JPH0637096B2 - 自動車用ドアトリムの製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 この発明は中接部材を装着した自動車用ドアトリムの製
造方法に関するもので、特に中接部材の装着工程を簡素
化するとともに、外観意匠性を向上させた自動車用ドア
トリムの製造方法に関する。

《従来の技術》 最近、自動車室内の居住性を高めるために、自動車用ド
アトリム等の内装部品の材質をグレードアップさせる
か、あるいは、クロス，カーペット等の装飾部材をドア
トリム表面の適宜箇所に装着する方法が試みられてい
る。

第８図は自動車用ドアトリムの構成の概要を示すもの
で、図面において、自動車用ドアトリム１は、所要形状
に成形された芯材２の表面に表皮材３を貼着一体化して
形成したドアトリム本体４と、このドアトリム本体４の
表面適宜箇所に装飾性をさらに付与するために装着され
るクロス等の中接部材５とから構成されている。

そして、この中接部材５の従来の装着方法を第９図，第
１０図を基に説明する。

まず、第９図で示すように、真空成形用金型６により、
中接部材５を所要形状に成形するとともに、図示しない
トリムカット装置により所要外形状に切断カットする工
程が必要である。そして、中接部材５が所要の成形形状
を維持するために、クロス５ａの裏面に保形性を付与す
る塩ビシート等のバッキング材５ｂが裏打ちされてい
る。

次に、トリムカットされた中接部材５を圧着用下型７の
型面上に載置した後、圧着用上型８にセットされている
ドアトリム本体４に対して中接部材５を接合させるとと
もに、圧着用下型７の外周に沿って周設されている木目
込みバー９により中接部材５の周縁端末を周溝４ａ内に
圧入して、中接部材５の周縁端末部の美観を向上させる
ようにしている。

《発明が解決しようとする課題》 しかしながら、従来のような中接部材５の装着方法で
は、中接部材５の成形ならびにトリムカット工程、およ
び、中接部材５の位置決め工程，さらにドアトリム本体
４と中接部材５との一体化ならびに中接部材５の木目込
み工程など工程が非常に多くなり、大幅なコストアップ
を招来するという欠点が指摘されている。

さらに、中接部材５に保形性を付与するために、バッキ
ング材５ｂが必要となり、材料費の高騰化を伴うととも
に、中接部材５を圧着用下型７にセットする際、正確に
セットしなければならず、位置決め作業が非常に面倒で
あり、作業性を低下させる要因となり、また、位置決め
がバラツイた場合には、周溝４ａ内に中接部材５の周縁
端末が挿入されず、中接部材５の周縁部分の見栄えが低
下するという欠点も指摘されている。

この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、本
発明の目的とするところは、ドアトリム本体に取り付け
られる中接部材を予め成形することなく、また、正確な
位置決め作業を不要として、ドアトリム本体に対して中
接部材を簡単かつ迅速に取り付けることを可能とし、し
かも外観見栄えを向上させた自動車用ドアトリムの製造
方法を提供することにある。

《課題を解決するための手段》 上記目的を達成するために、本発明はドアトリム本体の
表面所要部位に中接部材を装着してなる自動車用ドアト
リムの製造方法において、 芯材を所要形状に成形し、この芯材の表面に表皮材を一
体貼着してドアトリム本体を成形するとともに、上記中
接部材装着部位の周縁に沿って周溝を形成したドアトリ
ム本体の成形工程と、 上記ドアトリム本体の中接部に接着剤を塗布した後、圧
着用上型の型面にこのドアトリム本体をセットし、かつ
上記ドアトリム本体の中接部の面形状に合致した型面形
状を有する圧着用下型の型面に周縁をクランプした中接
部材を載置した後、上記圧着用上下型の型係合により、
ドアトリム本体と中接部材とを接着させるとともに、圧
着用下型の外周に沿って、上下動可能に設置された熱溶
断刃を上昇させ、上記中接部材の周縁端末を所要外形状
に熱溶断処理し、さらに、熱溶断刃の内周に沿って、上
下動可能に設置されている木目込みバーを上昇させ、こ
の木目込みバーにより中接部材の周縁端末をドアトリム
本体の周溝内に圧入させるようにしたドアトリム本体と
中接部材との一体化工程とからなることを特徴とする。

《作用》 以上の構成から明らかなように、本発明によるドアトリ
ムの製造方法によれば、周縁部がクランプされた中接部
材を圧着用下型に載置して、圧着用上下型の型係合時、
熱溶断刃により中接部材の周縁を所要外形状に熱溶断処
理するものであるから、中接部材の成形工程ならびに中
接部材のトリムカット工程が省ける。さらに、圧着用下
型にトリムカット機能を備える熱溶断刃を設置したた
め、従来面倒な作業であった中接部材の位置決め作業が
省略できる。

