,3間に板状のビーム４を架設することに
より構成され、該防護柵本体１におけるビーム４の前面
（車道側）には該防護柵本体１とほゞ同じ高さの二重金
網２が配設され、該二重金網２の内部に植物を育成する
ための植生空間５が形成されている。

上記二重金網２は、縦線10と横線11とからなる一対の面
網2a,2bを所定間隔で備えたもので、各支柱3,3間にそれ
ぞれ独立する二重金網２が配設され、これらの二重金網
２が、その側端部に二つの面網2a,2bの縦線10,10に跨が
るように取り付けた取付プレート13と、支柱３に固定し
た取付金具14とにより、上記ビーム４より下方の位置に
おいて該支柱３に取り付けられ、該二重金網２の上部の
ビーム４の前方に位置する部分は該ビーム４に近接せし
められている。この二重金網２とビーム４との間の間隔
は、二重金網２がビーム４の方向に押圧されて変形した
場合に、それが破損する前にビーム４に当接して支持さ
れ得る程度の大きさが好ましく、場合によっては二重金
網２をビーム４に当接させておいても構わない。

上記取付金具14は、支柱3,3を挾持する一対のブラケッ
ト14a,14bからなり、一方のブラケット14aに支柱３の前
方に向かって伸びる取付アーム18を設けると共に、該取
付アーム18の先端に該アーム18の左右両側に突出するよ
うに螺子棒19を取り付けたもので、該螺子棒19を、取付
アーム18の両側に位置する二重金網2,2の取付プレート1
3に穿設された取付穴に挿入し、ナット20で固定するこ
とにより、該二重金網２を支柱3,3に取り付けている。

上記構成を有する防護柵は、車道と歩道との境界に設置
され、二重金網２の内部の植生空間５に例えば蔓性植物
が植えられる。植えられた蔓性植物は、二重金網２に絡
み付きながら次第に成長していき、車道と歩道との間が
次第に緑化される。このとき、上記蔓性植物は二重金網
２により保護され、成育と共に歩道や車道にはみ出した
り、歩行者や犬猫等の動物、自動車等によって損傷を受
けたり、風で倒れるなどの被害を受けることがない。

また、ビーム４の前面に位置する二重金網12に自転車や
自動車等が接触したり人体が接触することによってその
上部がビーム４の方向に押圧されても、該二重金網２が
ビーム４に当接して支持されるため、その破損が防止さ
れる。

一方、防護柵本体１は、自動車が強く接触した場合の衝
撃を吸収緩和したり該自動車が歩道側等にオーバーラン
するのを防止し、交通事故の防止や交通安全のために機
能する。

ここで、上記二重金網２は、一枚の溶接金網をＵ字形等
に折曲して自由端部を必要に応じて連結するとか、二枚
の溶接金網を直接又は適当な連結部材を介して所定の間
隔で連結する等の方法により形成することができる。ま
た、二重金網２における面網2a,2bの網目は縦長であっ
ても横長であっても良く、或は二つの面網2a,2bの間で
網目の大きさや形状、線の配置等が互いに異なっていて
も良いが、蔓性植物を育成する場合には、それが絡まり
易くするため網目を横長とするのが好ましい。更に、該
二重金網２における二つの面網2a,2bは、必ずしも平面
であったりそれらの間隔が一定である必要はなく、下広
がりや上広がりとしたり、上下、左右の端部や中間部等
を部分的に広げたり狭めたり、適宜の凹凸や段部等を形
成しても良い。

また、上記防護柵本体１における支柱3,3間の距離が長
いために二重金網２が長尺化する場合には、該支柱3,3
間に補助柱を適数本立設し、これらの補助柱と支柱３と
の間に短尺の二重金網を取り付けるようにすることもで
きる。逆に、支柱間距離が小さい場合には、複数の支柱
に跨がるように二重金網を取り付けることもできる。

［考案の効果］ このように本考案によれば、防護柵本体の前面に二重金
網を配設することにより、緑化用植物の保護育成機能
と、交通事故の防止や事故の際の衝撃の吸収緩和機能と
を兼備し、車道と歩道との境界部分に植生地帯を設ける
のに適した緑化用防護柵を得ることができる。

また、上記二重金網の上部を防護柵本体におけるビーム
の前面に近接させているので、該上部にそれをビームに
押し付ける方向の外力が作用しても、該二重金網はビー
ムに当接して支持されるため、それ以上の変形が防止さ
れて破損することがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す部分正面図、第２図は
その拡大側断面図、第３図は第２図におけるA-A線での
拡大断面図である。 １……防護柵本体、２……二重金網、 ３……支柱、４……ビーム、 2a,2b……面網。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】所定間隔で位置する支柱間にビームを架設
   してなる防護柵本体と、所定間隔で対向する一対の面網
   を備えた二重金網とで構成され、該二重金網を防護柵本
   体におけるビームの前面に上部を該ビームに近接させて
   配設したことを特徴とする緑化兼用防護柵。