《実施例》 以下、本発明に係る自動車用ドアトリムの製造方法につ
いて添付図面を参照しながら詳細に説明する。

第１図，第２図は本発明により製作した自動車用ドアト
リムを示す正面図，ならびに縦断面図、第３図はドアト
リム本体と中接部材との一体化工程に使用する装置の断
面図、第４図ないし第７図は同装置を使用した本発明方
法の工程説明図である。

第１図，第２図において、自動車用ドアトリム１０は、
ドアトリム本体１１と、このドアトリム本体１１の表面
所要部位に装着されるクロス等の中接部材１２とから大
略構成されている。

さらに詳しくは、上記ドアトリム本体１１は所要形状に
熱圧成形された木質繊維板等からなる芯材１３と、この
芯材１３の表面側に真空成形等により一体貼着された表
皮材１４とからなり、この表皮材１４はポリプロピレン
フォーム，ポリエチレンフォーム等の発泡層１５をＡＢ
Ｓ混入ＰＶＣシート等の表皮シート１６裏面にラミネー
トして構成されている。

そして、上記ドアトリム本体１１には、中接部材１２の
周縁形状に沿って周溝１７が凹設されており、この周溝
１７は芯材１３のプレス成形時に同時に形成される。

一方、中接部材１２は、ベルベット，ジャージィ，トリ
コット，モケット等のクロスから適宜選択されて良く、
この中接部材１２の周縁端末１２ａはドアトリム本体１
１に形成されている周溝１７内に圧入されて、端末処理
が行われることにより、優れた外観意匠性を備えてい
る。

なお、芯材１３として、熱可塑性複合樹脂板等を使用し
ても良く、この場合はシート状の素材を予熱軟化させた
後、所要形状のコールドプレス成形用金型によりプレス
成形することにより所望形状の芯材１３が得られる。

次に、自動車用ドアトリム１０の製造工程について詳細
に説明するが、本発明においてはドアトリム本体１１に
対して中接部材１２を装着する工程が要部であるので、
ドアトリム本体１１の成形工程についてはその説明は割
愛する。

第３図はドアトリム本体１１と中接部材１２との一体化
工程に使用する装置の構成を示すもので、本装置はドア
トリム本体１１がセットされる圧着用上型２０と、中接
部材１２が載置される圧着用下型２１と、この圧着用下
型２１の外周に沿って設置される上下動可能な熱溶断刃
２２と、さらにその内周に沿って設置されるこれも上下
動可能な木目込みバー２３とから構成されており、上記
熱溶断刃２２ならびに木目込みバー２３の下部には、そ
れぞれ油圧シリンダ等の昇降装置２４，２５が設けられ
ており、熱溶断刃２２ならびに木目込みバー２３が独立
して昇降可能に構成されている。また、圧着用下型２１
も図示しない昇降装置により上下動可能であり、圧着用
上型２０に対して接離可能に構成されている。

次に、第４図ないし第７図に基き、ドアトリム本体１１
に対して中接部材１２を装着する両者の一体化工程につ
いて説明する。

まず、第４図に示すように、圧着用上型２０にドアトリ
ム本体１１が製品表面を下側に向けセットされるととも
に、圧着用下型２１の型面に中接部材１２が載置され
る。なお、この中接部材１２の周縁はクランプ装置２６
により保持されている。そして、ドアトリム本体１１な
らびに中接部材１２のセット工程においては熱溶断刃２
２ならびに木目込みバー２３は最下方位置に位置してい
る。

次いで、セット工程が完了すれば、圧着用下型２１が上
昇を始め、第５図で示すように圧着用上下型２０，２１
が係合状態となる。このとき、ドアトリム本体１１の中
接部に接着剤が塗布されており、第５図で示す圧着用上
下型２０，２１の型係合時、ドアトリム本体１１と中接
部材１２とは強固に接着される。

そして、第５図に示すように圧着用上下型２０，２１が
係合状態となったとき、第１の昇降装置２４が駆動し
て、熱溶断刃２２が上昇して、第６図に示すように中接
部材１２の周縁部を溶断カットする。このとき、熱溶断
刃２２の設定位置は、第６図から明らかなように、ドア
トリム本体１１に形成された周溝１７よりやや外方に位
置するように設定されている。

次いで、熱溶断刃２２のカット工程が完了すれば、第１
の昇降装置２４が駆動して、熱溶断刃２２が下降を始
め、それに連動するように第２の昇降装置２５が駆動し
て、木目込みバー２３が上昇を始め、中接部材１２の周
縁端末１２ａを周溝１７内に圧入する、いわゆる木目込
みを行う。このとき、周溝１７内に挿入される中接部材
１２の周縁端末１２ａの挿入寸法は、圧着用下型２１の
外周縁から所定距離離れた位置に熱溶断刃２２が設定さ
れている関係上、中接部材１２の周縁端末１２ａの挿入
寸法は常に一定となる。

このように本発明方法によれば、中接部材１２の予備成
形、ならびにトリムカット工程が省け、ドアトリム本体
１１と中接部材１２との一体化工程において熱溶断刃２
２により中接部材１２が正確に溶断カットされるため、
精密な中接部材１２の位置決め作業も不要となり、作業
工程が大幅に短縮されるとともに、本発明方法により製
作された自動車用ドアトリム１０は、周溝１７内に中接
部材１２の周縁端末１２ａが精度良く木目込みされ、中
接部材１２周縁部分の体裁も極めて良い等種々の利点が
ある。

《効果》 以上記載したように、本発明方法によれば下記の格別の
作用効果を有する。

本発明方法によれば、圧着用上下型によるドアトリム
本体と中接部材との圧着時、熱溶断刃により中接部材の
周縁部を溶断カットするため、従来必要とした中接部材
の成形工程，中接部材のトリムカット工程等が省け、作
業工程が大幅に短縮され、大幅なコストダウンを招来す
るという効果を有する。

本発明方法によれば、圧着用下型の外周に設置された
熱溶断刃により中接部材を所要外形状に溶断カットする
ため、従来非常に面倒な作業であったドアトリム本体に
対して中接部材を正確に位置決めするという作業が不要
となり、作業能率が著しく向上するという効果を有す
る。

本発明方法によれば、ドアトリム本体と中接部材とを
圧着用上下型により圧着した状態で、熱溶断刃により中
接部材の周縁部を溶断カットするため、中接部材に保形
性を持たせる必要がなく、保形性を付与するためのバッ
キング材が不要となり、材料節約によりコストダウンを
図れるという効果を有する。

本発明方法によれば、熱溶断刃により中接部材を正確
な外形状にカットできるため、ドアトリム本体の周溝内
に一定の挿入寸法で中接部材の周縁端末を木目込みする
ことができ、中接部材周縁部の体裁が非常に良いものと
なり、製品の外観意匠性が向上するという効果を有す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明方法により製作された自動車用ドアトリ
ムを示す正面図、第２図は第１図中II−II線断面図、第
３図は本発明方法に使用する装置を示す断面図、第４図
ないし第７図はドアトリム本体に対して中接部材を装着
する工程を示す各断面図、第８図は従来の自動車用ドア
トリムを示す断面図、第９図，第１０図は中接部材の装
着方法の従来例を示す各断面図である。 １０……自動車用ドアトリム １１……ドアトリム本体 １２……中接部材 １７……周溝 ２０……圧着用上型 ２１……圧着用下型 ２２……熱溶断刃 ２３……木目込みバー ２４，２５……昇降装置 ２６……クランプ装置

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｂ６０Ｊ 5/04 Ｂ２９Ｌ 9:00 4Ｆ 31:30 4Ｆ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ドアトリム本体（１１）の表面所要部位に
   中接部材（１２）を装着してなる自動車用ドアトリム
   （１０）の製造方法において、 芯材（１３）を所要形状に成形し、この芯材（１３）の
   表面に表皮材（１４）を一体貼着してドアトリム本体
   （１１）を成形するとともに、上記中接部材（１２）装
   着部位の周縁に沿って周溝（１７）を形成したドアトリ
   ム本体（１１）の成形工程と、 上記ドアトリム本体（１１）の中接部に接着剤を塗布し
   た後、圧着用上型（２０）の型面にこのドアトリム本体
   （１１）をセットし、かつ上記ドアトリム本体（１１）
   の中接部の面形状に合致した型面形状を有する圧着用下
   型（２１）の型面に周縁をクランプした中接部材（１
   ２）を載置した後、上記圧着用上下型（２０，２１）の
   型係合により、ドアトリム本体（１１）と中接部材（１
   ２）とを接着させるとともに、圧着用下型（２１）の外
   周に沿って、上下動可能に設置された熱溶断刃（２２）
   を上昇させ、上記中接部材（１２）の周縁端末を所要外
   形状に熱溶断処理し、さらに、熱溶断刃（２２）の内周
   に沿って、上下動可能に設置されている木目込みバー
   （２３）を上昇させ、この木目込みバー（２３）により
   中接部材（１２）の周縁端末をドアトリム本体（１１）
   の周溝（１７）内に圧入させるようにしたドアトリム本
   体（１１）と中接部材（１２）との一体化工程とからな
   ることを特徴とする自動車用ドアトリムの製造方法。